はろういん祭り 再び
マスター名:夢村円
シナリオ形態: イベント
EX
難易度: 易しい
参加人数: 26人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/11/09 23:05



■オープニング本文

「こういうのは継続することに意味があると思うんですよ」
 神楽の町の片隅、貸衣装屋「弧栖符礼屋 西門」の娘美波はそう言って開拓者ギルドに依頼というか張り紙を渡した。

 ジルべリア由来の祭り。「はろういん」
 正式名称はハロウィンとかハローウィンとか呼ばれている。
 元は神教会の流れをくむイベントであるにもかかわらず、現在は土着の伝説などに取り込まれ、収穫祭と合わせて地味に愛されているのは勿論その内容にあるからで‥‥。
「いろんな仮装衣装を身に着けて街を練り歩いたり、子供が大人にお菓子をねだったりするイベントだな。仮装っていうのが受けて最近、徐々にだが定着しつつあるイベントだ」
 開拓者ギルドの係員はそう言って二枚の書類を開拓者達の前に差し出した。

 どちらもタイトルは
【はろういん 仮装パーティと秋の夕べ】

 昨年も行われたイベントだが、どうやら今年もやろうということらしい。
 一枚はハロウィン仮装パーティの準備の手伝い人募集。
 料理、飾り付け、イベントの出し物協力など。
 イベントまで半日と、イベント中盤まで拘束される代わりに衣装の貸し出しは自由。飲み放題食べ放題。
 そしてもう一枚はパーティ参加者の募集だ。
「お好きな衣装、貸し出します。参加費は1000文。貸衣装代込み。
 飲み放題、食べ放題。仮装コンテスト。自慢の仮装をパフォーマンスと共に披露して下さい。
 優勝者には豪華粗品進呈」

「主催は弧栖符礼屋っていう貸衣装の店の娘、美波だ。
 若いが結構やり手でな、最近、その店も結構評判になってきている。着ぐるみからドレス、着物まで大抵のものはそろうって噂だぜ。興味があったらデート方々遊びに行ってみるのもいいんじゃないか?」

 武州の戦いが終わっても未だきな臭さはあちらこちらに残り、修羅の台頭や浪人達の噂が良くも悪くも人々の話題から消えない時、ほんの一時、嫌なことを忘れて楽しむのも悪い話ではないかもしれない。
 開拓者はそんなことを思いながら、オレンジと赤、そして黄色、黒。
 にぎやかに飾られたチラシを見て微笑んだのだった。


■参加者一覧
/ 礼野 真夢紀(ia1144) / 瀬崎 静乃(ia4468) / 平野 譲治(ia5226) / 和奏(ia8807) / 尾花 紫乃(ia9951) / フラウ・ノート(ib0009) / シャルル・エヴァンス(ib0102) / 不破 颯(ib0495) / 无(ib1198) / 真名(ib1222) / 尾花 朔(ib1268) / 革帯 暴食(ib6553) / 不知(ib6745) / 春風 たんぽぽ(ib6888) / 闇野 ハヤテ(ib6970) / 狂々=テュルフィング(ib7025) / シフォニア・L・ロール(ib7113) / トイフェル=ライヒェ(ib7143) / 雨下 鄭理(ib7258) / 瀬崎・小狼(ib7348) / 和亜伊(ib7459) / 蒼雀姫(ib7475) / 紅雀姫(ib7686) / 人形 腐乱(ib7811) / 朽酒 鋏美(ib7861) / 迫電(ib8057


