【踏破】準備〜興志王〜
マスター名:天田洋介
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: やや難
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/06/12 21:07



■オープニング本文

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 嵐の壁を突破するのに必要な『開門の宝珠』が神楽の都に比較的近い栢山遺跡に眠るという。噂される新大陸の是非は置いておくとして朱藩も対応に動き出す。
 興味をそそられた興志王は非常に積極的であった。開門の宝珠の発見そのものについては開拓者ギルドの活躍に任せ、この先、訪れるであろう嵐の壁の突破についてを夢想する。
 興志王を含めて誰もが飛空船の特需を想像していたが、特に商人達は敏感であった。船体用の木材や補強に使う鉄骨材の買い付け。宝珠に関してはいきなり生産量が増える訳ではないので市場在庫を奪い合う様相を呈してきた。潤沢な地域もあるかも知れないが、少なくとも朱藩の首都、安州ではそうである。
 当然、中古飛空船の価格も跳ね上がっていた。
「前に食ったタコ焼きもうまかったが‥‥このソース焼きそばっていうのもイケルな」
 安州内にある飯処・満腹屋で腹を満たしていたのは興志王。朱藩の王はざっくばらんに街をうろつくのが大好きなカブキ者である。
 よく知る街の人々なら興志王への対応も気軽だ。満腹屋の人々の態度も一般人に対してとさほど変わらない。せいぜいサービスで大盛りになる程度だ。
「どこかいらなくなった飛空船、ないアルか? 高く買い取るアル。買い取り募集のチラシを作ったアルよ。貼ってよろしいアルか?」
「呂さんなら構いませんわ。ですが次のソースの仕入れ値、少しおまけしてもらえると助かるのですけれど」
「あいやー、わかったアルよ。鏡子さんは商売うまいアルね。いいお嫁さんになるアル」
「ふふふっ♪」
 商売人の旅泰らしき男と店の女性給仕の会話が興志王の耳に届く。
(「中古の飛空船もやはり高騰中か‥‥」)
 興志王はふと思いだす。
 空賊や反乱に荷担した氏族から没収された飛空船は一旦解体されるのだが、貴重な宝珠は再利用の為に取り出される。
(「取り出した宝珠は新しい飛空船で使われるので無駄にはならねぇ。だが、それはかなり先の話だ。おそらく大部分の宝珠は新大陸の需要に間に合わずに死蔵されることになる。だが‥‥」)
 考え込んだ後で興志王は『これだ!』と叫んで立ち上がった。
「興志王様、どうかなされたので?」
「なんでもねぇ。ありがとよ。そこの旅泰の兄ちゃんの分も俺のおごりだ。釣りはいらねぇから残りは姉ちゃんがとっておいてくれ」
 女性給仕に代金を支払うと興志王はご機嫌な様子で外に飛びだす。と思われたが一度戻ってきて皿に残った焼きそばを胃にかき込んだ。礼節を大切にしているとはいえない興志王だが食べ物は粗末に扱わなかった。そして今度こそ張り切った様子で店を出てゆくのだった。


■参加者一覧
紅鶸(ia0006
22歳・男・サ
守月・柳(ia0223
21歳・男・志
七郎太(ia5386
44歳・男・シ
景倉 恭冶(ia6030
20歳・男・サ
和奏(ia8807
17歳・男・志
セシル・ディフィール(ia9368
20歳・女・陰
磨魅 キスリング(ia9596
23歳・女・志
勧善寺 哀(ia9623
12歳・女・巫
フィーネ・オレアリス(ib0409
20歳・女・騎
不破 颯(ib0495
25歳・男・弓


