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■オープニング本文 ※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。 東房のとある村。眼鏡をかけた青年は、久しぶりに里帰りをしていた。手には吊り提灯。目の前に広がるウネ。彼はため息をついた。ここの所、畑が猪の被害により所々作物が掘り返され、酷い被害を受けていたのだ。 村人達は、何度か東房ギルドに駆け込み、開拓者に退治を依頼したが『とある理由』により失敗に終わっていた。 そこで仕方無く村人達が、当番制で見回りをしていたのだ。そして今宵はこの青年の番であった。 暗闇の中で青年はひとつひとつ、提灯の明かりを頼りに畑を見回っていた。柵や罠はいくつも仕掛けているのだが、どいつもこいつも猪に突破されてしまい、意味を成さない。 そして、それは唐突に突然、目の前に現れた。 「ひ、ヒヤァァ!」 目と鼻の先にいる猪、それも大群。提灯の明かりに照らされて眼孔を光らせている。青年は、冷や汗ダラダラ後退した。 ガツッ 途端石か何かに蹴っ躓き、その場で尻餅をついた。その拍子に確りとかけていた筈の眼鏡が外れて落ちる。 「め、眼鏡……眼鏡!?」 彼の視界が滲むのは、何も視力が悪いから、だけでは無いだろう。必死に地面に這いつくばり捜索しながらも、脳裏には猪に突進され宙に弧を描く自らを予感していた。 「どこだ、眼鏡何処だよぉぉぉぉ〜〜!」 「ぎゃふん!!わわえわわわ」 「あじゃじゃじゃじゃ!!!!」 ●解決策見いだしたり その話を聞いていた東房の女性ギルド職員は、頷いてから『で?』と相手を眺めて一言。 「それが、何で、開拓者達に、眼鏡を貸し出す、理由になるのよー!」 女性職員は、男性職員に鋭くツッコミを入れた。確かに前々から畑の猪退治は依頼されていた。だが、その猪達嬉しくないことに、精霊の加護でも働いているのか術技が効きにくい。特に状態異常になるような術技は、全くと言って良いほど効かない。 だからと言って、畑に侵入した猪を退治するため大技を使い、畑の作物を滅茶苦茶にするのはもっとまずい。 そんな依頼にこの男性職員は、何故か開拓者達に眼鏡を貸し出して、出発させたのだ。 「先程の青年の話だが、まだ続きがある」 「まさか……その眼鏡が撃退した、何て言わないわよね」 「御明察。そのまさかだ」 信じられないなと女性職員は、白い目で男性職員を眺めていた。 詳細を聞けば、眼鏡を落とした青年は必死に眼鏡を探して情けない大声を張り上げていた。しかもその後に運悪くウネにけっつまずいて、その身体は一転、二転、三転、四転とあろうことか、顔を土塊塗れにさせて、泥だらけのまんま猪の前に躍り出た。おまけのおおまけに、提灯の火の粉が首筋に直撃。暫くガランゴロン、とのたうち回っていたという。だがそれなりの時間が経っていた筈なのに、その間は猪は襲って来なかったと言う。 その後青年は、眼鏡を拾ってから一目散にその場を離れた。結果としては、畑は滅茶苦茶で守れてはいなかった。 「その話を村長が聞いて。ものは試し、と依頼したらしい」 「村側からしたら、藁をもすがる……ってところね」 男性職員の話はまだ続く。 その後に別の人物が眼鏡を掛けて、猪へと立ち向かったが、効果はなかったという(見事に宙を舞ったとか……)。 「要するに、眼鏡を落とすと言う一連の流れに反応したんじゃないか、と俺は思う」 「意味……わからないわ」 女性職員は額を押さえた。何が言いたいサッパリわからない、と頭痛すら覚え始めた。だが、男性職員は自信満々に言い切る。 「要するに『眼鏡を使ったお笑い』が必要なのさ!」 理解不能。女性職員の表情はその一言に限るのであった…… |
■参加者一覧
胆(ib3217)
30歳・男・サ
リンスガルト・ギーベリ(ib5184)
10歳・女・泰
フランヴェル・ギーベリ(ib5897)
20歳・女・サ
雁久良 霧依(ib9706)
23歳・女・魔 |
