【帰郷】南国ろりぃ隊☆
マスター名:瀬川潮
シナリオ形態: シリーズ
相棒
難易度: やや易
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/11/13 23:09



■オープニング本文

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「どうしたんだ、コクリ。浮かない顔をして」
 神楽の都の一角にたたずむ珈琲茶屋・南那亭の店内で、志士の海老園次々郎(かいろうえん・じじろう)がコーヒーカップを弄びながら言った。一緒の席に座る小さな少女、コクリ・コクル(iz0150)は「うん、ちょっとね」とか言いながら小さな可愛らしい壷からこんもりと砂糖をすくってカップに入れている。「へえっ。この砂糖壷、キツネの形になってるんだ」と、一瞬頬が緩んだ。
 それはそれとして。
「また何か悩み事か?」
「次々郎はいつも優しいね」
 改めて淡い笑顔を浮かべてから、「あのね」とコクリは切り出した。
「‥‥なるほどなぁ」
 ずずず、とコーヒーをすすってから次々郎は納得した。
「つまり、ろりぃ隊‥‥あ、すまん、小手毬隊の出資者とバカンスに行く約束をして資金援助してもらったが、恥ずかしいことをされるんじゃないか心配している、と」
「う、うん。‥‥今まで襲われるとかべたべたおさわりされるとかはなかったんだけど、水着姿を見せたらどうなることやら」
 恥ずかしさもあるのだろう。コクリは小さくなりながら真っ赤になって言う。
「まあ、小さいながらも志体持ちにおさわりして万が一、手加減しきれなかった平手でも飛んで来ようものならどうなるか分からない人たちでもないだろうが‥‥」
 ここで次々郎、言葉をとめて溜息をつく。コクリも同じく溜息。
――それでも、条件反射で体は動く。なぜならそれがそういう嗜好を持つ人たちだから。
 容易にそんな連想ができてしまう。
 そして、実際やるだろう。
 なにせ、背の低い女性開拓者を募り『ろりぃ隊』とか名付けてしまう人たちだ。
「とはいえ、『おさわりとか恥ずかしいことをしないから、ぜひ水着で。水着で来てくれなきゃいたずらしちゃうぞ』とか言わて、それで約束しちゃったし」
 助平親父たちはそう、コクリに詰め寄ったらしい。思わず首を縦に振ってしまったコクリを責めないで欲しい。「うへへへ」とかニヤついて両手の指をわきわき動かしながら迫られたのだ。彼女に罪はないだろう。
 と、そこへ新たな客がやって来た。
「や、お二人さん。‥‥その案件、私が解決してあげてもいいよ」
「林青さん」
 コクリと次々郎の声が被った。席に座ったのは旅泰の林青(リンセイ)である。
「その『ろりぃ隊出資財団』の方々は、尖月島に来るのですよね。‥‥この機会に、私たちの『珈琲通商組合』に入るよう、商談の場とします。午前中少しの間に泳ぎなど楽しんでもらい、コクリさんたちは午後一番で尖月島入り。商人の方たちはその時間、私が真面目な商談をしますからふざけている場合ではないでしょう。‥‥その代わり、夕食はご一緒して接待してあげてください。出資者は大切にすべきですし、出資してもらった事への感謝は忘れてはいけません」
「なるほど。彼らにしてみればコクリたちの水着姿を見る事ができるし、話題の新商材に絡む話もできる。こりゃ、乗ってくるな」
 林青の案に次々郎が唸る。
 ちなみに林青と珈琲通商組合、現在まとまった資本を求めている。香陽杯競馬の賞金を受け持ったのはいいが、当然予定外支出で若干苦しくなっているのだったり。
 閑話休題。
「うん。それならみんなも安心すると思う」
 林青の話に元気を取り戻すコクリ。
「尖月島の評判を上げるためにも、ぜひコクリさんたち小手毬隊の方には楽しんでいただきたいですからね」
 そう話をまとめる林青だった。

 というわけで、まだまだ普通に泳げる泰国南西部は南那の海洋別荘地、尖月島で出資者にご褒美、一連の戦いで頑張った小手毬隊にもご褒美のばかんすに行ってきゃいきゃいきゅんきゅんしちゃいましょう。


