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■オープニング本文 男は言った。無茶です、一緒に逃げるべきだと…… だが老人は聞かない。自分以外に適役はいないと。そして老人は去り際に彼にこう呟いた…… 「ぬしに一つお願いがあるのだがの……」 ●任務終了? 燃えるように山の全体を染める紅葉。などと月並みだが、その光景が一番当てはまる山。その麓に村はあった。 依頼は村人が幾人か、アヤカシの集団に山の砦へ拐われた為に助けて欲しいというもの。今回は二手に別れ、一つは親玉のアヤカシの引き付けおよび殲滅。そして自分達開拓者一行は、捕らわれた村人の救出……であったのだが…… 目の前には、アヤカシに捕まっていた筈の村人達。どうやら自力で脱出して来たらしい、しかも無傷でという。これでは開拓者の出番は無いだろう。拍子抜けだが、嬉しいことだ。 そう思った矢先一人の青年が何かを手に持ち、開拓者達の前に進み出た。 「あのー、実はオレらが村まで逃げて来れたのは、一人の老人が囮になってくれるくれたからなんですよ」 詳しく話を聞けば、こう言うことだった。ある旅の流れであった老人も彼らと一緒に捕まったが、実は老人は志体を持っていて牢屋を壊した。その上で逃げる際に、親玉アヤカシの手下の追手のアヤカシの囮に自らなって、今も山中にいると言う。 「その親玉は幸い別の開拓者様に倒されましたが、手下の方がまだ沢山残っているんです」 自分達への依頼は、アヤカシに拐われた彼ら全員の救出だ。どうやらその老人も、助け出す必要がありそうだ。そして青年はこんな言伝てと共に、細長い色紙を開拓者達に配った。 「それで……茶を準備して山頂の山小屋にいるつもりだから、もし良かったら一つ詠んでくれないかと、その老人が」 先程の神妙な空気が一瞬にして霧散した。思わず言伝てを頼まれた、青年も苦笑いだ。どうやら別動隊の開拓者が、村人を救出しにくると言う情報をどこかで手に入れていたらしい…… ここで老人の名誉の為に、少し付け加えておこう。彼は各地を旅しながら、アヤカシの研究を個人で行い著書に残そうとしている。その時に載せるためのアヤカシに関する川柳を、開拓者達に度々書いて貰っているのだ。つまりふざけた様にしか見えない彼の行動だが、老人の方は真剣そのものだ。もう一度言う、老人は真剣だ。 「それから、その人こんな事も言ってたんです。必ず伝える様にって……」 『アヤカシの中に曼珠蝶がいるようの、中々珍しいアヤカシでね。ただあれには火は絶対に放たんで欲しい。我も死にたくないのでなあ』 「確かに馬鹿でっかい、緑色の綺麗な蝶々が飛んでました」 青年は両手を限り無く広げ、蝶の大きさを表現する。だがその表情はあまり脅威には、思えなかったと不服そうであった…… 「と……兎に角、何がどうであったとしても、オレ達の恩人に代わりはありません。彼を助けてあげて下さい」 どちらにせよ、親玉アヤカシが放った手下達をこのまま野放しには出来ない。すぐ目の前に暖色に彩られた山を、開拓者達はこれから登るのだ。その手に、金木犀の花弁が埋め込まれた、細長い色紙を携えて……ことは急を要している、筈だ。 |
■参加者一覧
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
平野 譲治(ia5226)
15歳・男・陰
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
