【人形】ギロチン
マスター名:御言雪乃
シナリオ形態: シリーズ
EX :相棒
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/07/13 04:22



■オープニング本文

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「メヒ様」
 横たわっていた若者が身をおこした。
 犬のアヌビス。名をスハイルという。
 先日のことだ。スハイルは天儀の商人の依頼を受け、アル=カマルの遺跡地下に赴いた。
 そこは罠に満ちていた。さらには襲い来る人形の群れ。ために、スハイルが案内した探索隊は全滅。スハイル自身も瀕死の重傷を負った。
 そのスハイルを救ったのが有力なシャイフであるメヒ・ジェフゥティ(iz0208)であり、彼が雇った開拓者達であった。そのメヒが、今、目の前にいる。
「かまわぬ。横になっていろ」
 メヒが命じた。そしてスハイルに慰撫するような眼をむけると、
「調子は良いようだな」
「はい。もう大丈夫です」
 再び身を起こそうとして、スハイルは顔を顰めた。傷が疼いたのだ。
 メヒは苦笑すると、
「馬鹿者。今動くと、かえって回復が遅くなるぞ。それはそうと、俺はゆくことに決めた」
「ゆく? どこへでございますか」
「遺跡の地下だ。あれほどの罠と化け物じみた人形が仕掛けられていたのだ。奥に何があるか、確かめてみたくなった」
「メヒ様、いけません」
 スハイルの顔に怯えの色が滲んだ。首をふると、
「あそこはただの場所ではありません。俺にはわかります。人が踏み込んではいけない場所なのです。そのようなところにいかれて、もしメヒ様に何かあったら砂漠の戦士達はどうすればよいのです?」
「心配はいらぬ」
 メヒは兄のように笑った。
「俺がそう簡単にくたばると思うか。俺はメヒ・ジェフゥティだぞ」


 闇の中。
 ソレは、いた。いや、ソレらというべきか。
 いつから。
 わからない。過ぎ去った時をはかる術はここにはなかった。
 ただ――
 ソレらはわかっている。身体のどこかに刻まれているのだ。使命ともいうべきものが。それは――
 侵入者を排除せよ。


■参加者一覧
柊沢 霞澄(ia0067
17歳・女・巫
九法 慧介(ia2194
20歳・男・シ
秋桜(ia2482
17歳・女・シ
ゼタル・マグスレード(ia9253
26歳・男・陰
狐火(ib0233
22歳・男・シ
ディディエ ベルトラン(ib3404
27歳・男・魔
雪刃(ib5814
20歳・女・サ
ヘルゥ・アル=マリキ(ib6684
13歳・女・砂


