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■オープニング本文 前回のリプレイを見る 泰国は天儀本島と離れた地。嵐の壁によって隔たっていたものの、今では飛空船での往来が可能である。多数の群島によって形成され、春王朝天帝と諸侯によって治められていた。 帝都の名は朱春。 春王朝天帝の名は春華王。十一歳の時に帝位へと就き、今もまだ少年であった。 天帝宮とは天帝が住まう朱春内の広大な施設である。 様々な施設が内包されているが、その中の一つに古今東西の知識が詰まった書庫も存在する。十数人の司書が住み込み、書物の収集や補修、編纂を日々行っていた。 その書庫へと春華王が毎日顔を出し始めてすでに二週間が経つ。 (「この中にもないな‥‥」) 常春としてお忍びで訪ねた朱春西方の町『丸角根』での体験が書庫通いのきっかけである。なるべく古い文献を当たって『曾頭全』を調べ直す。 曾頭全が歴史に登場するのは春王朝と東春王朝が戦った『春王朝・梁山時代』。春王朝歴九百二十年頃から千年頃まで。天儀暦で数えると四百年頃から四百八十年頃を指す。ちなみに現在は天儀暦千十二年だ。 勝者は東春王朝であり血統は今に連なる。当時は東春王朝と呼ばれたものの、時代を経るに従って単に春王朝といわれるようになっていた。 春王朝・梁山時代の出来事について諸説あると聞いていたが実際呆れるほど多い。 (「真実を隠すためにわざと流したのかも知れない‥‥」) 春華王にはどれも真実に見えて嘘にも思えた。 曾頭全が悪というものが全体の八割を占める。残り二割については天帝宮の書庫だからこそ簡単に閲覧出来た内容であり、大学などの他所ではあまり見かけられないもののはずである。 何かしらの取っかかりがあれば、あるいは虚実を見破る方法もあるかも知れず寝室にまで書物を持ち込んで読みふけった。 「地図が違う? ここの川はなくなっているし」 春華王はいくつかの書物に描かれてある泰儀の地図にかなりの相違点を発見する。 ただ現在においても軍事上の理由からわざと間違った地図を公式とする場合もある。戦乱の世ならなおさらだが、とにかく春華王は気にかかった。 『丸角根』からの報告が伝わってきた日を境にして春華王の書庫通いはひとまず終わる。偽春華王と曾頭全が起こした施しと暴動についての報告書に目を通す。 (「うまく自分達の失態の部分は隠しているようだけど‥‥んっ?」) 真実を知る春華王にとってはため息が出る内容であった。しかし一つだけ知らない情報が含まれていた。 それはつい数日前、南部のある町で偽春華王が秋刀魚を配付したというもの。泰国の獣人『猫族』はこの時期、月を敬うために秋刀魚を捧げる儀式を行う。 泰儀の海ではアヤカシの活動が激しく、ここのところ秋刀魚の不漁が続いていた。徐々に解消されているようだが内陸の地までは行き届いていない様子である。 「猫族儀式のための秋刀魚を配っているのか‥‥。邪魔をすればおそらく批判を受けるのは私たちのほうになる‥‥」 『曾頭全』の施しによる懐柔と洗脳は阻止したいところだが、民の誹りを招く結果にもなりかねない。 「そうだ。この手がある!」 そこで春華王は思いついた。偽春華王を含む『曾頭全』が秋刀魚を配付する前に、自らがやってしまおう。年に一度の儀式のためなら人々の増長も招かないであろうと。 『春嵐号』が使えれば問題ないのだが未だ建造中。完成まで早くてもう一ヶ月はかかる。そこで高鷲造船所の所長に相談して商用飛空船を借りることにした。 もう一つ大事なのが秋刀魚だ。こちらはかなり苦労したのだが、軍部の知人を介してある離れ小島周辺の漁師達との約束を無事取り付ける。 「こちらの募集、お願いします!」 お忍びで町中へと出かけた春華王は常春として開拓者ギルドへと駆け込むのだった。 |
