君と結わう〜wreath〜
マスター名:月原みなみ
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/12/18 21:22



■オープニング本文

 ●

「あなたはクリスマスリースの意味をご存知?」
 ジルベリアの都市、ジェレゾ。
 その日、開拓者ギルドの受付に現れた女性はとても幸せそうな笑顔でそう切り出した。
 七十歳に近いと思われる彼女はライラと名乗り、毎年この時期になると自宅でクリスマスリースを手作りする教室を開いているのだと語った。
 クリスマスリースの由来は諸説あるのだが、円形は「終わりなく続く」「永遠」を意味し、蝋燭は「光」、常緑樹には「繁栄」の意味があるなどの理由から「幸福を祈る」「永遠の約束」というものを連想させるのだ、とも。
「だから私はね、教室に来て下さる方々にハート型のリースを作って頂く特別教室も開いているのよ。円は歪んでしまうけれど、だからこそ異なる二人がしっかりと手を繋いでいる姿が連想されると思うから」
「つまり、その特別教室は恋人達専用という事ですか?」
「ふふ。そうね、恋人同士で参加される方も多いけれど、恋人のために作るんだってお一人で参加される方もいらっしゃるわ。二人で仲睦まじく作っている姿も素敵だけれど、恋人を想いながら懸命に作っている姿も、とっても素敵」
 思い出す光景があったのか、ライラは口元を手で抑えながらくすくすと笑っていたが、ふと思い出したように顔を上げる。
「ごめんなさいね、本題をすっかり忘れていたわ。此方に伺ったのは、いつもリースを作るために材料を集めている森にアヤカシが出るようになってしまったからなの」
「それは困りましたね」
 受付嬢は仕事の話になった途端に顔を引き締めると、森の場所や出現しているアヤカシの種類を記載して開拓者向けの依頼書を作成した。
 アヤカシが恐ろしくてリースの材料を集めに行けないから、一日も早く以前の平穏な森に戻してほしい。
 レベル的には駆け出しの開拓者にも受けられる内容だと判断する。
「ではこの内容で依頼をお引き受け致します。一日も早くアヤカシの脅威が去るよう私も祈っていますね」
「ありがとう」
 礼を言って立ち上がりかけたライラは、しかし再び思い出したように身を乗り出した。
「ああ、ごめんなさい。依頼書に付け足して頂けるかしら」
「何をです?」
「私の依頼を受けて下さった皆さんを手作りリース教室に招待させて頂きたいの。通常の教室でも、特別教室でも、お好きな方に」
「ふむふむ」
 改めて椅子に腰かけたライラは、教室の時間をメモしていく。
 通常の教室は10時と16時。
 特別教室は12時と18時。
 開催日は週末の2日間だ。
「私からの感謝の気持ちですから、都合の良い時に参加して下さいとお伝えください」
「承知しました」
「よろしくお願いします」
 最後にそう言いながら丁寧にお辞儀すると、ライラはゆっくりとした足取りで開拓者ギルドを後にするのだった。



■参加者一覧
アイリス・M・エゴロフ(ib0247
20歳・女・吟
ファリルローゼ(ib0401
19歳・女・騎
ケロリーナ(ib2037
15歳・女・巫
宵星(ib6077
14歳・女・巫
黒葉(ic0141
18歳・女・ジ
御堂・雅紀(ic0149
22歳・男・砲


