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■オープニング本文 ●出でる事 私は、何故生じたのだろうか? 何故、存在しているのだろうか? 神などと、言う存在は本当にいるのだろうか? 何が、先に待っているのだろうか? 撫子の花が揺れていた。 薄紅が、真紅に変わるまでそう、時間は変わらなかった。 「世に出でて 撫子摘まば 夫(せ)の姿―――結ば‥‥れ‥‥‥‥」 紅い8つの単眼がギラリと光る。 黒い繊毛と、狂暴に光る爪で息絶えた女によじ登る。 黒い瘴気が渦巻き、その場には女だけが立っていた。 ●撫子と言う女性 「いってらっしゃいませ」 この二人、先日祝言をあげたばかりだった。 妻、撫子はテキパキと家事をこなしては、夫、宮鷹の帰りを待つ。 宮鷹は仕事道具を持って外に出ては、タタラを踏んで金属を精製する。 最近多くなってきたアヤカシに対抗するため、彼らは武器の生産に力を入れていた。 「ああ、行ってくるよ」 宮鷹の姿が外へ消える。 「お気をつけなさいませ」 最近はアヤカシが多い、そんな事を考えながら撫子は音も立てずに足を登ってきた黒い蜘蛛をそっと手に乗せる。 「あの人なら、蜘蛛の糸とて、切れまいよ―――と言いたいけれど」 どうしたのかと、続けて聞く。 「ああ、捕獲したの」 そう、と呟いて撫子は静かに漆黒を纏う。 その夜、村長の娘が命を落とした。 毒に腫れた紫の腕。 引き裂かれた腹。 そして、中が空っぽになって溶けた肉体を置いて。 すすり泣く人々の合間を縫って、黒い蜘蛛が紅い目を光らせ、闇へと消えた。 ●疑う事 「すまないね、急ぎだ」 男はそう切り出して、煙管を置いた。 村の地図、そして纏められた資料。 左腕は包帯で吊っている。 「もしかして、アヤカシ、ですか?」 「ああ、そんなもんだ」 受付員の言葉に頷いて全ての資料を差し出す。 「被害者は全員中身がからっぽ‥‥発生時刻は昼、毒物で腫れている‥‥と」 「どうやら、糸みたいなものも見つかったらしい‥‥早急になんとかして欲しいんだ。武器職人が殆どやられてる」 「殆ど‥無事な方は?」 「山吹 宮鷹、撫子夫妻の家だけだ‥‥こいつらはつい最近、祝言をあげたばかりなんだ―――ただ」 「ただ?」 受付員の言葉に、男は暫らく逡巡したが、口を開く。 「撫子の周りに、沢山の蜘蛛が居る‥‥と言う噂が絶えなくてな。出所はわからないんだが‥‥」 男の表情に困惑と恐怖の色を見て、受付員はそれ以上は問い詰めず、首肯する。 「―――わかりました、直ぐに貼っておきましょう」 開拓者ギルドに一枚の紙が貼られた。 詳細に記した地図、そして紙と共に。 |
■参加者一覧
檄征 令琳(ia0043)
23歳・男・陰
柊沢 霞澄(ia0067)
17歳・女・巫
高遠・竣嶽(ia0295)
26歳・女・志
玖堂 羽郁(ia0862)
22歳・男・サ
雲母坂 芽依華(ia0879)
19歳・女・志
八嶋 双伍(ia2195)
23歳・男・陰
フェルル=グライフ(ia4572)
19歳・女・騎
鬼灯 恵那(ia6686)
15歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ●秋風に棚引く雲 明朝。 人々が動き出し、飯の支度の始まる時刻‥‥開拓者達は件の場所に来ていた。 「蜘蛛みたいなアヤカシどすか‥‥夜は会いとうあらしまへんなあ」 雲母坂 芽依華(ia0879)が目的の家を前に呟く。 「奥さんの周りに蜘蛛、ね‥(既にとり憑かれてる?)‥まさかな‥‥」 玖堂 羽郁(ia0862)もギルドの依頼を思い出しては意味深に呟く。 それはこの場の誰もが危惧している事だった。 それと同時に、そうでなければ、と‥‥ 「ええ‥‥人に、なりすましていないでしょうか」 幼馴染の玖堂の言葉に賛同するように柊沢 華墨(ia0067)の市女笠が揺れる。 声音は心配を含んだ音。 それに続け、鬼灯 恵那(ia6686)が呟く。 「女に化ける化け蜘蛛の話があったし‥‥怪しいのは間違いないね」 「もっと早くに我らが動けていればもっと被害を減らせたやもしれぬと考えると‥‥」 高遠・竣嶽(ia0295)はいつもの冷静な表情に幾ばくの悔しさを込めて呟いた‥‥しかし、その目に一点の曇りも無い。 八嶋 双伍(ia2195)はギルドの貼紙を懐に入れながら呟く。 「まあ、随分と隠れるのが上手いアヤカシです」 「それも、終わりですけれどね」 檄征 令琳(ia0043)が付け足しては、内心を笑顔の衣で隠す。 フェルル=グライフ(ia4572)が促す。 「行きましょう、どちらにせよ、早く安心させてあげたいです」 ●糸を追い 「了承は得られましたね」 高遠が呟きながら、注意深く辺りに視線を巡らせる。 「そうね‥‥でも、肝心の相手が見つからないわ」 鬼灯は得物に手を添えつつ、倉庫を覗きながら赤い瞳を動かす。 と、共に―――ポタリ 何かが落ちるような音がして、二人は同時に振り向く。 「‥‥敵かしら?」 高遠の黒の瞳が細められ、心眼が発動する。 「いえ‥‥少なくとも30m以内には居ません」 「じゃあ、雨水かな?次にいこうか‥‥」 心眼で探知出来ないなら、少なくともアヤカシではない‥‥そう考えた二人は次の探索場所に足を進める。 「中々いませんね‥‥」 重い植木鉢を退かせて覗きこんだ檄征は額に浮かんだ汗を拭う。 秋風は涼しいが、太陽の光と緊張がその額に汗を浮かばせていた。 「気張っていきましょ!」 それを頑張れとばかりに満面の笑みを浮かべ、応援する雲母坂‥‥女は強し。 「そうですね‥‥おや、雲母坂さん、肩に虫が」 「ええっ?!」 思わず肩を見た雲母坂‥‥その肩に蜘蛛がいる様子はなく、また殺気も感じない。 「冗談ですよ」 食えない笑みを浮かべた檄征はノンビリと言っては次の探索場所を屋根に変える。 「檄征はん、依頼終わったら覚悟しておくれやす」 洒落にならない視線の強さに、檄征は別の意味で冷たい汗が流れるのを感じていた。 玖堂は探索班、参班として最後の確認を行っていた。 その後ろを柊沢が追いかける。 「昔‥‥玖堂さん達と知り合った頃を思い出します‥‥」 「霞澄ちゃんと一緒の依頼なら、もーちょい平和な方が良かったけどね!」 友人である柊沢、そして姉と一緒に平和な依頼を請けられたら一番であるが、今回は今回と気を抜かず、張り詰めすぎず耳を済ませる。 塀の隙間、梁の裏側‥‥積み上げられた資材。 後ろを付いていく柊沢は自分の届く場所を覗き込みながら、精霊の小刀を構える。 「蜘蛛、です―――」 言葉にした刹那、玖堂の咆哮‥‥抜き身の業物が振るわれる。 「‥‥って、これ、普通の蜘蛛じゃないかな?」 おびき出されなかった事と、あっけなく散った事を考えつつ口にする。 