■リプレイ本文

●山間の基地
 暮れなずむ頃。早朝に朱藩の首都、安州を飛び立った超大型飛空船『赤光』は山間の基地へと着陸した。
「興志王殿が仰っていたようにたくさんの飛空船がありますのね」
 地上へと降りた磨魅 キスリング(ia9596)は整列されているたくさんの飛空船を見渡す。
「地上に近づいてから気づきました。土地と同系色の布を被して空からはどれだけの飛空船が着陸しているのか、わかりにくくされていたのですね」
 磨魅に答えるようにフィーネ・オレアリス(ib0409)は呟く。
 彼女達がいう通り、山間にある朱藩・昴飛空船基地はひっそりと目立たぬように運営されていた。赤光のような目立つ超大型飛空船がこの地に着陸するのは稀。没収した飛空船の中に一隻だけ大型が混じるだけだ。小型がかなりを占めていて四分の一程が中型となっている。
 まだ日が高いので敷地内の状況を知る為に開拓者達は興志王と共に散策を試みる。
「兄者、これはトゲトゲ鉄突の改造船ですねぇ。体当たりをするつもりだったんだろうなぁ」
「相手の外壁に深く刺さって抜けなくなったらどうするつもりだったんだろうな」
 不破 颯(ib0495)は興志王と話しながら飛空船を見上げた。
 それにしても面白い事を興志王は考えついたものだと感心していた不破颯である。ざっと野ざらしにされている飛空船だけでも百隻は下らない。格納庫に仕舞われているのも含めれば百二十にはなるだろう。解体せずとも即戦力になりそうな飛空船も多く含まれているはずである。
(「興志王‥相変わらず面白い考えを持たれる方だ‥」)
 守月・柳(ia0223)はセシル・ディフィール(ia9368)、景倉 恭冶(ia6030)と一緒に行動しながら興志王と不破颯の会話に耳を傾ける。
「中古飛空船が高騰中との事。王と同じように解体前の飛行船を再利用しようと考える人が居てもおかしくはないですね‥」
 セシルが船体の底を触る。まだしっかりとしていて壊すにはもったいなく感じられた。
「もし賊が狙うとしたら‥‥このだだっ広さからいって飛空船で狙ってきそうやね」
 セシルが触っている飛空船を景倉恭冶は軽く叩いてみた。
「空賊、野盗か‥‥。貴重なものは大変だわね」
 高騰する飛空船市場について勧善寺 哀(ia9623)もよく知っていた。誰から見てもこの飛空船でひしめく基地は宝の山に違いない。もっとも売り捌いたり活用する術があればの話だが。
「建造された当初はどなたの持ち物だったのでしょうか‥‥」
 和奏(ia8807)はある野ざらしの一隻に目を留める。金蒔絵の虎の図が扉に填め込まれていた。元はかなりの有力者の所有物だったに違いなかった。
「興志王さまって妙に行動力があるよね。まぁ、慎重すぎて全く動けないのよりずっといいけど」
 七郎太(ia5386)は一隻の飛空船の甲板まで登って周囲を見下ろす。
 今回二十名の職人と一緒にやってきたが、数が数だけに点検で手一杯になるはずである。しばらくこの基地では昼夜の境目がない日常が続くのであろう。
「ここに集められている飛空船。使いようによっては、非常に大きな戦力になりますね。もしかするとこの一件、朱藩の運命を左右することになるかもしれませんね」
 焦臭い雰囲気を感じとった紅鶸(ia0006)はそう仲間達に語りかけるのであった。

●警戒
 護衛が開拓者達の役目とはいえ、飛空船の再利用が依頼主・興志王の目的である。
 開拓者達は滞在中、基地周辺の警戒に携わる。不穏な気配が取り越し苦労で済めばそれでよいと。
 壱班は景倉恭冶、守月柳、セシル。
 弐班は和奏、七郎太、磨魅。
 参班は勧善寺哀、フィーネ、不破颯、紅鶸。
 基地を三つの区画に分けてそれぞれの班が受け持った。
 合間に興志王の様子見を兼ねて作業風景を確認する開拓者もいる。
 宝珠類の取り付けと同時に一番注意しなければならないのは船体の剛性である。高性能な宝珠が取り付けられていたとしても全速を出せなければ意味がない。空中分解してしまったらすべてが水泡に帰してしまう。
 職人達が木槌で軽く船体を叩いてゆく。音によって歪みや内部の割れている個所を探すのだという。
 その頃、遠方で昴飛空船基地を観察する者が二人いた。何日か前から茂みに隠れて張り込んでいた怪しき者達である。
「決行は明日の夜明け寸前がよさそうだな」
「そうだな。お頭にはそういっておこう」
 言葉少なに会話した二人は山奥へと消えてゆくのだった。

