きりさきま?
マスター名:月宵
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや易
参加人数: 4人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2014/12/12 23:47



■オープニング本文

「いやはや、もう一昨年になるのかね? 私の屋敷内で同志の皆さんが飲み会をしていて、突然大量の白い蕪の精霊が降ってきて―――」
「もー、JIKAN無いから、やめてくれ! CHIKOKUするー!」
 出掛ける寸前だと言うのに、いきなり長話モードの老年。これを制すのは精霊・ジャックオランタン(カブ)名前はラディ。対話している老年(iz0273)が、鴨弥忠禅である。
 ラディは、忠禅の屋敷にてお世話になっていたが、とある事件により、濡れ衣を着せられた。
 彼は今、その無実を証明せんと、とある町に向かう所である。
「開拓者の皆様は、町に集合させておいたよ」
 忠禅は、ラディと共に事件を解決するよう、ギルドに依頼をしていたのだ。
「ありがとな、おやっさん。じゃ、いってきまーす!!」

●大袈裟なじ、事件?
 この町は、神楽の都にそれなりに近い場所にあり、地方から出てきたヒトが多いらしい。
「別名『おのぼりさんの町』、なんて言われてるらしいなー」
 忠禅から渡されたメモをラディは読みながら進む。その周囲をくり貫かれた穴と言う目から、あるかどうか微妙な首を小まめに動かしながら確認した。
 都からの流行りを取り入れようとでもしたのか、太もも丸見えの裾の短い和服を着た女性。腕捲りをし、その上から袖を通さず羽織を肩掛けにした男性らが、所狭しと駆けていく。もうすぐ冬だと言うのに、寒くないワケがない。

 閑話休題。
 その後ラディ達は、忠禅のメモ通りに、とある家へ向かった。そこはラディに濡れ衣を着せ、襲い掛かってきた少女の家である。
 ラディは、少女にこう告げられたのだ。『切り裂き魔』だとか、『ねえ様の仇』だとか。どうやら少女の姉が事件に遭遇したらしい。
 そして、ラディ達は今その少女、禰入藍羅(ねいり あいら)の家へと訪れている……のだが。

「ねえざまぁ、ごべんなざい゛〜!!」
「あぁ、ごめんなさぁい。よりによって、鴨屋さんの先代様の所に行っていたなんて」
 藍羅は土蔵に閉じ込められて大泣きしていた。その姉もラディらに謝罪する。穏やかな性格が相まってか、非常にゆったりした喋り方だ。
 仔細を聞けば、彼女は忠禅の事も知っていて、更に自分の相棒を勝手に持ち出した妹のことを叱っていたそうな。
 しかし、ラディが見る限り、姉はスゴく元気だ。
「なー、ねえちゃん。切り裂かれたんじゃねーの?」
 不躾にも程がある台詞にて、ラディが藍羅の姉に問う。
「あらぁ、藍羅が言ったのかしらぁ」
 おっとりとした二十歳過ぎの姉は、苦笑いで応えるのだ。
 切り裂き魔なんて藍羅は大袈裟なことを言うが、実際は違和感を覚える程度の痛みを感じた程度であったという。
「その時に驚いて転んで、尖った石で足を切っちゃってねぇ。それをこの子が勘違いしたの……」
「ねえ様を傷付けたのは本当じゃない!! 油断しすぎよ」
「傷付けたも何も、『何もいなかった』でしょぉ?」
「アタシは見たのよ、走り去るマントの奴を」
「けどぉ、アンタがその後に見回ったけど、何も起きなかったじゃなぁい」
「けどけど、今でも被害者は出てるのー!」

 木戸一枚挟んだ間で繰り広げられる、姉妹のひと悶着。一通り聞いたが全く参考にならず、ラディ達は警邏達の留まる小屋に足を向け、改めて話を聞くことにした。

●夜間色々
「ハックショイ!」
「……長袖あるんだから、着ろよ」
「ばかやろー。外套みたいに羽織るのが今の流行りなんだぞ」
 まだ日の高い内で見回りも無く暇なのか、雑談をする二人の警邏。彼らに話を聞いてみることにした。最初はラディに少し訝しさを覚えていたが、忠禅の名前を出せばあっさりと信用してくれる。
(おやっさん、スゲーな)
 ただの好好爺(45歳)では無かったことを、漸く実感したラディであった。

