萌き屋奇憚+
マスター名:有天
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/09/19 00:06



■オープニング本文

 ──どこにでもある昼下がり。
 開拓者ギルドに程近い、兄姉妹弟の美人4兄弟が切り盛りする小さな茶屋「萌き屋(もえきや)」。
 お昼時をちょっと過ぎ、お客様が一段落ついた時間である。

「お先に休憩入りま〜すっ」
 フロアを担当する紅葉(長女)と双葉(末っ子)が前掛けを外して店の奥で調理する青葉(長男)と会計をする若葉(次女)に声を掛ける。

 小さい店だがギルドが24時間いつでもアヤカシやトラブルを受け付けるのに併せるように店も朝から夜までぶっ通しの営業である。
(青葉曰く、育ち盛りの子供もいれば、毎日ではないが寺子屋に通わせる為に1文でも多く稼ぎたい。と言うのが本音らしい)
 食事や買出しは交代で行われる。

 賄いを食べ終わった双葉に声を掛け、買い物リストと財布を渡す青葉。
 リストには、午前中に足りなくなった食材の買い足しと店と家族の雑貨類書いてある。
「結構あるんだ‥‥じゃなかった。ありますね」
 青葉に(言葉遣いが悪いと)ジロリと睨まれあわてて訂正する双葉。
 だが、リストの一番下に「新しい外套」という文字を見つけて顔を上げる。
「急に寒くなってきましたからね。普段頑張っている双葉君へのご褒美です」

 双葉の外套は姉達のお古で、切れた場所は判らないように姉達がしてくれる刺繍やアップリケが着いているが、大人びたいお年頃の若葉にはそれがちょっと恥ずかしかった。
 たまに青葉が買ってきてくれる服も店で着る事を考えてかキラキラふわふわが着いていたり、女の子の服が混じっていたりするが、家長の言いつけなので我慢をしていたが、今日は自分の好きなものを買っていいと言う。
 青葉の言葉に顔を耀かせた双葉だが、子供っぽいことをしたと慌ててそっぽを向いて言う。
「本当に好きなものを買っていいんですね?」
「ええ‥でも、早く帰ってくるんですよ」
 普段はフロアを手伝わない青葉目当てのマダムが、理由をつけては青葉を呼んで来い。と言う声が店の裏にまで届いていた。


■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163
20歳・男・サ
井伊 貴政(ia0213
22歳・男・サ
蓮見 椿(ia0512
32歳・女・陰
ロウザ(ia1065
16歳・女・サ
煉夜(ia1130
10歳・男・巫
幻斗(ia3320
16歳・男・志
柏木 くるみ(ia3836
14歳・女・陰
朧月夜(ia5094
18歳・女・サ


■リプレイ本文


「‥‥これはかなり強敵ですね」
 買い物リストの量を見た三笠 三四郎(ia0163)が思わず言う。
「皆が手伝ってくれるって判った途端、青葉が量を増やしたからね」
「それにしても‥普段、どうされているんです?」と煉夜(ia1130)が問う。
 事前に判っている時は、配達を。
 今日のような突発は、荷車を引いていくのだと双葉が答える。

「お二人で押せるんですか、荷車?」
 幻斗(ia3320)が素朴な疑問を投げかける。
「それは〜もふちゃんとか、おにいさんとかが押してくれるんだよ」
「お兄さん?」
「もみじは、みんながこれなかったら『おにいさん』にたのむつもりだったんだけど、ふたばちゃんは『おにいさん』にたのむのは『だめ』っていうの」
「ったり前だ。あんなスケベ野郎共は却下だ!」
 どうやら『お兄さん』というのは、紅葉の体目当てに寄ってくる男達らしい。
「それは、双葉が正しいな」
 この町に寄る際は必ず萌き屋に立ち寄る事にしている朧月夜(ia5094)が、きっぱりと言う。
 天然娘の頭の中には『危機管理』という文字は存在しないようである。
「人を疑わない。それが紅葉さんのいいところなのでしょうが、ね」と言うのは井伊 貴政(ia0213)である。
 貴政とて聖人君子という訳でもなく。
 綺麗な女の子を見れば声をかけたくなったりする方であるが、女の子を困らせるのは趣味ではない。
「とりあえず、僕は紅葉さん専属で」
「もみじのせんぞく?」
 迷子になるでしょう? と言われて、時々しかならない。とぷぅと頬を膨らませる紅葉を見て微笑む貴政。
「でも手を繋ぐのは嫌いじゃないでしょう?」
「うん、すき♪」
 嬉しそうに貴政の手を握り、ブンブンと振り回す紅葉であった。

