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■オープニング本文 前回のリプレイを見る ●工房 朱藩のとある町『圏当』。 南国朱藩が誇る銃器の開発、生産拠点として知られた町の一つである。 数ある工房は競う様に黒煙を吐き出し、鉄打ちの音を響かせていた。 この工房も、そんな数あるうちの一つ。 そして、今まさに新たな武器が誕生する瞬間を迎えていた。 「……いいな」 石造りの床に頑強に固定された特異な形状の大筒を囲む者達が、男の声に無言で頷いた。 工房の裏門は大きく開け放たれている。 門の先には船着き場、そして大きな湖が広がっていた。 砲口は裏門の先、清らかな水に春の日差しを映し出す湖を見据えている。 武器の名前は宝珠砲。 宝珠の力を利用し練力を威力に変換する、特殊な大筒だ。 この工房の中央に据えられた宝珠砲は、試作品というだけに非常に実験的な機構をしていた。 通常、宝珠砲の威力は、宝珠の性質と扱う者の練力に依存される。 その基本的な構造を極限まで突き詰めたのが、この宝珠砲【試作十二番『爆ぜ五光』】であった。 特殊な機構の宝珠砲には、周りに侍る5人の男達の腕が突き入れられている。 「宝珠起動! ありったけの練力を放り込め!!」 中央の男が声を張り上げる。それと同時に、残りの四人が突き入れた腕に練力を集中した。 「ぐぅ……!」 右側に侍る男の表情が苦悶に揺れる。 宝珠砲は、砲身に突き入れられた5本の腕から、容赦なく練力を吸い上げる。 「5、4、3――練力充填完了! 準備完了だ!」 「よし、行くぞ!」 カウントダウンの合図に、中央の男が穴の底にある引き金に指を掛けた。 その時――。 「ま、待て! 偏光水晶が臨界!? いかん! 腕を抜け、割れるぞ!!」 右側の男が砲身にあいた小窓から中の様子を確認し、悲鳴にも似た声を上げた。 パキンッ――。 砲身の中央で輝いていた水晶体は、甲高い音を立てて砕け散った。 「くそう、これもダメか……!」 「北面で採掘された貴重な水晶だったんだがな……」 練力を吸い尽くされ重く鳴った腕を砲身から引き抜き、男達は床にへたり込む。 これで砕けた水晶は5個。すべてが高集光性を持った高価な水晶だった。 「やっぱり、『アレ』じゃないと無理なのか……」 「しかし、あんなものどうやって手に……というか、どこにあるんだ」 「だよな……」 だが、今まで使ってきた水晶はあくまで代用品なのだ。 この特殊な宝珠砲を完成させるために必要な物は既に分かっている。 だが、その入手方法がわからなかった。 「やはりギルドに依頼を出すか」 「そうはいっても、研究費はもうほとんど残ってないんだぞ。どこに依頼料が」 「あるじゃないか」 「お、おい、まさか……」 「そうだ、これだ」 と、中央を担っていた男は宝珠砲に手を置いた。 |
■参加者一覧
皇 りょう(ia1673)
24歳・女・志
水月(ia2566)
10歳・女・吟
黎乃壬弥(ia3249)
38歳・男・志
御調 昴(ib5479)
16歳・男・砂
ヘイズ(ib6536)
20歳・男・陰
クトゥネシリカ(ic0335)
16歳・女・志 |