 早速、何かが変わった事が街で続いて無いか聞いてみた。
「あー……あったねー」
 と、藍羅の姉同様の弱いリアクション。どうやらこの町は余所者が多いのか、治安があまり良いとは言えないらしい。その為か、小規模な事象には構ってられないとのこと。
 それも受けたのが僅かな痛みのみで、外傷もほとんど無いので、警邏に相談してきたヒトも皆無であるそうだ。
「でもこの前、それらしい奴が捕まったろ?」
「道端で気絶してた暴漢な。けどあの後も、あの現象は続いているらしいぞ」
 それから被害者と思しき女性達は、とある事を共通して言っていたそうだ。それは『焦げ臭いニオイが現場に残っている』という。
「痛みを覚えたのは、全員が夜だという。足……ふくらはぎから太ももか、聞いてる範囲では」
「もし、気になるなら、数日、夜中見回っても構わないよ」
 こうして、ラディ達は夜間暫く見回りをすることになったのだ。

「オレ、そんなのとKANCHIGAIされたのかよー……」
 さすがに「ドンマイ! ラディ」と声をかけたくなる程に、この野菜精霊は落ち込んだ。
 それと同時に「こうなったら、絶対謎解いてやる!」と頭上の葉を揺らすのであった。今にして思えば、これが彼の怒髪天……か?


■参加者一覧
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
フランヴェル・ギーベリ(ib5897
20歳・女・サ
雁久良 霧依(ib9706
23歳・女・魔
サライ・バトゥール(ic1447
12歳・男・シ


■リプレイ本文

 今は昼時。見回りの時間には、まだ時間が有り余る。今日から三日間、夜の町を見回るのだ。
 徹夜が続くため、体調を整えることもあり、昼間に出歩けるのは今日くらいのものだろう。
 

 禰入姉妹とラディ、それからサライ(ic1447)とリィムナ・ピサレット(ib5201)は、姉が襲われたという通りへ向かっていた。
「ひぐっ、え……ぇ」
 泣きすぎてしゃくり上げる藍羅の声に、他人事じゃない危機感を覚えるリィムナ。
 良き姉役である雁久良 霧依(ib9706)にも言われたが、今日から泊まり込みだ。もちろん襁褓をおねしょの予防に仕込んでは来たが、正味自信はない。
 と、リィムナの不安を他所に、一行は目的地に着いた。
「多分、この辺りねぇ」
 姉は自信なさげに呟く。異変があった日付は覚えているものの、時計などで確認したわけではないので、詳しい時刻は把握していないらしい。
「んー。下手な鉄砲も数打てばあたる、だよね♪」
 リィムナは、呪本片手に時の蜃気楼を詠いだした。数度時間をずらしながら歌えば、空にふわりと歩く人影が映る。
「あ、アネサンだな」
 彼女は仕事帰りで、藍羅はその姉を迎えに来たらしい。
「少し、乱れてませんか?」
「うーん、調子悪いなぁ」
 最初に気付いたのは、サライであった。再現される映像や、人影がどうにもぶれて見える。それでも見えないワケではない。その内、藍羅の姉が転んで怪我し、妹が手を貸した。
「見えた?」
「何も……」
 二人の目から見ても、彼女が転んだだけだ。何も凶器らしきものは見えた気がしない。どうやら、何度も繰返して映像を確認する必要がありそうだ。
 場面は続く。映像の中の藍羅が正面を向くと、その先にはフードを被る小柄な紺色の外套姿。それを追いかける藍羅、そこで十字路を曲がった所で外套姿は消えていた。
 代わりに、割った硝子の破片を片付ける蕪型ジャックオランタンが映っている。
「あ、これオレだ。オレ」
 そして藍羅は、ラディを指さし……怒鳴って殴りかかる。その辺りの塀や壁がどうなろうとも気にもせず、拳でガリッガリ抉るのだ。攻撃をヒラリヒラリと飛んで避けるラディ。そこで映像は終わった。
「そう、私の見てないところで……へぇ」
 優しい、そんなとっても優しい声色が逆にリィムナとサライの背筋をあわ立てる。
「あ、アタシ瘴気取ってくるね!」
「リィムナさん、ずるい!」
 消費した練力を回収しにいち早くリィムナは、その場を離脱した。背後の様子は……あえて語らないでおこう。
「アぁイぃラぁ〜?」


