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■オープニング本文 駈けこんだ病院の一室。 「ティアラさん!」 「あ…みんな…、うっ…」 ベットから身を起こしたティアラは小さく呻いて肩を押さえた。 母親の「何か」を感じたのだろうか。 その時、横に眠っていた子供がパチリと目を開けた。 「…う、…うわああん!」 「ああ、大丈夫だから。泣かないで。ルーウィン」 よしよしと宥めるように我が子を抱く母親の姿を、開拓者達はどこか、眩しいものを見るように見つめていた。 「つまり、診療所から出て、街を歩いていた時に、突然、切り付けられた、というのですね?」 開拓者の問いにええとティアラは頷いてみせる。 「正確に言えば下町に戻ってきてからなのよね。 人通りの少ないところに来た時に、数人に取り囲まれて切り付けられて…銃を突き付けてきたやつもいるのよ。ルーウェンは泣き出すし、本当にどうしたらいいか…・ もし、彼女が傍にいて、助けてくれなかったら危なかったかもしれないわ。 …ありがとう」 ティアラの感謝の言葉は、恩人である人妖とそれをつけてくれた開拓者に向けられている。 「でも、一体誰が、何の為に?」 「犯人はどんな人たちでしたか?」 問われてティアラは少し考え、そして真顔になった。 「それが妙なのよ。強盗とかって感じじゃなかった。 しかも男だけじゃなくて、女や子供もいたもの。 見たことのない人達なのに、…私に怒っているような…」 その時、一人の開拓者がティアラに歩み寄り、一枚の絵姿を差し出した。 「似顔絵で悪いんだけど、こんな人物がいなかったかしら?」 絵を見つめたティアラはハッとして顔を上げた。 「いたわ! 私に銃を突きつけたのはこいつよ。これは…いったい誰なの?」 「…ごめんなさい。後で話すわ」 彼女はそういうと仲間達に視線を送るのだった。 フェルアナ領主代行である彼女は夫と共に調べた資料を仲間と、南部辺境伯の前に差出し、広げた。 「フェルアナは先のラスリールの乱で少なくない死者を出したわ。 家族、兄弟、父親、夫。そういう者達を亡くした者達の数名が、フェルアナを抜け出したという情報が入ったの。きっかけは、ロレイス卿。貴方が南部に来たことだと思うんだけれど…。 彼らの目的は不明。でも、今回の件から察するにラスリールの代わりにティアラさんや、ロレイス卿に復讐しようと考えている可能性は、高いと思う」 「復讐?」 「ラスリールの領主館に勤めていた警備兵の一人がこの人物なの」 領主代行はそう言って指で絵姿を指し示す。 「彼はあの戦場で敵に操られて、盾にされていた者の一人。 救出には成功したのだけれど…アヤカシの襲撃時に息子と娘を失っていたらしいの…。 そして数名の、やはり家族を失った者達と一緒にフェルアナを出たという情報があったわ」 妻を早くに亡くし、男手一つで育て上げた息子とその妻。 家族を全て失った彼は行き場のない思いの行く先を自分から全てを奪った男、ラスリールの家族へと向けたのだろうか? 「ティアラさんが彼らの手に落ちないでよかった。でも、リーガの街に散ってしまった彼らはいつまた行動を開始するか解りませんね。 ティアラさん親子を狙う。もしくはロレイス卿を手にかけようとする…」 「その可能性は十分にありますね」 開拓者の言葉にグレイスは静かに頷いた。 そして開拓者を見据え、告げた。 「皆さんに、依頼します。ティアラさんを襲撃した者達を探し出して下さい。 南部は今、ロレイス卿を失うわけにはいかず、また彼らに罪を犯させることもできないのです」 「…いざとなれば、私が囮になろう…」 「ロレイス卿?」 グレイスの言葉に続くように進み出たロレイスは静かに開拓者の前で頭を下げる。 「私の命などはどうなろうと構わない。だが、娘や孫をこれ以上危険な目に合わせたくない…。 どうか…お願いする」 貴族としてではない、一人の人間の心からの願いを開拓者達はそれぞれの思いで、見つめていた。 |