■リプレイ本文

●祭りの始まり
 そもそも自分の参加する祭りの起源をちゃんと知っている者はいるだろうか?
「え〜っと、正式名称はハロウィン、もしくはハロウィーン。死者などこの世界にない存在が、一年に一度戻ってくる日であり、それを迎え、災いがもたらされることが無いようにかがり火をたいて祈るものであった‥‥」
 去年の参加者から教えて貰ったハロウィンの起源について声に出しながら弧栖符礼屋の美波は何度も復唱していた。荷物を運びながらもどこか上の空。
「だいじょ〜ぶ? 美波〜」「危なくありませんか? 美波様」
 あまりに危なっかしくて蒼雀姫(ib7475)紅雀姫(ib7686)が右と左から心配のあまり服を引っ張りながらそんな声をかけた。
「そもそもはろういんというのはどういうものなのですか‥‥?」
 そう問うたのは確かに紅雀姫であるが、真面目な美波は去年教わった時のメモを取り出し、教えてくれた後、誰かに聞かれた時の為にと暗唱を始めたのだ。
 少女達の心配はやがて現実のモノとして的中する。
「わああっ!」
 前が見えず蹴躓いた美波。このままでは荷物ごと床とぶつかる‥‥!
「「危ない!」」
 二人が思わず目を押さえた時。
「おっと‥‥!」
 細く、長い手が支えて美波の身体が斜めに止まった。
「大丈夫?」
「ご、ごめんなさい」
 支えてくれた闇野 ハヤテ(ib6970)に美波は、慌てて体勢を立て直すと三度瞬きお辞儀をする。
「はい、荷物も無事です」
「无(ib1198)さんも。ありがとうございます」
「美波ちゃん。無理はダメよ。そもそも、皆、起源なんか気になんかしないんだから。とにかく楽しめればいいの」
 无から荷物‥‥かぼちゃや野菜がいっぱい入った箱‥‥を受け取ったシャルル・エヴァンス(ib0102)がメッ! と美波に眉を寄せてみせる。もちろん本気で怒っているわけでは無いことは、見ていれば誰でも解る。
「そうよ。お手伝いならたくさんいるんだから、どんどん頼ってこき使えばいいの♪ 主催者はどっしりとかまえていなくっちゃ」
 フラウ・ノート(ib0009)も明るく笑う。
「皆さん‥‥」
 ちょっと感動したように手を握り締める美波。だが
「美波〜。こっちの飾りはどこにやるのだ〜?」
「あ、それは、向こうに。‥‥譲治さん、待って下さい!」
 飾り物を振って呼ぶ平野 譲治(ia5226)の所にもう走って行ってしまった。
「まあ、そう言って人に任せられる性格の子じゃあないんですけどね」
 肩を小さく竦めるとシャルルは仲間達に小さくお辞儀をする。美波の手伝いに行くという意味だ。
「そうね‥‥。じゃあ、私は台所の手伝いに行ってくるわ。あとよろしく」
「あ、じゃあ、これを台所に持って行って真夢紀さんにこれ渡して下さい」
 そう言ってシャルルはフラウに箱を渡した。中の食材は台所担当を買って出た礼野 真夢紀(ia1144)に頼まれたものであるらしい。
「では、台所まで荷物を運ぶのを手伝いましょう」
「カボチャを一ついただけますか? 俺は、ジャックランタンを作るから。君達もいっしょにやる?」
 无はフラウから箱を受け取り、ハヤテは箱から大きなカボチャを取り出す。
「は〜い。姫もおてつだいする〜。こっちゃんもいっしょにやろ?」
「はい。何かあたしでよければお手伝いしますよ〜」
 蒼雀姫と紅雀姫が楽しそうに笑い、
「待って美波ちゃん。譲治君!」
 シャルルが飾りつけを手伝いに走る。
 それをずっと口を挟まず見ていた雨下 鄭理(ib7258)は竪琴の音を合わせながら小さく苦笑した。そして
「さても祭りと言うのは賑やかなものだな。自分の印象としては合わないが‥‥まあ、こういうのも悪くは無い」
「あ! 鄭理さんも手伝って下さい!!」
 そう呟くと仲間の呼び声に従って、竪琴を置くと服の袖を捲ったのだった。

●お祭りのはじまり
 今回のパーティの会場は前回と違って弧栖符礼屋の隣の宿屋であった。
 良く晴れた日の夕暮れ、空が少しずつ紫から黒に色が染まり始めてきた頃、開場された中庭には受付をすませ、衣装を着替えた参加者が、少しずつ集まってきていた。
「わあっ!」
 誰と言うわけでは無いが、中に入った参加者が声を上げる。
 頼まれて2日前から貸切にしたと言うそこには前回の広場より狭い分、より本格的な装飾がされていた。
 オレンジ色を基調にして飾られた室内。テーブルにもクロスが敷かれ花も秋の花が活けられている。
 流れるように飾られたオレンジや黄色の布に縫いつけられたビーズが星のように光っているのは会場を照らす炎を弾いているから。
 あちらこちらにカボチャの形のランタンが炎を揺らし、中央に大きく目鼻をくりぬかれた本物のカボチャが飾られている。
 色紙で作られた落ち葉の形の飾りなどがなかなかに美しく秋の連想させる。
「昨年とはまた随分違った趣向なのですね。素敵ですね」
 会場内に入り、中を見回した泉宮 紫乃(ia9951)は楽しそうに嬉しそうに微笑んだ。
「そうね〜」
 親友の楽しそうな表情に真名(ib1222)はうんうんと頷きながら、去年の事を思い出していた
「そう言えば前回はお手伝いの方で参加したんだっけ。朔はお料理いっぱい作って、紫乃は飴細工とか作ったりして、楽しかったよね〜」
「今年も料理を作ってみたいとは思わなくもなかったですが‥‥、お二人とのんびり過ごしたかったですしね」
 尾花朔(ib1268)が片目を閉じた時、後ろからトタトタトタと軽くて、どこか聞きなれた足音が近づいてきた。
「朔! 真名! 紫乃! こんばんわ〜なのだ」
 声をかけてきた相手は同じ寮の同輩。三人は笑顔で挨拶をする。
「おや、譲治君。君は今年もお手伝いですか?」
 手に山盛り乗せられた料理の皿を持って軽快に走ってきた譲治は
「そうなのだ!」
 と弾けるように答えた。
「朔! 両手に花でいいなりね!」
「ええ、いいでしょう?」
 朔は右に真名を、左に紫乃を抱き寄せてにっこりと笑う。
 三人は揃って秦国風の服を着ている。
 朔は緑、真名はピンク、紫乃は白地に蒼刺繍。
 艶やかな布地が本当に花のようだが、抱きすくめられ花と言われた少女達は二人揃って頬を赤くしている。
「ごちそうさまなりね〜。っと、あ、思い出した。はいこれ、おつまみにどうぞなのだ。配膳が終わったらおいらたちも着替えてパーティに出るから、また後で遊ぼうなのだ〜」
 そう言うと譲治はまた走って行ってしまった。残されたのは南瓜の天ぷらと鳥や馬鈴薯のからあげが乗った大皿。串で刺して食べやすくしてある。
「これはいいですね。パーティにはもってこいです。お二人も一緒に食べませんか?」
 頬の赤みはまだ抜けていない二人であったが朔の誘いに
「ええ」「はい」
 笑顔で頷いたのだった。