 そんな寸劇が繰り広げられているなど露知らず。
 先程訪れた警邏の詰め所に再び寄ったのは、霧依とフランヴェル・ギーベリ(ib5897)の二人。
 訪ねたはいいが、先と変わらぬ答えに霧依はお得意のお色気で挑んだのだが……
「あら? ウフフ、ちょっと刺激が強すぎたかしら?」
 色んな所の膨らんだ体を密着させれば、警邏はそんな御経験もないのか、顔を真っ赤にして机に突っ伏すわけだ。
(なんて役得なんだ!)
「あーあー、これだから都会慣れしてないやつは」
 呆れた顔で、警邏を休憩室に引っ張っていく先輩。
「そうだ、一つ思い出した。痛みを訴えた女達なんだが」
 何度か『チクチク』という擬音を、女性達から聴いたという。
「なんだろう。刺すもの……例えば、針かな?」
「リィムナちゃん達と合流して聞いてみましょうか……じゃあね、ウブな警邏さん♪」

 こうして二人は、詰め所を後にしたのであった。その後リィムナ達と合流し、情報交換をするも、詳しい結論は出ず日は暮れて行く……

 夜になると当初の予定通り、二班に別れて町の見回りへ向かった。リィムナとフランヴェルの一班。霧依とサライの二班だ。
 ラディは、闇への誘いを使い、周囲を明るくしつつ提灯のように棒の先端ににくっついている。
「さぁ、SEIRENKEPPAKUでAIVOの元へ帰るぞー!」
「シッ、喋っちゃダメだよ」
 くるり、くるり、皆は十字路を行ったり来たりしている。しかし、行動はそれだけじゃない。注目すべきは、霧依、リィムナ、サライの服装だ。リィムナはキトンにローブ。霧依は超ミニ浴衣ドレス。そしてサライは、メイド服だ。裏話だが、女装であるのにサライは率先してメイド服に着替えたらしい。その様子に感心とほんのちょぴっとの残念さを、霧依は覚えたとか。
 さて、この三人にはある共通点がある。それは『足』だ。裾を短くしたので、生足が丸見えである。リィムナに至っては、短すぎてパンツまでチラリと見えている。
 これは勿論趣味ではない。立派な囮となるべくしてなった格好だ。フランヴェルただ一人が白いスーツの男装だが、この服装の意味は後ほど語ろう。

 見回るだけでは、暇……なんてことは無かった。

 例えば、泥棒。暗視持ちのサライが視認すれば、夜からの早駆で距離を詰め、押さえ付けてから縛り上げ。フランヴェルなら、猿叫を一つ、怯んだところを隼襲で移動し組みついた。
「な、何故にこんな場所に開拓者が!?」
 例えば、酔っ払い。リィムナは、フランヴェルに任せて泥棒を新たに追い。霧依は泥酔したその人を、赤子の様に背をさすり気遣い、水を渡してゆっくりと飲ませてあげた。
「ほら、大丈夫?家まで送りましょうか?」
「……ん、もう大事ありません。ご迷惑をかけました」

 治安が良くはないとは聞いていたが、これが毎夜だと十分な仕事量といえるだろう。

●二日目・早朝
 四人と蕪は、藍羅の姉が働いていると言う旅宿を借り、ここを拠点に寝泊まりすることにした。
(うわぁ〜! やっちゃったぁ〜!!)
 何事かに飛び起き、一人後悔の色に顔を赤く染めるのであった。

●昼
 霧依とフランヴェルは、まだ眠っているのでサライとリィムナ、それからラディで、再び時の蜃気楼で映像を確認することにした。
 昨日と変わらず、映像の映りが悪い。何となく足元を何かが通過したくらいだ。この術技、実は精霊にお願いしてその時の様子を映し出して貰う性質のものだ。それから推測するに……?
「妨害されてる?」
 予想の域は出ないが、こう何度も映りが悪いとそれを疑うしかない。
「んなこと、KANOUなのかー?」
「んー。一応、ね」
 と、リィムナが悩んでいると、サライが不意に声を出した。
「太ももを写したい……」
「「………」」
 ウサギ少年に向けられる、蕪と少女からのイタイ眼差し。自分の台詞の持つ意味にあわてふためき、サライは慌てて訂正する。
「い……いえ、僕がそういう事をしたいと言う事ではなく」
 もしかすると写真術式機を使用したのではないか、焦げ臭いのは内部の未熟な部品が焼けたものじゃないか、と説明……するも後の祭。
「サライって、結構スケベだよね」
「まー男の子だからなー、仕方ないな♪」
 どつぼにハマって狼狽えるサライをからかっている二人。

