【AP】サクラチル
マスター名:四月朔日さくら
シナリオ形態: イベント
EX
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2014/04/07 19:07



■オープニング本文

※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。


 ――『学園』。
 様々な個性あふれる開拓者たちを受け入れるこの学校は、小学校から大学院までの一貫教育を行っている。
 開拓者の能力向上や、依頼におけるいろはなどもここで学ぶことができるのだ。
 目下、学園の総生徒数は六万を超えると言われている。
 学問に励むもよし、鍛錬に勤しむもよし。
 もちろん、学生らしい青春を送るのも、ここでなら満喫できるわけで――。


 そんな学園にも、別れと出会いの季節はやってくる。
『今年度 卒業式』
 そんな文字が、校門に飾られていた。
 あちこちですすり泣く声、あるいは喜びの声。
 その反応は人によりけりだが、ただひとつ言えることは。
 この日を境に、会うのが最後になるかもしれない人がいる――ということ。


(とはいえ、この時空は歪んでいるからね)
 学園長が苦笑する。
(だから、また来年度も、同じメンバーなんだけれど……まあ、節目は大事だということだね)
 あ、なんかこの学園長最強っぽい。
 なんかすっごい世界観を揺るがすことをモノローグしてる。

 まあそんなわけで、卒業式。
 貴方はどう過ごすかな?


■参加者一覧
/ 礼野 真夢紀(ia1144) / からす(ia6525) / 无(ib1198) / 黒曜 焔(ib9754) / ジャミール・ライル(ic0451) / 蠱毒(ic0479) / 三郷 幸久(ic1442) / 葛 香里(ic1461


■リプレイ本文

 きーんこーんかーんこーん。
 ザザー、とノイズにまみれた放送が、あたりに流れた。
『……聞こえますか……聞こえますか……このシナリオはエイプリルフールシナリオです……皆様のキャラ崩壊もありえますのでご注意ください……ご注意ください……』
 きーんこーんかーんこーん。


 どこかで聞いたメロディが、学園のあちらこちらから流れてくる。
 というのも、生徒総数六万を超えると言われているこの学園、ひとつところに生徒を収容するには野球場並みの場所が必要である。
 しかし、そんな施設は残念ながら――いや、当然ながら、かも知れないが――ない。
 というわけで、卒業式も会場が約二十箇所に分かれ、在校生も式場に出席できるのは希望者優先――という、なんともおかしな話になっていたのだった。
 そんな中でも、いつもと同じような人も多いし、やはり特別な日ということで涙を流している生徒も多い。
 卒業証書の授与は、各会場に派遣された学園長の影武者(!)が行っている。ちなみに学園長本人はというと、
「こうやって今日の日が迎えられるのは有り難いことだねえ」
 などと嘯きながら、のんびり自室で昆布茶をすすっていたのであった。

 ま、卒業式だなんて行事、在校生にはあまり関わりのないこと――と捉えているのかもしれない。
 そのうえまた一年がループするのだから、あまり関係のない話なのだ……気づいている人は決して多くはないが。


「……ふむ、こんなところかな」
 そう言って、年齢不詳の購買のヌシことからす(ia6525)は頷いた。
 彼女はこの学園でも極めて珍しい、『ループの鎖』を抜け出た存在。ループの存在に気づいた人でも、それを脱却することに成功したというのは極めて稀だ。
 時間が歪んでいるのは当然知っている。しかし、彼女の時間は進んでいる――誰にも支配など、受けたりしない。
 それがこの世界の絶対的な存在であろうとも。
 購買では一足早く、新規入学者のためのセールをしていた。と言っても一年に二度の入学式と卒業式のあるこの学園、完全エスカレーター式ということもあって新規学生というのはいないわけではないが多いわけでもない。。
「ま、こんな話――学園長には口止めされているわけでないしな」
 無論この学園の時間のあり方についてのことである。
 元はからす自身もこの学園の生徒だった。『道』を見つけたことでその歪みから脱却した彼女は、しかし卒業後もこの学園で生活をしている。
「そう考えると面白いものだね」
 からすは一人、ふっと笑った。
 そこへやって来たのは、同じくループの存在に気づいている无(ib1198)である。大学院で学びつつ、図書館司書や科学教師の補助も行っている彼は、実際に自分が体感したことで気づいているクチだが――
「今年もこの季節になっていますね……まったく、気づいてから何回目だったかな」
 トレードマークともいうべき相棒の尾無狐を連れて、同胞に声をかけた。
 もちろんこの場合の同胞というのは、ループの存在に気づいているか否か――ということである。
 无の場合、過去の文献や論文をあさり、更に詳しく現象について調べたいということもあって図書館司書の席に付いているとも言えるのだが。
(それにしても正直面倒な話ですね)
 そうは思うが口には出せない。そもそもこの状態について、口に出して良いものかはばかられるというのもある。ただ、似たような状況を知っているからすは、无にとってはやはり同類という認識になるのだった。
「おや、司書殿もいらしたか。なにしろこの現象は気づいていないもののほうが多いだろうから、生徒に言うのは憚られてな」
「……そうですねぇ。あの感覚は、実体験をして、かつあの現象を理解した人でないと、忘れてしまうといいますし」
 二人はそんなことを言い合いながら、どこぞのホームセンターばりに広い購買を眺める。
「いつ見ても広いですね……」
「まあ、このくらいの規模がないといろいろな意味で困るからな」
 なにしろ小さな街ひとつ分くらいの生徒数を抱えた学園である。学園の外にはもちろん学園都市としての機能が十二分にあるが、この学園から一歩も外へ出ずに一年を過ごすことも可能なくらいなのである。そんな生徒は自宅警備員ならぬ学園警備員という感じで、案外そこいらをウロウロしていたりして、それを見るのもなかなかに面白い。