■リプレイ本文 ●ギルド 「記録封印ですか……ふむ」 「どうしても必要なんです……!」 困り顔のギルド員に、御調 昴(ib5479)は必死に熱弁をふるう。 彼は泰国へ渡る前にギルドを訪れて、これから会うケモノとの記録を封印して欲しいと願い出たのだ。 「理由はわかりかねますが……正直申し上げて、記録の封印は難しい」 昴の願いの重さは雰囲気から伝わる。しかし、それはギルドのルールにかかわる事。対応に当った係員は毅然とした態度で続けた。 「ギルドが有する知識は、開拓者の為にあらねばなりません。個人の願いでその原則を破れば……今まで先人が積み上げてきた規則や道徳は水泡に帰すでしょう」 係員の言葉は正鵠を得ている。昴は何も言い返せ無いまま、悔しさに視線を下げた。 「――ですが」 と、ギルド員は先ほどまでの渋る口調から一転、柔らかな声で。 「いなければいいのでは無いですか?」 そう告げた。 「え……?」 「該当のケモノの存在はすでに記録として存在しています。これを削除することは出来ません。ですが、会った時にはすでに――」 「きょ、虚偽の申告をしろと……?」 根が真面目な昴である、流石にそれはと係員の顔を覗きこんだ。 「では、私は次の仕事がありますので」 しかし、昴の問いに答えることなく、係員は席を立つ。 「ご武運をお祈りいたします」 柔らかな笑みを残し、奥へと去って行った。 「やっほ。どうだった?」 「ああ、クトゥネシリカ(ic0335)さん。……こちらは駄目でした」 係員が去った後、その場所で考え込んでいた昴に、クトゥネシリカが声をかけた。 彼女もまた、ギルドに残る記録を探ると共に、記録の凍結を願い出ていたのだが。 「あー、やっぱりかぁ。こっちも門前払いだったよ」 もちろん結果は同じ。ギルド員は情報の封印を是とはしなかった。 「しかし、光は見えました」 「え?」 「あまり使いたくない手ではありますが……」 そう言って、昴は事の成り行きを話して聞かせた。 ●工房 「でけぇな……」 長身の黎乃壬弥(ia3249)にしてそう言わせるほどの巨体がそこに横たわっていた。 「自慢の一筒……になる予定だからな」 鈍黒に光る砲身を優しく撫で、工房長が苦笑いを浮かべる。 壬弥は得るべき結晶体の使用先を調べるために、工房を訪れていた。 「【爆ぜ五光】だっけか……名前にも意味があるんだろ?」 「ああ、もちろん。これは五人用の宝珠砲だからな」 「発射に五人も使う宝珠砲なんざ聞いた事もねぇな。で、威力は……って聞くだけ野暮だよな?」 「聞いてくれてもいいぞ? 今晩は寝かさないがな」 「ははっ、わりぃな、生憎とそっちの趣味は持ち合わせてねぇよ」 「そりゃ残念だ」 完成はすでに目前。結晶体さえ手に入れば、これは開拓者にとって大きな力となるだろう。 「ありがとよ。いいもん見れた」 「頼んだぜ。俺も、こいつも待ってる」 「ああ、善処する」 ●控室 講演後の疲労もかまわず、源駿は二人を控室に招き入れた。 「……素敵な公演だったの」 小柄な少女が公演用の化粧もそのままな源駿をちらちらと見やる。 「疲れてるのにすまねぇ」 もう一人は大柄な男。ぞんざいな言葉とは裏腹に礼節をもって応じた。 「開拓者の方が、私に何か御用です?」 初対面であるはずの二人からはどこか懐かしい雰囲気を感じる。 源駿は警戒することなく、気さくに話しかけた。 「……さっきの公演、とっても感動したの」 薄紅色に染まる唇を、水月(ia2566)は珍しく忙しなく動かす。 「天儀では見たことの無い演舞なの。それに音楽も……!」 泰国独特の芸事。芸事に感心を抱く者にとって、源駿達の演舞はとても刺激的に映った。 水月は演舞で受けた感動もそのままに、興奮した様子で源駿に想いを伝える。 「おいおい、本題を忘れるなよ」 いつもの無口が嘘のように熱心に感動を紡ぐ水月を、ヘイズ(ib6536)は苦笑と共に嗜める。 