不思議洞穴参【第四階】
マスター名:如月 春
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: 難しい
参加人数: 7人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/04/09 23:38



■オープニング本文

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●第四階層手前
 階段のところで冒険者が汗を拭って階下を見やる。
 之までの経験と例から考えて次の階層で終わりだという事は分かっている。
 そしてこのうめき声の正体もこの奥に入るということは此処に潜っている物なら嫌と言うほどに分かる。
 
「で、ご丁寧に立ち入り禁止がギルドから出てるんだな」

 階段の前にぶっささっている看板、許可のないものの立ち入りを禁止する、とかかれている。
 勿論右下の方には夢の名前がでかでかと書いてある。

「流石に俺たちが入っていっていい‥‥雰囲気ではまったくないからなぁ」

「自由だろうけど、夢の姉さんは怖いからな」

 ははは、と笑いながらもう一度第四階の方を眺める。

「いるな、でかいのが‥‥其れもかなり強いのが」

「数は一つっぽいが、いるな」

 奥から聞こえるうめき声を聞きながらじっくりと考え始める。
 とりあえず立ち入りが禁止されている以上、此処からは下手に入ると後が怖い。
 何か無いかと考え、第三から第四へと降りる階段付近を片付けておく。

「手柄は開拓者、か」

「まぁ、地図とかも作ってもらってるし妥当じゃないか」

 肩をぽんぽん叩きながら慰めあうとそのまま来た道を引き返していく。
 その戻る道、背中にうめき声がずっと当たっているのは言うまでもない。

●ギルドにて
 夢が煙管からの紫煙で輪を作りながらぼうっとしていると一通の手紙。
 冒険者の事前情報の入った手紙だ。今回ばかりは立ち入りを禁止しているので何も無いのだが。
 とりあえず第三階の掃討と調査が終わったので第四階までそれなりに安全にいけるというもの。

「やっと、最後だねぇ」

 手紙を眺めながら机の引き出しから依頼書を取り出しそれに書き込んでいく。
 流石に最後ともなると筆が速くなるのもいつもの事。

「今度で、全て解決‥‥とはいかないんだろうなぁ」

 楽しそうに煙管を回して灰を捨てる。
 出来上がった依頼書の墨を乾かしてから掲示板へと。
 洞窟調査の開拓者求むと書かれた簡素な依頼書が。 


■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135
22歳・男・魔
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
雲母(ia6295
20歳・女・陰
朱麓(ia8390
23歳・女・泰
フレイア(ib0257
28歳・女・魔
鳳珠(ib3369
14歳・女・巫
御影 銀藍(ib3683
17歳・男・シ


■リプレイ本文

●不思議洞窟参、洞窟入口前
 開拓者七人、最後であろう四階層の攻略の為に此処に集う。
 やっと此処までボロボロになろうが、罠にかかろうが、幾らやられて傷ついて酷い目に会おうがようやく最後までたどり着いた。ある意味では此処に集った開拓者は洞窟にどっぷりと‥‥まではいかないだろうがはまっているだろう。多分。
「さて、今回でこの洞穴も終わり‥‥かな?唸り声も大きくなっているようですし、今までのような大物が居そうですね」
 御影 銀藍(ib3683)がギルドから借りてきた耳当てやら地図、食料を袋に詰め込みながら洞窟の方を眺める。伊達に前回も洞窟攻略をしていない、しっかりとした準備は見事でもある。
「さて、うめき声のヌシがわかるのは楽しみですね」
 何時もの手帳と羽根ペンを取り出して地図を確認しているのはフレイア(ib0257)とは言え、今回の四階層がヌシの場所を考えるとあまりいらないのかなぁ、と言いながら確認している。勿論今回もアイアンウォールは常備。ついでに夢に四階層の事を聞いたら「自分の目で確かめるのがいいんだろ!」と凄い剣幕で言われた。
「ともかく、前回の様に崩落する可能性も考慮すべきでしょうか」
 鳳珠(ib3369)が「んー」と言いながら考え事にふける。とは言え何時もの様に安定した巫女の役目を努めるだけなのだが、それでもこういう洞窟では変則的に何かしたりするよりも慣れた者が何時もの様に仕事をするのは経験的にかなり強みだ。
「ふむー‥‥うめき声ねぇ、楽しみだなぁ‥‥最近のはくだらんアヤカシばかりで退屈だったし」
 煙管を吹かしながらふんふんと鼻歌を奏でて洞窟の方を見ているのは雲母(ia6295)。相変わらずのふてぶてしい覇王の気迫を漂わせながら愛銃を磨いている。マスケット「シルバーバレット」、確かに良い銃だが其れをも凌駕する彼女自身の力は恐ろしいものだ。最近強くなりすぎて退屈のようだ。
「ふむ、どういう奴だろう‥‥やっぱり強い奴がいいな」
 此方も軽く準備運動をしながら洞窟を眺めている水鏡 絵梨乃(ia0191)。さすがに今日は芋羊羹の持込はせずに酔拳用の酒を腰にぶら下げている。勿論酔ればいいが、良い酔拳には良い酒を飲む、これ常識。
「最後となるとやっぱり何だか寂しい物があるね‥‥ずっと続くもんだと思っていたんだけどなぁ」
 朱麓(ia8390)が煙管を吹かしながらぼうっと洞窟の方を眺める。何だかんだで踏破するのは寂しいものがある。踏破する事こそが洞窟の醍醐味、どこぞのギルド嬢が笑っている気がしないでもない。とは言えここまで全ての洞窟を踏み歩いてきた朱麓もまた洞窟狂といえる。
「とにかく先に進んでみるしかなさそうだけどな」
 ちょっと寂しそうにしている朱麓の頭を風雅 哲心(ia0135)が優しく撫でる。相変わらずむすーっとした表情でぴこぴこ煙管を揺らす恋人を眺めてくすりと笑う。何だかんだで仲の良い二人。鬼嫁で尻にひかれまくりだけど。

