我々は休暇を貰う権利がある
マスター名:やよい雛徒
シナリオ形態: イベント
相棒
難易度: 普通
参加人数: 25人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/03/21 11:30



■オープニング本文

 奴らは、大事なものを盗んでいきました。
 我々の平穏です。


 開拓者に許されている特別な移動手段というものがある。
 それは精霊門。
 深夜0時にひらく奇跡の門だ。開拓者ギルドと各国を結んでいる精霊門は、一瞬で各地に移動することができる。しかしお偉い方々の許可がなければ使用が許可されることはない。
 精霊門をくぐれること。
 それすなわち一人前の開拓者と認められている事を意味する。

 しかしこの門には不便なことがあった。
 前述のように『深夜0時にしか開かない』という事である。

 その為、開拓者は出発までに仮眠をとったり、現地についてから短眠をとったり、またうっかり仕事に疲れて寝過ごし、集合に遅れる……なんて現象も往々にして発生する。
 いつも眠い。仕事を終えた開拓者たちにアンケートをとってみると、食べるか寝る、という返事が多いことに驚かされる。
 そしてこの日。
 五行へ向かわねばならない開拓者たちは、大変な混乱の中にいた。



「でてこいコラー!」

 大勢の開拓者が、開拓者ギルド隣接の小屋の前に集結している。
 どんどん、ばんばん、素手で叩いているが、全くもってビクともしない。
 それもそのはず。
 内側から相棒たちが扉を押さえつけていた。
 ここ最近、開拓者は忙殺されていた。どこかの国で事件が起これば駆り出されるのが、開拓者の宿命である。最近では五行国で大アヤカシ生成姫が動き出したこともあり、寝る暇もないぐらい、分刻みのスケジュールをこなしている。

 キツイ。
 正直言ってキツイ。

 だが『情熱』と『使命感』と『多額の報酬』を前に、愚痴を零しながら駆け回っていた。
 ところが開拓者より先に、堪忍袋の緒が切れた者がいた。
 黙々と従う相棒たちである。
 相棒たちの中には、人並みに知恵の働く者も多く、時には開拓者のお使いを頼まれたりする為、勝手気ままに動く姿も見られる。相棒たちは開拓者たちにとって、なくてはならない頼もしい半身と言える。
 しかし固有の意思を持つという事は、時として厄介な事態を招く事もあった。
 そう。

 ストライキだ。

「私たちは温泉地での休暇を申請するわ!」
「もっといい装備が欲しい!」
「ごーはーんー!」
「ガオー!」
 扉越しに次々と要求を叫ぶ相棒たち。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろーが! 戦の真っ只中なんだぞー!?」
「しーらない! 仕事に見合う報酬をもらってないもの!」
「こんな時に自己主張するなぁぁぁぁ」
 相棒たちは整備途中だったアーマーやら荷物やらを使い、扉の前にバリケードを築き上げる。
「よし! みんな準備はいい?」
 人妖ちゃんの掛け声に合わせ、全員が準備万端だと訴えた。
 次の瞬間。

 バコォォォォォォォン!
              ゴォォォォォォォォォォ!

 姉さん、事件です。
 小屋の屋根と壁が吹っ飛びました。

 燃え上がる火柱。木っ端微塵になる建物。
 突然の爆音と破壊技に、主人である開拓者たちが真っ青になっている。

「ぎゃ――――!? なにやってんだ、賠償がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いゃ――――!? 誰か、水! 術使いどこ!? 消火してぇぇ!」

 慌てる開拓者の目の前で、相棒たちが大脱走を開始した。
 戦いでは相棒の助けが必要不可欠だ。
 そこを逆手にとって、主人を困らせてやろう! という話で相棒たちは意気投合したらしい。
 お互いの主人の愚痴をこぼしながら、ちゃっかり持ち出した主人の財布。
 神楽の都は、夜も賑やかだ。
 人の言葉が話せる仲間がいれば、好き勝手にできてしまう。
 逃亡した相棒たちを捕獲する為に、消火活動を終えた開拓者たちは夜の街へと繰り出した。

「どうしてこんな時に!」
「うおおおおお! 門が、門が閉じる!」
「おんどりゃー! どこいったー!?」

 いなくなって味わう、この焦り。
 深夜0時の精霊門開放まで、あと一時間。


■参加者一覧
/ 羅喉丸(ia0347) / 酒々井 統真(ia0893) / 礼野 真夢紀(ia1144) / 露草(ia1350) / 喪越(ia1670) / 海月弥生(ia5351) / 菊池 志郎(ia5584) / からす(ia6525) / 村雨 紫狼(ia9073) / グリムバルド(ib0608) / 无(ib1198) / 蓮 神音(ib2662) / レビィ・JS(ib2821) / 緋那岐(ib5664) / トィミトイ(ib7096) / フタバ(ib9419) / 黒曜 焔(ib9754) / 伊波 楓真(ic0010) / 松戸 暗(ic0068) / 草薙 早矢(ic0072) / 紫ノ眼 恋(ic0281) / 守氏之 大和(ic0296) / 春炎(ic0340) / 棚瀬 真貴(ic0443) / 綾花(ic0488