●襲撃の時
「空が白んできたわ。もうすぐ夜明けね」
 セシルは傍らにいる炎龍のイグニィに話しかけながら明るくなってきた方角へと振り返る。イグニィ単独で警戒してもらおうと考えていたのだが、少し不安が残ったので一緒に飛んで戻ってきたばかりのセシルである。目の上に右の掌でひさしを作って山の合間からの朝日を眺めようとしていた。
「え?」
 奇妙な感覚に襲われたセシルは目を凝らす。志体持ちであっても太陽を直視するのはとても危険なのでそらし気味に。
「妙って、ど、どれやね?」
 壱班の景倉恭冶も朝日の方角に視線を向ける。冷静さを装っていたがまだまだ女性が苦手の景倉恭冶だ。
「はっきりとはしないが‥‥、ここは仲間に連絡した方がよさそうだな」
 壱班の守月柳は呼子笛を取りだす。すでに用意していたセシルと共に仲間への連絡として笛を吹いた。
 弐班と参班の七人が合流する頃にようやく事態が判明する。風の流れによるせいか、ほんの一瞬だけ黒い点が太陽を背にしてこちらに飛んでくるのがわかった。
「おそらく飛空船でしょうね。しかしこんな時間に到着とは。夜間飛行でもしてきたのならわかりますが」
「興志王さまや基地の人からは聞いていないよ。今日運ばれてくる没収の飛空船はないって。だから安心していたんだけどねぇ」
 紅鶸と七郎太が情報を整理する。
「つまり、あの飛行船は朱藩が集めているものではなくて何かしらの賊が乗っている可能性が高いという事ですね」
「そうですね。警戒を伝えましょう」
 フィーネと話した磨魅が駿龍のブリュンヒルトに乗って哨戒をしている望楼へと連絡しに飛び立つ。
「この近づいてくる音からすると‥‥、飛空船は一隻だけではないようです」
 和奏が音から接近してくる飛空船が三隻以上ではないかと想像する。後にわかるが、実際には五隻の飛空船が襲来しようとしていた。
「巫女は私だけみたいだから、治療優先で動くわね」
 勧善寺哀は後方に控える事を参班の仲間達に伝える。
 やがて基地内で警鐘が鳴らされ始めた。鐘音は各望楼に伝達され、広い敷地の基地ではあったが隅々まで響き渡る。
 興志王を含めた昴基地と赤光の者達は各施設の護りを厳重にする。施設内にある飛空船は改修終了直前の船体が多くあり、また施設内にはとても貴重な宝珠が保管されているからだ。
 それに万が一にも興志王が所有する超大型飛空船『赤光』が空賊などに奪われたのなら世間の笑い者である。末代までの恥といってもよいだろう。
 大きな問題として残るのは基地敷地内に並べられている飛空船群である。
 格納庫の問題から野ざらしとはいえ必要な保全を施してあって決して塵扱いではない。それどころか宝珠を外していない船体も含まれている。飛び立とうとすれば可能な船体が四分の一。これらの船体を空賊に奪われる訳にはいかなかった。
 開拓者達は見張り時と同じく三つの班に分かれて配置についた。そして急襲した空賊等との戦いに突入してゆくのだった。

