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■オープニング本文 前回のリプレイを見る ● 「魍魎丸!」 物に動ぜぬはずの諏訪顕実が息をひいた。 魍魎丸。その名を知らぬ者が世にあろうか。かつて冥越を滅ぼしたという八禍衆の一旗であるアヤカシの名を。 当初は諏訪一族のみの大事であると顕実は思っていた。が、事は彼の想像を超え、今や陰殻そのものの大事へと変わっている。 雷忍さえ始末してしまえば事は終わるはずであった。が、魍魎丸が相手である以上、もはや顕実一人で判断できる案件ではない。問題解決のために至急慕容王と対面する必要があった。ただ―― 当面、取り急ぎ対処すべき問題があった。雷六忍の体内から出現した蛇のことである。 うち二匹は魍魎丸が取り込んだ。それにより魍魎丸は力を取り戻し、九つの首をもつ大蛇たる本性を現したらしい。 ならば残る四匹の蛇を取り込んだとしたらどうなるか。陰殻一国のみにても手に負えぬ大災害となるかもしれなかった。 「蛇を始末せよ。何としても魍魎丸の手にわたしてはならぬ」 顕実は命じた。 ● そこは惨憺たる有様をていしていた。 焼き払われ、滅びた里。夜叉一族の隠れ里である。 その里の中央。小山のこどき威容がそびえ立っていた。 八岐の蛇。ひとつの首には血のように赤い呪紋が浮き出ており、ひとつの首には無数の釘のようなものが突き刺さっている。またひとつの首の顎からは業火のごとき炎が噴き出ており、別のそれからは稲妻がほとばしり出ていた。 さらに五つ目の首。それは白骨の相貌をもっていた。別のそれは闇が凝結したかのように朧で黒い。 そして残るみっつ。ひとつのそれの口からは巨大な剣が突き出ており、別のひとつには何かの呪いででもあるかのように太い鎖が巻きついている。最後の首には数え切れぬほど太い刺が生えていた。 魍魎丸である。 と、四つの蛇の顎が開いた。ぼとり、と何かが口の中から地に落ちる。粘液にまみれたそれは人の姿をしていた。 「陰殻の者共は必ずや我が蛇鬼を狙うであろう。彼奴らの手にかけさせてはならぬ。必ずここにもってまいれ」 魍魎丸がいった。すると人の姿をもったそれはゆっくりと立ち上がった。 ニンマリと笑みをうかべた四つの顔。それは魍魎丸のものであった。 |
■参加者一覧
北條 黯羽(ia0072)
25歳・女・陰
大蔵南洋(ia1246)
25歳・男・サ
九法 慧介(ia2194)
20歳・男・シ
秋桜(ia2482)
17歳・女・シ
孔雀(ia4056)
31歳・男・陰
亘 夕凪(ia8154)
28歳・女・シ
ラシュディア(ib0112)
23歳・男・騎
狐火(ib0233)
22歳・男・シ
レイス(ib1763)
18歳・男・泰
高尾(ib8693)
24歳・女・シ |
■リプレイ本文 ● 「……まさか夜叉以来からの因縁でしたか」 嘆くがごとく。女と見紛うばかりに美麗な相貌の若者が声をもらした。十人の開拓者中の一人、レイス(ib1763)である。 敵の首魁、それこそが魍魎丸であった。のみならず、レイスは魍魎丸とはあさからぬ因縁にある。 どれほど前のことであったか。彼を含む開拓者は滅ぼされた鴉一族の恨みを晴らすため、夜叉一族と戦ったことがあった。その夜叉一族の頭領こそが魍魎丸の分身であったのだ。 その分身すら斃すのに開拓者達は全力を要した。