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■オープニング本文 ●もふらがたり とある資料室――一人の青年が、過去の報告書を整理していた。 足元には暖房器具の中で宝珠が熱を発し、もふらが丸まって暖を取っている。 彼は眠そうな瞳をこすりながら紙資料の山をめくり、中に少しずつ目を通していく。 そこに記されているのは、遠い昔の出来事だ。 それはまだ嵐の壁が存在していて、儀と儀、地上と天空が隔てられていた時代の物語。アヤカシが暴れ狂い、神が世界をその手にしていた時代の終焉。神話時代が終わって訪れた、英雄時代の叙事詩。 開拓者――その名は廃されて久しく、彼らは既に創作世界の住人であった。 「何を調べてるもふ?」 膝の上へ顔を出してもふらが訊ねる。 彼が資料の内容を簡単に読み上げると、もふらはそれを知っているという。 「なにせぼくは、当時その場にいたもふ!」 そんな馬鹿なと彼は笑ったが、もふらはふふんと得意満面な笑みを浮かべ、彼の膝上へとよじ登る。 「いいもふか? 今から話すのはぼくとおまえだけの秘密もふ。実は……」 全ては物語となって過ぎ去っていく。 最後に今一度彼らのその後を紡ぎ、この物語を終わりとしよう。 ●地上からの留学生 今日は陰陽寮朱雀の入学式。 ぽつぽつと、新入生や付き添いの者達がやってくる朱雀の大門の前にまた、三つの影がやってきて止まった。 小さい影が二つとそれより少し大きな影が一つ。 「彼方センセイ…。 本当に大丈夫でしょうか?」 緊張の面持ちで一人の少年が、長髪の青年の顔を仰ぎ見た。 「不安かい?」 センセイと呼びかけられた青年は優しく少年を見つめる。 「…はい」 少年にかけた問いかけであったがそれに答えたのは少年ではなく、横に立つ少女であった。 「私達…、護大派を、陰陽寮は本当に受け入れてくれるのでしょうか? 一緒に学ぶ生徒さん達は…私達の事を怖がったり厭んだりは…」 期待とそれ以上の不安に胸を押さえる少女に、青年は静かに笑って頭を撫でる。 「正当に試験を受けて合格したんだから問題はないよ。 五行国と地上世界の関係も深まっている。 それに僕も朱雀寮で学んだんだ。 朱雀寮の精神を持つ新入生なら、大丈夫だ。 心配はいらない。堂々と、そして精一杯やってきなさい」 「「はい」」 青年に背を押され二人の子供はゆっくりと、朱雀の大門を潜って行った。 それをじっと見つめる視線に気づくことなく…。 さて、この日に先立つこと数日前。 「この子を地上に連れて行ってくれませんか?」 一人の少年を連れて開拓者ギルドに依頼を出しに来た者がいた。 「地上世界に? 子供を??」 心配そうに再確認する係員に、はいと頷いて依頼人、陰陽寮 朱雀寮長 各務 紫郎は頷いた。 「この子、…祐平はかつてアヤカシや護大派との戦いの時に親を失った孤児です。 私が後見人として引き取りました。今年16歳になります。 志体を有し、学業などにも優れた能力を発揮していた為、五行国が支援し今年、私の娘と一緒に、陰陽寮 朱雀寮に入寮する事となりました。でも…」 「その前に、地上世界見たいんです。僕の、自分の目で!!」 少年 祐平はそう開拓者達に告げた。 真っ直ぐ、真剣な眼差しで…。 「護大派との和平以後、五行国と護大派は慎重に情報交換などを続けてきました。 そして今年、初めて地上世界から正式に二人の留学生を受け入れることになったのです。 祐平とは、同期となります」 各務の言葉に祐平は手のひらを強く握りしめていた。 「頭では、解っているんです。護大派を恨んでも仕方がないし、意味もないって。 でも、父さんと母さんを奪ったアヤカシ、護大派、って思うと恨みや憎しみが止まらなくなる…。 だから、護大派をちゃんと知りたい。 この目で彼らの住んでいるところを見たいんです。どうか…お願いします」 深々と頭を下げる少年を柔らかい目で見つめながら各務は開拓者達に告げる。 「あれから13年の時が過ぎようとしています。 陰陽寮も幾度かの改新を経て、大きく変わりつつあります。 また地上世界も、世代交代が行われようとしているようです。 これからを担う子供達が、過去ではなく未来を見て歩いていけるように、皆さんの力をお借りしたいのです。よろしくお願いします」 十余年という時は人や世界を変えるに十分な時間である。 変わりつつある人と、世界を改めて見つけるこれは一つの機会かもしれないと開拓者達は思うのだった。 |
