【妖志乃】鏡の中の開拓者
マスター名:hosimure
シナリオ形態: シリーズ
相棒
難易度: 普通
参加人数: 4人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2015/02/23 19:38



■オープニング本文

前回のリプレイを見る


 開拓者ギルドで受付職員をしている美島は、険しい表情で目の前にある洋館を睨み付ける。
 美島の後ろには依頼調役の青嵐が、妖志乃から送られてきた黒塗りの漆箱を両手に持って控えていた。
「ヤレヤレ……。無人の建物を長年、放置しとくものではないですね」
 美島は重いため息を吐きながら、手に持っていた手紙に再び眼を通す。
 妖志乃からの新たな挑戦状に書かれていた場所に、美島達は調査に訪れていた。
 指定された場所は山奥にある古びた洋館、平屋で二階はないものの、かなり広い造りになっている。昔、ジルベリア帝国の貴族が別荘として建てたものの、その貴族が亡くなってからは放置されたままだった。
 その洋館がどうやら妖志乃達、アヤカシに乗っ取られてしまったらしい。


 妖志乃の手紙には、この洋館に鏡のアヤカシを放ったことが書かれてある。洋館に一歩踏み入れた途端、廊下以外は鏡の世界になるのだ。
 鏡の中には赤い小鬼と青い小鬼がいて、首に鏡を下げている。
 赤い小鬼は銅に縁どられた丸い鏡、この鏡に姿を映されると子供になるらしい。
 青い小鬼は銀に縁どられた四角い鏡、この鏡に姿を映されると老人になってしまうらしい。
 開拓者はこの洋館の一番奥の主人部屋に行かなければならない。そこにある金に縁どられたアンティークの鏡から小鬼は生み出されるので、破壊しなければいけないのだ。
 しかしあくまでも子供や老人になるのは、この洋館の中でのみ。外に出れば元の姿に戻るらしいが、一度足を踏み入れればアンティークの鏡を破壊するまで絶対に洋館からは出られない。
 何故ならアンティークの鏡こそが、この洋館を乗っ取っているアヤカシだからだ。洋館の中はアヤカシの領域になっているので、そこから出るにはアヤカシを退治するしかない。


「開拓者の方々には、何とかして主人部屋に行ってもらわなければなりませんね」
「しかし美島さん、罠……という可能性がありますが」
 青嵐は顔をしかめながら、洋館を見上げる。
「そうですね。今の今まで姿を現さなかった妖志乃がそこで待っているなんて、罠の可能性が非常に高いです。……ですがいい加減、こちらも振り回されっぱなしというわけにはいきませんからね。例え滅することができなくても、一目でもその姿を見られたら大した進歩ですよ」


 ――そう。今までと違った変化が、起きようとしていた。
 挑戦状には『主人部屋で待っておるぞ』と、美しい妖志乃の字で書かれてあったのだ。
 つまりそこに、妖志乃がいる――。


「幼児化、老化はアンティークの鏡を破壊すれば終わるそうですし、どちらにせよ主人部屋には行かねばなりません。その後どうなるかは、妖志乃と開拓者の方々次第でしょう。とにかく、開拓者を集めましょう。全てはそこからです」
「……はい」


■参加者一覧
リンスガルト・ギーベリ(ib5184
10歳・女・泰
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
雁久良 霧依(ib9706
23歳・女・魔
クリス・マルブランシュ(ic0769
23歳・女・サ