■リプレイ本文 猪達ははるか悠久より、村人達と農作物の攻防戦を行ってきた。あるときは罠に、またあるときは穴に落ちる。そうやって先代達は命を散らしていった。だがこの猪達は違う。積み重なった苦渋の経験を彼等は無駄にはしなかった。おかげで、今では開拓者すら退けることに成功したのだ。 (力は猪並だけど)強靭な肉体。大いなる知恵(と少なくとも猪達は思っている)を手に入れた。もう我々に敵はいない。今宵も我が物と言わんばかりに、農作物の埋まる畑へと侵入した。 何時もより松明が多いのは、自分達を退けようとする苦肉の策だろうか。だがこの猪達に今更それが効くわけもない。 渋茶色の群れが前進を続けていると、そこには彼らの姿があった。 ●畑のさゑ そう。この沢山の松明は猪達に大してではなく、彼らの為に用意されていたのだ。だが猪達にとって、それがなんだと言う。また何時もの様に得物で自分達を追い払おうとするだけじゃないか。 ならば、次に起こす行動は単純。何時もの様に、畑を走り回れば良いのだ。 蹄を蹴り上げ土を踏み込もうとしたその時だ。そこに彼女?がいた。彼女の名前はリンスガルト・ギーベリ(ib5184)という。 しかし、今の出で立ちを見て誰が『彼女』だと思うだろうか。頭を全て覆わんとする金髪のウィッグ。寒いのを気にせず、ぽんぽんは丸出し。その腹には、フェイスペインティングで描いた鼻と口。 肝心の眼鏡要素はと言えば、胸元にて黒くテカる眼鏡。基、特製ガラスのビキニトップである。リンスガルトによると、とある書物から見つけた無頭人と言うものを模したらしい。 「オンバ! オンバ! ウロロンガー!」 猪がいると思わしき方向(かつらで前は見えません)槍を片手に雄叫びをあげて、リンスガルトは畑を駆ける。 うねに足をとられて転ぼうが、それはそれでお笑いのネタになる。それに彼女には背拳がある。たとえ視界には入らずとも、猪の呼吸は聴こえる。 若干うら若き乙女の獣の如き荒い鼻息も聴こえるが、そちらには無論近寄らない。 奇妙な一番槍は猪達には効果てき面。思わず彼らは足を止めてしまった。 これより、怒濤の展開が始まる。一見格好良さすら醸し出す純白のスーツを纏うのはフランヴェル・ギーベリ(ib5897)だ。先程リンスガルトに危ない興奮抱いたのも彼女である。 キラン、そんな擬音が聴こえてきそうな持ち方で眼鏡を、猪達に突きつけるように見せた。 「説明しよう。この眼鏡はね、かけると全ての生物が裸の幼女に見える特別なアイテムなんだ」 とその素晴らしさを懇切丁寧に語るフランヴェルだが、無論猪にんな高説通ずるワケもない。だがそんなこと彼女は気にしない。 眼鏡を掛ける。そしてミるのだ。 目の前にいるのは、柔い、くしゃっとした茶髪に、黒のメッシュのかわいこちゃん(死語)推定年齢十歳と言ったところだろうか。首にはモフモフのケープ。しかし、それから下はフランヴェルの希望通りのハ・ダ・カ。 まだ赤みの残るピッチピチ(死語)の肌色である。 そのままにしておけば、眼鏡姿も相まって端正な顔だちなのに、唾液にまみれた口元に四つん這い姿で、猪の群れに突っ込む様子ではそれは見る影もない。 ガチリ、一匹の幼女をフランヴェルが鬼腕で覆い被さるように押さえ込む。手足をばたつかせ、涙ながらに逃走を訴える幼女。だがそこはフランヴェル。 「んふへへ……幼女…んんっ!」 相手が喚かないのを良いことに、貪るような濃厚な口付け。更にはチロリと女は咥内に侵入。更に更に、肌の色素の薄く細い指が、幼女の背を下り、つるんと形良い小さな臀部へ…… ピギィァァァ゛ァァァ フランヴェルからとてつもないモノを覚え、急いで彼女から離れて行く猪の様子で何が起きたか察して欲しい。 猪が離れるその間も、幼女のお尻を頬擦りしていたフランヴェルであったが、不幸か幸運か、偶然か必然か眼鏡がずり落ちる。 「お、ええええぇ!」 レンズの彼方には、毛むくじゃらの猪。彼女の見た愛しいおんにゃのこは崩壊し、現実に残すは異様な吐き気のみ。 そうだ、これはきっと夢に違いない。ほらだって、この眼鏡をかければボクの元に子猫ちゃんは戻ってくるのだから。眼鏡を掛ければまた、新たな獲物を求めて唸る獣(開拓者女性)が一匹。 しかも度々に眼鏡がずり落ち現実に引き戻され、そしてまた楽園と言う虚実に戻っていく。 さて、皆様はそんな都合の良い眼鏡など、存在し得ないことは既にわかっているだろうか? そう、実際は最初から最後まで、残念で素晴らしいフランヴェルの妄想フィルターで出来た光景であった。流石は開拓者だ。