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遭都
【 遭都概要 】
 天儀朝廷は、名目上天儀全土を統治する政体である。
朝廷の歴史は古く、その成立は、少なくとも紙の発明以前に遡れるという。神代の時より伝えられる様々な伝承の中からあやふやな神話的伝説を排除すれば、群雄割拠する様々な氏族の中から、精霊より言葉を授けられた一族が飛躍して全土を統一したのであろうと考えられている。
かつては広大な国土を領していた朝廷も、衛士や神官らへの禄を給するのに困った挙句それぞれを北面や石鏡として独立させるなど衰退は進んでおり、華やかな印象とは裏腹に‥‥あるいはその華やかな印象を維持するために内情は火の車であるとも言われている。
朝廷の貴族たちの多くは、戦乱や政ごとなどの「煩わしきこと」を忌避する傾向も強く、大伴定家や藤原保家のような存在はむしろ珍しいとさえ言う。
もちろん現在でも、朝廷は名目上天儀全土を統治している。
あくまで「名目上」とされるのは、事実武天をはじめとする数ヶ国はそれぞれ独自の統治体制を確立しており、朝廷はこれに承認を与えているに過ぎないからで、それ故に、朝廷はたいへんな敬意を払われながらも、かつての権勢は既に無い。
とはいえ、宝珠を算出する遺跡の解放権限は朝廷が独占しており、開拓者ギルド設立にあたって中心的役割を果たしたこともあって、各国王もこれまで朝廷が築いてきた名声に対しては一定の配慮を認めている状況である。

【 元首 】
◆武帝(ぶてい)
本名:不明
年齢:21  性別:男  クラス:帝

天儀王朝の帝。
本名は秘密とされ、普段人前に姿を現すことも殆ど無く、詳細な人柄などは伝えられていない。
天儀における「帝」は朝廷における最高権力者。
精霊の代理人であり、名を呼ぶのは畏れおおいものとして「何々帝」との名を用います。現在の帝は「武帝」。一般的には「主上(しゅじょう)」「陛下」などと呼ばれる。
帝は代々「神代」を持ち、生まれた頃から身体に紋様が浮かび上がっている。これによって帝はあらゆる瘴気を受け付けず、また、天儀最高位の精霊の依り代となることができるという。
ただし、朝廷内部での祭事や儀式などは公表されておらず、一般人が容易に立ち入ることすら許されぬとあってか、実際にどのようなものであるのか確認する術はない。

【 三羽烏 】
 朝廷の貴人たちの中でも、特に優れた人物として挙げられていた三名。
大伴、藤原、豊臣の三者が、かつてはそれぞれ朝廷の「内政」「外政」「軍政」を司っていた。
現在は大伴定家のギルド長就任に伴い、大将軍が空位となっている。

【 主要都市 】
◆遭都(ほうと)
遭都は遥か昔から天儀の首都として機能していた都市である。
かつては天儀最大の人口を誇り、政治、経済、文化全ての面における中心都市であったが、現在は衰退著しく、経済力では神楽の都をはじめとする大都市に大きく水を開けられ、政治的にも象徴的な意味合いの強い都市となっている。
精霊門の存在は各地との取引を活発化させたものの、同時に、遭都の相対的地位を低下させることに繋がった。
しかしながら、精霊を奉ずる御所には重要な秘密が隠されているとも言われ、また、「遭都領」における最大都市は変わらずこの「都」である為、変わらず朝廷の――ひいては天儀の首都であり続けている。

【 遭都案内図 】
▼御所(ごしょ)
 天儀において最も象徴的な施設です。
平屋建ての木造建築で、歴史と伝統の刻まれた荘厳な雰囲気が漂う。
施設としての防御能力は無論、政治的な機能性もあまり高いとは言えません。政治面よりも象徴的意味合いに比重の移った御所の存在は、遭都の現状をよく示しているとも言われています。
帝が謁見をしたり、生活を送る施設でもあります。
構造的には「外苑」と「内苑」に別れ、更にその外側には美しい庭園が広がります。
一般的に、御所内部には許可を得た者しか立ち入ることが許されておらず、どこまで立ち入りを認めて良いのかまで、官位(位階)に従ってこと細かに定められています。
開拓者たちが認められているのは庭園から外苑までで、内苑は立ち入りが禁じられています。内苑の警備は朝廷の臣下らが数少ない手勢を割いて固め、各種精霊魔法による結界などが張り巡らされているようです。

