【四月】最後の希望
マスター名:安原太一
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/19 22:20



■オープニング本文

 その天空に浮かぶ儀はシスターナスと呼ばれていた。シスターナスの暦で1305年、世界は魔の森に包まれる――。
 大地は瘴気に汚染され、人倫に仇名すアヤカシたちが我が物顔で歩き回り、人類の希望は全く絶たれた。最後の合戦があってから20年の月日が流れ、逃げ延びた人々はかつての王都キルクレインの廃墟で、隠れるようにひっそりと暮らしていた。
 だが、アヤカシを束ねる最強の大魔王ヤ・ダーヴァは各地で人間狩りを行い、逃げ延びた人々がかつての王都に隠れていることを突きとめる。
「人間どもが‥‥キルクレインに‥‥愚かな‥‥望郷の念と言う奴か」
 ヤ・ダーヴァはとてつもなく巨大な魔神のような姿のアヤカシである。腕を一振りすれば大アヤカシが生まれる。
「シスターナスの人の歴史は明日にも消える‥‥我がアヤカシ軍八千万の軍勢を以って、キルクレインを包囲してくれるわ!」
 ヤ・ダーヴァは高笑いを発すると、自ら数百の大アヤカシと八千万の軍勢を以って、人の世に終止符を打とうとしていた。

 ――キルクレインの廃墟にて。
「た、大変だ‥‥!」
 物見から地を埋め尽くすアヤカシの大軍団を見て、男は転がるように隠れ家へ駆け込んだ。
「王様! アヤカシの大軍がこっちにやってきます! もの凄い数です!」
「こっちもです! とんでもない数のアヤカシが!」
 あちらこちらからもたらされる悲鳴に、王様はため息をついた。
「遂に、この日がやってきたか‥‥人の世の終わりが‥‥」
 王様と言っても、身なりはぼろぼろで、見た目は周りの人々と見分けがつかない。
 民人は崩れかけた大聖堂に集まって、祈りを捧げた。

 ――そんな絶望がキルクレインを包み込む中、王都の精霊門が光に包まれた。精霊門に光が宿るのは何世紀ぶりのことであろうか。光の中から現れたのは、天儀と言う儀からやってきた10人の開拓者たちである。
「さて、と‥‥交易が途絶えた幻の大地シスターナスってのはここか?」
「噂によると、王国は滅亡して、アヤカシが徘徊しているそうだ」
「そいつはいい、天儀のアヤカシは滅びたからな。腕がなまっていたところだ」
「ねえ、あそこを見て、瓦礫の中に人が‥‥」
 開拓者たちは歩き出した。王様たちと会う。
「よお、ここは滅びたって聞いたけど。人がいるんだな」
 人々は顔を見合わせる。
「何だお前たちは」
 王様は進み出てくると問うた。
「俺たちか? 俺たちは天儀王朝に仕える開拓者だ。この地を調査に来た」
「か、開拓者――!」
 王様は言葉を失う。民人たちの間にざわめきが広がっていく。
「あの伝説の開拓者だと言うのか」
 そして、今にもアヤカシの大軍が攻め寄せて来ると知った開拓者たちは、ヤ・ダーヴァの軍勢を見やる。
「ほう‥‥本当にアヤカシがいるぜ! うようよいやがる!」
「面白くなってきたな」
 10人の開拓者たちは不敵な笑みを浮かべると、八千万のアヤカシ軍に向かって歩き出した。

※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません


■参加者一覧
柚月(ia0063
15歳・男・巫
鈴梅雛(ia0116
12歳・女・巫
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
葛切 カズラ(ia0725
26歳・女・陰
シャルロット(ia4981
13歳・女・サ
痕離(ia6954
26歳・女・シ
メグレズ・ファウンテン(ia9696
25歳・女・サ
レイシア・ティラミス(ib0127
23歳・女・騎
ヘスティア・V・D(ib0161
21歳・女・騎
不破 颯(ib0495
25歳・男・弓