「ところで実際、買い物はどうします?」と煉夜が皆に問う。
「双葉様がゆっくり外套選びが出来る様に、お買い物リストのお買い物を手分けして代わりに行ったりもいいですね」
 そう言い乍らも買い物する上で買ってはいけない商品や商品を見る時の注意等。
 仕入れの目利きには少々自信が無い。
「お店を選ぶ注意する点って何かありますか?」
 乾物は店毎に得意分野があって仕入先はいつも決まっており、
 生鮮食品は日毎違うので何件か回り、その中からその日品が良く一番安い店で買うのだ。と言う。
「立派な『主夫』になれますね」と柏木 くるみ(ia3836)に言われた双葉が苦笑いをする
「とりあえず買い落しが無い様にするのが一番ですね‥また買いに行くのは大変ですからね」
 買い物リストの写しメモを貰った三四郎は、落ち合う場所を確認すると商人らしい服に着替える為に一足先に萌き屋を出た。
「では、後を見守りますか‥」

 ──ちょうど店から出た所で食事に来た蓮見 椿(ia0512)と出くわす。
「あら、皆でお買い物? 一緒に行っても、良いかしら?」
「いいのかよ、飯?」
 何時間も掛からぬ事なので、店に戻って来た後でゆっくり食べるからいい。と言う。
「だってねぇ‥‥今日は面白い事がありそうな予感がするのよ」
 それに仕入れで大量に買うのであれば、ついでに自分の分も惜しみなく値切ってみるのも一興だと。
「これってお買い物の楽しみよね♪」
 うふふ。と笑う椿。

 ガラガラと押されていく荷車の前に──
「ふたば! もみじ! さんぽか? ろうざも いく!」
 ヒラリと飛び降りたのは、ロウザ(ia1065)である。
「ったく‥どこから来んだよ」
「ろうざ やねで ひるね。 ふたり みえた。 だから おりた」 
 第一印象で食われる。と思ったのがいけなかったのか、以来、この元気娘が少々苦手な双葉。
「ああ、そうかい。俺達は散歩じゃない、買い物だ。それに今日は買出しのほかにも‥(てれっと少々顔を赤くし)皆に俺の外套を選ぶのを手伝ってもらったりな。‥結構、忙しいんだよ」
 その為か、ついついツンツンしてしまう。
「さんぽ ちがう! かいもの! ろうざ わかった!」
「そんな訳で。じゃあ、な。また、店に来てくれよ」
「ふたばのがいとー ろうざ さがすの てつだう!」
「何っ?! ちょっと待て。どうしてそうなるっ!」
 思いがけないロウザの言葉に驚く双葉。
「まあ、まあ。皆で行けば楽しくお買い物できますよ♪」
「人手は一杯いたほうが楽ですよ?」
「ろうざ いっしょうけんめい さがす!」
「──‥‥店の人に迷惑になら無い様に気をつけるんだぞ」
「さくっと買い物は片付けてしまって‥後でお茶をしましょうね」
「おやつ、おやつ〜♪」
 幻斗の言葉にくるみやロウザ、紅葉が嬉しそうに笑った。



 この辺りは普段買い物に来ない。と椿が辺りを見回し、
「ふふっ‥こういう所に来ると値切りたくなるのよね」
 安く買いたいというよりも店のものとのやり取りやギリギリの交渉が好きなのだと笑う。
 皆で値段のリサーチが済んだ所で一番安い店に突撃である。

「そのうしろ あやしい! なにか かくしている!」
 店の『とっておき』を獣を狩るような鋭い視線と野生のカンで探し出すロウザ。
「おじさん。これだけ買うんだから、もちろん安くしてくれるわよね?」
 これでどうだ? と親父がそろばんを弾く。
「もう一声!」
 ぽんぽんと威勢の良いやり取りが続き、おまけで魚の冊が1つついてきた。
「もう1つつけてよ」
 うーん、と唸る親父。
「紅葉ちゃんもお願いしてみたら如何かしら?」
「もみじもするっ」
 きゅるるっ。と上目遣いに親父の見上げ、じーっと親父を見つめる。
 ぽっ。と親父の頬が赤くなった瞬間、
「おまけ、おねがいします」
 ぺこりと親父にお辞儀をする。
(「か、かわいい‥‥っ♪」)
 親父の負けた瞬間である──。
 親父に飛びつき礼を言うロウザ。
「やた! ありがと!」

「しかし、凄技ですねぇ‥」
「あおばちゃんからおそわったの♪」
「今度は双葉ちゃんも、やってみない?」
「俺は、恥ずかしいからやらない」
「ふたばちゃんは、ひっさつアイテムなの。なみだめでおねがいされると『むねキュン』なの」
「それは‥物凄いわね。一度見せて欲しいわ」
 思わずドキドキしてしまう椿であった。

