ワールドガイド世界地図>アル=カマル
【 アル=カマル概要 】
 ファティマ朝は、アル=シャムス大陸に位置する連合王国である。
同国の政治は、象徴たる神の巫女を戴き、長老達を中心とする合議制を採用している。
アル=シャムスには人間、アヌビス(獣人族)、エルフ、そしてもう一種族の四種族が暮らしている。各種族は等しく扱われているが、その国体上、神の巫女は代々アヌビスである。
同大陸はその大半が砂漠に覆われており、人々は砂漠に点在するオアシスや河川、海岸沿いに都市を建設して生活し、こうした諸都市には王国による統治が行き届いている。他方、一部の砂漠の民や自由人たるジプシーなど、アル=カマルによる直接的な支配の埒外に在る者達もおり、画一的ではない。
現在、魔の大地と呼ばれる、天儀で言うところの魔の森に相当する地域は不毛の砂漠地帯を中心に広がっている事もあって、直近の危機には面していないという。
首都はステラ・ノヴァ。かつての首都アル=ステラは魔の森に脅かされ、千年以上昔に放棄された。

同国の元首は「神の巫女」と呼ばれる預言者である。
ただ、神の巫女は建前上は元首であるが極一部を除いて実権は持たず、長老達より提出された案件にサインをするのみであり、この慣習は百年以上も維持されている。
アル=カマルは円卓と呼ばれる長老達による合議(会合)を通じて運営されており、調整役として国王を持つ。国王の任期は二年で国王を含む会合出席者は全員が対等で、重要議題は全会一致を基本として運営される。
遊牧民たちの代表は血縁関係を基本とした族長(シャイフ)、定住民の代表は都市ごとに市長や貴族が代表とされる。
多勢の首長たちは自らの財力や武力を強化する事で発言力を高めようとする。彼等は小競り合いを起こすのも日常茶飯事であるが、その際には一定のルールを遵守して争う。例えば、可耕作地が狭いこともあって食料は重要な資源と見做されており、農耕民に対する攻撃、略奪だけは例外として厳に禁じられている。

元首
◆セベクネフェル
本名:セベクネフェル
年齢:34  性別:女  クラス:巫女

ファティマ朝の元首。猫系のアヌビス(獣人族)。
先代が受けた神託により、現在の地位に就いて二十年を迎える神の巫女。
二年毎の国王の任命や季節毎の祭礼を取り仕切るなどの役目以外は、首都ステラ・ノヴァの神殿で穏やかに暮らしている。ただし月に一回程度、近郊の川に舟遊びに出る趣味があり、首都の住民が遠目にだが姿を見ることは難しくない。
性格も温厚で、神託を受けた時以外は、部族間の利害関係には関与しないので、円卓合議の長老達や各部族の首長達との関係も良好。
神の巫女になる前の前歴は伏せられているが、首都では近郊河川域の農耕民だったとまことしやかに噂されている。
概して短命である神の巫女としては高齢である。

【 開拓者について 】
 アル=シャムスには志体を持つ者はもちろん、開拓者と似た性質を持つ者たちがいます。
同大陸において、天儀名「志体」は「ジン」と呼ばれており、彼等は魔人から力の一部を与えられたのである、というおとぎ話もあります。志体との違いはありません。
また、開拓者そのものは存在しませんが、アル=シャムスの代表的な職業グループのうち、砂迅騎(ベドウィン)とジプシーの一部は極めて開拓者的な気質を持っています。彼等は自分の身体を資本として放浪生活を好み好奇心旺盛です。一部は探検家を自称し、前人未到の未知の遺跡を探して大陸せましと駆け回っていたほどです。

新大陸には、ジプシーやベドウィンといった新たなクラスの他に、巫女、吟遊詩人、弓術士、砲術士、魔術師などが既存クラスとして存在します。
種族やクラスについての解説は開拓者とはクラス一覧をご覧ください。


【 国土 】
◆特徴
アル=カマルの国土は大半が砂漠に覆われている。
各都市や居住地は川やオアシス、海岸沿いの豊かな土地を中心に建設されており、内陸部に進むと、都市と都市の間は広大な砂漠によって遮られている。
中でも、砂漠各地に点在するオアシスはまさしく砂漠の駅であり、オアシス同士を繋いだラインが生命線たる流通経路として機能する。砂漠の民ベドウィンたちは、こうした砂漠の交易路を掌握しており、一般的に、彼等のガイドを雇わせるなどといった形で通行税を取り立てている。

