【繚咲】榾杙を視る者
マスター名:鷹羽柊架
シナリオ形態: シリーズ
危険 :相棒
難易度: やや難
参加人数: 7人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/02/28 20:23



■オープニング本文

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 キズナが繚咲入りをしてから十日ほど経った。
 彼が入った頃からというか、沙桐と合流してから彼へ監視の目がついていた。
 天蓋の者ではないのは間違いないと沙桐が言う。架蓮の報告だと三領主関連のシノビの目だという。
 深夜、高砂の宿屋で柊真と沙桐が酒を飲みつつ様子を見る。
「女装が板についたな」
「‥‥予防策だっていつも言ってるじゃねぇか」
 沙桐は殆ど街に出るときは女装をしている。お忍びという事で、大きな騒ぎなど起こされたくないからだ。
「ところで、麻貴はどうなんだよ」
「ん。元気だぞ。仕事も復帰して主幹代理をさせているから今頃飛び回っているだろう」
 ひゃっはー☆ とか言いながら仕事をやっているのだろう。
「まぁいいや、喜んでいるなら」
 ため息つきつつ、沙桐が窓の方を見やる。
「こっちはどうするんだ。この間からずっと見てるだけだろ」
「仰々しく共を連れて、お前まで迎えに来たもんだから怪しんでいるんじゃないか?」
 沙桐が嫁に欲しい人がいる事はもう有権者達には伝わっているのだ。沙桐自らで迎えるのというのは考える人間も出てくるだろう。
「何かあってもなんだし、先に捕らえとく?」
「そうだな‥‥」
 ふむと考える柊真に沙桐は捕まえ方はと訊ねた。
「開拓者に任せようかなと、キズナだって視線には気づいているし、嫌な表情を見せてきたからな。そろそろだろ」
 囮くらいにはなるだろうと柊真は言った。
「‥‥キズナ君、美少女だったからね‥‥」
 因みに当のキズナは良い子なので隣室で眠っている。
「うちの子の自信作だからな」
「おとうさんって呼ばれてないくせに」
 ふふんと不敵に笑う柊真に沙桐がツッコミを入れる。
「お前だって、香雪の方に取られるんじゃないのか」
「そこはあきらめた」
 何かを悟ったかのように言う沙桐に柊真は「うん、わかる」と言って沙桐の杯に酒を注いだ。



■参加者一覧
鷹来 雪(ia0736
21歳・女・巫
御樹青嵐(ia1669
23歳・男・陰
珠々(ia5322
10歳・女・シ
輝血(ia5431
18歳・女・シ
フレイア(ib0257
28歳・女・魔
溟霆(ib0504
24歳・男・シ
御簾丸 鎬葵(ib9142
18歳・女・志


■リプレイ本文

 ふむりと溟霆(ib0504)は意識だけはキズナを監視する方向に向けつつ思案する。
「質はあまりよくないようだ」
 柊真の言葉に溟霆はそれは仕方ないと思う。
「そんな腕前でねぇ‥‥」
 ふむと溟霆は呟く。肌で感じるのはひたすら監視しているという事。
 キズナの動きや癖まで。
「まさか、可愛い子がいるからどこかの令息に見初められたとかじゃないでしょうね」
 ため息混じりで御樹青嵐(ia1669)が言えば、溟霆、輝血(ia5431)、珠々が自分達開拓者を藁のようにすがった溺れた者を見た。
「‥‥なんだよっ」
 拗ねたような沙桐の様子に御簾丸鎬葵(ib9142)が首を傾げ、事情を察したフレイア(ib0257)がくすくす笑う。
「沙桐殿は有権者達の前で添い遂げる方がいる事を宣言しておりまする」
 ぽつりと鎬葵が言葉にする。
「沙桐殿が領地を女装して動いているとはいえ、有権者達にはその姿を捉えておりましょう。そんな沙桐殿自ら出迎え、そして護衛までされるのは相当の身分と勘違いされたのでありまするかと‥‥」
「もっともな推察だよ。全く、回りくどくして策を練る事ばかりして」
 むすっとしているのは輝血だ。
「何」
 数名の視線に気づいたが、即座に反らされた。
「あたしはそういう監視とかはしないよ。さっさと乗り込むし」
 きっぱり言い放つ輝血にキズナと白野威雪(ia0736)は「カッコいいです」と目を輝かせる。
「いいこと、キズナ。シノビはいかに周囲に悟られず最小限で早く仕事をこなすのかが鍵なんだ」
 あいつみたいに回りくどいことをしてほしくなく、輝血の言葉もほんのり熱が篭もっている。
「素直に直球勝負ですね!」
「間違いじゃないけど、とっとと乗り込んだ方が早いね」
 いや、入念に準備して乗り込んであのザマでは‥‥と沙桐はツッコミを入れたかったが熱弁振るう輝血を見てできなかった。
「輝血ちゃん、雰囲気変わったね」
 ぽそっと、沙桐が言えば青嵐は「前から知ってます」とツンとそっぽ向いた。
「きょうも頑張っていきますよ!」
 ぐっと握り拳を握りしめる珠々(ia5322)が見た先は‥‥
「は、私?」
 ぱちくりと目を見張る鎬葵だ。