■参加者一覧
伊崎 紫音(ia1138)
13歳・男・サ
パラーリア・ゲラー(ia9712)
18歳・女・弓
ルンルン・パムポップン(ib0234)
17歳・女・シ
朱華(ib1944)
19歳・男・志
ライ・ネック(ib5781)
27歳・女・シ
嶽御前(ib7951)
16歳・女・巫 |
■リプレイ本文 ●秋刀魚 朱藩・安州の高鷲造船所で飛空船を借りた開拓者達は泰国の帝都、朱春へ。常春を乗せるとすぐに離陸し、万年雪が積もる中部の高山を目指す。 『見えたよ〜。進行方向の右寄りにある山だよね、常春くん』 伝声管によるパラーリア・ゲラー(ia9712)の声が操縦室に響いた。望遠鏡を覗きながら目を凝らした常春も高山を目視する。 「あれで間違いないです。すまないけど機関室に移動して宝珠のお守りをお願いするね」 『わかったのにゃ♪』 常春は伝声管でパラーリアに指示を出すとルンルン・パムポップン(ib0234)へと振り返る。 「それでは向かいますね、坊ちゃん」 「お願いするね、ルンルンさん」 主操縦席に座っていたルンルン・パムポップン(ib0234)は飛空船の進路を変更。十五分後には真っ白な高山へと差し掛かる。 『異音はないよ〜』 『機関安定しています。いつでも着陸どうぞ』 機関室のライ・ネック(ib5781)とパラーリアからの返答によって飛空船は降下開始。 『着陸場所に障害物は見あたりません。大丈夫ですね』 船倉下の窓に待機していた伊崎 紫音(ia1138)は雪面をつぶさに観察した。飛空船は安定したまま山の中腹に拓けた真っ白な地へと着陸を果たす。 「まずは腹ごしらえしましょう。ここまで急いだのでちゃんと食べていませんし」 嶽御前(ib7951)が持ってきた木箱には多種多様のおにぎりが。全員でおにぎりを頬張りながら、これからのことを再確認する。 「急遽来られなかった仲間の分も頑張らないとね」 常春は自らお茶を淹れて仲間へと分ける。 敵組織『曾頭全』がすでに配付してしまった土地に秋刀魚を配付したとしても効果は薄い。秋刀魚は腐りやすいので、多くの猫族は当日に月へ捧げる儀式そのものを済ませてしまっているだろう。 まだの土地についても優先順位をつけるべきだとルンルンは提案する。下調べは任せて欲しいと胸をどんと叩くルンルンだ。 お腹がいっぱいになったところで雪集めが行われる。日暮れまでにはまだ余裕があった。 「どの雪もきれいですね」 野外に出た伊崎紫音は雪を眺めて安心する。秋刀魚を冷やすためのものなので泥などがついていないものを考えていたが、その心配は杞憂に終わる。 「さてとここはニンジャパワーで一気にいきましょう」 「一気に片づけて仕舞いましょうか」 ルンルンとライは氷のようになった雪の上をものともしない。用意されていた鋸で立方体状に斬りだす。 「ここはガドリングボウの出番なのにゃ」 パラーリアは戦弓で多数の矢を一気に放って一列に並んだ穴を雪中に開ける。それを何度か繰り返すと少々の衝撃で箱状に切り取ることが出来た。 数が揃ったところで用意してあった筏へと載せて飛空船まで運ぶ。ほんの数メートルで大した距離ではなかった。 「あまよみで見たところ、しばらく天気は崩れることないでしょう。それではいきましょうか」 「せいのうでっ!」 