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■オープニング本文 前回のリプレイを見る 理穴の儀弐王が願った幼なじみである波路雪絵の失踪調査。消えたといわれる宿場町で開拓者達はいくつかの痕跡を発見する。 特に鏃と矢羽根に関しては儀弐王の心を揺さぶった。非常に忠誠心の厚い理穴の有力氏族『綾記家』の特徴が見て取れたからだ。 後日、儀弐王は開拓者達を連れて綾記家を来訪して調査。軟禁されていた雪絵と再会する。そして病に伏せていた当主の明全を問い質した。 明全によれば雪絵が嫁ごうとしていた鶴時家には深遠な知恵を持つアヤカシが巣くっているらしい。真実を知るために間者を放ったものの全員が闇に葬られてしまい、確証は得られていなかった。 鶴時家へ入る前に攫うしか雪絵を助ける術はなかったと明全は釈明する。 すべては自分の責任と自害しようとする明全だが儀弐王は止めた。沙汰はすべてが明らかになってからでも遅くはないと。 ●理穴の首都、奏生 雪絵の身柄は秘密のまましばらく綾記家に預かってもらう事となった。軟禁の間も大切にしてもらっていたから平気だと雪絵本人が了承したからだ。 儀弐王は奏生の城で武天から取り寄せた栄堂の小豆桜餅と茶を前に考え込む。好物を頂いて気持ちを休めようとしていたのだが、どうしても頭から離れないものがある。 (「理穴の有力氏族である鶴時家に巣くうアヤカシ‥‥。それが本当ならば見過ごすわけにはいきませんが――」) 雪絵の嫁ぎ先である鶴時家は儀弐家とも繋がりがあった。かといって綾記家の時と同じように鶴時家にも儀弐王自らが乗り込むと角が立ちすぎる。 ひとまずだが雪絵の身柄は今、儀弐王の目の届くところにある。特に信頼する臣下を雪絵の護衛として綾記家に出向済みだ。油断は禁物だが一安心の状況といってもよい。 「鶴時君義‥‥」 儀弐王は雪絵の夫となるはずだった鶴時家次期当主の名を呟く。儀弐王とも比較的血の繋がりが濃い親戚だが特に親しい訳ではない。 明全のいう事が正しいとして、果たしてアヤカシは誰なのか。 君義なのか、それとも他の鶴時家の者か。 一人のみか、複数人か。 何もわかっていなかった。 綾記家が失敗したのを知っていながら、再び間者を鶴時家に忍び込ませるのは愚考だと感じていた儀弐王である。 「ひっそりと調べるのが無理ならば‥‥。派手にやるしか方法はありませんね。開拓者ギルドに連絡をとりましょう」 手にしていた爪楊枝を二つに折った時、儀弐王はある考えを思いついた。 |
■参加者一覧
井伊 貴政(ia0213)
22歳・男・サ
鴇ノ宮 風葉(ia0799)
18歳・女・魔
天河 ふしぎ(ia1037)
17歳・男・シ
剣桜花(ia1851)
18歳・女・泰
各務原 義視(ia4917)
19歳・男・陰
神鷹 弦一郎(ia5349)
24歳・男・弓
設楽 万理(ia5443)
22歳・女・弓
トーマス・アルバート(ia8246)
19歳・男・弓
ルエラ・ファールバルト(ia9645)
20歳・女・志
パラーリア・ゲラー(ia9712)
18歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ●準備 森奥の拓けた土地に一隻の中型飛空船。開拓者十名は儀弐王が手配した操縦士と共に訪れる。そして夜が明けると中型飛空船に手を加え始めた。 「どうせ空賊に見せるなら、徹底的にやらなくちゃ!」 大きな瞳をさらに見開いた天河 ふしぎ(ia1037)は、手にした筆の先を朱色の塗料の中に沈める。徐に取り出し、ざっとドクロの絵を船体横に描いた。 「こういう偽造工作はできるだけやらないと。こんな感じでいいですかね?」 各務原 義視(ia4917)は天河が船体に描いたものと同じ図柄の旗を作り始める。 「聞き込みに潜入に、今度は強盗やれって? ‥‥あの無茶振り王も、堂に入ってきたわね」 鴇ノ宮 風葉(ia0799)は中型飛空船の上部に寝転がりながら近くの木になっていたビワを囓る。そして天河のがんばりをのんびりと傍観する。 「強行偵察。流石思い切りが良いわね、儀弐様も」 設楽 万理(ia5443)は儀弐王の配下に用意してもらった面頬をつけて鏡を眺める。 口元と頬が隠れているので誰だかわからないはずである。理穴氏族の設楽万理にとって面が割れるのは何かと面倒なので事前の策だ。 「鶴時さんのトコから儀弐王の黒茶碗を強奪しよ〜。死して屍拾う者無しなのにゃ〜♪」 パラーリア・ゲラー(ia9712)のは黒猫の面。ほっぺたにある桃色のハートマークがチャームポイントだ。 「重音お姉さんのためにがんばるねっ」 黒猫の面をつけてぐっと拳を握るパラーリアだ。 「授かった時と同じ箱と包みならばこのような物なのだな」 神鷹 弦一郎(ia5349)は儀弐王の配下からもらった黒茶碗の図を確認する。事前の潜入が禁止されているので判明している情報は少なかった。 神鷹は設楽万理と一緒に黒茶碗を捜索するつもりである。 「要は、押し入り強盗の真似事をしてやればいいんだろう? どうせやるからには派手に‥‥と行きたい所だな」 トーマス・アルバート(ia8246)は弓の手入れに余念がなかった。 「乗りかかった船というやつですかね」 井伊 貴政(ia0213)は見取り図を卓に広げて敷地内の建物の位置を確認する。こちらも黒茶碗の図と同じく儀弐王の配下が用意してくれたものだ。 「この呼子笛が成功の鍵になるかも知れませんので」 ルエラ・ファールバルト(ia9645)は中型飛行船から離れて呼子笛を吹いた。戻ると事前に頼んでおいた仲間に音が聞こえたかを教えてもらう。 (「こっそりと用意しないと」) 剣桜花(ia1851)は誰にも見つからないように船内の片隅で布きれを手にしていた。何やら企んでいる様子である。 準備が整うと全員が空賊仕様に簡易改造された中型飛空船へと乗り込んだ。離陸の時は鶴時家の敷地に辿り着くまでを逆算して決める。 操縦士がゆっくりと空賊・飛空船を宙へと浮かべる。目指すは鶴時家の敷地であった。 ●急襲 開拓者十名は相談の末、役割を分担しての突入を決めていた。 巫女壱班は鴇ノ宮、天河、ルエラ。 巫女弐班は井伊貴政、剣桜花、各務原。 黒茶碗を探すお宝班は当初二班が考えられていたものの、それぞれの意見が食い違って編成が見直される。 お宝壱班は設楽万理と神鷹。 お宝弐班はトーマス。 お宝参班はパラーリア。 つまりお宝班は三つとなった。 暗闇の中、ドクロを掲げた空賊・飛空船が鶴時家敷地の上空に到達する。 夜空は曇っていて月光や星明かりすらなかった。鶴時家敷地内で燃やされている篝火を目印に中型飛空船は急降下を開始する。 「了解。‥‥別に、倒しちゃっても構わないんでしょ?」 「ええ、遠慮はいりません。 がつんと痛い目にあわせてやって下さい団長」 外部扉近くの取っ手に掴まりながら鴇ノ宮は剣桜花へ振り返り、にんまりと笑顔を浮かべた。 まず敷地内に降りたのはお宝班の面々。