【轟拳】三 関を粉砕せよ!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2014/05/09 15:31



■オープニング本文

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「ついに、我らの仲間が囚われている監獄の場所が分かった」
 蒼旗軍のまとめ役、老拳士のガランの言葉に、蒼旗軍の拳士たちは歓声を上げた。
 蒼旗軍の大部分は、八極轟拳に滅ぼされた門派の生き残り達だ。
 門派の多くは散り散りになり、刃向かった拳士たちの多くは散っていった。
 しかし、実力者や高弟達の大部分は実は八極轟拳に捕まっていたのだ。
 彼らが捉えられたのは拳の理の追求のためや、八極轟拳の技の実験のため。
 おそらくは、死ぬよりも苦しい目に遭っている者たちが多いだろう。
 彼らを救わねばならない。

 かつて救出した建築家の老人、オウジュウ。
 彼がとある砦を元にその監獄を造り上げたらしい。
 だが、オウジュウはその場所を知らなかった。
 目隠しをされた上に馬車で現地に運ばれて、無理矢理に働かされたのだという。
 だが、前回開拓者が救出した目利きの拳士、グエン。
 彼女はなんとその監獄の場所を記憶していたのだ。
 グエンもオウジュウと同じく目隠しをされた上にその場所に連れられたのだという。
 そこで、八極轟拳によるおぞましい人体実験や、非道な拳技の追求に協力させられたのだが……。
「移動にかかった時間や、建物の古さ、周囲の環境や気候から大体の場所は分かる物なんですよ」
 彼女は、そうした情報から、牢獄の位置を探り当てたのだという。

 牢獄を開放し、囚われの拳士たちを解き放てば蒼旗軍は八極轟拳に対抗する確かな力を得られるだろう。
 だが、その牢獄の場所は、かつての八極轟拳の支配領域の奥にあるという。
 今では大部分の戦力が瑞峰へと移動したのだが、さすがに牢獄の守りは堅い。
 さらに、そこに大兵力を送るにはどうしても抜けなければいけない関が一つあるのだ。

 関の名前は、無名関。名も無き関という名の通り、小さな関だったのだがそれを八極轟拳が改修。
 八極轟拳の牢獄へと向かう道を閉ざすために、今では堅牢な関所と化しているとか。
 それを今回は破壊して貰わねばならない。
 ただ関を抜ければ良いのでは無い。
 牢獄を打ち破るためには、大きな兵力が必要で、それは蒼旗軍の総力戦になるだろう。
 となれば、関は再起不能なほどに破壊しなければならない。

 というわけで、今回は蒼旗軍の総力をもってその関を破る。
 開拓者は、その間に左右の堅牢な岩山を迂回して裏から関をなんとかして無力化する必要があるのだ。
 方法は開拓者にゆだねられているが、その責は重大。
 作戦の成功は開拓者の手にかかっているのだ。

 さて、どうする?


■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
朧楼月 天忌(ia0291
23歳・男・サ
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
鬼島貫徹(ia0694
45歳・男・サ
リンスガルト・ギーベリ(ib5184
10歳・女・泰
ライ・ネック(ib5781
27歳・女・シ
嶽御前(ib7951
16歳・女・巫


■リプレイ本文


 そびえる関の名は、無名関。
 分厚い石積みの壁を誇る、八極轟拳の支配する堅牢な関である。
 関の左右は険しい山肌、とてもではないが大兵力は送り込めない。
 だが、石壁に取り憑いて真っ向から闘おうにも上から矢を射かけられてしまうだろう。
 兵力では優に倍以上を誇る蒼旗軍だが、関が綴じている限り、彼らには打つ手が無いのだ。

 蒼旗軍主力が集う無名関。
 彼らにはあまり多くの時間も残されては居なかった。
 現在、八極轟拳の主力は瑞峰にある。そこは現在八極轟拳の本拠地となっている場所だ。
 周辺の領主達に睨みをきかせ、その土地の支配を固めるために主戦力が出張っているらしい。
 故に、いまだけがこの関を破る千載一遇の好機なのだ。
 この関破りはあくまでも始まりだ。ここを超えて仲間を監獄から解放することこそが目的である。
 そのためには一刻も早く、この関を超えなければならないわけで……。

