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■オープニング本文 「ごーこん?」 「そう、ごーこん」 ある日ある時ある場所で、相棒さん達が噂話に花を咲かせておりました。 なにやら、誰かのご主人が『ごーこん』というものにお出掛けしたそうです。 「なに、それ?」 「なんだか、雄雌集まって、つがいの相手を探すらしいよ」 「違うな、集まって旨いものを食う会だ」 「どっち?」 「だから、つがいの相手をね」 「旨いものを食うんだってば」 「ウソォ、着飾って集まるんだってば」 相棒さん達は、夢中になってお話をしていますが、誰も『ごーこん』をよく知りません。 でもまあ、なんとなく、きっと、こんな感じとまとまったのが。 「いろんな雄雌がきれーなかっこで集まって、美味しいものを食べたり、つがいの相手を探したりすること?」 「「「「「たぶん」」」」」 「遊び仲間も探したりたりするらしいよ」 大抵の相棒さんは、今は恋の季節ではありません。 だからつがいの相手はおいとくとしても、新しい遊び仲間を探すのは楽しそうです。 相棒さんによっては、綺麗に着飾るのが気になります。 もちろん、美味しいものは見逃せませんね。 なんたって、皆で集まってワイワイするのは楽しいに決まっています。 「ごーこん、する?」 「しちゃう?」 「「「よし、やっちゃえ!」」」 |
■参加者一覧 / 六条 雪巳(ia0179) / 玖堂 真影(ia0490) / 礼野 真夢紀(ia1144) / 雷華 愛弓(ia1901) / アルーシュ・リトナ(ib0119) / シルフィリア・オーク(ib0350) / 春原・歩(ib0850) / ジョハル(ib9784) / 戸隠 菫(ib9794) / 伊波 楓真(ic0010) / 草薙 早矢(ic0072) |
■リプレイ本文 ごーこんとは。 「こう、皆で集まってご飯食べたりしながら、自己紹介から始めて、途中で席替えとか、王様だ〜れだなんてやるんだよな」 説明しているのは、人妖のテラキルさんです。どうやら、どこかでごーこんに参加したことがあるみたい? もしかすると、ごーこんに参加したのは相棒のジョハル(ib9784)さんの方かもしれませんが、とにかく今回のごーこん参加者では、唯一の経験者。 さっそく、他の皆さんが質問をし始めましたよ。 「自己紹介って、名前だけでいいんやろか?」 『席替えと言われても‥‥この面子ではいささか手間が掛かるが』 こちらも人妖の劔 楡さんと、駿龍のぶち太さんが、首を傾げています。特にぶち太さんの疑問には、翔馬の夜空さんと霊騎の若葉ちゃんがうんうんと頷いていました。 自己紹介は名前の他に好きな挨拶をしてもいいのでしょうが、席替えは確かに龍や馬の皆さんには大変そう。 『動くのは、大変だしなぁ』 迅鷹のベイリーズさんも席替えは気乗りがしないようですけれど‥‥迅鷹さんなのに、動くのは嫌みたい? 多分、今いるのがお肉料理がいっぱいの席だから、動きたくないのでしょう。たぷたぷしているおなかが重い訳ではない、はず。 なんにしたって、確かに席替えするのが難しい参加者さんもいるのでした。 それと。 「レンはね、王様だ〜れだって、知らないの。なぁに?」 羽妖精のレンさんは、王様ゲームのことが気になります。 「ええっとねぇ」 他の皆さんも知らない人ばかりなので、テラキルさんが一生懸命説明し始めました。 この間に、誰が参加しているのか、見てみましょう。 まずはテラキルさん。大忙しの人妖さんです。他の何人かの人妖さん達と連れだって、今日はお話とゲームと美味しいものを楽しみにやってきました。 相棒のジョハルさんは、きっとおうちで家族とのんびりしているのでしょう。 それから、そのお友達の劔 楡さんもいます。お友達が増えると聞いて、わくわくとやってきました。ごーこんのことは全然知りませんが、色んなお話が聞けるのが楽しみです。 相棒の戸隠 菫(ib9794)さんは、あちこち忙しくお出掛けしているみたい。 こちらは羽妖精の思音さんは、真っ白なシャツに青いリボンタイがお洒落です。でもそれでブルーベリータルトを運ぶのは、とっても大変だったみたいで、ちょっとお疲れ。 美味しそうなタルトは、相棒のアルーシュ・リトナ(ib0119)さんからの差し入れです。 そのパイを運ぶお手伝いをしていたのは、お友達の泉理君でした。