【朱雀】朱雀寮入寮式
マスター名:夢村円
シナリオ形態: イベント
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 21人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/07/31 02:58



■オープニング本文

●陰陽寮入寮式
 先月行われた合同入寮式から一カ月。
 初夏と言うにはもう遅い七月半ば、合格者達は通知を受け取り結陣にある知望院に集められた。
 待つのは五行が王の架茂 天禅(iz0021)。
 そして居並ぶ五行の重臣達。
 陰陽寮へ入寮するに当たっての儀式、言わば入寮式であった。
「……先ずはこの場にいる者達。自ら望み陰陽寮に入寮を果たした事に対し我は祝辞を贈る。おめでとう」
 それぞれに、ではあるが緊張の面持ちで式に臨む寮生達の思いなど意にも留めず、殆どなんの前置きも無しに壇上に上がった架茂は、並ぶ寮生達を見下ろしながら続ける。
「面倒な挨拶や、形式ばった説教は好かんので言う事は一つだ。陰陽寮に入寮した以上、皆、等しく五行に属する寮生である。生まれも育ちも経歴も種族も関係ない。ただこれからの三年は純粋に力を、知恵を養い蓄え鍛えよ。そして寮を巣立って後、五行の為、我の為に捧げよ。それが陰陽師の道を選びしお前達の使命だ。励め。以上」
 聞く者の反応など全く意にも気にもせず、言いたいことだけを言って彼は身を翻した。
 来賓の挨拶もない、寮生達の誓いの言葉もない。
 それが五行『陰陽寮』の入寮式であった。
 王の退場をまで身動き一つなく控えていた陰陽師の一人が前に進み出てこれからの予定を皆に告げた。
「王の挨拶は以上とです。以降はそれぞれが属する寮の予定に従って赴き、入寮式に臨んで下さい。その仔細については実際に確認して貰うと同時、必要な手続き等は全てそちらにて行いますので遅参はない様に……。
 王がおっしゃったとおり、ここから先、皆さんは生まれも経歴も種族も関係ない陰陽寮生です。これからの三年間が皆さんにとって掛け替えのない時間になる事と、これからの五行を支える重要な存在になって貰える事も祈念して式典は閉じます。それでは、解散」

●朱雀寮の入寮式
 解散と言われてもどこに行っていいのか、悪いのか。
 戸惑い、立ち尽くす新入生達の前に一人の青年がスッと進み出た。
「新入生の皆さん、入寮おめでとう。入寮試験の時にお会いしているので自己紹介の必要も無いでしょうが改めて。
 私が朱雀寮を預かる寮長を拝命します各務 紫郎(iz0149)と申します。どうぞよろしく」
 黒髪、黒い瞳。長身に眼鏡。
 確かに、と新入生達は思い出した。
 試験の最後、この人に入寮に向けての思いを告げた。
 そうか、この人が寮長であったのか。
 新入生達が彼を見つめる。と同時に彼も新入生達を見つめているようだった。
 永遠にも似た一瞬の後、パンパンと叩かれた手と発せられた音に新入生達はハッと背を伸ばす。
 更なる緊張が場に走った。
「では、これから皆さんを寮に案内します。
 皆さんが三年間を過ごす寮です。皆さんのもう一つの拠点、いえ家のようなもの。
 気持ちは楽にして下さい。
 入寮者は、学費、身の回りの品、そして……告知してあるから持ってきたであろう自分の好きな食材を持って付いて来て下さい。今日は付添いの方の立ち入りも許可します。通常は原則立ち入り禁止ですよ」
 寮長の言葉に新入生達は顔を合わせつつ、自分が持ってきた荷物に手を当てた。
 例年恒例と噂に聞いてはいるが、式典に持ってくるにはやはり「これ」は不似合いで緊張する。
 しかし入寮式に先立ち届いた入寮案内には確かに記されていたのだ。

【朱雀寮 入寮案内

 朱雀寮合格者は以下のものを入寮式当日持参すべし。
 学費 身の回りの品 (筆記用具その他 学業に必要と思われるもの)……料理用品(貸し出しあり)
 好きな食材 調味料など。
 また可能な限り人魂のスキルを活性化させておくこと】

「朱雀寮の入寮式は伝統的に、皆で食事会を行う事になっています。先輩たちもいろいろ用意をしていますが、皆さんにも一人、一品は作って提出頂くのでそのつもりで」
 出来の上手下手は関係ない。
 と彼は言う。
「自分の為、もしくは誰かの為に選ぶ料理はその人物を表すというのが朱雀寮の考え方です。また食事会の後、それぞれ自己紹介の場を設けます。人魂はその時に使うといいでしょう。まあ別に人魂でなくても構いませんが同級生は勿論、先輩も共に同じ寮で一年以上を共に過ごす相手。自分を知って貰いまた相手を知る機会だと思って頑張って下さい」
 寮長が目をやる先では、何やら賑やかな笑い声や音がしている。
 楽しそうな様子がここまで伝わってくるようだ。
「先輩達も色々と歓迎の用意をしているようですね。新しい仲間を心から歓迎しますよ。さあ、行きましょう」
 そう言って差し伸べられた手、招き入れられた新たなる世界。
 今年、新たに選ばれた朱雀寮新入生達はその一歩を、今踏み出そうとしていた。 