■参加者一覧 / 芦屋 璃凛(ia0303) / 青嵐(ia0508) / 瀬崎 静乃(ia4468) / 平野 譲治(ia5226) / 尾花 紫乃(ia9951) / サラターシャ(ib0373) / 尾花 朔(ib1268) / 雅楽川 陽向(ib3352) / カミール リリス(ib7039) / 瀬崎・小狼(ib7348) |
■リプレイ本文 ●朱雀の子供達 四月吉日。 五行の空は美しく晴れ渡っていた。 「ほいほい、朱雀寮はこっちやで。 迷子にならんようついてくるんやで」 獣人の子供の前に立ち、元気な笑顔でやってくる女性が空を見上げる。 「しっかし、いい天気やね。それに桜も満開や。こんなええ日に入寮できるあんたらは幸せもんやで」 輝く太陽。優しい風。くるくると回り、踊る桜吹雪。 眩しそうに目を細めた雅楽川 陽向(ib3352)は向こうに見知った顔を見つけると 「寮長センセに先輩たち、お久しゅう♪」 嬉しそうに、楽しそうに尻尾を振って見せた。 「お久しぶりです。陽向さん。その子達は?」 「神威の里の教え子やねん。世界人形朱華ちゃんの踊り見て育った子や」 陽向は勿論、近づいてくる大人達に紹介したのだが、それより先に、彼らの側に走るように近づいてきたのは子供達の集団であった。 「ほら見て、兎さんの耳してる!」 「ホント。かわいいね!」 「こら。薫。あんまり指さすな。失礼だろ?」 はしゃぐ少女達を後ろの少年が止めるが、陽向はそう気にした様子もない。 「かまへんよ。ほら、ご挨拶や。これから一緒に仲良くやっていくんやで」 子供を前に出し背中を押す。 「…こんにちわ」 「こんにちわ! あたし、薫。よろしくね!」 そういうといきなり少女は兎獣人の子に抱き付いた。 「僕は夏月です。こっちは妹の藍花」 「ハラル…よろしく」 「ほら、祐平も挨拶しなきゃ!」 「お前が言うな!」 あっという間に輪を作り始めた子供達を大人達は静かに見守っていた。 時間はほんの少し前に遡る。 「お〜い! 夏月!! 藍花!! こっちだ!!」 朱雀の大門に向かう新入生達に向けて門から大きく手を振る少年の姿が見えた。 「透真にいさま!」「兄様、お久しぶりです」 名前を呼ばれ元気よく走り出す二人の子供達に 「転ばないように気を付けていくのですよ」 少し後ろから見守るように歩いていた父親が優しく声をかける。 そして 「透真さん、元気にしていましたか?」 自分の子供達に向けるのと同じ瞳で、目の前に立つ少年に微笑みかけたのだった。 「朔小父上、紫乃小母上、お久しぶりです。 ご無沙汰していて、申し訳ありませんでした」 少年は子供達二人を抱きしめ終えると彼らの両親に頭を下げる。 「本当に。三郎さんも、伊織さんも長次さんも心配していたのですよ。 休みになってもちっとも帰ってこない、と」 諌めるように言う尾花 紫乃(ia9951)に透真と呼ばれた少年は照れたように頭を掻いて見せた。 「すみません。課題が忙しかった上に、色々面白くて…」 「まあ、あの人には自分の息子の事をとやかく言う資格はありませんがね。 でも、次の休みには西域に帰って来て下さいね。今度は夏月も一緒なのですからね」 そして尾花 朔(ib1268)も言い聞かせるように告げる。 父親の言葉を聞いて思い出したのだろう。 女の子藍花は甘えるようにじゃれていた少年から離れると、今度は兄の方を見たのだった。 「夏月兄様、お手紙ちょうだいね。お休みには会いに来てくれる?」 紫の瞳をじんわりと涙で潤ませる妹を、兄である夏月はその目元を優しく拭って 「藍花、大丈夫、一杯色んな事を手紙に書くよ。だから待っていてね?」 青い空のような瞳でそう答える。 「大丈夫だって。俺がついてるんだから」 「だから余計にしんぱいなの! 透真にいさま、あてにならないもん」 「あいか〜〜」 頬を膨らませてぷいと横を向く藍花に透真は頭を抱えるように唸った。 場に笑い声が広がっていく。 「おやおや、楽しそうですね」 「寮長!」 そう声を上げたのは誰だったか。 きっと透真であったろう。 朔と紫乃は嬉しそうに会釈をし、夏月は緊張したように背筋を伸ばし、藍花は母親にきゅっとしがみつく。 現れたのは陰陽寮 朱雀寮長 各務 紫郎。 その後ろには 「朔、紫乃! 依頼ぶりなのだ!」 子供を腕に抱き元気に手を振る平野 譲治(ia5226)、横には少年を伴ったカミール リリス(ib7039)、遠慮がちに立つ芦屋 璃凛(ia0303)もいた。 「先輩方、お元気そうで何よりです。そちらにいるのはご子息ですか?」 