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■オープニング本文 ●恋煩い 愛と言うものは何なのだろうか‥‥ 恋と言うものは何なのだろうか‥‥ 道なき道を歩み、目に見えぬ『其れ』の為に殉死する――。 書物が記す物語は様々、役者は泣いたり、笑ったり生き生きと描かれ読み手の心に深く入り込み印を付ける。 「新刊、素晴らしいお話なのよ‥‥」 華やかに会話をするのは、美しく着飾った貴人――ほう、と艶めいたため息を吐いては役者へ思い馳せ。 「あの様な方が、いれば良いのに」 そうですね、と侍女が頷き憂う貴人の話に耳を傾ける。 この貴人、齢三十にしてまだ伴侶を選んでおらず、彼女の父は後継ぎを、そうでなければ位高き殿方へ輿入れを――。 日に日に強まる圧力から逃げるかのように、貴人は書物を読みふける。 そして、幻想の殿方へと思い馳せ‥‥。 ●一計 齢三十と言えども、艶めいた色香は香しく、大輪に咲き誇る薔薇の如し。 そこで一計を案じる者がいた‥‥その貴人の教師である。 しがない学者であり、そして蝋燭の下でひっそりと物語を綴る――文官に近い男。 身分こそ貴人より低いものの、決して低くは無い男である。 「吊り橋理論と言うものをご存知ですか――」 いえ、私が付けたのですがね、と口火を切った男は貴人の侍女へと話を持ちかけた。 「危機を感じた男女が、危険に高鳴る鼓動を恋と勘違いするものです」 家格が下である以上、男からは話を持ちかけるには恐ろしいが‥‥貴人からならばどうだろう。 何とも消極的な方法であるが、男とて必死である。 「まあ、でもあの方を危険に――?」 「いえ‥‥仕掛け人は此方で頼みます、文学者がお会いしたいと、お呼び下さい」 今だ捻出段階の、次回作のあらすじを手に、男は深く頭を下げた。 「‥‥と言う事で、決して貴人を傷つけず、私の手で追い払える賊を演じて頂きたいのです」 開拓者ギルドに持ち込まれた一つの話、舶来の品である眼鏡をかけた細身の男は必死に頼み込む。 「ああ、ですが‥‥いえ、ではそのように依頼を貼りだしておきます」 あなたに戦えるのか――と口を開きかけた受付員、曖昧な笑みで誤魔化し依頼を貼りだすのだった。 |
■参加者一覧
空(ia1704)
33歳・男・砂
夏葵(ia5394)
13歳・女・弓
朱麓(ia8390)
23歳・女・泰
リエット・ネーヴ(ia8814)
14歳・女・シ
嵐山 虎彦(ib0213)
34歳・男・サ
沖田 嵐(ib5196)
17歳・女・サ
湯田 鎖雷(ib6263)
32歳・男・泰
弥生 (ib6647)
22歳・男・陰 |
■リプレイ本文 ●内緒の打ち合わせ 「ェ、無理じャね、これ?」 依頼人を見た瞬間、思い切り言い捨てた空(ia1704)の言葉に、うーむと首を振った筋肉隆々のごつい人、嵐山 虎彦(ib0213)が以外と柔らかい口調で口にした。 「ま、恋の手伝いてぇのもたまにゃ楽しいもんだ」 「いや、あんな私戦ッたコトありません、狙うなら私で今なら3割オトクだぜヨロシクみてェな身体で、どォしろと」 ひょろーんとした、依頼人が不安そうな目で訴えかけている‥‥何と言うかもう、影が薄すぎて空気になったんじゃないかと言う位だ。 風が吹いたら飛ばされそう、と言うよりさっきの突風で若干飛ばされていたのを見かけた時は、流石に見てはいけないものを見てしまった気分であった。 「八百長盗賊の真似事だなんて、祖父ちゃんにばれたら怒られるかな」 そう言えば依頼人何処?と言いつつ沖田 嵐(ib5196)が笠や面頬、外套で体躯を隠していく。長い髪は笠に入れて外から分からないようにしている。 依頼人は、直ぐ近くにいるのだが全く、気付いた様子が無い。 「今日のあたしは恋のスペシャリスト(知識のみで経験ないけど)なのです!」 