■リプレイ本文

●アヤカシが支配する鏡の世界へ
 四人の開拓者はいろいろな意味でドキドキしながら、洋館の扉を開けて中に足を踏み入れた。
 妖志乃(iz0265)がここにいる――挑戦状に書かれていた言葉を信じるならば、緊張は隠せない。
 それでもリンスガルト・ギーベリ(ib5184)は番天印を手でギュッと握り締め、鏡の世界を燃えるような赤き瞳で睨み付ける。
「姿が幼児化したり、老化したりする鏡を持つ小鬼を洋館に解き放つとは……。妖志乃め、相変わらずふざけたアヤカシよ。見つけ次第、すぐに滅ぼしてくれようぞ」
「そうだね。ホントはこの洋館ぐらいなら、あたし達のスキルを使えばすぐに全壊することができると思うんだけど。……でもそれじゃあ妖志乃は姿を見せてくれないよねぇ」
 リィムナ・ピサレット(ib5201)は物騒なことを明るく笑いながら言うも、隣を歩くクリス・マルブランシュ(ic0769)の表情は暗い。
「妖志乃が久々に挑戦状を出してきたかと思えば、こんな罠を用意しているとは……。鏡の世界なんて、感覚がおかしくなりそうですよ」
「でもある意味、妖志乃って妙だけど変に面白いアヤカシよね。ちゃんと前もって挑戦状を開拓者ギルドに送ってきて、内容通りの事件を起こして……。『開拓者のことを知りたい』という気持ちがあると言うけど、本心はどうなのかしらね?」
 雁久良霧依(ib9706)は楽しそうにクスクスと笑いながら、廊下を歩く。
 片眼鏡・斥候改を身に付け、スキルの瘴索結界・念を発動させながら、小鬼の出現場所を特定しようとしたリィムナの表情に険しさが浮かぶ。
「む〜ん……。この世界には瘴気が満ち溢れているせいで、上手くアイテムもスキルも使えないなぁ。首にかけてきた『美しき者の鏡』だけが、有効に効きそう」
 リィムナの胸元には『美しき者の鏡』があり、少し気落ちしながらため息を吐いた。
「まっ、敵の領域内ではそういうこともあるじゃろう。小鬼が出てきたら、とにかく倒せば良いのじゃ。でもまあ無駄かもしれんが、この鏡を一応攻撃してみようかのぉ」
 真剣な顔付きになったリンスガルトは、番天印を鏡に向けて攻撃を放つ。しかしバシッ!と白い光が炸裂したものの、ヒビが一つも入らなかった。
「チッ! やはり例のアンティークの鏡とやらを破壊しない限りは、意味がないらしい。ならばとっとと前に進むぞ!」