■参加者一覧
/ 芦屋 璃凛(ia0303) / 俳沢折々(ia0401) / 青嵐(ia0508) / 蒼詠(ia0827) / 玉櫛・静音(ia0872) / 喪越(ia1670) / 瀬崎 静乃(ia4468) / 平野 譲治(ia5226) / 雲母(ia6295) / 劫光(ia9510) / 尾花 紫乃(ia9951) / サラターシャ(ib0373) / アッピン(ib0840) / 真名(ib1222) / 尾花 朔(ib1268) / 雅楽川 陽向(ib3352) / クラリッサ・ヴェルト(ib7001) / カミール リリス(ib7039) / 比良坂 魅緒(ib7222) / 羅刹 祐里(ib7964) / ユイス(ib9655


■リプレイ本文

●五人の合格生
 例年、陰陽寮の入寮式の日は普段、限られた者以外の入場を認めない知望院の扉が大きく開かれる。
 その扉を潜って、入寮試験を無事クリアした新しい陰陽寮達が新たな一歩を示すのだ。

 扉の前で目深に被ったスノウ・ハットを少し上げて、建物を見つめる少年がいる。
「いよいよ、今日から朱雀寮…か」
 自分に言い聞かせるようにそう言うと手に持った荷物の風呂敷包みを握り締め、ユイス
ib9655)は中へと足を踏み入れた。
 周囲には来賓客の他に、入寮試験で見た顔がちらほら、いる。
「あ〜! ユイスめっけ! こっちや、こっち!!」
 大きな声で元気に自分の名を呼ぶ声がする。振り返ったユイスは
「やあ! 陽向…だったよね?」
 入寮試験で出会った少女にニッコリと微笑む。
「ああ、おおきに! 覚えててくれたんやね。改めまして。雅楽川 陽向(ib3352)や。よろしゅうな。あっちに祐里もいるで! 一緒に合格できてほんま、よかったわ」
 明るく笑う彼女の指差す先で、ヨッと羅刹 祐里(ib7964)も手を上げていた。
 入寮試験の時に出会った三人がまた揃った形で、少し頬が緩む。
「さっき、玄武寮の人らも見かけたんや。あっちも無事合格しとったみたいで何よりやな」
「ああ、それは良かった。後で挨拶でもできればいいんだけど…」
 あいさつ、そう言った自分の言葉にあることを思い出してユイスはふと、周りを見回した。
 そして目的の人物達を見つけると、つつと近寄って行く。
「ボクはユイス。見ての通りの修羅だ。どちらが雲母(ia6295)でどちらが魅緒?」
「私が雲母、だ。まあ、よろしくと言っておうか?」
 眼帯で片目を隠した紫の髪の女性がそう言うと
「妾が比良坂 魅緒(ib7222)だ。何か用か?」
 並んでいたわけでは無いが側にいた黒髪の女性がぶっきらぼうに言う。
「ああ、朱雀寮の合格者は五人やったね。これで、全員やろか」
 駆け寄ってきた陽向。祐里も
「これから三年間、一緒にやって行くわけだ。俺は修羅の羅刹 祐里。よろしくな」
 そう言って手を二人の前に差し出した。
「フッ」
 雲母は軽く肩を竦めて嘆息する。どこか含む者を感じさせる笑みを浮かべながら彼女は手の中の煙管を玩ぶと
「種族だのどうだの細かい事を気にする奴が多いな。だが、私は慣れ合う気はあまりないのでな」
 彼等に背を向けてしまった。
 丁度、入寮式が始まると役人が呼びに来たのかもしれないが…そのままスタスタと歩いて行く。それを立ちつくし見送る残りの四人。
「妾もあまり構われるのは好きではな…」
 そう言って魅緒も後を追おうとするが…。
「よっし! ウチラも出陣や! いくで!」
「えっ?」
 気が付けば陽向にしっかりと手を握られてしまっていた。
 そしてそのまま半ば式場へと一緒に歩いて行く。
「ちょ、ちょっと待て! 待たないか!」
 半ば引っ張られるように進んでいく陽向と魅緒の後を、ユイスと祐里も追いかけたのだった。
 くすくすと優しい笑みを浮かべながら。