日依朶 美織(ib8043)
13歳・男・シ |
■リプレイ本文 救出された村人より話を聞いた各開拓者は、それぞれの準備を麓の村で始めていた。その中でも羅喉丸(ia0347)は、ふと既知感を先程の青年の台詞に覚えていた。 「老人に、川柳、まさか、あの御仁か」 隣で彼の声に頷くのはリィムナ・ピサレット(ib5201) 「だね、あのおじいさん何かやることだんだん派手になってきてるよね〜♪」 老人と面識のある二人は、片や半ば呆れ片やその人知れぬ勇気に感銘を受けていた。ただ共通するのは老人のアヤカシに知識の深さが、並々ならぬと知っていること。その為何としても、老人の忠告は守らねばと、二人とも頭に留めていた。 その一方で、他の村人に山の様子を詳しく尋ねるのは日依朶 美織(ib8043)何よりも老人の救出を目指す、かのじ……彼は、緩やかな散策出来る場所だが所々に崖があると話に聞き、要注意すべきだと心の中にしかと置く。 「全力でいくなりっ、てりゃあ!三……可もなく不可もなくなぁのだー」 道端にて人目も気にせず、賽子占いに興じているのは平野 譲治(ia5226)真面目に真面目にと考えつつも、もてなされるお茶のことを楽しみにしていたりと、なんとも緊張感に欠けている。 「仕事は果たさないとな」 そう忘れてはいけない。これは老人の救出依頼なのだ、そう気を張りつめる羅喉丸を先頭に、彼らは捜索に山へと足を進めた。 ●登山開始 道中は美織の超越聴覚を使い、此方に近付く足音や葉音が聴こえる方向を知らせては、なるべくその場所を避けて登っていく。山の中腹を過ぎるまでは、全く追跡中のアヤカシに会わなかったのだが、全く出会わない等という上手い話は無い。 美織がその音を感じ取り瞳を閉じ、動く何かの音を鼓膜が触れていた。方向は真正面、数はいち…に…さん、しご……… 「来ますよ数が多いです。これは、逃げ切れはしないかと……」 「ならば先手あるのみだ!」 目がアヤカシ達と開拓者達がかち合ったのは、ほぼ一緒であっただろう。しかし先に動いたのは、羅喉丸であった。瞬脚を駆使し雪幻灯の前に現れれば、体の中央に拳をめり込ませた。 「タァ!」 羅喉丸の行動はまだ終わらない。そのまま構えを変えて、気を溜めた体当たりを化猪に撃ち込む。が、当たり処が悪いのか効果が見えない。今一度と玄亀鉄山靠を放ち、先程の化猪は瘴気へと化けさせた。 次いで攻撃に繰り出したのは、一匹の雪幻灯。素早く譲治の前にその鹿に似せた体躯を見せれば、紅の眼光を奔らせた。 「ひにゃ!?ありゃ?変だなおかしなのだっ、茶ちゃ茶っ」 「ちょっと!大丈夫?」 「ふにゃ、あにゃにゃ?」 「え、どっちなの……」 幻覚を見ていてふらついている様に思えた詠唱中のリィムナが、彼に声をかけるも……普段からの言動と変わらず判断が下せない。足元覚束無い譲治へと角を振りかざし、攻撃に移る雪幻灯だがあえなく空振りに終わる。 「きゃあ!」 また雪幻灯の一匹が美織へと凄まじい勢いで、 紅葉を踏み締め鋭い爪を向けた。間一髪避けたものの、浅く肌を切ったらしく眉をしかめる。 やがて幾つもの雪幻燈による赤色の閃光が場に並ぶも、勝機は既に開拓者のものであった。 「ライトニングブラスト!!」 リィムナの雷が地を、宙を舞う。しかも四方向に連続、その威力にアヤカシ達は未練の欠片無く消滅していった…… 「 雪幻灯 鹿か狼か 夢現……といったところか」 戦闘が長引けば、自分も幻覚にかかり危うかっただろうと未だフラフラな譲治の様子を眺め羅喉丸は呟いた。 