「……そ、そうだったの」 ヘイズの嗜めに頬を染めながらも、水月は懐から手紙を取り出した。 「これは?」 職業柄、文をもらう事も多い源駿であったが、それは少し趣が違った。 「ギルドからの紹介状なの」 予想もしていなかった差出人に、源駿は戸惑いながらも封を切る。 「……なるほど」 一通り読み終え、源駿は複雑な表情で二人を見やった。 「頼む! 大切な人の命がかかってるんだ!」 ヘイズが大きく頭を垂れる。 先ほどまでのぞんざいな口調から想像もできない、心からの真摯な願いがその声にはこもっていた。 「……扉を開いて欲しいの」 隣では水月も深く深く頭を下げる。 「……ふぅ」 切り出しを待つ間中、頭を垂れ続ける二人に、源駿は大きく息を吐いた。 「約束を違えないといけませんね。顔を上げてください」 「そ、それじゃ……!」 「扉は開けましょう」 「……本当なの?」 源駿の言葉に、二人の表情が一気に明るくなった。 「ええ。ですが私が出来るのはそこまでです。決めるのは私じゃありませんからね。それは貴方達の力で解決してください」 そういって、源駿は再び柔らかな笑みを浮かべたのだった。 ●迷宮最奥 人工物と自然とが織り成すなんとも奇妙な迷宮を進む一行。 「……ここです」 緊張を孕んだ声に一行は足を止めた。 源駿が松明で指示した先は、火明かりさえも届かない深い闇が満ちている。 「これが、光彩殿の気配なのか……?」 皇 りょう(ia1673)が、闇の先から漂う気配に戸惑いを見せた。 「今日は機嫌がいいのかもしれませんね」 初めて会った時もそう言っていた。と、源駿が皆に伝える。 案外、人を嫌いでは無いのかもしれないですねと、微笑み混じりに付け加えた。 「では、行きますか?」 源駿の問いかけに皆が頷く中、りょうだけは首を縦に振らない。 「私はここに残ろう。大挙しては光彩殿に対して無礼に当るだろう。ただでさえ我々は招かれざる客なのだからな」 源駿と光彩の約束は、入口に封をし二度と立ち入らぬことであった。 それを破ってまで来たからには、出来うる限りの礼節を尽くすことこそが本来であろう、と。 「ふむ、確かにそうだな。俺も残るか。そうだな、最初は……嬢ちゃん二人と昴。お前らが行って来い」 と、りょうの考えに同調した壬弥が、水月と昴、そして、クトゥネシリカを指名する。 三人共に小柄であり幼さが残る顔立ちは警戒心を与えぬには適任であった。 「……ん」 「わかりました」 「まっかせてよっ」 三人も壬弥の考えを理解したのか、二つ返事で頷くと源駿の横に着き、闇の部屋へ足を踏み入れた。 ● 松明の光が闇に溶ける境界に、鉛色の巨躯が浮かび上がる。 『……来るなといったはずだが』 「申し訳ありません、光彩殿」 地面の底から響くような低い声に、源駿が深々と頭を垂れた。 「源駿さんは何も悪く無いのです。僕達が無理を言ってお目通りをお願いしたのですから」 光彩との距離ははまだ遠い。昴は光と闇の境界に揺れる鉛色の毛皮に向けて話しかけた。 『開拓者か』 「うん、そうだよ。はじめまして、光彩さんっ」 境界に向けたクトゥネシリカの快活な声。隣には水月も控えていた。 三人を引き連れて源駿が、一歩踏み出す。 ぼんやりとしていた光彩の姿が松明の光に照らされ、鮮明さを増した、その時。 「光彩殿!?」 源駿は思わず駆け寄っていた。 「そ、その姿は……!」 源駿の声は震えていた。 『……耳に響く。静かにしろ』 源駿の声に異変を感じた開拓者達も光彩の元へと急ぐ。 「この子が光彩さん……?」 クトゥネシリカは、思わず問いかけた。 「……間違いねぇな。