●準備と料理 自分を作り、表す
 さて、入寮式から時間を遡ること少し。
「青嵐(ia0508)〜! っと、何してるなりか?」
 倉庫に飛び込んだ平野 譲治(ia5226)は中でなにやらやっていたらしい用具委員長に首を傾げた。服のあちらこちらに符を張り付けている。
『失礼。ちょっと実験をしていました。符は手に持っていないと術が発動しないのか、術は手からしか出ないのかなど…どちらも少し難しいようですね…。っと、そんな事を言っている時ではなく…どうしました? 何か道具が必要ですか?』
 用具倉庫に寮生が来る理由は大抵それである。案の定譲治はうんと頷いた。
「調理委員長が、お皿とか少し補充してくれと言っていたのだ。それから、楽器とかも少し貸して欲しいなり!」
『ええ、解りました。どうぞ』
 荷運びを手伝う蒼嵐の視線の先では芦屋 璃凛(ia0303)が中庭掃除をしていた。
 他にも保健室の掃除をしている蒼詠(ia0827)達保健委員や図書室の整理をしている図書委員達の姿が目につく。
「先輩達…皆さんにもちょっと相談があるのですが」「ああ! この地図のこれは書いちゃダメだってば! 怒られるよ」
 いつも通り。
 いや、でも、今日から先輩になる彼等の様子はやはりいつもと違っている。
 今日は入寮式。ああ、と青嵐は頷いた。

『ああ、もうじき新入生さん達がやってきますね。私も準備をお手伝いしましょうか?』
「真名(ib1222)が広場の飾りつけを頼むと言ってたのだ。一年生が来るまでに上級生の料理は終えたいらしいなりよ。…手伝って欲しいのだ」
『解りました』
 そう言って彼も仲間達の元に向かったのだった、