「はいはい、はいはい。ちょ〜っとそこどいて〜〜!」
 まるで特急馬車のように会場を走り回る女性がいた。
「おーすげぇ。‥‥開拓者がアヤカシの格好してるみたいだ」
 長い桃色の髪をなびかせて、ふさふさの尻尾に毛足の長い耳。狼男(?)に変装している革帯 暴食(ib6553)だ。
「ほらほら、トーフちゃん! はやく〜」
 手にも毛の長い手袋をしているがその両手はベルトで縛られている。その後を追いかけていくのは山羊の角を付けたトイフェル=ライヒェ(ib7143)。必死に追いかけているトイフェルをものともせず暴食は突っ走って行く。
「よくまあ、頭だけでバランスを取ってあんなスピードで走れるものだ。ああ、走っているから落ちないのかな‥‥」
 感心したように不知(ib6745)は持ったお盆を、自分はゆっくりと落さないように運ぶ。
「初体験だが、いっつもこんなもんなのかね? 開拓者のパーティってすごいもんだな」
 周囲には既に結構な人が集まっている。知らない顔の方が多いが時折、知っている顔も見かける。
「やっほ〜! こっちこっちです〜」
 ふと不知は明るい声に振り返る。こちらに向けて手を振っているのは知っている顔。
大事な家族の一人‥‥。
「狂々。一人で来たのか?」
 盆を持ったまま不知は狂々=テュルフィング(ib7025)に声をかけた。
「はい。一人で来たですが、あっちでもこっちでも知ってる顔、見かけたです。今、多分、みんな着替えてるですよ〜。飾りつけのお手伝いもちょっとしたです」
「みんな?」
「はいです。あば君、おねーちゃん、おにーさん、にぃー様、鄭理君、蒼君、紅君。見ませんでしたか?」
「ああ、そう言えば何人か見かけたような‥‥」
 そういう狂々も灰色の服を着て、顔も灰色に塗って頭に杭のようなものを付けている。
 ちょっと見ただけでは頭に刺さったように見えるし赤い血のりも付いている。
「へへ〜。面白いでしょう? ふらんけん、っていうアヤカシさんですよ〜」
「ああ、似合ってる、って言ったら変だがいい感じだな?」
 えへっと嬉しそうに笑って答えた狂々は今度は不知に聞いてみる。
「そういえば、仮装はしないんですか?」
「今は、まだちょっと忙しいからな。後で、衣装を借りる予定だから、パーティが始まったらまた合流しよう」
「はいです〜。頑張って下さ〜い!!」
 手を振る狂々に手を振りかえして去って行く不知と入れ違いに
「おねーちゃ〜ん!」
 やってきた人物を見つけ狂々は大声で呼ぶ。
「あ、こんばんは〜。狂々さんも来てたんですね」
 呼ばれたのは春風 たんぽぽ(ib6888)。彼女も見知った顔を見つけたのでこちらに駆け寄ってきたようだ。
「はい。いっぱい遊ぼうと思ってきてたです。それにしてもおねーちゃんの衣装。可愛いです!」
 褒められて嬉しいのか、恥ずかしいのか。たんぽぽはちょっと頬を赤らめてからくるりと一回転して見せた。
「褒めてくれてありがとうございます。今日の私の仮装はかぼちゃの妖精ですよ!」
 たんぽぽの仮装は本人が言うとおり、かぼちゃパンツに、黒のタイツ、髪飾りもかぼちゃ。杖にもかぼちゃのアクセサリー。見事なかぼちゃづくしである。
「さっき、あっちゃんさんがいましたけど、まだお仕事忙しいでしょうか?」
「もうじき、パーティ始まるみたいですから、そうすればみんな来ると思うですよ。もう皆集まってきましたし。あ、あそこににぃー様みつけ! 今日は一人ですかね〜」
 狂々が指差した先にはシフォニア・L・ロール(ib7113)がいる。しかし、今日は一人だ。
 彼女は不参加だろうか?
 その横には
「小狼くん。‥‥今日の服、‥‥とっても良く似合う。ヴァンパイア?」
「ああ。耳と牙は自前だ。‥‥え? 狼男やればって? それ普段とかわんねえよ!」
「だって、私、狼娘。狼男だったら、お揃いだったのに‥‥。代わりに首輪、つけて」
「えっ? あっ? あれ? 狼娘って、そういうのだったけか?」
 狼娘とヴァンパイア。瀬崎 静乃(ia4468)と雷・小狼(ib7348)のカップルがいて、反対側には両手に美女を抱えた美男子。朔と真名、紫乃達がいる。
 そんな中に一人ため息をつくシフォニアがどこか寂しそうに見えるのはおそらく、気のせいでは無いだろう。
 もちろんアベックばかりでなく、純白のドレスを身に纏った和奏(ia8807)や老婆の仮装をした和亜伊(ib7459)といったシングル男性や
「ヒャッハー! お祭りを楽しみまくるぜェー!」
 明るい白装束で手に藁人形を持つ人形 腐乱(ib7811)や真紅のローブ姿で鋏の手入れをする朽酒 鋏美(ib7861)の女性もいる。
 ただ、彼ら皆に共通していることがある。それはシフォニアでさえ、同じこと。
 皆、いつもと違う服装に、いつもと違う夜にワクワクしていると言う事だ。
「あ、そろそろ始まるみたいです〜」
 狂々が声を上げる。
 入り口と、広場の中央に作られたオレンジ色のカボチャのランタンに灯が灯された。
 庭の中央には小さな舞台があって、
「はい、出番ですよ!」
 シャルルに背を押された今日の主催者、貸衣装屋の美波がその壇上にあがろうとしているところだった。白いドレスに白い羽、髪は黒髪だが流れるようでなかなかに可憐で美しい天使のようだ。シャルルの力作である。
 フリルたっぷりのミニゴスロリワンピ黒羽根と尻尾。丸い靴にオーバーニーソックス。髪にはレースのリボン全て黒を基調にした衣装で後ろに控えるシャルルと好対照で目立つ。
「え〜っと、今日は、お集まり下さいましてありがとうございます」
 彼女は舞台の上に立つとぺこりと頭を下げる。
 そして、続きに何かを言おうとして、
「えっと‥‥」
 ‥‥固まってしまった。
 考えていたことを忘れてしまったのだろうか。
 会場の人、全てが
「頑張って! 美波ちゃん!」
 かけられた声に我にかえった彼女は、小さく首を振って大きく深呼吸した。
 そして
「難しいことは忘れました。で、皆さんも忘れましょう! 今日は思いっきり楽しんで下さい!」
 そう言うと、拳を天に向けて振り上げる。
「わああっ!」
 大きな歓声が小さな庭に響き渡り、かくして、ハロウィンの祭りは開幕したのだった。