■リプレイ本文


 手作りリース教室への参加申込用紙を眺めながら、イリス(ib0247)は隣のアイザック・エゴロフ(iz0184)を見上げた。とある傭兵団に所属する青年であるが、今回の依頼人が知り合いだったらしく、偶然にも現場で合流したのだ。
(『幸福の祈り』『永遠の約束』……素敵)
 イリスは少し考えた後でそっと彼の袖を引いた。
「一緒に来て貰ってもいい?」
「はい!」
 即答に嬉しくなりながら、日曜日の一八時に約束する二人――そんな二人の遣り取りを目にしてしまったファリルローゼ(ib0401)が声に出せぬ思いを抱えていると、それを察したアイザックはスタニスワフ・マチェク(iz0105)を誘おうと提案した。
 最初は動揺していた彼女だったが、狼 宵星(ib6077)という妹も同然の彼女の気持ちを察し、意を決した。
 リースを贈りたい相手は、共に唯一人。
「そうだな……、リースだけでなく笑顔もプレゼントしよう。とびきりの心からの笑顔を……ありがとう、シャオ」
 頭を撫でられて頷き返す少女は、ファリルローゼにも楽しんで欲しいと心の内で願うと同時、近頃の活躍を聞くに心配になっていた穂邑(iz0002)を誘う事にし、ケロリーナ(ib2037)と意気投合した。
 そして黒葉(ic0141)。
「リース教室……? 面白そうですし主様の分も出しときますにゃ」
 主様こと御堂・雅紀(ic0149)と自分の名前を連ねて提出。本人に確認していないが、事後承諾で構わないようだ。

 こうして揃った九名分の申し込み用紙。
 彼らは、その日をどんな風に過ごすのだろう――。



 教室の壁に飾られた、ライラの作であろう幾つものリース。
 その一つ一つに三人――宵星、ケロリーナ、穂邑はすっかり魅せられていた。
 しばらくして教室に姿を現したライラと丁寧な挨拶を済ませた三人は前方の卓を囲んで座る。卓の上にはリースを作るのに必要な材料が揃えられており、宵星は其処に持参した道具を加えていった。中でも目を引くのは次々と出てくる星のオーナメント。
「綺麗……っ」
 穂邑の目が輝いているのに気付き、宵星は「お二人も使って下さい……たくさん、持って来たので」と微笑んだ。
「良いのですかっ?」
「ありがとうですの〜♪」
 早速賑わう三人娘を、ライラはとても嬉しそうに見つめていた。

 かえるが大好きなケロリーナは、サンタクロースの恰好をしたかえるの蝋細工を事前に用意しており、この子の楽しいクリスマスを形にしていく。
 穂邑はしばらく悩み、ケロリーナの助言を受けて藤子の家らしくたくさんの花で飾る事にした。
 そして宵星。
(お二人とも……どんなリースを作るんだろう)
 内心でわくわくしながら、自分も弾力のあるアケビのつるで円を作り、先端同士を長めに絡めて麻の糸で固く結ぶ。其処が見えなくなるよう工夫して常緑湯の葉、松ぼっくりと一緒に乾燥させた白詰草を差し込み、金色のリボンを巻いていった。
 最後に蒼と翠、金のリボンを結わえて星のオーナメントと一緒に飾れば完成だ。
「素敵ですの〜♪」
「優しい気持ちが伝わってくるわね」
 ケロリーナ、ライラの賛辞に、宵星は頬を赤らめた。
「元気になって欲しい人が、いるんです」
 蒼と翠は大好きな姉妹、金は決して錆びない――永遠の温かな光り。
 一緒に結ぶ事であの輝きが決して褪せないように、綻びないように、祈る。
(それしか……出来ないから)
 完成したリースを抱き締めながら俯く少女の気持ちをどう察したのか、ライラは語った。
「想いを込めて作られたリースはきっと幸せを運んでくれるわ」と。
 穂邑にも「私もそう思いますっ」と熱弁されて、宵星は微かな憂いを残しつつもそっと微笑み返すのだった。

