|
■オープニング本文 「天儀だと志体、泰国だと仙人骨、ジルベリアだとテイワズとかテュールだったかな?」 「そうそう。あんまりテイワズって呼んだことないけど」 「どうしてだ? おまえ達はそのジルベリアの生まれだろう?」 「だってそういうお人は、大体騎士か魔術師か、なんかしらになってるから。こっちでもベドウィンや砂迅騎の誰それとか呼んでるだろ?」 儀の名前はアル=シャムス。国の名前はアル=カマル。 正式名称はもっと長いようだが、先日、各国商人の寄り合い飛空船が到着した場所は、街の外から一面砂、地平線までその光景が望める『砂の国』だった。街そのものは川沿いで、飲用水はもとより農業用水にも困らない場所だが、風はひどく乾燥している。 限られた水場の周辺で暮らす人々の生活は、当然他の儀とは大きく異なり、水が潤沢な地域では考えられないほどに水源の使用権や保全に厳しい決まりごとがあった。例えば限られた水を独占することは出来ないし、水源を汚染すればきつい罰を受ける。 現在、川べりのなつめの木の下に日よけ布を張り、その下で砂地に地図を描きつつ話をしているジルベリアの装飾品商人兄妹が乗ってきた飛空船は、水源を汚した空賊まがいと間違えられて襲撃された。同乗していた開拓者達の尽力でひどい怪我人も、積荷の被害も出ずに済み、街の人々相手に商売が開始出来たのだが‥‥賊はいまだに捕まっていない。 「国の地図って、こんな感じ?」 「この辺りはそんな風だ。神の巫女がおわす首都のステラ・ノヴァはこの辺りになるかな」 「神の巫女ねぇ。うちの国では、神って印象悪い言葉なんだよな」 「なぜだ? 神託を受ける方はいないのか?」 「いないいない。話せば長いことながら‥‥」 街の住人達は、『ジン』と呼ばれる天儀で言うところの志体持ちの人々を中心に賊の捜索をしており、何度かの小競り合いの末に近くの海岸で相手の飛空船を飛行不能に追い込んだが、賊達は近くの岩場にある洞窟内に逃げ込んでしまっていた。日頃から隠れ家にしていたようで、地の利がある賊相手に、街のジン達も攻めあぐねている。 そして、なつめの木の下でわざわざ互いの文化の確認をしていたのには、その賊の討伐が関係していて。 「お前達の仲間は自信たっぷりだったが、開拓者というのはそれほど頼りになるのか?」 「だって、向こうのジンだもの。空賊って、普通の人も混じってるんでしょ? ぽぽいのぽいよ」 「氏族を通じることなく、ジンだけが集まる組織があるとは興味深いな」 「この間の護衛も、探す手間がなくて助かったし。来るのに日数が掛かるのが難点だけど、いい増援になると思うよ」 「精霊門で行ける場所にいてくれれば楽なのにな」 「こっちにも精霊門あるのっ?」 天儀側から来ていた商人には、この探索を命じる側と懇意にしていた者も混じっていた。彼らは今後の商売拡大のために、赤の川面の氏族と名乗る人々の苦境を助ける代わりに、ぜひとも国の有力者とつなぎを取って欲しいと願い、旅人とは友好的な関係を第一とする赤の川面の氏族は、実際に援助してもらえるなら恩は返すと話がまとまった。 それで、天儀からの飛空船はこちらで仕入れた積荷を満載し、少数の居残り希望組を置いて、新たな商品の仕入れと赤の川面の氏族に助力するための開拓者を集めに、帰りの船旅に出発して行ったところだ。 それから数日の後、各地の開拓者ギルドでアル=カマルの洞窟で空賊退治という、いささか面妖な依頼が張り出される事になった。 |
■参加者一覧
無月 幻十郎(ia0102)
26歳・男・サ
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