■リプレイ本文


 熱砂の世界、アル=カマル。
 その都の中央。日干し煉瓦によってつくられた医療施設にむかって歩く七人の男女があった。
 一人は少女だ。市女笠によっても隠すことのできぬ美貌は、灼熱の陽光によって溶け去ってしまいそうなほど儚げで。
 同じ年頃の少女はもう一人いる。が、印象はまるきり違った。この少女は猫のように躍動的だ。
 さらに一人。こちらはやや年上のようだ。白く灼けた光の中においても颯爽と歩く姿は一陣の風のようである。
 そして四人の男。
 物珍しそうに周囲を見回しているのは男は二十歳ほどに見えた。が、その輝く瞳は子供のそれである。
 同じ年頃の男は、いる。しかし、これもまた印象はまるで違った。先の若者が無邪気そのものに見えるのに、この若者にはひやりとする翳のようなものがある。なまじ端正な相貌をもっているだけに、その皮肉さは際立って見えた。
 そして、もう一人。二十代半ばのその若者は、年齢に似合わぬ超然たる面持ちであった。果てない世界を見据えているような眼差しの持ち主だ。
 残る一人。この男は、謎そのものの存在であった。まず若いのか老齢であるのかが良くわからぬ。肌の様子からして二十歳半ばほどであろうが、どこか老成した趣があった。
 彼ら七人。
 それぞれの名は柊沢霞澄(ia0067)、秋桜(ia2482)、雪刃(ib5814)、九法慧介(ia2194)、狐火(ib0233)、ゼタル・マグスレード(ia9253)、ディディエ・ベルトラン(ib3404)。開拓者であった。
「この前は‥‥」
 突然霞澄が口を開いた。消え入りそうな声で続ける。
「スハイルさんだけでも助かって良かったですね‥‥」
「そうですね」
 慧介は無邪気に笑った。
「早く怪我が治るといいなあ。でも、想像してたよりも遺跡は深くて人形は面倒でしたよね」
「人形、か」
 雪刃は難しい顔をした。彼女は本能的に理解していたのだ。遺跡地下踏破の困難さを。そして再び襲い来るであろう人形達の脅威を。
「頼りにしてる」
 雪刃は慧介を見遣った。慧介は首を傾げた。いきなり頼りにしているといわれても何のことやらわからない。
 前衛の二人が協力してシノビ二人の負担を少しでも軽くしよう――本当は、こう雪刃は告げたかったのだ。が、雪刃の伝達能力は刃を操るほど上手くはなかった。また、その雪刃の想いを汲み取るほど慧介は大人ではなかった。
 と、重い溜息が零れた。秋桜だ。
「あれだけの危険があったにも関わらず、今度は御自らとは‥‥呆れた御仁ですな」
「責任ある立場のシャイフといえど、未知への好奇心や探究心には勝てん、か」
 ゼタルが苦笑した。秋桜のいう呆れた御仁とは、砂漠の戦士の頭目であるメヒ・ジェフゥティ(iz0208)のことであるのだが、好奇心や探究心に背を押され、危険に自ら飛び込むのは彼自身も同じで、あまりメヒのことは笑えない。
「が、僕はこうも思うのだ。自らが窮地に立つことすら恐れぬ気概があってこそ、長たるに相応しいのかもしれない、とな」
「なるほど」
 狐火が肯いた。
「恐れを知らぬ気概、ですか。そういうところが確かにあるメヒという人物、なかなかの方のようですね。まぁ周りの方々は苦労してそうですけれど」
「確かに、でございますなあ」
 秋桜の脳裏に二人の若者の顔がうかんだ。
 スハイルとイスディハール。彼女と仲間が救ったアル=カマルの若者である。
 彼らはメヒを長とも師とも慕っていた。どころか兄とも。もしメヒに何かあったら彼らは悲嘆に暮れることだろう。
 やれやれ、と秋桜は肩を竦めてみせた。
「救った命を哀しませぬためにも、頑張ってみましょうか」
「そうだな」
 こたえるゼタルの蒼の瞳の奥。燃え上がる炎にも似た光を見とめ、霞澄ははっと息をひいた。ゼタルのことを良く知らぬ彼女は、彼を外見通りの冷然たる人物と思っていたのだ。
 が、違う。ゼタルという若者は決して冷血の者ではない。それどころか――
 ゼタルはいった。
「帰りを待つジェフゥティ殿の部族達の為、これからも彼を必要とする世界の為に、微力ながら尽力しようじゃないか。危険を理由に引きさがるくらいなら、僕だって最初から踏み込まないさ。皆も、きっと同じ、だろう?」
「違いますね」
 くくっと。人知れずディディエは笑った。危険など厭いはしないが、それは決してメヒや世界のためではない。
 遺跡だ。
 物騒極まりない人形の潜む遺跡の中に、一体何が眠っているのか。
 何もない、とはディディエは思いたくなかった。それでは払った犠牲に対して割があわないからだ。
「せいぜい面白いものが見つかることを期待しておりますよ〜」
 ディディエはそっと囁いた。

 この時。
 一人、まだメヒのもとには駆けつけておらぬ開拓者が一人いた。
 ヘルゥ・アル=マリキ(ib6684)。獅子のアヌビスで、十二歳ほどの少女だ。
 厄介な遺跡じゃったな、などとぶつぶつ呟きつつ、ヘルゥは何やらごそごそとしていた。
「色々準備が必要そうじゃ」
 ヘルゥは背負い袋に色々なものを詰め込んでいた。薬品に松明、縄や白墨‥‥。
「後は食料も必要じゃろう」
 今度は干飯や水をぎゅっ、と。
「お、これも持っていくのじゃ♪」
 ヘルゥの瞳が輝いた。そしてクッキーと水あめをぎゅう、と‥‥。
 自身と同じほど大きく膨れ上がった袋を背に負い、よいしょとばかりにヘルゥは立ち上がった。
「これは重いの。ぅ、ぉぉーっ?」
 ころりん。ヘルゥは仰向けに倒れてしまった。さらには大きな荷のために、床に手足が届かず、亀のようにじたばたじたばた‥‥。
「だっ、誰か助けて欲しいのじゃーっ」
 ヘルゥの絶叫はアル=カマルの蒼く澄んだ空に響き渡った。