●小鬼襲来
 バタバタと廊下を走る四人の上左右の鏡の中から、首から鏡を下げた青い小鬼と赤い小鬼が複数ニョキッと姿を現してくる。
「コレはまた凶悪な顔付きの小鬼達ですね。性根の悪さが見えますよ!」
 クリスは刀・長曽禰虎徹の刀身を鞘から引き抜き、構えた。そして躊躇いもなく赤鬼の前に出ると、頭のてっぺんから真っ二つに斬り裂く。断末魔の叫びを上げながら、赤鬼は黒い煙と化して消滅した。
「あら、ステキ♪ 思わず惚れちゃいそうよ、おサムライ様」
 クリスの素早い攻撃を見て、霧依はうっとりする。
「鏡に姿が映るよりも早く、子鬼を斬られれば良いんですけどね。……まあそんなに簡単に物事は運ばないでしょう」
 続いてクリスは天井近くにいた赤鬼に斬りかかったものの、鏡にハッキリとその姿を映してしまう。
 瞬時に五歳ぐらいの子供の姿になってしまったクリスは勢いが衰えたせいで落ちるも、空中で体勢を整えて無事に着地する。
「くぅっ! しかしこの姿でも戦えます!」
 今度は力強く床を蹴ると小さい体は勢い良く飛び上がり、赤鬼の頭上まで来た。クリスは小さくなった刀を振るい、小鬼の首をはねる。そしてクルクルと回りながらクリスが床に下りると、青鬼が自分に向かって飛んでくるのを見てギョッとした。
「クリスっ! その青鬼の鏡に映り、元の姿に戻るのじゃ!」
 どうやらリンスガルトが青鬼の後ろに回って蹴り飛ばしたらしく、クリスは後ろに身を引いてわざと鏡に自身を映しながらも刀を振るう。
「……ふう。戦いの攻略法は分かりやすくて良いのですが、突然変わるとやっぱり戸惑いますね」
 元の姿に戻ったクリスは、青鬼が消滅していく姿を見ながら安堵のため息を吐く。
「ちっ! 脚絆・瞬風で攻撃を避けていても、限界はあるのぉ。ここいらで一気に数を減らすとするか」
 リンスガルトは仲間達から距離を取ると、スキルの崩震脚を発動させた。
「このスキルは自分だけではなく、近くにいる仲間達をも巻き込んでしまう少々厄介なものでな。それでも受防を低下させられれば、攻撃が当たりやすくなるというもの!」
 次に番天印を懐にしまったリンスガルトは腰に下げていた殲刀・秋水清光を鞘から抜いて、刃を小鬼達に向ける。
「荒っぽいやり方になるが、致し方あるまい!」
 そして動きが鈍くなった小鬼達を斬っていく。しかし赤鬼と青鬼の鏡に次々と映っていくものだから、幼児化したり老化したりと忙しくなる。
 リンスガルトの凄まじい気迫を察した小鬼達は、徐々に数多く向かっていく。
 あまりの数の多さに、リンスガルトの額には汗が流れた。
「ったく……。数だけは無駄に多いのじゃな! 妾を狙ったこと、後悔させてやるのじゃ!」
 リンスガルトはスキル・神龍煌気(M)を発動させて、両手・両足の爪を巨大化させて振り下ろしてくる小鬼達の攻撃を避けながら斬っていく。
「さて、恋人があんなに頑張っていることだし、あたしも頑張ろうっと」
 リィムナはふと表情を無にすると、襲いかかってきた赤鬼に対し、スキルの黄泉より這い出る者を放つ。
「うぅ〜ん、敵の数が奥へ進むにつれて増えていくわねぇ。まとめて倒しちゃった方が楽よね」
 霧依はその眼に怪しげな光を宿すと、片手で持っていた錫杖・ゴールデングローリーを両手で持ち、ブリザーストームを発動させた。周囲が白く染まる中、霧依の周囲にいた小鬼達は次々と消滅していく。
 だがそこで、リンスガルトのスキルが切れる。
「はぁはぁ……、大分数は減らしたと思うが……」
 思わず床に膝をついてしまったリンスガルトの前に、突如赤鬼が降り立った。
「リンスガルト殿っ!」
 鏡の中の自分と眼が合ってしまい、動けなくなったリンスガルトの危機に、近くにいたクリスが駆け付ける。赤鬼が腕を振り下ろす前に、斜めに斬り下ろした。
「リンスガルト殿、大丈夫……ではなかったようですね」
 クリスは三歳ぐらいになってしまったリンスガルトを見て、残念そうに項垂れる。
 リンスガルト自身は鏡に映った自分の姿を見て、絶叫を上げた。
「にゃっにゃんじゃこの姿わぁ〜!」
「ああっ……! でもとても可愛らしいです。できればじっくり見ていたいですが……」
 そこまで言ったクリスを、リンスガルトはジロッと睨む。
「いっいえ、とにかく青鬼を捕まえてきますね!」
 クリスは慌てて小鬼達の群れに向かって行く。
「ふんっ! ちっちゃくなっても開拓者なのにゃ! 先を急ぐのにゃ! ……って、リィムナ! 離すのにゃ!」
「ああ〜んっ! 幼いリンスちゃん、かあいい〜♪ このまま連れて帰りたーい!」
 小さくなったリンスガルトの体を、後ろから抱き締めるリィムナはスリスリと頬ずりしてくる。
 少し離れた場所から、霧依がこちらに熱視線を向けてきた。
「ホントに食べちゃいたいぐらいに可愛いわよ、リンスちゃん」
 しかしそんな二人に、一匹の青鬼が襲いかかって来る。リンスガルトは小さくなった番天印を取り出すと、青鬼の鏡に映りながら攻撃を放った。
「ふう……、元に戻れたのじゃ」
「リンスガルト殿、そちらに青鬼が行きましたよ!」
 だがクリスはまだリンスガルトが幼児化していると思っていたらしく、わざと青鬼をこちらに向かわせる。
「くっ……!」
 鏡を揺らしながら近付いて来た青鬼に、リンスガルトは慌てて番天印を放った。
 青鬼は倒せたものの、鏡を持っていたリィムナは無事であったが、リンスガルトは七十歳ほどの老女になってしまう。
「わあ! 老女になっても、リンスちゃん綺麗だよ。老練な女帝って感じで、カッコイイよ♪」
 リィムナはうっとりと、リンスガルトの老女姿に見惚れる。
 しかしリンスガルトは鏡に映った自分の姿を見て、顔を引きつらせた。
「ふんっ! 年老いても、妾は現役開拓者なのじゃ! なめるなよ、アヤカシ共がぁっ!」
 小鬼達に向かって番天印を撃ちまくるリンスガルトを横目で見ていた霧依のすぐ前に、突然赤鬼が降って来る。
「アラ、イヤだわ」
 爪の攻撃からは避けたものの、鏡に映ることは避けられず。
「霧依殿っ!」
 急いで走って来たクリスが赤鬼を斬り捨てたものの、霧依の姿は五歳ほどの少女になっていた。
「ああっ、間に合いませんでしたか。霧依殿、すぐに青鬼を……」
「あら、私、子供の姿になっちゃったのね。……でも最高に可愛いわ」
 壁の鏡に映っている自分の姿を見て興奮している霧依に、クリスは何と声をかけて良いのか分からなくなる。
「クリスさん、青鬼パース!」
 そこへリィムナが、青鬼をこちらに殴り飛ばしてきた。
「霧依殿、こちらを向いてください!」
「えっ?」
 くるりと振り向いた霧依の姿は、青鬼の鏡にバッチリ映る。
 そして霧依の姿が元に戻ったのを見て確かめた後、クリスは青鬼を後ろから斬った。
「……短い春だったわ」
「霧依さんは今が旬だから、そのままで良いよ」
 心底残念そうに呟く霧依に、リィムナは作り笑顔で言葉をかける。
 だが鏡に近付き過ぎていた霧依の真横から、新たな青鬼が出現した。
「あらん?」
「霧依殿、ぼ〜っとするではない!」
 青鬼が持つ鏡の中の自分としっかり眼が合った霧依は瞬時に動けなかったが、かわりに元の姿に戻ったリンスガルトの番天印が飛んでくる。
「六十歳ぐらいかしら? なかなか良い熟女じゃない。大人の女性の魅力がタップリよ♪」
 それでも霧依は嬉しそうに、鏡の前でポーズをとった。
「……もうそやつは置いて行こう」
「りっリンスちゃん、気持ちは分からないでもないけど、一応連れて行こうよ」
 リンスガルトとリィムナが話し合っている中、クリスは赤鬼の首根っこを捕まえて霧依の前に突き出す。
「はい、霧依殿。いつもの姿に戻ってください」
「はぁーい」
 渋々霧依は元の姿に戻ると、数メートル先に茶色の扉があることに気付く。
「……もしかしなくても、あそこが主人部屋かしら? だったらもう遠慮して戦うことはないわね」
 霧依はデリタ・バウ=ラングルの詠唱をはじめる。
 霧依から発するただならぬ気配を察した三人の開拓者達は、彼女から距離を取った。
 そしてその場にいた小鬼達は、霧依が発動させたスキルによって全滅する。