慌てて柊沢は瘴索結界を使い‥‥ 「ごめんなさい、蜘蛛さん、玖堂さん!」 数分後、倉庫の裏に蜘蛛の墓が出来たのだった。 ●相思相愛結ばれる糸 時間は少し前に遡る。 護衛班である、第四班の八嶋とグライフは山吹夫妻の家の前に立っていた。 「おはようございます」 グライフが声をかけると、直ぐに出てきた黒の髪の女性。 不思議そうに首を傾げるものの、直ぐに結論に辿り着いたのか満面の笑みを浮かべる。 「町長さんの言っていた開拓者さんね」 「ええ、八嶋です」 「グライフです」 「撫子よ‥‥お前様、開拓者さんが来たわよ!」 純粋に嬉しそうな撫子の様子に二人の開拓者は戸惑いながらも、気を引き締める。 奥から体格のいい男性が現れる―――この人物が宮鷹だろうと言う事は容易に辿り着く結論。 「ああ、お疲れ様です。宮鷹です―――俺は大丈夫なんですがね、何しろ仕事があるので撫子が‥‥」 「お前様、心配しすぎだよ」 キュッと捻ってやるとばかりに腕を動かす宮鷹に苦笑する撫子。 あまりの夫婦の仲の良さにやや驚きつつも、グライフは眼を輝かし、八嶋は内心苦笑する。 「何でも、撫子が蜘蛛だ、何て噂もある位です。撫子だけ襲われていないとかなんとかで‥‥俺は純粋に撫子の優しさがアヤカシに通じてるからだと思うんですけどね」 全くと言わんばかりに言い切った宮鷹に、グライフと八嶋は視線を交差させる。 聞いていたが、あまりに怪しい‥‥アヤカシは人を喰うものだというのは自明の理だ。 「お二人を見ていると、私も結婚を考えてしまいます。お互い、大事に想っているんですね」 動向を探る為、グライフが口にする‥‥勿論、そこには興味も含まれている。 「勿論です、撫子は何にも代えられないものですよ―――」 「ええ、勿論よ。大事だし、あら、でも二番目かしら‥‥来年、子供が生まれるのよ」 クスクス笑って寄り添う夫婦。 仲良きは宜しき事かななどという言葉が自然と八嶋の頭に浮かぶ‥‥少しばかりあてられたのか、ズキズキと頭が痛くなってくる。 「おめでとうございます。相思相愛なんて羨ましいですっ」 「おめでとうございます」 ありがとうと返ってきた返事、そして宮鷹が立ち上がる。 「まあ、撫子をお願いします、開拓者さん‥‥と、八嶋さんとグライフさんですね。俺は仕事に行ってくるんで」 頼みますよと頼んでは横を通り過ぎる勢いの宮鷹にグライフは慌てて前に回りこむ。 「蜘蛛が探索に焦って狙うかもしれませんっ」 大丈夫ですよと暢気な言葉に、少々頭痛を覚えつつアヤカシの怖さは身に染みていないのだろうかと苦笑する八嶋とグライフ。 「奥さんは僕が見ていますから、グライフさんと一緒に仕事に行ってはいかがですか?どちらも無事でないと意味がないでしょう」 「そうよ、お前様。何かあったら私は耐えられません」 八嶋の言葉を追うように撫子も付け足す。 二人の言葉に、宮鷹はやっと首を縦に振ったのだった。 「何も無ければいいんですけど‥‥」 八嶋の呟きは、聞こえたのか、否か。 ●辿り着いた蜘蛛の巣 探索班は自然と集まり、山吹夫妻の家を見上げた。 「収穫は?」 玖堂の言葉に、弐班の雲母坂が首を振る。 「敵も警戒しておるみたいどす」 「居そうな所は探したんですけどね」 檄征も首を振っては、収穫がないことを告げる。 「此方も、ありませんね―――」 「ええ、見事に隠れてるわ‥‥殿の傍にいるんじゃないかしら?」 