では本体たる魍魎丸はどれほどの力をもっているのか。 「しかも冥越八禍衆……顕実さん、上手く戦力を集めてくれると良いんですが」 レイスは陰鬱にもらした。 九頭竜たる正体を現した魍魎丸。これは災害の前触れといえよう。十人の開拓者だけでは太刀打ちできそうにない。 「……ともかく」 それまで黙していた女が眼をあげた。落ち着いた声音は静かだが、聞く者をして真剣にならざるを得ない重い響きがある。 女――亘夕凪(ia8154)は続けた。 「一匹たりと件の蛇を逃す訳にゃいかない事態だ。此方も四手に分かれ追うしかないか」 「うむ」 漢らしい風貌の青年が肯いた。大蔵南洋(ia1246)である。 「蛇は四方にわかれたという。一匹ずつ始末している余裕はあるまい。顕実殿」 南洋は怜悧な顔立ちの男に眼をむけた。諏訪一族頭領、諏訪顕実である。 「今、蛇どもはどの辺りに?」 「現在判明しておるのは、ここだ」 顕実は大きな紙を広げた。陰殻の地図である。そこに印が四つつけられていた。 南洋はそのひとつを指し示すと、 「ならば私はここに」 「あたしもいくよ」 女が言った。透けるような白い肌の肉感的な美女。高尾(ib8693)である。 「じゃあ、俺は」 この場合に至っても飄然たる様子の若者が別の印を指差した。九法慧介(ia2194)である。 「よし。そこは俺が同行しよう」 鍛え抜かれた身体の若者が口を開いた。ジルベリアの者であるのか、彫りの深い顔立ちをしている。名はラシュディア(ib0112)。するとレイスもまた肯いた。 「では、わたくしはここに参りましょう」 可憐な美少女が三つめの印に視線をむけた。秋桜(ia2482)である。 すると二人の男が笑んだ。一人は紅をひいた真っ赤な唇をニタリとゆがめ、もう一人は端正な相貌に皮肉めいたそれを。共に尋常ならざる雰囲気をもっている。名は孔雀(ia4056)と狐火(ib0233)。 「なら残りは俺」 二十歳半ばほど。胸元から小麦色の豊かな胸を覗かせた女がニヤリとした。そして夕凪を見やると、 「それと夕凪だな。唯一無二の綺麗所ってわけだ」 「綺麗どころかどうかはさておき」 夕凪は苦笑すると女――北條黯羽(ia0072)を見返した。 「北條さんなら文句はない」 夕凪はいった。本音だ。 黯羽という女。性格は一癖も二癖もある。が、腕前は尋常ではなかった。なればこそ信頼できる。心おきなく戦うこともできる。戦友という観点において、黯羽は申し分のない女だった。 「では、そろそろいこうか。魍魎丸がこのまま手を打たぬとも思えないしね……敵が増える前に押さえないと」 夕凪が腰をあげた。 ● 森の中を二人の男女が疾駆している。葉の間から時折もれる月光に浮かび上がるのは南洋と高尾の姿だ。 と、突如二人の足がとまった。その眼前に黒装束の男が舞い降りてきたからだ。 「大蔵殿と高尾殿とお見受けする」 「諏訪のお方よな」 南洋が問うと、諏訪シノビは肯いた。 「お待ちしておりました。これより私がご案内つかまつる」 黒装束が走り出した。その後を南洋と高尾が追う。 そして幾許か。黒装束の足がとまった。 「間もなく蛇がここに参りまする」 「そう。なら、あんたは退っていて。ここからはあたしたちの仕事よ」 高尾がニンマリした。そして南洋を見やると、 「大蔵。あんたはどう思う? 蛇を取り込んで力とする……ってことは、蛇には体内にいた雷忍と似たような能力があるってことだろうかねぇ。