■リプレイ本文

「しらさぎ、どこ行っちゃったのー? 精霊門通れないと今晩中に帰れないのにぃ」
 礼野 真夢紀(ia1144)、動揺のあまり心の声が零れる。
「なぜだー!?」
 緋那岐(ib5664)も隣で絶叫している。目を離した隙に、からくりが変な言葉を覚えてくるのではないかと、気が気ではない。
「僕が何をしたって言うんだ!」
 絶叫する伊波 楓真(ic0010)を迎えに来ていたトィミトイ(ib7096)は、面倒な状況を見て関与せずを貫こうと心に決めた。
「頑張れ。レイ、先に精霊門へ……」
 一緒に連れてきた、からくりがいない。首を回転させると、見覚えのあるからくりが、追いすがる開拓者達の足元に向かって発砲している。
「何やってる!」
「新しい仕事を受諾しただけだ。さらば」
 からくりレイ。猫又のクレーヴェルに買収される。
「かくれんぼ面白そうだから私もお付き合いしちゃおーかな!」
 人妖カナン、悪ふざけに参加確定。
 更に篠崎早矢(ic0072)の霊騎よぞらが、人妖氷桜をのせて大地を軽快に走っていく。
「わーん、どーして? 何が不満なの!?」
 蓮 神音(ib2662)も消えた人妖カナンの意図が分からなかった。
「どどど、どうしたんでしょう」
 露草(ia1350)も衣通姫の失踪にオロオロしていた。
「落ち着けって」
「酒々井さん! そ、そうですよね。探さないと! 大好物のお菓子を手に名前を呼んでおびきだします! おなかがすいていたら来るはず……はず……」
 語尾に自信がない。
 春炎(ic0340)の目の前で、忍犬の次郎さんは、ひらひらと飾り気のある人妖の衣通姫を追いかけていった。狩人の本能が疼いたに違いない。
 次郎さんを更に追いかけていく、小柄な忍犬の花子。愛犬の走る姿を「楽しそうだな」と微笑ましく眺める春炎に対して、夜食の仕入れから戻った守氏之 大和(ic0296)が、紙袋を落として仰天していた。
「花子!? ど、どうしようシュンシュン、脱走しちゃった!」
「だ、脱走だと……っ!? 今のは脱走だったのか」
 一体何を見ていたのか。
 愛犬次郎を愛しすぎて、認識が遅い。
 ちなみに松戸 暗(ic0068)の忍犬も逃亡した。
「まーろーまーゆーっ!」
 主人が叫べども楽しそうに走っていく。

