もふ太郎の鬼退治
マスター名:八倍蔵
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや易
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/01/22 22:10



■オープニング本文

 あるところにおじいさんとおばあさんと一緒に暮らすもふらさまがいました。
 もふらさまの名前はもふ太郎。
 一年程前おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行きました。
 おばあさんが洗濯をしていると、川上からもふもふした毛に包まれたもふらさまが流れてきたのです。
 おばあさんはそのもふらさまを家に連れ帰り、もふ太郎と名づけたのでした。

 ある日もふ太郎は大好きなおばあさんの昔話を聞いて一大決心をしたのです。
「僕も鬼退治に行くもふ!」
 おじいさんとおばあさんは驚きましたが、もふ太郎の一大決心を汲んでくれました。
 おばあさんはもふ太郎が大好きな甘いおだんごを作ってくれました。
 おじいさんは『もふ太郎』と書かれた鉢巻と旗を作ってくれました。
 おだんごと鉢巻、旗を持ったもふ太郎は意気揚々と出かけるのでした。

 所代わってとある村。
 村人達が村長の家に集まっていた。
「おらも見ただ!」
「山さ行ったヨサクさ、帰ってこねえだ」
 村では山で小鬼を見たと騒いでいた。
「何匹くらいいただ?」
 村長は見たという村人に聞き返す。
「そだな、はっきり見たのは四匹だっただ。でもそれ以上いるかもしんねえだ」
 数が少なければ村でも何とかなったかもしれない。
「ヨサクさ、帰ってきたどぉ!」
 そこへきこりのヨサクが、かなりの傷を負って帰ってきた。
「すまねえだ、斧と鉈を取られちまっただ」
 ヨサクは木を切っている最中、四、五匹の小鬼に襲われたという。
 持っていた斧と鉈でどうにか二匹を倒したが、さらに現われた小鬼達によって傷を負わされ、その斧と鉈を奪われてしまったとのことだ。
 さらに現われ、村で一番の体格で猟もするヨサクが傷を負わされたとなると、小鬼の数は四匹どころではないかもしれない。
「うん、しかたねえだ。開拓者に依頼するだ!」

 開拓者ギルドに依頼が張り出された。
『小鬼退治』
 その張り出された依頼書を眺めながら、受付嬢は目をこする。
 昨日はようやく空いた休み、ギルドの仲間と新年の祝いを行ったが、そのときの酒が残っているのか。
 小鬼退治の依頼書を眺めている、子供くらいの白いもふらさまがいるのだ。
 頭には鉢巻、背中には『もふ太郎』の旗。
「僕がこの鬼退治に行くもふ!」
 飲み疲れかと目頭を押さえる受付嬢の目の前に、いきなりもふらさまが現われた。
 やっぱりこのもふらさまはいるのだ。
「犬、猿、雉、熊、蟹、臼、栗、蜂のお供を集めるもふ!」


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454
18歳・女・泰
奈々月纏(ia0456
17歳・女・志
雲母坂 芽依華(ia0879
19歳・女・志
奈々月琉央(ia1012
18歳・男・サ
胡蝶(ia1199
19歳・女・陰
縁(ia3208
19歳・女・陰
チョココ(ia7499
20歳・女・巫


■リプレイ本文

「え〜、これしかいないもふ〜?」
 もふ太郎が不安げな声を上げました。
 小鬼退治に向かうもふ太郎のところに、二人の開拓者しかいなかったからです。
 正確には二人と一頭。
 紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)さんは、もふ太郎より少し大きい、もふ龍という名前のもふらさまを連れていたからです。
「まあまあ、あたしは犬の紗耶香。もふ太郎さんもふ太郎さん、お団子を下さいな」
「犬のもふ龍にも下さいもふ」
 もう一人は、お金を稼ぐためにと小鬼退治の依頼を受けたチョココ(ia7499)さん。
 小鬼退治にもふ太郎もついてくるということを聞いて、ちょっと不機嫌です。
「雉のチョココ。だんごをくださいな」
 しかし心の中では(「もふら様にだんごをたかるなんて‥‥めんどくさいなあ、もう」)とか思っています。
 もふ太郎は二人と一頭に、背中に担いだ風呂敷からおだんごを渡します。
「もっとたくさんで楽しく行きたかったもふ‥‥」
 もふ太郎は、まだまだたくさん余っているおだんごを見てしょんぼり。
「大丈夫、他の皆は先でまっ‥‥」
「あわわわわ、み、道々お供を集めましょう!」
 危うく先の展開を話してしまいそうになるチョココさんの口を塞いで、紗耶香さんがもふ太郎をなだめます。
「と、とにかくもふ龍達も頑張るから、出発するもふ」
 けなげに主人をフォローするもふ龍の勧めもあって、ようやくもふ太郎とお供達は小鬼退治に出発するのでした。