あれが光彩だろう」 彼の頭の中に古馴染みの声が響く。飄々とした態度の中にも芯の通った旧知の声が。 その男の声が目の前のケモノを目的のものであると壬弥に告げている。 「だけどまぁ……聞いていたのとは少し違うがな」 それは誰もが思った感想だろう。 伝え聞いた話では、開拓者すら畏怖させる覇気を持った猛者であるとの事だった。 だが、目の前に横たわる鉛色の毛皮を持つケモノはどうだ。勇猛でならした過去の栄光など微塵も感じさせない、ただやせ細り、力なく地に腹を押し付けるだけの老体がそこに横たわっていた。 『もう少しの時、我慢できなかったのか』 消え入るような声で光彩は不満を呟いた。 その言葉が何を意味していたのか。 『また金が欲しいのなら、持っていけ』 重そうに顎を上げた光彩は、部屋の片隅を口で示す。 「ち、違うのです光彩殿!」 それだけは断じて違うと、源駿は地に膝を擦り着けた。 ● 「これはいったいどういうことなの……?」 クトゥネシリカが目の前で起こっている事態をうまく飲み込めず呟く。 「交渉事が出来る雰囲気じゃねぇよな……」 とっておきの殺し文句を用意してきたはずのヘイズもまた、事態の進展に手出しできずにヤキモキしていた。 「しっかし、いったい何があったって言うんだ? 奴さん、どう見ても――」 と、壬弥が言葉を切る。だが、その続きは誰もが理解した。 詰め寄る源駿をどこか迷惑そうにあしらう目の前のケモノ――光彩は、目に見えて衰えていた。 「……たぶん栄養失調。餓死寸前、なの」 そんな皆の疑問に答えたのは、水月だった。 食には別段の興味があり、回復術の心得も持つ水月だからこそ、光彩の衰えの理由を見抜く。 「どういうことです……?」 「……たぶん、お食事を……してないの」 昴の問いに答える水月の言葉が、衰退が光彩の自らの意思であると語っていた。 ● 『ならば何用だ。我の顔が見たくなった等と戯言を言うわけではあるまいな』 動揺を露わにする源駿に、光彩の声は厳しい。 「その戯言を申し上げに来た」 厳しく試すような光彩の問いかけに、源駿に代わり歩み出たのはりょうであった。 「光彩殿、不躾な願いである事は重々承知で申し上げる。貴殿がお持ちの棘、頂けはしないだろうか」 言葉少なにただ実直に。りょうはここに来た目的を素直に光彩にぶつける。 『……これか』 光彩の体がざわりと揺れ、その体が膨らんだ。 同時に艶を失った鉛色の毛皮から七色七本の棘が現れる。 『いいだろう』 「「え?」」 身体の一部を無心したのだ、説得は困難なものになるだろうと考えていた一行をあざ笑うかのような答え。 『くれてやらんでも無い。だが理由くらいは聞かせてくれるのだろうな?』 何故か楽しげに答えた光彩は、開拓者たちを見渡し問いかけた。 「もちろんっ!」 真っ先に手を上げたクトゥネシリカは、光彩と向き合うと咳払いを一つ。 「今、天儀に大アヤカシの脅威が迫っている」 クトゥネシリカ独特の語り口。 「そいつはカビの集合体で、どこにでもやってくる」 物語の語り部のように紡ぐ、彼女の語り口は訴えた。 亜螺架の脅威は天儀だけでの話では無い。泰国に渡り、この洞窟の地下に流れる地脈の力を侵すかもしれない。 地脈は「精霊力」、亜螺架は「瘴気」。もし混ざり合えば『空』となる可能性だってある。 そうなれば、光彩の居場所だけでなく、彼を助けた源駿の一族全てが、この世から消える事になる。 クトゥネシリカは、今までに解明された事実に独自の考察を交え、持説を語り続けた。 「だから、そのアヤカシを天儀で打倒する為に、光彩さんの棘を使わせて欲しいの!」 