 知望院での式典は思った以上に早く終わった。
「あ! 試験の時の人! …寮長先生やったんか…」
 式典から解放された新入生達はそれぞれの寮長に促されそれぞれの寮へと向かって歩き出していく。朱雀寮の入寮生を案内する人物は背の高い眼鏡の男性。
 寮長の各務 紫郎(iz0149)であると名乗った彼は無駄話はせず、最低限の説明をするとついて来るように、と指示する。
 彼らが必死に追いかけること暫し。
 やがて朱色の門が彼らの前にそびえ立つように現れた。
 大きく開いているその門は朱色に凛々しくそびえ立っている。
 水が撒かれ、丁寧に掃除され塵一つ落ちてはいない。
「ここは朱雀門と呼ばれています。文字通り朱雀寮の入口です。まずは入寮手続きを取って下さい。全員の手続きが終わり次第中に案内します」
 それだけ言うと寮長は引っ込んでしまった。
 代わりに前に進み出たのは…
「は〜い! 朱里です。陰陽寮の皆のお世話役してま〜す。どうぞよろしくね♪」
 明るく笑う真っ赤な髪の人妖と
「おはようございます〜。図書委員長を務めます。アッピン(ib0840)ですよ〜」
 落ち着いた感じの女性であった。
「図書委員?」
 耳慣れない言葉にユイスなどは首を捻るが、
「その辺はまあ、おいおい…ですね〜。では受付はじめますよ。受付が終わったら朱花を胸に付けて下さい。朱雀寮生の証みたいなものですから、無くしちゃダメですよ〜。後これは寮内の略図です。見ておいて下さいね〜」
 アッピンはとりあえず濁して仕事に入る。寮費の納入と名前の確認。概ねスムーズに進んだが…最後の人物の時に小さなトラブルが起きた。
「…すまねえ。学費が、足りねぇんだ。情けねぇ話なんだけどよ。ちょこっと待ってもらうわけにはいかねぇかなあ…」
 俯きながら進み出た祐里がそう言ったのだ。確かに二万文という金額は簡単に出せる金額では無いのだが…。
「う〜ん、そうですね。朱里ちゃん。どうですか?」
 恥ずかしげに、申し訳なさそう頭を下げる祐里を見て、そうだねえと朱里は腕を組む。
「じゃあ、とりあえず今回は半額だけ。残りは次回ってことで。でも…特別だよ」
「心遣いかたじけない。以後気を付ける…」
 それ以外には特に問題なく入寮手続きは完了した。
「は〜い! じゃあこれから寮の中に移動します。歓迎会があるから楽しみにしててね。それじゃあ、しゅっぱつ!」
 先導する朱里の後に続き彼等は陰陽寮、朱雀寮の『中』を進む。
「…寮って、めっちゃ広いで。一人で歩いたら迷子確定やな」
 陽向がそう呟く程に寮内は広かった。
 資料室、研究室、講義室、実習室、ホールさえも素通りして、彼らがまず案内されたのは
「こんにちわ〜!」
 多くの人と笑顔が溢れる台所であった。
「いらっしゃい。ようこそ朱雀寮へ」
 一人の女性と少年が作業の手を止め、進み出る。
「私は真名。調理委員会の委員長よ。今、皆でこれから始まるパーティの料理を作ってるの。解らない事や道具の使い方に困る事とかあったら遠慮なく言ってね」
「副委員長の彼方です。さあ、どうぞ」
 あまりにも自然に招き入れられた台所。
「料理を作れ、と言うのは本気であったのだな。やれやれ。ここには専門のコックはいないのか?」
「いるけど、今日は特別。朱雀寮の入寮式の伝統で寮生は可能な限り、何かを作り皆に振る舞う事になっているの。その人間の食べるものはその人物を現している。という理念からなんですって。ほら、皆もいろいろ作っているのよ」
 皆、と指差された通り、そこにはたくさんの寮生と思われる人物達がいる。
「保健委員、玉櫛・静音(ia0872)よろしくお願い致します」
「尾花朔(ib1268)です。難しい所があればお手伝いしますよ」
「ようこそ朱雀寮へ。泉宮 紫乃(ia9951)です。皆様にとっての三年間が、実り多いものとなりますように」
 三年生と名乗る者達がそう挨拶するとさっそく台所のあちらこちらにスペースが開けられた。
「では、後二時間くらいで歓迎会が始まるからそれまで頑張ってね〜」
 そう言うと朱里は一年生達を場に残して去って行ってしまった。
「料理とはね。変わった趣向だけど面白い。二時間ならなんとか、間に合うかな」
「んじゃ、始めるとするか。委員長。フライパンと油をお借りするぜ」
「うちが持ってきた食材は、水と…なんや、その沈黙? 鍋で煮詰めてつくるんやで、『くずまんじゅう』作るんに、水は必要やろ!?」
「この釜、借りるぞ」
 それぞれ動き出す一年生の中、魅緒は一人立ち尽くしていた。
「どしたん?」
 心配そうに問う陽向に大丈夫だ、と答えつつ魅緒は困っていた。
「むう…。困った。陰陽寮というものは料理まで出来ねばならぬのか…」
 料理を作れと言われていたが、本当に台所に連れてこられ料理をさせられるとは思っていなかった。
「どうしよう…。まさか、これも試験のうちなのか!」
 その時、ポンと背後から肩を叩かれた。
「どしたの。難しい顔して。料理苦手? 気楽に考えなよ…。無理にとは言わないけど」
 明るく笑う先輩の顔に見覚えはある。確か陰陽寮の呼びかけに応えて北面の調査に向かった時の…
「芦屋璃凛、だったか?」
「そ。簡単なものでいいんだよ。うちなんかお団子だったし」
 励ましてくれているのだろう。だがそれでも魅緒の表情は変わらない。
「いや実は…妾はそもそも料理というものをした事がないのだ。くっ…、どうしたら…」
 魅緒の握り締められた拳を見て璃凛はくす、と小さく笑った。
「な、何が可笑しい?」
「いや、別に。じゃあうちと、お団子とか作ってみない? 作り方教えるからさ」
「えっ?」
 瞬きした視線の先で笑う璃凜の笑顔は、彼女を笑うものではなく、優しいものだ。
 心から助けたいと思っていると解る。
 だから
「くっ…まさか入寮から人の手を借りねばならぬとは…! だが…このままボーっとしている訳にもいかぬ。…頼む」
「よ〜し! じゃあ、決まりだね。喪越(ia1670)先〜輩。竃ひとつ貸して〜」
「おうよ! あと少しで蕎麦かりんとうが揚がるから後は自由に使いな!」
「じゃあ、それまでに団子の記事と餡を作ろうか。粉と水と小豆なら調理委員会は常備してるだろうし」
 手を引かれた魅緒が料理場の輪の中に入る。
「大丈夫そうか?」
 どことなく心配そうな声で覗き込んだ影に、一連の様子を見ていた尾花朔(ib1268)はええ、と頷いた。
「どうしてもの時は助け舟を出そうかと思っていましたが、大丈夫のようですよ。劫光
ia9510)さん」
「そりゃあよかった」
 見れば璃凜に巻き込まれた魅緒は
「サラターシャ(ib0373)と申します。冷たい麦茶をどうぞ。火を使う料理は特に汗をかきますから、こまめに水分補給をしてくださいね」
「芦屋さん。餡子少し分けて貰えるかな? 餡蜜を作ろうと思うんだ。比良坂さんも一緒に作らない?」
「クラリッサの料理は餡蜜ですか。終わったらこちらも手伝って下さいね。朱花の形のお菓子を作ろうと思うので…」
「解った!」
 サラターシャやクラリッサ・ヴェルト(ib7001)やカミール リリス(ib7039)ら二年生の女子連と引きあわされているようだ。
「少し強引なくらいの方があいつにはいいかもしれんな」
 見守る様な優しい視線の劫光に微笑みながら
「でも、ここに来た以上は手伝って頂きますよ。ケーキを作るのです。たまごを泡立てて下さい」
「えっ?」
 朔は劫光に泡だて器を押し付けた。
 そこに両手に花やハーブをいっぱい抱えた泉宮 紫乃(ia9951)がやってくる。
「お待たせしました。朔さん。食用の花は無かったのですが、咲きたての柔らかくて綺麗な花を摘んできました。これを彩りにしてはいかがでしょうか」
「いいですね。綺麗なケーキになりそうです。劫光さんも手伝ってくれるそうなので手早く仕上げてしまいましょう」
「おい! こら、勝手に!!」
 勧められる準備と話にやれやれとため息をついて劫光は、泡だて器を握り締めたのだった。