そうなると二つの蛇を取り込んだ魍魎丸は、二人の雷忍の力を使えるということになるけれど」 「さあて」 南洋は首を傾げた。彼は何度か雷忍が力を使い果たしたかのような様子をしめしている状態を目撃している。そして伝承によると魍魎丸は他者の力を増幅できるらしい。この二点から推察するに、雷忍はそれぞれ身につけた忍法をさらに強化された可能性が高い。 と、南洋の手が腰の刀――紅葉狩の柄にのびた。 「来るぞ」 南洋が告げた。 刹那だ。藪を切って何かが飛び出した。 蛇、と見とめるより先に南洋は抜刀した。たばしる刃は蛇めがけて疾り――刃がとまった。蛇が走りすぎる。 「大蔵。何やって」 高尾が息をひいた。南洋全身にからみついているものがある。影だ。 はじかれたように振り向いた高尾は見た。印を組む妖艶な男を。 その顔を高尾は知っている。彼奴こそ―― 「魍魎丸!」 ● 「まさかとは思っておりましたが、やはり魍魎丸ですか……」 うんざりしたように秋桜が溜息を零した。彼女の前、走る諏訪シノビの姿がある。 「嫌ですねぇ。蛇は粘着質で」 「それにずる賢い」 ふふん、と孔雀は笑った。 「雷の連中、彼らには恐らく彼らなりの意志と目的があって戦っていたはず。其の想いを利用し、欺き、己だけの為に屑同然に殺害し利用するなんて」 嗚呼ン、と孔雀は喘ぎ声をもらした。 「堪らないわ……感じちゃう。貴方を食べるのはこのアタシよ……待っていなさい、ンフフ」 「逆に喰われぬように気をつけてください」 皮肉めいた口調で狐火が警告する。と、前方をゆく諏訪シノビの足がとまった。 「ここにて」 諏訪シノビの声が消えた。その喉に深々と突き刺さる苦無が一本。 諏訪シノビの首から血飛沫を散った。その深紅の狭霧のむこうに舞う影がひとつ。 「蛇はわたさぬ」 魍魎丸が吼えた。 ● 「雷忍達は蛇を育てる為の唯の器だったって事かい、やるせない話やな。……だからって情が湧く訳でもないが」 夕凪の眼に陰鬱な光がともった。へっ、と黯羽が笑う。 「夕凪らしくないじゃないか。余計なことを考えてると足元をすくわれる。ってか、敵に想いを馳せるなんざ、夕凪らしいっちゃあ、らしいか」 その時だ。諏訪シノビが叫んだ。 「蛇だ」 「何っ」 夕凪が視線を走らせた。諏訪シノビが指し示す先、血と泥を混ぜたような蛇が地を滑るように這っている。 「余計な邪魔者が入る前に勝負をつけなけりゃあならない。やるよ!」 蛇を追って夕凪が馳せた。同じく走る黯羽の手に呪符が一枚。 「俺達の艶姿を脳裏に焼き付けられるのを最期の土産だと思って、早々に滅相されちまいな」 黯羽の手から呪符が飛んだ。術式展開、同時に座標軸固定。蛇に式がからみついた。 「殺っちまえ、夕凪!」 「おお」 天津甕星を抜刀しつつ、夕凪が蛇に迫った。迂闊に近づくのは危険であるが、時間がない。 「あっ」 夕凪が跳び退った。その眼前、炎が噴き上がっている。くくく、と嘲笑う声は樹上でした。 「どけ、虫けらども」 魍魎丸がニタリと笑った。 ● 「成程……手強いわけだ」 慧介は苦く笑った。 雷に所属していたシノビは元々稀代の実力者である。それにアヤカシの力が加わり、さらに力を増している。 「普通の人達じゃそりゃキツイよね」 「蛇も手強そうですが……やるしかあませんね」 至極冷静にレイスがいった。元々彼は暗殺用に調整された人間であった。危機的状況になればなるほど真価を発揮する。 