嶽御前と伊崎紫音は船倉内に箱状の雪を運び込む。わざと飛空船を傾かせてゆるやかな下りの斜面を作り上げていたので志体持ちなら余裕な作業だ。 「次は船尾部分にお願いー」 常春は船倉内の高所で雪のたまり具合を外の仲間達へと知らせた。全員で協力して三時間後には必要分の雪が積み込み終わる。 「結構涼しいものだね。というか寒いや」 「雪とか氷はたくさんまとまると、とけにくくなるようですね」 自分の両肩をさする常春に伊崎紫音が微笑んだ。 いつもなら夜間飛行は危険なのでこのまま一晩を過ごすところだが、少しでも時間の短縮を考えて離陸する。泰国南部の漁村を目指すのであった。 ●町の様子 翌朝。 「それでは坊ちゃん、行って参ります」 「気をつけてね」 飛空船がわざと高度を下げている間にルンルンは甲板から飛び降りた。急速に近づく枝へと掴まると回転することで勢いを殺して無事着地する。 「秋刀魚、お願いしますね〜。さてっと」 遠ざかる飛空船に手を振ったルンルンは丘を駆け上がる。仲間達が秋刀魚を手に入れるまでの間に常春が予定する周辺の町を調べるつもりでいた。 「ああ、それなら知っている。昨日だったかな?」 「教えてくれますか?」 ルンルンは訪ねた町で曾頭全による秋刀魚配付の噂話を訊いてみる。特に行商人からの情報は貴重だ。幸いといってはおかしいのだが、曾頭全は事前に告知してから来訪する場合が多い。絶対ではないので注意は必要だが、おかげでこちらは裏をかくことが出来る。 「えっと‥‥この町には四日後、ここも同じ。きっと立て続けに秋刀魚を配付するつもりですね」 隣町へ移動の途中に休憩を挟む。ルンルンは水筒の水を飲みながら自ら書いたメモを確認した。 すでに秋刀魚が配付された土地は二カ所あったが一週間前の出来事なので勘定には入れない。 曾頭全が予定する一番間近な配付は三日後。出来ればこの日までに猫族が多く住むすべての土地に配り終えるのが理想といえた。 「よし、坊ちゃんのためなら一肌どころか何枚でも脱いじゃいますよっ」 休憩を終えたルンルンはひた走り。崖や淵をものともせず、跳び越えて一直線に次の町を目指すのだった。 ●漁村 ルンルンが各町で調査を行っていた頃、飛空船の一行は泰国南部の漁村へと到着する。 ちょうど帰港したばかりの漁船には秋刀魚が満載。さっそく飛空船への積み込みが始まった。 「少しでも早く積み込めれば、それだけ配付が早く終わるのにゃ」 パラーリアの案で秋刀魚は直接漁船から積み込まれる。高鷲造船所にお願いした滑車などの積み込み用器機はちゃんと飛空船に装備されていた。 網で持ち上げられた多量の秋刀魚が飛空船の後部開閉扉へと吊される形で運ばれる。 飛空船の船倉内は砕かれた氷状の雪が敷き詰められていた。その上に網から解放された秋刀魚が落とされてゆく。 「ありがとうございます。明日も今の時間にお願いします」 「わかったぜ。がんばってきなよ。秋刀魚好きの猫族のやつらにもよろしくな!」 常春が漁船の船長に挨拶をしてから飛空船へと戻る。船倉内ではさっそく秋刀魚の仕分けが行われていた。 「急ぎましょうね」 「すぐに配付出来るように」 伊崎紫音と嶽御前は配付用の麻袋に秋刀魚を入れてから雪を注いだ。常春も袋詰めを手伝う。 嶽御前とライはしばしの間、飛空船から離れて漁村内で情報を仕入れていた。 「曾頭全と呼ばれる組織をご存じではないでしょうか?」 「知らないねぇ。ただ秋刀魚の買い付けをしようと見知らぬ商人が最近やってきたね」 「どのような商人だったのでしょうか?」 