「ええ、リリスさん。息子の夏月といいます。今度、朱雀寮に入寮することになりました」 「よろしくお願いします」 緊張したように頭を下げる夏月に 「それじゃあ、うちの甥っ子や祐平君、薫ちゃんと同期ですね。こちらこそよろしくお願いします。 ほら、ハラル。ご挨拶は」 リリスは横に立つ少年の背を押して前へと促した。 「…よろしく」 「薫ちゃんというのは?」 「何々? お友達??」 ふと、寮長の後ろからぴょこっと小柄な少女が顔を出す。 目を好奇心で輝かせる少女は、初めて見る顔なのにその場の大人達にどこか懐かしいものを感じさせる顔だちをしていた。 「先生、すみません。薫! もうすぐ入寮式が始まるっていうのにこんなところで…、あっ! 皆さん」 息を切らせるように走ってきた少年は、少女に諌めるように声をかけた。 「祐平君。譲治君ではありませんが、依頼ぶりですね。元気にしていましたか?」 問いかけられた祐平はそこに立っていた大人達に気付くと、背筋を伸ばし頭を下げる。 「はい。先日は…我が儘を言ってご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」 「いいんですよ。…迷いは、どうやら吹っ切れたようですね?」 優しく問いかける紫乃にはい、と答える祐平。 「はい。本当にありがとうございました」 深く頭を下げた彼を少女がぐいっと引っ張った。 「あのね。あっちでね、カラクリの子とね、兎獣人の子がいたんだよ。 あと、地上世界から来たって子も。 その子達も同期なんだって。一緒に行こうよ!」 「わあっ!」 「ちょ、ちょっと待ってってば。父上、母上! 藍花! 透真兄様!!」 さらに小柄な身体に似合わぬ怪力で少女はハラルと夏月。二人の少年をも引きずっていく。 「兄様!」 その後を追う藍花。 「薫。式の前までには講堂に来ること。遅刻は許しませんよ」 「はーい! 父様」 「おい、待て! 薫!! その子達を放すんだ。先生、皆さん。すみません!」 「お前ら! 講堂はそっちじゃないぞ!」 小さく頭を下げて子供達の後を祐平と透真も追う。 「父様、ってことはあの薫って子が寮長の子供な…のか?」 「ええ。薫。11歳です。 わんぱくというか、男勝りで困ります。いったい誰に似たのでしょう?」 ため息をつくフリをする父親に 「父親にでしょう?」 容赦のないツッコミが入る。入れたのは来賓として正装を身に纏った五行の幹部の一人である。 「おや、青嵐(ia0508)さん。今日はお世話になります。…そんなに似ていますか?」 「あれだけそっくりでは言い逃れできませんよ。 祐平君も貴方譲りの性格をしているようですが薫ちゃんは父親の本質を受け継いだのでしょう」 今は同僚となった生徒の言葉に肩を竦める紫郎。 「私以上の朴念仁にご家族が…。喜ばしい限りですね」 朔もからかうように声をかける。 「朔さん」 紫乃も口では注意するが頬は笑っている。 「元気でいい子だと思う…な。うちの子とも今度一緒にあそんでほしいかな」 頭を抱える寮長や、口ぐせを直そうとする譲治。 その様子を楽しそうに笑うと大人達は子供達を追った。 どうやら、向こうで陽向が連れてきた獣人の子と遊び始まったらしかった。 ゆっくりと近づいていく。 だから、彼らは子供達の様子をうかがう者達の気配に、勿論、気付いていた。 じゃれあい、はしゃぐ子供達の輪。そこに 「あ、あの!!」 澄んだソプラノの声が響いた。 ふと、動きを止めた彼らは声の方を見る。 そこにいるのは少女と、少年だった。 少女は薫より少し上、少年は祐平と同じくらいに見える。 背後に銀の髪の青年がいるが、彼は二人を見つめているだけだった。 シンと静まり返った場に少女の震える声が、響く。 「私達も…今年、陰陽寮に…入るんです。 地上人…護大派なんですけど…仲間に、入れて貰えないでしょうか?」 「一緒に、勉強する…仲間。それ以上に…あの…友達に…なりたいんだ」 少女は胸の前に祈るように手を結び、少年も震える手を拳に握りしめている。 「…名前は?」 「え?」 口火を切ったのはハラルだった。 「君らの名前は? 歳は?」 「あ…みのり…実です。13歳」 「霧弥 16歳」 「そっちの子は?」 ハラルの言葉に護大派の二人も、そして子供達も視線を後ろに向ける。 彼らの後ろにカラクリの少年がもう一人立っていたのだ。 「…春雷」 彼は、大人達の一人に視線を送ると戸惑いがちに答える。 「君も陰陽寮生ですか?」 夏月が問いかけた。