人妖さんにしては大きい身体ですが、顔立ちはお子様です。でも白椿の髪飾りが、とてもお似合い。 相棒は玖堂 真影(ia0490)さんで、結婚一周年の模様。 こちらも人妖の火ノ佳さん、一張羅だという袿を着て、ご機嫌にブルーベリータルトを眺めています。美味しいものが食べたいので、ごーこんにやってきました。 相棒の六条 雪巳(ia0179)さんも甘いもの好きらしいので、来られなくて残念でした。 かなり違う感じの一張羅は、羽妖精のレンさんでした。なにしろ銀の簡易鎧です。美味しいものを食べるには、ちょっと大変かもしれません。 相棒の春原・歩(ib0850)さんは、どこへ行くお出掛けだと思ったのでしょう? そして迅鷹のベイリーズさん、すでにのっぺりと卓の上に座り込んでしまいました。ものすごく貫禄です。お父さんっぽいかもしれません。 相棒の伊波 楓真(ic0010)さんが、重そうに抱えて送ってきたのは気のせいです。 ここから大きい相棒で、駿龍のぶち太さん。とっても立派な鞍を着けて、爪がピカピカしています。お洒落してきたのは分かりますが、誰に磨かせたのか分かりません。 相棒の雷華 愛弓(ia1901)さんが、やる時はやってくれたのかもしれません。 それから翔馬の夜空さん、鞍の下に綺麗な布を敷いてもらって、綺麗にしてきました。でも小柄なお馬さんなので、ずれた布が地面をこすりそうです。 相棒の篠崎早矢(ic0072)さんは、たてがみを編むのに忙しくて気付かなかった? もう一頭、霊騎の若葉ちゃんもいます。白い馬用外套に、首に鈴までつけて、手綱も色糸で編んだものをつけています。ものすごくお洒落です。 でも相棒の礼野 真夢紀(ia1144)さんは、お出掛けを知らないのでした。 という訳で、十人というか十体というか、十相棒で勢揃いでしょうか? 「‥‥‥‥‥」 ちょっと離れたところで、クッキーと雛あられを両手に提げて、ぷるぷるしている人妖さんがいます。仲間に入りたいみたいだから、座布団を用意してあげましょう。 シルフィリア・オーク(ib0350)さんのところの人妖、小鈴ちゃんで十一相棒。 ごーこんとは。 まずは美味しいものを食べたり、飲んだりして、仲良くなるところから始まるのだそうです。自己紹介もちゃんとしましたから、何かお話ししながら、お料理を食べてみましょう。 「しかし不思議じゃな。集まって友人を増やしたりするのに、どうして着飾る必要があるのじゃろう?」 お茶を飲みながら、火ノ佳さんが不思議そうに皆さんに尋ねました。ごーこんの目的の一つを、うっかり忘れてしまったのですね。 「ほら、番の相手を探したりするって言うし。でも、人妖って子供作れるの?」 人妖は陰陽師さん達があーしてこーして作り出すので、子供を産んだりはしないでしょう。泉理さんの疑問には、無理だよねーと揃って声をあげました。 『食事会でも構わないのである。そもそも龍は吾輩しかおらぬしな』 『趣味の話などする方が、面白いだろう。なあ?』 人妖や羽妖精とも器用にお話しできるぶち太さんと夜空さんが、番のことなんか考えなくてもいいのだと言い出しました。大体今は恋の季節ではありません。そんなことは、季節になっていいなと思う相手がいたら、考えたらいいのです。 『うん、お友達が欲しいの』 若葉ちゃんもそういうので、ごーこんはお食事会になりました。後でゲームとかするかもしれませんが、まずは美味しいものを食べてしまいましょう。 「えと、あの‥‥」 持って来たクッキーをお皿に移して、小鈴ちゃんがきょろきょろしていました。どこに置いたら皆さんが食べやすいか、考えているようです。 『うむ、ここに』 ベイリーズさんが、ものすごく当然のようにそう言うので、小鈴ちゃんはこっくり頷いてそこにお皿を置きました。 すると。 「お主、さっきから自分ばかり美味しいものを独り占めしておらぬか?」 火ノ佳さんが跳んできました。それこそ、びょーんという感じです。 甘いものを独り占めなんて、絶対に許さない。そんな気持ちが顔に書いてあるようです。 確かに、ベイリーズさんは周りにお皿をいっぱいおいて、すっかりご飯に集中しているのでした。更におやつもだなんて‥‥欲張りさんとしか言えません。 「皆で分けよ? タルトも切ってあげるから」 思音さんが『クッキー食べたい』と睨みあう二人?をなだめて、タルトを切り始めました。ぶち太さんみたいに大きい相棒さんもいますが、大半は人妖さんと羽妖精さん。