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■オープニング本文 まあ、良くある話である。 忙しい両親がいて、放り出された、と言うわけでは無いが構って貰えない娘がいる。 寂しくて娘はある日、小さな嘘をついた。 窓を壊して、悲鳴を上げて 「泥棒が来た!」 と。 両親は大慌てで戻って来てくれて、娘を抱きしめてくれた。 周囲の人も集まり、心配してくれた。 友達も彼女の話を聞きたがった。 そして‥‥娘の嘘が始まった。 「泥棒が来た!」の嘘 「火事だ!」の嘘。 「アヤカシに襲われた!」の嘘。 最初は心配して集まっていた大人達もやがて相手にしなくなる。 親は彼女を注意したが彼女の嘘は止まず繰り返される。 そして親さえも彼女に何も言わなくなった頃、彼女はこんな事を街の子供達に告げた。 「私、森で妖精を見たの。森の広場でね、とっても小さくて綺麗な妖精がダンスを踊っていたのよ」 もちろん、誰も信じない。 「嘘つき娘の言うことなんか信じられるかよ」 「や〜い。嘘つき〜!」 聞こうともしない。 「今度こそ、本当なの! 本当なんだってば!」 少女は取り残され、一人泣きじゃくった。 ここまでは良くある話と言える。 だが 「‥‥君。妖精を見たのかい?」 一人の男が少女にそう声をかけ、やがて少女と共に姿を消したのは良くあってはいけない話だ。まして少女がその日の夜帰らないことなどは‥‥。 「娘を、アンジュを探すのを手伝ってくれませんか? 戻って来ないんです!」 「若い男がアンジュと手を繋いで森の方へ行ったと言う話を聞きました。でも、この時期の森に子供が行くなんて自殺行為です。アヤカシも出るし‥‥お願いです。探すのを手伝って下さい!!」 必死に訴えかける父母は、今にも自分達で森に飛び出して行きかねない勢いだった。 「私があの子の言う事を聞いてあげなかったから‥‥」 だから、係員は依頼の受理と引き換えに父母には家で待つようにと伝える。 下手に父母まで探しに行ったら二次遭難になりかねないからだ。 「両親が言うとおり、アンジュという娘が若い男と一緒に森に行ったと言う情報があった。男は二人分の食糧や防寒具、その他を買って行ったと言うから即座に凍死とかはないだろうがそれでも冬のジルベリアの森は危険すぎる。明日にはさらに冷え込み雪が降ると言う予想さえされている。 それに男と娘が一緒というのも別の意味で危険な話だ。事態は一刻を争うだろう」 場所は街から数里離れた森。 そう大きくもないが夜になればアヤカシやケモノが姿を現すと言う。 「なんとか急いで探し出してくれ」 開拓者達は既に暗くなっている外を焦りと共に見つめていた。 ゴホゴホゴホ。 乾いた咳を吐き出す青年の背中を少女は優しくさすってあげる。 「大丈夫?」 「ああ、大丈夫だよ。いつものことだから。ありがとう‥‥」 お礼を言われた少女は嬉しそうに微笑むと空を見上げた。 「お兄ちゃん。妖精さん、出てきてくれるかなあ? あの時はね、森に初雪が降ってたの‥‥でも雪降ってないし‥‥」 「大丈夫。きっと姿を現してくれるよ」 冬の森、空気さえも凍りそうな寒さに震え、天幕の前。 同じ毛布に包まりながら二人もまた同じ空を見上げていた。 冴えた星空にゆっくりと厚い雲がかかり広がろうとしていた。 |
■参加者一覧
山羊座(ib6903)
23歳・男・騎
射手座(ib6937)
24歳・男・弓
魚座(ib7012)
22歳・男・魔
アリス ド リヨン(ib7423)
16歳・男・シ |
