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■オープニング本文 前回のリプレイを見る お姫様は次期領主様のお見合いに行きました。 誰もがこの美しいお姫様が娶られると思っていました。 次期領主はお姫様と会い、驚きました。 本当にお人形のようだったのです。 感情の欠片もない形ばかりの笑顔で中身は何もないのです。 好きなものも嫌いなものもなく、繰り返されるのは「私は次期領主の花嫁となるべく生きてきた」と言うばかり。 本当にただ、飾られているだけのお姫様。 お姫様が花嫁となれば親達に多大な資産に関わることができるのです。 更に男の子を産めばその代も資産に携われるのだから、お姫様は大事なのです。 全て侍女に任せ、箱庭の中で生かしていただけ‥‥ 次期領主はお母様とお話をし、お姫様を逃がすことにしました。 お姫様に自我を与えなくてはならないと思ったからです。 そうしてお姫様は外の世界へ行くことになりました。 ● 怪我をした開拓者から沙桐は葛を浚われた話をきいた。 「皆が最後に見た葛先生は怪我をしてないよね」 沙桐がしっかり言えば開拓者達は頷いた。 浚った相手はシノビ。 だが、知能を持つアヤカシであろう戎は彼らを知らなかった。一方、幼女のアヤカシは陰陽師‥‥松籟と組み、遊女達を死なせたことにして花街の外へ出していた。 ちろりと沙桐が架蓮を見やれば彼女は一人だけ別に戻って来た開拓者が差し出した苦無を見ていた。 「当たりか」 沙桐が見やれば架蓮は頷いた。 「高砂領主のシノビが使っているシノビの苦無でしょう」 きっぱり言った架蓮に沙桐はふぅむと唸る。 「まるで漁夫の利を狙ったかのようだな」 「葛先生の動きを見ていたという事ですか」 開拓者の一人が言えば沙桐は「そうだね」と言った。 「彼等は地の利があるし葛先生が薬草収集に傾倒しているのを知れば張りこむ事は可能だ」 「ギリギリまで見ていたのは僕ら、開拓者の能力値を見知っており、何が何でも彼女を護る事だろうと確信している‥‥ってことかな」 開拓者の一人の言葉に沙桐は頷く。 「問題はそのシノビ達は本当に奴らアヤカシや松籟の味方か否かを見極める事だね」 沙桐の言葉に開拓者達は依頼人の言葉を待つ。 「すぐに依頼を出すよ。目的は倉橋葛医師の奪回、そして攫った連中の目的と百響達の関連を吐き出させること。下手すればアヤカシ達が嗅ぎ付けるかもしれないからね。それまで身体を休めて」 依頼人の言葉に開拓者達は頷いた。 |
■参加者一覧
鷹来 雪(ia0736)
21歳・女・巫
御樹青嵐(ia1669)
23歳・男・陰
珠々(ia5322)
10歳・女・シ
輝血(ia5431)
18歳・女・シ
溟霆(ib0504)
24歳・男・シ
薔薇冠(ib0828)
24歳・女・弓
御簾丸 鎬葵(ib9142)
18歳・女・志
ラサース(ic0406)
24歳・男・砂 |