「いた!」 ラシュディアが叫んだ。彼の眼は闇を這う黒々とした綱のような影を見とめている。 「迅い」 慧介が呻いた。諏訪シノビから知らされていたように蛇は疾風の速さで動いている。 「俺が殺る!」 ラシュディアが地を蹴った。凄まじい脚力によって土がはねあがる。それがまだ空にあるうち、ラシュディアの身は蛇の上にあった。 「もらった!」 豹のようにラシュディアが襲った。冷たい光をはなつ長剣の切っ先を蛇めがけて叩き込む。蛇の肉を裂く感触に続き、土をえぐる手応えをラシュディアは感じた。 その時―― 音もなく地に舞い降りた影があった。翻る長い髪、そして金色に光る妖しい眼。魍魎丸だ。 次の瞬間、銀光がはねた。反射的にラシュディアが跳び退る。が、遅い。無数の手裏剣に貫かれ、ラシュディアの身が吹き飛んだ。 「おのれ」 魍魎丸が呻いた。その手の上の蛇の身から呪字と変じた瘴気が噴出している。 「よくも蛇鬼を。うぬら、ただではおかん」 魍魎丸の眼が憤怒に血光を放った。悽愴の殺気に吹きくるまれながら、しかしレイスの眼には冷たい殺気の光が瞬いている。 「ただではおかないのは僕達の方ですよ。本物の魍魎丸かどうかはわかりませんが、少なくとも貴方を斃せば魍魎丸の力はその分失われるんでしょう」 言葉の響きが消えぬうち、レイスの姿が消失した。その一瞬後、魍魎丸の眼前にレイスの姿が現出した。 「ふんっ」 レイスの脚がはねあがった。あまりにも鋭い一撃は閃光のように。青い竜とかして魍魎丸を襲った。さしもの魍魎丸も躱すことは不可能だ。が―― レイスの脚は空をうった。魍魎丸の姿は消えていた。 「縮地ができるのはうぬらだけと思っているのか」 声はレイスの頭上。ぎらりと光る魍魎丸の目がレイスを見下ろしている。 「死ね」 魍魎丸の手刀が疾った。 一瞬。ほんの一瞬だけレイスの反応が遅れた。魍魎丸の手刀は無防備のレイスの顔面に―― 手刀がレイスの顔寸前でとまった。その腕には鋼線がまきついている。 「瞬間移動はできないが、これくらいの真似はできる」 ぞっとするほど冷たい声音で慧介が告げた。 その時、魍魎丸の口がひらいた。同時、レイスの脚が再びはねあがる。 炎を吐きつつ、魍魎丸が空に舞い上がった。空気のみを足場としたとしか思えぬ跳躍。 ぼとりと魍魎丸の腕が地に落ちた。レイスの蹴りから逃れるために自らちぎりとったのである。 樹上に逃れた魍魎丸が突如背を返した。ましらのように枝を使って跳び去っていく。 魍魎丸逃亡の理由はわからない。が、ともかく開拓者達は動けなかった。その身は魍魎丸の吐いた炎によって焼き爛れていたのであった。 ● 「逃がさないよ」 高尾が素早く印を組んだ。地から噴出した針が蛇を貫く。 「させぬ」 魍魎丸が跳んだ。南洋の頭上を躍り越え、高尾に襲いかかる。 「待て」 南洋が走った。 空と地。魔人と超人。 南洋が跳んだ。両足から迸らせた練力により、爆発的に加速。舞わせつつ、南洋は一気に魍魎丸に迫った。 瞬間、爆発。南洋の刃と魍魎丸の全身を覆う砂が噛み合ったのである。 凄まじい衝撃に南洋は吹き飛ばされた。咄嗟に身体を硬質化させ、致命傷だけは逃れる。 一方の魍魎丸はもろに衝撃をうけた。が、アヤカシとしての体力が彼を救った。身体がズタズタになってもなお、魍魎丸は高尾に襲いかかる。 「なめるんじゃないよ」 高尾の手から白光が噴出した。手裏剣だ。