霧崎 灯華(ia1054)
18歳・女・陰
奈良柴 ミレイ(ia9601)
17歳・女・サ
ハイネル(ia9965)
32歳・男・騎
尾上 葵(ib0143)
22歳・男・騎
モハメド・アルハムディ(ib1210)
18歳・男・吟
リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)
14歳・女・陰
フランヴェル・ギーベリ(ib5897)
20歳・女・サ
ジク・ローアスカイ(ib6382)
22歳・男・砲 |
■リプレイ本文 洞窟の中を降りて登って、大分地上近いと思われる場所で、無月 幻十郎(ia0102)は追い詰めた敵相手を怒鳴りつけた。 「そっちに逃げ場はねぇ!」 それでもなお奥に向かおうとした一人の背から血飛沫が飛んだのは、 「この槍はねぇ、突くためのものじゃあないのよ」 殲滅数一位の座は自分の物と、場違いにほくそえむ霧崎 灯華(ia1054)の斬撃符のためだ。叶うならそのまま手にした陰陽槍「瘴鬼」で突付き回しそうな態度だが、あいにくと洞窟の幅が無月より前に出ることを許してくれない。 そんな状況でもなお奥を目指した空賊の魔術師を追おうとした無月に、ハイネル(ia9965)が制止の声を上げた。 血塗れで蹲った空賊が、その辺りを走る時に不自然な動きをしていたのを見て取っていたハイネルの読みは当たっていたようで、敵方はいささか狼狽した様子を見せた。だがそれも僅かの間で、行き止まりとしか思えぬ場所に向けて魔術を放ったが、 「命惜しくば、そもそも悪事に手を染めたのが間違いだな」 脱出の機会となるはずだった場所がそうではないと知った相手に、ハイネルが平坦な声で当たり前のことを告げた。当然過ぎる指摘に負傷した賊さえもが凄まじい怒りの表情を見せたが、あいにくとその程度で怯む者はいない。 返ったのは嘆息が一つ、冷笑が二つ。 洞窟内に響く様々な音から、モハメド・アルハムディ(ib1210)は風の音を聞き取った。 「ヤー、この奥に、裂け目があるようですね」 けれども音の様子と淀んだ空気の臭いからして、大きな亀裂ではないはずだがと首をひねったモハメドに、リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)はわざとらしく肩をすくめて見せた。 「外れを引いちゃった気がするわ。前を行く奴が魔術を使うようには見えないもの」 後からついて来る兵士にしたら、可愛らしく鼻の頭に皺を寄せたリーゼロッテが魔術師だという方が納得いっていない様子だが、じりじりと後退するばかりで逃げ道が確保できているとは思えない賊の態度は演技にも見えない。何箇所も細工していた様子もないから、確かに彼らは『外れを引いた』のかもしれなかった。 それならとっとと片付けて、外に回らなければと苦笑したリーゼロッテに、心底からではなさそうだがそれに同意したモハメドが夜の子守唄を使えたのは、賊にとって幸運だったのかどうか。 赤の川面の氏族の者を殺害し、その遺体を放置することで水源を汚染したと追われる空賊一味が逃げ込んだ洞窟は、他と隔絶した入り江の奥にあった。十メートルあまりの崖の下、歩くのも容易ではない岩場に囲まれた入口は、海からでないと近付けないから近隣住人の誰も近付くことはなく、隠れ家としては使いやすかったのだろう。あることは皆知っていたが、誰も注意を払っていなかったのだ。おかげで見張りは置けても、内部に入ると追い返される始末だが、開拓者という応援を得た状況なら今度こそ追い詰められると、地元の人々は意気盛んである。 