 どうしていいのかわからず、でも、任務を全うしようとしている鎬葵はとても可愛い。
「鎬葵様、初めての土地ですので緊張するのはわかります」
 雪の笑顔がなかったら鎬葵はそのまま美しいまま固まってしまうことだろう。
 女子会風を装った女性三人組。
 本日の鎬葵は性別不詳気味の麗人の剣士の姿ではなく、美しい女剣士の姿。動きやすい袴姿はありがたいが、久々の女物に鎬葵は戸惑っている。
 完璧主義の輝血とその後輩シノビの珠々の情熱が迸りすぎた。
「鎬葵さん、この組紐似合いますよ」
 ちょっと先を歩いていたキズナが小間物屋の前に止まり、鎬葵を呼ぶ。その品物を見た雪がわっと笑顔になる。
「わ、桜ですね」
 金を薄く叩き、桜花の形にした飾りがついた紅色の組紐。
「似合いますよ。試しにつけてみては?」
 雪の言葉に鎬葵は「いや、その、私は‥‥」と緊張してしまって顔を赤らめて両手を前にあげて遠慮したいという動きをする。
「まぁまぁ」
 にこにこ笑顔の雪と遠くない昔に覚悟と運命の下、心の奥底に閉まった感情と好奇心が手伝い全く動けてない鎬葵。
「似合いますねぇ」
 往来の目が自分の店先に止まりはじめ、店主が現れた。
「お、お返し致しまする」
 狼狽えつつ鎬葵が組紐を返す。
 そんな女性陣(!)の可愛らしい姿を見つめつつ往来を歩くのは溟霆だ。
 気高く見目麗しい女性が初心な所を見せるのはとても可愛らしい。超越聴覚で聴覚の幅を利かせつつ状況を把握するが、今のところは問題はないが‥‥
 まぁ、何人か怪しいのがいるが、仲間かどうかはまだ断定できない。
 羽ばたきに気づき、溟霆が顔を上げると、黒い羽に紫色の小鳥が飛んでいた。
 人魂をとばしている青嵐がキズナを監視しているだろう人物を探している。
 結構分かりやすい。
 しかも害しようとする気配がない。
 寧ろ、あえて威嚇するように見える。
 誰に?
 鎬葵の推察を更に考えれば有権者の部下同士が牽制しあっているような気がしてきた。
 バカじゃないのと心の中で毒づくのは輝血だ。
 あんた等が狙うのはその隣だよ。本当にバカバカしい。
 一緒に歩いている沙桐の顔見たことあるの? 目尻も鼻の下も伸びっぱなしなのに!
 輝血の静かなるオーラに怯えているのは珠々だ。
 彼女もまた、同じように心を養っている。
 珠々が見るのは単独行動者。架蓮が言っていたシノビの同行者だろう。まだ引き付けようとじっと見つめている。
 一方、珠々の怯えっぷりに気付いた溟霆が内心困ったように笑う。
 彼もまた珠々と同じ者を捕捉した。
 人通りが多いのが救いであり、彼を視止めるものはいない。旅人も少なくないのだ。
 捕捉した相手を追おうとした溟霆の耳に入ってきたのは前に聞いた声。
「深見の若花王様がいらっしゃってるって」
「あら、珍しいわね、お忍び?」
 若花王の言葉は聞いた事がある。深見領主の息子の呼び名だ。
 彼もまた部下をこの中に放っているのだろうか。
 そう、心に思いながら溟霆は目的の男の方へと向かう。
 ゆらりと溟霆が捕捉した者に近づいていく。
「このまま人通りのない神社へ行くようだ」
 小さな声で溟霆が言えば、サムライだろう男は気を張らせる瞬間を溟霆は逃さなかった。
 男の鳩尾に一撃を喰らわせて男はその場に崩れ落ちた。

 この広い往来には身体を傾けて通らねばならないほど人が歩いている。
 人一人崩れ落ちても急病人‥‥しっかり支える者がいれば誰も気に留めないだろう。
 気付く者がいたとしたら‥‥?
 それはすなわち、目的を共にしている仲間とそれを阻もうとしている者達。
 見晴らしのよい宿屋の一室を借りたフレイアは望遠鏡で確認をしていた。ムスタシュイルを発動させていたが、特に瘴気を纏った者はいなかった。
 フレイアが望遠鏡で遠目に見ていると、微かに動きが違ってきた者達を見つけた。
 溟霆の姿を見つけたフレイアは彼が何かを見つけて歩き出しているのに気付いた。歩いている内にレンズの外に行ってしまい、彼女は柳眉を寄せる。軽やかに踵を返し、彼女もまた追った。