■リプレイ本文 ●心配する両親と消えた少女 ジルベリアの12月。 幸い雪は殆どないが、その分空気が冷たい。 「へー。此処がジルベリア…あはは。寒いねー♪」 寒さはそれほど気にしないといえ肌を刺すような鋭い空気はやはり開拓者達の足を少し、滞らせる。 「星座様方。こっち、こっちっすよ〜」 慣れない寒さに多少ならず身を震わせる開拓者達であったが、アリス ド リヨン(ib7423)は元気そのもので手を振っている。勿論防寒を完璧に整えての事であるが。 「元気ねえ〜。でも、ここでこうしてもいられないわね。寒いし。早く行きましょうか?」 星座と呼ばれた開拓者達。 魚座(ib7012)の声に身を固くしていた射手座(ib6937)、そして地図を広げていた山羊座(ib6903)も頷く。 彼等の目的は救いを求めている人を救出すること。 その為にここに来たのだから。 互いの気持ちを確認するように頷きあうと、彼らは大地を踏み、依頼人の元へ歩をと進めたのであった。 「昨晩もアンジェは帰ってこなかったんです! お願いです! 早く探し出して下さい!」 そう訴える両親達の表情は青を通り越して白くなっている。 娘が冬空の中、戻って来なければ無理もない。 ギルドとの約束が無ければ森に探しに行っていたのは間違いないだろう。 「大丈夫っす。星座様方に任せておけば心配ないっすから」 アリスが両親をなだめているが、今日が分け目になるのは確かだ。 「必ず見つけ出す。だから、少し話を聞かせて貰えないか?」 力強い山羊座の言葉に安堵したのだろうか。 「は、はい」 両親達は少し冷静さを取り戻して事情を説明し始める。 裕福ではあるが、それ故に忙しい両親達はなかなか一人娘アンジェを構ってやることができなかったらしい。 最初は聞き分けも良かったが段々に嘘をつく様になってきた。 そして… 「また、嘘をついている、と思ったんです。それで、つい…そんな子は嫌いよ、と言ってしまい、あの子は家を飛び出して…」 「戻って来ない、ってわけだ。なるほど。それは大変だ。それで見知らぬ男と手を繋いで行ったらしいっていうのは? 誰が言ってたんだい?」 射手座が少し明るく問うと母親は、近所の子供達だと告げる。 目くばせした射手座に小さく頷いて山羊座と魚座がそっと部屋を出る。 そして 「それでアンジェはどんな子かな? 聞かせてくれるかな?」 「お手伝いとかする子っすか? 妖精が好きってことは優しい子っすよね?」 アリスと山羊座は小さな嗚咽を続ける母親の背をそっと撫で慰めたのだった。 ●森の中の二人 見上げる空には目に見えて雲が増えてきている。寒さは前より少しましになっては来ているが 「こいつは、雪が降るかもしれない。早いとこ探し出さないと…、本当に大変な事になる」 山羊座の言葉に、開拓者達は心から頷いた。 「どっかで寒さをしのいでくれているといいっすけどね」 独り言のように言ったアリスの言葉に魚座はキッと唇を噛みしめる。 「開拓者風の優男…。アンジェちゃんに変なことしてたら承知しないんだから…」 『一寸! 幼女誘拐事件!? ヤッバイんじゃないの!?』 依頼を受けた時からアンジェの事を心配していた魚座であるが、男に連れ出されたのが間違いないと言う証言を得てからはさらに心配と、元凶である男への怒りを露わにしていた。 目撃者は街の子供達。 嘘つきアンジェを邪険にしたものの気になって怪しい男の存在を覚えていた、ということだった。 「でも、子供一人で森にいるよりはその男と一緒の方がまだ安心できないか? 一応開拓者風で防寒具とかも整えて行ったらしいし」 射手座が剣幕の魚座を宥めるが 「何言ってんの! 女の子と男だよ。ヤバいことになったらどうすんの!」 