荒廃する地に救いを
マスター名:安原太一
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: やや難
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/05/07 21:38



■オープニング本文

 理穴国東部――。
 国土の半数を魔の森に飲み込まれたこの国では、特に東部地域でアヤカシの被害は絶えない。拡大の一途をたどるアヤカシの出没地域に、人里の境界線は後退して行く。この地においては大アヤカシ炎羅を倒したが、理穴東部の治安は全く変わりを見せていなかった。それどころか悪化していると言って良い。昨年の合戦によって緑茂の里は救われた。だが大アヤカシを一体倒してもアヤカシの数が減少することなどない、というのが現実である。アヤカシの数がいかに甚大なのか、それは計り知れない‥‥いや、そもそも世界の瘴気から生まれるアヤカシを滅することなど不可能なのではないか‥‥。
 さて、理穴東部に入った開拓者ギルド相談役(iz0008)の橘鉄州斎は、荒廃している村に立ち寄っていた。
 村民たちはぼろぼろの姿で、外の世界からやって来た鉄州斎をじろりと見やる。
「久しぶりですな‥‥」
 と、ぼろを身に付けた老人が一人、鉄州斎のもとへ近寄ってくる。
「寛福和尚――お久しぶりです」
 鉄州斎は編み笠を上げると、ぼろぼろの老人にお辞儀する。老人の名を寛福和尚と言うらしかった。
「相変わらずですか‥‥この地も」
「ええ‥‥あなたが去った後も、アヤカシの攻撃は続いています。最近ではこの周辺一帯を石煉と言う名のアヤカシが支配しておりましてな。民が捕まっている。ここもそろそろ危ない。民には気の毒だが、土地を捨ててここから逃げることを勧めているのですが」
 寛福和尚は、そう言って荒廃している村を見やる。
「だが、どこへ行けばよいか? 新たな民を受け入れてくれる土地を探すのは、難しいことです。私一人の力では、どうにもなりません」
 寛福和尚は言って、吐息した。鉄州斎は、思案顔で和尚に問うた。
「和尚、その石煉と言うアヤカシはどこにいるのですか。民はどこに」
「ええ‥‥ここから北へ四、五里ほど離れた山中、立川渓谷の洞窟に石煉は住み着いていて、手下のアヤカシを放って周辺の逃げ遅れた民を捕えています」
「分かりました」
「行かれるおつもりですか」
「ええ。私一人ではありませんがね」
 鉄州斎はそう言うと、言ったん村を離れ、手近な村の風信機を借り受けると、神楽の都に救援を求めるのだった。


■参加者一覧
無月 幻十郎(ia0102
26歳・男・サ
鬼啼里 鎮璃(ia0871
18歳・男・志
玲璃(ia1114
17歳・男・吟
滝月 玲(ia1409
19歳・男・シ
フェルル=グライフ(ia4572
19歳・女・騎
燐瀬 葉(ia7653
17歳・女・巫
エグム・マキナ(ia9693
27歳・男・弓
シュヴァリエ(ia9958
30歳・男・騎
ラシュディア(ib0112
23歳・男・騎
一ノ瀬 彩(ib1213
17歳・女・騎


■リプレイ本文

「よお、待っていたぜ」
 普段とは打って変わって、武装したギルド相談役の橘鉄州斎(iz0008)は、開拓者たちと合流して、厳しい表情だった。
「橘殿か、お役目ご苦労さね」
 無月 幻十郎(ia0102)はそう言うと、仲間たちを見渡した。
「今回集まった面子だ。段取りは付けてきた」
「その話だけ聞こうか。時間も無限と言うわけでもない」
「そうだな‥‥」
 無月は肩をすくめる。
「こっちは、アヤカシの手下を撃破する班と石煉を襲撃する班に分かれる。まずは手下を出来るだけ倒してから、石煉との戦闘に移る算段だ。石煉のもとへなるたけ手下を集めたくないのでな。それから‥‥こっちの鬼啼里 鎮璃(ia0871)とフェルル=グライフ(ia4572)が潜入班として、捕まった一般人の振りをして石煉の懐へ飛び込む。捕まっている民を守るためだ」
「そうか」
 鉄州斎は、アイスブルーの瞳を鬼啼里とフェルルにちらりと向けた。二人は軽く頷いて見せる。
「で、橘殿には襲撃班に加わってもらいたいが」
「了解だ。異論はない。では、早速仕事に掛かるとするか」
「よろしく」
 そして、開拓者たちと相談役は、立川渓谷目指して走り出した。