 もふ太郎とお供は小鬼退治に出発しました。
 町を抜け、だんだんと家が少なくなってきます。
 やがてぽつんとあった一軒家。
 そこには二人の女性がいました。
 一人は白い着物に臼のお面をつけた縁(ia3208)さんです。
「私は臼の縁です。もふ太郎さん、もふ太郎さん。小鬼退治にお供しますので、御団子ひとつくださいな」
 縁さんはなんだかノリノリです。まるで歌でも歌っていそう。
 もう一人は黄色と黒の衣装に羽、蜂のお面をつけた胡蝶(ia1199)さんです。
「も、もふ太郎さんもふ太郎さん、鬼退治に付き合いますから、おだんごひとつ、くださいな‥‥」
 胡蝶さんは、今ひとつ吹っ切れていないようで、激しい疲労感を感じているようです。
「なんで私がこんなことを‥‥はあ」
 しゃべるもふらさまを見かけて、思わず依頼を受けてしまったのだとか。
 ええ、もふらさまはしゃべりますよ。
「お供が増えてきたもふー!」
 お供が増えて、もふ太郎の気分もだんだんよくなってきたようです。

 もふ太郎達が先に進むと、道の隅で座り込んでいる人がいました。
 藤村纏(ia0456)さんです。
 (「お団子、どないな味やろかー」)とか(「お話するもふら様、初めてや♪」)とかいろいろ空想してて思わず顔がほころんでしまいます。
「おー。こそのもふ‥‥て、ちゃう。そこのお方、何か食べ物はないやろか? お腹が減って動けんねん」
 纏さんは空想してて、危うく声を掛け損なうところでした。
 もふ太郎はおだんごを取り出し、纏さんに差し出します。
 纏さんは受け取ったおだんごを一齧り。
 モチモチした歯ごたえ、ふわっとした食感、そして甘味が口の中に広がります。
「めっちゃ旨いお団子、おおきにな♪」
 もふ太郎ともふ龍は後ろ足で立ち上がると、前足で挟んだおだんごを一齧り。
『そうもふ!このおだんごはおいしいもふ!』
「ウチは蟹の纏や。お礼に何かしたいんやけど、あるやろかー?」
「ボクはもふ太郎もふ。これから鬼退治に行くもふ!」
「よっしゃ!ウチも協力させて貰うわ〜♪何でもゆーてー?」
 こうして蟹さんもお供に加わりました。

 さらにもふ太郎達が進むと、大きな木がありました。
 その木から一人の人間が飛び降りてきました。
 茶色の浴衣に赤い帯、猿のお面をつけた水鏡 絵梨乃(ia0191)さんです。
「ふむ、もふ太郎というのか。なかなか好い目をしているな」
 何故かノリが格闘マンガです。
「よし、団子を一つくれたらボクも鬼退治に協力してやろう」
 もふ太郎は喜んでおだんごを渡します。
「おだんごはあげるから、お供になるもふ!お姉さんはなんて名前もふ?」
「ボクは猿の絵梨乃だ!」
 もふ太郎のお供に猿も加わりました。
 残るお供は栗と熊です。

 目的の村も近く、もふ太郎一行も森に入りました。
 バシン、バシン。
 大きな音が聞こえます。
 その音に向かって近づいていくと、大きな木に張り手をしている琉央(ia1012)さんがいました。
「ん、おう、俺はサムライ‥‥、じゃなくて、熊の琉央、だ、よろしくな」
 流れる汗を手拭でさっと一拭き、さわやかな青年です。
「団子をくれるんならついていくぜ」
「わーい、おだんごあげるもふ。熊さんもお供もふ!」
 その琉央の後の木では大きな栗の、いえイガグリの着ぐるみがいました。
「あ、あれはウニもふ!」
「ウニほななくて栗どす!」
 バーンと着ぐるみから出てきたのは、雲母坂 芽依華(ia0879)さんです。
「もふ太郎はん、小鬼退治にうちも一緒に連れてってぇなぁ。報酬はその団子一個でどないどす?」
「やったーもふ!これでお供はそろったもふ」
 お供が皆そろったことに、もふ太郎は大喜びです。

 もふ太郎一行は目的の村につきました。
 胡蝶さんはもふ太郎が鬼退治に来たことを伝えます。
「さっさと片付けて帰、じゃない、村人を安心させるわよ」
 紗耶香さんと縁さんが、村人から小鬼の場所を聞いています。
 さあ、いよいよ鬼退治の本番です。