◆雨季
アル=シャムスは全体に砂漠の乾燥した気候だが、地域により1年のうち2ヵ月程度雨が降る場所もある。全ての河川はこの地域から発生しており、首都では雨季から半月後くらいに洪水が起きる。
洪水はほとんどが緩やかに進行するため、人や家畜の被害が出ることは滅多になく、農耕も行われない。
洪水の間は水に困ることはないが、普段水利や水の取引で利益を得ている部族には収入減の厳しい季節となるため、砂漠のガイドの料金が跳ね上がるなどのトラブルが発生するこが増える傾向にある。

◆砂嵐
砂漠には砂が地表を埋め尽くす場所と、岩場と砂地が混在する場所とがあるが、砂嵐は砂地だけの砂漠で多く発生する。
規模の大小はあるが、巻き上げられた砂が視界を遮るため、砂嵐の中で移動すると現在地を見失うことが多い。砂嵐に出会ったら、出来るだけ離れてやり過ごすのが基本とされる。
大規模な砂嵐の後には、どこかで巻き込まれた者の荷物が落ちていることもあるが、これを拾うと不運を呼び寄せるとされている。

【 文化 】
 アル=シャムスは砂漠の大地である。
故に、その文化や文明も砂漠の大地に根ざしたものである。
例えば、服装面では強い太陽や砂塵から身体を守る為のゆったりとした服が好まれ、各地方や民族毎に色艶やかな衣装が作られているし、慣習面では砂漠の民を中心に実力主義社会が構築されている。
また、彼等は、天儀の神威人らと同じく、月を神聖なるものとして崇める宗教観を持つ。
彼等の間に残る伝承には、神威によって言い伝えられてきた伝承と一致する部分が多く、一部の学者は、神威人や猫族がこの大陸より渡来したのだという当初の想像をより強くしている。

▼末子相続
多数の遊牧民が暮らすアル=シャムスでは末子相続が原則として広く受け入れられている。
つまり、子供は成年に達した順に財産分与を受けて独立し、生まれや性別に関わらず、末子――つまり最後に生まれた子供は独立せず跡継ぎとして残り、当主(両親のいずれか)が死去すると同時に家を受け継ぐという考え方である。
また、当主としての資格や財産権の有無に性別は関係しないこととされている。

▼公衆浴場
水源が豊かな大型都市には、必ず複数ある住人達の娯楽の場。
男女別の浴場には、湯船やサウナの他、マッサージや飲食の提供を受けられる部屋もある。
値段は浴場により様々で、庶民が集まる場所では商売の相談から見合いの打ち合わせまで、雑多な会話が繰り広げられる。高級な浴場では、政治の密談が行われるとも噂される。
こうした公衆浴場は、その都市の有力な部族や個人、ギルドなどが設立しているものが多く、多くは設立者の名前を冠する。公衆浴場を建てられれば金満な有力者と認められるため、商人などが競うように建設する傾向が強まっており、大きな都市ほど公衆浴場の数も多い。

▼砂漠のガイド
多くのベドウィンが、自らの支配地域を旅する商隊や旅人の安全確保を名目に雇用を勧める案内人。ガイドへの賃金が地域の通行税を兼ねており、やや高価。
代わりに安全な道や旅をするための知識を十分に備えており、望めば護衛も兼ねてくれるので、商隊などで雇わない者はほとんどいない。
大半が男性だが、雇用側に女性が加わっている場合には女性ガイドがつく習慣になっている。

▼砂上船
船と名がついているが、砂漠を走行する船に似た形の乗り物。
アル=シャムス全域で時折発見される古いサンドシップの技術を研究・模倣して建造されたが、超大型の船体を動かす程の能力は未だ持っていない。
飛空船同様に風の宝珠を多数使用し、一部に地の宝珠を組み込むことで、砂の上を水上空中と同様に走らせることが出来る。
速度は飛空船に劣るが、微風、強風のどちらでも操船が容易く、小回りも利く。
宝珠を多く使用するために飛空船より数は限られるが、土地の境界線が複雑な地域や氏族間の争いごとが発生している地域では、境界侵犯を避けるために使用頻度が増している。

▼砂上グライダー
砂上船建造技術から、より小型化を目指して作成された砂漠を走行する乗り物。
形状は天儀のグライダーに似ているが、より簡素である。
速度は砂上船より速いが、基本は一人乗り。
積載量が少ないが、開発理念が高速移動可能な小型艇のため、新型ほど小型になる傾向がある。
こちらは開発されたばかりの技術でコストもやや高く、個人での所有はまだ少ない。首都はじめ各都市や氏族、大商隊が緊急連絡用などに保有しているものがほとんどである。

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