 テーブルの上にはたくさんの料理が並べられている。
 カボチャの天ぷら。鶏のから揚げ、馬鈴薯のから揚げ。
「南瓜のスープは仮装でも飲み易いようにジルベリアの湯呑み‥‥カップっていうんでしたっけ? に入れたのでこのまま出して下さい」
 完成した料理を運ぶ不知は、ふと、カップの中を覗き込んだ。
「何か浮かんでますけど、これはこのままで?」
「それはクルトン。パンをカリカリに焼いたものと南瓜の皮の緑部分を小さく刻んで浮かしたものです。だから、そのままで」
 他には南瓜のタルト、プリン、南瓜を練り込んだクッキー。クッキーはいろいろな形に抜かれていて見ているだけで楽しい。それにパイ。
 南瓜のグラタンに南瓜のサラダ。
「南瓜尽くしばかりでもあれだから‥‥と」
 フラウが作ったのはジルベリア風のオープンサンドや肉料理。
 ジャムがいいアクセントになっている。
 他にもジュースやお茶などの飲み物もたくさん用意されていた。
 ‥‥ほんのちょっぴりであるがお酒も。
「喰って! 喰って! 喰いまくるッ!」
 宴が始まった途端、その名の通り料理を食べつくさんばかりの勢いで暴食が料理に食らいついていく。がっつりと料理に向かい合う度に狼のつけ耳や尻尾が揺れる。
「放題なら遠慮はしないひたすら喰うサッ!」
「姉貴‥‥皆の分まで、食い尽くしは‥‥」
「遠慮しなくていいですよ。料理はこれでもか、ってくらい作ったつもりですから」
 一通りの準備を終え給仕の手伝いを始めた真夢紀が新しい皿を暴食の前に置く。
 できたてのパイが湯気を上げていた。
「おお! いいね、いいね! ありがとさん! ‥‥ってつっうう!」
 そのままかぶりつこうとするが、中のフィリングが焼きたてで熱い。
 流石の暴食も一歩後ずさり両手で口元を押さえた。そして
「あちあち‥‥、トーフちゃん! 切って、ふうふうして、食べさせて〜〜!」
 ごろにゃんと甘えるようにトイフェルにすり寄った。頭に大きな山羊の角を付けたトイフェルは
「‥‥ったく。子供みたいなんだから‥‥」
 そんな文句を言いつつも、パイを切り、ふうふうと冷まして暴食の口元に運んだ。
 ぱくりと嬉しそうに暴食は食べている。
「大変ですね」
 真夢紀の言葉にトイフェルは
「別に‥‥大変じゃない」
 囁くような小さな声で彼女はそう答えた。
「えっ?」
 聞き返す真夢紀にそれ以上の返事は返らない。
 けれど‥‥
「姉貴が楽しんでる姿見るのは、私としては楽しいし‥‥。それでいいかな」
 小さく、小さく囁いてトイフェルは相変わらず食事に夢中の暴食に小さく、小さく微笑みかけていた。彼女が慕う姉はそんな呟きに気付いていなかったかもしれないけれど‥‥。