 かくして相棒さん達は自由を謳歌しに行ってしまいました。まる。
 ではすまない。

 駿龍に逃げられた无(ib1198)は、管狐の入った宝珠をギルドの係員に預けた。
「あいつここぞとばかりに……逃がすか!」
 まずは釣り餌の入手に万商店。その後は駿龍を追う為、グライダーを借りねばならない。
 絶叫する者が多いが、綾花(ic0488)は炎龍を見上げて微笑んだ。
「光焔さんはお茶目さんじゃのう」
 ごうごうと燃える背後の家屋は、眼中にない。
「日頃は大人しゅうしておるから偶には暴れたいのかもしれんし……今日はその遊戯に付き合ってみようかの。すまぬが、霊騎を借りてもよいか」
 消火は任せて手続きに向かう。
 迅速に行動できる者もいれば、動揺が静まらぬ者もいる。
「あわわ、ゆきちゃんまでおらんくなってしもた。時間もないし、なんやまずい気が! この間も飛空船に乗ってたし、案外行動力あるんよねぇ。黒曜さん、どないしよう!」
 フタバ(ib9419)が振り返ると黒曜 焔(ib9754)は顔を覆って打ちひしがれていた。
「うちの可愛いおまんじゅうちゃんが……毎日ちゃんとおやつもあげていたのに……何が不満だったというのだい!?」
 心が折れている。
 酒々井 統真(ia0893)は叫ぶ仲間たちを眺めながら「なぜ」を叫べず、逃亡に納得してしまう自分に苦悩していた。人妖氷桜が逃亡を図った原因に、察しがついた為である。
「どうするかな」
「財布がない」
 隣の羅喉丸(ia0347)は財布がない事に気づいて愕然とした。
「忙しかったとはいえ、あまりかまってやれなかったのは失策だったか」
「羅喉丸、お前もか」
 男たちは分かりあった。
 同じく財布を奪われたグリムバルド(ib0608)はしきりに「なんてこった」と繰り返している。人は本当に予想外の事に遭遇すると、頭が真っ白になるらしい。
「大丈夫か、しっかりしろ」
 羅喉丸が肩を掴む。グリムバルドは「あ、ああ」と思考の海から帰ってきた。
「最近口数少なくなってきたなとは思ってたんだが……まさか、こんな時に」
 羽妖精が消えた菊池 志郎(ia5584)も、グリムバルドの傍らで深い溜息をこぼした。
「普段の行いから考えて、うちの天詩は遊びだと思っているはず……困った子です」
「きっといつきちゃんもです! は、喪越さん! 頭に矢が刺さってますよ!」
 露草が叫んだ。
 大胆にも芸術的な爆発頭に、矢が刺さっていた。
 髪から矢を引き抜いた喪越(ia1670)は、手紙に気づく。
「矢文ったぁ古風じゃねぇか、どれ」
『拝啓、喪越様。春陽の候、ますます御盛栄の事とお慶び申し上げます』
 流麗な筆跡で、堅苦しげな挨拶文の後に大凡『これは主の為でございます』的な不可解な文面が乱舞していた。
 相棒の残した挑戦状を几帳面に折りつつ、喪越の眼鏡が煌く。
「俺に挑むたぁイイ度胸だ、綾音。その成長ぶりに涙が出てくらぁ。依頼ブッチした時に吹っ飛ぶ報酬額を考えるとな!」
 喪越、夜の街を走り出す。
 しかし単体で逃げた相棒は兎も角、妙に意気投合し合った者の相手は大変だ。
「解せぬ。あたしの何が不満だと言うのだ。……本人に問うしかあるまいか」
 紫ノ眼 恋(ic0281)は愚痴もそこそこに、相棒のからくり白銀丸が乗っていた龍の持ち主を探した。すると棚瀬 真貴(ic0443)が進み出て、恭しく挨拶した。恋が慌てる。
「挨拶は後にしよう。今は急いで捕まえないといけないしな、うちのからくり白銀丸が勝手に乗ってすまない。捕まえるまで、ひとつ協力を頼む。あの子の名前は?」
「あのこ……彼の龍には72通りの御名を授けしが、忠実なる神の使徒、究極優駿蒼龍ミセリコルディア。此れが最も雅であるな」
 飾り立てた言葉を諳んじるので、紫ノ眼の耳が認識を拒絶した。
「究極優駿……なんだそれは。まあいい。コルディ殿、でいいかな? 見失う前に探そう。まずはギルドに龍を借りてこよう」
 正気に帰った開拓者が消えていく。
「……驚いてないな」
 酒々井が声を投げる。からす(ia6525)も人妖琴音に逃げられていたが、逃げた理由に心当たりがあった。返事に一瞬悩んだからすは「あの子は無愛想だが優しいから」とだけ言った。琴音が進んでイタズラに手を貸した可能性については、胸にしまった。
「近くの店で酒と食品の購入してくる」
 海月弥生(ia5351)は土偶ゴーレム『縁』の行方をどうやって探すか考えていた。
「この忙しい最中に……本当に困るのよねえ。とりあえず捕まえるわよ!」
 独り言を呟いていても状況は変化しない。
 海月は、かなりの数の人妖がいる事を踏まえて、弓の弦をかき鳴らし、鏡弦で索敵を始めた。しかしこれが下級アヤカシを偶然発見したりして、余計な時間を費やすことになる。


 レビィ・JS(ib2821)は広がり続ける動揺の中で、声を荒げることもなく眺めていた。
「相棒が逃げ出した人達は大変だなぁ……片付けの手伝いも終わったし、わたしは先に精霊門へ行っておくよ! みんな頑張ってね!」
 声援だけ送って身を翻す。
 逃亡した駿龍フユシグレの事には、全く気づいていなかった。
 また開拓者ギルドへの手続きミスで土偶ゴーレム『アイリス』を連れてきていた村雨 紫狼(ia9073)は、もしも自分が予定通りからくりを連れてきたら、今頃大変なことになっていたに違いない……と自由奔放すぎるからくりの横顔を思い出していた。
「ああ〜、みんな大変だねぇ。ま、俺たち先に行ってるんで頑張って」
 仲間の背中を見送る。
 高み見物組に入った。