仕事はキッチリこなす。ある意味感涙級。 「ひゃ、へへへ……幼女、オゥフ……ろり」 (「(ああ、早く愛するリンスを○●◎●★%●◎★%○%◎たい!!」) 一方リンスガルトと言えば、猪に囲まれていた。元々出オチ感半端ない格好。足しては彼女からは前も見えないワケで、彼女は土まみれになりながら地面に転んで座り込み。大開脚と言う状態だ(但し女児ぱんつ装備済みにて、下半身はしっかりガード)。 ぺちん、ぺちん、濡れた鼻を擦りつけられ弄ばれるリンスガルト。しかしその後方にもう一人女性の姿があった。大魔術師(笑)の雁久良 霧依(ib9706)である。彼女は片眼鏡「聖水晶」を何故か両目に装備。 その理由と言うのも、彼女の膨大な魔力は眼鏡で封じなければ魔力が暴走してしまう……と言う設定のためだ。 松明の柄からリンスガルトと猪の様子を覗き込む様は、まるであの日のおもひでの1ページ。 「はっ! あれは憧れの人、太郎さん(猪)! なによ…花子(猪)なんかと仲良く下校しちゃって!」 ふつりふつり、彼女の心に煮えたくるものが生まれる。 霧依は物陰からひっそりと常に彼を見つめていた。彼を見守っていた。それこそ彼(猪)と霧依は話したことすらなく、それでもこの物陰から、彼を眺めれば幸せであった。(設定) だと言うのに、目の前の奴等はそんな一途な霧依など露知らず彼を囲う。彼女の両手からファイヤボールが生まれ、それは猪のいる上空で爆ぜた。 「いけない、興奮しちゃった」 轟音。だがそれに似合わず、歳に似合わず頭を拳でコツン。笑み浮かべてのテヘペロである。 そんな様子にリンスガルトに群れていた猪達は、警戒の色を見せて霧依に向き直る。 だか、そんな様子を気にせずに、彼女は自分の一人漫才を続ける。黒い長髪をかきあげ一言。 「眼鏡なかったら貴方達死んでたわね……あ」 狙ったかの様に、片眼鏡が一つ地に落下。その瞬間苦しみ、息を荒々しくする霧依は両手をつき出す。その指には、ネイルリング「真紅」が嵌められている。 「だめ! 静まれ……私の力……」 付け爪が煌めく。逃げて、と言う彼女の咆哮と共に、虚空には幾つもの礫が広がる。そして猪達の心を蝕むには充分な爆音が辺りに響いた。 幸いにも、と言うより霧依の計算通りに空中大爆発は、何ら被害を出すことは無かった。 霧依はよろめきながらも、片眼鏡を拾いそそくさとつけ直す。そして女神とすら思わしき、極上の微笑みで猪達へ振り返る。パチリと爆ぜる松明の火の粉に、彼女の胸を上下させる陰影が浮き上がる。 「はぁはぁ……次は外せないかも……うまく逃げてね?」 ドドドドドドドドドドドド その様子はまるで、波が引いたかのようで、猪達は彼らの珍妙さにもう耐えきれ無かったようだ。これも笑いというのだろうか? 何はともあれ猪達はもう畑にはいなかった。 戦闘(漫才?)を終えた霧依は、気遣う様にリンスガルトへと近付く。彼女はと言えば、視線確保に金髪のウィッグを取り去るも、土が目に入ったのか眉間に皺を寄せて瞳を瞬かせていた。 霧依が半裸の彼女に触れる。 「リンスちゃん、目にゴミが入ったのね。私が擦り落してあげる♪」 と言いながら触れる瞳は、首より下に存在し。眼鏡に手を差し込み、拭うように霧依は親指を動かす。やさしく傷がつかないように、つかず離れずな絶妙の触れあいである。 「……擦る? 遠慮し、にゃああ! らめぇ! ふにいいいっ!」 そんな二人の時間。そこに猪の如く猛進してくるフランヴェル。 「もう、我慢出来ないよ! ボクのリンスぅぅぅ!」 白いスーツに桃色の欲をまみれさせ、もうこちらに走りながら準備するように、ボタンを外す姿に、霧依はリンスガルトの両手を掴む。 「リンスちゃん、ちょっとごめんね。フンッ!!」 「うわぁ!」 ふわりと浮くリンスガルトの体。そのお尻には女児ぱんつ。その先には鋭い針。 バチン!! 「ぎゃおおおん」 仰向けに転がるフランヴェルに、容赦なく鳩尾に霧依のヒールの踵が食い込む。 「ぐぇ!」 リンスガルトに向けた慈しみの瞳はどこへやら。 「フランさん…ド変態ね」 ルーセントオブシディアン、そう落胆して呟けば霧依の手のひらに青い光が生まれた。そして冷徹な視線と共にブリザーストーム。 「冷ややかな視線もまた良い……って霧依さん手加減してないよねあぎゃああ!」 |