 宴が始まり、会場には子供達の歓声が響き渡った。
「トリックオアトリート! さあ、良い子達。こっちへおいで‥‥」
 ローブに顔を隠した長い鼻の老婆が、子供達を手招きしているのだ。
 最初はその怪しさに子供達もどこか、引き気味だった。
 だが、一人の子供が好奇心から近づくと
「わあっ! すげえ!」
 大きな声を上げた。老婆が持っていた大きなかごの中にはたくさんのクッキーやお菓子がこれでもか! と言うほど詰められていたのだ。
 もちろん主催者側でも用意していたが、この量はそれ以上だった。
 しかも形が南瓜提灯、蝙蝠、幽霊、蜘蛛等。子供達の心を擽るには十分の面白さ。
「ばあちゃん。僕にも頂戴」「私にも」
「はいはい。悪戯されちゃこまるからな」
 どれほどの量があったものか。集まる子供達がどんどん持って行ってもなかなかお菓子は減らない。
 だから、彼‥‥亜伊の周りから、子供達もまた長い間減ることは無かったのである。

 こういう賑やかなパーティに一人参加と言うのは時に辛いかもしれない。
 けれど、和奏の周りには可憐な美少女に声をかける男がひっきりなしに訪れる。
「あの、良ければ一緒に踊りませんか?」
 けれど和奏はニッコリと笑うと首を世に降って、申し訳なさそうに頭を下げる。
 それにがっくりと頭を下げて帰って行く男達は知らなかったろう。
 バラージドレスとミラージュヴェールを身に纏う長身の美女の正体が、まさか男だとは。
「まいりましたね。壁の花でいられると思ったのですが‥‥」
 女装癖があるわけでは無いから、正直女装は恥ずかしくもあるのだが、何故か自分の周りには女性用アイテムが集まってくる。
 だから、やけくそで使ってみようと思ったのだ。
 しかし、集まってくる男どもを袖にするのもなかなかに気持ちが良い。
「いつもと違う自分、というのは面白いかもしれないですね」
 口元を花束で隠しながら彼は小さく、楽しげに微笑んでいた。