■参加者一覧
のばら(ia1380
13歳・女・サ
新咲 香澄(ia6036
17歳・女・陰
ベアトリーチェ(ia8478
12歳・女・陰
リエット・ネーヴ(ia8814
14歳・女・シ
ベル・ベル(ia9039
15歳・女・シ
猫宮・千佳(ib0045
15歳・女・魔
ルンルン・パムポップン(ib0234
17歳・女・シ
朽葉・生(ib2229
19歳・女・魔
シャルロット・S・S(ib2621
16歳・女・騎
プレシア・ベルティーニ(ib3541
18歳・女・陰


■リプレイ本文


「しふしふですよ〜ん☆」
 ばさーっ、と長い桃色の髪が流れた。胸の部分が黒くふくよかな上着がふわっと腕から抜ける。
「結び目はほどけないようにしっかりと結んでおくですよ☆」
 豊かなふくらみを包む真っ赤な水着のリボンを、きゅっ。
「ほにゃにゃ〜☆ 今回は尖月島でバカンスですよ〜」
 ばっちり可愛らしく着替え完了。赤いビキニ姿のベル・ベル(ia9039)がにぱっと笑顔で振り返る。
――そう、今回は華の小手毬隊イン尖月島。
 たった今到着したばかりの戦う少女たちが、高床式別荘の中で着替えをしていた。
「ビキニっていうの恥ずかしいけど、これかわいいな、これにしよう〜」
 ベルの姿を見た新咲 香澄(ia6036)は、青いビキニを選んで着替える。パレオを巻いて準備万端。
 ところで、そんな彼女たちをにこにこ見ながら確認する姿がある。
「にゃふふ〜」
 猫宮・千佳(ib0045)である。
 自身は、さささっと黄色いツーピース水着に着替えていた。猫が歩き回ったような黒い肉球の模様がちりばめられている。ちなみに、猫耳猫しっぽつきなのは、仕様だ。
「南の島でのバカンス‥‥。憧れです。ぬるぬるで大変だったのは忘れて、思いっきり羽を伸ばしちゃうんだからっ!」
 きゅ〜んと、爪先立ちしつつ胸元で着替えた普段着をくしゃくしゃに持ってうっとりしているのは、ルンルン・パムポップン(ib0234)。
「ルンルンさんは、どんな水着なんです?」
 黒のチューブトップのセパレート姿ののばら(ia1380)が聞く。
「じゃーん、今回はピンクのビキニをバッチリ用意しちゃいました!」
 胸の前で隠していたピンクの普段着をのけると、花のように鮮やかなピンクの水着姿が現れた。
「いまにゃ〜♪」
 両腕を開いたルンルンに、この機会を狙っていた千佳が抱きつく。
「きゃっ‥‥。こ、これで、いつ王子様に出会ってもバッチリなんだからっ!」
 一瞬うろたえるも言い切る。って、ルンルンさん。千佳さんに抱きつかれたままだと王子様に引かれるかもですよ。
「あ。千佳さんの水着、可愛いですっ」
「にゅふー、にゃんこ尽くめの水着なんだにゃ〜♪ って、のばらさんも可愛いにゃ」
「は、袴を脱ぐと、ちょと恥ずかしいのですっ」
「ん、せっかくのバカンス楽しまなくちゃね。色々あったけど、楽しむ時は楽しむ! これでいこう」
 のばらがぽっと頬を染めたところに、香澄の元気な声が被る。
「ええ。バカンス! なのですよ!」
 この言葉にのばらも元気を取り戻し、さあ、常夏の日差しの下へ!