 ――ギャアギャアギャア! グオオオオオ!
 ――ひいい! た、助けて!
 ――ガオオオオオ! グオオオオオ!
 ――だ、誰か! 助けて!
 そこまで聞いて、シノビのラシュディア(ib0112)は目を開けた。超越聴覚でアヤカシに襲われている民の現場の声を聞く。
「こっちだ、アヤカシ複数が民を今襲っている」
 ラシュディアは同じ班の仲間たちに告げる。玲璃(ia1114)、滝月 玲(ia1409)、燐瀬 葉(ia7653)、一ノ瀬 彩(ib1213)たちは頷く。
「急ぎましょう」
 開拓者たちは森の中をラシュディアを先頭に駆け抜ける。
 やがて――。
「あそこ」
「よし、回り込め。奴らの不意を突く」
 開拓者たちは木々に隠れながらアヤカシの側面に回り込んでいく。
 鎧兜で武装したアヤカシ兵士5体が、すすり泣く女性を取り囲んで喚きながら脅している。女性はよろめき、崩れ落ちそうになっているが、アヤカシ兵士に強引に引っ立てられていく。
 ‥‥こういう環境が天儀のどこかにまだまだあるんやろうなって思うと怒りも湧き上がるんよね‥‥先ずは、ここのアヤカシを全部倒して‥‥少しでも平穏な頃に戻れるように全力でやらせてもらうで。
 燐瀬の瞳がかっと怒りに燃え上がった。
「滝月様」
 一ノ瀬が声を掛けると、滝月も視線を返して頷く。
「玲璃さん、燐瀬さん、援護を頼みますよ」
「お任せを」
「任せとき」
「俺はまともにはいけませんので、敵の撹乱に回りますよ」
 ラシュディアは言って、その場から移動する。
「よし‥‥行きますよ!」
 滝月と一ノ瀬が突進した。
 玲璃と燐瀬が神楽舞で支援する。
 ざざざっ――! と、二人は茂みから飛び出してアヤカシ兵士に奇襲を仕掛けた。
 アヤカシ兵士は完璧に不意を突かれる形。
 滝月は連打を浴びせて一体沈める。
 一ノ瀬も一体を切り捨てた。
 ――ガアアアアア!?
 混乱するアヤカシにラシュディアが背後に回り込み、切り掛かった。剣がアヤカシの腕を切り落とした。
 ようやくアヤカシ兵士が態勢を立て直した時には3対3になっていた。数の上では互角。
「一気に片付けますよ!」
「はい!」
 滝月と一ノ瀬はアヤカシ兵士に打ち掛かって行く。奇襲攻撃で士気を挫かれたアヤカシ達は、後退する。
 ラシュディアがその背後から切り掛かり、退路を断つ。
 アヤカシたちは咆哮すると、森の中に邪悪な声が轟いた。そして、遠くからも人外の咆哮が轟いてくる。
「拙いな、ボスに知らせるか、仲間を呼ぶつもりか」
「そうはさせません」
 開拓者たちはアヤカシとの間を詰めると、残る3体の抵抗を粉砕して撃破した。
 救われた女性は、全く怖気づいていて、震えていた。
「大丈夫ですか」
 燐瀬が駆け寄ると、女性は目を見開いた。
「あなた方は‥‥」
「開拓者です。民がアヤカシに襲われていると聞きました」
 答えとしては十分である。女性も状況を理解した様子である。震えてはいるが、自力で立ち上がる。
「では、みなさんはここにいる立川渓谷のアヤカシのことはご存知ですね」
「まさしく、そいつを退治に来たんですがね」
 滝月は言って、頷く。
「大勢の人が捕まっていると聞きます、何とかアヤカシを倒して下さい」
「一人で歩けますか、南へ向かって下さい。まだ村があります。寛福和尚という方がいますので、その方を頼って逃げて下さい」
「私は大丈夫です、ありがとう」
 女性は気力を振るい起して、開拓者たちに礼を言うと、南を目指して走り出した。
「さて、敵に気付かれた可能性もありますが」
 玲璃はラシュディアを見やる。
 ラシュディアは再び超越聴覚で耳を澄ませる。
 情報はすぐに入ってくる。森は慌ただしいことになっていて、アヤカシ達の咆哮があちこちから聞こえる。
「敵も動き出したようだな。よし、次はこっちだ、行くぞ」
 開拓者たちは走り出した。