 女性同士の話は心が楽しくさせるものだと鎬葵は思うが‥‥キズナの本来の性別を忘れそうになるのは気のせいか。
 キズナは随分と女性の着物について詳しかった。
「キズナ殿はお詳しいのでありまするな」
 鎬葵が言えば、キズナはえへへと笑い、雪と鎬葵に耳を近づけるように手招きをする。
「旭様を楽しませるためにぼく、勉強したんです」
 旭は武天から理穴へと逃げてきたもの。正確に言えば、百響の魔の手を逃れるため、いつか、百響を倒す事を考えて理穴へ逃げ延びた。
 その際に足に傷を負った。
 日常生活や諜報活動、簡単な暗殺程度には十分であったが、アヤカシと戦う事ができなくなっていたらしい。
 そして、火宵の父親の正妻に痛めつけられて日常生活に支障をきたすほど足が動けなくなった。
 現在は理穴監察方の上原家に監視される事になっているが、家から出られない代わり、結構自由にさせてもらっているらしい。
 キズナ自体が外に出られる為に彼は旭の耳を楽しませるように女性の好きそうな着物や簪をよく見聞しに行っては旭を楽しませていた。
「そうでありましたか。先ほどの選定眼は普段からの見聞でありまするか」
 納得した鎬葵にキズナは「違う」と言いかけたが、何かを思い出して「何でもない」と困ったように訂正した。
「ふふ、キズナさんもお疲れでしょうから、甘い物を食べてませんか?」
 雪が提案すれば二人は頷いた。
「キズナさんも甘い物は好きですよね」
「はい、麻貴さんが時折甘い物を作ってくれるんです。かぼちゃのお汁粉が凄く美味しかったんですよ」
 こっくり頷くキズナに二人は「そうなのですね」と頷く。
 今頃、何をやらかしているのだろうかと二人は思うが、やはりあの麻貴だ。
「無茶しなければいいのですが‥‥」
 雪の想いも空しく平気で徹夜をして副主幹を困らせているのだろう。
「甘い物を食べに行きまするか‥‥」
 別の意味で現実逃避しようと鎬葵が誘った。
 甘味屋はキズナが柊真から教えてもらったらしい。
「柊真様も甘い物がお好きで?」
「情報収集で外に出たときに女性に声をかけられたようです」
「‥‥」
 微妙な空気が流れた瞬間、頼んだ物が届いた。
 お団子、汁粉、最中‥‥
 少量であるが、三人で分ければ十分足りる。
「お団子美味しいですね」
「最中も美味しいです」
「大福もなかなか」
 黙々と食べているが本当に一息ついているように見える。
 数個お菓子を買っていき、場所を変える。歩きだしたのは人目を篩いにかけるためだ。


 フレイアが街中にでると視線を集めた。
 開拓者であるのは一目瞭然。美しい外見もまた然りだ。
 一瞬にしてキズナを追う者達に緊張が走る。
 キズナを追う者達が一人、また一人往来にとけ込んでいくのを青嵐が人魂を通じて確認した。
 一度、人魂を消して青嵐もまた動き出した。
 それでも諦めず監視を続ける者達に気づいたのは輝血。そして、柊真も珠々も気づいて動き出す。
 柊真が溟霆が捕まえた男を代わりに監視させて溟霆に雪達を頼んだ。
「わかったよ」
 再び動き出した溟霆はシノビとして街の影を走った。

 楽しそうに女性陣が見晴らしのよい人気のない丘へと歩く。
 少しずつ遮蔽物がなくなっていき、高砂‥‥果ては繚咲が見える。
「‥‥あのお城みたいなのが鷹来家の屋敷だそうです」
 キズナが言えば、雪と鎬葵は遠い何かを見つめるように眺めた。
 そこに巣くうものを見つめている。
「雪殿‥‥、キズナ殿」
 二人を護るように鎬葵が立ち位置を変えると、影が動いた。
「お待ちくだされ」
 シノビ自らが動き出した。今まで監視していたのに。
「それはあんたら」
 冷たい声の輝血がそっと背後から近寄り、シノビの喉元に刃物を突きつける。輝血が的確に当てている場所は太い血管だ。
 刃から伝わる微かな振動はシノビの鼓動を速めていた。
「話し合いをするならある程度の情報の公開はしてくれるのでしょう?」
 青嵐が更に押せば更にシノビは諦めたようにうなだれた瞬間‥‥
 丘の下の方‥‥鎬葵達の足下からシノビ達が飛び出してきた。
 先に飛び出してきたのは溟霆、早駆で一人を止める。シノビ達は一人を置いて走り出した。その手段を見越したようにフレイアがアムルリープを唱え、一人が眠気に勝てずに膝を突いた。
 残ったシノビ達が走るその先にいるのはキズナだ。

