【三魔星】星、墜つる時
マスター名:西川一純
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: 難しい
参加人数: 8人
サポート: 1人
リプレイ完成日時: 2011/12/13 22:05



■オープニング本文

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 天儀の中心都市たる神楽の都。
 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。
 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら―――

 石鏡の発掘現場から現れた三体のアヤカシ。死鬼と名付けられた鬼の髑髏たちは、驚異的な力を以って現代を闊歩していた。
 二度三度と矛を交える開拓者と死鬼たち。しかし、その度に再生能力に頭を悩ませられることとなった。
 名前の変化による撃破の可能性を見出した開拓者たちは、死鬼たちの名前を春の大三角で統一することに成功。その場こそ撤退したが、ついに撃破を目前と控えていた。
 しかし‥‥
「問題は、最後の一戦をどう戦うかなんですよ。ここで失敗すると、また名前を揃えて撃破というややこしいことをしないといけません」
「えっと‥‥確か、剣持ちが瀕死だったわよね。杖は全快状態、斧は中破ってところ?」
「そうですね。一応、交戦状態にならないと死鬼たちは同士討ちの復活をしないようですが、逆に言うと交戦状態に入った瞬間に剣を倒しにかかる公算が高いです」
 開拓者ギルド職員、十七夜 亜理紗と西沢 一葉。陰陽師でもある亜理紗は、死鬼撃破がここにきても容易くないことを主張する。
 一方、志体を持たない一般人の一葉。キョンシー関連で戦いに足を突っ込み始めたこともあり、できる議論には参加しているようだ。
 亜理紗が言うには、名前が季節の大三角で統一された状態の死鬼を一定時間内に全滅させればそれ以上の復活はないだろうとのこと。そしてそのタイムリミットは『最初の一体を撃破してから、長く見積もっても三分』であるという。
 あまり遠くから剣を撃破してしまうと残りの二体に辿りつけなかったり逃げ回られたりしたときに厳しい。かと言って無闇に近づくと杖の魔術が厄介である。
 自分たちが危険な状態にあることは死鬼たちも理解はしているはず。今回はいつにも増して戦いが厳しくなるかも知れない。
「っと、そういえばご報告が。解析が遅れていたもう一枚の資料がやっと解読されました」
 三魔星が閉じ込められていた研究所跡。そこから発見された資料は二枚あった。
 一枚はすでに解読され、情報が提供されている。だがもう一枚は劣化が酷く、今の今までかかったそうだ。
 しかし、その内容は死鬼攻略にはあまり役に立ちそうにない。
「えっとですね‥‥三魔星が失敗作になった理由です。簡単に言うと、『馬鹿だから』でしょうか。脳筋だからと言ってもいいですね。骨だから筋肉無いんですけど」
「つまり‥‥どういうことだってばよ」
「ツッコミませんよ。えっとですね、復活の仕様上、三体が揃って行動するのは仕方ないことなんですが、意見を合わせて『よし、あっちに行こう』とかできないんですよ。つまり、命令を受けなければずっとその辺りをうろうろするだけで小回りが効かなすぎるんです。単独行動もできませんしね?」
「なるほど。獣骨髑髏ほど自由なのも困るけど、三魔星みたいに動けないのも兵器としては失格と」
「そういうことです。戦闘力は折り紙付きですが戦闘しか頭に無いですからね‥‥拠点防衛には向くかも知れませんが」
 三魔星の出来は良好ではあったが、製作者が満足できるものではなかったようだ。
 復活機構は秀逸であったと認める反面、死鬼たちにそれを活かしきるだけの頭がなかったことを嘆いていた。