「うぅ〜みぃーがぁー、好きッ!!」
 ざざ〜んと寄せる波打ち際で、リエット・ネーヴ(ia8814)が両手を開いて大の字になって開放感一杯に叫んでいた。水着は橙色の横縞柄水着に紺色厚手長パンツ。長い髪は普段と違い後頭部でくるくるっと回して上げ、襟の高い上着がないので白く細いうなじが魅力を放つだけ放っていた。細身ながらも胸はふっくらしていたり。
「おお〜、今回は遊んでいいんだね〜♪」
 目をきらきらと輝かせリエットの様子を見ているのは、プレシア・ベルティーニ(ib3541)。こちらもベルのように赤いビキニ姿。もっとも、実はおっきな胸元がざっくり露出していたり腰紐で留める下はまたぐりが深かったりするのだが。ちなみに、花柄パレオはふさふさなしっぽを出すため腰下で緩々な留め具合。
「みんな、待ってたよ。無事に到着だね」
 と、ここへコクリ・コクル(iz0150)がやって来た。
「んおっ。コクリねー、今回もよろしくだじぇ♪」
 早速飛びつき抱きつくリエット。
 が、コクリに元気がない。
 実は、コクリだけは先に島に到着し、一人で出資者たちの相手をしていたのだが‥‥。
「まったく。コクリもとんでもない約束を取り付けてくれたわね‥‥」
 いつもの黒と白のひらひらした衣装の肌露出版ともいうべき水着を纏ったベアトリーチェ(ia8478)がやれやれと寄って来る。頭にはヘッドドレス。
「コクリさん、もしかして泣いてましたの?」
 シャルロット・S・S(ib2621)はひらひらのめいど服の肌露出版ともいうべき水着を着ている。ヘッドドレスを着けた頭をかしげて、コクリの瞳をまじまじと見た。
「あ、いや」
「まさか、エロジジイ共に何かされたの?」
 コクリの様子に声を荒げるベアトリーチェ。
「この水着を着てくれとか、いろんな水着に着替えされられて‥‥」
 目の端に浮いていた涙を拭うコクリ。ちなみに今は、胸の下は包み込まないような小さな胸当布と後ろが「T」字になってお尻に食い込んでいるぱんつという、激烈に露出度の高い水着を着ている。
「ボクもちょっとなら我慢するけど、着せ替え人形のように扱われそうで‥‥。ボクって、何なのかなって」
 コクリは、ぐしゅ、と本格的に悔し涙を流し始めた。どうやらまだ途中のようで、後には三段フリルの幼児的な水着から大人な露出度の水着までと各種控えているようだった。どうも商材選択の一環らしいが。
「あのエロジジイ共、今すぐ殴り倒し‥‥」
「待ってください。私が可能な限り引き受けます。行きましょう、コクリ」
 拳を固めてわななかせたベアトリーチェを、朽葉・生(ib2229)がなだめた。
「生さん‥‥」
「媚びず、驕らず、蔑まず、卑屈にならず、ですよ」
 顔を寄せ、コクリの涙を拭って優しく言う。濃紺のワンピース水着に翡翠色のパレオを腰に巻いた生は、「さあ」とコクリの手を引き出資者のいる小屋へと向かうのだった。


 さて、残った小手鞠隊の面々は高床式別荘の掃除をしていた。
「面倒なことは最初に終わらせちゃって、後は遊ぼうね♪」
 香澄が布団を出してぱんぱん叩いている。
「綺麗なお部屋で寝たほうが気持ちイイしにゃ♪」
 千佳は、床を雑巾掛け。とたたたた、と猫のように行ったり来たり。その背後で、リエットが三角跳で梁の上に上がる。と、そのまますす払いしたり自分の寝床となる「はんもっく」を吊るしたり。
「メイド服できゅっきゅっきゅ〜」
 持参のメイド服をささっと来たプレシアは壁を拭いたり。
「襲う児、襲う児〜♪」
 って、プレシアさん。襲う気ですかっ!
 それはともかく、コクリと朽葉が帰って来た。
「コクリちゃん、大丈夫だったかにゃ〜」
 雑巾を捨てて千佳が抱きつき、コクリの様子を伺う。
「うん。一人だと気分悪かったけど、生さんと一緒だったら何とかお役目を果たせたよ。‥‥生さん、肌がたくさん出る水着を着ても堂々としてて、すらっとしてとってもキレーでカッコ良かった」
「これも隊の仕事。割り切ることも必要です」
 明るいコクリに、にっこりと言う朽葉。出資者を前にした水着展覧会では、朽葉が大人びた水着を引き受け、コクリが子どもっぽいのを担当したようだ。一人じゃない、ということがコクリを安心させたようで。
「‥‥さあ、掃除は終わったよ。あとは思う存分、遊んで泳ごう!」
 横から、香澄。コクリと生の腕を取って、再び海へと駆け出すのだった。


