【喰群】巣穴深奥〜吽
マスター名:白河ゆう 
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: やや難
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/08/14 20:46



■オープニング本文

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 これが巣穴のヌシか。

 細部は異なれどその形態はまさしく蟻。
 今まで外で遭った、通路で遭った山喰の六倍はあろうかという巨躯。全体のバランスはやや細身か。
 這い蹲るように側方へ広げた脚は、関節を伸ばせば人の背丈を超える。いや更にあろうか。
 配下の眷属と同じように、戦槌のような威力を持つ爪を先端に持つのだろうが、今は植物に覆われた巣に隠されている。
 その体躯に比した重量を帯びた爪を兜もなき頭部に直撃を受ければ、開拓者といえど一瞬で儚く命を終わらせるか。

 松明の灯照を浴びて無感情に頭部で周囲の甲と異なる質感で存在する黄色い複眼。
 動物であれば眉間に相当する位置から伸びる身体の他の部分と同じ硬質の多節に覆われた二本の触覚。
 その下には強靭な顎牙が曲線を描き、武器であると同時に口腔への侵入を許さぬ盾。
 鋼鉄の強度を持つ甲が全身を覆い、数々の部品が重なるように組み合わされて内部を守っている。

 アヤカシ――山喰の眷属――は音を立てない。
 音を立てるに値しないというのか。配下が遠くに寄せられてしまったから無駄だと思っているのか。
 ただ静かに佇む。微動だにせず。こちらが仕掛けるのを待っている居合いの剣士のごとく。

 此奴の巨躯が邪魔をして、その背後がどのようになっているのかは見えない。
 我々の背後には、今掻き分けてきた藪のような通路。隠れる為に飛び込める類ではない。
 足元も隙間に土は見えているが、根、花、茎、葉。空洞の至る所全周、アヤカシの下も例外ではない。
 今まで見た事もない漆黒の植物が覆い尽くしていた。

 湿った土の匂い。立ち込める瘴気の無臭。
 それらを遮る口元を覆った布を超えて尚、鼻腔を刺激するふくよかな甘い香り。
 横倒しにした円柱をやや傾けたかのような形状をした空洞。その中央だけを残して漆黒の植物が繁茂する。
 花弁全体はまるで人間の手形を模したかのよう。巨漢の掌から小さな子供の掌まで大小が咲き乱れ。
 柔らかな花びらも、伸びた蘂も、茎も葉も全てが塗りつぶしたかのような漆黒。
 地下深くで手にした光量の加減のせいで見えるというものではない。
 この植物が持つ色素自体が漆黒なのだ。太陽の命溢れる光に代わり瘴気を生命に替えて。
 根は地中に張りながらも、空間へもその先端を延ばす。
 壁面から栄養を要求するように突き出した終点は、巣の主たるアヤカシ達の脚と同じ爪状に鋭く。
 花や葉の間から血肉を求めて飛び出していた。根だけ見るのならば普通の色をしているので他との区別は付け難い。
 元よりアヤカシと共に瘴気よりこの空間に誕生したのか。アヤカシ達の手により、地上から種子が運ばれてきたのか。
 区別が付かない程に年月を経て、ここを安住の地とし。死滅の危機からの離脱と引き替えに新鮮な獲物からも遠ざかっていた。
 嬉しそうに甘い香りを強くするそれは、幾ヶ月ぶりかの鮮血に餓えていた。
 骨だけが残るまで吸い尽くした、通路に居た生物の骸達はこの植物が最後の一滴まで根を通じて貪った。
 そして肥え育った花はアヤカシのように意思というものを持たず、ただ喰らわれる。
 瘴気に咲いた漆黒の花は名も無く、己が負の存在である認識すらも無く、延々と繁茂しては捕食される繰り返し。
 人間から見たらその生態は受け入れられないものであっても。花は、ただ花であった。

 光を浴びて新鮮な空気を生む、明るい緑。
 命を浴びて邪悪な瘴気を生む、暗き漆黒。

 緑を食み、生を謳歌する生物。
 漆黒を食み、死を蓄えるアヤカシ。

 我々は、この異界を打ち破らなければならない――。


■参加者一覧
静月千歳(ia0048
22歳・女・陰
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
千見寺 葎(ia5851
20歳・女・シ
新咲 香澄(ia6036
17歳・女・陰
ソウェル ノイラート(ib5397
24歳・女・砲
Kyrie(ib5916
23歳・男・陰