「うにゃにゃ、もう頂上ぜよ」 「いい加減目を覚ましなよ!」 ポカッ ●無事合流 頂上へとたどり着いたのは、戦闘から間も無く経ってのこと。切り立った崖からの光景に、譲治は思わず目を奪われていた。 朧気な緑色がうすらと残ながらも、赤や橙、黄色が段々と折り重なりなんともきらびやかに山を飾っている。 「 山々の 山々山々 山々の…?川柳ってこんな感じじゃなかったなり?ふわってしててっ!」 「違うと思います。そしてあまりそちらへ行くと危ないですよ」 得意気に何かを紡ぐ譲治に対し、美織の否定と注意は的確であった。 山小屋はその直ぐ近くにあった。入り口は申し訳程度に葉で隠してあり、直ぐに引き戸を開くことが出来た。 「フフフ…存外早かったのう、寒かったじゃろ一先ず飲んで温まれ」 元より小屋に設置された囲炉裏で湯を沸かし、足を伸ばし杖を傍らに置いて寛ぐ老人の姿がそこにあった。手には簡易な急須と湯呑み、花茶をいれた茶筒を持って。 何とも力が抜ける話だが、これも開拓者達が早くに山頂にたどり着いたためのこと。もし四半刻でも違えれば、状況は違っていたかも知れない。 「無事で何よりだな」 「あ、足を怪我してるし」 リィムナが急いで老人に近寄り、治癒魔法レ・リカルを施した。本人が捻った程度と言う程の、軽傷ではあったが…… 「もうっ!ダメじゃないなりかっ!単独行動は禁物なりよっ!」 「フフ、すまぬのう。奴らの中に生体探知を持つものが居らぬと確認したから逃げ切れるとな、操作をしていた親玉アヤカシも虚していたんでの、もうせんよ」 と応えてから、花茶を譲治に渡す老人。この飄々とした様子から、今の約束を信じるのはこの少年ぐらいなものだろう。 「歩けそうですか?」 「大丈夫そうじゃ。元よりそこの崖から、化猪を一匹引っ掛けて落とした時に足首を捻っただけでの」 「それは…確かに…」 大したことあるではないですか、と言葉に出しかけて美織は止めた。何はともあれ、無事合流を果たした彼ら開拓者は、英気を養う意味でも茶を一杯馳走になってから山を降りたのであった………… ●下山はサクサク? 老人と合流した一同は、早々に山を降りることにした。行きとは違い出来うる限り、アヤカシの全滅を狙う。特に老人にも注意されていた、曼珠蝶はまだ発見も出来ていない。だが、今肉眼にちらつく火の玉、鬼火の姿が遠くに見える。羅喉丸が気付き、気を溜めて放つ。 すぱん、見事に命中一瞬にして鬼火は破裂した。やがてその破裂音に他の化猪達も、己らが奇襲を受けたことに気付き振り返る。アヤカシの視線の先は後衛の面子に向いていた。気付いた譲治は素早く符を手に取る。 「させないなりっ!おいでっ!結界呪符「黒」っ!」 叫べば同時に目の前に巨大な、まるで硯の様な艶の無い一枚の壁がそびえ立つ。 「では我は見学に徹するとしようか、の!」 老人はその場から数歩下がり、勢いつけて疾走と跳躍そして今しがた実体化したモノリスの天辺に着地した。 「何で乗っちゃうなりか!?」 「安全だからのう」 確かに残る敵は地を駆ける化猪ばかり、あの高さに攻撃が届くことはまず無い。まず無いだろうが…… (「何かが違うなりよっ!良くわからないけど」) 気を取り直し化猪の一匹に、呪縛符を唱える。 ギウウウ 身構えていた巨体に、幾本もの黒い長針が縫うように出現した。 「せいやぁ!」 遠方より自らへと向かう手裏剣が一つ。それは狙った様に足首に突き刺さる。痛みに嘶き、毛並みを毛羽立てる化猪を、更に美織は手に持ったナイフを勢いそのままに首元へと差し込んだ。