▼「遭都」ギルド
遭都に居を構えるギルドです。
開拓者ギルドの本部は神楽の都にある為、こちらのギルドでは、主に遭都全域のギルド業務統括の他、朝廷との交渉などを担当しています。
規模の大きなギルドであり、朝廷とやりとりした公文書などが大量に貯蔵されています。
また、遭都に設置された精霊門はギルド施設内にありますので、精霊門を利用して遭都を訪れる者はすべからくギルドによって監視されています。不届き者が精霊門を利用するのは簡単なことではないでしょう。

▼朝廷図書館
朝廷の管理する大図書館です。
天儀各地で発行された様々な書物や、貴族たちが地方検分の際に記した書など、ありとあらゆる書物を収めていました。
しかしながら、財政難の煽りを受けて機能は縮小され、蔵書の殆どは神楽の都にある新図書館へと移されました。現在、遭都の図書館に残された書は門外不出のものが殆どで、一般公開はされていません。

▼四神門(ししんもん)
遭都の四方に構えられた四つの大門です。
小さな門は他にも幾つかありますが、大通りに直結したこの四門は規模も大きく、常に見張りの兵士が詰めています。
四門はそれぞれ北の「玄武門」、東の「青龍門」、西の「白虎門」、南の「朱雀門」と呼ばれます。中でも最も重要とされる南門「朱雀門」には、鬼退治の伝説が御伽噺として残されています。

▼上町(かみまち)
貴族たちの邸宅が集中する区画です。
自由に出入りできますが、区画の入り口には警備兵が立って往来を監視しています。

▼下町(したまち)
庶民たちの家が集中する区画です。
万屋などが店を構える商通り、露店市場、繁華街などもあります。
遭都の庶民たちは根も葉もない噂話が大好きです。

【その他の地域】
●鬼咲島
天儀南東の伊乃波島より更に南東へ遠く離れた、嵐の門近くに位置する魔の島である。
海底と島がセットになっており、海上に、海底丸ごとが宙に浮かぶ形で小島として存在する。島の直径は各地の都市部と同程度と考えられており、島のほぼ全域が魔の森に覆われていた。
この島が魔の森に侵食されたたのは五十年以上前。
全住民が退去して以降、この島はアヤカシの巣窟と化し、巣食うアヤカシは遠く伊乃波島まで被害を及ぼしていたが、第三次開拓計画の折、大きな砂浜と良好な入り江が確認された。この良港を確保するため、同地のアヤカシに対する掃討作戦が展開された。
アヤカシに脅かされながらも同地に留まっていた極少数の住人たちも保護され、伊乃波島に退去していた住民たちの帰還も始まり、同島は活気を取り戻しつつある。

●武神島
天儀大陸とは別の浮遊大陸に位置する武神島だが、歴史書を紐解けば朝廷の直轄地である。しかし第二次大規模探索計画が始まるまでは半ば放置されていた。その為、自治は現地出身者の賢人集会に任されている。
未開拓の土地といってよかった武神島だが、第二次大規模探索計画の進行、一般にジルベリア帝国との交流が始まった天儀暦980年頃から急激な発展をとげた。
開拓者ギルドの出張所があり、また精霊門も存在する。

▼気候
島の西海域は海底温泉の存在などによって比較的温暖だが、東海域は流氷が浮かぶほど寒冷な海が広がる。
ジルベリアほどではないにしろ寒冷な気候。十二月から二月まで土地は一メートル程度の積雪に覆われる。この頃の海岸は流氷でひしめくという。
高い山は存在しない。島の南部には針葉樹森が広がっている。
▼文化
文化的には天儀やジルベリアの影響が大きく、現地や泰の影響も若干ある。
伝統的には、手や足の隠れるほど丈の長い緋色に染めた着物などが主流。
建物についてはジルベリアからの影響が濃く、質のよい粘土を産出することから、また、森林資源を大切にしていることもあって、煉瓦造りが数多い。
米作はあまり望めず、主食として小麦やトウモロコシの利用が盛ん。米は多くを輸入に頼っている。料理はかなりジルベリア寄り。

▼住民
武神島に唯一ある街の名は『広地平』(こうちへい)。
武神島の北にある海岸線に面している。治安も維持され、平穏な街。第二次開拓計画時に建設された飛空船の係留所があり、天儀=ジルベリア間貿易における中継地点として活用されている。
居住者は天儀人と殆ど変わりなく獣人も数多く存在し「緋ノ衣衆」(ひのえしゅう)と呼称する。

▼アヤカシ
ここ十年程の間にアヤカシの出現が急増。
西部海岸におけるアヤカシ目撃情報が非常に多い。水中戦に適したアヤカシはもちろんのこと、飛行系や両生類型のアヤカシなども確認されている。
比較的浅い海底に魔の森が存在するのではないか、という噂がある。


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