小さく返された頷きに 「だったら、みんな同期ですね。仲良くしましょう」 彼は笑いかける。護大派の子達にもカラクリの子にも 「…あの、いいんですか? 本当に?」 「いいですよね? 薫さん、ハラルくん。皆さんも」 「もっちろん! 凄い! 獣人に、カラクリに、アル=カマルの子に護大派なんて最高じゃん!」 薫ははしゃぐように三人にも飛びつき、 「よし、みんな纏めて面倒見てやるぜ、よろしくな」 透真は彼らの背中をぽんぽん、ぽんと叩く。 そして祐平は、大人達をみやり、大きく深呼吸すると 「よろしく。春雷。…霧弥、実」 三人に手を真っ直ぐに差し伸べたのだった。 賑やかな子供達の声、入寮式の始まりを告げる寮長の言葉で一旦途切れた。 促され式典会場へと進んでいく。 「今年の陰陽寮は賑やかになりそうですね」 「ええ…よかった」 「皆さん、ありがとうございました」 頭を下げた青年に 「いいんですよ。彼方さんにも地上世界ではお世話になりました」 と紫乃は微笑んでいる。 大人達は遠ざかっていく子供達を見守りながら、数日前の地上世界探索と、少年が見つけた「答え」を思い出していた。 ●古代人と呼ばれた人々 陰陽寮朱雀 入寮式。 そこから遡ること数日前。 彼らは祐平と一緒に地上世界に降り立っていた。 「ここが…地上世界」 話には聞いていても初めて見る荒涼の大地。 それを見つめる祐平は息を飲み込み言葉なく見つめていた。 長い間、一般人はおろか、開拓者さえ見る事の叶わなかった雲海の下。 そこに大地があり、人が住んでいたと知れたのは、長き天儀の歴史から考えても僅かここ数年のことでしかない。 天儀人から古代人とも呼ばれた地上世界人、護大派は、数千年の長きにわたり瘴気に満ち溢れた地上で厳しい生活を送ってきた。 彼らにとっては瘴気と共に生きる世界が自然。 長い年月を経て、瘴気に適合した肉体を自ら作り上げた彼らは、それと鋭敏化された思考により一時、天儀の人々にとってアヤカシと同意の敵であった。 アヤカシと手を組み、天儀の人々を苦しめた事も護大派にとっても事実であり、多くの民が戦いにより命を落とすことになる。 そして、彼らの思想や行動を支えていた『護大』が開拓者によって消失。 地上世界に初めての光が、太陽が現れた時、彼らは自分達の過ちを理解したのだった。 そして、彼らは天儀人に謝罪。その多くが地上世界での静かな暮らしに戻っていった。 地上世界は生きるには厳しい世界。 けれど、そんな場所でも彼らには捨てる事のできない、故郷であったのだ。 そんな彼らに天儀人の一部、特に開拓者が手を差し伸べた。 護大派も天儀人も同じ「人」である、と…。 彼らは躊躇いながらもその手を取り、歩き出す。 護大消失から約13年。 地上世界と護大派はゆるやかに、だが確実に変化の兆候を見せているようだった。 その光景を前に少年は立ち尽くしていた。 おそらく一面の荒野、瘴気の満ち溢れた世界は、緑豊かで美しい天儀とはあまりに違っていたから。 本当に、何と言っていいのか解らないのだろう。 『時に、知らなくて良い事もある。 知った後に動けなくなる事もある その覚悟は祐平、君にはあるなりか?』 出発前、譲治にそう問われた時には意味が解らなかった言葉を噛みしめ、祐平は無言で立ち尽くしていた。 ただ目の前の光景から目を離せないと言った風情の祐平の背中を 「今回はよろしくお願いするね…」 瀬崎 静乃(ia4468)はぽん、と叩くと夫である瀬崎・小狼(ib7348)の方を無表情で見つめた。 うん、と言葉にならない視線の意味を読み取った小狼は 「で、どこから行く?」 祐平にそう問いかけた。 護大派との戦いの戦災孤児であるという祐平は、陰陽寮入寮前に敵と思っていた護大派を知りたいと言ったという。 行き場のない思いの行く先を見つけたいと思っているのだろう。 (あれから十年。もうじゃなくまだ、って事なんだろうな) 小さく目を伏せてから祐平を横目で見る。 思う事はいろいろあるがそれを言葉に出すつもりは小狼には無かった。 妻も同じであろう。 (言ってしまえばよくある事、だしな。 でも、これから減らしていかねばならない、事だ。 あの戦いはその為にあったんだと意識して、願わくば向き会える事を祈り力を貸そう) ここに集ったのはそれを手助けしてやりたいと思った者達。 皆、同じ思いを抱いていると小狼は信じ、理解していた。 「あ、はい……。護大派と…会ってみたいです」 躊躇いがちに言う祐平にサラターシャ(ib0373)が問いかけた。 