タルトが二つもあれば、全員が食べてもまだ余るかもしれないくらい。 『では、これは二枚貰おうかな』 残りは皆で食べていいと、ベイリーズさんはまるで自分が持って来たような言い方をしています。よっぽど食べるのが好きなのでしょう。さっきも唐揚げを一人で食べそうな勢いで、ぶち太さんに半分寄越せと鼻息を吹きかけられていたのです。 そもそも二人で食べちゃっていいわけじゃ、ないんですけれどもね。 ちなみにぶち太さん、他所にちゃんと大きなお肉があるのに気付いたので、唐揚げは食べていません。夜空さんと若葉ちゃんもお肉は食べないから、他の皆さんが食べたり、一応手元に確保したりしています。人ほど食べられないから、ちょっぴりずつなんですけれどもね。 タルトはどのくらい食べると尋ねられて、まっさきに答えたのはレンさんでした。 「とっても美味しそうだから、レンはちょっと大きめがいいの」 もちろん美味しいに決まっていると、思音さんが得意そうにタルトにナイフを入れました。大きめに切っても羽妖精仕様、ブルーベリーは二つか三つしか乗りませんけれど。 つられて、まだご飯を食べている皆さんも、自分はこれくらいと言い出します。泉理君は、大好きなみたらし団子を二本貰っておくべきか、それとも一本にして他の物も色々食べようか、悩んでいるところでした。 『こんなにあるから、一本はもらって帰る』 「うわっ、すごい食いしん坊じゃない、それ。‥‥余ったらね」 ベイリーズさん、ぼそっと泉理君に囁きました。泉理君もちょっといいかもと思ったようですが、まあ、今は欲張らない。 「火ノ佳さんと小鈴ちゃんも貰いなよ。お皿取るね〜」 他の人にも勧めて、ちゃんと分け合うのです。 「お茶、もうないやろ。次はどれがええかなぁ、お酒もあるみたいやね」 欲しいものはと、楡さんが気を利かせて周りを見回しました。誰が用意したのか、お茶もいくつか種類があるから、どれが美味しいのか気になります。お酒はあんまりないみたいですが、飲みたい人も少ないので問題はなさそう。 何はともあれ、皆さんのお茶碗に新しいお茶を注ぎましょう。 「こういうお茶にお酒を垂らすと、大人の味だってうちの相棒が言ってたんだよな〜」 テラキルさんがそんなことを言いだしたので、試してみる人妖さんもちらほら。テラキルさん、垂らすというよりどばっと入れてしまいました。そんなに入れて、大丈夫? 「‥‥いい香りです」 お茶に入れるかどうしようか、迷っている様子の小鈴ちゃん、お酒の香りににこにこしています。でも、段々真っ赤になってきましたよ。 「ふわぁって、しますぅ」 あんまりいい香りで何度も嗅いでいるうちに、小鈴ちゃんはいい気分になってきたのかも? いえいえ、どちらかというと。 「危ない、酔ってるからそれ」 「匂いで酔うって、このお酒、そんな強いのっ?」 「こういう時は、お水がええんよね?」 「じゃあ、レンは冷たいお水汲んでくるね」 「濡らした布ならあるよ。顔に当てたら楽なんじゃない?」 「わらわが解毒してやろうぞ。まさか使うとは思わなんだが」 小鈴ちゃんがお酒に弱いのか、お酒がとっても強いのか。 どちらかだかよく分かりませんが、テラキルさんと泉理君が慌てて小鈴ちゃんが倒れないように支えてあげ、楡さんはお水を入れる新しい器を探し、レンちゃんがお水を汲みに飛ぼうとしました。思音さんは、濡らした布巾を額に当ててあげています。 でも、火ノ佳さんが解毒を使えばすぐ治ると気が付いたので、一安心。 「えっと‥‥ご迷惑、おかけしちゃいました?」 気分がすっきりした小鈴ちゃん、なにやら悪いことしちゃったかしらと心配げですが‥‥無事なら誰も怒りません。 『お水ですよ〜』 『どうせ、お茶にも使うだろう?』 慌てていた人妖さんと羽妖精さん達とは別に、若葉ちゃんと夜空さんがお水を汲んで来てくれました。器用に水がめに入れて来てくれましたが、泳げそうな大きさです。それが二つ。 ぶち太さんも心配そうに眺めていましたが、何事もなくて安心しました。 『確か、茶には酒以外に煮た果物を入れるのも美味しいと聞いたが。そちらを試してはどうだ?』 『ほれ』 どこでだか、そんな飲み方をすると聞いたと、甘味が好きならと勧めてくれます。と、ベイリーズさんが生の果物や付け合わせの香草などを皿に盛り直して、寄越してくれました。気分がすっきりしそうな盛り合わせです。 そんなこんなで、またお茶を淹れて、美味しいものを食べましょう。 