高遠も面目ないと言いたげに眉を顰め続ける。 鬼灯は赤い瞳を細めて、意見を口にする。 「ええ、此方も、ありませんでした‥‥普通の蜘蛛はいたのですが」 そっと目を伏せた柊沢に視線が集まる。 玖堂は苦笑して、経緯を話す。 「まあ、うん‥‥今は緊急時ですしね」 檄征がやはり殺めた場合は酷い報復が待っているのだろうかと以前読んだ本を思い出しながら逆説を考えてみる。 「元気だしておくれやす、お墓作ってもろうただけでも嬉しいと思いますえ?」 肩を優しく叩きながら雲母坂が満面の笑顔を向けた。 「そうですね‥‥今は、緊急時ですし、それでいいと思いますよ」 高遠が頷き、目の前の家を見る。 不意に開いた扉、行動素早く開拓者達は散開する―――それこそ蜘蛛の子を散らすように。 グライフと共に宮鷹と思われる男が外へ出て‥‥開拓者たちの視線が交差する。 疑い、そして少しの戸惑い。 大丈夫だというように頷いて、見送る。 「もう少し、調査が必要みたいですね」 檄征が誰に言うともなく、呟く‥‥再び開いた、扉。 黒い蜘蛛が暗がりに消えていくのを柊沢の眼が捕らえる。 巫女の直感が働く、あれはアヤカシだと。 他の開拓者たちも同じ事を感じたらしい。 「やはり‥そうなのですね‥‥」 瘴索結界によって月の光のような淡い燐光を纏った柊沢がそっと眼を伏せる。 決定的、だった。 「すみません、八嶋さんの知り合いです」 玖堂が扉を叩き、潜入しているであろう八嶋の名前を出す。 パタパタと足音がして、扉が開いた。 「あら、いらっしゃい‥‥開拓者さんね」 どうぞと笑顔で迎えられて、開拓者一同は困惑する。 それと同時に、相手の懐にもぐりこむ好機でもある。 敵ならば退治すればいい、直感が告げている―――殺気は感じずとも、それが、開拓者たちの受けた依頼。 「お邪魔します」 蜘蛛の腹の中を進んでいくような酷く不気味なものを感じながら、山吹夫妻の家の中へと入っていった。 ●愛と、哀と、逢と‥‥ 出迎えたのは八嶋の人魂だった。 スズメに化けたその符は置物のように棚に止まっている。 確かに、撫子を監視するには最適である。 だが‥‥ 「食べられたり、しないでくださいね」 柊沢がポツリと呟く。 当人は至極真面目に、そして心配しているつもりだが、意外とその破壊力は甚大であった。 思わず無言の開拓者‥‥その沈黙を破る役目が自分にあることを悟った玖堂はわざとらしく咳払いをする。 「ええっと、撫子さんは被害に、遭われたりなどはないんですか?」 清潔な客間に通し、お茶とお菓子を持ってきた撫子は微笑む。 「ええ、ありません」 「もうバレてるよ。正体を現したら?蜘蛛女さん」 既に、開拓者の間で答えは出ていた。 それは、撫子も同じなのか、笑みは変わらない。 ピィィイイ――― 呼子笛がなる。 それと同時に、駆け込んでくるグライフ。 呼吸の仕方から言って、長く駆けてきたのだろう。 「蜘蛛が、散開しました!宮鷹さんは無事です‥‥ただ」 その言葉は続かなかった。 バキッ‥‥ゴキッ‥‥‥‥ 骨が軋み、歪む音、或いは固まった何かが動く音。 「宮鷹様を避難させてください!」 高遠が得物に手をかけ、グライフに言葉をかける。 出来れば、倒す所は見せたくない‥‥語調の強さは彼女の思いを顕著に表していた。 自然と連携を取る開拓者達。 「さあ、いきますぇ!」 