 戦った開拓者からしてみれば、『同士討ちで復活させるなんて充分活用してるだろふざけんな』と言ったところだろうが。
「それと‥‥気になる情報が。この三魔星の失敗を受けて、新たな研究を始めると書いてあります。場所も記載されているみたいですね」
「あら珍しい。先手を取れそう?」
「分かりません。中間報告では何も見当たらないということなんですよね‥‥」
「兎に角、今は三魔星を撃破しないとね。是非ともこれで最後にしてほしいわ」
「ここで仕留め損なうと長くなりそうですからねぇ‥‥」
 最終決戦間近の三魔星。しかし、ここでしくじるとまたふりだしに戻る可能性があるという、どこまでも厄介な式である。
 絶好の撃破チャンス‥‥是非ともモノにしてもらいたいところである―――



「ちなみに‥‥秋の大三角が秋の四辺形とごっちゃになってたのも気に入らなかった理由の一つだったとか」
「うわ‥‥いらない情報‥‥」


■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
守紗 刄久郎(ia9521
25歳・男・サ
雪切・透夜(ib0135
16歳・男・騎
ジークリンデ(ib0258
20歳・女・魔
レネネト(ib0260
14歳・女・吟
鹿角 結(ib3119
24歳・女・弓
神座亜紀(ib6736
12歳・女・魔


■リプレイ本文

●潜伏移動
 すでに慣れてしまった森。どこに目印になるような木があって、どこに危険な窪みがあって、どこに身を潜めやすい薮があるかなどは熟知していた。
 今までもさんざん隠れて近づいてきた実績はある。しかし今回は万が一にも失敗する訳にはいかないため、開拓者たちは入念な準備と慎重さを以って森を進む。
 その最たる例が雪切・透夜(ib0135)と鹿角 結(ib3119)。共に服や鎧などをわざと汚し、布などを巻きつけ光沢を抑え、しまいには刀の鍔に綿を噛ませて音を殺しにかかる徹底ぶりだ。
 何もそこまでと思うかも知れない。実際問題、今までも普通に隠れて近づくだけであっても気付かれた試しはない。
 しかし、それでも万全を期そうとする心意気は美徳とさえ感じられる。注意一秒怪我一生とも言う。
 開拓者たちは言葉少な。まだ死鬼たちは発見できていないが、静寂に包まれた森はいつも以上に声を響かせ、それを敵に聞き取られてしまわないかと焦燥感を煽る。
 やがて、森の先に動くものを発見する。
 遠目からでも分かる巨体。冬枯れた森に似合う乾いた骨の鬼。今日も今日とて目的もなく、ふらふらと森を彷徨っているようであった。
 各自、お互いを見あって無言のまま頷く。準備はできているということだ。
 後は作戦通り配置につき、戦闘を開始するだけ。
 だけなのだが、それが思った以上のプレッシャーとなる。
 敵はもう視界内。動けば見つかる可能性が高まるのは自明の理。今まで難なくこなしてきたことのはずなのに、薮から薮への移動にさえ緊張してしまう。
 その時‥‥!
「っ‥‥!」
 パキンッ! と乾いた音。
 神座亜紀(ib6736)が、移動中に小枝を踏んで折ってしまったのだ。
 普段なら気にも止めない小音。しかし、今回ばかりは事情が違う。
 まだ距離がある。気付かれるはずがない。そう思って恐る恐る死鬼の方へ視線をやると‥‥
「‥‥っ!」
 杖持ちがこちらをじっと見ている。発見されたわけではないようだが、訝しげに視線を逸らさない。
(うっそぉ!? 今までもこういうことあったじゃん! 全然気付かなかったじゃん!?)
 もしかしたら、死鬼たちも危機に瀕し感覚が研ぎ澄まされているのかも知れない。あるいは、不幸な偶然か。
 あろうことか神座の方へ歩を進める死鬼たち。まだ配置完了の合図はない。
 早く。早く。焦燥にかられる神座に、死鬼たちが近づいていく―――!