「そう、開拓者ろーどっちゅーのがあるようなん。こんど、みんなで行ってみいへんか?」 なんだか話が盛り上がって、楡さんが皆さんを誘っています。 この調子だと、また皆で遊びに行けるかも? ところで、体の大きな相棒さん達は。 『この草、柔らかくて美味しい。どこの牧草だろ?』 『袋に何か書いてあるから、それを写して持っていけば、家でも食べられるかもな』 『ふうん、草にも美味い不味いがあるものか。新鮮ならなんでも美味いかと思っていたが』 霊騎の若葉ちゃんとと翔馬の夜空さんでいい雰囲気になる‥‥ことはなく、牧草が美味しいとか、どこに走りに行くのが楽しいと言った、普通の話題で盛り上がっていました。これもある意味いい雰囲気でしょうけれど、横からぶち太さんが見ていると、どうにも世間話でしかありません。 まあ、恋の季節ではないので、お友達になれれば問題なし。ぶち太さんも混じって、のほほんと景色がいい場所の噂をしていました。 そのうちに、自分の相棒の話が出てきます。そしたら急に、ぶち太さんが語り始めました。 『まったく、本当に怠け癖が極まってしまってだな、いっそ吾輩が主に化けてギルドに仕事を貰いに行った方がいいのではないかと考えておるくらいだ』 どうやらぶち太さんの相棒は、よほどお仕事が嫌いなようです。もしかすると、開拓者のお仕事以外で忙しいのかもしれません。 『なにしろ生活費を吾輩が稼いでおるような具合だからな』 もしや、働いたら負けと思っているのかも? 何にしても、ぶち太さんにしたら自分のお仕事もないので辛くてたまらないのでしょう。 仕事が嫌いとは反対側に存在する相棒がいる夜空さんは、そういう相棒も大変だろうなとしんみり聞いていました。でも若葉ちゃんは違うところが気になっています。 『主に化けるって、どうやったら出来るの? 若葉も人の姿になれる?』 そうしたら、皆と一緒にお買い物に行ったり、お洋服貸してもらったり、色々したいことがあるの。と、若葉ちゃんは目をきらきらさせています。 『うちは‥‥そんなことになったら、早く馬に戻れと言われそうだな』 まあ、人になるのはかなり難しいから、たぶん言われることはない。絶対無理とは言わないけれど、翔馬の夜空さんにもかなり難しいなら、自分はまだまだだと若葉ちゃんはちょっぴり残念そう。 『人になれるなら、色々と苦労をせずに済むのだがなぁ。しかし、龍であるのも楽しいぞ。最近の開拓者の龍離れは、少しばかり寂しいが』 『おうちには、空龍のお姉さんがいるの。ここまで連れて来てくれたのよ』 それなら若葉ちゃんと一緒に参加してくれればいいのにと思ったのが、ぶち太さん。 そう思っているだろうなと笑ってしまいそうになったのが、夜空さん。 途中でブルーベリータルトをぶち太さんはちょっとだけ、夜空さんと若葉ちゃんはブルーベリーだけ分けてもらって、もぐもぐしながら他の皆さんともいろんな話をしています。 ベイリーズさんは、 『おぉ、杏仁豆腐っ。一度食してみたかったのだ! 甘いものは駄目だなどと、うちの主は口やかましいのでな』 そんなに食べたら、おなかが苦しくなっちゃうよと皆にからかわれつつ、普段食べられないものを一生懸命食べていました。 ごーこんとは。 お食事したり、お話ししたり、ゲームをしたりするのです。 「えと、ええと‥‥」 「なんでも思い付いたことでよいぞえ」 「せやせや。とりあえず数字だけ決めたらどうや?」 「俺は踊りが得意だぜ。いつでも言っていいよ」 「ボクも、もっと動きたいなぁ」 『あまり動きたくはない』 『吾輩も動きたいが、迷惑にならないようにせねばな』 「あ、ブルーベリーの色がついてるよ。拭いてあげる」 「やーん、レンのお顔、変な色ついてた?」 『走りたいなぁ。誰か乗せてあげる?』 『うん、そういう命令なら大歓迎だ』 日が暮れかかって、薄暗くなってきたのに、お出掛けしたまま帰らない相棒さんを心配した人やお仲間の相棒さんがお迎えに来てみたら、皆さんは王様ゲームでわいわいしているところでした。王様に注文つけたり、かなり気ままに遊んでいます。 「み、みんな、王様の言うこと聞くの〜」 ほら、とうとう王様が怒ってしまいました。すぐ、小さくなってしまいましたけれど。 王様がじっくり命令を考えている間、皆さんで静かにそのうち遊びに行きたいところをおさらいしておくといいのです。 その時には、皆でご馳走を持って、また楽しくごーこんしましょう。 |