 そしてそれから数刻。
「…にぃやは一樽飲むとして、後は一升かな」
 酒や飲み物の用意をしていた瀬崎 静乃(ia4468)は周囲を見回した。
 すでに薄暗くなった中庭を照らす様に篝火に火を入れられる。
 毛氈が敷き詰められ、床机が並んだ中庭にはもう料理もかなり揃ってきている。
 鳥の空揚げや煮物、焼き物などの定番料理、冷うどんや揚げ蕎麦のかりんとう。小龍包、焼売、餃子。
 飲み物も冷えた麦茶にミントティー、レモン水。
 そして何よりこの大樽の酒もある。
 飾りつけも丁寧になされ、場のあちらこちらには花を入れた氷柱が置かれて涼しい風を運んでいる。
 準備はもう万端に近いだろう。
「ごっくろーさま!」
 明るい声に静乃は振り返った。
「入寮式ももう三度目かー。今年はどんな美味しいもの食べられるか楽しみだねー」
 飾りつけや、他にも何やらやっていた様子の俳沢折々(ia0401)が満面の笑顔で言う。
 その言葉に頷いている間にも、背後が賑やかになってきた。
 最後の皿達もどうやら到着してきたようだ。
 それを作った寮生達と一緒に。
「あ、もうすぐ始まるね。席に着かないと…」
「…うん」
 彼女らが席に着き、二年生、三年生が集まり、最後に料理を運び終えた一年生達が加わって全員が座るったのを確認すると今まで黙っていた寮長がスッと立ち上がり、輪の中央に立った。
「寮長…」
「ありがとう」
 差し出された杯を手に持ち彼はぐるりと顔を巡らせる。そして杯を高く、掲げたのだった。
「では、朱雀寮の入寮式をはじめます。新たなる友を迎えた朱雀寮と、集いし家族の一年に幸いがあるように。乾杯!!」
「乾杯!!!」
 唱和された声と音が中庭全体に響いて行った。

●目指す道
 乾杯が終わってまもなく。パチンと小さな音と共に生まれた赤い鳥が、会場をぐるりと廻った。
 さながら炎をそのまま鳥にしたような美しさに寮生達が目を見開くと、鳥はふわり、寮長の伸ばした腕に止まった。
「あれ、人魂やろか? 綺麗やねえ〜」
 うっとりするように陽向が言うと寮長はニッコリと笑って告げた。
「さて、では一年生には恒例の自己紹介をやって頂くとしましょう。後で二年生、三年生がやっても構いませんが…ね。では、端から順番にどうぞ」
 毎年恒例だという自己紹介が、何の前触れもなく寮長から指示されのだ。
「端? え、我(おれ)?」
 自分で作ったチャンプルーの味見をしていた祐里が喉に詰まりかけたゴーヤを飲み込んで立ち上がる。
 突然、と言っても自己紹介をすることは指示されていたから心の準備は一応できている…筈。
 後は自分の気持ちを素直に表すだけ。
 深呼吸をして祐里は寮長がしたように手をまっすぐ前に伸ばした。
 自分の中のイメージを練り、瘴気を象って形と為す…。
「あれ?」
 祐里は首を捻った。イメージがいくら念じても形にならない。
「なんでだ?」
 微かに周囲がざわめく。
『どうしたんです?』
 見かねて青嵐がそっと声をかけた。
「人魂が形にならないんだ。かつての自分の姿を投影しようと思ったのに…」
『かつての自分? ということは人型ですね。ダメですよ。人の形は人魂では映せないんです』
「えっ!?」
 良く勘違いされることだが術の人魂は人の姿を取らせることはできない。実際に生きている生き物でもあまり大きな生き物は象れない。例えば龍などは映せないのだ。
「ど、どうしよう…!」
 一瞬動揺し、周りを見回す。暖かい目が彼を見守っている。
(よし…)
 祐里は大きく深呼吸して術をもう一度紡いだ。普通の鳥。
 それを空に回せて祐里は構えを取る。
「はっ!」
 武術の型だ。蹴り、突き、払い。
「はっ! はっ! はああっ!!!」
 流れるように動き最後に大きく蹴りを入れると礼を取り頭を下げた。
「我(おれ)は、羅刹 祐里だ。今見せたのは、体を鍛える為に古武術の型だ。何故見せたかったのはイメージを変えたいって、型を破るのと同じで、それを知らなけりゃ出来ねぇ訳だ。イメージは変えられるはずなのさ。修羅の。我はその為にここに来た。我は、これで話を終えるよろしく頼むな」
 はっ! もう一度礼を取って彼はお辞儀をする。
 満場の拍手が祐里の心を迎え、彼は大きくため息をつきながら、自分の席に腰を下ろしたのだった。


