テルマエ・ジルベ
マスター名:冬斗
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/12/29 22:05



■オープニング本文

 セルゲイ・ルキアノフは建築技師である。
 彼は今、非常に困り果てていた。
 帝国から預かっていた業務区域で非常に珍しいものが発見されたのだ。
 温泉である。
 ジルベリアに温泉は珍しい。
 公共の施設としてはバーニャと呼ばれるサウナが存在するが、湯に浸かる文化は皆無と言っていい。
 だが厄介な事にこのバーニャ、ジルベリア人の誇るべき文化の一つであるのだ。
 
『ジルベリアが風呂文化で他国に遅れをとるなどあってはならない事である』

 そんな無駄なプライドがないとはいえなかったりもするのだこの国は。

 そしてセルゲイは忠臣だった。
 偉大なる皇帝陛下の名誉を毛ほども傷つけてはならないと苦悩していた。
(「帝都からの視察が来る日も遠くはないだろう‥‥それまでにテンギにも負けぬ『フロ』を作り上げねば‥‥!」)

『バーニャ』と『フロ』は似て非なる別物だ。
 そしてセルゲイは天儀の人間を『平たい顔した異民族』とは敬遠しつつもその『フロ文化』については一目を置いていた。
(「天儀の者達に頼るか? いや、駄目だ! 偉大なる帝国の誇りを傷つける事となる!」)
 芸術家肌といえば聞こえはいいが、やや神経質であるのが彼の困ったところであった。



「ちょっと誰かセルゲイさんを助けてやっちゃくれないかねえ?
 せっかくこの田舎に珍しいもんが出来たっちゅうのにあれじゃ気の毒で喜べもせんよ」
 近所のばあさんの要望である。
 首都から遠く離れた田舎町において、名所発見は喜びこそすれ困惑することなどないというのが大半の心情。
 尤も、その喜びすらセルゲイにとっては重圧の一つとなっていたわけだが‥‥。
「セルゲイさんはあれで頑固者だからなあ。自分から助けを求める事はせんだろう」
「実力はある人なんだ。後は背中を押すアイディアさえあれば――」

 心優しい市議会でこっそりと開拓者を呼ぼうという結論に至ったのはそれから数日後のことである。


■参加者一覧
紬 柳斎(ia1231
27歳・女・サ
霧先 時雨(ia9845
24歳・女・志
アーシャ・エルダー(ib0054
20歳・女・騎
ジークリンデ(ib0258
20歳・女・魔
モハメド・アルハムディ(ib1210
18歳・男・吟
レジーナ・シュタイネル(ib3707
19歳・女・泰
春陽(ib4353
24歳・男・巫
レティシア(ib4475
13歳・女・吟


■リプレイ本文

●セルゲイ・ルキアノフ(32)の独白
 私はセルゲイ・ルキアノフ。
 偉大なる皇帝陛下の命により、この領地における設備建築という大任を頂いている。
 今、私は領地内にて奇跡的に発見された湯の湧く泉を使った入浴施設を設計中だ。
 テンギにおいては『フロ』とか言うらしい。
 入浴施設において、我が国のバーニャに勝るものがあるとは思えぬが‥‥陛下に『フロ』の設計を任された以上、テンギ如きに遅れを取る訳には――。

「なぁにブツブツ言ってんのさ、毛抜けるよ!?」
 人の頭を平手で叩くテンギの娘・霧先 時雨(ia9845)。
 無礼極まりない。テンギの女は慎ましやかだと聞いていたが、只の伝承だったのか。
「あ、悩みすぎるのはよくないって時雨は言いたいんだと思う‥‥多分」
 慌ててフォローをするのは金髪の少女レティシア(ib4475)。
 上目遣いに慈しみを感じる。
 うむ、やはり伝承は伝承に過ぎなかったようだ。ジルベリアの娘の方が余程品がいい。『クロカミモエ〜』などという怪しげな呪文を唱えている隣のトムソンにも言って聞かせねば。
「‥‥なんかものすごい失礼な事考えてない?」
 半目で睨み付ける霧先。荒事慣れしている分、勘もいいのだろうか。

 そう、彼女らは開拓者。
『フロ』造りの相談役として招かれたらしい。
 要らぬ助力だとは思うが、市議会の決定を無碍にするわけにもいかぬ。
 ――しかし、

「温泉は傷病の療養にも効きます。先の乱にて兵士達も傷付いております故、彼等の為にもなる施設はどうでしょう‥‥」
 優しげな笑みを浮かべる美女の名はジークリンデ(ib0258)。
 優しげというよりも妖しげか。肩の下には見事な双丘が揺れている。霧先とは対極的に――痛い! 霧先がまた頭を叩いた。心でも読めるのかこの娘は。
「私‥‥も、温泉‥‥初めて、なんです。楽しみ、です‥‥」
 彼女もジルベリア人のようだ。名はレジーナ・シュタイネル(ib3707)。
「可愛い、お風呂とか‥‥あると、嬉しいです‥‥柳斎さんは、どう‥‥ですか?」
「そうだな‥‥一口に風呂といっても色々あるし‥‥」
 艶やかな黒髪に褐色の肌の娘は紬 柳斎(ia1231)。