 どれほどの時が流れたか。すでに感覚としてはわからない。松明の消費量だけが唯一の手掛かりであった。
 それによると、時刻はすでに夜。開拓者とメヒは遺跡地下空洞において休息をとっていた。ここに至るまで人形の襲撃はない。
 そうなってみると、厄介なのは罠であった。ゼタルが人魂を飛ばしたり、狐火が鞠を転がしたりして探索の手助けはしたものの、全ての罠を避けることは不可能で。今回も霞澄の治癒の術が役にたった。
「これでいいでしょう」
 秋桜が幾本めかの松明をおいた。間隔をあけて置かれた松明のおかげで、辺りは思いの外明るい。その光の中、開拓者達はそれぞれに疲れをとっていた。
 霞澄とゼタルは顔を寄せ、手作りの地図を確認しあっている。ヘルゥは狐火に手伝ってもらい、鳴子作りに余念がない。慧介は飲み水を片手に、壁にもたれて腕組みしている雪刃に歩み寄っていった。
「どうですか」
「あ‥‥すまない」
 雪刃が慧介から飲み水を受け取った。仄かな明かりに雪刃の豊満な肉体が浮かび上がって、それは異様なほど淫猥な眺めであった。
 が、慧介はそういう点においても少年のようであった。露出した雪刃の白い肌を気にした様子もなく隣に腰をおろすと、慧介は罠探知の方法についてあらためて打ち合わせを始めた。
「なかなか良い感じでございますね〜」
 ディディエが目配せすると、ちらりとメヒが眼を動かて慧介と雪刃を見た。そして、ふふん、と笑った。
「どうだろうな。色恋に興味がある、というより、あの二人、いまだ色恋は知らぬようだ」
「なるほど〜。ところで」
 未知の遺跡群がなぜ今日に至るまで発見できなかったのでしょう、とディディエが問うた。
「すでに発見はされていたさ」
 メヒはこたえた。
「が、奥があるとは気づかれていなかった。今回の人形騒ぎで知られることとなったのだろう」
「なるほど」
 ディディエが肯いた。
 その時だ。鳴子を設置し終えた狐火が戻ってきた。その足にはヘルゥがしがみついている。
「懐かれたようだな」
 メヒが笑った。
「が、その子は小さいといえど獅子の子だ。せいぜい噛まれぬようにすることだ」
「私は噛みついたりはせぬぞ」
 ヘルゥがとことこと自身の荷に走り寄った。そしてクッキーを取り出した。
「私が噛みつくとすれば、これじゃ」
 ニッ、とヘルゥは笑ってみせた。


「うん?」
 違和感を覚え、長柄槌を慧介はとめた。すると秋桜が床を探った。
 床の感触。確かに違う。何らかの罠だ。
 秋桜は慎重に罠を回避した。慧介が白墨で地面に印をつけ、ゼタルが地図に罠の所在を書き込んだ。
「ぬっ」
 先に進んだ秋桜の口から只ならぬ呻きが発せられた。
 松明の光が闇に飲み込まれつつある辺り。人影のようなものが見える。
 秋桜は手裏剣を放った。鶴の鳴き声に似た風切音が闇の奥に消えていき――
「これは!?」
 秋桜は息をひいた。反響が変だ。
「ようやく奥に辿り着いたようだな」
 メヒの顔に笑みがういた。耳の良い彼は、秋桜よりも先に真相を読んでいた。
 その時だ。前方の人影がゆらりと動いた。
 はじかれたようにゼタルは符に手をのばした。彼にはわかる。人影の物腰から只者ではないということが。
「気をつけろ。こいつは今までの奴とは違う」
 ゼタルが叫んだ。
 その眼前、松明の光に人影の全身が朧に浮かび上がった。
 鎧武者、というべきであろうか。ソレは黒光りする重厚な鎧をまとっていた。
 しかし、といってよいか、それとも当然、といってよいか。やはりソレは人ではなかった。兜から覗く顔には表情はまるでなく。人形であった。
 刹那、鎧武者が抜刀した。
 次の瞬間だ。異様な音が響いた。
 地が爆ぜる音だと開拓者達が気づいた時、慧介の口から苦悶する声がもれた。
 それが鎧武者の放った衝撃波の仕業であると誰が見抜いたであろう。少なくとも慧介は見抜いた。故に彼は、敢えて衝撃波を受けたのだ。背後の仲間を庇って。
「けっこう‥‥効くなあ」
 ニヤリとして慧介は崩折れた。一撃のみで瀕死に近い状態まで追い詰められている。恐るべき鎧武者の戦闘力であった。
 が、瀕死状態にあるのは僥倖であった。同じく鎧武者の衝撃波を見抜いていたヘルゥが、咄嗟に十字硬陣なる術を発動していなかったならばどうなっていたか――
 再び鎧武者が刃を振り上げた。
 その瞬間だ。雪刃が身を躍らせた。瞬く間に鎧武者との間合いを詰める。その姿は風に乗る銀狼そのものだ。
「これ以上はさせない!」
 雪刃は刃を横殴りに払った。
 斬竜刀、天墜。とてつもなく巨大な刀だ。そのような刀を軽々と操る雪刃こそ魔物ではあるまいか。
 轟、と。
 雪刃の刃が鎧武者の腹部に叩き込まれた。鎧武者の鎧が砕け、何かがはじけとんだ。おそらくは鎧武者の身体構造の一部であろう。
 あっ、という驚愕の声は、しかし雪刃の口から発せられた。彼女の眼は見とめたのだ。逆袈裟に薙ぎあげられる剣光を。鎧武者は左手にもう一刀を携えていたのであった。
 通常、雪刃の必殺の撃を受けた場合、相手の戦意は萎える。それほどの重い一撃であった。
 が、鎧武者には戦意などない。あるのは盲目的な破壊衝動だ。身体が動く限り、鎧武者は殺戮を止めぬだろう。まさに悪夢の中の存在であった。
 鮮血をしぶかせて雪刃が倒れた。振り上げていたもう一刀を、鎧武者は一気に雪刃めがけて振りおろし――
 薄闇に宝玉のような光を散らせ、刃と刃が噛みあった。メヒのものと鎧武者のものとが。
「早く雪刃を!」
「承知したのじゃ」
 ヘルゥが雪刃に走り寄った。雪刃の身体をずるずると引きずっていく。
 同じ時、霞澄は慧介の側で屈みこんでいた。首筋に手をあてる。
「大丈夫。まだ助かる。いいえ、助けてみせる」
 霞澄が両の掌をあわせた。詞を唱える。
「メヒ殿、さがってください」
「何っ」
 メヒの眼がちらりと動いた。印を組んだ狐火の姿が見える。その影は地を這い、鎧武者のそれへとのびていた。
「よし」
 メヒが跳び退った。後を追うべく鎧武者が身動ぎした。さすがの狐火の顔色が変わった。
「なんて力だ」
 このままでは振りきられる。そう狐火が思った時、ディディエがふらりと歩みだした。
「あまり使いたくはなかったのですが〜」
 呪文詠唱。ディディエの前の空間の位相が変わった。
 現出した灰色の空間。それは何か恐ろしく破壊的な不気味さをもっていた。
 それも知らぬげに鎧武者がディディエに襲いかかった。まるで吸い込まれてでもいるかのように灰色の空間に迫る。そして――
 鎧武者は灰へと変わった。