 白いしっぽが大きく跳ねた。
「次はうちやね!」
 元気よく陽向が飛び出していく。
「雅楽川 陽向や、よろしゅうに」
 広げた手のひらからは小さな蝉が飛んでいく。
「夏やもん。やっぱ蝉ってことで」
 片目を閉じる様子が可愛いらしい。
「うちは狼やけど、よう「犬」って言われるねん白いからやろうか? 別にどっちでも気にせえへんけど、一応狼なんで、そこんんとこよろしゅう。獣人の寮生は始めてらしいけど一生懸命頑張りますんで、どうぞよろしく」
 拍手に包まれて戻ってきた陽向は次の番であるユイスに頑張ってと手を振る。
 そして
「お疲れ様。人魂って人をつくれへんのやね。なんで『人』魂なんてついてんのやろ。めっちゃ、入試で見落としたとったで」
 と祐里にも笑いかけた。
 励ましてくれているのだと解るから祐里も笑い返す。
「いろいろ解らへんこともある。解ってたつもりで見落とす事もある。一緒に勉強がんばろうな?」
「ああ」
 そして二人は改めて学び舎への思いと決意を確認し合ったのだった。


「ボクはユイス。見ての通りの修羅だ」
 名乗りと共にユイスは皆の目を見回して言う。
「人と修羅の架け橋となる為に力をつけたいと思ってる。趣味は観察と絵画。これは僕の描いた絵だ」
 そう言って描いておいた紫陽花の絵を出す。と同時伸ばした指の先から空に蝶を放った。
 ふわりふわりと舞う様子は羽根の動きに注意されていて本物の蝶であるかのようだ。
 最後に蝶が絵の紫陽花に止まると彼は深くお辞儀をする。
「宜しくお願いします」
 大きな拍手が彼と彼の決意を包み込んだ。


 魅緒は皆の前に立った時、あることを思い出していた。
 さっき、料理をしていた時のこと。

「白玉みたいな肌、その黒髪羨ましいなぁ」
 自分に声をかけ、料理を教えてくれた璃凛に聞いたのだ。
「…そなたは何故妾に協力を持ちかけた? 妾と組んでも得する事などあるまい」
 正直本当に疑問であったのだ。
 だが
「作り方覚えた? 1人でやってみてくれない。あんみつ奢るから…ん? なに?」
 魅緒の質問に当たり前、と言う様に璃凛は答えた。
「だって、同じ寮生でしょ。しかも可愛い後輩だし…」
「だから、と言って…」
「クラリッサ。友達から聞いたけどさ、自分に足りないものを探してるんでしょ。協力したり、教わったり。それも見つけたい物に近づける物の一つなんだよ。遠回りになったり近道に出来るかは、うちには分からないけど。自分も助けて貰ったから、その分、自分も誰かに返して、助けたいから、かな?」
「璃凛…」
「うち、魅緒が上達したら料理敵わなかも。劣るのは嫌だし、悔しいよね。その気持ちが強い魅緒ならきっと上手くなれないはずは無いよ。うちも負けないように頑張らなきゃ!」

(自分に足りないもの。確かに少し解ったかもしれない)
 そう言うと魅緒は皆の前に進み出て、人魂を出した。
 特に変わったところのないものであったが、優れることしか考えなかった今までとは違う自分でなくてはならないから…
「比良坂 魅緒。ここで今まで解らなかった事を学ばせて頂く。よろしくお願いする」
 心からの思いで彼女は頭を下げたのだった。