●壱班
「そっちは任せたぞ!」
「任されたんやね!!」
 赤光甲板の興志王に大声で返事をしたのは景倉恭冶。壱班は赤光近くの敷地を護る。
 着陸待機中の赤光は二隻の空賊中型飛空船から対地攻撃を受けていた。空賊等もまさか本当に赤光を奪えるとは考えていないはずである。おそらくは威嚇と陽動であろうが、対処をおろそかには出来なかった。
 興志王達が動けない代わりに壱班の開拓者達は飛空船を空賊に奪われないように駆け巡った。
(「大事な船を奪わせはしませんよ!」)
 セシルは大龍符で式を打ち、侵入の為に飛空船の扉を破壊しようとしていた空賊へ幻の龍を襲わせる。それだけでは終わらせずに本物の炎龍のイグニィにも頑張ってもらう。とにかく空賊を飛空船に取りつかせない事を第一に考えたセシルである。斬撃符によって注意を自分に引きつけるのも忘れていなかった。
(「まさかとは思っていたが‥‥」)
 飛空船の屋根部分で状況を窺っていた守月柳は心眼によって空賊の動きを把握する。赤光に近づこうとする空賊五人を見つけるとすぐに炎龍の風花を呼び見せる。そして低空を一気に飛んで空賊三人を狙った。
 風花の背中から飛び降りた守月柳は横踏による身のこなしで空賊が振り下ろした刃をすり抜ける。姿勢を崩して踏鞴を踏んだ空賊の腹に刀の峰を食らわせて動けなくした。
 その間、暴れている風花に残る空賊二人は気を取られていた。隙をついた守月柳は二人の掌から武器を落とす。
「殺しはしないから安心しろ」
 空賊三人を荒縄で縛って飛行不可能な飛空船に押し込むと守月柳は仲間に加勢した。
「空賊のあんたら、こっちやね!」
 飛空船に乗り込もうとする多数の空賊を見つけた景倉恭冶は、咆哮で自らに注意を向けさせた。飛空船を奪われるのは同時に空賊を取り逃がす失態にも繋がる。誘き寄せながらも剣気で威嚇し、とにかく飛空船を奪われないように努めた。
 そこに炎龍のイグニィを駆るセシル、炎龍の風花を操る守月柳が現れる。
「ここは龍でやらせてもらんやね!」
 景倉恭冶も待機させていた駿龍の夢彈を呼び寄せて背中に飛び乗った。攻防は激しくなり、ほんの一瞬だけ空賊が飛空船を浮上させる事態があったものの、壱班の開拓者達は龍との連携によってすぐに着陸させる。
 壱班は対峙したうちの七割の空賊を捉えた。そして目前で奪われた飛空船は一隻も存在しなかった。

●弐班
「東側、侵入者ありましたわ!」
 愛刀で空賊の刃を弾きながら鳴子の音を聞いた磨魅は弐班の仲間に向けて叫んだ。事前に鳴子を用意して各所に取り付けておいた磨魅である。
 注意すべきは殺さずに捕縛する事。事前に興志王から受けた指示だ。もちろん味方側の命が関わる場合はその限りではないのだが。
 数こそ多いものの、今のところ対峙してきたのは普通の者で志体持ちではなかった。注意さえ払っておけば気絶させるのは簡単である。
「ちょっと揺さぶってみましょうか」
 駿龍の颯に跨った弐班の和奏は、低空を旋回している空賊側の飛空船目がけて浮かび上がった。いくら基地の飛空船を奪うために地上に降りたとしても、母船がなければ空賊も焦るはずである。そうなればこちらも対処がしやすくなるというものだ。
 和奏は駿龍の颯に大きな翼を羽ばたかせて空賊の飛空船に衝撃波をぶつける。墜落して巻き添えがないように慎重に事を運ぶ。
「これだけの数だと大変だね〜」
 手裏剣で空賊等の足を狙っていた七郎太だが、あまりの数に攻撃手段を刀へと変化させる。漸刃で一気に狙って地べたに空賊等を這い蹲らせた。
 そして十人目。七郎太は遠方から砲で狙ってくる空賊に実力を感じとる。一発が肩に命中し、二発目も避けるのがやっとだ。あまりの腕のよさに志体持ちだと判断した。
 磨魅に合図を送ってここは二人がかりで志体持ちらしき砲術使いの空賊を狙う。護る仲間が頼りになるのなら別だが、空賊のそれらは普通の者。七郎太と磨魅にとっては走るのに邪魔なちょっと大きめの石程度に過ぎなかった。
 志体持ちの空賊を捕縛した直後、七郎太と磨魅はこの基地に唯一の大型飛空船の危機を知る。和奏にも状況を伝えて急行したのだった。