「けっこうみんな、集まってしまいましたね」
 たんぽぽの明るい声に、そうだな。と不知は苦笑しながら頷いた。
 仕事の区切りがついたので、パーティ開始時点から彼らは「お手伝い」から「参加者」に変わっている。
 不知の服装は魔女。黒で統一して少しシックに纏めてある。
「特に示し合わせたわけじゃ無い筈ですけどね‥‥」
「でも、たのしーからいいのです! あ、そこの屋台の南瓜ぼーや! 焼き鳥とバーベキュー追加でお願い! そっちの白猫さんも飲み物よろしく〜」
「ぼーやじゃないなりよ! でも、はいはい、ただ今〜」
「はい♪ カクテルをどうぞにゃ」
 イートイン屋台担当の譲治が料理を運んでくる。カボチャアーマーにジャック・オ・ランタンの鎧とカボチャ頭の兜。カボチャ頭の盾にカボチャのステッキ。最初こそ周囲を驚かせて子供を泣かせたこの衣装であるが、飲み物担当、白猫のフラウと合わせ今ではすっかり会場の給仕や屋台のマスコットである。
「少し、地味ですかね?」
「に? トマトジュースかにゃ? どうぞ♪」
 尻尾を揺らして飲み物を差し出すフラウを見て、ハヤテは少し笑って見せた。
 参加者達は、お手伝い役の従業員も含めてそれぞれに趣向を凝らしているようだ。
 主催の美波と彼女に寄り添うシャルルはまるで光と影のようであったし、今、向こうで迷子の子供達の相手をしている无は派手な紳士服を身に纏った骸骨紳士であった。
 被り物まで骸骨で、最初こそ怯えていた子供達も今は、すっかりなついている。
 そんな中、自分は黒いシルクハットに燕尾服。遠い昔の物語の登場人物を思い出して選んでみたのだが‥‥
「良くお似合いですにゃ」
「そうですよ〜。もっと堂々とするといいと思います!」
 力を入れて言ってくれたたんぽぽにありがとう、とハヤテは片目を閉じた。
「あ、そうだ〜。狂々さん!」
「なんですか? おねーちゃん?」
 手招きしたたんぽぽは狂々の耳にこそこそと何か耳打ちしているようだ。
「?」「「?」」
 首を傾げる不知とハヤテの前で、うん、と頷きあうと二人は、せーのという小さな掛け声といっしょに
「「トリックオアトリート!!」」
 大きな声で二人に向けて手を伸ばしたのだった。
「トリックオアトリート‥‥というよりもトリック&トリートだろ」
 悪戯っぽく笑いながら不知は、給仕の時に貰ってポケットに隠しておいたクッキーを二人に投げてよこす。
「わーい! ありがとうです〜。いっただきま〜す」
 狂々はさっそく嬉しそうにそれを口に自分の口に投げ入れた。
 もう一人のハヤテはと言えば
「お菓子をくれませんと、悪戯しちゃいますよ〜♪」
 たんぽぽに杖でつんつんと突かれていた。
「困った妖精さんですね」
 抵抗せず手を上げている。
「‥‥あれ? そう言えばにぃー様は?」
「あっちゃんさんもいませんね〜。さっきまで確かにいたのに〜」
 そんな会話をする彼らの横、舞台の上の松明に大きく灯が灯された。
 舞台の上に上がったのはさっきの主催者の少女だ。
「えっと、ではこれから仮装コンテストを始めます。我と思わん方はぜひどうぞ!」
 舞台の上から呼びかけられた声に、周囲がざわつくのを感じる。
「ちょっと失礼して私も参加してきます」
 たんぽぽがそんなことを家族に告げ、舞台に向かおうとしたその時だった。
「あ〜! にぃー様!」
「「「えっ?」」」
 狂々の真っ直ぐ伸ばした指の先。そこには
「わ〜っはははっ! エントリーナンバー1番 シフォニア・L・ロール。ただ今参上!」
 ポーズを決める家族と、それに合わせて効果音を入れる家族がいたのだった。

 先頭を切って舞台に上がったシフォニアは、全力、ノリノリでアル=カマル風の剣を振り回した。
 実は変装用のはりぼてらしいが、見事なさばきだ。
 服装は黒を基調にした服に、長めのコート。どちらにも派手な飾りがふんだんに着けられている。
「我は海賊にして空賊! 空と海を支配する者!」
 剣を肩に担ぎポーズをとると、今度はその剣をまっすぐに客達に向けた。
 微かに緊張が会場内に走る。ごくんと唾を飲み込む音が聞こえた瞬間。
「このかいじょうはこの俺が乗っ取った!」
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シーン。
 ひゅるり〜。秋の風が会場に吹きぬける。
 その何とも言えない空気を破ったのは、シフォニアであった。
「な、なんだ? この沈黙は! この空気は‥‥!! 俺を馬鹿にしているのか! これでも喰らえ!」
 海賊になりきったかのような素振りで、彼はコートのポケットから何かを取り出すと、目にもとまらない速さで会場に向けて、投げつけた!
「わあっ!」
 客達が思わず頭を庇う様にしゃがみこむ。だが、あたまにこつんとぶつかった感触は想像より遥かに軽い。
「あ、飴?」
「わはははは。驚いたかね。俺からのプレゼントだ。どうだ? まんまと騙されたであろう?」
 にやりと笑うシフォニアに、会場から満場の拍手が巻き起こった。
 こうしてハロウィンの仮装コンテストは最高のパフォーマンスで幕を開けたのであった。

