【神乱】反逆者捜索
マスター名:龍河流
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: やや難
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/19 22:52



■オープニング本文

 コンラート・ヴァイツァウを捕らえろ――帝国軍は大帝から下された命令に従い日夜その行方を追っていた。
 巨神機の爆発に乗じ、反乱軍に雇われていた傭兵部隊隊長スタニスワフ・マチェク(iz0105)によって拉致され、以後消息を絶った反乱軍の総大将。その肩書きから考えれば総大将は部下であるマチェクに救出され匿われているとも予測出来るが、そうとも言い切れないのはマチェクが開拓者達に残した言葉があったからだ。

 ――‥‥俺は開拓者に恩がある‥‥

 コンラートの相談役ロンバルールがアヤカシである事を、危険を顧ず本陣に潜り込んで調べて来た開拓者がいた。
 それをマチェクは「恩がある」と言い切った。

 ――‥‥俺達の手で勝手に始末したり、帝国に引き渡すような真似はしない。必ず、あんたら開拓者の手を介する‥‥

 本人がそうと言わずとも、それは『約束』。
 マチェクは必ずコンラートの身柄に関して開拓者の意見を求めるべく姿を現すだろう。だがしかし、何の確証もない彼の言葉を帝国軍側が無条件で信じる事はない。故にジルベリア国内は戦が終わった今も不穏な緊張感に包まれ、首都ジェレゾをはじめ人の気配ある処には武器を携えた騎士達が険しい表情で休む間もなく行き来していた。
 マチェクらが乗った船が国を出た気配はない。
 ならば、その身柄は必ず国内にある――。



 ジェレゾの開拓者ギルドを、白に近い銀髪に蒼い瞳をした高貴な少女が訪ねてきたのも、コンラート捜索を依頼するためだった。
「陛下のご命令とあらば早急に実現すべきだが、なにしろ相手はあのマチェクだ。傭兵ならば、無能な主など見捨てて逃げそうなものだがな」
 のんびりした口調で、供された香草茶に蜂蜜を入れて、銀の匙でかき回している。反逆者の捕縛は一刻を争う重要事項のはずだが、慌てている様子はない。
「命懸けで助けたくなるほどの人物にも思えないが」
「スタニスヲフ・マチェクと言えば、姫のお耳にも入る傭兵隊長です。同時に彼は騎士でもある。それがアヤカシと共闘していたなどと疑われている現状は、さぞかし矜持を傷付けられることでしょう」
 姫と呼ばれた少女は軽く頷いて、茶を含んだ。少しばかり表情が和んだのは、茶の味が満足のいくものだったからだろう。
 だが、話の続きを促すようにジノヴィを見た視線は、すでに冷静なものに戻っている。
「陛下であっても汚すことを許されぬ、騎士の誇りか」
 実際は彼我の権力差で踏み潰されることもあるし、能力はあれど騎士たる気概も覚悟もない者もいる。それでもジルベリアにおいて、騎士の誇りはこの上なく重要だ。
「コンラート・ヴァイツァウがアヤカシと手を結んでも復権を求めたのかは不明です。ですが反乱軍の投降者には、ロンバルールの正体を聞いて抵抗を止めた者も多いと聞きます」
「話が長い」
 ばっさりと切って捨てられ、ジノヴィは少しばかり目尻を下げた。それでも苦笑の気配が伝わって、相手が不機嫌にならぬうちに口を開く。
「マチェクはコンラートを助けたのではなく、事実を確かめ、今回の契約の無効を申し立てるために、拘束しているのかもしれません」
「契約の無効? すでに散々戦って、決着もついた後でか?」
 流石に納得がいかないと表情に出した少女だったが、少し考えて納得したようだ。
 負け戦だからと、傭兵が雇い主を捕らえて敵方に突き出すことがないわけではない。だがそんな傭兵は次から契約相手に困ることになる。マチェクとて、雇い主を裏切ったとの汚名を好んで被りはすまい。
 だが、仮にコンラートがアヤカシと通じていたのなら、それを理由に堂々と皇帝に身柄を引き渡せる。同時に人倫にもとる振る舞いをしたことを理由に、契約そのものを否定してのけるだろう。
「それでも、陛下の軍に楯突いた事実は消えぬが‥‥」
「今捕まれば、反逆者の一人として死罪は免れぬでしょう。それがしばらくの冷遇で済むのなら、迷わずそちらを取るのでは」
 前線を知らぬ者に冷笑されたとて、マチェクは意に介さぬだろうし、彼の実力を失うのは損失と考える貴族も少なくはない。敵視する者も多かろうが、傭兵がジルベリアでは重要な兵力の一部であることは間違いないのだ。所領が貧しい貴族などが、領民と共に傭兵団を組む例も幾つもある。
 そうした例が特に多いジルベリア北方の地を色濃く引く少女は、不意に笑った。高貴な身分にそぐわぬ、ニヤリとしか表現できない笑い方だ。
「よし、ヴァイツァウの愚か者も重要だが、マチェクを捕らえられたら報酬を倍増しにしよう。陛下に取り成してやる代わりに、一年くらい北方の前線で戦ってもらおうではないか」
 あっさりと難しいことを言い放ち、少女は速やかに自身も捜索に向かっていった。