「させません」

 凛と愛らしい鈴が鳴る。

 その響きが全て聞こえているのだろうかと言わんばかりに静寂が珠々を齎す。
 早駆も使い、間合いを詰める。
 キズナは護らねばならない。
 時が再び動き出した瞬間、珠々はキズナに手をかけようとしたシノビを捕らえた。


 シノビに追いつき、珠々が刃を弾こうとするも珠々の力では足りなかったようだ。
「珠々殿!」
 鎬葵が踏み込んでシノビを振り払い、回避するシノビの動きを見越して素早く次の動作へと移り袈裟懸けに肩を斬る。それが合図のように他のシノビも現れた。どうにかしてもキズナを連れて行きたいようだ。
 影で状況を見ていた沙桐もまた飛び出した。変装しているとはいえ、シノビ達が沙桐である事は知っていたようだった。
 当主がキズナと雪を庇うように立つ事で確信めいたのだろうか。
「仕方ないね」
 諦め混じり輝血が言えば、彼女に抑えられたシノビは待ってくれと叫ぶ。
「我らの主が誰なのか案内する!」
 その言葉に他のシノビ達が言葉を失った。
「我らの目的はその少女を我らの主の下に連れて行くこと。当主率いる開拓者と交戦するわけにはいかない」
 完全降伏の様子を見せるシノビにフレイアはそっと目を細める。この男の言い分を信じるべきか‥‥
 溟霆には一つだけ確信があった。
 彼らは確実に「何らかの目的があって」キズナを尾行していた。民に騒がれないようにある程度諜報能力のある者に対し、自分達がキズナを追っているという威嚇をしていた。
 一興ではある‥‥
「乗ろうか」
「溟霆?」
 本気かという疑いの声音をのせて青嵐が彼の名を呼ぶ。
「僕が偵察していた中で彼らは確かに見ていたよ。でもね、一番害意がなかったのも彼らだ」
 そうだろう? と目を配らせた先にいたのは輝血と珠々。
「確かにそうだね」
「牽制してるようでもありました」
 二人も同じ見解のようだ。
「お三方の見解が一致しておりますなら乗りましょうか」
 にっこり笑顔でフレイアが言えば、輝血に捕まっていた男が案内してくれる事になった。


 誰もが疑心暗鬼の中、連れてこられたのは高砂の一角の宿屋。
 繚咲では小領主達が互いに敵愾心を持っているため、平民はともかく、有力者は別の領地に赴く際、自分の領地の領主を立てる為、他の領地の有力者の宿泊、食事を断られる事もあり、宿やら食事の確保は面倒。
 この宿は料亭でもあり、広い敷地を持っており、平民、旅人、有力者がそれぞれ安心して泊まれ、食事が出来る中立的立場もある。勿論、客の私事にはほぼ関与せずというのも利用が多いとの事。
「こういう場所は基本、店員の人望で成り立っているからね」
 元の姿になった沙桐が説明をした。
「隠れ蓑には丁度いいですわね」
 なるほどとフレイアが納得する。
 案内されていった先にあるのは貴賓室と言われる部屋だ。
「若様」
 従者の姿になったシノビが声をかけると諦めた口調で返事が来た。
 障子を開けた部屋の奥には着流し姿の男が座っていた。細い顔につり上がった目で一見、神経質そうな顔立ちの男。上質な濃い灰色の着物はよく似合っていた。
 広い部屋に開拓者全員と沙桐とキズナが入っても平気な広さだ。
「若花王だね」
 人払いはしてあるし、彼のシノビ達が見張ってくれているので沙桐ははっきり口火を切った。
「その通りにございます」
 他のシノビ達が先に報告していたのだろう、彼に気力を感じない。
「この度の件、ご説明して下さりますね?」
 念を押すフレイアに若花王と呼ばれた男は静かに頷いた。

 今回の監視の件も気になるが、雪はこの場をそっと後にした。
「この中に怪我をされたシノビさんはいますか?」
 雪が小さな声で言えば、該当するシノビが降りてきた。応急処置だけで終わっている怪我を見て雪は術を発動した。
「キズナさんに嫌な思いをさせたのはその‥‥」
 動揺するシノビに雪は心の中で言いたい事を上手く言葉に出来なく、最後は詰まってしまう。
「鎬葵様の行動は間違いと思ってません‥‥ですが、沙桐様と折梅様が愛してるこの土地に住む人に怪我はしてほしいとは思いません」
 俯いたまま部屋に戻る雪をシノビは呆然と見つめていた。
「全くもう‥‥」
「彼女らしいですね」
 ポツリと輝血が呟くと、青嵐がくすりと笑った。