■リプレイ本文 先行調査に来た輝血(ia5431)、珠々(ia5322)、御樹青嵐(ia1669)は襤褸屋敷より少し離れた所にて様子を眺めていた。 生え放題の草の陰のどこかにシノビがいるだろうと輝血たちは予測する。 精神を研ぎ澄まして珠々が屋敷の中の音を確認した。 「今のところ、荒い息や怒号は聞こえませんね」 珠々が伝えているのは青嵐の為だけではない。輝血を思っての事。ふわりと青嵐の人魂が遠回りに空からシノビの配置を確認する。 今のところ、人魂から見える範囲で屋敷を見張っているのは十人。 シノビ二人は中に更に四人いる事を確定させた。四人の中に葛は入っている。 ゆっくりと息をついた輝血はそっと安堵の息をついたが、その息は彼女に似合わず荒い。 青嵐も珠々も気付いたが無視をした。 後ろには排除組が控えている。自分達が行かなくては彼等も動けない。 「青嵐、タマ」 行こうとした二人に輝血が呼び止める。 「先に謝っとく。自分でもよく分からないけど、今のあたしは焦ってる‥‥と思う」 輝血の言葉を二人は冷静に聞く。 「あたしは、葛先生を助けたいってしか考えられない。いざとなったらあたしは放っておいていいから」 「違いますよ」 青嵐の言葉に輝血は一度瞳を瞬かせる。 「いざとなったら私達を放って行って下さい。脱出の血路くらい開きますから」 微笑む青嵐に珠々が頷けば輝血の中で何かが引っ掻く。心臓の鼓動が早くなって身体が温かい。この感情が何か現状の輝血は理解できなかったが、解ったのは安心して葛を助けられる事。 ゆらりと輝血が前に出る。 草だけ伸びてるこんな原っぱならそのまま攫った方が早い。 「葛先生、今行くよ」 冷たい声の断罪が襤褸屋敷に掛けられる。だが、その瞳の無垢さに気づく者はいなかった。 排除組は先行組の輝血が姿を現した事に気がついた。 「囮になる気か‥‥っ」 はっとしたラサース(ic0406)が小さな悲鳴を上げ、薔薇冠(ib0828)は急いで弦を響かせた。 「東‥‥葛殿が攫われた場所から来ておるのぅ」 ぴくりと薔薇冠が共鳴に反応すると御簾丸鎬葵(ib9142)がこくりと頷いた。此方に来てから殆ど口を開かなかった彼女は怒りと戦いへの志気を静かに上げているようであった。 「鎬葵殿」 薔薇冠が声をかけると鎬葵は表情を変えず声の方を向いた。 「己を律する事は何よりも難しいことじゃ‥‥今はその刃を存分に振るうとよい。アヤカシに‥‥じゃ」 はっと見開いた鎬葵だが、瞳を瞬かせてから一度頷いた。 「陰陽師はかの大妖と通じているのが判明致しましたが、今回も奴は来るのでありまするな」 ふぅと、ため息をついた鎬葵が言えば、そうかもね。と溟霆が肩を竦める。 「アヤカシにとって恐れを持つ人間は美味しいものとされているね」 「倉橋医師は今、恐怖に晒されておりまする」 横で聞いていた薔薇冠は溟霆に今、屋敷の中での現状を聞こえるかこっそり聞けば、今は静かで葛も無事と判断しているようだ。 そんな様子を耳にした薔薇冠は目を瞬かせた。 「薔薇冠様?」 白野威雪(ia0736)が声をかけると、薔薇冠は考えが纏まっていないのか、少し生返事で返す。 「‥‥気になることがあってのぅ」 「何にですか?」 「高砂領主の事でのぅ‥‥当人に訊くぞぇ。術視の結果は何もなかったのじゃな?」 にこりと雪に笑いかける薔薇冠に雪も頷く。 「はい、参りましょう」 動き出した排除組だが輝血はシノビと交戦している。後ろに珠々が補助に回っているのが確認できた。青嵐がいないのは排除組待ちだろう。 「しかし、シノビ十人か‥‥何に警戒しているんだろうね」 ふぅむと眺めるのは溟霆(ib0504)だ。その瞳に隠れているモノを掴みとるのは困難だろう。 「最低限、百響の攻撃に耐えた事は知られている」 沙桐が冷静に言えば、溟霆がくつりと笑む。 「力で抑えようと」 「行きはよいよい帰りは怖いは困るからね」 「戯言を読み取られようとは僕もまだまだだね」 肩を竦める溟霆に沙桐は一歩前に出て溟霆を振り向いた。 