「――行くぜ!」
 無月は突進して、アヤカシ兵士を鎧ごと叩き斬った。
 ――ガアアアアア! と反撃してくるアヤカシの太刀を跳ね返して、無月は裂ぱくの気合とともにアヤカシに刀を撃ち込む。
「炎羅を倒してもアヤカシが消えないなら、結構、お前たちがいなくなるまで倒してやるまでだ!」
 無月の怒りの一刀がアヤカシ兵士を両断する。
 と、橘に目を向ければ、相談役はアヤカシ兵士の攻撃をいなしながら反撃の機会を窺っていた。
 ――瞬間。橘が跳躍して、アヤカシの頭上から刀を振り下ろす。
「‥‥ああああああああ!」
 ザシュウウウウウ! とアヤカシは振り上げた刀ごと真っ二つになり、貫通する衝撃波が大地を叩き割った。
「相談役の名は伊達じゃないってか」
 無月は呟くと新たなアヤカシ兵士に向かう。
「無辜の民が味わった痛みはこんなものじゃないぜ」
 シュヴァリエ(ia9958)はバトルアックスを叩きつける。斧がアヤカシの肉体を貫通して切り裂く。
 アヤカシ兵士は二手に分かれて、シュヴァリエに襲い掛かってくる。シュヴァリエは目で二体のアヤカシを追いながら、軽くバトルアックスを持ちかえた。
「来い」
 兜の奥から、冷然とアヤカシを見つめる。アヤカシは雄たけびを上げて突進してくる。
 一撃を鎧で受け止め、アックスでアヤカシの首を飛ばす。二撃目を盾で受け止めると、そのまま盾でアヤカシをぶん殴って斧を叩き込んだ。
 そこへエグム・マキナ(ia9693)が弓を連射した。ドウ! ドウ! と矢の連射がアヤカシを撃ち貫く。
「考えても‥‥どれほど考えても、最良策がでない‥‥やはり私は英雄にはなれませんか」
 元教師と言う経歴のマキナ、開拓者となった教え子と話しているうちに興味がわき、自身も開拓者となったという変わった過去を持っている。開拓者となった今、民を脅かすアヤカシと直接戦うのは日常とも言える。が、故郷では教師として復帰してほしいという声もあるのではないか‥‥。自らが選択した道とは言え、時には己の運命の数奇を思わずにはいられない。
「英雄にはなれなくとも‥‥無辜の民のために、戦うだけです。今の私には‥‥それしか辿る道はありませんのでね」
 マキナは言って、矢を解き放った。
 やがてアヤカシ兵士を粉砕した開拓者たちは、立川渓谷を目指して歩き出す。
「鬼啼里殿と、フェルル殿が先行しているはずだが。うまく入り込んだだろうか」
「うまくやっただろうさ。しくじっていたら、骨は拾ってやるしかないが」
 無月の懸念を、シュヴァリエは一蹴した。無月は肩をすくめる。
「行くぞ。恐らくここまでの騒動で石煉にも気付かれている可能性も高い。奴は人質を取るような知恵があるとは思えんが、警戒して行こう」
 橘は言って、立川渓谷の方角をアイスブルーの瞳で見やるのだった。