●妖志乃との初対面
 主人部屋の扉を蹴り破ったクリスの眼に映ったのは、部屋の奥の壁にかけてある金色の額縁のアンティークの鏡から、無数に小鬼達が生まれ出る光景だった。
「くっ……! 流石にここの小鬼の数は半端ないですね!」
 刀を握りなおすと、片っ端から小鬼達を斬っていく。
 リンスガルトは再び神龍煌気(M)を発動させながら、刀で小鬼達を斬る。
「とにかくあの鏡を破壊するのじゃ! そうしなければ、いくら小鬼らを斬り捨てても意味がないぞ!」
「そうだね。とりあえず目標はあのアンティークの鏡だよ」
「破壊したら、妖志乃が姿を現してくれそうね」
 リンスガルトは一気に駆け出すとアンティークの鏡に向かって五神天驚絶破繚嵐拳にて蹴りを入れ、リィムナも再び黄泉より這い出る者を発動させて、霧依はアイシスケイラルを放った。
 三人の開拓者のスキル攻撃を受けた鏡は蜘蛛の巣のようなヒビが入り、とうとう割れる。額縁が鏡の破片と共に床に落ちるが、そこから大量の瘴気がふき出してきた。
「うぅっ……! 流石に鏡の世界を作り出しただけあって、凄い瘴気ですね」
 クリスは鏡から噴出してくる瘴気から、顔を背ける。
 そしておさまった後、しかしほっとする間もなく、割れた鏡の前に一人の美少女が立っていることに気付く。いつの間に現れたのか、音も気配も無いその存在は明らかに人間離れしている。
「……もしかしなくても妖志乃ですね? 何故今まで散々まわりくどいことをしておきながら、今頃になって姿を現したのですか? あなたの行動は謎だらけですが、その目的を倒す前に一応聞いておきましょうか」
 クリスが挑発的な言葉をかけながら、刀の切っ先を妖志乃に向ける。
 しかし妖志乃は優雅に笑う。それこそ悪意も殺意も無い、無邪気な笑みを浮かべて、慈愛深く四人を見つめていた。
「あたしとは結構長い付き合いなんだから、喋ってくれてもいいんじゃないかな? それともこういう挨拶が必要かな!」
 リィムナは二ヤっと笑うと、黄泉より這い出る者を妖志乃に向けて放つ。
 しかしパシンッと当たった音はしたが、妖志乃は何のダメージも受けていないように見える。
「どういう仕掛けか分からぬが、これでどうじゃ!」
 リンスガルトは神龍煌気(M)と五神天驚絶破繚嵐拳を発動させながら、妖志乃に向かって蹴りを入れた。バキンッという音と共に、かたい感触がリンスガルトの足に伝わる。
「……この感触、まさか」
 驚くリンスガルトを見て、霧依はアイシスケイラルを発動させようとしていたが止めた。
「どうやら遊んでいたのは、私達だけだったようね」
 顔に険しさを表す四人の目の前で、妖志乃の全身はヒビが入って割れる。すると床には割れた鏡の破片と共に、アンティークの銀色の額縁が落ちた。
 その瞬間、四人は自分達が現実の世界に戻って来たことを感じる。

