えんかい はじけました
マスター名:龍河流
シナリオ形態: イベント
危険
難易度: 易しい
参加人数: 2人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2015/01/09 00:00



■オープニング本文

 宴会は、はじけまくっておりました。


 最初に、誰が言い出したのか。
 それはもう、今となってはどうでも良いことです。
 とにかく誰かが言いました。

「うんと派手に宴会しようよ」

 多くの人が、それもいいかもと思ったのです。
 いつもは、依頼で忙しいけど。
 年末だから、大掃除の季節だけど。
 お正月の買い出しに、行かなきゃいけないけど。
 相棒に頼まれていたことがあった気がするけど。
 そもそも、お金がないから依頼に出掛けた方がいいんだけど。

 宴会って、素敵な言葉です。
 飲んだり食べたり、おしゃべりしたり。
 なんて楽しいことでしょう。

 そう、今年は大アヤカシがあっちに出たり、こっちに出たり。
 アヤカシ以外の悪い人の事件が相次いだり。
 護大派と戦って、今まで知らない世界を知ったり。
 色々とありました。
 よく考えると、いつもこんな感じの気もします。

 でもとっても忙しかったので、ここでのんびりしてもいいはずです!
 そういう訳で、宴会です。

 お料理は、上手な人が作ってくれたりもしています。
 おすすめがある人は、持って来てくれても構いませんとも。
 お酒は、誰が持って来たのでしょう。
 誰かが、踊りはじめました。
 歌っている人もいるみたいです。
 細かいことは気にしたらいけません。
 とにかく宴会なのです。


 そして。
 宴会は、はじけまくっています。



■参加者一覧
/ リィムナ・ピサレット(ib5201) / クロウ・カルガギラ(ib6817


■リプレイ本文

 宴はたけなわとなっています。

「かんぱーい!」
 さて、もう何回目の乾杯だか、とっくの昔に分からなくなっています。
 とにかくクロウ・カルガギラ(ib6817)さんは、同じアル=カマル出身の皆さんと祝杯を挙げていました。その祝杯の理由も、これまたよく分かりません。
 だって、全員い〜感じに酔っ払ってきているからです。クロウさんも、普段はあんまりお酒を飲む方ではありませんが、今日はけっこーいっちゃってます。むっずかしーことが終わった後のお酒って、そりゃもう美味しいですから。

 こむずかしいことはさておいて、せかいのききがかいひされたのです。こんなよろこばしーことがあるでしょーか、いやない。

 おめでたいったらありません。だからお酒も美味しゅうございます。
 しかし、ただ美味しいなーと飲んでいるわけにはいきません。
 いえ、大抵の人はそれでいいはずですが、クロウさんはいけないと思うのです。
 なぜなら。
「そういえば、最近の向こうの様子ってどうなってるか、詳しい奴いないか?」
 向こう。
 適当な方角を指しての、あっちの方というのとは違います。クロウさんが今言っている『向こう』は、アル=カマルの事です。
 アル=カマルはけっこー前に大アヤカシも退治されて、アヤカシはいてもうんと怖いのはずーっと少なくなったのです。でも、人と人の間で色々と揉め事が多いので、クロウさんの心配は続いているのでした。
 特に気になるのは、魔の森があった跡地でハバツアラソイをしてくれやがるアル=カマルの色々な意味で偉い人達が、どうしているかなーということ。この偉い人達がエライことし始めると、とんでもないことになってしまうので困ります。
 本当にそれが心配なクロウさんですが、最近のアル=カマルは割と平和そうです。どこの儀でも、年末年始に喧嘩や問題を起こすのは、嫌がられるに決まっています。
 だから、魔の森の跡地の焼却がずんずん進んでいるらしいよーと聞いて、ちょっとほっとしたり、首都はどうなっているのかなと尋ねてみようと思ったら。
『ねぇ、宴会に混ぜてほしいにゃ』
 まっしろふわふわ素敵毛皮の猫又さんが、前足で『これ寄越せ』と熱烈表現しながら、やってきました。『これ』はお酒です。
「こんな強い酒飲んで平気なのか? 腰が砕けても知らないぞ」
『美味しいお酒なら平気にゃ〜』
 かなりちゃっかりした猫又さんに、クロウさんがちょびっとだけお酒を器に入れてあげました。

 ぺしぺしぺしぺしぺしーんっ!!!!