■リプレイ本文

「あれが、この巣の主のようですね」
 油脂分を使い果たし、乱れ小さくなる炎。その灯火が消えぬうちに新しい松明を燃す静月千歳(ia0048)。
 この周囲にはびこる黒き植物が敵を有利にして自分達の足枷となる。ならば――。
「覚悟はとうに済ませてきた。行くぞ」
 地を固く踏み締めた羅喉丸(ia0347)。まずは懐に飛び込んでやる。
 既に敵の攻撃が確実に届く間合い、後ろの仲間をやられぬ為には一身に浴びようとも。
 踏み込みを躊躇している時間は無い。迷う事なく我が方針を決め。
 一呼吸で気が身体の中を巡り、熱い血潮が波動となって駆ける。闘気に火照る肌が見た目にも紅潮し。
 触れる葉が花びらが、甘い匂いを身体に擦り付ける。跳躍で複雑に絡み合う根を越え。
 鉄槌のように振り下ろされる一撃を小さな魔剣が火花を散らして、流す。削るように下腕を滑り根の中に消える。
 篭手が守っていなければやられていたか。胸に算段していたよりも重い撃。それが同時にもう一手。
 十文字を描くように繰り出され、腹の先の空を切る。
 瞬時に一歩下がっていた羅喉丸。腿まで覆う花の根が絡み、態勢を整えなおすのに一拍掛かる。
 覆われていないのは洞の中央。つまり何処にも面していない無の中空のみ。
 空を飛べる身でもなければ、足場を必要とする限り制限されるのがもどかしい。

 鮮血が視界に突如滴る。
 千見寺 葎(ia5851)が放った鉄血針。
 喉元を庇うかのような動きを見せた二番目の脚列を存在しなき動きで抜け、突き刺さり。
 奴に身構えさせるだけの時間を作った。喜びを表してるのか血を浴びて花が香気を増す。
「くっ。この花、血に反応しやがる。害が無ければいいけどな‥‥」
 態勢を整えなおした羅喉丸が攻めに移る。
 刃は固い爪に遮られるが、ソウェル ノイラート(ib5397)が放った銃弾が触覚を弾き奴の感覚を惑わせ。
「俺を気にするな。静月殿、撃ってくれ」
 そうは言われても。味方ごと撃つのは盾になっている彼を失い兼ねない。
「なぁに、ただで勝てるとは思っていない。この程度で済むのなら安いものだ」
「でも‥‥どちらかに寄って下さい」
 掲げた松明を身を乗り出してアヤカシに向かって突き出し、羅喉丸を避けて氷龍の術を放つ千歳。
 揺らめく炎に一瞬浮かぶ白銀の龍。吐かれる息が瘴気の花を凍らせ、洞窟の足元に沿って冷気を駆け抜けさせる。
 アヤカシを支える脚も巻き込んだはずだが効果は定かではない。だが奴は怒り千歳を標的に選んだ。
「千歳さん!」
 とっさに身を沈めたソウェルの肩を飛び越え、葎の手が千歳の外套を掴み力一杯に引く。
 同時に来る衝撃。皮鎧の肩に鈍器を直撃された感覚。大丈夫だ、骨は砕かれていない。
 鎧も纏わぬ細い小さな身体にこれを当てられては。
 この中で肉弾戦を挑めるのは――ならば自分が前に出る。
 奴は大きな爪を宿した腕を武器に使い、中の二本の脚を防御に使う。隙あらば上方より牙の一撃も加わり。
 羅喉丸と葎、二人で打撃を繰り出し続け自らも攻撃を受け。それでやっと後ろを守れる。

「結界呪符を使えない状況ってのは痛いね‥‥」
 絶え間なく火輪を放ち続け、ソウェルと共に援護射撃を担う新咲 香澄(ia6036)。
 親しむ式を紡ぎながら頭の中は目まぐるしく回転していた。
 倒しながら発生させるなんて事ができたら良かったのだけれど。
 そこまで融通の効く術ではない。瘴気から産み出す壁はその現れる場に見えぬ根を張り固定される。
 だとすると壁として立てるしかないが、アヤカシの後ろに立てても意味がない。
 かといって間に立てれば自分達も攻撃できなくなる。厄介だ。
 ならば得意の火術を可能な限り撃ち尽くしてくれん。
「さて、ボクの火は耐えられるかな?」
 一発、間髪いれず二発。ソウェルの銃口から黒い羽が舞う。
 真っ赤なオーラの弾丸と火輪が常に戦場を赫々と照らす。更に後ろから淡い輝きが覆う。
 Kyrie(ib5916)の癒しの力が支え続ける。秀麗な額に冷たい汗が流れる。
 支援、どころではない。癒しの術を放ち続けなければならない程に激しい戦いとなっていた。
 洞の中は幻想的な光景に覆われていた。死闘を繰り返しながらも。