「あんまり覚えていないね。最初から秋刀魚を売るつもりはなかったからね。あんたは港にある飛空船に乗ってやってきたひとだろ? 普段はよそもんに売ったりしないんだよ、うちの漁師達は。余程のコネがあるようだね」 嶽御前は曾頭全がこの周辺で活動していないかを探る。怪しい団体が秋刀魚の買い付けに失敗していたが曾頭全の名は隠していたようだ。 「こちらの町なのですが、交流はありますか?」 「どうだったかな、聞いたことはないんだが――」 ライはこれから向かう地域の町々について訊ねた。 内陸に新鮮な魚を運ぶには飛空船輸送しか手段はない。しかし普段の漁村は近隣からの買い付けで十分に商売が成り立っている。 嶽御前とライは同様の情報を得てから飛空船へと戻った。 報告を聞いた常春は複数の証言で確信する。アヤカシが退治されて漁獲が増えたとはいえ、普段繋がりのない漁師から秋刀魚を仕入れるのに曾頭全は苦労しているようだと。 常春は操縦室に。パラーリアは機関室へ。二人の操船で飛空船が離陸する。 嶽御前、伊崎紫音、ライの三人は船倉で秋刀魚の袋詰めを行う。 約三時間後、待ち合わせ場所としていた地点でルンルンを拾う。 「今日のところはこの町を優先すべきですよ、坊ちゃん」 「急げば夕方までには配り終えそうだね」 ルンルンからの情報でまず最初の町が決まる。 巡航から可能な限りの全速に切り替えて移動。三十分後の暮れなずむ頃、最初の町へと着陸するのだった。 ●秋刀魚の配付 「いきますね」 「せいの〜でぇっと♪」 甲板の伊崎紫音とパラーリアによって飛空船の両舷に垂れ幕がかかった。大きく『深茶屋』の屋号と秋刀魚の絵が描かれてある。 「みんなに坊ちゃんから、秋刀魚のプレゼントなのです! 目の黒い美味しい秋刀魚が一杯揃ってるんだからっ!」 真っ赤なサンタっぽい姿、『サンマクロース』となったルンルンが秋刀魚を載せた台を掲げて宣伝。おまけで友達の輪が広がる夜春を使う。 「猫族さんたちの儀式に使う秋刀魚を配付しています」 「今は回復していますが、しばらく不漁が続いていて手に入らなかった方も多いと思います」 嶽御前とライが配付用麻袋が入った巨大木箱を外まで運んだ。 「冷たい空気が涼しいにゃ」 「秋刀魚、本当に秋刀魚なのにゃ」 集まった猫族の人々から歓喜の声が沸き上がる。暑さでうなだれていた耳と尻尾がピンと張りを取り戻す。 「儀式用として猫族のみなさんを優先しますが一緒に祝う方々もいることでしょう。秋刀魚はたくさんありますので全員の分があります。順序よくお願いしますね」 常春が配付の手順を説明をしている間に伊崎紫音とパラーリアは地面に杭を打って縄を張った。一列に並んでもらえるよう通路を作り終えると配付が始まる。 「深茶屋、よろしくお願いします」 「今日獲れたばかりです」 嶽御前とライは深茶屋の屋号が入りの秋刀魚麻袋を次々と渡してゆく。 「ゆっくりとお願いするのにゃ〜。秋刀魚はまだまだあるよ〜♪」 「は〜い。そこのお兄さん、止まってくださいね」 パラーリアとルンルンは列の整理を担当する。 「大丈夫とは思いますが曾頭全が来たら、常春さんは直ぐに船に隠れて下さいね」 「わかった。心配してくれてありがとう」 伊崎紫音と常春は船倉内で麻袋を運んでいた。開閉扉の乗降部分は斜面になっており、端に置くだけで配付する仲間の側まで滑って行く。 力仕事を分担する意味で役割を時折交代する。 「はい! 秋刀魚どうぞ♪」 「美味そうな秋刀魚だな! いや、いけない、いけない。