 地上の捜索班は頭を絞っていた。
「まろまゆの奴、なんでじゃ、あんなに可愛がっとったのに! 一緒のふとんで寝たことすらあるんじゃぞ!」
 犬の反抗が、まさか遊ぶ時間がない日々に対する鬱憤の溜まった結果、とは露ほども考えていないらしい。ギルドから借りた忍犬に、忍犬まろまゆの予備の首輪の匂いを嗅がせる。
「ではゆくぞ!」
 そのとなりを駆け抜けていくのが霊騎よぞらを探す篠崎だ。
 借りた馬で大通りを走っていたが、慣れない馬を扱うと、相棒のありがたみが身にしみる。言葉を話せぬ相棒でも、表情や仕草で意思疎通が取れるのだから不思議なものだ。
「よぞらの奴、一体どこへ……いやまて、日々訓練で急斜面を好んでいた。似たような場所を探せば良いのか!」
 習慣性に着目した者は多い。
「……財布がなく、蓮華はいない、蓮華は酒好きとくれば、酒か、飲み屋だな。時間もあまりない以上、それにかけるしかないか。……居てくれればいいが」
 羅喉丸は天を仰いだ。
 酒々井が頭を掻く。
「俺はどうするかな。氷桜の性格を考えれば、逃げ出しても隠れるのが基本行動の筈。探すフリしつつ、わざと『隠れて覗く』のに適した物陰でも作って誘い込むか」
 農場で鍛えた日曜大工を、都でもやる羽目になるとは思わなかった酒々井がいた。
 緋那岐は昼間の買い物で通った場所を探してみる、と言い残して消える。
 礼野も悩んだ。
「しらさぎが行きそうな所……お買い物? 空いてるお店を回ってみましょう」
 からくりが興味を示す場所へ走り出した。


 そんな主人の焦りや心配を知らぬ存ぜぬなのが、相棒たちだ。
 羽妖精の天詩は、人妖カナン達と同じく『鬼ごっこ』及び『かくれんぼ』の延長だと思っていた。
「楽しいね〜!」
「ねー!」
「うた、かくれんぼ大好き! どこにしようかな〜、じゃ、またあとでね!」
 衣通姫達と別れた羽妖精の天詩は、広場の樹上で落ち着いた。
「じゃ、そっちも頑張ってね!」
 人妖カナンは近くの空き樽の中へ隠れた。しかし暗い場所でのかくれんぼは危険だ。何が危険かというと、夜も遅いため、真っ暗闇の中で眠くなってしまうということだった。
「そういえば君たち、なんで逃げたの?」
 人妖琴音が首を傾げる。
 人妖氷桜は「仲間はずれにされた気がしましたの」と、ぽそぽそ不満を呟いた。
「あなたの主人、からすみたいに相棒を沢山抱えているんだっけ」
 酒々井の所の人妖の多さは一部で有名である。
「そうなのです。普段、私を放っておき過ぎです。それと昨秋、人妖の皆と絵を作りましたの……私除き。新参といえ、仲間外れのお留守番は酷いですの。逃げてやるですの」
 霊騎の大きい影に隠れた。氷桜はこのまま霊騎捕獲まで発見されないことになる。
 からくりが首をかしげた。
「そういえば……菊浬も最近はお留守番ばかり。菊浬はいらない子? 放置プレイ、っていうの?」
「まごうことなき放置プレイに違いないです!」
 からくりの菊浬、猫又に洗脳される。新しく『放置ぷれい』なる単語を習得した。
「そう言うクレーヴェルは? グリムさん、何をやらかしたの?」
 主人が何かやらかしたこと前提で話が進んでいる。
「グリム? はて、どなたの事かしら。わたしは気高き流離いの猫」
 猫又、怒りのあまり主人の存在を放棄。
「みんな大変だべなぁ」
 海月の元から逃げ出した土偶ゴーレム『縁』は、自分の行動が主人の負担になっているとは思っていなかった。むしろ主人の日々の苦悩を思い、これで一息入れられるに違いない、と考えていた。
 琴音が問う。
「縁はどうするの? またバリケード作る?」
「おらぁ、逃げまくるだよ。ご主人にここで一息入れさせるのも良かんべなあ」
 海月が聞いていたら、全否定するに違いない。
 忍犬の花子と次郎の二匹は、仲間の愚痴を聞きながらキャンキャン吠えつつ『愚痴ってある?』的な会話をしていた。ヒラヒラな誘惑で出てきただけなので、世間話に近い。
「きゅーん、きゅーん」(『撫でてくれるのは嬉しいけど、たまに齧られちゃうのは困るのです。先輩はもう慣れてるみたいですけど』)
「くぅーん。わん、わふ」(『そうなんだ。うちは特に不満はないけど、貧乏は反対! 春くんは、もっとお給料のいい仕事で働くべきなんだ!』)
 言葉が通じたら、はっきり言うのに。
 花子と次郎の苦悩は、多分これからも続く。