掴まっていた縄を放してうまく屋敷の屋根や木の枝へ飛び移る。 中型飛空船は一旦旋回して今度は巫女班の者達が庭へと降り立つのだった。 ●空賊の心意気 巫女壱班 「みんな行くよ‥‥この旗の元、僕達は必ずアヤカシを見つけてみせる!」 天河が腕を伸ばすと髑髏の外套が広がって風になびいた。 庭には襲撃を知った鶴時家の家臣達が集まりだす。 「あの『ぺったん何とか』と書かれた旗の下を狙え!」 鶴時家の誰かが上空で旋回している空賊・飛空船を狙うように大声で指示を出す。 「えっ?」と見上げた天河は表情を引きつらせる。宝珠の輝きで浮かび上がっている旗にはドクロはなく『ぺったんピンチ!』と書かれてあった。 天河に見つめられた各務原は静かに首を横に振る。各務原が用意した旗は確かに船体と同じドクロの図柄。後に判明するのだが旗を交換したのは剣桜花であった。 巫女班は予定通りに二つの班になって散開する。 巫女壱班はルエラを先頭にして敷地内を突き進んだ。 「このままだと埒があきません。茂みの方から屋敷に近づきます」 ルエラは迫る敵の攻撃を薙刀で払う。 理穴の氏族は弓術師。刀よりも弓の扱いに長けた者達だ。距離が空いた戦闘では不利になるのが目に見えていた。 (「この敵数は‥‥‥‥否、アタシ達に勝てない相手なんていない」) 鴇ノ宮は心の底から沸いてきた不安を抑え込んだ。浄炎で牽制してルエラの援護をし、屋敷への突入を試みた。 「さぁみんな、お宝のありかを探すんだ!」 旗のショックから立ち直った天河は鶴時家の家臣達にも聞こえるようにわざと大きな声で宣言する。 宝物が隠されている部屋を探す為に巫女壱班は屋敷内の廊下を駆けめぐった。走るつもりはなかった鴇ノ宮も天河が手を引くので仕方なくついて行く。 「右の障子裏、三枚目に一人いるよ!」 天河は心眼で潜む鶴時家の家臣を捜し当てた。 敵の隠れている場所がわかれば対処はしやすい。しかし手強い相手と遭遇してしまう。 廊下奥で弓を構えていた鶴時家の家臣は志体持ちであった。わずかな灯りの場でも正確な矢が巫女壱班に襲いかかる。 怪我するのを承知で薙刀を手にルエラが飛びだす。 天河は心眼で志体持ちの動きを叫んだ。 ルエラが志体持ちをおとなしくさせると、鴇ノ宮は閃癒で回復を図るのだった。 ●巫女弐班 「臨兵闘者皆陣列在前」 九字護法陣における九字を切った各務原は空賊・飛空船から飛び降りた。手には白羽扇。 天河から旗についてを訊ねられて首を横に振る。 各務原、井伊貴政、剣桜花の巫女弐班は壱班と別の棟へと向かう。屋敷は広いので範囲が重ならないように探す配慮だ。 「降りかかる火の粉はなんとやら」 刀「乞食清光」を振るうのは井伊貴政。迫り来る相手の溝打ちや顎を刃のない部分で弾いた。峰打ちを心がけながら鶴時家の家臣達を退けてゆく。 飛んでいる矢の多くは片腕に取り付けた長方盾でやり過す。手ぬぐいで口元を隠して井伊貴政は迅速な動きをみせていた。 「なかなか見つかりません」 瘴索結界を周囲に張った剣桜花はアヤカシの存在を探る。鶴時家の家臣達との戦いは各務原と井伊貴政に任せてアヤカシ探しに集中する。 屋敷内は暗く、途中で奪った提灯を手に巫女弐班の三名は廊下を駆けた。 「賊よ! そこまでだ!」 廊下の袋小路へと踏み込んでしまった巫女弐班を鶴時家の家臣達が塞いだ。 「感あり!」 その時、剣桜花が近くに瘴気を感じとる。 「ここは任せてもらいましょう」 井伊貴政は刀と盾を構えて一歩を踏み出す。 