「シノビのライ・ネックと申します。よろしくお願いします」
「渡りに船、とはこのことだな。よろしく頼んだぞ」
 まとめ役の老拳士ガランは、ライ・ネック(ib5781)を前にして笑みを浮べ礼を述べた。
 蒼旗軍の筆頭ガランにとって、開拓者達は切り札なのだ。
 そして今回も、彼が信頼する開拓者達がやってきたからには、あとは任せるだけ。
 そんな気持ちでガランは一同を見やるのだった。
「……関の様子は、当初の報告と変わりないようだな」
 望遠鏡で関の様子を観察していた羅喉丸(ia0347)の言葉に、随行していたグエンは彼を見上げた。
「ええ、私が通過したときと変わらないようです。やはり十分な補強はされていますけど……」
「伏兵や罠を仕掛ける時間はなかったようだ。まだ八極轟拳にとって蒼旗軍は脅威では無いと言うことか」
 そういって羅喉丸ぱちりと望遠鏡を仕舞うのだった。
 事前情報の通り、現地の兵力を集めて関は守りを固めているようだ。
 グエンの言葉に寄れば、幹部は2人。それが数百名の八極轟拳拳士とともに守りを固めているはずである。
 しかし、そんな状況でも彼らに恐れは無かった。
「クハハ、好機では無いか。この戦に勝てば蒼旗軍の拳士たちに勝ち癖がつく」
 豪語する鬼島貫徹(ia0694)。彼はいつも以上に不敵に笑うと、
「だが、そのためには関を破って、八極轟拳なぞ恐るるに足らんということを教えてやらねばな」
 ますます獰猛な笑みを浮べて、仲間とともに蒼旗軍の陣を離れるのであった。

 開拓者達は、たった七名で関を破るために動き出すのだった。
 敵には幹部が2人に数百の兵力。それをかいくぐり関に風穴を開ける。
 こうして、開拓者に蒼旗軍の運命はゆだねられたのだった。


「さて、とりあえず日が沈むまではここで待機だナ」
「うん、このままライさんの情報収集待ちってことになるな」
 眼下を眺めてから身を伏せる梢・飛鈴(ia0034)と水鏡 絵梨乃(ia0191)。
 彼女ら開拓者たちは崖を登り、関の裏手へと抜け、そのまま崖の上で待機していた。
 その中で、1人静かに崖を下り関へと近付くのはライだ。
 シノビの卓越した身のこなしでじわりと関に近付くと、じわりと彼女の姿が溶け消えた。
 シノビの技、秘術・影舞である。
 姿を消せるのはほんの数秒だ。だがたった数秒あれば、シノビは驚くほど遠くへと駆け抜ける。
 見張りも、巡回の兵達も差し置いて、彼女は1人関への潜入を果たすのであった。

(……ここは食料庫? でも、数が少ない……備蓄してあるのは後方でしょうか……?)
 関の内部構造を調べつつ、ライは関のさらに奥へと進んでいた。
 彼女が並のシノビならば、勘の鋭い拳士に見つかっていたかも知れない。
 だが、彼女は並外れたシノビの技を持つ歴戦のシノビだ。
 秘術・影舞を活用すれば彼女の姿を捉えられる八極轟拳の拳士は居ないようだ。
 時折身を潜め、蒼旗軍から補給物資としてもらい受けた回復用の携行品を使用しつつ彼女は調査を進める。
 見張りの位置や数、灯の場所、火薬や油などの備蓄してある場所……。
(どうやら、関の後方に陣取って門を守っているのが……玄武甲のガガンで……)
 予備兵力や備蓄の食料、資材とともに地上で待ち構えて居る敵幹部ガガン。
 その姿をライは見付けたようだ。
(……そしてもう一人の幹部、鴆毒のゼンは……)
 探し続けるライ。だが彼女がついにもう一人の幹部を見付けたその瞬間、
(………っ!)
 ライはとっさの反応で身を隠した。秘術・影舞を使用していながらも彼女が隠れたワケ、それは……
「……ん? 気のせいか……」
 顔半面が変色した異貌の女幹部、鴆毒のゼン。彼女がライを振り向いたからだ。
 だがどうやらすんでの所で身を隠したライに彼女は気付かなかったようで。
(……潮時ですね。そろそろ戻りましょうか……)
 小柄なライは、再び風のように誰にも見つかることなく関を後にして仲間の元へと戻るのだった。