かえって怒りを増幅させる結果となる。 「まあ、もしそんなことになっていたら問答無用でひっ捕らえるまでだ。まったく。又、小娘が…親を心配させたり嘘をついたり何やってるんだ」 同様に、魚座ほど態度にこそ出さないが怒っているであろう山羊座の言葉にぽりぽりと射手座は頭を掻いた。 「ん〜。でも、子供ってそんなもんなんじゃないかな? 親の気を引きたかったり、自分を注目して欲しくって嘘を付いちゃうの、良くあることだと思うよ」 最初は射手座自身もアンジェの事を嘘つき娘だと警戒していたのだが、両親や身近な人の話を聞くうちに少し、考えが変わってきたのだ。 広い家の中、一人っきりの食事。 冷たい、一人だけの部屋。 聞き分けがいい子だったという一人娘は、寂しかったのではないだろうか。 だから、嘘をついた。 自分の話を聞いてくれる人の手を取った。 それは勿論、正しいことではないのだけれど…。 「それでも嘘は良くないっすー。悲しくなるす」 心配そうに俯くアリスの頭にポンポンと手を置いた射手座は小さく笑って顔を上げた。 と、その時視線の先に、上がる黒い煙が見えた。 「おい。あれは?」 「森の広場ってとこの方向っすね!」 「夜ならともかくこの真っ昼間に煙? なんかあったのかな?」 「急ぐぞ!」 山羊座の号令に、仲間達は返事をするより早く走り出していた。 そして森の中。 「来ないで! 来ないでったら!!」 火のついた薪を必死の顔で振り回しながら、少女は目の前に迫ってくる野犬の群れにそう叫んでいた。 その火をくぐって少女に飛びかかろうとする野犬。 「キャア!」 だがその爪は ギャウン!! 背後から放たれた炎の玉に焼かれて地面に落ちる。 「お兄ちゃん!」 「アン…ジェ。危ないから、下がって」 ごほごほと、口元を押さえながらもお兄ちゃんと呼ばれた青年は術詠唱に伸ばした手を下げることなく身構えている。 「大丈夫? 無理しちゃダメ」 少女は青年に駆け寄りしがみつく。 青年は少女の背に手を回して、しっかりと抱きしめた。 「大丈夫だよ。とりあえず呪文であいつらをけん制するからここから逃げよう」 「でも、あと、少しなのに…」 少女は祈るように空を見上げる。分厚くなった雲は今にも雪を落としそうだった。 「君の安全の方が大事だ。さあ、逃げ…ごほごほごほ」 「お兄ちゃん!」 青年は膝をつく。 けれども、少女を抱き寄せ守る手は離さない。 少女も彼と共に膝を折った。 蹲る二人に野犬の一匹が、襲いかかろうとしたその時! キャイン!! 野犬が高い悲鳴を上げて飛びずさった。 「「えっ?」」 驚く二人の耳に 「アンジェちゃん? 大丈夫?」 そんな声が聞こえたと同時 「くそっ。野犬か?」 「でも、とりあえずアヤカシは周囲にはいないみたいだ」 「じゃあ、こいつらにお帰り頂けばとりあえず大丈夫っすね。話はそれから聞かせて貰うす」 彼らの前には大きな背中達が広がったのだった。 力強く大きく、二人守るように…。 ●夢のひと時 「私、まだ帰らない! ぜ〜〜ったいに帰らないんだから!!」 野犬の群れを追い払い、静寂を取り戻した森の広場。 「アンジェちゃん! 無事!? ちょっと、そこの! アンジェちゃんに酷いことしてないでしょうね!」 「お兄ちゃんをいじめないで!」 青年を睨み顔を近づけ、問い詰める魚座から、青年を奪い返すようにアンジェは青年にしがみついた。 「わっ!」 結果、押され冷えた地面に腰をつく青年。しかしアンジェは庇い、抱き寄せる。 「早く帰るんだ。死にたいのか」 強引に手を引いた山羊座の手をパシンと払って。 