■参加者一覧
龍牙・流陰(ia0556)
19歳・男・サ
フレイ(ia6688)
24歳・女・サ
リューリャ・ドラッケン(ia8037)
22歳・男・騎
ユリア・ソル(ia9996)
21歳・女・泰
ニクス・ソル(ib0444)
21歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●被害者と加害者 今は平和に見えるこの街もかつては戦乱に巻き込まれ、多くの死者が出た。 この世に争いがある限り、犠牲になる者は必ず生まれる。 その多くは弱く、力のない者達だ。 そして上に立つ者達は時にこう口にする。 「彼らの犠牲は尊いものだった。 我らは彼らのそれを無駄にはしない」 と。 けれどそんな言葉は詭弁だと彼は言う。 『正しい犠牲、なんてものはない。 奪われたものにとっては理不尽だし、恨むのも正当さ。 力や立場がある奴は良く忘れそうになるがな』 自分自身忘れかけていたかもしれないそれを思いながら、南部辺境伯 グレイス・ミハウ・グレフスカスは自分の街と、そこに潜む行き場のない思いを静かに見つめていた。 「誰も、貴方達の事を否定なんかしないわ」 リーガ城、地下室の牢屋、その前に座ったユリア・ソル(ia9996)は目の前に佇む二人を見つめていた。 一人は女性、一人は子供。 先に捕えたロレイス卿暗殺未遂犯だ。 「ご領主様…」 女性は傍らに佇む息子を横に抱きながら俯いている。 「大切な人を失って悔しいのは当然。そういう気持ちは解るのよ」 「いいえ、お解りになりません。大切な家族を失う者の気持ちは…、他の誰にも…」 吐き捨てるように言う夫人に、それでも静かに優しい視線を向ける妻の横に立ちながら (気持は分からないでもないが…いや、確かにわからないのだろうな…) ニクス・ソル(ib0444)は深い思いを噛みしめていた。 彼らはユリアとニクス。 二人が預かっているフェルアナの住民である。 南部辺境全てを巻き込んだ「ラスリールの乱」によって妻にとっては夫、子供にとっては父親を失った戦乱の犠牲者だった。 そんな遺族の何人かがフェルアナを出たという情報が入った。 目的は復讐。 アヤカシと手を組み、戦乱を起こしたラスリールの家族に自分達と同じ思いを味あわせるのが目的であろうと知ったユリアとニクスは南部辺境伯の依頼を受けた仲間と共にそれを止めるべく行動を開始したのである。 「そうね…でも…」 自分達に叩き付ける様な意思を向ける彼女に、それでもユリアが向けた視線は優しいものだった。 「でも彼はラスリールじゃない。 彼を殺しても、貴方達の大切な人は帰ってこない。そして…悲しみは癒えない」 ユリアは衛兵に合図をして鍵を開けさせて、自分から牢の中へと入っていった。 「貴方達は被害者よ。 でも、彼を殺せば加害者になる。 貴方達の大切な人を殺した彼と同じになる…」 そして、そっと手を伸ばし二人を抱きしめたのだ。 「私は、貴方達の手を血で汚したくはない。 だから…そうなる前に止めさせて 彼の為でなく、死者の名誉とフェルアナの未来の為に」 慈母の優しさとぬくもりに包まれた二人はその腕の中で嗚咽を漏らす。 「残りの人たちは何処?」 そんな妻の様子を眺めながらニクスは問いかけていた。 (俺もいずれは父親となる身だ。それを失ってしまうという現実があるとしたら俺は…) 心の中で、自分自身に…。 ●親の思い… 「火種が燃え上がった、ってことよね」 フレイ(ia6688)は今、出てきたばかりの病院を振り返りながらそう、口にした。 