 逃亡中のコンラート・ヴァイツァウの捜索と捕縛。
 それにスタニスヲフ・マチェクと傭兵団の拘束が加わった依頼が張り出されたのは、すぐのことだ。


■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
六条 雪巳(ia0179
20歳・男・巫
那木 照日(ia0623
16歳・男・サ
鬼啼里 鎮璃(ia0871
18歳・男・志
酒々井 統真(ia0893
19歳・男・泰
八十神 蔵人(ia1422
24歳・男・サ
ヴァレン・レオドール(ib0013
20歳・男・騎
狐火(ib0233
22歳・男・シ
長渡 昴(ib0310
18歳・女・砲
ブリジット(ib0407
20歳・女・騎


■リプレイ本文

 あまり品のよくない悲鳴が上がったのは、先の争いで反乱軍側に付いた領主を持つ小さな町でのこと。
「ここは貴公らの領地と言うわけではあるまい。たとえ皇帝陛下の騎士であろうと、他者の領地で非道な振る舞いなど許されんぞ」
 ヴァレン・レオドール(ib0013)が腕をひねり上げているのは、どう見ても騎士ではなく兵士だろう。帝国軍のうち、まだ南方に駐留している軍の中の不心得者が、市場でたかりをやらかしていたのを見咎めて、多少手荒に制止したところだ。
 彼の背後では、もふらの面で顔の上半分を適当に隠した梢・飛鈴(ia0034)が、被害にあっていた露店のピロシキを買って頬張っている。もう一人、六条 雪巳(ia0179)もいるのだが、こちらもおっとりと様子を眺めているだけだ。
 逃亡中のコンラートやマチェク一党が、反乱軍側だった領地のどこかに潜んでいるのではないかと情報収集に来た彼らは、その風体から早々に開拓者だとばれていたらしい。天儀や泰国の者など年に一人見るかどうかの片田舎。見慣れない異国人は開拓者だと、先の争いで住民は覚えていたようだ。
 だから先の兵士のように、厄介なことをするに違いないと戦々恐々としていたら‥‥
「そっちの揚げたのも欲しいアルよ。お代は同じカ?」
「いや、あの助けてもらったし‥‥」
「それはそれ。お代は別物。あの御仁は礼が欲しくてやっているわけではないでしょうし」
 飛鈴も六条も、偉ぶったところはなかった。よく話せば、ヴァレンも込みでずれたことの一つ二つは言いそうな三人組なのだが、露店の買い物程度ではぼろは出ない。仮に出たとしても、『この三人、皇帝側だけど悪い奴じゃない』と驚いている人々は、気付かなかっただろう。
 兵士の狼藉をきつく戒め、取り立てて用があるわけではないと聞いて、ヴァレンはまず彼らをとっとと追い出した。その間にここまでの移動で減った饅頭を似たような軽食で補充した飛鈴と、乗ってきた馬に水を飲ませて休ませた六条とで、手分けして町の住人にコンラート達についての情報を知らないかと尋ね出した。
 本当は目立たないように別行動と考えていた者もいるが、一人でもまず目立つのと、万が一に傭兵達と出くわして、抵抗してきたら危険だからと三人で移動してきたが、情報を集めるには手間が少なくていいようだ。