「少しお待ちを」 各務原はアヤカシの存在をはっきりと確認するために、知覚の一部を人魂で作った鼠に乗り移らせて暗がりの廊下を走るのだった。 ●お宝壱班 そして弐班 「少し待ってね」 設楽万理は木を伝って建物へ入る前に弓「朏」を構える。そして魔を払うかのように鏡弦によって弦を弾いた。 知り得るのはアヤカシの位置。しかし範囲にアヤカシの影は見あたらなかった。 「屋敷の全貌はわかっていませんが、母屋にあるとすればおそらく奥だ。そうでなければ頑丈な蔵にあるはず」 神鷹は見当をつけて設楽万理と共に廊下を走る。 すでに襲撃は広まっており、屋敷内は大騒ぎになっていた。こっそりと探せるはずもなく、まもなく屋敷の者と遭遇して戦いになる。 とはいえ六名の下っ端が相手。志体持ちの二人にとって敵ではない。設楽万理はダーツと手裏剣、神鷹は苦無と使いやすい投擲を用意していたのも大きかった。 「この国の王から授かったという黒茶碗。どこにあるか知っているわよね?」 設楽万理は気絶させた一人を起こして尋ねる。口を割らせてみたものの、確たる証言は得られなかった。 お宝壱班の二人は屋敷を出て蔵へと向かう。するとお宝弐班のトーマスを発見する。 「片方の蔵にはお宝参班のパラーリアが潜入したようだ。俺はまずこの辺りを掃除しておいたのだが。アヤカシはどうだ?」 「それがこの周辺にはいないようなのね」 トーマスのいう通り、気絶させられた蔵の番人達が地面の至る所に転がっていた。トーマスの質問に答えた設楽万理は、今一度弓を弾いて鏡弦でアヤカシを探る。二戸前の蔵の周囲でもアヤカシの存在は感じられなかった。 「では、俺達はこちらを探ってみよう」 苦無で錠前を壊した神鷹が蔵の戸を開くと独特の臭いが鼻についた。 篝火から拝借したたいまつを掲げながらお宝壱班と弐班は蔵の中を探り始めるのだった。 ●お宝参班 時は少々遡る。トーマスが蔵の番人達をおとなしくさせている最中。 「めんどうだにゃ」 パラーリアは二戸前のうちの片方の蔵の錠前を弓矢で打ち抜いて破壊に成功した。強射「朔月」はとても便利である。 黒猫の仮面をつけたパラーリアはさっそく潜入する。小型の提灯で暗闇を照らしながら。 外に見張りはたくさんいたものの、中には一人もいなかった。高床部分の床板に積もった埃に足跡すら残っていない。かなりの間、この蔵の奥に立ち入った者はいないのだろう。 「見つかったにゃ〜。‥‥でも簡単過ぎるにゃ」 運がよかったおかげもあるが、パラーリアはすぐにそれらしき品を発見する。 高そうな布袋から木箱を取り出す。蓋を開けてみると黒茶碗が収められていた。儀弐王から授かった旨を示す書も入っている。まず間違いなく目的の黒茶碗である。 パラーリアには気になった点があった。蔵の中には多くのがらくたがあり、高価な品のはずなのに黒茶碗の扱いはぞんざいに感じられた。 気を取り直したパラーリアは黒茶碗を元の状態に戻す。そして蔵の屋根に登ると武天の呼子笛を二回吹いて仲間達に発見を知らせるのだった。 ●アヤカシは何処 パラーリアのすぐ後に別の場所でも笛が吹かれて響き渡る。 場所は屋敷の東にある棟の奥。笛を吹いたのは巫女弐班の剣桜花。 「あの老女に違いありません」 剣桜花が指さしたのは鶴時家当主の妻『梔』であった。 (「どうする?」) アヤカシと遭遇したのなら討ちたいと考えていた井伊貴政だが状況に躊躇した。 梔を取り囲むように守るのは女子供ばかりである。今の状況だと楓を倒すには立ちふさがる全員を倒さなくてはならない。 