 遺跡地下空洞の奥。
 そこには広い空間があった。中に足を踏み入れた瞬間、開拓者達は息をのんだ。
 横たわる者達。数は五十を上回っているだろう。最初は骸かと思ったが、違う。顔や体格は様々であるが、すべてが人形であった。
 反射的に開拓者達は身構えた。これだけの人形が一度に襲いかかってきたら、いかに超人的な戦闘力を誇る開拓者達であっても逃げることすらかなうまい。
 そして幾許か。
 開拓者達は構えをといた。人形たちが動く様子はない。ただ死のような静寂が辺りを覆っていた。
「‥‥どうやら大丈夫のようじゃの」
 ふう、と息をつくとヘルゥは人形達を見渡した。と――
 ある一点でヘルゥの眼がとまった。
 それは少女の人形であった。可愛らしい服を着せられて横たわっている。
「可愛いのお」
 ヘルゥの眼が輝いた。いくら獅子の子とはいえ、やはりヘルゥもまた少女である。可愛いものには眼がない。
 ヘルゥがとことこと駆け出した。
 危ない、と叫んだのは誰であったか。びくりとしてヘルゥが振り返った時、その背後で少女の人形が空に躍り上がっていた。
 きらり、と松明の光をはね返したのは、少女人形の身の丈よりも巨大な鋏であった。何でたまろう。さすがのヘルゥも咄嗟には避けえず、首がざっくりと切り裂かれた。
 霞澄のあげた悲鳴は、霧雨のようにしぶく鮮血に飲み込まれた。その鮮血にまみれ、真紅に染まった少女人形が、今度は悲鳴の主に狙いを定めた。跳ぶ。
 この時、霞澄はむしろ前に出た。信じられぬことに霞澄はヘルゥを庇おうとしたのである。鼠を襲う猫の顎のように鋏が迫った。
 が――
 少女人形がはねとばされた。突如現出した漆黒の壁によって。
「今だ」
 ゼタルが叫ぶ。おお、と応じたのは慧介と雪刃だ。今度は彼らが少女人形の背後に躍り上がった。


「これだ」
 メヒの口から、やや興奮した声がもれた。
 彼の前には、美しい少女のからくりが横たわっている。額と胸、肩に不可思議な紋様が記されているが、意味はわからない。
 そのからくりの腕には輪がはまっていた。その輪には鍵穴があり、メヒの手にした鍵が合致したのである。
 鍵は、砕かれた少女人形の近くに転がっていた。元々そこに転がっていたものか、それとも少女人形が持っていたものかはわからない。
 メヒが鍵をまわした。すると――
 美少女のからくりの眼がうっすらと開いた。まるで眠りから覚めたかのように、ゆっくりと身を起こす。その眼は鍵の所持者であるメヒをじっと見つめていた。
「‥‥お名前を。ご主人さま」
 美少女のからくりは、そう問うたのであった。