「そういえば卒業式は、一応これでも職員を兼ねているし出席しないとまずいよね」
 无は小さくため息をつく。正直、面倒極まりない話だが、卒業をする生徒に祝いの言葉を贈るのは教職員の勤めの一つといえるだろう。
(……どっちにしてもまた戻ってくるんだけどね、みんな)
 しかしそんなことはさすがに口に出せない。からすは
「センセイも辛いのだね。まあ、行ってくるがいいさ」
 そう言って笑うと、また購買のチェックを再開したのだった。


(卒業式の先生の言葉は……やはり自分の言葉でじゃないとな)
 そう思いながらカンニングペーパーを握りつぶしたのは、現代国語担当の黒曜 焔(ib9754)。
 卒業式もほぼ滞り無く終わったあとで、彼は教壇に立ち、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「君たちはこの自由な学園生活の中で、自分で考え、自分で学び、そして己の道を切り開く――そんな生きていくための確かな力をおのおのが身につけたはずだ」
 生徒たちはわずかに目に涙をためている。焔の胸にもこみ上げてくるものがあったが、そこは大人として、グッと堪えた。
「……明日からの新たな道は、ひとり一人のために輝いているのだ。どうかこのことを忘れないように……これが先生からの最後の言葉です。みんな、卒業……おめでとう!」
 すると、生徒たちはとうとう泣き出してしまった。
 何かと自分の好きなキャラクターものの話題で盛り上がれる、生徒の目線に近い教師ということで、変わり者ではあるが生徒からの信頼はそれなりにあったのである。
「先生!」
「なんで最後イケボで言うんだよー! 泣いちゃったじゃないか!」
 よくわからないそんな感想をもらいつつ、焔はやはり生徒の成長を嬉しく思う。
(……これで、あとは卒業式の後のパーティの支度もしないと)
 パーティ、謝恩会、園遊会。
 いろんな言い方があるが、つまりは卒業記念のちょっとしたイベントである。
(よし、そっちは盛り上げるぞ……!)
 生徒をなだめながら、焔はいつも「東京もふランド研究会」という自分が顧問をしている部活の部室においてあるとあるものに思いを馳せていた。

 一方、こちらはまだ興奮冷めやらぬ講堂の一つ。
(あー、こういうかたっ苦しい服はやっぱ苦手だわー)
 小麦色の肌に金の髪。養護教諭のジャミール・ライル(ic0451)は、式典の終わりと同時に襟元をくつろがせる。元々こういった式典に参加するよりも保健室のベッドで寝ている方が気楽という彼である、今日も生徒たちに強く頼まれての参加であった。とはいえすでに疲労はピークに達し、白目になりかけているが。
(……とはいえ、ま、校長(?)の長話でぶっ倒れる生徒が出なかったし、俺も倒れなかったし、そういう意味では何とかなったけどねー)
 しかし式典が終わっても生徒や保護者のざわめきは終わらない。涙もろい生徒たちはボロボロと涙をこぼしているし、そんな我が子の晴れ舞台のためにとカメラを構えている父兄も数多い。
「ジャミール先生、会えなくなるの寂しいですー!」
「私もー!」
 涙混じりにそう言ってくる女子生徒たちも多い。慕われているといえばそうなのだろう。学園の非公式ネットには、女子に人気のある教師ベスト5に入っていたとか何とかいう噂もある。女子のあしらい方が上手いのもその一つの要因だろう。
「はいはい泣かない。卒業おめでと、もっとイイ女になったらまた俺のところに来るんだよ?」
 涙目の生徒たちにはそんな軽口を叩いてみせる。
 そうやって生徒が笑顔になれば万々歳。じっさいその言葉を聞いた生徒たちは、
「ジャミール先生ったら、そんなふうに言って」
 と、いつもと変わらぬ態度の養護教諭につい笑顔を向けてしまうのだった。