■リプレイ本文

「お前たちは‥‥開拓者だと言うのか」
 ぼろぼろの王は、そう言って、目頭を押さえる。背後の民たちも、嗚咽を漏らして、すすり泣く。
 すると、柚月(ia0063)が吐息して、それから笑顔を浮かべた。
「笛はいつだって希望を生むものさ!」
「‥‥?」
 民が怪訝な顔を向けると、柚月は横笛を吹き始めた。美しい旋律が流れると、人々は、はっと周りを見渡す。
 都を侵食する魔の森が見る間に枯れ果てて行く。清浄な空気が一帯を包み込み、人々は驚いたように柚月を見やる。
「浄化の力‥‥」
「王様、諦めないで下さい。あのアヤカシの軍勢は、ひいなたちが倒します」
 小さき巫女の鈴梅雛(ia0116)は言うと、くるくると小さく手を回した。雛の手から伸びたきらめく精霊力が、同じように魔の森を後退させていく。
「町には結界を張ります。アヤカシが入ってこれないように」
 雛はそう言うと、手を差しだした。再びきらめく精霊力が雛の手からあふれ出し、街全体を覆って行く。
「おお‥‥!」
 民が表に出て来て、空を見上げる。
「浄化の力だ‥‥!」
 美しい精霊の光が結界となって町を覆う。
 雛は仲間たちを見やると、開拓者たちが進み出てくる。
 泰拳士の羅喉丸(ia0347)、陰陽師の葛切 カズラ(ia0725)、サムライのシャルロット(ia4981)、シノビの痕離(ia6954)、サムライのメグレズ・ファウンテン(ia9696)、騎士のレイシア・ティラミス(ib0127)、同じく騎士のヘスティア・ヴォルフ(ib0161)、弓術士の不破 颯(ib0495)たち。
「ここには調査に来ただけだったが、これほど悲惨な状況になっているとは夢にも思わず。武を以って侠を為す、シスターナスの平和を取り戻したいと思う」
「任せてちょうだい。私達は簡単にはやられないわ。大魔王だか何だか知らないけどね」
「‥‥‥‥」
「‥‥ふふ‥‥面白いことになったなあ‥‥どこから食らってくれようか」
「八千万のアヤカシとは、いや何とも壮観な光景、どこを攻撃しても外れなし」
「さあってと、存分に暴れられそうね? わくわくするわね〜」
「ま、ヤ・ダーヴァがどんな奴かは知らないけど、天儀で戦ってきたことを思えば、怖いものはないさね〜」
「いや〜こんなに多勢に無勢は初めてだ。スリル満点だねぇ(ヘラリ)」
 開拓者たちは、それぞれに感想を漏らすと、八千万のアヤカシ軍に目を向けた。
「では、行きますか」
「ああ」
 民人が開拓者たちを見送る。民はまだ信じることは出来なかった。敵は八千万。たった10人の開拓者に何が出来うるのかと。しかし、誰もがこれから想像を絶する開拓者の力を目にすることになるのだ。ここへやってきた開拓者たちは、誰もが限界を越えた力の持ち主であったから。