 最後に紹介を終えて戻ってきた雲母に
「キララ! おー疲れ、なのだ」
 譲治が飲み物を抱えそんな声をかけた。
「ああ、確かに疲れたな。…譲治。火」
「はいな!」
 差し出された煙管に譲治は黙って火をつけて
「どうぞ」
 と差し出した。雲母は口では礼を言わない。ただ、あまり他人には見せない柔らかい微笑を浮かべると頭をくしゃくしゃと撫でまわした。
「遅ればせながら合格おめでとーなりよ。でも、どういう心境なり?」
 譲治はされるがままに頭を撫でられた後、その丸い目で雲母を見上げた。
 彼女の開拓者としての実力は高い。改めて勉強しなおすこともないのではと思う者もきっと少なくは無いだろう。
「ま、強くなる為の過程ってところだ。しかし、飛び級も奨学金もなしとはケチな話だな。どんなに力があっても三年はここにいろ、ということか…」
 彼女は煙と一緒に言葉を吐き出す。
 さっきの紹介でも
『固たる目的の為にきた』
 というシンプルな挨拶で、見せた人魂も普通の蟲。
 合理的かつ機能的で彼女らしいと言えば彼女らしいが、それだけではないように思うのだが…。
「さっきも思ったが種族だのどうだの細かい事を気にする奴が多いな」
 煙管吹かすその仕草。
「最低限の付き合いはする、だが深入りはしない」
 煙に隠した何かがあるような気はするのだが
「心配するな。じょーじは別だ。よろしく頼むな。先輩」
 この女性を譲治は好きだから、頭を再びなでわしゃされても何も言わない。そして
「今後共によろしくなりっ!」
 敬礼にも似た挨拶で、彼は満面の笑顔を返したのだった。


 一年生達の自己紹介を終えてからは、後はいつもの通りの無礼講、大騒ぎとなった。
 広げられた料理は、一年生のものを中心に自由に好きなものを取って食べていいバイキング形式で広場の一角にセットされた。
 寮生達はそれぞれに食べたい料理を取って行く。
「このニガウリの料理は夏バテに良さそうですね」
「水まんじゅうもさっぱりしていて美味しいです」
「濃い味のものが多いからシンプルなおにぎりも美味しいな」
「こっちのシンプルなのが雲母さん。こっちの鮭入りがユイスさんです。上手に握っておられますね」
「お握りとお結びは違うと言いますからね。心を込めて『結んで』ある」
「このお団子お代わり。餡蜜も最高!」
 おおむね料理は好評であった。
 ただ
「へい! 羅刹セニョール! いい趣味してるね!」
「いい趣味、ですか?」
 両手に祐里の天ぷらとサーターアンタギーを掲げた喪越がにやりと笑う。
 首を傾げていた少女達が、その二つをまじまじと見つめ…
「!」
 意味を理解して顔を赤くしたのはそれから直ぐの事。
「あー!! 女の子のアレと男の子のソレやね!」
「陽向さん!」
「もう! なんてものを作ってるの?」
「なんてものってなあ! この二つは縁起ものなんだぞ!」
 意味が解らず首を傾げるユイスにリリスは言い聞かせるように指を立てた。
「ユイスさん、あのような残念な大人になってはいけませんよ」
「残念な大人かよ…朱夏なら腹抱えて笑い転げそうだ」
「いいね。いいね。楽しい一年生で今年も楽しくなりそうだ。んじゃ、オレもここらで自己紹介。フーテンの喪越、目標は――世界平和だあ!」
「…はい、一年生さん達。これあげる。二年生と三年生のイラスト入りの名前。私達も最初は先輩達の顔と名前が一致しなかったから、参考になれば、と思って。これ見て顔を覚えてね。こっちが青嵐君で、あのもじゃもじゃが喪越君」
「お上手ですね。先輩!」
「ありがとうございます。さっき貰った地図と合わせて早く朱雀寮を覚えたいです」
「スルーかよ!!」
『こらこら、酔うにはまだ早いですよ』
 賑やかな入寮式と言う祭りはまだまだ続く。

 一年生を激励する意味で上級生達はいくつかの出し物を用意していたようだった。
 そのうちの一人、背の高い男性がよいしょと立ち上がる。入学おめでとう、だ。俺は三年の劫光。よろしくな。それじゃ青嵐。はじめるか」
『ええ、よろしくお願いします』
 その一つは三年生同士の演武。
 拳を打ち付け、返しをはね除ける。それをリズム良く続けていく。
 巴を使って周囲の空気の流れに同化する様に立ち回る。
 体育委員長劫光と用具委員長青嵐が織りなす流麗な技に一年生のみならず、二年生も思わず息を呑む。
「僕らも二年後にはあんなことができるようになるのでしょうか。いえ、ならないといけないですね」
 一年生達にとっては一つの目指す姿になったようであった。

 それから傀儡操術で有志達が自らの人形を楽しい音楽に合わせて踊らせる。
「入寮おめでとうございます。彼らと共にあり、歩んでいける様に頑張りましょう…」
 珍しい鳥の形の人形。それは二年生自身がデザインし、作成したものだという。
 さらにそれに合わせ蝶の人魂から、朱雀の人魂が寮生達それぞれから放たれ、空に舞っていく。
 パラパラと舞う赤い花は先輩達からの思いと、歓迎の心であったろう。