「仕事の誠実さは信じてる。一緒にいて楽しいからあまり無理しないで」 「僕は麻貴君に言われるのがいいな」 いけしゃぁしゃぁと言う溟霆に沙桐はむぅとむくれる。嫁を娶ろうというのにシスコンは変わらないようだ。 「雪君も大変だね」 溟霆が雪を見やれば彼女は微笑む。 「沙桐様も麻貴様も折梅様も大好きですから」 断言した彼女に嘘偽りはない。 「皆さん」 待っていた青嵐が排除組に気付いた。 シノビ達にも輝血の姿は確認された。だらりと忍刀を手にしており、表情は逆光で見えないが殺気だけは感じられる。 一歩踏みだし、駆け出せば彼女は風となった。 伸び放題の草も彼女を遮る事などできない。 慌てたようにシノビ達が現れると輝血は無造作に刀を振り、肩に一太刀浴びせて一瞬の隙を作り進む。 追いすがろうとするシノビに蛇は振り向きもせずに刀を後ろ手にし、シノビの腹を斬り裂いた。 今、彼女が目に入っているのはぼろ屋敷だけだ。その中に自分の欲しているものがいる。 シノビ達を追い抜かし、切りつけ、蹴り付け他人の血を浴び自身が道を拓く様は緑鷹の風切羽ではなく、一体の気狂った蛇。 彼女が更に進めるように追っ手を阻んでいるのは珠々だ。 早駆を使った 立場は違えども珠々は輝血の気持ちが分かる。 もし、自分も同じ立場の人間ならば同じ事をするだろうか―― 脳裏に浮かぶのはここではない地にいるいつの日かの両親。 何人たりとも自分達を阻ませたりはしない。 青嵐が見張り役は外に十人いた事を伝え、薔薇冠よりアヤカシもすぐ近い所にいることが知られ、開拓者達に緊張が走る。 「見張り役は数名もう役に立たなさそうだけど」 愉しそうに目を細める溟霆が言えば、全員がその方向を向いた瞬間、誰かの腕が飛んでいった。 「早く、輝血様と珠々様をお止めしなければ、患者が増えて葛様が困惑いたします」 真面目な雪の言葉に青嵐が頷く。 「しかし謎だな」 ぽつりとラサースが呟く。 「どうしたの?」 声を拾ったのは沙桐だ。 「領主は屋敷に不在で葛もあの中にいる。何故わざわざこんな所に連れてきたのだろうか。市井の噂でも気にしているのか‥‥?」 屋敷が吹き飛べはただの原っぱ。アヤカシの群れが来て戦闘となっても相当な術を発動しない限りは住民に被害は起きないだろう。 「戎は高砂領主のシノビを知らなかったんだな」 ちらりと鎬葵を見やるラサースの視線を彼女は頷いて受け止める。 「高砂領主と百響一味は繋がっていない可能性がありまする」 「陰陽師と高砂領主が繋がってるかはまだ不明じゃ。今はその線が繋がるか否か確かめに行くぞぇ」 薔薇冠が言えばラサースは頷いた。 更に進むと、溟霆が薔薇冠がアヤカシを感じた方向を見やる。 「おいでになったようだね」 前に出るのはラサースと鎬葵。 人間を見つけた狼アヤカシは一斉に遠吠えを吠えた。 沙桐は即座に雪の腕を掴む。 「自分の身は自分で護ります」 こっくりと雪は頷いた。 くるりと身体を返した珠々は手にしている剣で対峙しているシノビの膝を斬り動きを止めて振り向き様にもう片方の腕を伸ばせば迫るシノビがびくりと身体を震わせて上体を屈ませて何かを堪えている。 同じシノビ同士、仲間の異変に気付いて無傷のシノビが堪えているシノビの気を失わそうと首を絞めた。 瞬間、狼の遠吠えに気付くのはシノビ達、珠々も同じだが、お互い視線はアヤカシに向いていない。 珠々の方がより優位だろう。