「復讐…」 「建設的ではないけれど…それに縋らならなくてはならない程の思い、理解できないわけじゃないものね」 「ええ…。今の彼らにはきっと他の寄るべきものが無いのだと思います」 静かに告げながら龍牙・流陰(ia0556)は目を閉じた。 (僕も初めはそれが、強くなりたいと願う切っ掛けだったな。 その感情が消えたわけではないけど…それよりもずっと優先したいと思えることがあるんだ、今の僕には) 「ティアラさんは解ってくれたと思いますし、護衛に瑠々那もつけてあります。 とにかく一刻も早く犯人を見つけ出しましょう」 「ええ」 流陰の言葉にフレイは微笑みながら思い出す。事情を知ったティアラを止めるのに苦労をした事を。 「私は彼らを恨んだりはしないわよ。むしろ助けてあげたい。 その為ならなんでもするわ。なんでも手伝うわよ」 ティアラは手伝う気満々でそう言っていたがユリアとフレイは彼女を止めたのだ。 「事が終わるまで、安全な場所で待機していて頂戴。貴女が出て行っても火に油を注ぐだけよ。 私達と『お父様』に任せておいて」 「子供がいるでしょう、彼を守るのが母親の努めでしょう? 大丈夫、彼らは必ず救い出すから」 フレイはティアラとの約束を違える気は勿論無い。 「あ、それで解ったんだけど彼らを支援している者がいるみたいね。ニクスの方の調査も同じ結果らしいから」 「やはり、そうですか?」 フレイの言葉に頷く流陰。 10人近い人間の纏まっての行動。 支援する者がいるのではないかという開拓者の考えは情報に裏付けられることとなる。 「でも彼らに同情してのことじゃないわ。ラスリールに追い落とされ、グレイスによって力を奪われたヴァイツァウの乱の残党貴族達。 彼らが腹いせに。あわよくば後釜にって思ってのことのようだから…。 本当に…彼には敵が多いのよね」 深く息を吐き出すフレイ。 勿論、その奥にあるのは深い、辺境伯への愛情だ。 「とにかく、その報告はしたから、彼の方でなんとかすると思うわ。 あとは皆と合流しましょう。 彼らも後には引けない以上、行動は早いと思うの。あ、シン?」 丁度やってきたユリアのからくり、シンが二人に気付きお辞儀をする。 「マイ・ロードがお待ちです。 こちらの護衛についてはどうかお任せを」 「ありがとう。お願いね。ウィスプも行くわよ」 そして彼らは下町の人混みの中へその身を滑りこませていった。 リューリャ・ドラッケン(ia8037)は目の前に立つ人物に 「用意はよろしいか? ロレイス卿」 静かに声をかけた。 「ああ、準備も、覚悟もできてる」 ロレイス卿と呼ばれた人物は頷いてみせる。 彼は襲撃犯たちが狙う標的の一人である。 ラスリールの父親。 彼を歪めて育てた者。 全ての元凶と言っていい。 囮として動いてもらうのは一番有効だろう。 間違いなく。 「やはり、決心はお変りにならないようだな」 ため息交じりに言うニクスであるが、正直、それが一番有効な手段であることは理解している。 「わかりました。ですが決して生きる事を諦めないでほしい。それが条件です」 「ああ、…解っている」 (あなたにはまだやらなければならないことがある。死んで贖罪などというのはまちがっている) 言葉に告げないニクスの思いにロレイスは静かに頷く。 「了解、じゃあ、行くわよ」 そしてユリアの促しに頷き歩き出したのだった。 ●放たれた思い 実に解りやすいとリューリャは思った。 目撃証言を元に場所を絞り込み、囮であるロレイス卿と下町を歩いてそんなに時間も経たないうちのことである。 物陰から現れた人間達に周囲を囲まれたのは。 その人数は9人。 既に捕えられた人物達が告げたとおりの数であり過不足は全くなかった。 「もう、解っているんだろう?」 