 ともかく今回の洞窟の最下層であろう場所にいく面子も用意も心構えも既に揃っている。
 あとは最下層まで言ってうめき声とお宝を求めて突き進むのみ。

 そして開拓者七人洞窟の前に揃って、隊列を組んでからゆっくりと攻略を開始する。


●第一、第二、第三階層
 ぶっちゃけ既に何度も通ってはっきり言えばこんなくそみたいな道はとっとと通過するに限る。とりあえず何時もの様に鳳珠が瘴索結界を張り、そこから階段目指して一直線。さすがに日もたって人の入りが多くなれば敵も嫌でも減るものだ。
 とにかく第一階層なんて今回で往復も数えたら七回目、いい加減対処も分かっているといわんばかりに前衛にいる朱麓と風雅の二人が片っ端から切り伏せたりフライパンで頭を吹っ飛ばしたりしながら進んでいく。とっても効率的。少しの二人での労力で全体の消費はほぼ皆無、なんと効率的なことか。まぁ、そういうことであっさりと第一階層は突破する。
 
 そういうことであっさりと第二階層へとたどり着く。ここは骸骨の奇襲が少し手間取るくらいで単体では雑魚である。這い出てくる速度もそこまで速くないので出てきている途中で頭を吹っ飛ばされるのもたびたび。
「こう暗くて狭い所は良い女とかと一緒の方が私は好きだな」
 マスケットをくるくると回しながら丁度出てきた骸骨の頭に「バンッ」と一発。そのまま瘴気とかしてく骸骨にアーメン。
「そうだなぁ、ボクもそれには同感だ」
 ちびちびと腰にぶら下げた古酒を飲みながら同じように骸骨を蹴り飛ばす。素晴らしいほどにあっさりと瘴気に変わる骸骨が可哀想でもあるが、アヤカシはアヤカシ、しっかりと駆除をしている。
 さすがに第二階層も何度も通過しているので対策はできる。開拓者の足で早足であるならばそうそう手間取りもしないのが二階層、フレイアが作った完成した地図を御影とフレイアが確認しながら最短の道を選んでいるのでやはりここもあっさりと通過していく。
 