 そう、しかし、
 何故女ばかり集まった!? しかも若い娘!
 邪な気持ちがある訳ではないが、流石にやりづらい。

「あ、なんか助平な事考えてる顔ね、このオッサン」

 霧先がまた無礼な事を。
「えっち‥‥なんですか?」
 怯えたように問いかけるシュタイネル。真剣に傷付く。
「ふふ‥‥健全な男性である証明です」
 誤解を招く言い方をするな、ジークリンデ。

「皆さん、やめましょうよ。セルゲイさんは真面目に悩んでるんですから」
 アーシャ・エルダー(ib0054)、騎士だ。
「同じ帝国民としてセルゲイさんの重圧はわかります。私でよければ協力しますよ」
 有難い。
 帝国民としてもであるが、やはり女子に囲まれている中、同性の存在は頼もしくふぐうっ!?
「――夫もいるれっきとしたオンナなんですけどっ!?」
 ――不覚、鎧姿を見てつい――。
「アーヒ、どうか気を落とさずに」
 褐色肌の青年、モハメド・アルハムディ(ib1210)――いや、

「――失礼だが――男性か?」

 痛い!?
「お・ヒ・ゲ・生えてらっしゃいますよね? 私そこまで男っぽいですか?」
「ラ、アーシャさん。魅力的な女性達に囲まれて混乱してるのですよ。ナァム、勿論アーシャさんも含めてね」
 器用な男だ。若いのに世辞の使い方を心得ている。
 それにしても変わった喋り方だ。ジルベリアの者らしいが、聞いたことがない。

「まあとりあえずは温泉を見てみましょう。私、楽しみで!」
 最後の一人、春陽(ib4353)。
 こちらも男の様だが、テンギの男は角まで生えてるのか――もしやこれが『チョンマゲ』というものか?
 って、痛い痛い! 振り回すな! 死ぬ! 千切れる!
 2mを軽く超す巨漢に握手ごと振り回され、危うく私の技師生命は終わりを告げるところだった。

●女湯での一時
「うわぁ‥‥凄い‥‥お湯で、水浴び、するんですね‥‥」
「あは、面白いこというね、レジーナ」
 同じジルベリア出身のレティシアだが風呂には慣れてる様子。
「水風呂ならあるんですけど‥‥お湯、は初めてです‥‥」
「美容にもいいですよ」
 長い銀髪を頭上で纏めて湯に浸かっているジークリンデ。
 髪を湯に浮かばせないのは天儀で身につけたマナーだが、髪に負けないくらいに白い二つの膨らみは湯に浮かべるに任せている。
(「お、おのれ‥‥こんなところに敵が‥‥! こやつに対抗するプレイングはなかったわ‥‥!」)
 湯で身体を隠すように肩まで沈めて口元でぶくぶくと泡を立ててる時雨。てゆーかプレイングってなんだ。
「大丈夫。時雨も充分綺麗さ」
「うがーっ! 人の心を読むなーっ、柳斎! それは余裕か? 持ち得る者の余裕なのか!?」
 突然怒り出した時雨にびっくりしているレティシアとレジーナ。
 そこに――、

「どうかな、湯加減は? 湯に入るのは初めてだが、熱くはないのかな?」

 のっそりと、185cmくらいの金髪の大男が入ってきた。全裸で。ブラブラさせて。え? ブラブラって勿論手ですよ? 三本くらいあるかもしれませんが。
 女性陣は濁り湯に浸かっている。
 セルゲイだけが堂々と彼女らに近付いてきた。
 気のせいか向こうで呼び止める男二人の声が聞こえるような――。

「ふむ、どれどれ? む、結構熱いな。この中に入るのか‥‥」

 全裸で爪先だけを湯につけるセルゲイ。女達を見下ろす体勢で。
 レティシアとレジーナ、それと時雨も固まっている。時が止まったかのように。
 ひくひくと表情を引きつらせる柳斎。唯一ジークリンデだけが困ったような笑みを浮かべていた。
「む、しかし女達が平然と入る湯に戸惑っていてはジルベリア男子の名折れ。いつまでも動じずに意を決して――」

「はいるなぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」

 アーシャの本気の一撃が一般人セルゲイを脱衣所の向こうまで吹き飛ばした。

●再びセルゲイ(ry
 あのような華奢な娘子に蹴り飛ばされるとは‥‥開拓者おそるべし。
 しかし男女別に入るのがテンギの慣わしであったか‥‥不覚。
「そうなんですか? モハメドさん」
「ラ、確かに混浴もありますが、基本別々です。ラーキン、しかし、この場合単純にルキアノフさんが田舎者だったというだけの事でしょう。アーヒ」
 涼しげな顔してえらい言う男だ。だが確かに彼女らの怒り具合を見るに私が悪いのであろう。
 反省と今後の課題の検討で私と春陽、モハメドの男三人はバーニャに足を運んでいた。
「いいものですね、ばーにゃ。お風呂も好きだけどこっちも気に入りました」
「ショクラン、ありがとう。気に入って頂いて何よりです。イザン、そこで地元の皆に慣れ親しんで頂く意味でもこのバーニャを提案したいのですが、カイファ、いかがでしょうか?」


「いいですね‥‥それ‥‥」
 風呂上りの相談で二つ返事のシュタイネル。
「バーニャか、それは考えなかったの‥‥」
 フロとバーニャ両方を知るレティシアも満更ではなさそうだ。
「ワ、それではバーニャの設計にアスタティーアゥ、取り掛かりましょう」
 いや、ちょっと待ってくれ。
 悪くない案ではあるし、彼らの助言は嬉しくもあるのだが、
 元々テンギのフロを期待されたのが私の任務である。バーニャで良いのならこんなに悩んだりはしない。
「ん‥‥確かに、せっかく珍しいものがあるんですから‥‥」
「それは構わぬが、結局風呂は作れるのか?」
 紬の言葉に肩を落とす。結局振り出しだ。
「大丈夫ですよ。私達が協力します」
 ジルベリア人である筈のエルダー達が頼もしい。私はなんと狭い世界で生きてきたのだろう。
 少年のようだとか思って悪かった。
「な・ん・で・そう一言多いんですか、あなたは!!」
 ぐおお‥‥どうも思ったことが口に出るのが私の癖らしい‥‥。

●ジルベリア・ブロ開始
「ひゃあ! 気持ちいい〜、アーシャ、競争だよっ!」
「負けませんよっ、帝国騎士はいつも鎧を着て鍛えてるのです!」
 霧先とエルダーは上機嫌で湯をかき分ける。
 風呂場で泳ぐのはマナー違反だ。春陽が言うのだから間違いないのであろう。
 だのに彼女らが嬉々として遊ぶ理由は至って単純。その為の施設を造ったからだ。

『ドーナツ型の泳げるお風呂なんてどうです? 水着着用で皆で遊びましょう』

 エルダーは子供向けだと言っていたこの施設――とんでもない。
 水泳は全身運動だ。そして身体に負担もかからず、怪我人のリハビリに良いとされている。

『天儀では温泉は傷病に効くとされ、戦う兵士達にも好評なのですよ。湯治と言われております』

 ジークリンデのその案と相俟って兵士達に好評だ。
 視察に来た兵士達も童心に帰っている。
 遊びながら戦闘に不可欠な筋力を鍛えられる。
 なんたる恐るべき設備。これを増やせばジルベリアの戦力は何割か増強されるだろう。
 問題は泳げるフロとそうでないフロがあるという事だが、

『こういうものは言葉で訥々と語っても頭には入るまい。もっと万国共通の土壌を作ってはいかがか?』

 紬が提案したのが絵を飾ること。確かにこれならば子供でもわかるし、何よりも見た目が良い。
 そうしてフロ場の壁には彫刻絵が飾られるようになった。
 驚嘆すべきは紬の腕。技師である私も絵心はある方だと自負をしていたが、紬のそれには技術職にない優雅さがある。
「うむ、旨い。天儀酒も悪くないが、ジルベリアならば本場のヴォトカか。セルゲイさんもどうか?」
 酒を楽しむ紬。絵画の一つにはフロの中で酒を酌み交わすものがあった。
 これが‥‥フロの真髄か‥‥!
 バーニャでは酒など楽しめない。酔いが回り、危険だ。
 だが頭が熱されないフロでなら――酒が呑める!
 ジルベリアの国民はバーニャも好きだが酒も好きだ。
 認めねばなるまい‥‥この娯楽性は‥‥!
「難しいお顔をされてますね‥‥私も一つ頂きましょうか」
 ジークリンデが紬から酒を受け取ると、私にも注いでくれる。
「あー! ずるいー! 私もー!」
「こっそりと酒宴なんて皇帝さんが許しても私達は許さないわよー!」
 驚くべき嗅覚で嗅ぎ付けたか、エルダーと霧先も水着姿で走ってくる。
 まったく若い娘達がはしたない。
「アンタにはしたないと言われたないわよ!」
 そのままの勢いで飛び蹴りを受け、頭がもげかけた。