剣を構え、銃を構えてこちらを睨み付ける襲撃者達にリューリャは声をかける。 その声に、リーダー格に見える一人がゆっくりと前に進み出て、頷いた。 「…解っていますとも。ロレイス卿が囮であろうことも、貴方方が護衛で一緒におられるであろうことも…」 「だったら、お止めなさい。 こんな事がどれだけ意味のない事か、解るでしょう?」 彼らの背後を経つように現れたユリアがため息交じりに静かに告げる。 ロレイスの側に立つリューリャとニクス。 彼らの進路を読み退路を断っているユリアと、フレイ、そして流陰。 揺れるフレイの相棒ウィスプは足元に。 人数こそ少ないが歴戦の開拓者達にとって、この程度の数の初心者を制圧するのは容易いことである。 「それも十二分に解っておりますとも。 それでも…我々は他に行き場のない思いを、どうすることもできないのです! 彼らを憎まねば、生きていくことさえも…できない!」 銃口を真っ直ぐにロレイスに向ける男も、他の者達も唇を噛みしめているようだった。 「奪われたから奪う、気持ちは判るさ。 俺だって彼女達が奪われたら復讐に走る」 肩を竦めながら一歩前にリューリャは進み出た。 「だが当人はもうこの世にはいない。 正当な裁きを受ける事すら拒否し、自ら討たれたのだから。 だからこそ行き場もないのだろうが…なぁ? 父親を狙うのならまだ判るさ、育てた原因でもあるだろう。 しかし「幼子を抱える母」を「己の意思で狙う」? 判ってるのか? それは「力無きもの」を、「抵抗させず」に「集団で甚振ろう」って事だと」 「殺したから殺す…それで貴方達は満足なの? あなた達の大切な人はそれを本当にのぞんでいるの?」 「だったら…いっそ捕え、殺して下さい! 我々にはもう生きている理由なんて、なにもないのです!!」 「バカを言わないで!!」 瞬脚で一気に間合いを詰めたユリアが男の武器を払い落とす。 からりと音を立てて銃が落ちた。 「貴方達には生きる理由がある。死んだ者達の分まで生きて、故郷の未来を見届けるという義務があるのよ!」 「……」 反論なく俯く男にユリアは言い放つ。 強く、はっきりとした意思を込めて。 「私はロレイス卿に褒美としてフェルアナを任せるわけじゃないわ。 罰としてフェルアナを託すのよ。 厳しく評価すればいいわ。 貴方達にはその権利がある。許す必要なんて無い」 「彼には生きて、生きる事で償ってもらうのだ」 尊敬する領主代行達の言葉に、襲撃者達は震えるように肩を落とし、ひざをついていく。 「許せない気持はわかる…だがやり返すなら、君は君の大事な人を殺した相手と同じになるぞ」 「死んでしまった人は戻らない、だったら…その誰かの為にも精一杯生きる事が本当じゃないの?」 「…それでもやることがないとおっしゃるのであれば…南部辺境の為に、協力しては頂けませんか?」 フレイの後を受けて流陰は銃を拾うと静かに彼らに語りかける。 「あなた方が復讐したいのは誰ですか? ロレイス卿やその娘や孫? …違いますよね?」 顔を背けたまま、俯いたままだ。 「確かにラスリールに直接手を下すことはもう出来ません。 ですが復讐する術がないわけじゃない…」 銃を落とした男の前に膝をつき、銃を拾って…静かに微笑んで。 「あの男はこう言っていました。 名も無いただ一人として埋もれるのは嫌だ、私は私としてその存在を世界に知らしめてやる…と。 今この南部は変わろうとしています。 新たな港町に他儀との交流、学舎、そして自治区構想。 もしかしたらこの国さえも変えていくかもしれません。 それほど大きな出来事がもし成功したとしたら…きっと人々の記憶からラスリールのことを徐々に霞れさせていくでしょう。 例え事件の記録が残ったとしても、その名が人々の記憶に残り続けることはなくなる。 