 そして最近攻略したばかりの三階層にたどり着いてから一旦休憩を挟む。そこまで消耗してはいないのだが、とりあえずは息を整えてから万全の体制で挑む、とても最善の選択だ。
「私が見張りをするんで、何かあれば連絡します」
 御影が暗視と超越聴覚での見張りをしている間に‥‥。
 「きょうのしゅろくっきんぐ」。今回の料理は節分豆と刻んだ梅干を用意しての炒飯です。まず初めに用意したフライパンにさっと油を引いて熱していく。勿論火種は煙管の火。フライパンが温まったら節分豆を炒めて良い感じに色が変わってきたらご飯を入れてさっと炒める。そして最後に梅干をぱらぱらと降りかけて完成。お好みで自家製のスパイスなどをどうぞ。ホットワインは熱燗の要領で、此方もお好みでスパイスをかけてどうぞ。
「慣れたものですね」
 くすくすとホットワインを飲みながらフレイアがそういう。何だかんだでフレイアもこの洞窟に潜っているせいか大分余裕の表情だ。
「敵もいませんし、後はあのうめき声が何か…」
 ふぅ、と結界の効果を再確認して、一息。今まで気にしていないのはいつもよのうに聞こえるせいだが、よくよく聞いてみればケモノの様なうめき声だとうっすらと想像する。
「ま、とにかく行ってみるか」
 風雅が食事を済ませて口を拭い、刀を差しなおしてそういう。なんだかんだで楽しんでいる。皆揃って洞窟好きなのです。
第三階層基本罠と迷路の構成での精神的に肉体的に消耗する階層だが、一度開拓したところ、そうそう罠に引っかかるはずもなく、解除済みの×印で埋まりまくっている地図を見ながらあっさりと第四階層への階段へとたどり着く。

●洞窟のヌシ
 階段を一つずつ降りていくたびに大きくなるうめき声に注意しながら降りていく。階段を降り切ってゆっくりと御影と鳳珠、風雅が索敵を済ませる。ざっと辺りを見て分かった事は奥に続く道が一つ、その奥にかなり大きめの瘴気の反応が一つ。何かを守っているとも言えるし、待ち構えているとも言える。
「これも、前と似たような感じだねぇ」
 ほぼ全ての階層と洞窟を踏破してきた朱麓がぽつりと。確かにゴーレムやらトカゲのでかいのも居たとき、最後は待ち構えるようにいたのを思い出す。
「とは言え、進むのみだけどな」
 古酒を飲む速度を上げて準備を整える水鏡。彼女の目つきが本気になっている辺り結構な相手と言うことだろう。通路を抜けて少し開けた場所が現れ、目の前には狼をそのまま大きくしたようなのが一匹、唸りを上げて此方を向いている。円形に広がった多少広めの空間にそいつは目をぎらつかせながら開拓者を見つめている。
 まずは光を、松明をつけて四方に投げ大体全体を明るくする。そうして全貌が明らかになったアヤカシ、やはり狼を大きくしたもので間違いない。
「おや、こいつはでかいなぁ‥‥そこらのクソみたいなアヤカシと同じじゃなければいいが」
 雲母がマスケットに火薬を装填し構える。煙管を付け直して紫煙があたりに漂う。
「さて、あんたは最後を飾るに相応しい相手かな?」
 此方も刀とフライパンを構えて臨戦態勢に。
 うなり声を上げるのをやめ、一息吸い、一気に其れを吐き出す。ビリビリと衝撃が伝わるほどの轟音が発せられたと同時に開拓者と狼が動き始める。