 村のヨサクさんが言ったとおりに山を進むと、切りかけの木がありました。
 ヨサクさんはここで襲われたようです。
 もふ太郎達があたりを見回すと。
「キー、キッキ」
 しわがれた猿のような鳴き声が聞こえてきました。
 小鬼達の鳴き声のようです。
 ぞろぞろと小鬼達が現われました。
 そしてもふ太郎たちは‥‥。
 琉央さんがもふ龍を肩車し、もふ龍がもふ太郎を肩車して、トーテムポールのようです。そして木の影からじっと小鬼達を見ているのでした。ちなみにもふ太郎が少し小さいとはいえ、もふらさま二頭はとても重いです。
 そんな二頭と一人をチョココさんは無言で蹴り飛ばします。
 そして戦いは始まりました。

「猿さん、行くもふ!」
 猿の絵梨乃さんは、酔っ払いのような足取りで小鬼の攻撃をかわします。
 そして踵落としです。脳天に打撃を受けた小鬼はくらくらしています。
「今もふ!」
 もふ太郎が体当たりすると、小鬼は後ろの木まで吹き飛ばされてノックアウトです。

「犬さん、行くもふ!」
 犬の紗耶香ともふ龍は、素早くかわして小鬼を翻弄します。
 疲れ果てた小鬼はグロッキー。
「今もふ!」
 もふ太郎が体当たりしてダウンです。

「蟹さん、行くもふ!」
 蟹の纏さんは二刀流、刀を鋏に見立てて攻撃です。
「どの子が、ウチの鋏の餌食になりたいんや〜♪ウチの鋏は痛いでぇ〜」
 その両手の鋏はとっても痛そうです。

「栗さん、行くもふ!」
 栗の芽依華さんは赤い燐光を放ちながら、爆ぜた栗のごとく目にも留まらない速さで刀を抜き、切りつけ、そして納めます。
「あんたらの狼藉、うちは許しまへんえ!!覚悟しよし!!」
 何故か『八九三の奥さん』という言葉が脳裏をよぎります。

「熊さん、行くもふ!」
 熊の琉央さんは斧で小鬼の攻撃を受け止めます。
「普通にアヤカシとやりあうより大変だよな」
 もふ太郎をフォローするため、ちょっと苦戦気味。
「今もふ!」
 もふ太郎が小鬼に体当たりして踏みつけます。

「蜂さん、行くもふ!」
 蜂の胡蝶さんは無数の蜂を呼び出します。
「私は女王蜂だから、配下の蜂を使うのよ」
 蜂に纏わりつかれた小鬼は大慌て。
「今もふ!」
 そこへもふ太郎が体当たり、まさに泣きっ面にもふ太郎です。

「臼さん、行くもふ!」
 臼の縁さんは木の上から舞い降りて攻撃です。
「臼〜」
 小鬼は縁さんの刀でざっくりです。

「雉さん、行くもふ!」
 雉のチョココさんはもふ太郎に精霊の加護の舞を舞います。
「もふ太郎さんは勇敢に戦い、見事な最後だったと伝えておきます。さあ、行きなさい」
 なにやら物騒な言い様です。
「最後は無いもふ!」
 なんだか薄情なチョココさんの声援の中、もふ太郎の体当たりが決まります。

 もふ太郎一行は現われた小鬼達を全て倒しました。
「鬼達を討ち取ったもふ!」
 勝どきを上げるもふ太郎と、それにあわせて刀を掲げる芽依華さん。
 そういえば小鬼達が持っていた物のなかに立派な斧と鉈がありました。
「鬼退治といえば金銀財宝を手にして帰るのがお約束ですけど」
 チョココさんはヨサクさんの仕事道具だろうと持っていきます。
「これで金銀財宝でも隠していてくれれば、採算に見合うのだけど」
 胡蝶さん、少ないけれど村からも報酬は出ますから、そこは何とか。

 さて、無事鬼退治を終え、ヨサクさんに斧と鉈を返したもふ太郎一行は、村からささやかですがおもてなしを受けます。
 もふ太郎も残ったおだんごを皆と分けます。
 芽依華さんも外はもっちり、中はふんわり、口の中に広がる甘さに、ほわぁぁんとしています。
「おばあさんが作った御団子美味しいわ」
 縁さんもおだんごの味にうっとりです。
『そうもふ!このおだんごはおいしいもふ!』
 再びもふ太郎ともふ龍は前足で挟んだおだんごを一齧り。
 皆ひと時、幸せな気分に浸ります。

 その後開拓者ギルドまで戻り、依頼の報酬を受け取ったもふ太郎一行。
 胡蝶さんと縁さんがもふ太郎をおじいさんとおばあさんのところへ送ります。
「おじいさん、おばあさん、ただいまもふ!」
 意気揚々と凱旋するもふ太郎。
「おやおや、もふ太郎がお世話になりましたね〜。そうだ、お二人にはおだんごを作ってあげましょう」
 いきさつを聞いたおばあさんは、もふ太郎を送ってくれた二人にお土産のおだんごを作ってくれました。

 その後二人はおばあさんが放った『団極殺』が脳裏に焼きつき、離れませんでしたとさ。

 めでたしめでたし。