家出少女の救出に来た開拓者達は、助けに来た筈の少女にあかんべされるという事態に陥っていた。 「今さっきまでどんな状況だったかもう忘れたのか! 冬の森を甘く見るな!」 長身から響く重い声。黒い目が睨みつける視線は刃よりも鋭く刺すようであるが、少女はそれに怯まず、い〜〜っ! と歯を向く。 「この! お前の親が心配して危うく遭難しそうな勢いだったぞ。友達だって心配していた。お前だってこれから天気が荒れて遭難したら死ぬぞ。それでいいのか!」 「ちょっと、そこの! 何とか言いなさいよ!」 攻める口調の魚座に、と相変わらず氷のような目で自分を睨む山羊座に肩を竦めながら青年は少女、アンジェの頭を優しく撫でた。 「そうだね。君はもう帰った方がいい。僕の我侭に突き合わせてしまってごめん。皆さん、すみません。この子を町に…」 「イヤ! お兄ちゃんと一緒に妖精を見るの! 約束したんだから!!」 「「「妖精?」」」 さらに腕に力を込める少女の側に、ふとアリスが近寄った。 「アンジェちゃん。少し、話を聞いて欲しいっす!」 もふもふっ。 ふわふわのアリスの耳が摺り寄せられてアンジェの頬をくすぐる。 「えっ?」 瞬きしたアンジェの表情がふと柔らかくなった。と同時、場の空気も少しぬくもりを帯びる。 「まあまあ。見つかって先ずは良かったじゃないか。アンジェも…脅かして悪かったね」 そのタイミングを見計らうように射手座が膝を折った。 仲間達を手で制して 「でもお父上、母君も街のみんなも…とても心配している。どうして、こんな森に来たんだい?」 理由を聞こうと視線を合わせる射手座に青年を一度見て、アンジェは小さな声で答える。 「白い…妖精を見るの」 「白い妖精?」 「うん。お兄ちゃん」 アンジェの呼びかけに青年は頷いて手近に置いてあったバッグから一冊の本を取り出した。 『童話 白い妖精』 そう書かれた本を差し出され、射手座はそれを手に取った。山羊座、魚座も背後から覗き込む。 ジルベリアの古い童話を元にして書かれたお話だった。 『木枯らしが吹いて寒い季節を迎えると「白い妖精」が現れます。 人知れず世界中の美しい風景や楽しげな雰囲気を探して旅するその妖精を見たら、とっても素敵な出会いがあり、きっと幸せになれると言われています』 「こんな子供だましの話の為に子供を危険な森に連れ出したのか?」 本を閉じて山羊座が青年を睨むが 「子供だましじゃない! 本当に白い妖精はいるんだもん! 私、見たんだから!」 青年に代わり、アンジェは山羊座にそう答えた。自分を庇ってくれるアンジェの優しさに微笑んで青年は静かに続ける。 「子供の頃、聞いた白い妖精の伝説は、僕にとっての夢でした。それを探す為に開拓者になったと言っても過言ではありません。ですから、最後に一度でいい。妖精をこの目で見てみたい。そう思って妖精を見たと言うアンジェを連れ出してしまいました。アンジェのご家族や皆さんに本当に申し訳なく思っています」 「最後?」 「お兄ちゃんは悪くない。だから、お願い。少しだけ待って。雪が降るまで…そしたらきっと妖精さんが来てくれるから…」 寄り添うアンジェの頭を撫でる青年と少女。 「大丈夫っすよ きっと上手く行くッす」 「えっ?」 小さくアンジェの耳元で囁いて立ち上がったアリスは自分の主である山羊座と仲間達に向けて頭を下げる。 「もう夜も遅いっす。幸い、今日はちょっと暖かいし、一晩だけ、ここで妖精を待ってみることできないすか?」 「確かに暖かいが、それは雪が降る前触れだ。降り出したらどれくらい降るか積もるか解らんぞ」 「そしたら、帰ればいいんじゃない? 