 一方──、
「ろうざ かいものじょうず! さ! ほめる いい!」
 えっへんと胸を張って双葉の前に来るロウザ。
 大きな溜息を吐くと、ロウザにしゃがめ。と言う双葉。
 顔を赤くし、ロウザの頭を撫でる。
「‥えらい、ぞ」
 尽かさず幻斗の突込みが入る。
「それって‥女の子にする褒め方じゃないですよ」
「うるせーっ! 知るかそんなの!」
 微妙なお年頃なのであった。



 ──残るは、双葉の外套である。
「どんな外套がいいですかね?」
 買うものは決めてあるのか? とくるみが尋ねる。
「全然。いきなりだったし、イメージが湧かなくてさ」
「そうですね。これから寒くなりますからデザイン重視よりも機能重視がいいと思いますよ?」
 裏生地がしっかりしていたり、動きやすいようにスリットが入っていたり──シンプルだけど格好良いものが良いだろう。と言う。
 大人数で入るのは店の邪魔だろう。とくるみをつれて店に入る双葉。
「がいとー、がいとー♪」
「ふたば がいとー うれしいな!」
 一緒についてきたロウザと双葉はハイテンションである。
「かったら きて みせる! ろうざ たのしみ!」
「はいはい。他の人の邪魔になるから店内では『お静か』にな」

 ──その頃、荷車の番をしていたメンバーは漏れが無いかチェックをしていた。
「青葉様に叱られない様にしませんとね」
「そうですね。品数が品数です。急ぎましょう」
「魚の開きが‥1、2、3‥‥‥こっちはOKよ」
 匂いに釣られたわけでは無いだろうが、どこからか猫がトコトコとやって来てこともあろうか、幻斗の足に懐っこく擦りついてきた。
「ね、猫♪‥でも今は‥我慢、します‥」
 こいつは猫好きだと判断したのか「撫でろや」とばかりに、ごろ〜んと転がってお腹を見せる。
「あううぅ‥拷問ですっ」
 エクトプラズムが出そうな勢いで大きな溜息を吐いた。

 くるみがあれやとチョイスした外套を鏡の前で当てて見る双葉。
「ふたば かっこいい! つぎ こっち きる!」
「双葉君のほうがお兄さんみたいですね」
「そうか?」
 あいつらが子供っぽすぎるだけだと思うけどと言う双葉に、
「そうじゃなくって‥あたしより背も高いし、しっかりしているから双葉君のほうがお兄さんみたいですね」
 そうくるみ言われて照れる双葉。
「大丈夫だ、くるみもまだ背も伸びると思うぞっ!」

「つぎは、こっち〜♪」
 くるみが選んだ服を棚に戻す紅葉が店内をスキップしている。
 スキップをする度に揺れる紅葉の胸をじーっと見ていたぽつりとくるみが言う。
「あたしも大きくなったら紅葉さんみたいなスタイルになりたいです‥‥」
「おんなのこは、ラブりんをすればみんな、大きくなるの♪」
「らぶりん うまいのか?」
「ラブりんはたべられないよー。どっちかというとワクワクするの」
「わくわく どうぶつか? もみじ どーぶつ すき?」
「もみじは、どうぶつすきだよ」
「ろうざも すき!」
 狼は利巧で、鹿は綺麗で美味いとか。
 鳴声や動作を真似て見せたりするロウザの話を楽しそうに聞いている。
「どうだ? もみじ おもしろいか?」
 コクコクと頷く紅葉、もっと見せて欲しいとおねだりする。
「だ・か・ら、店の中でするんじゃない!」
「わはは! ふたば おこった!」

 ──ドン!
 周りを良く見ていなかった双葉が店外に出た途端、道を歩く男達の1人と肩に当たった。
「何しやがるんでぇ!」
 ヤクザ者である──。

「おにいさん、ごめんなさい」
 ぺこりと頭を下げる紅葉の胸に男達の目が吸い付くいたと思うとすぐに、周りにいた男の仲間と顔を見合わせる。
「おけがは、ないですか?」
 ぶつかられた男が、アイタタ。と肩を抑えて蹲る。
「だいじょうぶですか?」
 駆け寄る紅葉を取り囲む男達。
「肩が外れたみてぇだ!」
「慰謝料払ってくれるんだろうな!」
 困ってしまった紅葉の頭に犬の耳があったならば、きゅ〜ぅと下がってしまっている所である。
 慌てて店を飛びだしてきた双葉が紅葉を背に庇い、頭を下げる。
「申し訳ありません。姉がとんだ失礼をしました」
「あんたの姉さんかい。本当にとんだ事をしてくれたぜ」
 止めに入ってきた双葉も美少女と見間違えるほどの美少年である。
「難癖をつけるのは止めてください」
「何だと、こら?!」
 いい暇つぶしが出来た。とますます絡んでくる。
 男は、紅葉を掴もうと手を伸ばした──