 大空では、炎龍の光焔が空を堪能していた。
 主人の独特の挙動に振り回される自分にとっては、何日かぶりの休暇と言える。
 近くでは駿龍ミゼリコルディアに乗ったからくりの白銀丸が、言語の通じない駿龍を相手に愚痴を零していた。
「朝起きないし、部屋をすぐ散らかすし、性格が雑だろ? あと戦闘時に熱くなる主と度々連携が取れないし……戦いに、俺不必要かなって。それとも俺が神経質なのかな。そっちはどうだ」
 すると空中散歩を楽しんでいたミゼリコルディアが、やかましく鳴く。こちらも相当不満があるらしい。妄想気味な言葉が難解で指示が理解しづらい事であったり、自分の名前が分からないことであったり、長話の弊害に関する愚痴だったが、からくりには鳴き声の意味が分からなかった。なんとなく察した。
「お前も……苦労してるんだな」
 ところで駿龍の風天も自在に空を飛んでいた。
 最近、无は依頼や訓練に、風天を連れて行かない。当然、思う存分に空を翔けない風天の不満は積もっている。
 現在、主人の姿はない。
 今ならば、泳げる!
 无から水に入るな、と言われていた。しかし今なら泳げる気がする。鬼の居ぬ間に……と、風天は大きな川か貯水場を探す。
 そして主人に『逃亡』自体を気づかれていない駿龍フユシグレといえば、同じ龍達に主人の愚痴を零しながら、己の賢さを自画自賛していた。フユシグレの主人レヴィは、忍犬愛好家なのか、戦場へはいつも忍犬を連れて行く。必然的にフユシグレはお留守番だ。
 だから考えた。
 仲間の騒ぎに便乗して逃走を図る。すると主人たちが追ってくる。時間ギリギリまで逃げ続ければ、当然精霊門の時間が来てしまう。よってそのまま同伴できる可能性が高い。
 こ、れ、だ!
 駿龍フユシグレ、己の発案は天才だと思っていた。だが主人は脱走に気づいていない。

 闘志を燃やしたり、悪知恵を働かせる者が多い中で、もふらさまの「ゆき」と「おまんじゅう」は星を見上げながら日々の散歩道を歩いていた。
「かいほーかんもふ。でも知らない道にいくのは怖いもふ」
 ゆきに向かって、頭をぷるぷる振るおまんじゅう。
 結局散歩の順序は一切変わらない訳だが、先程まで一緒にいた他の相棒たちの愚痴を思い出し、二頭も主人のことを噂していた。
「フタバは何かと『かほご』もふ。たまにはあそびにいきたいもふ!」
「もふの相棒は、昼寝の寝起きがわるいもふ。おやつは日替わりがいいもふ。この機会に、毎日別のあんこにするよう頼むもふ。卵焼きも甘い方がいいもふよ」
 どうやら相棒仲が激烈に悪いわけではないらしい。日々の休憩場所についたゆきは、芝生に座り込んだ。
「ゆきはちょっと疲れちゃったもふー、おやつ一緒に食べるもふ?」
「もふもおやつのお饅頭持ってきたもふー、半分こで交換もふ。……うまく割れないもふ」
 幸せそうに饅頭を食べたあと。
「……食べたら眠いもふ」
 二頭のもふらさまは眠り始めた。そんな二頭に近づく影。
 霊騎よぞらは矢の飛んでこない公園の平原で、もしゃもしゃと草を食べていた。


 相棒の捕獲作業は簡単に済む者と、悲惨な目に遭う者に分かれていた。
「またんか、まろまゆ!」
「わふっ」
 どう見ても訓練の終わりに遊んでいる様子と同じである。持久戦はぶが悪いと判断した松戸は、影縛りで忍犬をしばり、拾い上げた。

 猫又のクレーヴェルを発見したグリムバルドは、散々追跡を巻かれながらも、全力で相棒を追っていた。もはや根性というより執念である。
「クレーヴェル! こっち見ろ! いったい何が不満なのか言ってみろ! あと財布を返せー!」
 能力を無駄遣いした魂の叫びが響き渡り、クレーヴェルが怒気を孕んだ声で叫んだ。
「何が不満、ですってぇぇぇ!」
「うお!?」
「最近仕事ばっかりで遊んでくれないじゃない!」
「アヤカシと戦中なのは見て分かるだろう! 子猫じゃないんだから空気を読んでくれ!」
「戦、戦といいながら! 肝心な時はいつもおじさまかアーマーばっかり!」
「う、今回連れて行くから穴埋めをだな」
「しかも昨日は大事に取っておいた鯛焼き、勝手に食べちゃったし!」
「あれは、ついうっかり。散々疲れて空腹で、身動きすらままならなくてだな……」
 グリムバルドよ。
 最初の威勢の良さはどこへ消えた。
 気づくと、食べ物の恨み言を炸裂させる猫又相手に、地面に土下座してぺこぺこしているグリムバルドがいた。