●魔星を砕け
 神座が隠れている薮まで、死鬼たちが数メートルと迫った時。杖持ちと剣持ちを隔てるように鋼鉄の壁が出現、剣の行く手を阻んだ。
 何事かと動揺する死鬼。ジークリンデ(ib0258)のアイアンウォール‥‥これが開拓者たちの合図。
 もしかしたらまだ配置は完璧ではないかも知れない。しかし、これ以上の引き伸ばしは不可能とジークリンデが判断したのだろう。
「おっけー! 大気を白く染め上げろ! ブリザーストーム!」
 神座は目くらましも兼ね魔術を使用。背後に鋼鉄の壁があるため、ダメージを受けるのは杖持ちだけ。
 そして、死鬼たちが状況を把握する前に、次々と飛び出す開拓者たち。
 その目には、わざと汚された防風防砂ゴーグル。神座が用意したものである。
 その手には、狼煙銃。本来なら空に打ち上げるものだが‥‥狙いは、死鬼たち!
 強烈な光を放ち、炸裂する光弾。殺傷能力はないのでダメージにならない点もポイント。
 あくまで目視で敵を探しているということは、目が眩むこともあるということ。
 隙を作るという意味合いもあるが、主に前衛が接近するための手段である。
 誤算だったのは、死鬼たちの視力回復が想像以上に早かったこと。目玉ではないので、一瞬パッと光ってすぐ元通りという感じだろうか。
「ホント、メンドクセェ相手だよなァ!」
 鷲尾天斗(ia0371)は脇目もふらず剣と斧の間を目指す。というか、目指さざるをえない。
 すでに斧は敵襲と状況を判断し、剣に攻撃目標を定めている。
 剣を同士討ちし、逃げ回れば全滅はない。それをわかっているのかいないのか‥‥兎に角それを許すわけにはいかないのだ。
 振り上げられた斧。抵抗の素振りがない剣。その斧が打ち下ろされた時‥‥!
 ガイン! と重厚な音。鷲尾の魔槍砲が、斧を受け止めた音‥‥!
「何か理不尽だァ! 敵を倒す為に敵を守るって何か不条理すぎんぞォ!」
 それもそのはず。たった今守ったはずの剣持ちは、背後から鷲尾を一刀両断にしようと剣を振り上げている‥‥が!
「ネタも尽きましたんでね! 真面目に援護しますよ、師匠!」
「ハン、俺の背中守ろうってか? 大きく出たなァ!」
 守紗 刄久郎(ia9521)が剣の攻撃を刀で弾く。
 本当は杖に焙烙玉を叩きこんでやりたかった守紗であったが、位置取り的に無理があったので即剣の相手に踏み切った。それは結果的に鷲尾を助けることになる。
 そして、鋼鉄の壁を隔てた向こうでは‥‥!
「雷帝の怒りよ‥‥刃となって敵を討て」
 ジークリンデがその圧倒的知覚力を以てアークブラストを連射する。
 いくら抵抗が高かろうがこれを受け続ければあっという間である。あくまで受け続ければ、だが。
 その雷が杖に到達する直前、その眼前に鋼鉄の壁が出現しアークブラストを代わりに受けた!
「アイアンウォール‥‥!?」
 杖はジークリンデがアイアンウォールを使用した後、すぐに詠唱に入っていたのだ。
 背後にはジークリンデが作った壁、前には自分の作った壁。もし‥‥
「いけません、もし四方をアイアンウォールで塞ぎ、籠城を決め込まれたら事です。お二人とも、お急ぎを」
「分かってます。素敵な演奏に報いますよ」
 レネネト(ib0260)は音をたてることが出来なかったため、ファナティックファンファーレの使用が遅れた。演奏がようやく終了し、真亡・雫(ia0432)と雪切が大地を蹴って杖に向かう。
 壁の構築までにはもう少しかかるはず。行動力を増した二人は、木を避けつつ最大戦速で突き進む。
 眼の前に鋼鉄の壁を構築した以上、正面から近づく敵を察知することは難しい。視界に頼る死鬼ならなおさらだ。
 墓穴を掘ったな。誰もがそう思った時だった。
 鋼鉄の壁の背後から巨大な竜巻が発生し、吹き荒れる。杖持ちがトルネード・キリクを発動したのだ。
 見えなければ全部薙ぎ払えばいいという発想なのだろう。それは間違いではなく、見えているだけでも真亡と雪切が巻き込まれた。
 問題は、これが『壁に隔たれている背後にも適用される』ということ。
 魔術の範囲全てを壁で封じていたなら話は別かもしれないが、生憎幅五メートルでは背後にも竜巻の威力が襲いかかるのだ。
 竜巻の轟音にかき消され、鷲尾と守紗の安否の確認はできない。場合によっては剣がこれで撃破されてしまうことになるが‥‥?