最低限、自分は味方が守ってくれるので珠々は何も考えずに先を走り出す。 輝血は雨戸を蹴破っていた。 遠吠えに反応するが如く、影が走る。 狼アヤカシにやられる輩でない事は明白だが、万が一という事がある。 この世に絶対など存在しない。 絶対にするには自ら動かねばならない事を影の主は知っている。 くつりと誰かが笑った。 青嵐の斬撃符がアヤカシの右足の付け根を削ぎ斬ると追撃したのはラサース。 両手剣を突きの型で突進し、斬撃符が斬った場所に串刺し、勢いと共に剣を凪げばアヤカシは衝撃で地を離れ、切り裂かれた身体が後方に飛んでいった。 ケモノのアヤカシに群れという概念はあれど仲間意識は皆無だろうか、口から涎と唸り声と共に他のアヤカシがラサースを追撃する。さっと盾を構えて肩と腕でアヤカシの突進を阻むとアヤカシは衝撃に耐え切れなく吹き飛んだ。 更に追いすがろうとする狼アヤカシはぼろ屋敷に向かうすがらの薔薇冠の矢を受け、再び地に撃ち付けられる。 ラサースの位置より前に出たのは鎬葵だ。 意識を集中させていると鎬葵の黒の髪が浮き上がるように揺れる。 「はぁ!」 気合と共に出された練力は風を生み出し、刃となりアヤカシ達を切り裂いていった。 「鎬葵様、右です!」 瘴気探索をしていた雪が鎬葵に声をかける。声に呼応した鎬葵が一歩前に出て駆け跳ぶと上段から一気にアヤカシの腹を斬り裂き地に叩き落とす。 珠々は数人のシノビの壁が立ちはだかる。足を止めた瞬間、珠々の両脇に風が走った。 右のシノビには肩が切り裂かれ、左のシノビの腕に鎖が巻きつかされた。珠々が相手するのは真中のシノビ。珠々は躊躇う事無く残ったシノビに蹴りかかり、シノビが両腕を交差する事で受け止められた珠々はシノビが痛みを堪えているのに気付く。視線を動かせば脇差が腕に刺さっていた。 好都合とばかりに宙ぶらりんの足を脇差の柄を更に踏み台にして跳躍して屋敷へと向かった。 雨戸を蹴破っても尚早駆を止めない輝血は奥にいる葛を目視で確認する。 無事だ。怪我も今は見当たらない。 前に立ちふさがるのは刀を抜いた高砂領主。 以前会った時は輝血の場所を正確に当てていたところから志士の志体持ちなのだろう。 余計な戦闘などは要らない。早く彼女をこの手に収めなければ―― そう思うよりも早く時は止まった。 葛より離したい一心で輝血は大理を蹴る。 全身の血が沸騰しそうになって、身体の中から締め付けられる。葛が捕らわれた話を聞いてから身体が乾いていくような気がした。 葛へ腕を伸ばす。 きっと、潤える―― 時が動いた瞬間、葛は輝血の腕の中にいた。 「よかった‥‥」 自分の声が震えているのに輝血は気付いていない。 続いて珠々が入ってきた瞬間、珠々を排除すべく中にいたシノビが珠々に襲う。 目が合った瞬間、珠々は今対峙しているシノビが葛を攫ったシノビと気付き、一度間合いを取った。 「賢いな」 ぼそりと呟かれる声に珠々は確信した。 カラァン 立ち止まったのは超越聴覚を持つ者達。 「ラサース君が仕込んだ鳴子‥‥の音」 先に呟いたのは残ったシノビ達と交戦していた溟霆だ。 動けるシノビ達は鳴子の音の方向へと走り出す。 とはいえ、半数が輝血と珠々にやられ地に伏せているが‥‥ 「あっけなく見つかったな」 その音を鳴らした者の心当たりに気付いた溟霆はそれだけ呟いて胡坐かいて座るシノビの前に立つ。 「死なないでよ」 「片腕斬られた所で人は死なん」 年老いた声のシノビは頭巾を脱いで溟霆に差し出すと彼は「確かに」と呟き傷口を塞いだ。