「海に潜ってお魚や貝やイカさんを捕まえるですよ☆」
「夜のおもてなしのため、新鮮な海の幸をとってきますの!」
 浜辺では、ベルとシャルが「おー!」と意気をあげていた。ちなみに、シャルの持っているのは「槍烏賊」。
「シャルの槍は海用‥‥な気がしますの!」
「わあっ、イカさんですよ〜」
 シャルのどうみてもイカな槍は、イカ好きベルに大うけ。気分もノリノリとなり素潜りでたっくさん海鮮を取ったようだ。
 一方、別の場所。
「さて、時間までいっぱい遊ぶにゃ♪」
「じゃあ、西瓜もあるし西瓜割り!」
 にゃっ、と拳を突き上げる千佳と香澄。
 そして、なぜか砂浜に顔だけ出して砂に潜っているリエット。のばらと一緒に波に押し返されたり逆らったりして、きゃいきゃい遊んでいたのだが、まったりするらしい。
 って、西瓜割りどうなった! このままではリエットが西瓜と間違われ‥‥。
「ルンルン忍法ニンジャサーブ‥‥受けれるもんなら受けちゃってください!」
「割ったら負けにゃよ」
 ルンルンのサーブに、千佳の念押しの声。
「‥‥う〜ん。ま、いっか」
「優しくしないとすぐ割れますよ」
 思惑と違って首をひねりながら受ける香澄に、トスへと走る朽葉。
 どうやら変な西瓜割りになっているようで、とにかくリエットは西瓜と間違われることなく一安心。
 さらに別の場所では、プレシアが砂でおっきな山を作って穴を掘っている。
「あ、これはのばらさんの手なの〜」
「プレシアさんの手ですねっ♪」
 反対側からはのばらが掘っていたようで、お互い伸ばした手を触り合って無事つながったことを喜んだり。
「‥‥コクリもこっちへ来て飲むといいわ」
 日陰では、ベアトリーチェがのんびりしていた。
「どうしたの? それ」
「一番高いジュースを取り寄せるよう言ってたの。もちろん、代金はエロジジイ共に請求が行くわ」
 日陰の暗さの中で、きらりんとりちぇさんの目が光る。「喜んでお金を出すでしょうね」と暗黒笑顔。
「遠慮せずに飲んでおきなさい。この位はしないと割に合わないわ」
「ねえ。折角だからりちぇさんも泳ごうよ?」
「‥‥その『りちぇさん』って、何よ?」
「え。だって、この方が短いし可愛いし」
「ちょっと。逃げることないでしょ、コクリ。こら、待ちなさい」
 とかなんとかで、追いかけっこ。
「お〜。りちぇねーも泳ぐんだ〜」
 それを見ながら和む顔だけ出したリエット。
 結局りちぇさんも追っかけながら少しは泳いだようで。


