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■オープニング本文 ――捧げよ。御霊を刃と化して、奴等の喉元に食らいつかん! 其の身は果てず、悲願は御元に届けられることであろう! 「……あいつら、なんてことを!」 座敷牢で顔を蒼白くし、脂汗に髪を濡らし叫ぶ壮年の男が一人。彼は古代人であり、嘗て同じく古代人の唐鍼を暗殺しようとした部隊の隊長である。彼は仮名で、開拓者達に「ジン」と名乗っている。 彼の部隊は、ほぼ開拓者達に捕縛され、ギルドに預けられた。 一度はギルド側が、彼にも協力をあおいだことがあるが「そんな事をせずとも私の部下の身柄を保証しない、とでも言えば良いじゃないか」と告げて、否定的な姿勢を見せたのだ。 しかし、それ以外は他の捕虜達とは違い逃亡も殺意の意思もなく、ただ光を灯さぬ瞳で座敷牢に大人しく鎮座していたという。 「馬鹿げている、待て。聴こえているかい!?」 その彼が今、狼狽し声を荒らげているのだ。番をしていた人間も、何事かと様子を見に来る。 暫し神妙な面持ちで口を閉ざした後に、ジンは漸く口を開く。 「……状況が変わったようだ。彼らを呼んできてくれないか?」 ● ジンは急ぎ、阿尾と開拓者を座敷牢の前に呼ぶように告げた。そして、口早に話すのだ。 「協力して欲しいんだ」 ジンの話はこうだ。 彼は念話のようなものをキャッチし、現在の生き残った部下達の様子を『問われた』らしい。 「声の主は、金髪をリボンで二つに結んだ少女だ。彼女から私の部隊に……勅令が下ったと聞いたよ」 その内容とは、都の地下基地にて残った13名の集団自爆による破壊活動であった。 ジンの口調は、如何にも疎ましげで、顎鬚を伸ばし整った壮麗の顔立ちにも多くの嫌悪が混ざっている。それと言うのも、命令を出したと言う護大派のその人――最長老は、もうこの世にいないのだ。 加えて、ジンは護大派の中でも『滅びと死に急ぎは違うもの』と言う考え方をしている変わった男だ。 「無策に命を散らすなんて。彼等の滅びは、元来もっと先なんだ」 恐らく部下達の行為を止めてほしい。ジンはそう言いたいのだろう。 一笑、阿尾はこう語る。 「周りの一般人を避難させれば、彼等は犬死にしますよね」 今の台詞、もっと簡単に言うならば『古代人を止める必要が、拙者達にありますか?』だ。 無論、阿尾も心から言っているワケではない。何よりジンの表情には、天儀人に対する古代人特有の侮蔑も、嫌悪も混じってはいない。恐らく、阿尾の言葉の真意にも気付いているだろう。 「そうとも言えるだろうね。だが、私は部下達を止めることを提案するよ」 ジンは続ける。場所は、元氷室を利用した地下基地だ。そこにはある資料が存在すると言う。私が知る限りだが、と付け加えてから、資料の内容は『都に潜伏する護大派のリスト』だと語った。 「私達は、君達のかなり身近にいるよ……食事処の大将などにも、ね」 身を持って体験したろう、とジンは言いたげだ。 古代人と天儀の人間を見分ける術は、皆無とは言わないまでも殆んどない。隣人が笑いながら、何時悪夢に化けるかわからない状態が今なのだ。 基地を破壊したとなれば、その資料もおじゃんになる。恐らく護大派にとっては、それも目的の一つなのだろう。 「…………」 阿尾は「そう言うことですか」と煙管をくわえながら言った。 そう言いはしたが、腑に落ちてはいない。確かにジンの言い分は分かる。しかし、この話『今のところ、ジンになんら有利に働いていない』のだ。 潜伏する護大派のリストを渡すなど、離反行為に違いがないのだから。前々の否定的な態度をとった男にしては、此方へ加担し過ぎている。 (なにか、隠していますね) ふと、阿尾は視線を落とした。 「わかりました。それでは、ジン殿。基地の場所詳しくお教えいただけますか?」 しかしそれは、情報屋である自分が考えるべきではない。自分は、情報を欲す者に渡すことが、総てなのだから…… 「頼んだよ……」 |