それがとどめの一撃であったか、事切れ倒れると体を瘴気へと還した。 「先ずは一匹仕留めましたよ!」 仲間内を殺られたことに動揺したか、個々でご馳走にありつくのは無理かと残る四匹の化猪はモノリスに皆で向かい、蹄を踏み鳴らし土煙をたてる…… 「ね、狙われてるのはおいらなりかぁ!?」 慌てる譲治に対して、頭上の老人は笑みを浮かべていた。何故ならば彼には聞こえていたのだ、モノリスの物影で密かに詠唱し好機を伺う幼い彼女の声を…… 「いっくよ!ライトニングブラストォ!」 モノリスの横からリィムナが顔を出し、雷が化猪に満遍なく炸裂する。 「えっへへ〜♪今日は大盤振る舞いだなぁ」 「ぬしや、ぬし。まだ一匹死んでおらんよ」 「うえっ」 老人の指摘通り、瀕死に近い状態だが最期の力を振り絞って化猪が名前通りの生き物の様に、猪突猛進してくる。 標的は勿論リィムナ。 「タァッ!」 が、その前に進み行く化猪の横っ面を叩くように、羅喉丸が一撃を見舞った。 「化猪 走り出したら 止まらない。油断は禁物だぞ」 「アハハ……ごめん♪」 敵を一掃した中で漸く安堵をおぼえる開拓者達だが、老人だけは未だ別の方向を向いてから向き直り、モノリスから降りた。 「ここから戌の方角。歩いて数分のところかの、曼珠蝶が見えた」 老人が指でさし示す。いよいよ曼珠蝶と対面である、この対象だけは何があっても撃破しなければならない。何よりも平時と違う、この老人が神妙な面持ちが全てを物語っていた。 「アイシスケイラル!!」 リィムナの鋭い声に乗せられるように生まれた氷針は蛇行しならがらも、鬼火を目指し、そして突き刺した。完膚なき迄に、串刺しにされてから、鬼火は霧散する。これで、曼珠蝶に火が当たることは無いだろう。自分達が当てない限り、と老人は安堵してモノリスの上で呟いた。 その場にいる化猪は譲治と美織が各自で殲滅し、残るは、と全員が天を仰いだ。 「確かに綺麗です、が大きい……」 目の前で羽ばたく曼珠蝶に、美織が視線を空へ固定しつつ呟く。羽根は深緑をも思わせ、どこまでも見るものを奥まで沈めてしまうような、ずっと見ていたい。そう思わせる、それはまるで精巧な織物の様だ。 ただしその大きさ四尺と三寸と言う出で立ちが、曼珠蝶をアヤカシと認識させ、幻想から現実に引き戻す。 「こればかりは、確実に仕留めないとな」 一撃で終わらせる。羅喉丸はその言葉を目の前の蝶に伝える様に気を溜めて、拳を引いてから空波掌を放った。 「ん、あまいか?」 結果は見事に曼蝶を突き抜ける程命中したのだが、その様子に彼自身は納得していないと首を捻る。次いで美織が打剣、リィムナがアイシスケイラルを、譲治が呪縛符を唱えるも何か当たり方がおかしい。 「ぬしら……気付いておらんのかの?蝶は一匹に非ずよ。良く蝶の羽根を見んか」 様子が、特に開拓者達の様子がおかしいことに老人が気付き、杖で曼珠蝶を示した。 「ああ!いっぱいるんじゃん」 最初に気付いたのはリィムナ。睨む様に羽根を凝視すれば、それが見えたのだ。そう曼珠蝶とは…… 「蝶の形を成す、蝶のアヤカシと言うことか」 老人は静かに頷く。そう曼珠蝶は一匹のアヤカシでは無い、小さな蝶のアヤカシが百匹以上集まり大きな蝶に見せていたのだ。 「何でもっと早く教えてくれないなりかっ!」 「すまんのう、ぬしらに伝えるのをすっかり忘れておったわ。だが奴は本来脆い、周囲を攻撃するものであればそうそう難関では……」 その言葉に開拓者全員がだんまりを決め込む。