 依頼を受けた開拓者達が、各地に散って情報収集に勤しむ少し前。
 マチェク達がコンラートを乗せて逃亡した飛空船は、すでに発見されていた。その位置は捜索に加わる開拓者達にも正しく伝えられていたが、帝国軍の捜索では移動した先を示すような痕跡は発見されていない。流石にそんなものを残す相手ではないだろう。
「よろしいですか、これが飛空船の経路で、着陸可能地点は×印で記してあります」
 だが、飛空船の最終停泊地とは別のところで降りているのではないかと疑う開拓者は多く、長渡 昴(ib0310)は飛空船工房や停泊地に出向いて、技術者や飛空船乗りに目撃情報からどんな飛行経路を取った推測されるか、その経路の途中で離着陸するとすればどこかと尋ねてきた。実際に飛空船に乗る人々の助言はかなり詳細で、この情報を元に他の開拓者も捜索範囲を決めている。
 大抵は航路に沿って、人里を次々と訪ねて行く計画だったが、鬼啼里 鎮璃(ia0871)だけは反対方向に目を向けていた。飛空船を囮に、途中で降りてどこかに潜んでいるとの推測もあるなら、船とは反対方向に逃げた可能性も捨てきれないからだ。
「あれだけの人数ですから、そうそう隠れてはいられないと思うんですけどね‥‥」
 もしかしたらマチェクとコンラートだけ別行動で、傭兵達も幾つかに分裂してどこかで合流を図っているかもしれない。
 この辺りのことは、行く先の相談をする最中に話に出るから、当然他の者も心掛ける。反乱軍に加担した地域の方が隠れやすいのでは、また人数が人数だから十分に食料の持参はなく、必ずそれを仕入れに人里に現われるはず、などの着目点が挙がった。
「マチェクが開拓者にヴァイツァウを引き渡すと約束したからには、私達以外の開拓者と接触しているかもしれません」
「あの、あの‥‥服装も、気をつけないと‥‥」
 出入りするならどういう場所か、傭兵らしい連中を見付けたらどう連絡を取るか、また誰がどの街に向かうかなども突き詰めて、出来るだけ移動が簡便な経路をそれぞれに割り振る。
 ブリジット(ib0407)や那木 照日(ia0623)は、特にジルベリア人以外が目立つことに意識を向けていた。ジルベリア人以外が集団でいれば開拓者の可能性が高いし、同様に自分達も注目されやすい存在なのだ。いっそそれで目立つのも一つの方法だが、少なくとも味方とそれ以外の区別は付けられるようにしておかなくてはいけない。
「開拓者ギルドでな、把握している捜索隊の上役はこんなとこだべよ」
 すでにジルベリア人らしく見える変装も済ませ、言葉遣いから変えている狐火(ib0233)が差し出したのは、彼らの依頼人を含む捜索隊を出している貴族や騎士の名前の一覧だ。これが全てとは限らないが、出会った者が誰の部下か確かめた時に、ここにない名前が挙がれば手掛かりとなる。
 後は他の捜索隊と共に包囲の輪を狭めて、可能な限り自分達が最初にコンラートの所在を確かめられるように、努力するだけだ。
「あのお坊ちゃんにも、ケリを付けさせなきゃ、な」
 酒々井 統真(ia0893)が言う通りに、コンラート・ヴァイツァウが所在不明のままでは、今回の南方の戦乱は終わらないのだ。