「呪詛ではないのは、幸いだな!」
 刀を突きの体勢に構えて風雅が前進、近づけば分かるがそこらの熊以上にでかいのがはっきりと分かる。ふんと鼻で笑いながらまずは飛んでくる噛みつきを受ける。足で下顎、鞘で上顎を押さえて攻撃、するにも顎の力が強くギチギチと力負けしているのが自分でも分かる。伊達にこの洞窟のヌシではないという事だ。犬と違い本気で殺しにかかってきているのだろう、左肩の辺りに牙が刺さり始め、血が溢れていく。
「ほら、こっちだ!」
 風雅に集中している所を横から首筋の辺りを目掛けて上段から振り下ろしの蹴り、軽く「く」の字に曲がり、顎の力を弱めて風雅が一度距離を取る。その間に攻撃の手が自分に向かうのを乱酔拳で避け始める。枯葉を空中で掴むかの如く、爪や牙の攻撃をひらりひらりと避けていくが、何度かは掠めているせいか服の切れ端が飛んでいる。
「ま、中々面白そうな相手じゃないか!」
 目の前にいた風雅の背中を使って朱麓が跳躍、そのまま相手の目を狙って一太刀。瘴気があふれるのを確認し、そのまま背中に乗って。
「これでも食らいな!」
 太刀「阿修羅」を頭の部分に突き刺しながらの雷鳴剣、辺りに焦げ臭い匂いと雷の音が響くがそれぐらいではまだ。痛みに一度吼え、背中に朱麓を乗せたまま壁に激突、軽く吐血しながらその場に落ちる。
「ふふ、楽しいなぁ‥‥アレぐらい生き甲斐のある奴じゃないと」
 ふぅと一息、壁から離れた狼の眉間を狙って雲母が一発目を放つ。硝煙と発砲炎を放ちながら吸い込まれるように鉛の塊が眉間へと辺り、咆哮が響き。衝撃に身構えた所へと爪が飛び雲母の前面、首の辺りから下腹部の辺りまで大きい裂傷をつける。
「流石、ヌシと言うべきでしょうか」
 まだまだと言わんばかりに動き回る狼を尻目に加護結界を順次付与し、やられた風雅、朱麓、雲母の回復を手早く施し、前線の維持を保つ。瘴索結界は発動したままだが、このアヤカシの周りにはいないので回復にも集中できるという事だ。
「けど、煩いですわね」
 魔法の詠唱を済ませて相手の進行方向に合わせてフロストマインを張りながら立ち回るフレイア、前衛に攻撃が集中している間に仕込みを済ませていく。ヌシと雖も精霊力の塊に一瞬気を取られてフロストマインを踏み抜き、足が固定される。
「今です!」
 苦無を揃って投げ、凍りついた足にへと追撃しながらしっかりと退路を確保している御影。其れを起点に前衛が攻撃を食らわせるために前進する所に、一度胸元が膨らむのをちらりと見て。
「まずい、構えて!」
 そう言った瞬間に開幕よりも大きい咆哮が前衛に向かって飛んでいく。
「やらせませんわ!」
 アイアンウォールの高速詠唱、そこから壁を作り声を届かないようにしながら防御を図るのだが、一枚目が吹き飛ばされる。威力の弱まらない声の塊に何枚も壁を作り減衰、っそして消滅させる。
「こいつで決めてやる。閃光煌く星竜の牙、その身に刻め!」
 平突の構えで白梅香と秋水の合わせ業、滑るように相手の前右足を切断。
「まったく、あたしの刀、もって行くんじゃないよ!」
 残っていたアイアンウォールを足場に飛び、突き刺した太刀を握り締めてもう一度雷鳴剣を放ち、そのまま捻りあげるように炎魂縛武で切り抜いていく。瘴気をあたりに散らし、未だに健在している狼。吼えながら水鏡へと氷が解けた、残っている爪で攻撃を繰り出す所を。
「朱麓ねぇも頑張っているし、ボクもやらないとな」
 左肩に爪があたり鮮血が舞うのを眺めながら滑り込み、攻撃時に下がった顎へと思い切り転反攻。骨が折れる嫌な音とかなりの衝撃で相手でたたき上げる。
「さて、そろそろ終わりと行こうじゃないか、なぁ!」
 破壊された鎧を投げ捨て、左腕をだらんと下げたまま相手を睨む。ぎろりと彼女の紅い眼が鋭く光る。それを見てか軽く威圧されたのか戸惑ったところへと一撃必殺、一発必中の弾丸が半開きになった口へ入り、胴体を貫く。
「では、ごきげんよう」
 止めのアークブラストがもう一度入り、焼ける匂いを発しながらその場に倒れる。ぜいぜいと全員息を切らしながら其れを見つめてほっと一息‥‥する間もなく。
「暴れすぎたかな」
 銃弾やら衝撃でボロボロになったのを見て天井が崩れ始めているのを確認、すぐさま走りぬける事に。まずは第三階層にあがり、御影の先導の元、突破。拠点に活用した物を改修する間もなく素早く第二階層へと。崩落し始め、落盤等が骸骨に辺り瘴気となっているのを横目にこれも突破。第一階層まで来れば大丈夫、とは行かずに階段したから瓦礫の音がしているのを耳で聞きながらさっさと脱出する。

●地上の光
 全員走りぬけて崩落した洞窟を眺めて一息。ちょうど入口に滑り込んで全員が肩で息をしている所に夢がいる。
「あぁ、崩落している‥‥もったいない‥‥」
 しょんぼりと洞窟を眺めて開拓者はガン無視、もはや趣味と混同しまくりです。
「と、まぁ‥‥全員生きているようだし、いいかね?」
 何時もの宿と傷薬などを渡して、満足気。
「で、最後の記念に正解を教えとくれよ、この洞穴についてさ」
 朱麓がそう尋ねるが。
「それは、自分で見つけるのが真の洞窟狂ってやつだよ」
 けらけらと笑い上げる夢を見ながら全員やれやれと言いながら太陽を見上げる。
 そろそろ桜の季節も近づいてきた、暖かい日差しにほっと胸をなでおろすのだった。