(焦げ臭いのは、何かが焼けたから……か)

●夜
 二日目の夜を迎えた。
 昨日に比べて、泥棒は減ったように思う。恐らく昨日の内に、開拓者が見回っていると言う情報が界隈に伝わったのだろう。みすみす捕まりに行く泥棒もいないというものだ。
 今日は、互いに少し距離をおいて見回りをすることにした。独りの場合に、襲われた可能性が高いからだ。
「大丈夫……布団は、濡れてない。今夜こそ!」
 リィムナの一大決心を、遠くから塀越しにフランヴェルは見張っていた。背伸びする度に引かれるローブの裾から、褐色の太ももが僅かに垣間見える。
(カワイイ!! 暇だし、少しくらい味見)

 その時だった、フランヴェルをそんな邪悪な考えから解放する様に、頭上に何かが落下する。
「おっとっ、ギャン!」
「フランさん?」
 その異変にリィムナは、急ぎ呼子笛を鳴らして全員を集合させた。三人と一匹で確認すれば、そこには頭を擦りジャガイモを手にするフランヴェルの姿があった。
「災難だったわね。今治療してあげるわ」
 霧依がレ・リカルで軽く治療をする。そして、警邏に連絡しこの日を終えた。

●三日目・早朝
 この日も早起きはリィムナだった。
(ま……またやっちゃったよぉ……誰も見てないよね?)
 そそくさと下履を脱ぐ彼女。だが、黒髪のあの人はバッチリ見ていた。

●昼
 霧依は、再び警邏の詰め所へ出向いていた。昨日のフランヴェル襲撃に、心当たりが無いか聞くためだ。
「そうだ、思い出した! 野菜と言えば、あの暴漢の時……」
「あー! 気絶した暴漢の隣にも、確かに野菜があったな」
 警邏達は、南瓜と言った違いはあるが、と言うものの互いに納得した風であった。
(どう言うことかしらね……)

 霧依を覗く三人と一匹は、昨夜の十字路にいた。時の蜃気楼で、昨日の光景を再生するためだ。
 リィムナが唱えはじめて直ぐ、サライが異変に気付いた。
「また、映りが悪いですね」
 始まった光景は、禰入姉妹と見たときと変わらず、がさつきが目立つ。だが、それでも凶器(ジャガイモ)はしっかり映っていた。
 フランヴェルがリィムナをチラ見していると、空中を浮遊しているジャガイモがフランヴェルの頭上で止まり。それが、落下したのだ。
「なんじゃこりゃ」
 ラディの率直な感想。リィムナは暫く無言で考えていたが、ねぇ、と声をかけてからこう言う。
「これ、同一人物じゃないかな?」
 リィムナの推理はこうだ。同じように乱れが広がる映像。これは同じように、誰かが妨害している為に生じているのではないか、と言うことだ。
「あり得そうだね」
 ここで霧依が合流する。そして、詰め所で聞いた情報を渡した。
「つまり、フランさんは暴漢と間違われて襲われたと?」
「あははー、それは酷いや」
 納得じゃないか、と霧依とリィムナが心の中で呟いたのはここだけの話にしておこう。
「けど、それはボクを男だと思った……ってことだよね」
 フランヴェルが男装をしていた理由。それは襲撃犯が『外見で男と判断していた』という何よりの証拠なのだ。
「けど……片や女性を襲撃、片や暴漢退治……どう言うことなんでしょう?」
「案外、好みで決めてたりして♪」
 憶測の域は、まだ出ることがない。ならばどうするか、答えは単純明快。本人を捕まえて問いただせばいいのだ。

●夜
 三日目も変わらず、見回っては酔っ払いや、泥棒を片付ける作業を続けていた。そして、それは霧依が酔っ払いを送り終え、一息ついた所で起きた。

 チクッ!