■参加者一覧
緋桜丸(ia0026)
25歳・男・砂
柊沢 霞澄(ia0067)
17歳・女・巫
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
ケイウス=アルカーム(ib7387)
23歳・男・吟
戸隠 菫(ib9794)
19歳・女・武 |
■リプレイ本文 ジンの話を聞き終わり、準備を整えた開拓者達はさっそく地下から氷室へと向かうことにした。 その中でケイウス=アルカーム(ib7387)だけは、「旅館の人達の避難誘導をする」ということになった。 「ま、また俺をイヌ扱いしたなっ。あとで絶対菓子を奢らせるっ」 同時にケイウスの補佐には、緋桜丸(ia0026)の人妖・珀と柊沢 霞澄(ia0067)のからくり・麗霞がつく。 「あの阿尾さん、他の場所も見てもらってよろしいですか……?」 霞澄は「ジンが他に何か隠している」という阿尾の言葉が気になっていた。もしや、他の場所でも自爆行為があるのでは……とも考えられる。 「わかりました。都を軽く見回りますよ」 それでは出発……というところで、何かの半紙を読み込んでいた羅喉丸(ia0347)は、顔を上げて他の皆にこう告げる。 「先に行っててくれないか、後で追いつく」 「おう、早くな」 特に彼を待つ理由も無いため、他の開拓者達はそれぞれの目的地へと走り出した。 ●例え……でも。 羅喉丸は、ジンの牢屋の前へと到着し、気付くと彼は緩慢な視線を羅喉丸へ向けた。 「まだ、何か聞きたいのかな?」 「……この面子の中に、家族がいるのか?」 その台詞に、ジンは目を伏せるように細める。その表情は呆れと優しさを混ぜたようで、とても敵対していた組織の人のものとは思えない。 「わざわざ調べたのかい」 先程受け取った半紙とは、阿尾によって『お気持ち』と交換で貰った情報である。その情報とは「神楽の都にて蕎麦屋のジンには娘がいる」と言ったものであった。 「その容姿は、金髪の少女だ」 「……あの子は、私に近付き過ぎた」 ジンは真実を話し始めた。実際連絡が入ったのは、少女の方からだったと彼は言う。 「助けて、皆怖い……あの子に言われたよ」 何故、その話をしなかったのか? 羅喉丸がそう問うと「君達に真実を話したとしても、それを容易に信用してくれたかい?」と溜め息まじりに答えた。最悪、罠としてとられかねない。そうなっては、いくら喋っても意味がないのだ。 さらに『円環』や古代人に関しての話も聞いた。先に出会った者の中で胸に宝珠をつけた護大派がいたと問えば、ジンは首を横に振って「私の部隊に装着させてない」と告げる。 「まるで、死に急ぎを許可したみたいでね」 そう語る彼の表情には、自責の念のようなものが含まれていた。自分が捕まったことにより、部下を処分されかけ、更に本来なら護大派にはあり得ない『死の恐怖』という感情をを少女に覚えさせた為か。いくら考えても推測の域を出ないが。 「ジン殿、貴殿はもしかして知った上――」 「おっと、時間がないんだ。早く行くんだね」 ●上下 ケイウスが旅館へと到着した。 ご丁寧にお出迎えして下さる女将さんは、まだ現在の状況を知らないらしい。