●参班
「また大勢降ってきたもんだねぇ」
 地面に横たわるボロボロの飛空船の中で参班の不破颯は戦っていた。四方八方に開け放たれた窓や穴があり、それでいて身を隠す盾にもなる。弓術師にとって非常に有利な場所であった。
 仲間の支援も含めて、不破颯は地上へ降りてくる空賊等を次々と矢で大人しくさせてゆく。駿龍の瑠璃には混乱が起きるように時として暴れてもらった。
 戦闘が一段落すると空賊等を参班の仲間達と一緒に縛って、すでに壊れている飛空船内へ閉じこめる。これの繰り返しが行われていた。
 ちなみに紅鶸の案により、捕らえた空賊がいる飛空船の周囲に龍が配置される。
 その紅鶸は咆哮で空賊を挑発し、敵自ら集まってくるようにし向けて戦っていた。長槍を振り回して一気に払う。
 そうこうするうちに手強い空賊とぶち当たる。志体持ちだと感じた紅鶸は実力のすべてを発揮する。槍先が志体持ちの空賊の身体をかすめ、また逆に敵の刃が紅鶸の頬を撫でてゆく。血を飛び散らせながら戦いは続いた。
 途中から不破颯の弓矢による援護も加わって紅鶸が相手を気絶させるのに成功する。
 手強い敵だったと感慨に耽る暇もなく、次の空賊・中型飛空船が地上すれすれを飛んできた。飛空船から垂らした縄を伝って空賊等が地上へと降り立つ。
「これなら‥‥。任せて下さいね」
 駿龍のヴァーユを駆るフィーネは空賊・中型飛空船へ覆い被さるように飛ばした。仲間の龍二体も加わり、空賊の飛空船を軟着陸させるのに成功する。参班の者達が乗り込んで制圧し、敵の意図とは逆に開拓者側は飛空船を手に入れた。
「人の殺し合いを見るのはあんまりいい気がしないわね」
 勧善寺哀が呟いた。気絶させるように仲間達は心得ていたが、戦いの風景はそのものである。
 捕らえた空賊を押し込めた飛空船に新たな空賊が近づこうとすれば力の歪みで転倒させる勧善寺哀だ。時間稼ぎさえしておけば、後は参班の仲間が対処してくれる。
 勧善寺哀は神風恩寵によって仲間の傷を癒すのを主として動いた。時には他の班の仲間の回復にも手を貸す。
 長く感じられた空賊との戦いであったが、時間にすれば約三十分の出来事である。
 捕らえた空賊の数、三十八名。
 空賊が乗ってきた中型飛空船五隻のうち三隻は開拓者側が確保。
 改修前の大型飛空船も空賊に奪われる事なくすべてが終了するのだった。

●そして
 開拓者が戦いの最中に使った品は興志王の命令で補充される。
 また予定に時間的余裕があったので赤光によって朱藩の首都、安州に戻る頃には誰の身体も完全に回復していた。
「ざっとだが五十隻はあの基地から飛空船を確保できそうだ。助かったぜ!」
 依頼のすべてが終わる。興志王は神楽の都へと戻ってゆく開拓者達を見送るのだった。