その様子を見るとほぼ無理だろうとは思いつつ、フランヴェル・ギーベリ(ib5897)が投降の上で内部の情報提供をする者が出た場合も死罪かと確かめると、先方はしばし不思議そうな顔をした。まったく考えたこともないことを言われた顔付きだったが、 「お前の国では、子供を殺した犯人を見逃すことがあるのか?」 「子供‥‥それは心情的にもないかな」 事件の細かい事情を聞いたフランヴェルの反応に、そうだろうと納得している。彼女の故郷のジルベリアでも、ここアル=カマルでも地域により刑罰に差はあるのだが、子供を殺した犯罪組織に温情をかけるところは滅多になかろう。 更にフランヴェルの場合、なにやら内にこもった怒りが感じられるが‥‥苦々しいものを感じたのは彼女一人ではない。 「その言いっぷりやと、生かしてつれて来て、皆の前で裁きを受けさせるっちゅうのに拘る必要はあんまりないんか?」 生死不問の依頼だが、被害者側にそうした感情があるのではないかと考えていた一人の尾上 葵(ib0143)が尋ねると、逃がさないことの方が大事だと返ってきた。これまでに決着がつけられていないことが、住人達の側では大変な心理的負担らしい。 現地情報に開拓者よりは詳しいジルベリア人商人兄妹によれば、絶対的禁忌に対する処罰ももちろんながら、大抵の氏族は自分達の土地を通る商人の護衛を重要な仕事の一つにしている。いつまでも空賊が逃げ回っている現状は、氏族の護衛達の力量を疑われる事に繋がり、今後の生活が掛かっているから必死なのだ。無論、単純な報復感情も強い。 ちなみに赤の川面の氏族は、罪人は弔わずに海に流す習慣があり、その様子が見届けられれば遺族も文句はなさそうとのことだった。 「じゃあ、どんどん退治していいね」 あっさり言い放った奈良柴 ミレイ(ia9601)ほど思い切りよく行けなさそうな柚乃(ia0638)などもいたが、どう聞いたところで情状酌量の余地はない。なれば味方に怪我人を出さないように努めるだけだと、視点を変えたのだろう。 「ええと、巫女だからって後ろにいては呼ばれた意味がないのですが」 だが柚乃の場合、やたらと巫女を尊ぶ習慣もあるらしい氏族の兵士達に、『自分達の後ろにどうぞ』と勧められるのを断るところから始めなくてはならなかった。『神の巫女』とやらとは別物なのだから、普通に扱って欲しいと身振り手振りまで交えて訴えている。 「さて、もう一度お互いの手の内を確かめたら、罪を犯した者に報いを受けさせに行こうじゃないか」 開拓者は全員そのために来たのだしと、柚乃を応援しているのか突き放しているのか不明の調子でジク・ローアスカイ(ib6382)が皆に持ちかけた。誰も否やはないので、敵味方を誤認しない目印やそれぞれの役割分担、なにより双方の『ジン』がどんな技を使うのか確かめ合って、一行は洞窟に向かう事になった。 その前に、一度遠回りをするのだが。 洞窟の周辺には、氏族から派遣された兵士達が見張りに立ち、空賊達も洞窟の中から時折様子を窺って、ごく稀にこちらから矢が、向こうからは銃弾が飛んでくる状況が出来ていた。 「中で銃が使えるのなら、この位置でも中の湿気はたいしたことはなさそうだな」 この気候で湿気まであったら堪えると、ジルベリア生まれのハイネルは珍しく安堵した様子が明らかだ。同じジルベリア出身でも、フランヴェルはからっとして気持ちがよいと言うから、帝国内でもどのあたりの生まれかも少し関係するようだ。ハイネルとて多少の悪条件で動きが鈍ることはないが、湿度は明かりや足場に関係するから気に掛かったのだろう。 気候についてはどう思ったか知らないが、砲術士のジクも相手が銃を使っていた時の様子は気に掛けている。