顔を見れば歳は折梅より年上のようだ。 「何故、葛先生を攫った」 「紗枝様が繚咲に戻れば再び魔の森のアヤカシ達が動き出すと大理様の考えだ」 「倉橋医師を狙った訳ではない‥‥?」 溟霆の背後から鎬葵の声がした。 「お疲れ様、どうやら気付かれたようだよ。君の鳴子をわざわざ鳴らしてくれた」 溟霆が振り向けばラサースが急いで自分が仕込んだ方向を向いた。 他の者には見えないがラサースの視界には見える。 あの陰陽師の姿が‥‥ そして、陰陽師を護るようにシノビ達が潜んでいる‥‥ 陰陽師はアヤカシ達と手を組んでいる。アヤカシが葛を繚咲を捨てたと言っていたと鎬葵が言っていた。 人形が急に意思を持つ事がありえるのか、外に逃げ出すという選択肢を持つのはありえない。 ラサースは屋敷の中へと走り出せば、鎬葵もまた続く。 困っていたのは雪だ。目の前に傷ついた者がいるのに完治させる為の一部が見当たらない。 「お嬢さん、前を進めばよい」 一度溟霆の方を見やれば彼は「行っておいで」とだけ言った。雪は年老いたシノビに会釈をして中へ走った。 「高砂領主、医師を監禁とは何事だ」 沙桐が珠々を護るように中へ入る。脇を固めるのは呪符を手にした青嵐だ。 「アヤカシから攫ってきただけだ」 しれっと答える大理は刀を鞘に納める。 「何故、刀を納めるのじゃ。妹御が憎いと聞いたぞぇ。何故無傷なのじゃ、何故殺さぬのじゃ」 薔薇冠が尋ねたかったのはそこだ。憎ければ嬲りさっさと殺せばいいのに彼女は無傷だ。 「お主の狙いは妹御に定めておらぬように思える」 言い切った薔薇冠に大理は面白そうに目を細める。 「奴らの事だ。耳のいい兎がいる。とっとと動いて喰らいに来る。高砂の街が滅茶苦茶になる事だけは避けたい」 「アヤカシの事を知っておるのか」 薔薇冠の記憶に合致するのは兎耳の幼女のアヤカシ。 「まどろっこしい事を‥‥そんな事で葛先生を怖い目に遭わせるな!」 悲痛な金切り声を上げるのは輝血だ。 「輝血ちゃん、落ち着いて」 「嫌だ、絶対許さない」 葛の静止も今の輝血には届かない。 「妹に罪をなすりつけ、アヤカシに差し出す気か」 低く微かな怒気を孕んだ声音はラサースのもの。 「倉橋医師は貴方達の人形ではありませぬ」 更に鎬葵が言えば大理は鼻で笑う。 「お前達が護るだろう。死んでもそれまでだ」 「話を荒立てないで下さい、高砂領主。輝血様、ここは抑えてください」 雪が言えば大理は面白そうに雪に興味を向けた。視線に気付いた鎬葵が雪を守るように立つ。 「領主は民を護らなければならない。ですが領主も一人の人間です。思う所があれば私が聞きます。言葉にすれば心のつっかえがなくなる事もあります」 「俺の願いはあのアヤカシどもを殺したいだけだ。そいつ等を引きずり出す為に紗枝を攫った。それだけだ」 大理の言葉に珠々と臨戦態勢をとっていたシノビは警戒を解いて大理の後ろに控える。 「沙桐さん、身柄を拘束しますか」 青嵐の言葉に沙桐は首を振った。 「葛先生は俺が護る。皆は蓮誠と架蓮にここに来るように言って」 あのアヤカシや陰陽師と戦うには戦力が必要で、葛を繚咲から脱出する為にはあの戎を倒すほどでないと隙は作れないだろう。 外にいる溟霆は動けなくなったシノビ達を一箇所に纏めていた。ついでに応急処置も。 「また、妙な事になりそうだね」 ふーっと、溜息をついて溟霆は空を見上げた。 |