「く‥‥くそったれ‥‥! 完璧無警戒だったぞ‥‥!」
「だ、誰か‥‥! 剣持ちが、潰された‥‥!」
「っ! 皆様方、お急ぎを! 剣持ちが撃破されました! 僕は斧側の援護に回ります!」
 一人、離れた場所から杖への狙撃を行なっていた鹿角が叫ぶ。
 悪い勘ほど当たるものだ。先ほどのトルネード・キリクで鷲尾たちはおろか剣と斧も巻き込まれ、嫌なタイミングで撃破されてしまったのである。
 予想タイムリミットは最低三分。それより短い可能性も充分ある。今は一刻を争う!
 ダメージが深刻な鷲尾と守紗の援護に回るため、鹿角は標的を変更する。もし斧が一目散に逃げるような真似をすれば苦労が水の泡だからだ。
 気を抜けない。痛む体を押して、杖持ちへ辿り着く真亡と雪切。
 しかし二人を待っていたのは、アークブラストによる出会い頭の洗礼。
 近づいてくることを予測し、鋼鉄の壁の範囲から射線に入った時点で撃ちぬいてきたのだ。
「ぐぅぅっ! まだっ!」
 雪切はオーラシールドを使用しており、直撃を受けつつ前進する。
 痛い。熱い。苦しい。だがここで踏ん張らねば更に長い付き合いを要求されてしまう。
 理不尽な消耗戦はこれっきりにしたい。それがこの場の全員の願い!
「今一度、ファナティックファンファーレを! 諦めない勇士の力を!」
「そうだ‥‥透夜くんにばかり無理はさせられないっ‥‥!」
 サポートとして参加していた神座に回復してもらった真亡が、レネネトの援護を受け再び駆け出す。
 見ればアークブラストを連打するジークリンデに対し、再びアイアンウォールを構築したところ。少なくとも雪切か真亡、どちらかしか狙えないはず!
 左右から突っ込む二人。狙われたのは‥‥真亡!
 再びアークブラストが放たれるが、真亡は愛刀を放り出しそれを身代わりにして魔術を回避する。
 素手で突っ込んだ真亡と、ダメージが甚大な雪切。二人がほぼ同時に杖の懐へと入り込む!
「この剣に、全てを!」
「この拳に、全てを!」
 聖堂騎士剣と白梅香。アヤカシを浄化する技を同時に受け、杖は悶絶する。
 更に押し込まれる雪切の刀。杖は最後っ屁とばかりに、ゼロ距離から二人にアークブラストを放った。自らも電撃を受けることを承知の上で。
「がはっ‥‥!」
「最後の‥‥最後までぇ‥‥!」
 黒い塊が地面に落ち、溶けて消える。これで杖も瘴気となって消えたわけだ。
 残るは斧だが‥‥!
「お返しだァ! 遠慮スンナやゴラァ!」
 痛む体を押して、鷲尾と守紗は奮闘していた。
 元々斧は中破状態。杖よりかは倒しやすいはずだった。
 しかし、防御力の差で鹿角の攻撃が通りづらい。かと言って彼女の援護がなければ今頃二人は叩き潰されているだろう。
 いくらダメージ上等とはいえ、時間がない。鷲尾は魔槍砲を構えて突撃し、一か八かの賭けに出る。
 ダナブ・アサド+ブラストショット。大技であるが、その分命中精度には疑問が残る。
 案の定、斧持ちは緊急避難で斧を盾のようにしてそれを受ける。魔槍砲から火線が走り、砲撃がぶち込まれるも斧はまだ健在。爆煙を突き抜けて鷲尾の前に現れ、斧を振り上げる!