「まず、街に行きますか? それとも彼らが働いているところを見てみますか?」 「働いている…ところ?」 「ええ」 頷いたサラターシャはにっこりと微笑む。 「今、地上世界では天儀から輸入した植物や野菜を栽培する試みが行われているそうですよ。 若い世代を中心に。 今までは魔の森の植物以外、食べるものもなく、また食べようとしなかったそうですが、今は自らの手で食べるものを栽培しようとし、最近ようやく軌道に乗り始めたそうです。 どうです? 見に行ってみませんか?」 「…はい、行ってみたいです」 はっきりと答えた祐平に青嵐は 「よろしい。まずは「知ること」から。それが第一歩でしょう」 満足そうに頷いた。そして 「準備は万端? 交流が活発だからって基本を違えると痛い目見るからね」 譲治の問いに祐平が 「はい」 と答えたのを確かめて 「一番近い実験農場が、無明からそう遠くない場所にあります。 行ってみるとしましょう」 彼と仲間達を促したのだった。 基本的に地上世界のアヤカシは理由なしに人を襲うものはあまりいない。 しかし、天儀から大アヤカシ那岐が降りてきた余波などもあり、稀に人を襲うアヤカシもいるのだと開拓者達は護大派から情報を受けていた。 そして、それを自分の目で確かめることになる。 「うわっ!」 眼突鴉の群れが砂漠を歩く彼らに襲い掛かってきたのだ。 とはいえ、それ程の強敵ではない。 「…後ろに、…下がって」 「静こそ、後ろに下がってろって!」 「久しぶりの全力戦闘! 後世に残す、ってね。瘴気吸収!!」 前衛を買って出た譲治と小狼が技と武器をふるい、静乃が鳥人形朱夏で援護をすれば、程なく敵は空へと逃げて行った。 「…大丈夫? 二人とも…」 「これくらい、どってこと無いって」 「少し派手めにやっただけなりよ」 気遣う静乃に二人は笑って見せる。実際に怪我はないようだった。 しかし、祐平の顔は青ざめている。 「実際のアヤカシとの戦いを見るのは初めてですか?」 「はい…」 サラターシャに祐平は頷く。 「これくらいの戦いは天儀でもどこでもあることです。 この程度で怯えていては陰陽師は務まりませんよ」 五行陰陽師を束ねる立場にある青嵐の言葉は厳しいが真実で、祐平はしゅんと頭を下げた。 「青嵐さんの言葉でないですが、これも「知ること」です。 陰陽師になるという事の意味をよく考えるといいと思います」 さりげなく庇うように告げた紫乃にはい、と頷いて祐平は顔を上げる。 素直な子だ、と紫乃は思った。 「では、先を急ぎましょう。またアヤカシが出ないとも限りません」 青嵐の促しに彼らは足を早めたのだった。 辿り着いた実験農場の一つで、祐平は言葉を無くして佇んでいた。 そこは見た者達に不思議な感覚を感じさせる風景であった。 一見すれば天儀にもよくある普通の農園のそれと変わりはない。 大根、人参、じゃがいも、サツマイモなどの根菜。 白菜、青菜などの葉物に、キュウリやインゲンなどの実物。 育てられているのも天儀で馴染みのあるものばかりだ。 しかし、それを育てる者達の表情が違っていたのだ。 水をまき、支えをし丁寧に世話をするのは自分と変わりのない、それどころか小さな子供ばかりだ。 彼らは本当に愛おしそうに野菜たちを見つめていた。 「…どうして、彼らはあんなに笑顔で、幸せそうに働いているのでしょうか?」 アヤカシに襲われる危険を冒して農場に通い…そんな言葉にならない祐平の問いに 「それは、自分達の手で自分達の食べるものを、未来を作る喜びを感じているからだと、思いますよ」 静かな声が答えを落とした。 「彼方さん」「お久しぶりですね」 振り返った祐平の後ろに銀の髪をした青年が立っている。 一目で護大派と解る外見をした彼は親しげに話しかける大人達に会釈をすると祐平の前に進み出た。 「この地上を、見てくれたかな? 空の雲が晴れてきたとはいえ、今もなお瘴気に満たされた大地。 天儀との交流が始まり、外界に出る者も増えたけど、それでもこの大地が僕らの故郷だ。 だから、ここに生きることに、護大派として皆、誇りを持ちたいと思っているんだよ」 「…誇り」 「自然に、あるがままに生きる。それが護大派の教えで厳密に言えばこういう栽培や土壌改良なども歓迎はされないんだけど。 だから子供が多いんだけど…、美味しいものが食べたくて、自分の生まれ育った土地が、家族や友達が大好き。 そんなに天儀人と僕らも変わらないと思うんだ…」 「…」 敵としてしか思えなかった護大派の静かな言葉に、祐平は下を向いたままだ。 