 前足連打です。連打先は、クロウさんの腕。
『これっぽっちじゃ足らないにゃっ!!』
 次は爪出しちゃうもんねの目付きで、睨んできています。
 自分にも猫又さんの相棒がいるクロウさんは、あんまり強いお酒は飲ませない方がいいよなぁと思うのです。でも、他の人は面白がって、だばだばとお酒を注いでくれました。
 良いのでしょうか、猫又さんにお酒。
 いえいえ、実はこの猫又さんは大アヤカシも怖くないリィムナ・ピサレット(ib5201)ちゃんの変身した姿なので、飲むのはリィムナちゃんなのです。
 それはそれで、問題かもしれません。リィムナちゃん、ほんとはおいくつ?
『さ、乾杯するにゃ』
「かんぱーいっ!」
 何にも知らないクロウさん達と、ちゃっかりお酒を手に入れたとにまにましている猫又リィムナちゃんは、また元気に乾杯をして。

 げふっ

 全員仲良く、口から何か出しました。見ちゃいけません、さ、クロウさん達、さっさと拭きましょう?
 動けないのは、どうしたのでしょうか。零したものはとっとと拭くのがお約束です。
『こ、これ、なによぅっ!?』
 リィムナちゃんも、猫又さん口調を忘れてゲホゲホしながら叫びます。じたばたしているのは、喉が痛いからです。
「うひゃひゃひゃひゃー」
 変な笑い方をしているのが、そこにいますよ。猫又リィムナちゃんにお酒を注いでくれた人ではありませんか。
 いえ、あれはお酒ではありませんでした。何かこう、もっととんでもないナニか。
「あー、こいつ、唐辛子を混ぜ込んでやがる。こっちはなんだ、胡椒か?」
 なんだかいろいろと混ぜ混ぜした、すぺしゃ〜るなお飲み物を飲まされたようです。
 これは、ただでは済まされません?
「残りは全部、責任取って飲んでもらおうか」
『叩かせろ、そいつ叩かせろーっ』
 お酒の一滴、血の一滴。飲兵衛さんはそう言います。そんな大事なお酒に悪戯したら、責任取って自分で飲まなくてはいけません。というか、飲ませちゃえなクロウさん達に混じって、猫又リィムナさんが猫パンチを繰り広げていました。
 見た目は猫又さん、でも実態は超強力術使いの開拓者さんのリィムナさん、猫パンチでも痛いかもしれません。だけども、見た目は猫パンチでしかありませんが。
「わ〜、いた〜い」
 へらへら笑っているので、ビシバシ殴って大丈夫です。きっと、多分。死にゃしない‥‥でしょう。
 ちなみにこの悪戯の主、そーとー酔っ払っているので、混ぜ混ぜしたお酒もなんだか平気そうに飲んでいます。これはこれで、大丈夫なんでしょうか。
 ま、倒れても自業自得なので放置します。クロウさん達は、そう決めました。
「俺、すごくいいことあったんだぁ」
「なんだよ、今度の仕事が終わったら、故郷に帰って結婚するのか?」
「いやいや、嫁に自慢出来るすごい依頼受けてさ〜、にゃんこ、聞いてるか!」
『聞きたかないわよ、もうっ。口の中がひりひりするよぅ』
 猫又リィムナちゃんがぷんすかしているのに、酔っ払いさんは首を掴んで引き摺ろうとします。黙って引き摺られるリィムナちゃんではありません。
 ついでに、のろけ話と手柄話を聞かされるのは、他の人達も面白くありません。
「いいから聞けって、嫁もびっくりのだな」
 酔っ払いさんには、猫パンチ以外にも数人分の拳が飛んできたようです。
 口の中のひりひりを何とかしてから、また乾杯することにしましょう。

 ところで、この騒ぎのちょっと前。
 こんなことがありました。
「駄ぁ目!!」
「飲んでも平気なんだってばぁ」
 宴会と聞き付けて、飲んで食べるのだと駆けつけてきたリィムナちゃんが、うまうまと美味しいものをたらふく食べまくった後、ひと騒動繰り広げておりました。
「ちゃんと来年は、悪党もアヤカシも全滅させるから、ねぇ」
「じゃ、出来てから言いなさい」
 美味しいものを食べた後は、最近美味しいと覚えたばかりのお酒の経験値を稼ぐのだと、張り切っているリィムナちゃんですが、もちろん周りは許してくれません。
 『本当の年齢』を主張したって、証明してくれる人がいないのでは誰も信用してくれません。残念ですが、リィムナちゃんの身長と体型では、説得力が足りなすぎます。
 もーちょっと、こーであーだったら、もしかすると良かったかもしれません。どこがとは言いませんけど、どこがとは。もーちょっと、いやかーなーり?
「もー、いーもんねっ」
 という訳で、リィムナちゃんはお外に飛び出し‥‥
 しばらくして、まっしろふわふわ素敵毛皮の猫又さんが登場したのです。
 だから、ほんとは何歳?