 そして、無事に戻ったライは、仲間たちにその情報を伝えていた。
 門の裏側に近い場所で直接守っている玄武甲のガガン。
 そして、城壁の上にある指揮用の望楼に陣取っている鴆毒のゼン。
 この二人の幹部の位置を始め、進入経路や資材の備蓄場所の確認が丁寧に行われて。
 そのなかで、リンスガルト・ギーベリ(ib5184)が気にしたのはゼンの様子だ。
「ふむ、気付かれかけた? ……毒使いじゃし、シノビの技を会得した者なのかも知れんのう」
「ええ、十分気を付けてくださいね。鋼線に毒手、投げ武器もあるかもしれません」
「うむ、心得た。毒使いは毒を入れれば勝ちじゃからの……」
 敵は幹部。強敵なのだが、それを知りつつもリンスガルトは準備万端のようで。
「では、みなさん。そろそろ参りましょうか。私は回復と支援を担当します、皆様どうかご無事で」
 嶽御前(ib7951)も立ち上がり、仲間たちを強化するための神楽舞「速」を用意して。
 丁度時刻は夜が明けた頃だ。
 夜に関を破っても、蒼旗軍の兵がなだれ込むことは出来ない。
 そのために関を破るのは日が出ている間となる。
 それは夜の闇の中では、同士討ちの危険性もあるからだ。
 だが、今ならまだ明け方だ。
 敵は万全の体制では無いだろうし、すでに味方はせめる準備を終えているだろう。
 この好機に、作戦を成功させるため、ついに開拓者は動き出すのだった。


 先行するのは、再びライだ。
 まだ薄暗い払暁を、彼女は一気に駆け抜けて。
 そして、彼女は躊躇なく、備蓄されていた八極轟拳の食料庫に火を放った!
 松明を手に油を放り、火を投げ入れればそれはあっというまに大きな炎となって、広がっていく。
 だが、それに即座に反応したのは玄武甲のガガンだ。
「侵入者か! このガガン様がひねり潰してやる!! おい、早く火を消せ、侵入者は俺が相手する!」
 吼えるガガン。見上げんばかりの巨躯と、全身を鎧う強固な鎧。
 特に両手の手甲はぶ厚く巨大で、まさしく異形の拳士であった。
 襲いかかるガガン、だがもちろんそれを妨害する仲間の姿が。
「さって、そいじゃ一つ反撃の狼煙ならぬ篝火と行くかいナ。デカブツ、お前の相手は私らだヨ」
 炎を背に、風を渦巻かせて飛び込んでくる飛鈴。
 彼女は火を消し止めようとしていた敵の雑魚に山刀を投げつけて仕留めつつ、ガガンに向き合った。
 そしてもう一人、ひらりとガガンの後ろに回り込んで構えを取るのは水鏡。
「両手に花だな。でもそれもほんの少しの間だけ……怪力自慢らしいけど、ボクにその豪腕が当たるかな?」
 ゆらりと酔拳の構えでガガンとの距離を詰め、反対側の飛鈴もじりじりと構えて。
 2人が作り出した隙に、ライはすぐさま飛び離れ、さらに攪乱をしつつ道をつくって行く。
 その後ろで、幹部と2人の超級の女性泰拳士の戦いが始まるのだった。