 アヤカシたちは、キルクレインを完全に包囲していた。その戦列の先頭に大アヤカシたちは立つと、ヤ・ダーヴァの号令を待っていた。
「人の世の終わりが来る‥‥シスターナスは、遂に我が手に落ちるのだ!」
 ヤ・ダーヴァは高笑いを発すると、全軍に進撃の合図を下した。
「魔王陛下の命が下った! 生き残った民は皆殺しだ! キルクレインを灰塵と化してくれるわ!」
 アヤカシ達は咆哮を上げると、キルクレインに向かって進み始めた。
 そこへ、たった十人の開拓者たちが立ちふさがる。
「何だ? 人間が‥‥!」
 雛は仲間たちに頷くと、舞いを始めた。
「始めましょう、ひいなの舞で皆さんを支援します」
 雛が舞い始めると、その周辺に精霊力が満ち溢れて来て、きらめく光が清浄な空間を作り出す。きらきらと光の粒が舞い、幻想的な空間が広がる。
 神楽舞・勇気は、対象のステータス倍化。強い開拓者が、さらに強く。神楽舞・魂は、攻撃力が3倍に。一撃必殺の技が、さらに強力に。
「おおおおおおおお‥‥!」
 羅王丸は、高まってくる力を感じて、感情の奔流が激しくほとばしる。
「行くぞ‥‥!」
 羅喉丸は足を踏み出した。
 ――崩震脚。
 震脚と共に気を大地に送り込む事により、莫大な気の噴出と衝撃波が地盤ごと粉砕しながら広まる。気と粉砕されて巻き上げられた岩盤により粉砕する。
 莫大な気の奔流がスパークして、凄絶な衝撃波がアヤカシ軍の前面に叩きつけられる。
「何だ――!」
 大アヤカシの叫びは、羅喉丸が放った莫大な気の奔流にのみ込まれて消えた。一撃で消失するアヤカシ数万。
「とっておきの葬送曲、たーっぷり聞かせてあげるっ」
 柚月は古びた龍笛に口を当てると、攻撃のメロディーを奏で始める。
「どんな舞を見せてくれるカナっ?」
 軽やかにステップ踏んで舞いつつ、無邪気な笑顔で笛を奏で。
 雛の支援で力が増幅される。結界を張りつつ、前進してくるアヤカシ軍に攻撃術をぶつける。
 激しい曲調で、敵の頭上で巨大な爆発を起こして広範囲に攻撃。
 鋭い音色で、空間をなぎ払うように捻じ曲げて敵を捻じ切る。
 広範囲にわたる術が、一撃でアヤカシ数万を粉砕して行く。爆発がアヤカシを飲み込み、空間を薙ぎ払う術が敵の戦列を一掃する。
「派手好きってよく言われるんだっ。さー、行こうか(くすす)」
 カズラは腕を一振りすると、自身の「軍団」を召喚する。水生生物や植物や名状し難い肉塊等の多種多様な触手を軍団レベルで大量召還。見るもおぞましい触手たちが圧倒的な物量で展開すると、咆哮を上げてアヤカシ軍に突進して行く。
「八千万ね〜〜残念だけど今のレベルじゃ『普通』程度の相手なのよ」
 カズラは腕を振ると、触手を操り叩きつける。
「昔ならいざ知らず、この程度の物量は今じゃこちらも展開可能なのよね!」
 うねうねうねうねうねうねうねうね――! と触手軍団がアヤカシ軍を食い破って貫通する。凄まじい触手の群れ数万が、アヤカシ軍十万を食い殺した。
 シャルロットは戦場に出ると、背中の大太刀を抜いた。いつも一緒のぬいぐるみのくーさんを背負っており、くーさんがシャルロットの代わりにメインで喋る。
『行くぞお嬢――!武・○・装・甲!』
「‥‥我が斬○刀に――断てぬ物無し」
 意味不明の名乗りを上げて、突貫するシャルロット。
 戦闘開始後暫くは自由に大きさの変わる不思議な太刀、零式斬○刀を使い、雑魚を薙ぎ、払い、振り回し、吹き飛ばし、何の特技も用いず並外れた技量と膂力のみで戦う。
 シャルロットは限界を越えた開拓者だけが発揮しうる凄絶な戦闘能力で、次々とアヤカシを葬り去って行く。大軍の中へ突進して行く。
『む、お嬢、囲まれたぞ』
「‥‥無問題」
『やるのか、あれを!』
「‥‥やらいでか」
 囲まれたシャルロット、斬○刀を天に届く程まで伸ばし――! まさに圧巻、天空に届く超絶巨大な斬○刀! それを一閃、円薙ぎに薙ぎ払う
『うおおおおお、伸びろ斬妖刀!』
「‥‥斬○刀奥義」
『薙ぎ払えええええ! 天ごと奴をおおおお!!』