『……面白い考えをする人間だな』 「じゃぁ!」 『他には無いのか?』 だが、光彩はクトゥネシリカの熱弁に明確な答えを出すことなく、次の言葉を要求した。 「話に出た亜螺架ってアヤカシを、あんたは知っているのか?」 むむむと眉根に皺を寄せるクトゥネシリカに続き声を上げたのはヘイズだった。 「古いアヤカシなんだが、何か知ってるなら教えて欲しい。少しでも情報が欲しいんだ」 交渉材料として兄が得た知識も引っ張り出してきたヘイズだったが、残念ながら今の光彩には無用なものでしかない。 だから素直に聞いた。永くを生きたであろう光彩の知恵を借りたいと。 『いや、知らぬな』 しかし、答えは明確なものだった。 「そうか。変な事を聞いた。悪かった」 正直期待はしていなかった。だが、どこかほっとした様にヘイズは頭を垂れた。 『……もう終いか?』 すぐそこに死があるとは思えぬほどの不敵な笑みが、光彩の口元に浮かぶ。 「光彩殿」 そんな笑みの切り返しに悩む一行の中、りょうは最初と変わらぬ態度で向かい合った。 「理由がなんであれ、我らは光彩殿の体の一部を欲している。それは紛れも無い真実だ」 自戒するようにりょうは両膝を折り光彩の前に座す。 「言葉をいくら並べようとも、死を目前とされた貴殿に響くものなど何も無いだろう」 松明に照らされる銀色の眼光が、ゆらりと揺れた。 「だから感じて欲しい。我らの心を。……貴殿ほどのケモノであればわかっていただけると思いたい」 ただただ真直ぐに、愚直な自分の性格をそのまま言葉にして、りょうは光彩に語りかける。 『……決断は他人任せか』 しばし時を待って、光彩が溜息を交え口を開いた。 『……我は永き生を閉じる』 不可避な死がそこにあるというのに、光彩はとても楽しそうだった。 無為とも思える死に一同に沈黙が降りる。水月などは口元を隠し、涙を堪えていた。 だがこれは、自らに望まれた死。長くを生きた光彩が自ら決めた終止符である。 『棘ならば持って行くがいい』 重く沈んだ一行に、光彩は語りかける。 想いが通じたというより、最後に得た楽しみに感謝するような光彩の言葉。 「……感謝する、光彩殿。では、一本、拝借いたす」 ここまで言わせて遠慮してはそれこそ無礼に当たる。 座したまま頭を垂れたりょうが、脇に置いた愛刀に手をかけようとした、その時。 『一本? どうせ死ぬ身だ。持っていけ』 光彩の口から出たのは思いがけぬ提案だった。 「全部くれるって言うのか……?」 ヘイズは思わず声を漏らした。他の者も一様に戸惑っている。 『放っておけば朽ちるだけだ』 堪える光彩の声はとても穏やかだった。 「気がのらねぇなら、代わるぞ?」 「……心遣い感謝する。だが、これは光彩殿自らが私に与えてくださった役目である」 「そうか」 そう言ってりょうの肩から手を離した壬弥が一歩後退する。 それを合図に、りょうは愛刀の柄に手をかけた。 ● 「まさか、本当に『そういう結果』として報告する事になるなんて……」 昴はずっと迷っていた。 ギルドの職員に言われた言葉が頭の中をぐるぐると巡っていた。 だが、その迷いがなんであったのか悩む暇もなく、事態は昴にあっさりと結末を与えた。 「まったくだ……、折角用意した笛で葬送歌を贈る事になるとはな」 清らかな笛の音は、果たして届いただろうか。 ヘイズは洞窟に残してきた音を思い出し、自嘲気味に笑った。 光彩の洞窟を後にした一行は、人気の無くなった劇場へと戻る。 その手にはそれぞれ、一本ずつの棘を持って――。 |