 ――立川渓谷。
 鬼啼里とフェルルは、アヤカシ兵士に取り囲まれて、洞窟へ連れてこられた。
「あなた様‥‥」
 フェルルは怯えた演技をしながら、ひしっと鬼啼里にしがみついた。
 そこへ、洞窟の入り口から、ぬうっと、赤褐色の巨人が姿を見せた。複数の頭と腕を持った巨人である。石煉だ。
「こいつが石煉らしいですね」
「そうですね‥‥いかにも獰猛で邪悪なアヤカシと言った感じですね」
 ‥‥グルルルルルルルルル、と石煉は唸り声をあげて、二人を見つめる。複数の瞳が、じろりと二人を観察するように捕える。
 鬼啼里とフェルルはさっと視線を逸らして、下を向いた。
 石煉はアヤカシ兵士に唸り声で何かを合図すると、兵士たちは鬼啼里とフェルルを突いた。
 二人は押しこまれるように洞窟の中へ連れて行かれた。
 ――ガオッ! アヤカシ兵士が二人を突き飛ばして、洞窟の奥へ叩き込んだ。
 鬼啼里とフェルルは地面に転がって、それから周囲に目を向けた。
 暗がりに目が慣れてくるのを待つ。やがて、洞窟の中に捕まっている民が何十人といるのが見えてくる。みなうずくまっていて、すすり泣いて手に顔をうずめている。
「みなさん、みなさん‥‥!」
 フェルルが小さな声で民に呼び掛ける。
 最初民は反応がなくて、フェルルは何度も呼びかけることになる。
 鬼啼里はアヤカシの動きに注意を払っていた。
「みなさん‥‥! 私達は神楽の都から派遣された開拓者です。皆さんを助けに来ました。安心して下さい。必ずお救いしますから、もう少しだけ辛抱して下さい」
「開拓者‥‥? 嘘だろ? こんな辺境に開拓者がやってくるなんて聞いたこともない‥‥」
「本当です。ここを知っている開拓者がいるんです。その人が私達を呼んでくれました」
「た、助かるのか、本当に」
「必ず」
 と、そこで、アヤカシ兵士が喚きながらずかずかとやってくると、松明をかざして民人の一人を捕まえた。
「い、嫌だ! 離してくれ! 俺は死にたくない! 助けて!」
 アヤカシ兵士の背後から、鬼啼里がその口を塞いで、喉を短刀で掻っ捌いた。
 アヤカシは声にならない声を上げて、もがいた。
 フェルルも隠し持っていた小太刀でアヤカシ兵士を切り裂く。
 二人は万力を込めて、アヤカシ兵士の首を切り落とした。
 民は言葉を無くしたようにその光景を見ていたが、アヤカシをねじ伏せた二人を見て、本当に開拓者なのだと知る。
 ――オオオオオオオオオオオ! 洞窟の入り口から、石煉の咆哮が轟いてくる。
「大丈夫です。私達が囮になります」
 フェルルと鬼啼里は頷くと、石煉のもとへ歩き出した。
 アヤカシ兵士がやってくると、二人を捕まえて石煉のもとへ連れて行く。
 石煉は鬼啼里とフェルルを見下ろすと、牙を剥いて獰猛な笑みを浮かべて見せる。
「仲間たちが来るまでは、食い止めないと‥‥」
 鬼啼里とフェルルは意を決して、武器を抜いた。手近なアヤカシ兵士の腕を切り飛ばした。反転して石煉と相対する。
 ――グオオオオオオ!? 石煉は牙を剥いて巨体を起こした。それから怒りの咆哮を上げて突進してくる。
 鬼啼里とフェルルは石煉の拳に吹き飛ばされた。
 立ち上がって、二人は石煉と距離を取る。散開して向かってくるアヤカシ兵士たちと相対する。
「さて‥‥大丈夫ですかフェルルさん」
「雑魚は十分相手に出来るでしょう。石煉さえいなければ」
 そこで、仲間たちが洞窟前に到着する。
「鬼啼里殿! フェルル殿!」
「間にあったようだな」