ついで灯り持ちの兵士に、敵と遭遇した際の対応を打ち合わせていた。 柚乃も内部の見取り図作成担当の兵士と手分けして、進んだ道に付ける目印と道具の確認をしている。開拓者で見取り図や記し付けを担当する者はいないが、先行しすぎるとはぐれる恐れがあるからどのくらい離れたら戻るかや相互連絡の手段もよく相談しておく。灯華はどんどん進みたいと零していたが、周りの無言の圧力に無理を言うのは止めていた。 「連携が大事やで。特に地元のあんさんらとな」 尾上の言葉を、言われた者がきちんと耳に入れたかどうか。それ以外のほうが肝に銘じていたかもしれない。 なんにせよ、予定の三班から四班に振り替えた四班目の準備完了の笛の合図を待って、一行は洞窟から見える場所に向かったのだった。 入口での誘き出しは、これまで数回の殲滅作戦で警戒を強めていた賊が偵察を出してくることもなく、なにやら中で走り回っている足音を確かめて中断された。咆哮に掛かった者もいないのか、単に途中で仲間に引き摺り戻されたか、一人も姿を見せないのは明らかに待ち伏せをしているのだろう。賊も囲み輪突破して海に逃げるのが上策なので、必死と見える。 入って少し進むと二又になっていて、右に向かうと幅高さ共に洞窟内では広くなる。そこまではこれまでの戦闘で判明しているが、左側は何かどうなっているか不明な中を、フランヴェルとベドウィンの青年を先頭に、次にジクと尾上が辺りを警戒しながら続く。背後には灯り持ちの兵士が付き従っていた。 この四人が様子を確かめると、ミレイ、柚乃に他の兵士が追いかけるが、こちらの通路は分岐が多かった。細かく分かれるかどうか、少しばかり悩むところだ。結局、先頭と二番手がそれぞれ一番、二番目の分岐に分かれ、ミレイと柚乃は兵士と一緒に片方ずつについていく。どうせ相手にもこちらの存在はばれているから、暗号化した進路具合や人数を示す記号は壁にでかでかと書いた。 と、最初に敵にぶつかったのは、ジクと尾上で。 「ええっと、五人ですね」 こちらからは見えにくい分岐点に潜んでの攻撃を掛けてきた賊を数えて、柚乃が笛を吹いている。突き出された短槍と腰だめの銃身とを、それぞれの武器で跳ね上げ、あっという間に叩きのめし、そのまま奥への銃撃やポイントアタックでの一撃に移行したジクと尾上は、倒れた賊から他の仲間の居場所を聞き出そうとしている。 柚乃は撃たれた賊に手を差し出しかけて、治癒を掛けるべき相手ではないと迷いつつ引っ込めていた。何とか逃れようとする側は兵士達が縄を掛ける間も抵抗していたが、ジンが一人もいないのでは、尾上やジクの簡単な応援で身動きもままならない状態にされていた。 「人の物を奪う事はあっても自らの物が奪われるのが嫌とは不条理、だね」 ジクが呆れ果てたと口にするが、柚乃以外は捕らえた連中を引きずり出すのに忙しく、当然の言葉には頷きも返らなかった。 一つ目の分岐に入る際に先頭を交代したミレイの耳の横を、銃弾が掠めていった。 「俺ってば、ダメじゃん?」 姿かたちと似合わない愚痴を相手の耳に入ったとしても、訝しく思う余裕はなかっただろう。相手の姿を視界に入れると同時に、迷うことなく短く持った薙刀「巴御前」を鋭く振り上げたが、銃身は思ったほどずれなかったようだ。別に当たったわけでなし、少しばかり聞こえが悪いのはすぐ戻ると、躊躇いなく仲間を見捨てて逃げた輩を追いかける。 単独行動厳禁と話をしなかったかと、まだ抵抗の意思を見せた賊にフルーレ「蜂の一刺し」の一撃を見舞ったフランヴェルは、これまた結果を見届けずにミレイを追いかけた。ベドウィンの青年があれこれ叫んでいるが、どちらも自分の思考に囚われた様子で足を緩めない。 