それが、世界に名を刻もうとした男への何よりの復讐になる…そう思いませんか?」 そう言って、流陰は銃を男に返した。 「復讐を捨てろって訳じゃない。 だがな、父も母も子も、家族が奪われたらそういう思いを持つって事は良く解ってるだろう? どこかで我慢しなきゃ、呑み込まなきゃならないんだ…」 リューリャが言うと、ほぼ同時、今まで黙っていたロレイスが彼らの前に進み出る。 そして深く彼らの前に膝をついたのである。 「私は、心から貴方達に謝罪する。 我が子の、そして私自身の罪を。 許して欲しい、とは今はまだ言わない。 代わりにこの南部の為に命の全てを捧げると誓う。 だから…手を貸しては貰えないだろうか…」 目を閉じたロレイスの頭上に剣が振るわれる事も、銃弾が放たれることも無かった。 「うっ…、ううっ…」 代わりに嗚咽が零れ落ちる。 今まで、きっと泣くこともできなかった者達。 彼らの行き場のない思いが涙という形で放たれるのを、開拓者達は黙って、静かに見つめていた。 ●未来を創る者 結局のところ、襲撃者達は本当にロレイスを殺したいと思っていた訳でも、殺せると思っていた訳でもないのだろうな、とリューリャは思っていた。 そんな形でも行き場のない思いを何かにぶつけないと、傷が深すぎて心が砕けるのを防ぐことができなかっただけなのだろうと。 被害者であるところのティアラとロレイスが事を表ざたにしないと決めたので、南部辺境伯の判断で彼らは取り調べののち、解放された。 彼らの多くは今、フェルアナに帰り、領主館などで働いている。 「彼らを貴方の侍従、使用人として雇えないか? 復讐の眼を持って、この南部の未来に生かす。 妥協や馴れ合いではない、この地の未来の子の為の意見を彼らに聞くべきだ。 未来を奪われたこそ、未来を作る一助になる」 リューリャの提案を双方が受け入れた形、である。 失われた命は決して還らない。戻らない。 しかし、それがもし未来を創る意思として受け継がれるなら、その生に意味は遺るだろう。 尊い犠牲、などという言葉は詭弁だ。 そんな事はよく解っている。 それでも、彼らの死を無駄にしないことが、生き残った者の務めであり義務なのだと彼らは思い、深く、深く噛みしめていた。 「ねえ、カリーナ」 フレイは手元に引き取った侍女の少女にそっと問いかける。 「なんでございましょうか? フレイ様」 「この前の話だけれど、フェルアナを支える為に学ぶ気はある?」 「私が…フェルアナを?」 「ええ、そう…」 静かにフレイは頷き、カリーナの手を取った。 「ユリアがね、以前、少し言っていたの。 貴方がいつかフェルアナの未来を担ってくれたら…って」 おそらく今後、フェルアナはロレイス卿が治めることになるのだろうが、彼も高齢。10年以上の統治は難しいだろう。 もしかしたらティアラの息子が跡を継ぐことがあるかもしれないが、予定も立たない未来の話である。 「でも、どんな道の先でも、フェルアナを愛してくれる人がいれば安心だと思うの。 私は、これから領主夫人として学ばなければならないことがたくさんある。一緒に学んで友達として、この南部辺境を作っていけたらと思うわ…」 「フレイさま…」 無言で顔を伏せた少女は深く、優雅にお辞儀をする。 「私の命と、忠誠、親愛の全てを貴女とこの南部辺境に捧げます。 どうか私をお導き下さい」 「…ありがとう。でも、私が導くんじゃない、一緒に、歩いていくのよ」 フレイは少女の手を取り、優しく微笑むのだった。 かくしてラスリールの乱に始まる襲撃事件は静かに幕を閉じる。 まだ全てが終わったわけではない。 むしろこれから始まるのだと思いながら、それでも開拓者達は南部辺境と、そこに生きる者達への希望を心に、強く信じていた。 |