「いつきちゃぁぁぁん!」
 走る露草。人妖の衣通姫は主人の狂乱ぶりに、ぎょっとしたが周囲を見回して……おにごっこなのね、と勝手に結論した。
「遊んでほしいなのー! 遊んでくれなきゃ帰らないなのー! きゃー!」
「遊ぶのは後にしてくださいー!」
「……お菓子で釣るのではなかったのかね」
 通りがかりのからすが、お菓子を投げた。
 うっかり止まった人妖を見て、露草は呪縛符を放った。

 ところでからすは露草の相棒捕獲を手伝った後、見通しのいい場所へきた。
 塀の上を走る栗鼠がいた。
「琴音、そこか」
 姿が栗鼠から元に戻る。
「あ、もう来ちゃったんだ。いい匂い、夜食?」
 人妖琴音は、焼き鳥を受け取ってかじりつきながら、どの相棒がどんな愚痴をこぼしていたのか報告した。ひどい扱いをしている主人は、少し反省すればいいと考えていた。

 そして羽妖精の天詩を探し続けていた菊池は、神経を研ぎ澄ませ、天詩の声を探していた。天詩のいる広場まで走り込んできた菊池を眺め、あまりの必死な形相にクスクス笑いが溢れてくる。
「天詩、どこ!? でておいで〜!」
「でていかなーい」
 モロバレの返事を頼りに、菊池が一本の木を見上げる。失態に気付いた天詩は「やり直したい〜、目をつぶって!」と木の上で叫んだ。完全に遊びの延長だと思っているようだが、精霊門は待ってくれない。
「これは遊びじゃないんだって。おりてきて〜」
「つまんない。じゃあ、おしまいの合図して。そしたら帰る」
 ぴしりと表情が凍った菊池だったが、背に腹は代えられない。しばらくして「天詩、みーつけた!」と子供のような声をあげると、羽妖精は満足げに笑って地上へ降りた。

 足が痛い。胸が痛い。
 泣きすぎて頭痛もひどくなってきた。疲れた蓮は廃材の上に座った。もう時間がない。
「かーさま」
 人妖カナンは、どこか母に似ている雰囲気を持っていた。一緒にいると安心した。横笛を教えてくれたのも母だった。笛を吹いていると気持ちが軽くなる。だから曲を奏でた。
 懐かしい、横笛の音が響いた。
「あれぇ、神音? こんな夜に吹いたら近所迷惑だよ」
 真後ろからカナンの声がした。寝ぼけ眼で樽からこちらを見ている。
「カナン!? ……カナンの馬鹿あああ!」
 飛びかかって抱きしめた。蓮の様子に仰天した人妖も、なんだが悪いことをしたような気分になり「ごめんね」と囁いた。

 半べそをかきながら移動する守氏之は、必死に花子を探しながらも、両手に抱えた焼き芋を決してはなさなかった。なにも食い意地がはっているわけではない。忍犬花子の好物だからである。
「どうしようシュンシュン、このまま捕まらなかったら」
「落ち着け、大和」
「だって、花子が家出するなんて」
「迷子犬探しと同じだ。しかも今夜は、自分の犬!」
 言うは易し。そして噂をすれば二頭の犬。守氏之と春炎は芋を手にして進行方向に回り込み、湯気立つ黄金の芋を掲げて花子と次郎を誘惑した。飴色に輝く芋は、芳醇な甘味を彷彿とさせる香りを放っている。ふらふらと食べ物に惹かれてしまう二頭がいた。

 一方、からくりの綾音は、夜も眠ることのない商店街を歩きながら星空を見上げた。
「一人夜遊びというのも、なかなかに風流でございますね」
 清々しい気分をどう例えるか考えて、綾音は斜め上の結論を導いた。
「は! これが噂に聞く『盗んだ牛車で走り出す若気の至り』! ついに私も哲学を……」
「綾音ェェェ!」
 喪越が後方から走ってくる。それを見た途端、綾音が叫んだ発言は。
「キャー! 痴漢ヨー!」
「誰が痴漢か! 皆さん、騙されないでください! あれはからくりです!」
 喪越は、呪縛符という奥の手に頼らざるをえなかった。

 気づくと、からくりの菊浬は一人で途方に暮れていた。見知った相棒の後についていったりもしたが、途中で彼らの主人が捕縛に現れてはぐれてしまうのだ。中には喧嘩していても気づくと仲直りして帰っていく者もいる。
「ひとり……つまらない。ここ、どこ?」
「菊浬〜〜っ!」
 緋那岐が走ってきた。みんな主人がはしってきたら、反対方向に走っていた。つまり。
「どこ行く気だ〜!」
 からくりの菊浬、逃走開始。一人はつまらないので、一定の距離を保ちながら後方を振り返る。なんだか楽しい。逆に緋那岐は荒い息を吐きながら「何が不満だ!」と叫んだ。からくりの菊浬は「ふまん?」と聞き返して立ち止まる。
 何か胸に秘めたものでもあるのでは、と思いこんでいた緋那岐は、ほっと安堵のため息を零しつつ……時間ギリギリまで走り続けた。
「遊びじゃないんだって! もどってこぉぉぉぉぉい!」
 叫び声が響く。