「間一髪ですよ。危ない所でした」
「受け取れ!」
 無月は携帯の刀を鬼啼里に投げてよこした。
「ありがとうございます!」
 瞬く間に形勢不利を悟った石煉は、凄まじい咆哮を上げると、森に散っている兵士たちを呼び集める。
「あれが石煉ですか‥‥あれを潰せば、後は烏合の衆です」
「雑魚は適当に散らして、石煉に当たるぞ!」
 開拓者たちは言って、石煉に突進する。
 今まで散々民を痛めつけてきたアヤカシたちにとってこれは予想外の展開である。人間が攻撃してくることなど、あり得ないことである。石煉にとって人間は餌にしか過ぎない。
「皆さん、行って下さい。支援します」
「民の仇や! 思い知らしたる!」
 燐瀬と玲璃は神楽舞の構えを取りつつ前進する。
 開拓者たちは巫女を囲んで円陣を組み、石煉に接近する。
 アヤカシ兵士たちは威嚇の声を上げて突進してくるが、開拓者に次々と叩き潰された。
 オオオオオオオオオ‥‥。石煉は唸りを上げて前進してくると、かっと口から炎を吐き出した。
 轟音とともに炎が開拓者たちを包み込む。炎が止んで、石煉は立ち止まった。
 開拓者たちはダメージを負ったものの、さして怯んだ様子はない。石煉は自身の炎に耐えた人間を初めて見る。
「今だ! 一気に叩くぞ!」
 開拓者たちは円陣を解いて突進した。
 無月とフェルルが咆哮でアヤカシの集団を乱すと、玲璃と燐瀬が神楽を舞い、滝月とシュヴァリエ、一ノ瀬、鬼啼里が一気に石煉に襲い掛かった。ラシュディアは石煉の背後に回り込み、マキナはスキル全開で矢を撃ち始めた。
 ガオオオオオオオ! 石煉はでたらめに突進してくると、拳を振り回した。
 無月は受け止めると、一撃を撃ち込んだ。
「戦い慣れていないな‥‥好都合だ。今のうちに悪の芽は摘んでおく!」
 フェルルも払い抜けを撃ち込んだ。
 滝月は加速して平突を叩き込み、シュヴァリエ、一ノ瀬、鬼啼里のラッシュが石煉を打ちのめす。
 ラシュディアは背後から奇襲攻撃で石煉の顔面を切り裂く。
「救えなかった民の悲しみは消えませんが‥‥せめて貴様を撃ち抜いて供養としましょう」
 マキナは矢を連射した。
「神楽舞――防!」
「白霊癒!」
 玲璃と燐瀬も術を駆使して仲間を支援する。
「行くぞ!」
 鉄州斎も突進して石煉に相対しながら、背後のアヤカシ兵士を牽制する。
 ――オオオオオオオオオオ! 石煉は複数の腕を振り回して開拓者たちをなぎ倒したが、立ち向かってくる開拓者たちを前に後退する。
「おっとお前さんらの相手はこっちだ、余所見をするなんてつれないことをしなさんな、はっはっはっは」
 無月は咆哮を解き放って、石煉の足を止める。サムライの咆哮にはアヤカシを引き付ける強制力がある。
 やがて、開拓者たちの連打でぼろぼろになって行く石煉。
 遂にシュヴァリエのバトルアックスがその頑丈な脚を粉砕して叩き斬った。
 傾く石煉は悲鳴を上げて崩れ落ちた。
 もがき暴れる石煉を滅多打ちにして、開拓者たちは止めを差す。
 石煉は、生命力が尽きると、黒い塊となって崩れ落ちていき、瘴気に還元した。
 その後で抵抗するアヤカシ兵士を撃破し、開拓者たちは洞窟の民を救いだした。

 ‥‥戦闘終結後。
 ラシュディアは改めて洞窟の前にいた。領主の許可を貰って、アヤカシが近づけないように洞窟に罠を仕掛ける。
「これからもアヤカシの巣窟になりそうだ。ここは封印出来れば一番なんだが‥‥」
 洞窟の入口に「罠注意」と刻んで、ラシュディアは静かに洞窟を見上げた。