「地上の人々の生活をつぶさに見て回り、儀における生活と比べてみるといいでしょう。 我々は恵まれてもいますが、そうでない部分も多いでしょう? それについて、考えてみるといいと思います。 彼方君。案内をお願いできますか?」 五行重鎮の言葉に護大派の青年ははいと頷く。 「勿論。もしお嫌で無ければ無明に戻ったら、ここの実験農場で採れた野菜で料理を作りますよ」 「頂いてみませんか? 祐平さん?」 紫乃の促しに顔を上げた祐平は 「はい、お願いします…」 大人達に、そして彼方に深く、お辞儀をしたのだった。 「随分、あっさり戻ってきちゃったけど、いいのか?」 地上世界からの帰還の後、殆ど祐平や仲間達とも会話も交わさずに戻ってきた妻に小狼はそう声をかける。 「…いいの。…仕事は終わった。…もう、自由」 丁度、桜の花見シーズン。 五行の街を散策する静乃は夫の腕に甘えるように持たれかけた。 屋台で食べ物を物色し、装飾品の店をひやかしてまわる。 「…もともと、あの子の中で既に結論は出ていたと思う。…地上に行ったのは確認作業。 …その結論に、本人が納得できたのなら…大人の役目は終わり」 「ま、確かにそうなんだろうけどな」 小狼はあの後の事を思い出しながら小さく肩を竦めて見せた。 無明に戻った後、祐平は自分達を無邪気に取り囲んだ子供達に慌てながらも優しい目で接していた。 『古代人…いえ、護大派の子供達も、ご近所で一緒に遊んでいる子供達と変わりありません。 そして一人一人に名前があります。 『護大派の子供』ではなくその子自身を見てあげて下さいね』 そう言ったサラターシャの言葉に応えられるように、必死で名前を覚えようとしていた生真面目な様子を思い出すと少し笑えてもくる。 「地上世界の野菜はまだまだ味が薄くて俺達から見れば今一だったけど、護大派にとっては数少ないまともな食材なんだろうな。 彼方とやらの料理を随分喜んで食ってたっけ」 屋台から買った棒刺しの野菜をかじりながら小狼は思い返す。 「…天儀との交易も順調になってきているって。13年でここまで来たんだから、あとは進むだけ…きっと、これから…」 「そうだな」 物思いにふけり、自分以外の誰かを見ているような静乃を見て、口に入れた野菜を飲み込むと 「静」 「!」 その唇にキスをした。 「へへん。ビックリしたか? 一緒になってから10年にもなるのに相変わらず反応がかわいいぜ!」 頬を真っ赤に染める静乃に悪戯っ子のように小狼は笑って見せた。 「せっかく五行に来たんだから、もっと遊んでいこう! ほら!」 静乃に向かって真っすぐ手を伸ばす小狼を見て 「…まだ、教えてあげない」 「へ?」 彼女は右手で小狼の手を握りながら、左手で自分の下腹部をそっと触る。 「なんだよ?」 「…ないしょ」 「静!」 柔らかく、楽しげに笑う妻はひらひらと舞う桜の花びらのようで、小狼はそれを本当に愛しく思うのだった。 ちなみに静乃の体内に双子が宿っていることを小狼が知るのはまだもう少し先の話である。 ●受け継がれる思い 桜の花びらがひらひらと舞い散る朱雀寮の中庭。 「透さん。 朱雀寮の入寮式が終わりましたよ。息子が入学しました。 透真君、三郎さんと伊織さんの息子も…よければ見守ってやってください」 花束を抱えた朔は妻と共に小さな塚の前で膝を折った。 静かに語りかけ花を供える。 ここは、生成姫の子。透の墓。 五行にとっては裏切り者ではあるが、卒業後、西域を守る西家に所属した朔と紫乃にとっては家族の墓も同意である。 「三郎さんは、今、西家の長となるべく長次さんを手助けしています。伊織さんとの間には透真さんの他に二人の弟妹もいるんですよ」 だから、紫乃は優しく、まるでそこに人がいるように話しかけた。 西家の近況、自分達の事、そして…透の親友であったら三郎と伊織と、その子供の事を… 「私達は今、西家で働いています。 朔さんは…多分生前の透さんと同じ立場にいるのですね。若頭と呼ばれて一族の実質的な面倒を任されています。 私達も長の一族と同等の扱いを頂いて、本当に家族のように暮らしていますよ」 「透真君の事を夏月や藍花。うちの子供達も兄弟のように慕っていますしね。 元々、西家は家族のようなものですが、その結束はさらに強まった気がしますよ」 透真君は本当に三郎さんそっくりですよ。元気で豪快で、それいて優しくて。 でも、時々フッと見せる大人びた表情と落ち着いた態度は、伊織さん似ですかね」 伊織の最初の子。透真。 生まれた男の子に二人は「透」の名を付けた。 