 礼野のからくり、しらさぎは持っているお小遣いをのぞき込んで、悩んでいた。右習えで逃亡はしてみたが、待っているのがつまらない。そこで考えたのは、他の相棒たちのことだ。からくりと違ってケモノに類する相棒は、日々食事に文句を言っている。
「……おるすばんのあいぼうたちに、おみやげのおやつかってもいいよね?」
 腕いっぱいにお菓子を買って、精霊門の待合所にもどる。
「しらさぎ、みつけたー! もう、何が不満なの!」
「……いらい」
「へ?」
「いらい、いっしょにいくけど、せんとうにつれていってもらえない。しらさぎ、そらとべないし、ねこまたみたいに、ふところにはいっていどうも、できないけど……まゆきがきけんなのに、たすけにいけないのは……やっぱりいやなの」
 礼野はしらさぎの頭を撫でた。

 同時刻、海月は土偶ゴーレム『縁』の前方を阻んでいだ。
「さあ、一緒に帰るのよ! 不平不満があるなら言いなさい!」
「不平不満? とりあえず、おらぁも機械類を整備したいだがや。最近その辺手伝えないのが不満だがや。おらぁ頭悪いから、知恵のいる仕事は手伝えねえしよう」
「……わかった、依頼が終わったら何とかするわよ」

 ただ逃げるならまだかわいい。
 トィミトイのからくりは猫又のクレーヴェルに買収されている。開拓者の足止めをするのがレイの『仕事』だ。その為、全力で抵抗してくるので始末に負えない。
「仕事は選べ!」
「選んださ。払いが良い奴をな。ぬ?」
 町角からグリムバルドが現れた。どうやら猫又は捕獲されたらしい。
「悪いな。契約は反故だ」

 その頃、からくりのアルマニックは逃げる道中で居酒屋を発見すると、気づくと土産を買っていた。いつもの癖と言うか習性に近いものがある。土産は主人である、伊波の好みばっかりだ。
「……いっそ私が主様の真似をし続ければよいのでは」
 バレます。
「ふふふ、ついに私が主様になる時代がきたのです!」
 モロバレの計画を組立て、野望に目覚めるからくりアルマニック。
 その背中に迫るのは、半泣きで走る伊波だ。
「ア〜ル〜マ〜! 好きな物なんでも買ってやるから戻って!」
「追われれば逃げたくなるのが真理というもの。実家に帰らせていただきます!」
「どこだよ!? 僕が何したって言うんだ!」
「何、した?」
 ぐりん、とアルマニックの頭が回転する。ちょっぴり怖い。
「まずは都合が悪くなったら私とすり替えて逃げるのは、やめてもらいたいですね!」
「うぐっ! ……僕が悪かった! 悪いとこ全部改善するから!」
「信じられませんね! 謝罪文に署名し、血判を押し、約束を守ると誓うなら考えなくもありませんが」
「わかった! 書くから!」
 なりふり構っていられない伊波は、アルマニックが用意した紙を録に読まずに署名した。
「あれ? この紙なんか二枚目が……」
 二枚目に、アルマニックを主人として崇め敬う掟の羅列が記されていた。
 詐欺だ。
「さあ主様、いえ、楓真! 契約書に血判を!」
「いやだ! なんだソレ!」
「もう署名はなされたのです! さあ血判を押して有効にするのです! この人間社会で最も権威あるもの、それは契約書です!」
「誰に吹き込まれたんだ! ぎゃー、くるな!」
 まるで婚姻届に判を迫るような勢いで、アルマニックが伊波を追う。伊波は精霊門に向かって疾走した。

 駿龍の風天は良さそうな川を前に、入れないという切なさを味わっていた。グライダーで全速力で飛ぶ无が追ってきたからである。追いついた无は新品の品を掲げた。
「これをみろ。風天用のゴーグルを買ってきた。コレを着用して、共に戦いと思わないか」
 モノで釣る作戦だ。
 水か、それとも物プラス戦場か。
 悩んでいる駿龍の風天の隙をみて、飛びかかった。なんだか肉体派陰陽師になってきた気がする。

 一方、棚瀬と協力して情報を割り出し、相棒に追いついた紫ノ眼が剣を抜刀した。
「何が不満か知らないが! 多少の怪我は、覚悟出来てるよなァッ!?」
 紫ノ眼の性格が豹変した。白銀丸も負けじと罵倒する。
「家事全部やるって激務すぎんだよ! 俺は家事手伝い専用からくりじゃねーぞ! 戦闘に連れて行きもしないくせに! どうせ俺らはいらねーだろ! おとといきやがれ!」
 一方の棚瀬は、全く耳を聞こうとしない駿龍を連れ戻すため、手段を選ばないことに決めたらしい。
「今一度、我等が手にて思い出させん。汝等の主が誰なりしかをぉぉぉおぉお!」
 叫びながら体当たりした。衝撃で背中のからくりが落ちた。
「ぎゃー! こわれる! 破損する!」
「ぎゃー! 白銀丸!」
 慌てて受け止めに飛んで行った紫ノ眼が、龍に掴まれたからくりに「連れ戻しに来た。それが答えでは駄目か」とぽつりと告げた。