 開拓者ギルドから龍は目立つからもとより準備していないと断られたので、希望者は馬を借り出して、適宜集合と分散を繰り返しながら捜索を開始した。開拓者であることを明らかにして探す者もいれば、隠して活動する者もいる。それでもその土地土地の礼節を守り、敵意はないことを示せば、多くの一般人は人の出入りの有無や商売の具合などを話してくれた。帝国の支配を嫌う町村でも、今回の反乱には失望感の方が大きいようで、混乱した生活の先行きを心配する気持ちの方が強いらしい。他の地方の情報を聞きたがる人が多く、それと交換での情報収集は案外と順調だった。
 けれども、流石に反乱軍に近かった様子の武人は警戒心が強いし、そうした人々を相手にする酒場や宿の者も初対面の相手に他の客のことはなかなか教えてくれない。そうした辺りを中心に調べていた照日やブリジット、酒々井は最初のうちに苦戦したが、一番は‥‥
「待て待て待て、違うぞっ。俺達は開拓者ギルドから来たんだ!」
「あわわわわ〜」
「コンラート・ヴァイツァウに味方したのではなく、捕まえに来たのです」
 地元有志の若者達が落人狩りをしていたところに遭遇し、やおら突然に刃物を突きつけられたのが最大の難関だった。
 照日は泡食って顔を隠そうとして余計に怪しがられるは、酒々井も咄嗟に身構えて見た目のような少年ではないことを示してしまい、一触即発だ。槍は手にしていたものの、相手の突き出した刃物が農具ばかりと見て取ったブリジットが、自分達の身分を明らかにして、それでも相手を納得させるのにはしばらく掛かった。
 落人狩りをするくらいだから反乱軍には恨みがあるのだろう若者達は、なんらコンラートやマチェクについての情報は持っていなかったが、周辺地域で今の時期に大人数の食料が手に入りやすい場所については教えてくれた。その情報を他にも回して、少しばかり担当地域に変更を行い、また情報収集に努める。

 皆とは違う方向に出向いた鬼啼里は、あまり大人数ではない武人の集団の動向を調べていたが、なかなか目的の相手らしい目撃証言には当たらなかった。
「僕もまあ‥‥合流したい相手がいまして」
 代わりのようによく見かけたのが、反乱軍に加わって所在が知れない有力者探しをしている一団だ。コンラートやマチェク以外にも追われる対象がいるようで、一度ならず『色々聞きまわっている怪しげな奴』と身分を追求されてもいる。大抵は誤魔化すが、相手の態度によっては開拓者と名乗って難を逃れた。
 念のために相手の風体もよく観察したが、いかにもジルベリア生まれ育ちで、それなりに身分がありそうな指揮官とその部下といった様子の捜索隊は傭兵や開拓者のようではない。ただあまりに度々出くわすので、この周辺では逃げ隠れも難しかろうと‥‥そうした事情を察することは出来た。

 最初に情報を仕入れたのは、避難先から自分の住まいに戻る農夫に扮した狐火だった。
 先々の食料高騰が気になると嘯き、大量に食料を買い付けた人物の有無を探していて、輸送中の荷が途中で買い付けられてほくほくしていた商人がいると聞き込んだのだ。
「村に帰れば、ちっとは出荷できる作物も取ってあるだべ。高値で売れるだが?」
 どういう人がたくさん買うのだろうと、ちょっとばかりその商人の荷卸を手伝ってやって、『どう見ても兵士が数人だった』相手と出会った場所込みで、知ることが出来たのである。
 移動はするが、基本は他の者達が集めてきた情報の受け渡しを仲介する役割である狐火が、この情報を手に入れたことで、全員に伝わるまでにも時間が掛からず、皆が動きやすかったのも良かっただろう。