誰もその様な技を使えないのだ、この場全員が…… この秋特有の何とも言えない冷たい空気に雑ざる、気まずさに老人もその事を察する。 「つまり、ちょこちょこ倒していくしか無い…ワケですよね」 「うそでしょぉー……」 美織が次げて手裏剣を手にするのに対し、これからの苦労を考えるとリィムナはげんなり気味である。 「焙烙玉ならあるなりよっ?」 「爆発させる気かぬし。火を使うのは止めよ、一撃で終わらせんと被害が広がるからの」 残念そうに携帯袋に焙烙玉をしまう譲治。そのままちょっと瘴気回収してきます、と場を離脱した。 「先に始めるとするか」 ●ひと区切り 結果から言えば、彼等は無事曼珠蝶を全滅させたのだ。吸血を行いに降りてきた蝶をそれこそタコ殴り、だが的も小さくもし倒せても、一撃に数匹が限度だ。しかも目標は優雅に飛んでいる。リィムナなど疲れたとぼやきつつ、飛び膝蹴りを連続で繰り出したりして足がつったりする始末。 そんなこんなをしてる間に、最後の一匹を倒す頃にはもう陽が半分沈んで、まだ残っているアヤカシをそのままに村へと皆疲労困憊で帰ってきたのだ。 村で出迎えられた一同は宿泊所でもてなされつつ、夜遅いこともあり今夜は泊まることになった。 「曼珠蝶は自ら発火はせん。だが火がその体に一匹でも点けば、全部に火の手が周る。そして炎を纏い蝶は拡散しながら、熱を放った相手へと総攻撃を仕掛ける」 「なるほど、それで火は厳禁と言うわけになるのか」 開拓者達が書いた川柳を吟味しながら、老人が羅喉丸に語る。人間が最初に脅威を振り払う為に使うのが炎。曼珠蝶とはその人間の習性を逆手にとったアヤカシと言えよう。 「それに散らばった曼珠蝶が、周りの木々に火を点ければ、この空気の乾燥じゃ山火事すらなりかねんしの」 そうなれば麓にあるこの村もひと溜まりない。それにもしも何も知らない村人が、山に立ち寄り曼珠蝶に火を放とうものなら目も当てられない。 「川柳爺は頭良いなりねぇ、んぐっ。オイラ羨ましいぜよ」 美織の持ってきた、クッキーや月餅を一人頬張りながら少年は言う。老人はただ年の功かの、と呟くが無論それだけの筈は無い。 「 人の世の 悲しみ映す アヤカシよ 」 色紙に書かれた言葉を紡げば、老人は書き手であるリィムナへと視線を移した。少女はこう語る。アヤカシは人間の悲しみからも産まれる、ならば世界中の人が幸せになればきっとアヤカシもいなくなるんじゃ……と。 「しかしその悲しみも、またアヤカシによって造られるからの。人間が悲しみアヤカシを造るのが原因か、アヤカシが原因で人間が悲しむのが原因か……もう今世にわかるものなどおらんからの」 そうだよねと笑いながら呟くリィムナだが、その声は乾いていて肩を落とす。 「だからこそ、我はアヤカシを求める。いつの世か、アヤカシは民衆からただの脅威では無くなるのではと……の」 「それは、どういう意味なのです?」 「フフフ、ただの弱虫な爺の戯れ言だ」 くつりひと笑いを溢してから、老人は懐から紙束を出した。 「遅くなったが、ぬしらには本当に感謝よありがとう。これで我も書を纏められる」 開拓者達に渡したのは色紙。今までの依頼の系譜とも言えよう。彼が開拓者達に渡した真意が何なのかは、恐らく老人本人しか理解しえない。しかし一つ解ったこともある。四季に渡った老人の旅が終わり、だが沸々と湧く老人の探究心は未だ変わらないという事だ。 「ところでぬし、眠る前にそんなに茶を飲み大丈夫かの?地図の方」 「うわぁぁぁ、それは言っちゃダメ!」 |