「ライラさんが、最初に作ったのは、どんなリースでしたか?」
 宵星の問い掛けに「好きな男の子へのプレゼントだったわ」とライラ。
 教室が終わった後の、昼食時。
 おせち作りの練習をしているという宵星が持参した、飾り切りで見た目も美しいお弁当を囲んで時間の許す限り会話を楽しんだ。
「やっぱり恋のお話しは素敵ですの〜♪ 穂邑おねえさまも恋をされて大人っぽくなられたですの?」
「そんなっ、今は本当にそういう事を考えてる余裕もなくてっ、そのっ、もっと皆さんのお役に立てるようにならなきゃって……」
 ケロリーナの提案で天帝宮の地下遺跡最深部で遭遇した少女の似顔絵を描こうとした穂邑だったが、顔を見ようとした瞬間に戻されてしまった事もあり何も思い出せなかった。
 役に立てない事で落ち込みかけた穂邑を元気付けたのは宵星が口元に寄せた栗の甘露煮。
「甘いものは、元気が出ますから」
 はむっと頂けば口の中いっぱいに広がる心地よい甘味。
「美味しいです……ありがとうございますっ」
「良かった……」
「穂邑おねえささまは充分に頑張っているですの〜♪」
 綻ぶ少女達の笑顔に、穂邑の手元に置かれた未完成のリース――その中央に括りつけられた星がきらりと輝いた。
 三人お揃いの、温かな輝きが。 



 リース教室に到着するや否やファリルローゼは固まっていた。
 何故なら指定した時間が何故か恋人達の為の教室だったからである。時間はアイザックが、この時間ならボスが空いていると言うから指定したわけで――。
(どういうことなんだアイザック……っ)
 相当動揺しているらしい彼女に、しかし待ち合わせ相手であるマチェクは穏やかに笑い掛けた。
「ハート型は恋人達だけのものではないさ。リースを贈りたい相手がいるとアイザックから聞いているよ?」
 その言葉にファリルローゼは宵星との約束を思い出す。
「ああ……マチェク、手伝ってくれるか……?」
「喜んで」
 彼の即答に、やっと笑顔が戻った。

 ハート型のリースは円形を作った後で一か所を下に引っ張って固定しなければならない為に力が要る他、中央に線が出来てしまうという難点がある。しかしこれをどう装飾するかも楽しみの一つだ。
 最初は周りの雰囲気に落ち着かなかったファリルローゼも次第にリース作りに熱中し、マチェクが器用に整えたハートを丁寧に飾り付けていった。
 中央には翠と蒼、赤、黒の細いリボンを編んで一本にしたものを結ぶ。
「蒼と翠は私達、赤はマチェク、黒は叔父様の色なんだ」
 繊細な心が壊れてしまわないよう、皆の真心で優しく包み込むように。
 守れるように。
 そう祈りながら、真ん中にしっかりと結んだ。

 完成したリースを大切に紙袋に仕舞い、帰路につく。
 粉雪の舞う夜道をゆっくりと歩きながら、ファリルローゼの胸中はとても穏やかだった。
 一緒に過ごした数時間がそうさせるのか、今ならば……という気持になれたから、紙袋に入れてあった小さな包みを彼に差し出した。
「今日はありがとう。……遅くなってしまったが、誕生日の贈り物だ」
 受け取った包みを見つめる彼の瞳には微かな驚きが見て取れて、ファリルローゼはだんだんと恥ずかしくなって来る。
 手作りの焼き菓子。
 不格好な見た目は、まるで不器用な恋そのもの。
「み、見た目は悪いが味は確かだぞっ」
 赤い顔で他方を向いたファリルローゼは気付かない。
 マチェクの表情の、ほんの僅かな変化。
 想うが故に伝えられないのはお互い様だと言う事――。
「ありがとう。今年一番のプレゼントだ」
 微笑む彼に、世辞だとは思いつつやはり嬉しくなる乙女心。
 彼に小さな幸せをプレゼント出来て良かった、と。
 自然と綻ぶ笑顔の、幸せに蕩けそうな無防備さ。
「……あまりそういう顔を見せるものではないよ」
 呆れたような囁きと共に頭上に落ちて来たのは彼が巻いていたマフラーだ。
 更に。
「今年の夏は向日葵がたくさん咲いたんだ。レディカ夫人の畑や、ヴェレッタの村、ザリアーの隠れ里にもね」
「――それは……」
 マチェクは微笑みと共に頷く。 
「来年の夏は一緒に見よう、俺達の里の向日葵を……尤も、君の叔父様が許してくれればだが」
 小さく笑うマチェクと、突然の誘いや叔父の話が出て来た事に戸惑うファリルローゼ。
 隠れ里に招かれる意味を彼女は知らず、それでいいと彼は思う。
「そういえば湖水祭りで叔父様に睨まれていたな。何かしたのか?」
「どうかな」
「あ、マチェク!」
 笑いながら先を行く彼を慌てて追う。
 積もりゆく雪に刻まれる足跡は、暗い夜道にあっても決して途切れずに並んでいた。