 残り時間は後どれくらいだ!? もう二分は経ってしまったような気がする。もう一発大技をかけている暇は‥‥!
「でぇぇぇやぁぁぁぁぁっ!」
 斧の横から守紗が突っ込み、体全体で斧にぶつかった。
 刀では駄目だ。あの勢いを逸らすにはぶつかるしか無い。そう考えた守紗の考えは正しい。
 ゴロゴロと転がる守紗と斧。痛みを堪え、守紗はすぐに立ち上がる。
「師匠! 援護するのは構わないんですが‥‥別に、こいつを倒しちまっても構わんのでしょう!?」
「お‥‥おォ、やっちまえ! 今まで目立ったなかった分、華々しく決めてみせろや!」
「ありがとうございます!」
 鬼腕と弐連撃を発動し、身体を起こしただけの斧に斬り込んでいく守紗。
 危険を感じた死鬼は手にした斧を投げつけ、反撃を試みる。
 軌道が低い! 弾いていたら進撃が止まり、斧の体勢が戻ってしまう!
 かと言ってそのまま受ける訳にはいかない‥‥そんな葛藤の最中、飛来した矢が斧を正確に狙い撃ち、叩き落す!
「守紗殿、託します!」
「結すわぁぁぁん、愛してるぅぅぅ!」
 その場のノリでおかしなことを叫びながら守紗は進撃を止めない。
 そして目の前には、武器すら失った死に体の死鬼が一匹‥‥!
「これで終わりだぁぁぁっ!」
 身体を十文字に切り裂かれた斧持ち。杖持ちと同様に黒い塊となって地面に落ち、溶けるように消えた。
 喜ぶのはまだ早い。全員で辺りを警戒する。
 名前の確認こそしなかったが、春の大三角で名前を統一し全滅させた。制限時間もクリアしたはず。
 これでもまだ蘇るようなら詐欺だ。どうしようもない。
 固唾を呑み緊張を解けない開拓者たち。ある意味倒す前より緊張している。
 痛みに耐えながら警戒を続けること一分。二分。三分‥‥。
 やがて五分が過ぎた辺りで、神座が飛び跳ねながら叫ぶ。
「やった! やったよ早紀ちゃん! 今度こそホントに勝ったんだぁ!」
「みんな見てますよ?」
「あ‥‥こ、こほん! み、みんなの力が合わさったんだから当然だよね!」
 その微笑ましさに、ようやく全員が肩の力を抜く。
 不死身の復活機構を持った式が、ついに撃破された瞬間であった。
 体力的にも勿論だが、兎に角精神的に疲れた。その場に座り込んで息を吐く者も多い。
 そんな中、優しい三味線の音色が静かに響きだす。
 レネネトが奏でる鎮魂の曲。元々造られた命ではあるが、迷い出ないようにとの配慮だろうか。
 染み入るような音色は、疲れた身体と心に心地よい。神座早紀に回復してもらうのを待ちながら聞き入るのも悪くはない‥‥素直にそう思えた。
「惜しい技術です。そしてこの先を求めるのなら、次は更に進歩した物。しかしそれでも、その程度なぞでは足りないんでしょうね」
「更に更にと突き詰めて行って‥‥その先に何があるのでしょうね。私も人のことは言えませんが」
「求めるとは、そういうものだから。面倒なもので‥‥お互いに」
 雪切の言葉に、ふとジークリンデが疑問を添えた。
 どこで満足するのか。決して満足しないのか。その業を重ね、人は今に至る。
 まぁ、兎にも角にも‥‥
「これで終わりだね。本当に、これらを創った人の考えは‥‥分かり合えそうもない」
 真亡の言葉が全てを物語り、三魔星との激闘に終止符が打たれた。
 願わくば、二度と彼らのような敵が現れませんように―――