 とはいえ、そんな行事とは無縁の生徒も少なくはない。
 蠱毒(ic0479)という、緑の髪が印象的な少女は式典をエスケープして屋上でごろりと横になっていた。
(卒業式……ともなると、皆がみな、笑うとか泣くとか、訳の分からない行動ばかりとるから……どうも、居心地が良くないな)
 彼女は生育環境のせいだろうか、『感情』というものに対しての認識が薄い。感情そのものが薄いというのもそうだが、他人がそういう感情を起こすのもいまいちわかりかねてしまうのだ。
 蠱毒の横には相棒の袴渡ものんびりとくつろいでいる。表情の読みにくい龍が相棒でよかったと、なんとなく思っている彼女であった。
「風が気持ち良いな……でも、なぜ皆泣くのだ? そして泣いている奴がいるというのに笑う奴もいるというのはどういうことだ? 正反対の行動のはずじゃないか」
 ぼそっとつぶやいた蠱毒を見つけたのは――風牙(iz0319)だった。
「何やってんだ、こんなとこで」
 何しろマンモス学園、面識のある人間のほうが少ないという中で現れた人物に、蠱毒は少し面食らう。
「……人は来ないと思っていたが」
 すると風牙はくすりと笑った。
「ま、何にしろ卒業式なんてめんどくさいと思ってるのはあんただけじゃないってことさ」
 一応制服らしいが、名残が殆ど無いくらいに改造されたそれは傾奇者、という表現がしっくりくる。
「あなたは、泣いたり笑ったりするのをどう思う?」
 蠱毒はふと問いかけてみた。
「は?」
 不思議そうな顔をする、風牙。
「私がもっとも不可解なことは、私以外の全てのいきものが、笑ったり、泣いたり、怖がったりすることだ。とくに泣きながら笑うという行動は、今のところもっとも理解できない」
 蠱毒はポツポツと言葉を紡いでいく。風牙は腕組みをして、ふむと頷いた。
「お前さ、さっき風が気持ちいいと言っていただろう」
 問われ、蠱毒は頷く。
「それはお前がわからないって言ってる『こころの動き』の一つだと思う。笑ったり泣いたりするのも、心が動かされるからだ」
「こころ……」
 蠱毒はオウム返しにする。そして、こんなことを言った。
「……私はわからない。わからないのに、あの中に入りたい、理解したいと思っている自分がいる。……私は可笑しくなってしまったのだろうか?」
 風牙は「いいや」とこたえた。
「そう悩むのも、心があるからさ。結局、人間は心の動きでいろんな気持ちを伝えたいんだろうよ。それが顔に出るのが、笑ったり泣いたりってことじゃないかって思うけどな」
「そうか……」
 しばしの静寂。
「まあ、百聞は一見にしかずだろ。行ってくるといいぜ?」
 言われて一瞬ぽかんとした後、蠱毒は小さく頷いた。
 そう、きっと――わかる日は、くる。

 一方その風牙の妹である来風(iz0284)は、いつもの様に文芸部の部室にいた。卒業生に贈るための会誌の記念号の最後の編集に追われていたのである。
 と、こんこん、と可愛らしいノックの音がした。ドアを開けてみてみれば、何かと世話を焼いてくれるしっかり者の妹のような存在である礼野 真夢紀(ia1144)が、手土産に手作りの和菓子を持ち込んで笑っている。
「来風さんのことですからこちらかと思って」
「ああ、うん。もし良かったらここでお茶していくといいですよ」
 来風は真夢紀を招き入れると、ティーバッグの緑茶を振る舞った。
「それにしても、卒業式って感じがあんまりしないんですよね」
 桜餅や三色団子、季節の和菓子を頬張りながら真夢紀が言う。
「そうですよねー。周りが知りあいばっかなわけだし」
 彼女が所属しているのは、同じ島出身で集まった剣術部。最高年齢でも大学一年――いや、高校三年。何でも一度くらいは先日入籍したばかりの妻と同じ学年になりたいという理由で浪人することにしたという突っ込みどころの多い人物らしい。
「たしか同じ学年になるには、あと三回くらい浪人する必要があるんじゃなかったかな」
 それはそれで罪深い話である。
「それに、卒業生もよく学園に足を運んでいるし、大学は十年生まであるとかなんともまことしやかな噂もありますよね」
「ああ、うん。うちのお兄ちゃんも勉強苦手で、もう二流してるのよねー。このまんま同じ学年になってしまうのも……ねえ?」
 来風が言えば、真夢紀もクスクス笑う。
 結局、どちらも実感が薄いのだ。
「進級試験は秋ですしねー……春はどちらかと言うと、お花見かな」
「ああ、それなら、いい桜並木が向こうにあるんですよね。今度みんなで行きましょうか?」
「わあ、すてき!」
 二人はニコニコしながら、そんな話をのんびりとしていた。