「くっ‥‥」
 防御を省みないアヤカシの同時攻撃。羅喉丸と葎の存在を無視した爪が千歳とKyrieを捉えた。
 逃げ場の無い洞の中、壁に叩きつけられたKyrieが崩れながらも術を放つ。
 動けない彼の前に立ちはだかる香澄。武器の二刀を抜く。
 癒しの波動で詰まりかけた息を取り戻した千歳。再び斬撃を放ちアヤカシを牽制する。
 大きく腕を伸ばしたアヤカシの無防備な胸を拳が埋まる程に短剣を埋めた羅喉丸。
 抜くと同時に蹴り上げた脚が傷口に衝撃を加える。
 葎の手首が返され、鋭く回転した苦無が牙を幾度目かの攻撃で砕く。
「毒も酸も持っていないようですが‥‥この固さと馬鹿力は驚異的です」
 全員巻き込まんと前進するアヤカシを留めるが、こちらの体力も限界に来ていた。
 回避する術には自信がある。だが奴はあえて後ろも狙う知恵を持っていた。
 そうなれば葎は自分が避けてよしとする訳にはいかない。
 まるでカマキリが鎌を繰り出すように。戦槌に似た爪を水平に繰り出す攻撃など。
 奴は戦いの最中でも学習していた。洞の中、一直線に繰り出されれば逃れ方は限られる。
 正面から受けざるを得ない場合もあった。
 端へ寄れば寄ったで、土壁や魔の花を散らすのも構わず来る。
 巣を完全に崩すのも厭わない。全包囲の魔の花を凍らせる余裕はこちらに無い。
 戦場を悪化させない為には、ひたすらに正面決戦を挑むしかなかった。

 しかし奴も確実に弱っている。
 ソウェルの放つ弾丸は全て練力が込められ。香澄の火輪、千歳の斬撃。
 避ける事も叶わぬ大量の攻撃を浴びて着実にアヤカシの身体は傷つけられていた。
 口中から、関節から。だらだらと得体の知れぬ液を垂らして。

 身体の秘められた力を一気に引き出すが消耗も激しく。
 羅喉丸の動きが鈍ってきていた。これだけの打撃を与えてもアヤカシは尚健在。
 特殊な能力を持たずとも巣の主として君臨する実力。
「だがな。それがまた俺を燃え立たせるんだ」
 拳から繰り出す波動も撃ち尽くした。
 牙折れた顎を逃れ、傷だらけの爪を逃れ、花の匂いに塗れながら懐から丸薬を取り出し口中に一気に放り込む。
「もう一発くれてやるよ」
 がっしりと次の攻撃を抱え込み、その根元へと拳を短剣ごと叩き付ける。
 紅の波動が腕を伝い、衝撃波が切先からアヤカシの関節へと吸い込まれ――内側より破砕した。
 もぎ取れた爪脚が力を失って、羅喉丸の絡めた腕から離れ。
 背丈ほどもあるそれがドサリと凍て枯れた花の上に落ちる。黒い塵が舞う。
 脳天を揺るがすような衝撃。牙を砕かれて尚強靭な頭部そのものを武器に叩きつけられた羅喉丸。
 爪脚の上に投げ出され倒れ。
「ちっ‥‥」
 黒い靄が頭上に吹き荒れる。

「陰陽師が前に出ないとは限らないよ!」
 残る脚で牽制され駆け寄れない葎の代わりに、前に出たのは香澄であった。
 羅喉丸が立ち上がるだけの時間を稼ぐ。魔の花が散らした瘴気かと思った靄は彼女の刃に纏われたもの。
 式の形まで至らぬ瘴気が、彼女の力として使役され、今味方している。
「接近戦も苦手ではないんだよっとねっ!二刀流瘴刃烈破っ!」
 固い甲で止めれると無視された刃は、確かにその表面で虚しい音を立てた。
 だが瘴気の刃は甲を越えて包まれた肉を切り裂く。
「ごほっ‥‥」
 大鎧を突くように放たれた蹴りは傷ひとつ付けなかったが、衝撃は呼吸を止めた。
 驚いた肺から急激に追い出された空気が喉を通って溢れる。
「無茶すんなよ」
「判ってるよ。羅喉丸さんこそ」
 Kyrieの絶え間ない支援を受け続けてもたせているが、それでもふらついている。

 葎の脳裏に掠めた光があった。
「ソウェルさん!付け根を集中して撃ってください。さっき羅喉丸さんがやった場所です!」
 叫ぶなり捨て身で飛び、爪脚に喰らいつき。捻り、抱え込む。
 きっとその間、香澄と羅喉丸が頭と他の脚を抑えてくれると信じて。
 ソウェルなら絶対全発外さないと信じて。
 最適の角度へと即座に位置を変えるソウェル。しなやかな手は同時に動いていた。
 細かな根に阻まれた分は、上体の動きを増やして補う。
 期待通りに捻る事によって露出された関節の腱を弾丸が貫く。傷口を広げるように次の弾丸が抉る。
 弾込めをしてもう一連発。同じ場所を。
 抱き込みながら、両手に苦無を握り葎が残る肉を裂いた。
 ズサッ。
 胴と切り離された爪脚と共に壁に巡らされた魔の花に、迎えられる。
「これでもう‥‥後ろへは奴も迂闊に攻撃できませんね」
 残る脚は、奴の前進を阻めれば届かない。