 さて、口の中のひりひりをなんとかしたクロウさんは、普通に美味しいお酒を飲むことにしました。これを飲んだら、しばらくはお酒以外のものを飲むことにしましょう。酔っ払ってしまったら、皆さんとのお話が楽しくありません。
 なにより、みっともないではありませんか。故郷の義理のお兄さんやお姉さん達に、宴会で酔い潰れたなんて知られたら、この歳になってビシバシと叱られてしまいます。
 それは、嫌。
「なんだ、どうしても飲むのか?」
『飲むにゃ!!』
 猫又さんも飲むと主張しているので、他の人がなにやら用意してくれました。猫又さんなんだけど、柑橘系のお酒っていいのでしょうか?
 ま、本物ではないので大丈夫のようです。
「おっ、前足で盃が持てるとは、なかなかやるなあ」
 仙猫なら見るけどと、感心したクロウさんはお魚をむしってあげました。猫又といえば、きっとお魚です。猫又リィムナちゃんは、お肉でもお魚でも、美味しければ良いのですが。
『おかわりを寄越すにゃ』
 ぷひーと盃を空にした猫又リィムナちゃん、おかわりを要求しました。が、クロウさん達はアル=カマル談義に忙しいので、構ってくれません。
『おかわり!』
 前足でダンダンと背中を叩いてみましたが、聞こえてません。ここはひとつ、爪でばりばりといかねばなるまいかと、猫又リィムナちゃんが考えていたら、横から美味しそうな飲み物をくれた人がいます。
 でも、あの酔っ払いさんでした。
『これ、飲んでも平気にゃ?』
「さー?」
 飲まない、決定。
 今更になって、猫又さんだと自分でお酌が出来なくて不便だわと気付いたリィムナちゃん、なんとかしてやると頑張ってみました。上手くはいきません。
 なにより、酔っ払いさんがなんだか自慢を聞けとうるさいので、大変です。
「それでさ、巫女様のご依頼を受けたんだよ」
『ふーん』
「巫女様だぞ、巫女様。あ、猫又じゃセベクネフェル様は分かんないか、そーか」
『その人なら、会ったことあるにゃ』
 酔っ払いさんは、最近アル=カマルからの依頼で、なんと神の巫女様のご希望の品物を揃えるお仕事をしたのだと、とっても嬉しそうでした。でも、猫又さんはアル=カマルの神の巫女様ことは知らないと思って、説明してくれるつもりだったようです。
 だけど、リィムナちゃんは会ったことあるんです。セベクネフェル様に。お話だって、したことあります。
 そうしたら、アル=カマルの人達が皆さん、くるっと振り向きました。なんだかおもしろいので、リィムナちゃんはとっても御機嫌です。むふむふと笑っています。
『お話もしたことあるにゃ』
「どうやって!?」
「え、誰の相棒?」
 皆さん、ご機嫌な猫又リィムナちゃんを取り囲み、神の巫女様の話を聞き出そうとご機嫌取りを始めました。猫又さんが好きそうな物を、せっせと取り分けてもらってきます。
 そんな中で、クロウさんが『そう言えば』と、何か考えながらぽろっと言いました。
「あの方は動物も好きそうだったしな。‥‥俺も依頼で、ご尊顔を拝したことがある」
 なんて羨ましいと、皆さんがびっくりしていると、猫又リィムナちゃんが告げ口します。
『この人、巫女様に直接ご褒美貰ったにゃ』
 嘘ではありません。でまかせでもありません。
 その依頼の時に、リィムナちゃんも一緒だったのです。見ていたのだから、間違いありませんとも。
「ちょっと待て、そこまで知ってるって‥‥」
『猫又は、なんでも知ってるにゃ〜』
 あんまり言うと正体がばれちゃうと、猫又リィムナちゃんはすたこらと皆さんから離れました。気分がいいので、踊ることにします。踊っていれば、うるさく質問されることもないはずですから。
 いっぱい魔法や術が使えるリィムナちゃんは、踊りだって上手なのです。
『ふにゃにゃ〜』
 今日は、酔っ払ってふらふらの、へにょりとした踊りです。でも、それはそれで面白く見えます。時々は、ナディエで跳んだりしちゃいますよ!
 そんな器用な猫又さんを見ていたクロウさんは、
「あーっ、なんでそんな恰好! ってか、酒!」
 飲んでいい歳だったかと、多分怒ろうとしました。
『あたしは、猫又にゃ〜』
「いいぞー、上手じゃないか」
「これなら巫女様も見たいかもな」
 他の人達は大喜びで、クロウさんがとても手出し出来るような雰囲気ではありません。

 でも。
 猫又リィムナちゃんが本格的に酔っ払って倒れるまで、あと一分です。