「やっぱり、困ってる紅葉ちゃんて、可愛いわ」
 悦に入っていた椿だが、ポツリと、
「貴政さん一人でも大丈夫だと思うけど」と言う。
「‥今回は出番はないでしょうね」
「井伊様、ここは格好いいところを見せてくださいませ♪」
「わははっ! がんばれ!」
「逃がさない程度のお手伝いは、します」
 全員の目が、貴政に注がれる。
 紅葉さんの前では荒事は避けたいですけど。と言い乍らも貴政も満更ではない様である。
「あ。僕の助けるのは紅葉さんで、双葉さんの方はよろしくお願いしますね♪」
 何っ?! と顔を見合わせる一同。
「‥しょうがないですね」
「これは後でたっぷり双葉ちゃんにお礼を言って貰わないと割が合わないわね」

 ──男の手が、横から伸びてきた貴政に掴まれる。
「はい。そこまで。──この手をどうするつもりだったんですか?」
 掴まれた男の手首がミシミシと嫌な音を立てる。
 返答次第では、このまま手首を折って差し上げます。と微笑んだままの貴政が言う。
「てめぇら‥」
「えっと、ここで命を散らしますか?」
「開拓者8人相手に喧嘩はムダよ」
「チッ──覚えていろよっ!」
「捨て台詞もベタですね」
「ここまでお約束ですと期待してしまいます」
 まるで恋愛小説のようですね。と目をキラキラとさせてしまうくるみ。

「紅葉さん、大丈夫でしたか?」
 貴政に声をかけられ、へにょっと顔を歪ませポロポロと涙を流す紅葉。
 緊張の糸が切れたらしい。
「あうぅ〜っ‥こわかった、です」
 涙だけではなく鼻がぐずぐずとしてきた紅葉は、手近にあった布でチーンと鼻を噛む。

 何って、あなた。

「俺の、外套ぅううーーーーーっ!」
 がっくりとする双葉。
 一部始終を見なかったことにするくるみ。
 そんなことはお構いなく、
「はな、あかくなっちゃった」
 えへっ、と笑う紅葉に、
「鼻を噛むならちり紙かハンカチにしないといけませんね」
 バカップルの誕生(?)の瞬間であった──。


「──ちっくしょう、あいつら‥」
「開拓者だからってデカい顔しやがって」
 双葉達に絡んできた男達である。
 男達の一人が、紅葉の顔を思い出す。
「たしか‥あの女。開拓者ギルド近くの『萌き屋』って所の女だぜ?」
「なるほど、だから開拓者か」
「クソ、一泡吹かせないと納まらねぇぜ‥」
「──おまえら『萌き屋』に何をするつもりだ?」
 暗い路地に静かな低い女の声が響く。
 朧月夜である──。
「萌き屋にこれ以上迷惑をかけてみろ。次はおまえらの組ごと潰すぞ。もちろん、萌き屋に不利益を被る噂が流れても同じだ」
 小柄の朧月夜が男達の胸倉を掴み、ギリギリと締め上げる。
「これに懲りたら早々に手を引け‥‥否なら‥馬鹿者でもどうなるか、判るな」
 コクコクと頷くしかない男達であった。

 ゴロゴロと荷車を引いている一行にいつの間にか朧月夜が合流している。
「首尾は?」
「上々──あれで悪行をするなら俺は出るところに出てもいいと思うな」
「どこにいっていたの?」
 心配したという紅葉の頭を撫でる朧月夜。
「ん‥隠所だ」
 トイレといわれて泣きそうな顔をする紅葉。
「ウソだ、ウソ。何でもかんでも信じるとその内、酷い目にあうぞ」
 そう忠告する朧月夜だった。



 準備中の札が掛かる萌き屋。
 仕入れた物を待っていた青葉と若葉に引き渡す。
「今日はいろいろ楽しかったわ。良いものも見れたし」
 うふふっ──となにやら思いついた椿。
 用事を思い出した。と萌き屋の前で一同と別れてどこかに行く。

「皆さんご苦労様でした」と幻斗が手菓子を配り、若葉が茶を配る。
「何か、ほんわかあったかな一日でしたね♪」
「ですねー♪」
 また、人手が必要なったら声をかけて欲しいと約束し、一同が解散する。
「さて、さっきの猫さんと遊んできますか♪」
 鰹節を握り締め猛ダッシュをする幻斗であった。


 ──そして、
「さっきは皆さんがいたので怒りませんでしたが──双葉君、喧嘩をしたそうですね?」
 漫画調に言うならば、オドロ蛇縄と稲妻スパーク。「ゴゴゴォ」という書き文字が似合うバックを背負った青葉と双葉。
「えっと‥お腹が空きすぎて怒っている?」
「誤魔化しても駄目です」
「そこの所、詳しく教えていただきましょうか?」

 ぎゃーっ!

「うん、美味しい♪」
 双葉の悲鳴をBGMに先程手に入れた冊(刺身)に舌鼓を打つ紅葉だった──。