 一瞬朦朧とした頭にKyrieの励ましの声が届く。
 溢れる甘い匂いに、どうにかなってしまいそうだ。
 荒い息を抑え、できるだけ吸入を避けなければ。仮面越しに魔の花は誘惑を続ける。

 死闘の末、アヤカシはようやく動きを止めて‥‥その巨躯を沈めた。

●深奥の向こう
「動けますか?」
 羅喉丸に駆け寄り肩を貸すKyrie。彼も無傷ではなく顔色が白い。
 極限まで精霊に祈り続けた彼の消耗も激しい。先程まで帯びていた光。
 彼の力が無ければ、誰もここまで戦闘を続ける事はできなかったであろう。
「何とか、な」
 自分の脚に力を入れて立ち上がるも、これ以上は戦える状態ではない。
 葎や香澄も同様である。アヤカシに与えられた打撃は大きい。

(ふぅ。この穴倉もいい加減飽きてきたね。早く新鮮な空気が吸いたいよ)
 アヤカシと一緒に瘴気も消えてくれればいいんだけど。
 深く息を吐くソウェル。まだ甘い匂いは濃厚なまま。変わっていない。
「これの後ろ、どうなってるのかな?」
「道が続いていたようですけど‥‥崩れましたね。意図的かどうか判りませんが」
 と千歳が指を向けたのはアヤカシの脚。度胸よく死骸を踏み越えて反対側へ抜けていた。
 今まで見たアヤカシに比べて、濃厚な瘴気の所為なのか塵化が遅く原型を留めている。
「前進した時に根の塊を引いたようです。後ろに続く細かな根が引っ張られて剥がされましたね」
 力任せに剥がされた土は崩れ、それを引き金に通路も崩れたと見える。
「一際太い根が一本。別の種類、これは通路の向こうから来てるものかと」
「何かあるっぽいけど、進めたものじゃないよね」
「ええ。崩れた先に何があるかこれでは見当も付きませんし、私達も限界です」
「記録だけでも、しっかりとしておくよ。何か後で役に立つかもしれないしね」
「大アヤカシに繋がる手掛かりにでもなれば良いのですが」
 瘴気の濃度は来た時と変わらない。
 僅かに湿りを帯びた土を手で掻いてみたが、道具があっても手に負える類ではないか。
 今まで降りてきた通路もアヤカシ達の素掘り。何らかの分泌液で安定させていたようにも見えない。
 ここと同じように細かに張る根によって支えられるように作っているのだろうか。
 巣は、アヤカシと魔の森の共同作業といった感じになる。
(かの冥越に侵攻した時はどうだったのでしょうか。やはり魔の森と共に進んだと見て‥‥)
 当時確か、人里を山もろとも喰らったと――。
 魔の森に既に覆われていた地域だったなら、人里は里という単位でまだ存在しただろうか。
「地下に張る魔の森‥‥」
「私達が普段歩いている場所も、地下は安泰と言えないのかもしれないですね」
 諳んじるようなKyrieの声が千歳の言葉を継ぐ。
 背筋を厭な感じが伝う。
 この儀のあちこちが既に魔の森に侵食され地上を覆われている。魔の領域は次第に増えつつ。
 今訪れている東房も、冥越の後を追うように急速に人間の領域は疲弊していっている。
 黙々と深き地の下で、山喰は何を企むのか。
 巣を見つけて先手を討てたから、この度は何の被害も出さなかったが。
 奴らが魔の花だけを喰らい、瘴気だけを作戦の糧食として身を潜めていたなら。
 ここに居た奴らもまだ準備中でしかなかったのなら。
「各地にこんなのが散ってるうちはいいですが」
 蜂起の時はいつだ。時間はどれくらい残されているのだろう。
「あまり長居もできません。戻りましょう」

 身体中に染み付いた匂い。
 開拓者達は知らない。その身体に付着した花粉が地上に出た時に散った事を。
 そして彼らが幾ら気を付けていたとしても、大群のアヤカシが誘導された時に放出されていた事を。
 凍てついて朽ちた魔の花は一部である。戦いの最中、魔の花は小さな命の営みの目的を果たしていた。
 東房の風に散ったそれは何処へ行ったか。

「他のアヤカシの住みかになっても困るからね。入り口は埋めておこうか?」
「そうですね、入口を埋めるくらいなら」
「っと、葎はまだ無理しちゃいけないよ。香澄も羅喉丸もね」
 入口は新たな土によって埋め立てられた。
 もうひとつの穴も様子を伺いに行くが、しんと静まりかえり何も出てくる気配はなく。

 開拓者達は報告へと戻った。その生命に託された情報を携えて。