彼は短く告げる。 「ここは危険です。今すぐお客を避難させてください」 羅喉丸と合流した開拓者達は、地下道をひたすらに走る。氷室らしき部屋を見つければ、羅喉丸が扉を蹴り飛ばし粉々にした。 氷室の冷却装置は、だいぶ前に切れているのか室内の空気は少し篭り気味だ。今は氷室でなくとも、倉庫として利用されたようである。ここには干し肉や小麦が雑多に置かれていた。 こんな薄暗い場所で、赤い半球状の籠目の様なものに囲まれて、古代人特有の衣装を着てフードを被る連中がいた。一心に何かを唱える彼らに柚乃(ia0638)は想う。 彼らも古代人もまた、都に住んでいた。その時彼らには、感じ入るものは何もなかったのか。彼らの本心を聞いてみたいと、極限の状況下でも彼女は思っている。 最初、結界に侵入をしたのは羅喉丸である。どんな運命すらも変え得るほどの気力を最大限に奮い、ふらつきを治すと同時に酷い息切れを繰り返す。古代人達の元に行き、繋いでいた手を一箇所離させた。 これは、ジンから聞いた情報のひとつである。ただ彼自身、この術を忌避していたためか、詳しい解除法は知らなかった。 が、『手を繋ぐことにより、体内の瘴気を循環させ、増幅しているだろう』と語ったのだ。続いて羅喉丸は、猿轡をさせる。最初の人物は、背の低い少女だろうことが見て取れた。顔はフードで隠れているが、恐らく彼の予想通りの人物であるはず。 羅喉丸に続け、とばかりに他四人も結界へ身体を進める。 「チッ」 「うわぁ!」 「きゃっ」 「うっ」 しかし先の羅喉丸の時に侵入が容易に思えた結界は、鋼程の固さで彼らを拒んだ。振り替えり、羅喉丸が叫ぶ。 「結界を攻撃してほしい! 揺らいで入りやすくなる筈だ」 「わかった〜! やってみるね!」 その言葉に四人は頷く。柚乃と戸隠 菫(ib9794)は印を素早く結び、修羅道を自らに施し、得物を結界にぶつけて赤を剥がしてゆく。霞澄は充填した白光を、結界にぶつける。 今までいろいろと古代人との間に騒動はあったと言えど、彼女には殺したくないという気持ちが強かった。 緋桜丸のボーク・フォルサーが直撃すれば若干結界が震え、弱まった気がした。結界内を確認すると、紅い呪詛を込めた入れ墨のようなものが古代人の身体に絡まり始め、光が増したように感じる。 「威力が大きいとか……そんなことだけじゃねぇ……よな?」 因みに、最大だと地上の旅館は粉々となり、ここが瘴気の吹き溜まりになることを、彼はまだ全く知らない。 ●必然 ケイウスの指示に従い、従業員はお客に指示を出して避難を指示する。相棒達も客を外への案内を行っていた。 その間、ケイウスは超越聴覚で旅館内部を探る。聴こえるのは、不安げ客の声や、駆け足がそこいら中をかける音だ。 「今、仲間の開拓者が原因を止めに行ってる。だから大丈夫、落ち着いて」 いまいち状況はわかっていないものの、唐突に訪れた危険に彼らの表情は暗い。 「あれ? 新しく入ったあの人は?」 「いませんね。あの長い金毛の――」 耳に入った台詞に、ケイウスは思わず振り向いた。同時に山犬と化していた珀がその場を走り去る。詳しい話を聞こうと、ケイウスが従業員に話し掛けた。 「いないの。最近雇った子が」 ケイウスは『金髪の少女』という存在を特別警戒していた。嫌な予感と同時に彼は問うのだ。 「地下の大型氷室へ行く近道ってあるかな?」 いったい、どれほどの時間が経っただろう。 ある程度攻撃を結界へ与えては、侵入を試みるのだが、一向に入れる気配がない。この結界は彼らの命そのもの、なんて言葉で表しても過言ではない。そんな代物に思えた。 