天儀において、アヤカシは様々な名で呼び表されます。 アヤカシは脅威や災厄、危機の代名詞であり、怪談や絵画をはじめとして様々な芸術的題材にも取り入れられていますが、アヤカシが人間の生命を糧とする以上、相容れない存在であると言わざるをえません。 ▼アヤカシの特徴 ・アヤカシは瘴気が集積されることによって生ずる ・撃破されたアヤカシは瘴気となって霧散し消滅する ・人間など食事を摂っても排泄はされず、瘴気へと変換される ・アヤカシの多くは実体を持つが、瘴気そのものは姿を持たない ・一般的に出産などによる増殖は行われない アヤカシがいつこの世界に現れたのかは誰も知りません。 当初アヤカシは天儀の北東部にのみ出没していましたが、現在では天儀各地で観測されるに至っています。また、新たに接触した他の儀においてもアヤカシの存在は確認されています。 アヤカシは瘴気から生じます。瘴気は世界中に存在しており、中でも「魔の森」の内部には大量の瘴気が漂っていることから、魔の森には大量のアヤカシが出現し、特に強い力を発揮します。 彼らアヤカシは人々を殺してその命を奪い、瘴気と共に強大化していき、更なる被害をもたらします。 その姿は、野生動物に似たものから、植物や岩などの自然物、武器や鎧などの器物、人間そっくりな姿、果てはいかようにも例えられない異形に至るまで様々な姿のものが存在し、その姿と同様、その能力も千差万別です。 ▼アヤカシと瘴気 瘴気はアヤカシが生ずる源となる存在です。 アヤカシは瘴気の集積によって生じますが、多少の濃度では目で見ることはできず、その発生を事前に察知することは困難です。 瘴気そのものは世界中の至るところに存在しています。 魔の森は瘴気の海そのものとでも呼ぶべき土地ですが、それ以外では、墓場や古戦場などが特に多く、一方で神社や霊山などの俗に聖域と呼ばれる空間は瘴気が少ないと言われています。 |
▼魔の森と大アヤカシ 魔の森の最深部には「大アヤカシ」が存在します。 大アヤカシは「護大」と呼ばれる、巨大な体の一部らしき何かを取り込んでおり、一国の軍にも抗しうる強大な力を持つのみならず、瘴気を集積して魔の森を拡大させていきます。 全てのアヤカシはいずれかの大アヤカシに従っており、大アヤカシはアヤカシにとっての将軍、君主とでも呼ぶべき存在です。 かつて幾度と無く魔の森の討伐が試みられながらもことごとく頓挫していたのは、こうした大アヤカシとそれが率いるアヤカシの群れに各国が打ち勝つことができなかった為であり、これまで、各国の方針はアヤカシに対する「攻撃」ではなく「防御」、被害軽減に傾きがちでした。 しかしながら、儀暦1009年10月に大アヤカシ「炎羅」を撃破したことを皮切りに、大アヤカシもまた撃破しうることが証明され、そうした方針は徐々に変化しつつあります。 |
陰陽師とは瘴気の力を借りて「アヤカシ」を再構成した「式」を召還、使役する者たちのクラスです。 一見すると、アヤカシをケモノか何かのように自らの従者として支配するような印象を持たれがちな陰陽師ですが、実際には、アヤカシ化していない瘴気を集積して自らが望む「式」を構成することでこれを使役するのであり、アヤカシそのものを使役するわけではありません。 とはいえ、召還された式はアヤカシに近い存在であるために正確な制御が必要不可欠で、のみならず、それでも人体に有害である瘴気から身を守るため、陰陽師は大量の瘴気の他に微量の練力や精霊力を消費しています。 陰陽師にとってのアヤカシとは、再構成して使役する「式」であると共に、自らと社会に脅威をもたらす敵でもあると言えるでしょう。 もうひとつの側面として、陰陽師にとってのアヤカシは研究対象でもあります。 陰陽師の歴史は比較的浅く、他の氏族に比べて技術が体系づけて確立されていなかったことから、主に、五行国や同国の陰陽寮を中心として、その発展と探求に多大な労力が注がれています。 陰陽師にとって新たなアヤカシ、強力なアヤカシは、あらたな式を生み出すため、あるいはアヤカシという存在をより正確に解き明かすための研究対象でもあるのです。 |