 嶽御前の援護を受けていつも以上に素早く駆け抜ける開拓者達。
 その戦闘は関の上を目指すリンスガルトだ。
 もっとも見張りの手薄なところを駆け抜ける黒装束姿のリンスガルト。
 奇襲を重ね、一目散に彼女は幹部のゼンのもとへ進んでいくのだった。
 幼い外見の彼女も超級の泰拳士の1人だ。彼女が刀を振るえば血の花が咲く。
 あっというまに見張り達を切り倒し、地上との戦いが始まっている関の城壁の上へ。
 そのまま、物陰に隠れて進みつつ進もうとするリンスガルトだったが……。
「……っ、甘いっ!!」
 脚絆「瞬風」の力で風に乗るようにひらりとその場から飛び離れたリンスガルト。
 すると彼女の居た場所に、短刀が次々に突き立った。
 放ったのは、望楼の屋根の上から彼女を見下ろす異貌の女拳士、敵の幹部、鴆毒のゼンだった。
「ふむ、おぬしが鴆毒のゼンじゃな?」
「……下で騒ぎが怒っているようだが、お前等の仕業か?」
「鴆毒とは大層な名じゃのう? 如何なる技を使うのかは知らぬが……打ち倒すのみじゃ」
「っ! ……その余裕、すぐさま私の毒で苦しみの表情に変えてやる!!」
 飛びかかってくるゼンと迎え撃つ余裕のリンスガルト。
 城壁の上でもまた、幹部と開拓者の戦いが勃発するのであった。

 だが、その全ては本来の目的を遂行するための行動だ。
 この依頼の最大の目的は、関の突破である。
 その難題に対して、開拓者達の結論は、なんと正面突破であった。
 攪乱からの内外の呼応や、搦め手を使うことなく、門を力でぶち抜こうというわけだ。
 それは、最も難しい作戦だろう……だがしかし、その策を聞いてもガランは不安を覚えなかった。
 なぜなら、彼ら開拓者には、その無理を通すだけの実力者が揃っていたからである。

「援護します、今のうちに!」
 ライの鋼線が閃いて、周囲の敵拳士をひるませた。そこに突貫したのはたった2人の開拓者だ。
 だが、その2人が尋常では無い。
「推して通る!」
 加薬入りの樽を背負った羅喉丸。ひるんだ敵眼前に飛び込んで、崩震脚一撃。
 たったそれだけで、敵がふっとんだ。
 底に飛び込む鬼島。マントを翻し大太刀を抜き放って、彼はついに門とそれを塞ぐ大岩を見据えた。
「成程、アレが邪魔しているというワケだな。面白い」
 そういって、周囲の敵をなぎ倒しつつ、一歩また一歩と近付いていく。
 たった2人の開拓者は、なんと何十もの敵拳士をなぎ倒しながら突き進んでいくのだった。
 そして、とうとう羅喉丸は大岩の前に立ち、構えた。
「……絶招、五神天驚絶破繚嵐拳」
 放ったのは、技を極めた拳士のみが放つ奥義、絶招の一撃だ。
 爆発的な一撃は、なんと大岩を真っ二つにたたき割った。そこに羅喉丸は樽をつっこむと、
「火は私が!」
 ライが松明を放りこんだ。
 そして、地響きを上げて大爆発が巻き起こった。
 ずずん、と関自体が振動するような爆発の後、そこは粉々になった大岩が。
 だが、まだまだ開拓者の追撃は止まらない。
「だめ押しと行こうか。クハハ、関が相手とはな、斬り甲斐があるわぁ!!」
 構えた鬼島は黒い流星と化して、天歌流星斬を放った。
 練力の奔流と供に岩の残骸ごと門を一閃した鬼島。この攻撃には岩の残骸もはじき飛ばされて。
 そして最後にはもう一撃が待っていた。
「……森羅万象は五行よりなるが故に我が絶招にて砕けぬものなし。追の一撃、参る!」
 だめ押しの絶招2発目が門に叩き込まれて、その一撃で関の門は粉砕されるのだった。