●ジルベリア・ブロ完成形
「テンギの人っておっきいのねえ、立派な角まで生えて」
 春陽の容姿は開拓者の珍しい地元の人間達に受けがいい。
「ありがとうございます。これ、どうぞ」
「なにこれ? ここで食べるの?」
「ええ。温泉饅頭っていいます。ハーブの香りで食欲も増進しますよ」
 ここは先程とは別のフロ、ハーブ湯というものらしい。


 開拓者達の案は素晴らしい。それだけに私は悩んでいた。
 もしかして彼らに任せていれば私はいらないのではないか?
『――僻みを覚える年か』
 僻みに年が関係するのかはわからぬが、霧先は仁王立ちで叫ぶ。
『己一人で至れる境地など高が知れたものッッ』
 何故か口調がおかしい霧先。鬼のような威圧感だ。
『強くなりたくば――“取り込め”(くらえ)ッッッ!!
 天儀もジルベリアもなく取り込めッッッッ
 泰も新大陸も取り込めッッ
 飽くまで取り込めッッ
 飽き果てるまで取り込めッッ
 天儀千年をパクりまくれッッ』
 バカな‥‥
『我々八人の意見を取り込みつつも――足りぬ温泉(フロ)であれ。
 セルゲイとやら――祝福するわよ』

 言ってることは半分くらい理解出来なかったが、そんな私にレティシアも微笑みかけた。
『議会の人達、できるって信じてる。わたし達もそう。
 ――信じてないのはセルゲイさん一人だけだよ?』
 ハープを響かせる少女。
 湿気の多いこの場所に楽器は良くない。それを承知で励ましを送ろうとしてくれているのだ。

 皆の暮らしを支えてる 皆の心を潤して
 疲れた身体に染み入る安らぎ 優しき彼のものその名はセルゲイ

 即興の唄だった。けれど私の事を知っているかのような詩。
 いや、知っているのだろう。私の事を知っている街の者達が私を信じていることを――知っている。

 ありがとう。レティシア、霧先。
 私はテンギを超える必要はない。
 街の皆が、陛下が喜ぶフロを造れればいい。
 それ以外はいらないッッ!


 八人八様の意見。そのどれもが素晴らしいと感じた私は全てを採用した。
 勿論、湯量は足りている。
 レティシアのハーブ湯もその一つだ。同じジルベリア人とはいえ、旅人の彼女と定住者の私とでは知識の内容が大きく異なる。
 つまりはそういう事だ。彼女にしか出来ぬ事があるように。私は私の出来る事をやれば良い。

「あら、これ‥‥」
「食用のハーブを練り込みました。天儀にあるよもぎ饅頭みたいなものです」
 春陽とレティシアの案は女性客に受けがいい。

 男性客や高年齢層に好評なのがアルハムディやシュタイネル。
 バーニャだった。
「やっぱり俺らはこっちの方が落ち着くね」
「お嬢ちゃん、頼めるかい?」
「は、はい‥‥」
 ヴェニークを行うシュタイネル。
 木の枝で身体を叩かれる男達はなんとも気持ちが良さそうだ。
 変化を望まぬ者もいる――か。私はテンギへの対抗心ばかりで大事な事を忘れていたようだ。
『ラーキン、だけど、そのままっていう訳でもありませんよ? それではあまりに芸がない』
 アルハムディの示した新型のサウナ。装飾はさらに独特。風呂場に絨毯を敷く等となんという贅沢。
『重厚な柄のサッジャードゥを敷いたバーニャは、ビラー・シャッキン、きっと、誰の心をも豊かにするでしょう。
 インシャッラー』
 フロを学ぶだけでなく、バーニャの技術も向上する。開拓者から得られるものは想像を遥かに超えて大きい。

 そしてやはり最も客入りが多いのが主格の大温泉。
 テンギの王道というやつをジルベリア風に改善してみた。
 装飾においては開拓者達の力を多分に借りている。エルダーやシュタイネルらの造った動物達の彫刻が愛らしい。
 ちなみに私は陛下の彫像を造ろうと思ったが却下された。臣民達が畏まり寛げないと。確かに尤もだ。

「風呂は寛ぐのが基本さ。セルゲイ殿も今は完成を楽しみ御一緒せんかね? ただし水着着用でな」
 紬に促され、湯に入る。どうもテンギでは異性間では全裸の解放感を慎む風潮があるようだ。
「だからジルベリアもそうですってば。ふざけたこと言ってるとまた蹴り抜きますよ?」
 エルダーが恐ろしい。
「くくっ、天儀にも裸の付き合いはあるがね。むしろ場所によってはジルベリアよりも‥‥だが――」
 ちらりと霧先やエルダーに目を向ける紬。

「勘弁しておいてやれ。察する優しさも紳士の嗜みだぞ?」
「ちょっとそれどういう意味よ!」
「柳斎さん!?」
 浴場には娘達の声が賑やかに響いていた。