「梔様をお守りしろ!」 薙刀を手にした若い女性達が列を作って巫女弐班を三名を睨んだ。 「これ以上は政の領分。退き際を弁えることも名将の資質」 各務原が井伊貴政と剣桜花に撤退を提案する。部屋を埋め尽くす程の女子供を一人も殺さずに梔に刃を突き立てるのは不可能だと。 梔の他にアヤカシの存在がないのを確認し終えると巫女弐班は撤退する。笛の音を聞いて駆けつけようとしていた巫女壱班と廊下の途中で会った。 「‥‥潮時ね」 巫女壱班も同意して一緒に庭へと飛びだす。 上空で待機していた空賊・飛空船が低空飛行を始めた。開拓者達は庭を駆けて空賊・飛空船から垂らされた縄ばしごへと飛び移る。 屋敷や蔵の屋根で待機していた仲間達も掴まって全員が乗船を果たす。地上からの矢が届かない高度まで上昇すると一安心である。 「あ!」 旗の取り替えを思いだした天河が剣桜花を追いかけ回すのだった。 ●理穴の首都、奏生 鶴時家の襲撃後、開拓者達は奏生の城を訪れた。儀弐王への報告の為である。 部屋に通されてしばらくすると儀弐王本人が現れた。謁見の広間でないのは重大な秘密の為だ。 「これが黒茶碗だにゃ」 まずはパラーリアが黒茶碗の袋入り木箱を儀弐王に差し出す。 「確かにこの黒茶碗で間違いありません。ご苦労をかけました」 儀弐王のお墨付きがあってほっとする一同だ。 「偉大なるG様の御加護で無事任務を達成できました。詳しく述べますと――」 剣桜花は鶴時家当主の妻、梔がアヤカシだという見解を儀弐王に語る。G様についてを剣桜花が詳しく喋り始めると各務原が遮った。 「国王陛下におかせられましてはご機嫌麗しゅう存じます。報告書はこちらですので、ますは確認して頂きたく――」 各務原は顛末を記した巻物を儀弐王に提出した。ルエラも協力したものである。 「詳しくはそれに書かれてあるはずですが――」 井伊貴政は梔を倒そうとした際、女子供に阻まれた事実を儀弐王に自らの口で伝える。 何かしらの術で操られていたのか、それとも本当に慕われていたのかまではわからなかったが。 「それで構いません。約束を守ろうとすれば自ずとそうならざるを得ませんので」 儀弐王は裏表なく井伊貴政に頷いた。 「儀弐王様、雪絵様は壮健で在られますか?」 「雪絵については逐次連絡が入っています。安心してください」 設楽万理は儀弐王の役に立ちたいと常々から考えていた。傍らの弓ではなく、敵を倒す矢のように。 「‥‥次はアンタがアタシを助けなさいよ? 借りを作ったままの王なんて、アタシは王と認めない」 鴇ノ宮は儀弐王へと近寄って握手を求める。ジルベリア風の挨拶だ。 お手玉の挑戦程度なら大目にみようと考えていた各務原だが、さすがにまずいと考えたのか鴇ノ宮を羽交い締めにして下がらせようとする。迷ったようだが天河も手伝った。 「開拓者ギルドを通じての依頼です。無料奉仕ならともかく、依頼金の支払いで互いに貸し借りなしと考えていたのですが違うと仰るのでしょうか?」 「そうじゃない。心意気の問題でしょ」 儀弐王は一瞬考えた。そして立ち上がり、まだ羽交い締めにされていた鴇ノ宮と握手をする。鴇ノ宮だけでなく開拓者全員と握手を交わす。 「またの機会はおそらくあるでしょう。優先して手伝って頂けると助かります。王という立場ゆえに理穴の民を第一に考えなければなりませんが、みなさんについても心に留めておきます。それが私の精一杯です」 儀弐王は侍女に茶の支度をさせて部屋まで運ばせる。暫しの間、開拓者達と歓談するのだった。 |