 その後、寮生達は寮長の誕生日を共に祝ったという。
「良く覚えていたものですね」
 感心したように言った寮長に、音楽と人形たちの舞と、歌とそして美しい花のケーキが贈られた。
「真名さんの特製ケーキに、薬草園か摘んできた咲きたての花をトッピングしてみました」
 朔や劫光が楽器を奏し、一年生達が歌う。歌詞も誕生会用に一年生が考えたものであったようである、
 思いの籠った言葉の一言一言、一音一音が再興の誕生祝いのプレゼントである。
「…おめでとうございます。また、一年よろしく」
 静乃が杯に酒を注ぎながら言う。
「ええ。あと一年よろしくお願いします」
 また一年、あと一年。
 その一言一言を彼らはどんな思いで聞いたのだろうか?
 それを問う事は今は勿論必要ない。
「あ! 先輩。寮の歌とか作っちゃいけませんか? 皆の気持ちが一つになったらきっと素敵だとおもうんですけど」
「別に禁止はしませんよ。ただ、長く歌い継いで行くつもりなら歌詞や曲は皆で厳選して作って下さい」
 楽しい笑顔に溢れたこの始まりの時を胸に刻むことの方が大事だから。

「新入生の皆さんは入寮おめでとうございます。二年の蒼詠と言います。これから色々大変な事もあるでしょうが、新入生同士で協力していけばきっとどんな事にでも立ち向かえます。絆を大切にして下さい。もちろん僕たちも先輩として出来る限りのことはさせていただきます」
「どうぞ、親しくサラと呼んで下さいね」
「改めて。真名よ。料理の事でも勿論他の事でもなんでも聞いて」
 明るい交流の中のホンの隙間。
「劫光…」
 自分の名を呼ぶ声に劫光は振り向いた
「魅緒。…どうだ? 朱雀寮は?」
 声は冗談めいているが、優しい声。
「うん」
 魅緒は小さく頷いた。
「うん…何か妾の足りないものとかが少しわかったかもしれない…。上手く言えぬが…。なんとなく…」
「ならいい。後は楽しむといい。朱雀寮での生活を。仲間との日常を。その中できっとお前なら気付けるさ」
『先輩』の経験に基づいた言葉を魅緒は手のひらと一緒に握り締めた。
「そうだな…。さっき、璃凛も似たような事を言った。そうなりたいと…願う」
「何かあったらいつでも言えよ。朱雀寮生は皆、家族みたいなものだからな」
 劫光はその真剣な目に微笑する。その眼差しに気付いて照れたように魅緒は首を振った。
「あっと、…それよりどうだった? 団子は。旨かったか? お代わりもあるぞ」
「ああ、上手かったな。璃凛に教えて貰ったんだろう?」
 ふと、思い出し笑いをする。
『劫光先輩、先輩方、みんなぁ。新入生すごく優秀でうちなんかすぐ追い抜かされちゃいそう』
 璃凜がそんなことを言って泣きついていたが…。
「そうだな。余っているならもう餡団子をもう少し貰おうか」
「解った。今、持ってくる」
 貼り知りだす背中に劫光は、小さく、乾杯するかのように杯を掲げたのだった。

 友同士、知らない者同士が仲間同士になる最初の日はこうして終わる。
 けれど宴はなかなか閉じず、夜は続く。
 賑やかな笑い声は、長く、長く夜が終わり、空が白むまで続いた。

●はじまり。そして…
 そして、翌日。
「朱雀寮というものが少しは解りましたか?」
 昨夜、何時みても、いくら酒を飲んでも平然としており、誰の記憶でも眠っている姿を見なかった寮長は、完璧な身なりと変わらぬ表情で今年も彼らの前に立つ。
 だから寝不足だの、二日酔いだの口に出すことは決してできない。
 今日からは朱雀寮生として学ぶのだから。
 寮生達は気を引き締めるように背筋を伸ばした。
「では寮生の授業について説明します。
 基本的に講義の参加、不参加の選択は自由です。‥‥但し、月に一回、十日目安に実技を含めた合同授業を行うのでそれには可能な限り参加して下さい。この実習は進級試験の成績に大きく関わります。また軽く話もあったでしょうが朱雀寮には委員会活動があり後日、勧誘もあることでしょう。これは強制ではありませんが、授業参加とほぼ同じ配点があるので進級に有利になります。それから数年に一度、寮対抗戦の競技が開催されることもあり、今年か開催の見込みです。詳しくは事前に告知をしましょう……それから……」
 他にもいくつかの説明をして後、寮長は寮生達を見る。
 眼鏡の下の視線は真っ直ぐで揺るぎない。
「これより、皆さんは陰陽寮朱雀の寮生です。先輩達も言っていましたが寮の生徒は仲間にして、一つの家族です。いろいろ思うこと、目指すものはあるでしょうが互いに助け合い、高め合って前に進んで行って下さい」
 寮生達はその言葉を深く噛みしめ、決意や思い新たに頷いたのだった。

 そして朱雀寮の新しい一年が始まる。
 それぞれの希望や思いと共に…。