 そして、夜。
「いやあ、素晴らしい」
「まったく素晴らしい」
「まさに『尖月島の美少女』と言うにふさわしい娘たちじゃ〜」
 網と炭火で浜焼きパーティーとなった砂浜で、「ろりぃ隊出資財団」の助平親父たちは目を輝かせ口々に賞賛していた。それもそのはず、昼間の水着姿を遠くから見ていただけでも目尻が下がっていたのに、今はその水着に腰だけに巻くエプロンを付けた姿だったりするから。ロリ好きな人には天国か楽園かという様相となっている。
 が、地獄が同居した。
「おおお、君は確か良い香りのする‥‥」
 エロ親父の一人がベアトリーチェに近寄ろうとしたが、言葉を失い立ち止まった。
「‥‥」
 なんとりちぇさん、こっちに近づくなオーラを激しく纏っているのだ。
「貴女はとっても礼節がおありね。どうぞこっちへいらっしゃい」
「分かりました、おば様」
 声を掛けられたのを幸い、りちぇさんはご婦人方の相手へと逃げるのだった。
「うに、魔法少女がお酌するにゃ〜♪」
 千佳は、親父どもにお酌。
「おお、猫のように可愛いいのう」
「にゃー、褒めて頭撫で撫でしてくれた人にはサービスにゃ〜♪ でもえっちなのはめー! なのにゃよ?」
 何と千佳、かぁるく抱きつくサービスも。こちらは楽園。
「ほう。熱い場所なのに冷えた刺身が食えるとは!」
「気に入っていただき恐縮です」
 さらりと言う朽葉だが、実はフローズで攻撃(?)したというのは、内緒だ。
「いつも応援いただきありがとうございますの♪」
「おおっと、危ない!」
 シャルは配膳で動き回っていたのだが、愛すべきどじっ娘属性全開。こけないと言ってたがつんのめったりしまくりで。目敏いエロ親父どもは喜んで彼女を支えてやる。おさわり天国で彼らも大変満足したとか。それはそれとして、彼女の槍の話はここでも大好評で、大いに盛り上がりに貢献した。
「ちょっと余興やらせてもらっていいかな?」
 ここで、香澄が声を張った。
 西瓜を出しては、なぜか腰にある忍刀「風也」を抜き放ち、わざとエロ親父たちのほうに振り回しておいてからすぱすぱっ!
「お粗末なもので、すみません〜♪」
 超笑顔で見事切り分けた西瓜を配る。‥‥意訳すると、「何かあったら手が滑るかもよ?」。暴走向きに傾きかけた楽園への流れを地獄へと引き戻した。
「はい! お待ちどーさま、だぜぇ〜♪」
「おお、リエットちゃん。ありがとうな」
 リエットは配膳中に手を触られたりしてもにこにこ笑顔。逆にえっちなお触りはできないようで。
「コクリ、これからも頼むで。ワシから一杯」
「おお、ワシからも一杯じゃあ」
「う、うん‥‥」
 コクリは里の風習で酒が飲める。これを知った親父どもはとにかくコクリに酌をしていた。酒に強いわけではないコクリはすでに腰砕けになっている。
「コクリねー。もう下がってた方がいいじぇ」
 リエットに連れられ、コクリ退場。
「うう、私ももう駄目ですよ〜」
 ってベルさん、アナタ飲んでないでしょう? え、酒の匂いでべろべろになったんですか?
 かくしてベルさんも退場で。
「わぁ、私が2重に見えるなんて酔いすぎですよ、そろそろ休んだ方がいいのです」
 ルンルンの声がするが、これは彼女がルンルン忍法を使ったからとか。
「ボク、お腹いっぱいだよ〜♪」
 って、プレシアさん。アナタ接客は? ‥‥どうやら親父どもにはこの食べっぷりが受けていたようだが。


「う‥‥ん」
 コクリが目覚めると、もう皆就寝していた。
「コクリさん?」
 いや、のばらが起きていた。もぞもぞっとコクリの布団に寄って来る。
「みんなで枕投げしたり、プレシアさんの塗壁『おっきなはんぺん』をルンルンさんが畳替えししたり‥‥」
 向き合って同じ布団に包まり、額をこつんと付けてひそひそ話。
「‥‥のばらには、母さましかいませんでした」
 突然口調を変えるのばら。「あ」とコクリ。いつかの話の続きだと分かった。のばらは母の没後、見知らぬ父の屋敷に行ったが逃げたらしい。
「だからのばらは、『のばら』だけなんです」
 つまり姓はない。ぎゅっと、コクリはのばらを抱きしめた。

「コクリちゃん」
 呼ばれて次に目覚めたときも、深夜だった。
「星見にいかない? せっかくだし、南国の星空を味わいたいからね」
 香澄である。
「うにゃー、すりすり♪」
「う‥‥」
 寝ぼけて抱きつく千佳に、なにやらうなされつつ寝ているりちぇさんを避け外に出る。ちなみに、リエットとルンルンは上でぶらんぶらん揺れながらすやすや。
「ルンルンさんはね、流れ星を見つけて『素敵な王子様に、会えますように』って祈ってたんだよ」
 こっそり別の別荘の濡れ縁に移ってから、そんな話をしつつ星を見上げたり。
「あ‥‥。無理だったかな」
 コクリ、香澄に身を預けて寝息を立て始めたようだ。
 南国の夜は短く儚いが、ゆえに人の心に響くものが、ある――。

●おまけ
 翌朝。
「わあっ。私も下で寝ればよかったです」
 目覚めたルンルンは、下のカオスを見てしみじみ言った。
「‥‥良くないわよ」
 りちぇは不機嫌そうに言う。
 何と、りちぇにのばらとベルが、朽葉に千佳が、プレシアに香澄が、コクリにシャルが抱き付いて寝ていたのだ。しかもコクリが朽葉に、プレシアが千佳に抱きついているというさらに複雑な状況で。なぜそうなったのかは、謎。
「小手毬隊は一心同体ですもの♪」
 シャルがにっこり言った言葉が、理由なのかもしれない。