 待ち構えて居た蒼旗軍の騎馬隊が門を通じてなだれ込んでくる。
 関の意味が無くなれば、戦力で勝る蒼旗軍の優位は揺るがないだろう。

 だが、まだ2人の幹部は健在だ。
 ガガンと対峙する飛鈴と水鏡。3人は、すでに幾度もの攻防で満身創痍であった。
 恐るべき事に、超級の拳士である水鏡と飛鈴を相手にガガンは一歩も引いていなかった。
 むしろ、一対一であれば負けていたかも知れないほどの実力を秘めていたようだ。
「梢さん、水鏡さん、今治療を……!」
 剣と盾を手に、自身も敵の攻撃をしのぎつつ、二人の元に駆けつけようとする嶽御前。
 だが、それをまえに、二人は大丈夫とばかりに手で制止して。
 そして最後の一瞬の攻防が始まった。
 ガガンは後の先の構えだ。敵の攻撃を誘うための牽制の一撃を飛鈴へ。
 飛鈴はそれを皮一枚で躱しながらら懐に飛び込んだ。
 ガガンは同時に水鏡にも牽制の豪腕を放っていた。水鏡はそれを乱酔拳で回避しつつ、こちらも懐へ。
 三者は超接近戦へ。ガガンは峻裏武玄江の構え。だが水鏡も同じく峻裏武玄江。
 一瞬早く飛鈴の極神点穴がガガンに決まる。分厚い鎧のためか、効き目は不十分。
 だが、その一撃が作り出したわずかな隙に、水鏡の峻裏武玄江が先に決まった。
 ガガンの拳は、二人の目前で空を彷徨って、そしてそのままガガンは崩れ落ちたのだった。

 一方、関の上では、ゼンがリンスガルト相手に鋼線を放っていた。
 それをひらりと回避して、刀で払うリンスガルト。
 今回、リンスガルトは万全の準備でこの毒使いの攻撃を見切っていたのだ。
 ゼンは、大きく飛び離れながら何かを放つ、それはなんと羽だ。
 毒を帯びた羽の投げ武器。だがそれすらもリンスガルトは読み切っていて、
「ふふん、名前からしてそうくると思っておったのじゃ。甘いのう」
 ばさりと羽織を振って羽を散らすリンスガルト。
 必殺の一撃を回避されたゼンは、一瞬、ほんの一瞬だけあっけにとられた。
 その隙を、リンスガルトは逃さなかった。
 鋭い踏み込みと、長めに構えた秋水清光による神速の突き! それがゼンを捉えた!
 とっさに躱して肩口に突きを受けるゼン。彼女はそのまま逃げようとする。
 即座に返す刃を翻すリンスガルト。だが、毒の煙を煙幕に使ってまでゼンは逃走しその結果、
「……始末したかったのじゃが、深追いはさけるかのう」
 後に残されたのは、毒手の技で毒々しい色に変色したゼンの片腕だけ。

 こうしてガガンは倒され、ゼンは重傷を負って逃亡。
 関は無事に開拓者の手で突破され、蒼旗軍は関を抜けることに成功するのであった。


「関はこの後、監獄開放の橋頭堡とするのですか?」
「うむ、おぬしの案を取り入れさせて貰った。あまり長期間は無理だが、このままなら活用出来そうだ」
 ガランの言葉に、胸をなで下ろしたのは嶽御前だ。
 彼女はこの関を蒼旗軍の拠点とすることを進言していたようで。
 それを聞いて安心した彼女は再び仲間の治療に戻ろうとするのだが、
「おつかれさま!」
「うみゅっ!」
 がばっと後ろから嶽御前に抱き付いたのは水鏡だった。なでなでと頭を撫でる水鏡に、
「はみゅうぅぅ……」
 とされるがままの嶽御前。
 彼女たちを見ながら、ガランは開拓者達に渡すためにあるものを準備するのだった。
 それは、蒼旗軍の一員であることを開かす布飾りだ。
 付けるかどうかは開拓者の自由だ。だがどう転ぶにせよ、戦いはこれから決着に向かうだろう。