 リース教室の扉に飾られたリースを眺め、雅紀は考える。
(あの緑のでっかい木はうちには植えられないけど、こういう飾りで雰囲気を楽しむのもいいもんか。何より黒葉がこういうの好きだもんなぁ)
 感情を伺わせない表情で仁王立ち。
 端から見れば違和感を禁じ得ない雅紀の姿に、しかし黒葉は慣れたもの。
「主様? 恥ずかしがる事はありませんにゃ。相手の幸運や繁栄を祈って渡すお守りみたいなものですにゃー」
「あ、おい」
 手を引いて遠慮なく屋内へ。
 席に着いて改めて周囲を眺めれば仲の良いカップルばかりだ。
「……俺が見て回った地域じゃあ、円形が一般的なんだが、こういうのも出来るのか」
 ハート形リースの見本を手にとって観察している隣では黒葉が色々考え中。
「左右別々に作って編み合せたりは可能なのでしょうか?」とライラに質問していた。

 結局、アケビのつるの弾力性を考えると左右別々に作るのは難しいという結論に至り、黒葉が飾り付けの準備をしている間に雅紀が輪を作る事になった。
 ドライフラワーにしても色落ちしないスターチスやマーガレットを準備して来て用意万端の黒葉を見ていると、自分も普通に作っては能が無いような気がして来る。
(……ああ、あれでも混ぜておくか)
 思い立って懐から取り出したのは何となく取っておいた四葉のクローバー。最終的に常緑樹の葉で彩るならば、こんな小さなクローバーは見えなくなってしまうだろうが、だからこそご利益がありそうな気がする。
(……こんな荒れた時代だからこそ、その中で懸命に生きて来た黒葉には幸運であってほしいからな……)
 本人には決して言えない主の本音を秘めて完成したハート型の輪を、雅紀は悪戯っぽく笑いながら黒葉の頭に乗せた。
「ほら、後は任せた」
「主様?」
 見上げた視界の端、リースの一点に見え隠れする四葉。
「……これ、冠じゃー」
 敢えて何も言わず、聞かず。
 けれど伝わる優しさ。
 雅紀が見守る隣で、黒葉は草花をふんだんに使ってリースを飾り付けて行った。
「ふふっ、完成にゃー」
「なら家に帰って飾るか」
「はいにゃー」
 飾り付けが終わったら主様の為に何か温かな物を作ろうと黒葉は思う。
 四葉のクローバーが自分にくれた温もりに負けないくらいの、温かで美味しいものを。

 帰宅して、扉にリースを飾りながら雅紀はふと問い掛けた。
「黒葉。おまえ、サンタとかいうやつにプレゼント貰えるって言うんなら何貰うつもりなんだ?」
 叶えてやれる願いなら今年は叶えてやろうかと考えながらの質問に、黒葉は。
「欲しい物……? それじゃあ、何か美味しい御酒が良いですにゃー。見合う御馳走は拵えますにゃ、だから一緒に飲みましょうにゃ?」
「そんな事で良いのか」
「他に思いつきませんにゃー」
「なんだそりゃ」
 おかしな奴だと笑いながら飾り終えた扉を通る雅紀。
 その背を見つめていた黒葉は、リースに飾り付けた花々を見やる。
 ――……他に欲しい物なんて、ない……
 スターチスの花言葉は変わらぬ心。
 マーガレットは秘めた恋。
 花々に託して主様の幸せを祈るのが、今は精一杯だから。
(いつかは面と向かって伝えたいものですにゃ)
 微苦笑と共に呟き、黒葉もまた扉を通る。