 賑やかな舞台の上で、参加者達のパフォーマンスが続いている。
 口元を白い布で隠した鋏美が「わたしきれい?」と問うている。
 誰かが「きれい!」と答えた。
「‥‥‥これでも‥‥きれい?」
「「「ぎゃあああ」」」
 子供達の何人かが悲鳴を上げた。
 大きな鋏と耳のあたりまで大きく紅で縁取られた口。
 子供にとってはトラウマになりそうな衝撃であったようだ。
 他にも舞台の上で大きなかぼちゃプリンを作ったたんぽぽ。
 暴食に手を引かれ無理やり連れ上げられたトイフェルは、飛ぶように逃げて行った。
「おそろい〜!」「おそろいです!!」
 子供用のもふらの着ぐるみを着た蒼雀姫と紅雀姫は二人で舞台の上に上がると
「「もふもふ〜♪」」
 二人で肩と顔を摺り寄せてポーズを決めて見せた。余りのかわいさに満場の拍手が上がる。
「小狼君は、出ないの?」
 そんな舞台の様子を少し離れた所で見ていた静乃は小狼にそんなことを問いかけた。
「で、でねえよ! そんなのガラじゃないって知ってるだろ!?」
 ぴと。
 寄り添い自分の真横でそう言う静乃と目が合った小狼は慌てて顔を背けた。
 頬っぺたがなんだか熱く感じるのは多分気のせいではあるまい。
(なんで、俺はあんなに、いや、こんなにドキドキしてんだ俺は〜!)
 本当に自分でも理由が解らず動揺する小狼は周囲に集めた料理も今一つ進まない。
「あ、ごめん」
 動揺し過ぎて肩に静乃が乗せてくれた蝙蝠の人魂を消してしまった。
 謝ろうと思って横を見た時、小狼は目を丸くしぽかんと口を開けていた。
「はい、あ〜ん」
 小さな鳥の空揚げを静乃が小狼の口元に差し出しているのだ。
 そして、ぽかんと開けてしまった口に優しく入れる。
「‥‥ご主人様、美味しい?」
「ご、ご主人様あ‥‥? あ! あ、ぐ、ぐぐっ!」
 静乃の行為と言葉に完全に動揺した小狼は口に入れられたから揚げを思わず嚥下してしまった。
 当然、喉に詰まる。
「ごほごほごほっ!」
 むせる小狼は差し出されたお茶を飲んで一息つく。
「な、なんだよ。静乃。ご主人様って‥‥」
 小さな抗議をする小狼に静乃は平然と
「? 主 従‥‥」と返答した。
『主』の時に小狼を、従の時に自分を指差して。
「お、おい! そんなのじゃないからな!」
 動揺する小狼は首を傾けて自分を見る静乃に、また頬が朱くなるのを感じていた。
 だから、気付かなかったろう。
「‥‥草木も眠る丑三つ時‥‥コーン、コーンと音がしたら。貴方は決してその音に近付いてはならない。‥‥さもないと!!!!」
 舞台上で迫力のある演技を見せる腐乱も、
「ぎゃあああああ!!」
 それを見ていた人達の悲鳴も‥‥。

 そして、コンテストがもうじき終わろうと言う頃、その場から少し離れて、連れと顔を合わせた人物がいる。
「真名さん。紫乃さん。少しお時間を頂けますか?
 大事なお話があるんです。差し上げたいものも‥‥」
 名前を呼ばれた二人は頷きあい、彼の後へと着いて行ったのだった。