「さて――……」
 焔は準備万端だった。つまり、自作のもふらきぐるみ姿なのである。
「卒業旅行はもふランド、ディナーも貸し切りで予約済みだ!」
 太っ腹すぎる気がするが、全国でも有数のネt……もとい学園の行うことだから、まあありなのだろう。
 最後は盛り上がるのが一興、というわけだ。
 ちなみに新入生歓迎旅行ももふランドで決定しているらしい。もふらに掛ける焔の情熱、恐るべし。
「あの先生は毎年ああですねえ」
 无が言えば、からすも思わず苦笑を禁じ得ない。
 楽しいことが好きな生徒の多い学園だから、こういう教師は案外好かれるものなのだ。


 そんな賑やかな卒業式の風景の中で――

「少ししんみりするけど、まあ4月からも学園にいるのは変わらないんだよな……」
 弓道場で呼吸を整えているのは三郷 幸久(ic1442)、高等部の卒業生だ。
「あ、あと風牙先輩にも挨拶に行くか。次は同じ学年だしな」
 そんなことを考えていても、ふわりと脳裏によぎるのは一人の女子生徒のこと。
 転校してきたばかりだった彼女を見て、何かと世話を焼き始めたのはちょうど一年ほど前だろうか。
 ――葛 香里(ic1461)。
 それがその少女の名前。転校前の学校のものだろう、セーラー服がよく似合っている少女だった。
(会えなくなるわけじゃない)
 だけど、それでも。
(何か伝えるとしたら――この機会を逃してはいけない)
 古風な呼び出し方。ここにくる前、すれ違いざまに来てくれないかとお願いしたのだ。
 果たして彼女は来ているだろうか。
 幸久は胸を高鳴らせながら、空き教室へ向かった。

(一年というのは早いものですね)
 気がつけばあっという間に卒業の季節。香里は桜色にけぶる並木道をそっと窓から見やる。
(皆様ほんとうに親切で……嬉しい思い出と、これからの新生活の不安とで、胸が潰れそう)
 今身につけている古風なセーラー服も、今日でお別れ。
「……そういえば、呼ばれてたんじゃないの?」
 クラスメイトに指摘されて、はっと我に返る。
 友達の笑顔を不思議に思いながらも、呼ばれた空き教室に向かう香里だった。

「……三郷様」
 香里が目的地に行くと、すでに幸久はそこで待っていた。彼は窓の外を見ながら、じいっとしている。
「遅れて申し訳ありません。どのような御用でしょうか」
 恋愛に疎い彼女は、そう真直ぐ訪ねてくる。
「ごめん、呼び出して。……ええと、その。ずっと……気になっていたんだ」
「え……?」
 思いがけない幸久の言葉。そういった話に免疫のない香里は意味がわからなくて、思わず聞き返してしまう。
「俺は、君のこと、気になっていたんだ。ずっと」
 恋愛対象として――とは口にしない。
 ただ、手に持っていた卒業記念の花を差し出し、そして言う。
「大学に行っても、君のことを知りたいんだ……君のそばで」
 言われて戸惑うのは香里である。目をまん丸く開き、そしてまばたきを何度か繰り返す。
 言われてみれば、たしかにそれらしい素振りはあった。
 はじめの頃は遠い存在と思っていたのに、気づけばよく目が合うようになっていたような気がする。
「……ええと、あの」
 香里はゆっくりと言葉を選び、そして言う。
「お友達からでよろしければ……大学はまだ不安でしたので、少しずつ、ですけれど……よろしく、お願いします」
 香里は、自分の胸に付けられていたコサージュを、そっと幸久に渡した。
(不思議な方……笑顔が、不安を打ち消してくれそうな、そんな方)
 だからこそ、思わず頷いてしまったわけで。
 そうなると今度目を見開くのは、幸久の方だ。
「本当に、いいのか? なら……よろしくな」
 そっとお互いの花を交換し、そして頷き合う。
「――青春だねえ。まあ、この学園は同じ一年を何度も繰り返しているわけなんだが」
 そこをたまたま見かけた通りすがりのからすがチラリと笑んで、そして何事もなかったかのように去っていく。
「勝手に覗いてるの誰だ……って、え」
 言われた言葉の意味に気づいたのだろう。幸久は頭を抱える。
「ちょっと待て、もう一度この学年? じゃ、じゃあ、ここでお互いを知ろう? なっ?」
 そんな慌てている様子の幸久が妙に可愛らしくて。――香里は思わず笑顔になりながら、頷いた。
「ええ。喜んで」


 卒業という別れ。
 しかしねじれた空間では、出会いと別れは紙一重。
 そして――また一年が、始まる。