 大切なあなたに、どうか、永遠の幸せを。



 待ち合わせは一七時半なのに、イリスは一七時には教室前に立っていた。
 空は次第に暗くなり、今日も雪が舞い降り始めている。
「予定より早く来ちゃった……」
 マフラーに顔を埋めてひとり呟くのは、浮かれている己を自覚しての事。
 彼が来る前に落ち着こうと深呼吸を繰り返した。
 そうしている内に、いつの間にか頭の上に積もっていた雪を払う手が――。
「早く来たつもりだったんですが遅かったですね」
「アイザック……」
「お待たせしました」
「ううん……全然、待っていないわ」
 優しく笑いかけてくる好きな人に、イリスもとびきりの笑顔で応えるのだった。

 リース教室に入るまでは「二人で過ごしたい」と伝えるのが恥ずかしくて少なからず緊張していたイリスだったが、ライラに挨拶し、
「恥ずかしながらクリスマスリースを作った事がなくて……どうするのが良いでしょうか?」と尋ねてみれば、
「彼に教えて貰えばいいわ」と微笑まれた事。
 更にアイザックとライラが楽しげに内緒話をしたりするから、イリスは複雑だった。
「そういえばライラさんはお知り合いだと言っていたけれど……昔からの?」
「そういうわけじゃないんですが……」
 彼女の当然と言えば当然の疑問に言葉を濁したアイザックは、しかし考えて言い直す。
「イリスさんのリースが完成したらお話しします、ね?」
「そう……」
 心に掛かる微かな靄……その事が、とても悲しくて。
「赤と碧……どっちのリボンがいいかしら……」
「イリスさん……?」
 リースを作る手は止まってしまっていた。

 教室の終わり。少し待っていて欲しいと言うアイザックが席を立つと、二人を心配したライラが席に近付いて来た。
「悲しい想いが詰まったリースね、原因は彼かしら。隠すのが下手なら素直に言えば良いのに」
「え……?」
 ライラは更に声を潜めて言う。
「彼、二週間前に一人で教室に来ていたのよ。好きな人にプレゼントしたいからって。――これをお持ち帰りなさい。素敵なクリスマスを」
 手渡された袋の中にはリース用の飾りがたくさん入っていた。

 帰路、揃って言葉を発するのが躊躇われる空気を醸し出していた二人だが、先に沈黙を破ったのはイリスだった。
「……以前にリース教室に行っていた事、どうして隠していたの?」
「えっ、あ……色々と、ばれてしまう気がして」
「ばれる?」
 聞き返すイリスに、アイザックは情けない顔で頭を掻くと「やっぱり俺にはサプライズとか無理です、すみません」と、一時はライラに預けていたあの紙袋をイリスに差し出した。
「リースの意味を知って、どうしても貴女にプレゼントしたかったんです」
「アイザック……」
「あまり会えませんが、いつも想っている事を……あ、ぁぃ…っ、す、好きでいる証を、受け取って下さいっ」
 真っ赤な顔で差し出されたそれを、イリスは。
「……ばかね」
 泣きそうな声で呟き、抱き締める。
「ほんと、ばか……でも、……大好きよ」
 少し驚いた顔をした彼の腕に身を寄せた。
 見上げれば届く真っ直ぐな瞳は引き寄せられて、吐息を重ねる。
「……私も貴方にリースを贈りたい……でも、今のままじゃダメ。一緒に飾り付けをしてくれる?」
 アイザックの答えは、勿論決まっていた。