無論、透の生まれ変わりだと思っている訳ではないだろう。 ただ、三郎は言っていた。 「結婚前に…言われた。生まれてくる子が笑って過ごせる毎日を作れるようにって… こいつは、透の生まれ変わりじゃない。 でも、いつそんな奴が生まれてきてもいいように、俺はこいつを、家族を、西域を、五行を守る。 透真。 透以上に、真実、幸せにする。そんな約束の証だ」 生まれた赤ん坊を最初に抱き上げた時、もうずっと前から決めていたという名前を息子に与え、彼はそう告げていたのだ」 「西域は五行中央と和解して共存繁栄しています。 私達の養女もですけど、何人もが朱雀寮で学んでいますよ。 卒業したので、透真さんや夏月達とはすれ違いになってしまいましたが。 架茂王はまだご健在ですけど、ご結婚なされてお子さんも生まれて、幾分か丸くなられたようです。 青嵐さんは今も次期王位を、本気で狙っておられるのでしょうか?」 「本気でいらっしゃるとは思いますが、今は五行国の幹部としてお忙しくていらっしゃいますからね。 フィールドワークに、術の実践、王の代行とかもしていらして…。 既に実質的な所では五行国を動かしていらっしゃるんじゃないかと思うのですが…」 二人の楽し気な会話は止むことが無い。 それほどまでにこの13年という日々は、輝かしく目まぐるしい日々であったのだ。 「月日は百代の過客にして……ですね。 養女(むすめ)が陰陽師寮を卒業し、息子が三郎さんの息子や、護大派の子と一緒に朱雀にと…年を取るはずです。 世界は変わり始めていますよ。 貴方が夢見た世界に近い世界が近付いてきているのかもしれません」 立ち上がった朔は笛を取り出す。 そして笛を奏でた。 そっと紫乃も歌を重ねる。 かつてここで透に贈った鎮魂の唄。 舞い散る桜と光の中で、それはかつて涙にくれた時とは違う音色で、空に響いていった。 そんな光景を少し離れたところから見つめる女陰陽師がいた。 「そこに…いるのは桃音?」 「璃凛?」 自分の名を呼ばれた陰陽師はハッと背後を振り返る。 「久しぶりやね。元気やった?」 「本当に…。なんで来てくれないの? 朱雀寮に何人も教え子を入れて来てたでしょう? あの子達も心配していたのよ?」 「うん、五行の陰陽師しながら陰陽寮の子らの世話役もしとるんやってな? 卒業した子らから聞いた。立派になったんやなあ〜。桃音」 嬉しそうに微笑む璃凛の目を、その動かない瞳を見て璃凛は自分の目を見開いた。 「此処には、快く思っていない相手も多くて気軽に立ち寄れへん」 「なんでそんな事をまだ…! みんな、貴女の事を…」 何かを言いかけた桃音の頬にスッと、璃凛が手を伸ばしてきた。 「随分、背が伸びたんやな。桃音」 「もう私も子供じゃないもの…」 「うん、そうやった…。桃音、触らせてくれへん些細な変化も有るやろうから」 「いいわ」 照れたように桃音は璃凛の手を取り頬にそっと触れさせる。 女性にしては高身長になった桃音。 頬に手を伸ばす璃凛と頭一つ違い、遠目から見れば姉と妹のようにさえ見えるだろうが璃凛が触れるその仕草は子を思う母のように、妹を思う姉のように優しい仕草であった。 「璃凛。 貴方の中で時間は止まっているのかもしれないけど、時は流れていくし、変わっていくわ。 私も、子供達もみんな…」 頬に触れた手をそっと自分の両手で包み込んで桃音は告げる。 「でも、忘れないで。変わらないものもあるってこと。 貴女を大切に思う人がいるってこと。 それを…忘れないで」 遠い昔、贈られた思い。 それを大人になった少女が大切にして、そして誰かに返そうとしている。 受け継がれていく心がある。 思いがある。璃凛はそれを受け止め頷いた。 そして 「ありがとうな…桃音」 静かに嬉しそうに微笑んだのだった。 璃凛と別れて桃音は龍舎にやってきた。 「強…」 今はもうかけがえのない相棒である龍の頭をそっと撫でた。 「今日は、入寮式なの。久しぶりに譲治と会ったよ。元気そうだった…」 少し寂しげな桃音の様子に気づいたのだろう。 強は桃音に頭を摺り寄せた。 桃音にとっては朱雀寮は家であり、そして籠でもあった。 時折、自由の空を飛ぶ開拓者達が羨ましく思う事も本当はある。 でも 「桃音さんもすっかり立派な陰陽師ですね。 宜しければ今度学び舎に遊びにいらしてください。 子供達も喜びます」 「今度、うちの子とも遊んでほしいのだ」 そんな開拓者達の言葉が、桃音の心の灯であった。 そして、今は陰陽寮に入ってくる子供達がいる。 彼らを護り助ける事ができる。 