 
「はっはっは、賑やかな夜じゃのー。心のもやもやを晴らすには、暴れるのが一番じゃろうからのぅ。光焔さん、あまり騒ぐでないぞ〜、怪我せぬ程度ならよいが」
 空を見上げて、綾花はパカラパカラ追いかける。
 追っては来てくれるが、全く捕まえる気配がない。だが数分後、棚瀬とミゼリコルディアの激闘に巻き込まれた光焔は、体当たりの衝撃で川に落ちた。
 綾花は墜落していく相棒を慌てて追いかけた。

 黒曜とフタバは散歩道を走っていた。
「私達の後をつけるのでなければ、あれで怖がりだから知ってる道しか歩かない筈!」
「やっぱりや! 黒曜さん、おったで」
 毎日の休憩場所で、寄り添い眠る二頭のもふらさま。フタバが苦笑をこぼした。
「面倒かける子やなぁ。でもそれが、かわええけどな」
 だがこのままでは困る。
 流石にもふらの巨体を引きずっていく事もできない。フタバと黒曜は二頭をゆすって起こした。目覚めたおまんじゅうに泣き縋る黒曜の「不満があるなら今度から家出しないで言うんだよ」という言葉に、二頭が顔を見合わせる。
「ところでなんでフタバたちから逃げたんだっけもふー?」
「寝たら忘れちゃったもふー」
「……見つかったから、良しとしましょうか」

 そんな二頭から少し離れた場所で、篠崎は霊騎よぞらに追いついていたが、普通の馬では困難な地形へ霊騎が逃げ込んでいく。
「く、よぞらの奴! 徒歩でここまで来いという挑戦か!? 行ってやる、行ってやろうではないか! なんで徒歩で馬を追いかけて、追いつかねばならんのだ! うおおお!」
 星空に愚痴を零しながら、よぞらを追う。

 羅喉丸の人妖蓮華は、飲み屋でハゲ頭のオヤジ相手にクダを巻いていた。小さなお猪口が、いい具合に茶碗酒だ。傍らには、後生大事に抱えてきた羅喉丸の全財産がある。
「……うぃー。羅喉丸のやつめ。妾より付き合いの長い甲龍の頑鉄はともかく、最近増えた羽妖精やからくりは、なんじゃ!」
 がちゃーん、と机を叩く。
「妾は天下の人妖さまじゃぞ! 陰陽師が創り出せし、英知の結晶! 里同士で奪い合うことすらあるはずの人妖を、放置とはどういう了見じゃあぁあ! おやじ、熱燗じゃ」
「へいへい。次は何にするんだい?」
「ん、やはり桜えびのハンペンじゃろ。あと枝豆の巾着も良いのぅ。旬モノがほしい」
 軍資金が十分ある人妖蓮華は、浴びるように酒を飲み、品目全て食べきる勢いだった。
「ともかくじゃ! 羅喉丸は妾を大事に扱うべきじゃ。妾の大切さを噛みしめ、少しは反省すればいいのじゃ。そう、奴が悪いのじゃ、そうに決まっておる……しかし遅い。よもや妾などいらぬとか、言い出すのでは」
 じわ、と瞳に涙が滲んだ。
「いらなかったら、迎えになど来るか」
 忍び寄った羅喉丸が、蓮華の首根っこを掴んだ。
 喚く人妖の傍らにあった財布から幾らか金を引き出し、屋台のおやっさんに渡す。
「すまなかったな。よければ二人分、包んでくれ。釣りはいらない」
 皆の待つ精霊門へ急がねばならない。


 神楽の都に雪が舞う。
 凍える空を飛んでいた駿龍フユシグレは、待てど暮らせど迎えが来ないことに首をかしげていた。もう0時ギリギリ。まさか迎えを諦めたのだろうか。それはまずい。戦場デビューへこそが本位だ。そこで精霊門に戻ってきた。
「なんで駿龍が飛んでるんだ?」
 地上から係員が不思議そうに声を上げた。フユシグレが地上へ降り立つ。
「ガウ?」
 いない。賢い龍が戻ったのに、肝心の主人がいない。
「レヴィちゃんの駿龍か。あれ? もうみんな行っちゃったぜ?」
 最後まで気づいてもらえなかった駿龍は切ない雄叫びをあげましたとさ。