「……一閃、天薙の太刀」
 ――ガアアアアアアアアアアアアアア!
 ――ギャアアアアアアアアアアアアア!
 群がってくるアヤカシ軍に斬○刀を一振りすれば、もの凄い衝撃が大地を駆け抜け、アヤカシ数万を叩き斬った。
『おおおおおおおおおおお!』
「‥‥打ち砕くのみ」
 シャルロットが振るう超絶的な破壊力の太刀は、一撃ごとにアヤカシを数万消し飛ばしていく。
「さて、雑魚は他の方々にお任せするとして‥‥やはり束ねる立場から叩いておかないと、ね」
 痕離は掌から蝶の幻影を送り込む。幻影の蝶が舞い、無数の蝶が痕離を包み込む。
「‥‥さあ、行っておいで。邪魔をする子に容赦はいらないよ」
 月光――蝶の幻影で敵を惑わせ視界を奪う。蝶は敵に触れると爆弾の様に爆ぜる。
 その通り、アヤカシに触れた蝶の群れは、そこかしこで爆発して敵を粉々にしていく。
「‥‥陽炎」
 ふっと消えた痕離。瞬時に大アヤカシの背後に回り込む。
 陽炎――瞬時に敵背後へ回る事が出来るスキル。
「何だこの爆発は――!」
 喚く大アヤカシの背後から、黒闇の二撃を叩き込む。
 黒闇――双剣での二撃必殺の奥義。舞う様に立ち回りながらも二撃目を受けた敵は確実に沈む。
 超絶的な一撃が大アヤカシを両断する。
「――!?」
 ‥‥あまり面倒は掛けたくないのでね。敵が何かと抗う場合は少々手荒になるのも止むを得ず‥‥だ。
 影縛――武器を投げて影を刺した相手の動きを止める。
「‥‥すまないが、少し大人しくしていてくれるかな。‥‥痛いのは嫌だろう?」
 大アヤカシの動きが止まると、月光の幻影で大アヤカシを包み込む。
 ――ぐあああああ!
 蝶の群れが爆発して、大アヤカシを粉々に吹き飛ばした。
 ふーっと煙管で一服する痕離。
「さて」
「行きますか」
 体を震わせると、見る間に100メートル近くの巨人に巨大化したメグレズ。
 ズシン! ズシン! とアヤカシを踏み潰していくと、ヤ・ダーヴァのもとへと進む。
 ――ガオオオオオ! アヤカシの群れがジャイアントメグレズに群がってくるが、メグレズは蠅を払うように雑魚を粉砕。
「お初にお目にかかる、アヤカシの王。私の名はメグレズ。貴方の名を拝聴しよう」
「貴様ら‥‥開拓者か。くく‥‥この大魔王ヤ・ダーヴァに勝てると思うな!」
 すると、ヤ・ダーヴァも見る間に巨大化。
「ふむ、ではヤ・ダーヴァ。貴方を討ち取らせて頂きます」
「ふざけるな! 殺せ!」
「撃刃、砕滅!」
 メグレズの巨人スマッシュがアヤカシの群れを一掃する。
「さて、邪魔者はいなくなりました。参ります」
 メグレズはヤ・ダーヴァに突進する。
「はああああああ!」
 レイシアはアヤカシの群れに突進すると、一撃で数百体のアヤカシをばったばったと切り裂いていく。
 見る間に数を減らしていくアヤカシ軍。
「ったく。こんなのに手こずるなんてここの連中も大したことないわね‥‥いくわよ! 赤き炎よ‥‥フェニッ○ス・オーバードライヴ!」
 秘奥義「フェニッ○スゲート」――剣を地面に突き刺し陣を作りだす。その陣から赤い不死鳥型の衝撃波のような物がアヤカシを薙ぎ払う。
 甚大な衝撃がアヤカシ軍を粉砕する。消失するアヤカシ十万。
「馬鹿な‥‥わが軍が一撃で‥‥!」
 大アヤカシはアイテムを使おうと手を上げた。その瞬間、レイシアは加速して秘奥義「アイテムなんて使ってんじゃないわよ!」を発動。
 一気に距離をつめ相手をアイアンクローで掴む「アイテムなんて」そのまま持ち上げてアイアンクロースラムで後頭部から地面に叩きつける「使ってんじゃないわよ!」
 ヘスティアは暴風のようにアヤカシの戦列に突進。
「だぁ〜せっかくのデザート喰い損ねたじゃねぇか‥‥てめーらのせいだぞ?!」
 腕を振り上げ分身する。六人のヘスティアが竜巻状の衝撃波を幾つも同時に発生させる大技、ヘキサグラムタイフォン――6体分身から衝撃波がアヤカシ軍の戦列に穴を開ける。まとめて消失するアヤカシ百万!
「だあ〜疲れた、ぜ!」