透の墓を守り、空を飛ぶ子供達を助ける。 「私は幸せ。 明日があって、皆の未来を助けられるもの。 ね…兄様」 そう言って桃音は静かに微笑むのだった。 ●夢の行く先 朱雀寮の入寮式の後は宴会になると決まっている。 朱雀寮では料理作成が必須なのだと、知っている者は知っているし、知らない者はしらないだろう。 さまざまな料理が並ぶ宴会場の中で 「う〜ん。ええなあ。こういうの。うちらの時を思い出すわ」 陽向は一際嬉しそうに、楽しそうに笑っていた。 「朱雀寮の桜を見ながらの花見団子は格別やね。 何が驚きって、無事卒業できるん思わんかったもん。 うちらの在学中、古代人とか色々あったからな。 あ、この子らに料理教えたの彼方先輩やろ?」 護大派の少女、実の差し出した団子を頬張りながら陽向は指を立てる。 「そうです。彼方センセイに教えて頂きました。 私は、センセイと同じ調理委員会に入って、色々な料理を覚えたいと思っています」 「うちのハラルも彼方君の話を聞いて影響されたみたいなんですよ」 リリスに声をかけられてハラルは少し照れたように笑う。 「彼方さんもすっかり先生になりましたね。少年の彼方さんを思い出して、不思議な感銘をうけます」 「サラさんこそ、学び舎の立派な先生じゃないですか? 卒業生さんは皆、立派に成人して活躍しておられるし…」 「皆さんの助けがあってこそです。レオは出稼ぎに出て金銭面で助けてくれていますし、新しいカラクリのミナはレオに仕えて私を手伝ってくれているのですよ」 「僕も、皆の助けがあってこそ、なんとかやってるんです。 サラターシャさんの事は、地上の子達も慕っていますよ」 「まだ、タケル様の封印を解く方法も見つかりませんし、もう少し地上との往復は続けさせて下さいね」 「願ってもない事です。みんな、喜びます」 「地上世界の研究は今後も続けていきたいものですね。 王もいい加減、研究に専念して下さればいいものを…」 サラターシャと彼方、そこに加わる青嵐の先生談義を聞きながら陽向は団子を飲み込んだ。 話だけ聞いていれば、古代人と天儀人との会話とは思わないだろう。 「あー、そうやね、うちは彼方先輩が古代人とは、知らんかったな 同じもん食べたり飲んだりしたし。 『一緒に過ごしても、違う種族と全く気づかんかった』 祐平さん、これ重要や」 陽向が茶などを運ぶ祐平の目を真っ直ぐに見つめた。 その言葉の意味を噛みしめるように祐平は、瞬きすると 「はい」 そう一言答えた。 「折角三年間を共にすごすんですもの 会う前から決めつけるなんて勿体ないと思いませんか?」 紫乃から言われた言葉を思い出しながら、自分の隣にいる少女、実を祐平は見つめていた。 「同じ世界を生きる友達、仲間。 そう思って一緒にやっていきます。いけると思います」 「! ありがとうございます」 その言葉を聞いた実は祐平に飛びついていた。 さっきの薫の仕草を真似たのかもしれない。 「わわっ!」 じっと見てみれば実はかなりの美少女だ。 祐平が抱き止めながらもドギマギしているのが見て取れた。 「あらあら」 楽しげに笑う紫乃や大人達。 「うわ〜、祐平、やらし〜」 「実! 男に抱き付くなんてはしたない真似するな! 怒られるぞ」 「まあ、今日の所は見なかったことにしておきますけどね」 「センセイ!!」 「兄様? はしたないまねってなあに?」 「! 藍花…それは!!」 「彼方君、護大派と天儀人の結婚は、ありですかね?」 「…難しいですけど、もしかしたら…いつかは…」 「だから、センセイ!」 「むしろセンセイの方が先でしょ!」 大人達の見守るような視線を受けて、子供達の笑顔は一層輝いていた。 ふと、笑い声の中 目を閉じた陽向の脳に、卒業式の事が思い出された。 その時、自分が朱花に誓った言葉もはっきりと蘇ってくる。 『うちは開かれた世界になることを願います。 朱雀寮には、異なる種族の先輩や同輩、後輩が集い、学び、笑いあえる寮生活でした。 寮生活のような景色が、世界中に広がるように尽くします』 卒業式の時に表した彼女の「朱雀寮」の輝きは十年を経ても今なお褪せることがない。 きっと、これから先もそうであろうと信じている。 だから、自分自身もその誓いと願いを叶える為にこれからも全力を尽くそうと決めていた。 何よりも、子供達の未来と笑顔を守る為に。 意思と心。そして…夢。 それは時を超えて、いつまでも護られ、受け継がれていくだろう。 今、新たな朱雀の子供達の物語が始まる。 未来へ向けて…。 |