雲母坂の刀が赤い光を纏う―――炎魂縛武。 玖堂が業物を手に、身体を捻る事で糸をかわしては切り込む。 俊敏さは自信がある―――足をかわし、中へ踏み込む。 一つ、二つ、三つ‥‥袈裟状に斬っては、一歩下がると同時に、痛みと熱さ。 胴を狙っても、相手の身体に付いた爪は鋭く腕を切った。 「精霊さん‥‥玖堂さんの怪我を癒して‥‥」 淡い光が玖堂を包み、必死の色を見せる銀の瞳‥‥友達を失いたくない。 柊沢は小さく微笑んだ。 檄征が符を構え、呪縛符を放つ。 「フッ、蜘蛛が囚われてしまっては形無しですね」 絡む符に悲鳴のような叫びをあげては、蜘蛛の瞳が光る。 同時に爆発する気力。 心が痛むような、複雑な感情、心をかき乱されるような、術。 檄征は眉を顰め、振り払うように術を構えるが、その符は次の術を作り上げる事が出来ない。 一つ、攻撃手が休めば次の攻撃へと移る―――軍人のような規律はないが、開拓者達は己の経験と技で相手をカバーする術を知っていた。 「今は、全力を尽くすだけです」 居合、鞘から得物を抜いた高遠が肉薄し、足を薙ぐ。 その時間、一瞬。 瘴気の塊がもれる‥‥同時に襲い来る爪、それを八嶋の霊魂砲が抉る。 奇妙に歪んだ醜悪な足が落ちる。 悲鳴のような声、助けて‥‥と、そんな声が切れ切れに聞こえたような気がした。 一方、外で待つグライフは長巻を握り締める。 宮鷹の方に意識を向けつつも、見過ごす事は出来ない。 隼人、そして大きく長巻を振るう‥‥一瞬、蜘蛛に生まれた虚。 それを開拓者達は見過ごさなかった。 「此れで、終わりよ!」 肉厚の蛮刀から生み出された鬼灯のスマッシュ。 「まだ、言葉は通じますか?この辺で終わりにしましょう」 魅了の術から回復した檄征は静かに紡ぐ。 「世に出でて 撫子摘まば 夫の姿―――結ば‥‥れ‥‥ぬなら‥‥もう‥‥会わぬ‥‥よう‥‥」 崩れていく蜘蛛の形。 紡ぎだされた最期の言葉は、果たして、撫子のものか‥‥それとも‥‥‥‥ ●その言葉は長く続く愛情 「アヤカシの残した歌ですか、興味深いですね」 八嶋は依頼を終えて、戦場となった山吹夫妻の家のほうを見る。 「でも、大切な人がどうしたいか考えれば、どうするのか答えは出ているんですよ、どうすれば、悲しまないか」 檄征の言葉に、宮鷹は恐らく頷いたのだと思う。 「想いは‥‥撫子さんの宮鷹さんへの想いは消えなかったんですね‥‥」 そう呟いたのは、グライフだったか。 「思い出を、大切にしてほしいね」 鬼灯が呟く。 どんな言葉も、何も成さない事を彼女はよく知っていた。 「残された人は生きていかないといけませんから‥‥」 そっと柊沢が差し出したのは撫子の花。 宮鷹が、それを手にして、そっと懐に入れたのは見ていた。 「これで、解決どすな」 町長と共に墓に向かっていた雲母坂が戻ってくる。 「少し、悔しいですが、ね」 高遠が見つめるのは、果たして、この結末か、それとも、散り散りになった小蜘蛛か。 「まあ、脅威は取り除かれたけどね」 玖堂も若干の悔しさが残るも、持ち前の快活さで言い切る。 後ろを、振り返ることは許されない。 「長く続く愛情、か‥‥」 鬼灯の呟きに雲母坂が首を傾げる。 「撫子の花言葉よ」 「まあ、素敵どすなぁ」 「姿かたちは、無くなっても‥‥ですね」 グライフが遠くなる町を振り返った。 立ち直ってくれる‥‥時間はかかっても、愛されていた事は、真実なのだから。 |