無事が確認できたんだし、ちょっと家族には心配かけちゃうだろうけど、嫌がるのを無理に連れて帰るよりはいいと思うなあ。どう思う?」 山羊座を宥めつつ射手座は魚座にそう問いかけた。 「まあ、テントもちゃんと用意してあるみたいだしね。でも! アンジェちゃんと今日は別のところで寝て貰うけど!」 「ありがとう! よかったね。お兄ちゃん!」 笑顔を咲かせるアンジェに山羊座も諦めた様にため息をついた。 そして 「アリス。野営の準備だ」 「了解です。マスター!」 準備に動き出す。 青年と少女、抱きしめ合う二人をその場に残して……。 その夜。 「マスター! 星座様達。アンジェちゃん! 出てきて下さいっす!」 見張りをしていたアリスの呼び声に天幕の中で寝ていた開拓者と二人は慌てて外に飛び出した。周囲にはいつのまに花びらの様に大きな雪が降っていて周囲を白く染めている。 「なんだ?」 「あれ! 見て欲しいす!!」 アリスが指差す先、それを見て山羊座は息を呑みこんだ。 森のぽっかりと空いた空間。その真ん中にひらひらと浮かぶあれは…。 「妖…精?」 「綺麗ね…。まるで踊ってるみたい」 「ありがとう。アンジェ…」 「うん、良かったね。お兄ちゃん」 手を繋ぎ、握りしめあう青年と少女。 幻かもしれない、手を触れれば消えてしまいそうな夢を目の前に、開拓者達も二人も、その場から動かずにいつまでも妖精達の舞を見つめていた。 ●淡雪の夢 それから数日後。 「お兄ちゃん達〜」 アンジェに呼び出された開拓者達は、明るく笑う少女に出迎えられた。 街中の雪はすっかりと溶けている。走ってくる彼女が転ぶ心配はないだろう。 「この間はありがとう。そして心配かけてごめんなさい」 そう言って彼女は小さな包みを一人一人に差し出した。 「これ、お母さんと一緒に作ったの。食べて!」 差し出されたのは手作りのクリスマスクッキー。 「ありがとう」「もう嘘つくんじゃないぞ!」 「うん!」 開拓者達にそう答える少女の顔は輝いていて、開拓者達は安堵する。 心配した両親に勿論怒られはしたが、それは家族の関係を傷つけるものではない。 両親もいろいろと対応を改めると言うし同じことが繰り返されることはないだろう。 「あと、これもあげるね。私の宝物だったんだけど。お礼」 そう言ってアリスに差し出されたのはスノードロップのイヤリングだった。 「いいっすか?」 「うん。お兄ちゃんに貰ったこれがあるから」 髪を掻き上げた少女の耳には雪の結晶の形をしたイヤリングが揺れていた。 「私ね、いつかお兄ちゃんのお嫁さんになるの! その為に花嫁修業頑張るんだ!」 星座達は無言。 森から帰ってきた日、青年が言っていた言葉が今も胸に残っていたからだ。 『僕は、病に侵されています。治癒の可能性は極めて少ないと言われていて、だから最期に夢を叶えたかったのです』 そう言うと彼は姿を消した。 少女はまだ気付いていないが名前も居場所も言い残して行かなかった青年を探しだし、見つけ出すのは難しい話だろう。 でも…手に残された童話の本を見ながら山羊座は思う。 あの男は別れ際少女に言っていた。 「また、一緒に白い妖精を見よう」 少女に残して行った約束が真実であるなら、いつかきっと病を克服し少女の前に立つ筈だ。 その時は少女の夢も叶うかもしれない。妖精のような白いドレスを身に纏って…。 「そう。頑張って…」「良いお嫁さんになりなよ」 微笑んで少女の頭を撫でた魚座と射手座の頭上にふわり、花が落ちる。 「あ、雪」 その中で、開拓者達はあの白い妖精が踊っている夢を見たような気がしていた。 雪がまた白い花をジルベリアの大地に咲かせる。 妖精たちの記憶と共に。 |