 それとは別に、他の捜索隊を名乗る面々に出くわしたのは、その時は単独行動だった飛鈴と、こちらは一緒に行動していた長渡とヴァレン、六条の三人だった。
 飛鈴は、先とは違う町の露店で、持参の饅頭と食べたことがない饅頭っぽい食べ物とを交換していて、通り過ぎていく一団を目に留めていた。今までも捜索隊には何組か出会っているが、多くは装備が似ていたり、服装に共通点があったりする。そうでないのは開拓者である自分達くらいで、似たような一団がいれば開拓者かもとは、ブリジットが口にしていたことだ。
 顔を覚えておいて、後で合流したら書き溜めてあった似顔絵と比べてみるかと、口は食べるのに忙しいままに飛鈴は考えていた。
 三人組は、たまたま道を外れて、他者の移動の痕跡らしいものを追っていた時に出くわしている。咄嗟に互いに身構えたが、いきなり攻撃するような真似はしない。
「そちらは、どちらから?」
 こういう時に開拓者だと名乗って、最初の会話の糸口を掴むのはおおむね六条だった。街中であったなら、女性の長渡のざっくばらんな問い掛けがかなり有効だが、緊張をほぐすには六条のおっとりした声がよい。相手が身分に固執するような人物だったら、見るからに貴族らしいヴァレンが対処するが、そんな相手ではなかった。
 双方共にコンラート・ヴァイツァウ他の行方を捜しているのだと言い、互いに捜索した場所やそこで仕入れた情報、通った町村の様子など、役立ちそうな話を交換する。普通は自分達が功績を挙げたいから、これはと思う情報は黙っておくもので、そこを探り合うような会話もなくはない。
 ただ、誰の配下、または依頼かと尋ねた際の反応や、こちらを注視する際の様子などが、他の捜索隊と違っていたのは事実。それだけで決め付けは出来ないが、警戒すべき相手に分類したのは致し方ない。
「お互い景気のいい話が出来るといいなぁ」
「貴重な情報の提供には感謝する」
 長渡と軽口も交わし、ヴァレンのやや堅苦しい謝辞に会釈を返したりした一団の告げた内容が、他の者が集めた情報と食い違っていたことが分かったのも、その気持ちを高めている。

 けれども結局、彼らをコンラートやマチェクら傭兵団の元に導いたのは、食料を大量に仕入れなければならない大所帯ゆえの足跡だった。
 コンラートがアヤカシと手を結んだのか、それとも謀られていたのか、そこをはっきりさせたかったのだろうマチェクは、別の開拓者達と接触を図っていたが‥‥そこについては、一同から責める様な言葉は上がらなかった。
 そして、開拓者にコンラートを委ねることにマチェクは反対をせず、コンラート当人も何をどう聞かされ、言われたものか、その言葉を悄然と聞いていた。ならば彼らは開拓者ギルドにコンラートを引き渡すべく連れて行くだけである。その点は、マチェクが接触を図った者達もおおむね異論はないようだ。
 ただし。
 開拓者ギルドで依頼を受けたわけでもない者達が連れて行けば、その行動の詳細を調べられるのは目に見えている。それで独自にマチェクらと繋がっていたなどと判断されたら、彼らの身柄も危なかろう。傭兵隊との間に多少の押し問答はあったが、『マチェクが自ら引き渡してきた』とあながち間違ってはいない話にすべきだろうと、幾人かが主張した。
 他にも同様の依頼を受けている開拓者が相当数いて、この近くで活動しているようでもある。うまく合流できれば、そちらと一緒に連れて行くことにしたら、少なくともマチェクの意向は叶えられるはずだ。コンラートと一緒に反逆者扱いされないためにも、取れる道は限られている。
 先方の開拓者はコンラートの命を惜しんでいる様子も伝わってきたが‥‥
 そちらを振り返る事のないコンラートを引き立てて、彼らはジェレゾへ帰ることとなった。