●秋の夜の夢
「さてさて、俺がこんな可愛らしい服貰っていいのかね?」
 表彰式の後、入賞者への賞品として貰ったなりきりセットを見ながら亜伊は眉間をカリカリと掻いた。
 先ほど行われた仮装コンテストの表彰式で、優勝がシフォニア、準優勝が腐乱。特別賞が亜伊と発表されたのだ。
 亜伊は特にパフォーマンスをしたわけでは無いのだが、子供達の圧倒的支持を得ての入賞と言われて断ることができなかったのだ。
「よいのではないか! 貰えるものは貰っておくがいい!」
 仮装大会の優勝者シフォニアが胸を張る。
「そうだな、ありがたく貰っとくか」
「我もちょっとうれしいぞ! ‥‥着るかどうか別だがな。うむ、良い手触りだ」
 腐乱も賞品の魔女セットにご満悦だ。
 用意してきた飴や藁人形ももう殆どなくなってしまった。
 会場はまだまだ賑やかだが、祭りは緩やかな終演に向かい始めている。
 空になって積み重なった皿やコップ達。
 会場に飾られたおもちゃかぼちゃ達には顔や絵が描かれて真夢紀特製のクッキーと共に参加者達に配られた。
 そして、どこからともなく聞こえる鄭理の竪琴が聞こえてきた。
「フィナーレは皆でのダンスです。どうぞ遠慮なく輪に入って下さい」
「わーい、ダンスです〜」「一緒に皆と踊りたいですね」
 まるごともふらを脱いで、可愛らしい浴衣ドレスに着替えた蒼雀姫と紅雀姫が真っ先に駆け出す。
 次に飛び込んだのは譲治。
 狂々も年や背が近い譲治と意気投合して遊びまわっていたので一緒にやってくる。
 そしてコンテストの後、新しく貸してもらった衣装。真っ赤なドレスとティアラに着替えた鋏美もいた。
 踊りの輪は徐々に大きくなっている。
「たんぽぽ殿。なんの話だ?」
「あっちゃんさんも舞台に出て弾けばいいのに」
 表に出ず舞台そでで竪琴を引く鄭理。
 元より事前準備メインで表に出るつもりは無かった吸血鬼であるが、最後のダンスの伴奏を頼まれて拉致られて、今、こうしてここで弾いている。
 それにどうやらむくれたらしいたんぽぽであるが
「まあ、いいです」
 それでも足で楽しげにリズムを取り身体を動かしている。
「‥‥踊りましょうか? 紫乃さん?」
「は‥‥いいえ、でも‥‥」
 紫乃は差し出された朔の手を見つめながらも、ちらりと真名を見る。
「私の事は気にしないで。踊ってきて」
「‥‥はい」
 昨年は、私と朔が踊った。
 真名は思い出す。
 さっきの朔の告白を。
 彼は2枚のドレスを用意していた。
 一枚はウェディングドレス。もう一枚はブラックプリンセス。
 そして自分に渡されたのは‥‥ブラックプリンセスだった。
「紫乃さん、今度これを着てくれませんか? ‥‥私の隣で」
「えっ‥‥、本当に‥‥」
 どこかオロオロしている紫乃の手をしっかりと朔は握り締めた。
「はい。貴方でなくては、ダメなんです」
 それでも、まだ躊躇いがちな紫乃の背中をぽん、と真名はあの時押したのだ。
「おめでとう」
 それに励まされて前に進んだ紫乃は
「‥‥はい」
 と朔の手を握り返した。
 二人を見つめる真名に朔は頭を下げる。
「真名さん、申し訳ありません。真名さんも大切です‥‥。ですが、支えたい、そう思ったのは紫乃さんでした」
 知らず軽く目を閉じていた。
 紫乃は親友で、朔は‥‥愛しい人。
 親友と同じ人を好きになり、彼は自分ではなく、親友を選んだ。
 それに恨みなどはないが‥‥。
 けれど、今、こうして心結ばれた二人を見ているのはほんの少しだけ辛い。
「ご主人様‥‥一緒に踊ろう?」
「ご主人様じゃ‥‥、ああ、もういい! 行くぞ。静乃」
 手をしっかりと繋いでいる小狼と静乃。
「楽しいですね、たんぽぽさん」
 たんぽぽとハヤテと手を取り合い、蒼雀姫や紅雀姫も二人でくるくると可愛い踊りを見せている。
 一緒に遊びまわって狂々も譲治も、暴食もトイフェルの姉妹も。腐乱も。
 盛り上げる為に无やフラウも中に入る。
 知らない者同士、家族同士、友達同士。踊りの輪はどんどん広がって行く。
 男女を問わず今日と言う祭りを共に楽しんだ者同士が手を取り合って踊る。
 その輪から一人、真名だけはそっと外れて闇の中へと消えて行った。
 明日、二人に笑顔で会い話す為に。


 かくして天儀の祭り、はろういんの夜は今年も更けていく。
 去年と今年。
 同じだけと違う祭りは人々に、確かに笑顔を与えた。
 来年はどうなるのだろうか? 来年もまたできるだろうか?
「お疲れ様でした」
 まだ全て終わったわけでは無いが、仮装コンテストにダンスと、一区切りついてホッとする美波に无は笑いかけた。
「こういうのもいいですね。冬の前の夜の夢ですかね。百鬼夜行ならぬ、ゴーストパレードってところ?」
 カンテラの明かりに照らされて、いろいろな仮装の人物達が踊る様は確かに夢のようだ。
「ええ、皆さんのおかげです」
「それもあるけど、美波ちゃんが頑張ったから、ね」
 シャルルは一生懸命、働きまわった主催者美波にそっと、暖かい茶を差し出した。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「また、来年もできるといいわね」
「ええ、ぜひそうしたいと思います」
 明るく頷く少女に笑顔を返しながら、シャルルは今日、殆ど姿を現さず、縁の下の力持ちに徹した影に向かって小さく片目を閉じて見せた。
 そっと、メッセージカードを付けて置いてきたお菓子の袋は受け取って貰えただろうか‥‥。
「さて、あともうひとがんばり! 最後まで皆さんに楽しんでもらわなくっちゃ。片付けまでがお祭りです!」
「そうね。あと少し、皆で楽しみましょう。こんなに素敵な夜なんですもの」
 見上げた空には満天の星。
「美波ちゃんも踊りましょ。宴を盛り上げるのも主催者の役目よ。真夢紀ちゃんや裏方の人達も皆、引っ張り込んじゃいましょう! ほら、无さんも!」
 星のシャンデリアとかぼちゃ達の笑い声に照らされて、夜の夢はもう少しだけ続く。

 今年の出会いを喜び、来年もまた共に有れるように。