 ――そこでようやく、妖志乃の挑戦状に書かれてあった本当の意味を知った。
 挑戦状には『金縁のアンティークの鏡を破壊すれば、小鬼達は消滅する』と書かれてあったが、鏡の世界から出るには妖志乃が姿を映していた『銀縁のアンティークの鏡』を破壊する必要があったのだ。
 恐らく最初に破壊した鏡の下にもう一枚の鏡があり、そこに妖志乃は姿を映していただけ。だから声は出なかった。
 自分が姿を現した途端、攻撃されるのが分かっていての作戦だったのだろう。


「今回は姿を見るだけで、終わりましたか。でもいずれは決着をつけましょう、妖志乃。あなたは必ず私が滅します」
 クリスは刀を鞘におさめながら、床に落ちた残骸を睨む。
「ふんっ! その首、洗って待っておるといいわ」
 リンスガルトは悔しそうに、鏡に背を向けた。
「そうだね。いずれは追い詰めて、倒してあげよう。さて、その前にスキルの閃癒でみんなを回復するね」
 リィムナは普段の明るさを取り戻し、にっこり微笑む。
「噂通りの変わったアヤカシだったわね。できるならオトモダチになってくれると嬉しいんだけど」
「「「霧依(殿)(さん)っ!」」」
 三人から怒鳴られ、霧依は舌を出しながら肩を竦めた。


<続く>