 カズラが保持し始めたの確認して大太刀抜く。
「んじゃまか、こっからがお楽しみってなっっ!」
 分身攻撃を連発。ブラックタイフォン。三体分身して刀から衝撃波を放ち、本体で其れを追撃して攻撃する。
 もの凄い速さで加速するヘスティア。分身アタック、ブラックタイフォンが次々とアヤカシ数万を粉砕して行く。
 上空に舞い上がった不破は、千里眼で敵戦列を見渡すと、大アヤカシを中心に風切羽で撃ち抜いていく。矢に風の精が纏い何処までも飛ぶ。射程制限を無くし絶対命中する不破の必殺技の一つ。
 六節「界」で矢を連発して大アヤカシを撃ち殺していく。
 と、アヤカシ軍の戦列から翼を生やした飛行部隊が舞い上がってきて、不破を取り囲む。
「ふふ‥‥ならば!」
 千里眼に加えて、必殺の億千万の矢。弓を引き絞ると無数の矢が出現。己の目に映る敵全てに防御力無視の攻撃。敵一体に無数の矢を降らせ攻撃力×10の防御力無視の攻撃。億千万の矢でアヤカシ軍の飛行戦力消滅。
「開拓者が‥‥このヤ・ダーヴァが踏み潰してくれる!」
 部下の半数が瞬く間に消失すると、ヤ・ダーヴァは開拓者たちに向かって前進してきた。魔剣から繰り出される衝撃波と魔術――しかし、開拓者は小揺るぎもしない。
「我が一撃は空を切り裂き、大地を砕く」
 羅喉丸は踏み出し、
「見切った、泰拳士に同じ技は二度通用しない」
 奥義・泰練気法・壱――闘気を燃やす事により極限まで肉体を強化し、光に匹敵する速さで戦闘。
 奥義・紅砲――自身の気に森羅万象に満ちる気も加えて放つ最大の大技。人が単独で出せる量を遥かに超える気は全てを飲み込む。
「森羅万象よ、我に力を」
 カズラは最強の光貪暴君を召喚する。
「鈴木さん呼ぶし、ちょっとだけ注意してね」
 ひし形巨体に巨大な目が複数、そして複数の口。小さな目の付いた触手を頭頂から生やしている化生である。
「あれ? いつもと姿が変わっているわね‥‥。ま、その程度の魔力じゃ、私の呼んだ子に無効化されるだけよ
 総身尽くを視姦されなさいな」
 邪視暴虐――光貪暴君の小さな目からの怪光線を一斉発射。一点に収束させる事で其々への抵抗を阻害する。
 光貪暴君の頭を駆け上がり、シャルロットが――
『光射す大地に、汝らアヤカシ生きる場所無し』
「‥‥乾かず、飢えず 無に還れ」
『斬○刀・究・極・奥・義!』
「‥‥雲○の太刀――」
『「ちぇすとおおおおおおおおおおおおお!!!」』
 痕離はスキル全開の攻撃を繰り出せば、メグレズは「次○斬!」――払い抜けの強化版でヤ・ダーヴァを『大魔王のいる次元ごと』両断する。
「さってと、魔王さん? 今更泣いて謝ったって許したりはしないわよ?」
 加速するレイシア。最終奥義――剣に紅蓮の炎を纏わせると、その後一気に距離を詰めて連続切りを繰り返す。
「我が元に集え!穢れ無き炎の子らよ!」
 止めに重たい一撃を叩きつける。
「イノ○ントフレイム!」
 ヘスティアはヤ・ダーヴァに辛辣な笑みを向ける。
「魔王さんよ、最後に負けるのはやっぱりあんただよな。カズラ嬢‥‥一緒にこいつを嬲り殺さねえか」
「オッケー、邪視暴虐で魔術を無効化するわ」
「よし、行くぜブラックタイフォン!」
 不破は億千万の矢でヤ・ダーヴァを撃ちまくった。
「おおおおおお‥‥!」
 想像を絶する開拓者たちの圧倒的な攻撃は、魔王を寸断し、打ち砕き、滅殺した。瘴気の波動が爆発して、ヤ・ダーヴァは滅したのである。

 ‥‥戦闘終結後。
 柚月と雛はともに浄化の舞いを舞った。浄化の精霊力がシスターナスに満ち満ちて行く。
 柚月は雛の舞を支援するように笛を奏でる。
「瘴気を浄化しちゃうよっ。この儀にも平穏が訪れますよーに(にへ)」
「願わくは、アヤカシに怯えぬ世界を。そして、この地に永久の平和を」
 そうして、シャルロットは、誰も気付かない間にシスターナスの地に持っていた斬○刀を深く刺して残し、ひっそりと去る。
『ふむ、良かったのかお嬢?』
「‥‥所詮全ては、胡蝶の夢」
 かくして、戦いは終わった。