 数度と刺さる太もものわずかな痛み。待望の……などと言っては可笑しいのかも知れないが、紛れもなく襲撃犯である。指示は霧依から、直ぐに提灯片手のサライに飛ぶ。
「来たわ!」
 サライの長い耳がその声を拾えば、呼子笛を鳴らして知らせ、同時に夜を使用した。
 停止する時間は数秒。全ての角度を見終えるように首を動かす。そして同時に、今まで嗅いだことのない焦げ臭さに気付く。
 匂いの方向に眼を凝らすサライ。ぼんやりだが、空間に揺らぎが見えた。
 否、正確に言えば透明なものがそこにいるときの違和感だろう。
 そこで時は、動き出した……
「ラディさん、あそこです!」
「任せろー!」
 提灯のフリをしていたラディが、言われた箇所に蛍光落書を施す。
 それは意味もない落書きだが、暗所で発光するので格好の目印となる。
 逃げる浮遊物を煌々と照らす。
「逃がさないよっ!」
「ウワワ」
 上空から天歌流星斬でフランヴェルが降って落書きに覆い被さり……
「逃がさないわ」
 霧依のアイヴィーバインドで、フランヴェルごと絡めて蔓で縛り付ける。一足遅れで、リィムナがその場に着いた頃外套を来た小柄なフードを被る何かがいた。傍らには爪楊枝の束、恐らく凶器はこれだ。
「えい!」
 暴れる何かを縄で縛りつつ、被っていたフードを引き剥がした。そこには……
「ひぃ、オイラ降参だから! スミマセン!」
 なんと、緑色の南瓜ジャックオランタンが居たのだ。

●謎解明
 謎の南瓜お化けは、ひとまず禰入宅へ連行することにした。体にはまだ、テカテカと落書きが光っている。
 まだ起きていたのか、姉妹は突然の来訪者に心底驚いた。
「なぁー、GOKAIだったろ?」
「あう……えっと、疑って悪かったわね」
 藍羅の一言に、肩の荷が降りたようにふわりと一段下がる様に降下した。
「それでキミは、どうしてこんなことを?」
 フランヴェルは、緑南瓜に動機を聞くことにした。
「その、オイラ……目のやり場に困って」
 と、小声で呟く南瓜。心なしか瞳の光が揺らぎ、赤みがさしてるような気がしなくもない。よく確認すれば、南瓜は霧依や藍羅の姉から視線を外していた。
「え?」
「もしかして、理由って」
 そう理由とは『女性の生足を見ることが出来なかったから』だった!

「SHOMONAI!」
「うらやまけしからんじゃないか!」
「オイラにとっては、死活問題なの!」
 ジャックオランタンの大きさは、一メートル弱。丁度成人女性の太ももに視線が間近に来る辺りだ。
「だから、足を傷付ければ足隠してくれるんじゃないかなぁ……って」
「それ、素直にそう言えば良かったじゃないですか」
 成人女性にたいして、あがり症らしく話も出来なかったらしい。
「それ、ボクが警邏に言ってあげるよ。だから、二度としないと誓うね?」
 南瓜は謝罪をしてから、小さく頷いた。
 リィムナが伸びを一つ、全てを終えたような喜びを表現した。
「これで、めでたしめでたし♪」

 ……とは、行かなかった。
「……さてリィムナちゃん、何か言う事があるんじゃない?」
 縁側で優しく手招きをする霧依。無論、リィムナに心当たりはある。無論、おねしょの件である。
「でも、おむつしてたしセーフって事で! 駄目? ううっ…」
 観念したようで、霧依の膝上に乗っかる。
「ああ、私、苦手なのよねぇ……おんなじ場所に当てるのが」
「ウフフ、振りが大事なのよ。こう腰を固定して叩いた時の反動は自分で止めて」

 と互いのお仕置きレクチャーは放っておいて、フランヴェルは残りの全員を外食に連れ出すことにした。多分土蔵にまた入れられてたであろう藍羅の泣き腫らした瞳を、彼女は笑みを浮かべながら拭く。
「……君には涙より、笑顔の方が似合うよ♪」
 ぷいと顔を反らす彼女に、「猪突猛進は危険だ。君の身に何かあったらとボクは心配するじゃないか」と続けた。
 それを聞いた藍羅は、僅かに顔を傾けたのだった。

「僕の妹もすごいやんちゃで、よくお尻を叩いてあげたんですよね……」
 背後で聴こえる音に、顔を赤らめながらもサライは懐かしげに告げる。
「へー」
(もう、いないけど)
「だから大切な事は、早めに話しておいた方がいいよ」
 重厚に語るサライに、イマイチ要領を得ないラディであった……


「ごめんなさーい! もうおねしょしません! 隠しませんからー!」
 さて、リィムナは気付いているであろうか、もう一泊するという危機的な状況に。