結界に対して、もっとも有効な霞澄の精霊砲でも未だ結界を破ることは出来ない。 現在結界に入れたのは、羅喉丸一人のみ。このまま猿轡しているだけでは、恐らく間に合わない。 「仕方がない……か」 彼は気合いを今一度込め、真武両儀拳をを放つ。先ずは繋いだ手を打ち、次いで顎を砕き、当て身で鳩尾を持っていく。いくら今感覚が古代人に無かろうと、肌に震えが奔るには充分な音が氷室内に響く。 「うお……」 「……自爆するより良いだろう」 「まぁそうだ、な」 殺すことを視野に入れてないだけ、自分よりマシかもな……そんなことを緋桜丸が心の何処かで思っていると、犬の鳴き声がした。そこには、今しがたの山犬から術技を解除した人妖の青年がいた。 「あ? どうした?」 ほぼ同時期、柚乃が結界へと入り込むことに成功した。未だ唱え続けられる呪文の意味はわからない。呪文は抑揚もなく、まるでカラクリが発しているのかと思うほどだ。もしかすれば、これを聴こえなくすれば術は止まるかも。 柚乃はそう考え、輪の中央に向かい、対滅の共鳴を行った。 これが効果を発揮すれば、ただ口を開けているだけ。その瞬間より、この空間は無音に支配される。足音はおろか、得物を振るう時の微かな風を切る音すら聴こえない。使われてない氷室なのに、肌寒くなった気がした…… (後ろだ!) ● ケイウスは、従業員に連れられ氷室に繋がる枯れ井戸の縁に手をかけ、耳を澄ませる。ここは、氷室の管理に使われていたため、直ぐ近くに氷室があるはずなのだ。だが、何も聴こえない。この不自然な程の無音は、恐らく柚乃の術技であるとケイウスは察した。 もしかすると、人妖が予想外の危険を地下に伝え損ねた可能性もある。ケイウスは永遠の最終楽章を奏で始めた。他に手はない。嫌な予感をずっと空洞の中に感じながらも、彼は竪琴を奏で続けた。 誰かが注意を促すように、口を動かした。それに自分も反応した筈であった。だが、現に緋桜丸の下腹部を、一本の短刀が貫かれる。しかめた視線の先には、金髪の女性がいた。彼女は今も、緋桜丸を睨み付けている。 (やっちまったなぁ……) 怪我を確認した瞬間に動いたのは、霞澄であった。出血がひどくなる前に愛花束を唱え、傷口を塞ぐ。新たな敵を迎え撃とうとすれば、緋桜丸はそれを顎で示して制した。 (こいつは俺に任せろ。早く入れ) そう言われた気がした。そう、今何よりも優先するのは、この自爆を、何も産み出さない愚かな行為をやめさせることなのだ、と。決意を新たにすれば、霞澄は結界を突き破り侵入を果たした。 両手に力を込めて、岐神を放ちその衝撃波は、古代人達の繋ぎを分断させるに至る。 菫は状況を確認し、この侵入者を注視した。その胸元には、禍々しい色の宝珠があったのだ。その意味を知っていた菫は、もしもの時に備え戒己説破を自分に掛けた。そして再び、結界に攻撃を仕掛ける。 緋桜丸は、ウィマラサースの動作にて女性に接近戦を強いた。女は何かを言っているようだが、その台詞は虚無となって届かない。 (聞いたところで、何が変わるってワケでもねぇか) 女が手をかざせば、緋桜丸へと放射状の火炎が音もなく広がった。灼ける肌に痛みを覚えながらも、彼は足を進めて銃口を女へ近付ける。 音はない。だが、確かに女の胸元の宝珠は砕けたのだ。舌打ち一つ。反撃せんと、暗器を構え目の先の男へ迫る。 音はない。だが女の利き腕に激痛が起きた。振り向けば、そこには―― (間に合ったかな?) 旅館の避難を終え、投擲用のナイフを構え、肩で息を続けるケイウスの姿だった。 ●秒読み 岐神により吹き飛ばされた古代人達を瞬脚で追い、一人一人と羅喉丸は確実に沈めていく。しかし、至近距離で確認するからこそ、理解できる。もう、あまり時間がないのだと。 気力をギリギリまで使い果たした自分の身体は、油断すれば気絶しかねない危険な状態だ。今は周りを信じるしかない。 柚乃、霞澄は結界外にいる菫から受け取った荒縄を使う。この荒縄は仕掛けが施してあり、固定する紐を予め輪にして、頭の上から潜らせて口に噛ましたら後ろの紐を引くだけで、とりあえずの固定が出来る代物だ。古代人に抵抗が全くないため、これなら手早く猿轡を嵌めていける。 柚乃の行った対滅の共鳴だが、相変わらず声にならずとも彼らは唱えていた。呪文が自ら耳に入らないことすら、彼らは理解出来ない状態なのだ。 呪の紅い輝きは増している。今にも破裂せんばかりに、だ。 (必ず間に合わせます! 私はまだ、彼らに聞きたいことがあるのです……) 樹糖を繋いでいた手にかけてから、縄を手前に引く。 恐らく柚乃の先の行動が、最後であっただろう…… ●結果 終わってみれば、かなり呆気なかった。柚乃が最後の一人に猿轡を噛ませた瞬間、結界は消える。同時に、詠唱らしき動作を全員停止した。 作戦の失敗を理解した瞬間、古代人の女は火を撒いて逃走。誰よりも負傷が少なかったケイウスが地上に知らせに行くのを見送った菫は、例の宝珠を探し始めた。 物入れ等を叩き、音で何か入ってないか確認していく。しかし、あやしいところはない。 お次は、食料置き場を確認だ。 「考えたらおかしいんだよね。お肉って」 倉庫に干し肉が吊るしてあるのは、特に不自然なことではない。だが、「肉を食べない古代人が」となれば話は別だ。そして、確認すれば案の定…… 「発見……と」 羅喉丸と緋桜丸は、残った護大派の手足を縛りあげる。それなりに時間が経ったはずだが、一向に起きる気配はない。全員が、円環により衰弱しているのだ。 「マジかよ」 緋桜丸が羅喉丸から「もし爆発していたらどうなったか」を聞き、最初に出たのがその一言だった。今は気絶している護大派を見やる。 「死んだら終り……何も残せやしない」 彼らに「残す」なんて考え無いのかも知れないが……そう心で呟く。 「生きるとは、足掻く事ではないか。安易に死を求めるものではないな」 柚乃と霞澄は、護大派を手当てしていた。彼女達は、色々と彼らに聞きたいことがあった。しかし、詠唱による体力そして精神力の消耗は、古代人にとってもかなりきつい物だったようだ。それでも最初に羅喉丸に救助された少女が、微かにだが目を開けたのだ。 「……パパ……き……」 詠唱のし過ぎで、子供らしからぬしゃがれ掠れた声を二人は聴く。 「大丈夫ですよ。皆さん助かりましたから……」 その台詞を霞澄からを聞いて、安心からか少女は、再び眠ってしまった。 「ありがとう」 率直な感謝の意を、ジンはケイウスに述べた。 「娘が彼処にいたなら、そう言ってくれれば良いのに」 羅喉丸から詳しい話を聞き、ケイウスはそう呟くのだ。 「いいや、あの子は私の実の娘じゃないよ」 「え?」 どうやらカモフラージュ用に、都では『親子』という設定で、少女とはいささか時を過ごしていたらしい。 「私は種の滅びを望んでいるのに、子を成したら矛盾じゃないか」 ジンはそう語り、次いで「あの子のことを慕ってはいるけど」と話す。 明らかにされた真実を耳にしたケイウスは、思わず言葉を失った。どれだけジンに自分が共感を覚えても、根っこはやはり違うらしい。 しかし、だとすれば旅館で見張り、氷室で襲ってきたあの金髪の古代人の女は、ただの偶然であったのだろうか…… |