食べるとしても月敬いの儀式が終わってからだ」 猫族青年の前でセクシーポーズを決めてみたルンルンだが、彼の視線は麻袋の中の秋刀魚に釘付け。ついには気づかずそのまま去ってしまう。 「坊ちゃん〜、私の魅力が、秋刀魚に負けているのです〜」 「気にする必要はないさ」 ルンルンは側にいた常春にひしっと抱きついて瞳を潤ませる。しばらく頭を撫でてもらって元気を取り戻す。 日が暮れる前には麻袋の配付は終了。わずかに残った秋刀魚は今晩の夕食となる。野外の焚き火で塩焼きにされた。 月下の一行は夕食を頂く。 「歌声が聞こえます」 真っ先に気づいたライのいうとおり、耳を澄ますと遠くから唄が聞こえてくる。 「きっと月を敬う唄なのにゃ♪」 パラーリアが身体を揺らして音頭をとった。 「秋刀魚が役に立ってますね」 伊崎紫音は作ったばかりの秋刀魚のお刺身を仲間達の前に並べてくれた。 「猫族さん達は儀式が行えたようでよかったです。他の皆さんにも秋刀魚を喜んで頂けたようですし」 嶽御前は夜空に輝く月を見上げた。 「猫族さんたち、喜んでくれたようでなによりなのですっ」 すっかり元気を取り戻したルンルンは二尾目の秋刀魚の塩焼きを頬張る。 「唄はその土地ならではのものが多いとみたい。どれも月を敬う内容だとか‥‥」 常春はしばし目を閉じて届く唄に聞き入るのだった。 ●曾頭全 二日目も漁村で秋刀魚を手に入れて二カ所の町で配り終える。 そして三日目が訪れた。一日目に秋刀魚を配付し終えた町に曾頭全が現れる日付である。 一行が飛空船で今日の内に回る町は二つ。二日後に曾頭全が来訪する予定の地なのだが、繰り上げて現れる可能性は非常に高い。 「は〜い。一列にお願いしますねっ」 ルンルンは列の整理をしながら上空にも目を光らせる。 「こちらです。月敬いの儀式にご利用下さい」 ライは配付をしながら耳を済ます。 一行の誰もが曾頭全の飛空船到来を注意した。 常春は秋刀魚の配付に参加せず飛空船内の機関室で宝珠の出力を調整し続ける。いつでもすぐに飛び立てるようにと。 「常春くん、配り終わったよ〜。交代するね」 「ありがとう。後はよろしく頼んだね」 機関室にやってきたパラーリアと交代して常春は操縦室へと移動する。 「離陸、お願い」 「了解です、坊ちゃん」 主操縦席に座っていたルンルンは常春の指示で飛空船を離陸させた。船首を最後の町へと向けて全速力で飛ばす。 二十分弱で到着した最後の町でも秋刀魚を配り終える。 「ありがとうなのにゃ♪」 「どういたしまして」 この町の猫族は家族連れが多かった。しかも躾がよくて猫族の子供の誰もが丁寧に挨拶してくれる。 「来ました! 曾頭全だと思います!!」 ライが超越聴覚で遠くから届く飛行音に気づいた。名残惜しかったが飛空船は直ちに離陸する。 『まだ曾頭全側には気づかれていないようです』 『こちらからも曾頭全の進路変更は確認出来ないのにゃ』 船尾の嶽御前、甲板のパラーリアから伝声管による監視報告が操縦室に響き渡った。 「ギリギリまで低空飛行をお願い」 「任せてくださいっ」 常春に頷いたルンルンは飛空船を木々の間を這うようにして飛ばす。町からある程度離れてから高度をとって全速航行へと移行する。 最後まで気づかれなかったようで、一時間が経過しても追っ手は現れなかった。 「最後の秋刀魚を蒲焼きにしてみたんです。それをおにぎりの具にしてみました」 伊崎紫音が用意したおにぎりで全員が空いたお腹を満たす。誰の表情にも笑顔が浮かんでいた。 多くの猫族が無事月敬いの儀式を行えたことに常春は喜ぶ。そして手伝ってくれた開拓者達に感謝するのだった。 |