三条の光流は別の軌道をえがき、魍魎丸の身体に。 瞬間、魍魎丸の手が視認不可能な速度で動いた。消える光流。いつの間にか魍魎丸の手には三本の手裏剣が握られていた。 「こんなもの、俺に効くかぁ!」 魍魎丸の口から蛇が飛び出した。高尾の首に喰らいつく。 ぽとり、と首を切断された蛇が地に落ちた。何時高尾が攻撃したかわからない。一部のシノビのみ扱える必殺の暗殺業であった。が―― 振り向いた高尾は気づいた。蛇の姿がない。 血の痕跡を追おうとして、高尾は唇を噛んだ。血の痕跡はない。そして魍魎丸の姿もなかった。 「無事か」 南洋がよろりと立ち上がった。高尾は鉛のように重い息を吐くと、ごちた。 「さすがに八禍衆の相手は疲れるねえ。報酬は弾んでもらわないと、割りに合わないよ」 ● 「踊ってちょうだい」 孔雀が符をばらまいた。万華鏡のように光りしぶく幻影。が、魍魎丸には効かない。 「無駄だぁ」 魍魎丸が孔雀に迫った。その横、併走するのは秋桜である。 交差する無数の光。散る雷火。くっと秋桜は唇を噛んだ。身体には無数の傷。やはり刃のやりとりでは魍魎丸にかなわない。 「ならば」 狐火が印を結んだ。素早く組み替える。印形は夜。 「何っ」 愕然たる呻きは魍魎丸の口から発せられた。その喉には深々と印籠に似た刃が突き刺さっている。 「ば、馬鹿な。夜は破ったはず……」 魍魎丸の眼が動いた。そして秋桜の面上でとまった。悪戯猫のような笑みの上で。 「ううぬ。餓縁か」 魍魎丸は唸った。彼は確かに夜を破る夜破りを発動させた。が、秋桜の餓縁により夜破りの発動は阻止されたのであった。 「あたしたちを侮った。それがあんたの敗因よ」 笑うと、孔雀はぬめりとした赤い舌で唇を舐めた。 ● 「かっ」 魍魎丸が炎を吐いた。が、それは突如出現した壁によって防がれている。 「馬鹿が。術を使えるのはてめえだけじゃねえんだ」 黯羽が叫ぶ。瞬間、空に散りつつある炎の残滓を切って、夕凪が空に舞った。素早く組み替えた印形は夜。 ああ、と。もし天に眼と口があるなら嘆きの声を放っていたに違いない。夜は魍魎丸に破られている。狐火は秋桜の餓縁に救われたが、その秋桜はここにはいない。 「くっ」 「うっ」 苦鳴はふたつあがった。黯羽と夕凪の口から。黯羽の胸には手裏剣が深々と突き刺さっており、夕凪の足元には彼女の身を覆う砂によってはじかれた手裏剣が落ちている。が、それでも夕凪は無傷ではなかった。強烈な衝撃により肋骨が折れてしまっている。 「や、野郎!」 黯羽が指刀で空に呪紋を描いた。同時に呪を紡ぐ。 刹那である。空間がゆがんだ。何か禍々しいモノが空を疾る。破滅的な破壊力をもつ式だ。が―― 魍魎丸の眼前で式が消失した。魍魎丸の前で展開した空間の裂け目に吸い込まれてしまったのである。 そう。魍魎丸は大アヤカシである黄泉が生み出したアヤカシだ。黄泉ほどではないにしろ、彼もまた他者の攻撃を空間に飲み込ませることができるのだ。 「もはや蛇鬼は去った。うぬらに用はない」 ニヤリとすると魍魎丸が闇に跳んだ。 ● 「そうか」 奥座敷に座した顕実は肯いた。障子のむこうには配下のシノビが控えている。 二匹の蛇、そして一体の魍魎丸の分身と思われる存在。開拓者が撃破したモノだ。 半数の蛇は仕留めた。これは成功であるのか、あるいは失敗か。さすがの顕実にも判断はつきかねた。 とまれ戦いは終わった。陰殻の命運を決める戦いの前哨戦が。 |