「うーん、外から見たのとは違う感じかな?」 本来ならあっという間に視界が闇に閉ざされるはずだが、上部に裂け目が見える。どうもこの洞窟、賊が逃げないところを見ると出入り出来るのは一箇所だが、何箇所か地上との間に裂け目があるのだ。そこから空気が入るから湿気も少なく、何日も籠城も出来るし、僅かだが日中は明かりが入る。 その明かりを頼りに突き進む二人を追うのか、半死人の賊を外に出すのかで迷うジンの青年には気の毒だが、走っていくどちらも後ろのことはほとんど気にしていなかった。 そうして走って、最初の三叉路で出くわした相手に、立て続いて武器を向けた二人だったが、流石にすぐさま引っ込めた。仲間を攻撃する趣味はない。 「‥‥‥‥」 何をしていると問うのも愚かだと思ったか、尾上が後ろに回れと身振りで示した。柚乃や兵士達が泡食っていたが、ジクも驚いたのは一瞬で、状況を短く確かめて、更に奥に誰か潜んでいないかと足を運ぶ。 また別の分岐では、組み合わせを変えて分かれて、別組と合流したりしつつ、次々と賊を捕らえていって‥‥ 別のところで、大きな破壊音が響いたのを最後に、討伐は終わりを告げたのだった。 罪人の処罰は氏族のことだからと、商人兄妹と一緒に立会いは断られた開拓者達は、空賊達が岩の裂け目を広げて逃げ道を造ろうと苦心惨憺していたらしい跡地を念のために見て回った。最後に魔術で崩したものの、開拓者の指摘でそれを見付けていた氏族側の追っ手が待ち構えていて、誰一人逃げることは叶っていない。 その後は街の造りを眺めて歩き回ったり、自分の荷物をひっくり返したり、兄妹が仕入れた品物を見物したりしていた。 「こちらの方は飲酒をするのですか?」 「ここの人は普通に呑んでるよ。氏族によって食習慣は色々あるみたいだけど」 「羊の脳みそはまだ慣れないねぇ」 ジルベリアでも一風変わった習慣を持つモハメドは、自分の氏族とアル=カマルの文化が似通っていることに大変な親近感を持っていたが、彼は飲酒厳禁の育ちだ。この後の食事に酒が出ると知って、身の置き所を思案している。 反対に大喜びなのは無月と意外にも柚乃で、譲ってもらえるだろうかとそわそわしていた。もちろん無月はその前に飲めるだけ飲むし、柚乃は料理しているところが見物できるかも気になっている。 まあ、この二人よりもっと意外なのはフランヴェルで。 流石に刑罰の場に幼い子供は同席しないから、物珍しげに開拓者達の後を付回し、扱いに困り果てている様子のミレイとは対照的に、満面の笑みで子守を引き受けていた。相手が子供で会話は時々咬み合わないが、妙に楽しそうだ。 尾上も男の子を相手に剣術の真似事に付き合ってやり、結構甲斐甲斐しく世話を焼いている。付き纏われて閉口気味のミレイのところから、子供を引き取ったりと気配りも見せていた。 そんな子供達も、なにやら熱心に探っている灯華とリーゼロッテには近寄らないが、これは二人がこの地の化粧品をあれこれ試すのに忙しいからだ。知らない薬草配合で、美顔に効果があるらしい品を研究する勢いのリーゼロッテと、どういう使い道か真っ赤な紅で手に模様を描いて楽しんでいる灯華の間には会話などないが、どちらも邪魔したらいけないことは子供にも分かるようだ。 「暑さ負け?」 「幾らか慣れた」 そういう探求には入り損ねたジクは、依頼完遂後は何かに格別興味を示すこともないハイネルに一声掛けて、苦笑した。日差し避けの被り物を貸してもらって、着けていられないのはやはり暑いのだろう。 砂漠に出ることがあれば、その時はしっかりと着け方を教えてやると、その後の食事の席で豪快に肩を叩かれたのはハイネル一人ではなかったが。 |