誇らしげにリエット・ネーヴ(ia8814)へ話しかけるのは夏葵(ia5394)だ、凄いじぇ〜とキャッキャッとはしゃぐ二人の少女。 「恋は全力投球なのです!やる気のない紳士にやる気をださせるのです!」 「目指せ、恋愛成就!」 さながら、恋のキューピット‥‥盗賊役よりも、本当にキューピットになり切った方が似合うような気がしなくもないが。 そこは、突っ込んではいけないところである、多分。 「‥‥初見だな。宜しく頼む!」 抱拳礼で挨拶した湯田 鎖雷(ib6263)はこの日の為にボサボサ頭と無精ひげ、後頭部が若干濡れているのは愛馬の所為かも知れない。 胸毛がなくて、生白い肌を隠すように前かがみ、着流しに着替えて卑屈な笑みに変えれば先程、抱拳礼で挨拶した人物とは別人のようだ。 「色恋沙汰には不得手だが、人助けとなるなら喜んで手を貸そう。仮とはいえ、同じ名前の好もあるしな」 頑固そうな、或いは堅物そうな顔で弥生 (ib6647)が依頼人へ挨拶をすませる。奇遇ですね、とアタフタしながらペコペコ挨拶をする依頼人にやはり彼は、大丈夫かコイツ‥‥と言う印象を抱いたらしい。 若干、遠い目をして――たそがれた。 「いやぁ、随分と個性の強い盗賊になりそうだねぇ、よろしくたのむよ」 既に鬼頭の外套を身に付け、朱麓(ia8390)が堂々と現れる――その迫力にちょっと後退りする依頼人、失礼な奴である。駄目だコイツ的な視線を浴びながら、が、頑張りますと開拓者から視線を外してボソリ。 そんなもやしっ子依頼人をガシッと、掴んで空がどォにかしねェと――と心の中で呟いた。 「あ、凄く賊っぽいですね」 「あ?殴るぞ」 「ヒィ――!」 凄んだところで悲鳴を上げる依頼人を十分怖がらせた後、頭からすっぽりかぶった布を掴みやすいように巻きなおし。 「はァ、いィか? 対俺だが。俺が手加減したら明らかにバレる、避けろ。ならてめェでも出来るだろ、女を庇うように動くのを忘れるな、避けた攻撃が女に当たッたんじャ目も当てられんぞ」 いきなり言われて、メモメモ、と慌てだす依頼人を眼光でひるませながら彼は続ける‥‥もう何か、いたぶるの絶対楽しんでますよねとか、要らないツッコミが依頼人から返ってきて鬱陶しかった。 「ある程度‥‥いや、2回避けたら、力の歪みを撃て。アレなら基本中の基本だ、出来るだろォが。足を狙えよ、必然足が止まるから其処でココ掴んで、捻ろ。初心者が投げようなんて思うな、重みで潰されて無様な姿を晒すだけだ」 布を指さした空に、ハイィ、と裏返った声で口にした依頼人は今度、ブツブツとつぶやきだす――どうやら、覚える為に復唱しているらしいが、なんか怖い、残念過ぎる。 もう少し身だしなみを整えた方がいいのです!と割り込んで来た幼い声は夏葵である、元々の顔はおいておいて‥‥と若干本音を醸し出しながら、どんな小説を書いているのかと問いかける。 勿論、夢見がちな乙女の見る夢を聞きたかったのだが――。 「一番は純愛と言うものをテーマにしておりまして‥‥」 何か、長い講釈が始まったので開拓者は各々、最終調整に入る、ぶっちゃけ長い上に分かりづらくてスルーしておくことにした。 「俺はこのままでいいだろうな」 周囲を見ながら、何となく準備をした方がいいような気がして片鎌槍を研ぎだす嵐山、義侠心の篤い、熱血漢であるが入墨効果もあってかなり箔が付いている、ちなみに2mの巨躯‥‥本物の盗賊は裸足で逃げ出すだろう。 そう言えば、助言も必要だったかと思いだせば、未だ長い講釈を述べている依頼人に笑顔で。 「男なんだからな、絡め手も良いが本当に必要なのは度胸だぞ」 と言った、ファイト、とばかりに素敵な笑顔なのだが、若干依頼人が涙目。 「‥‥度胸があれば、いいんだけどな」 「うー、大丈夫だじぇ〜」 沖田の呟きに、大丈夫大丈夫、とネーヴが土で汚した姿をもう一度確認、夏葵に見て見て、とばかりに近づけば大丈夫の太鼓判を貰い満足顔。 「しかし、俺もオッサンに含まれるのか――」 ボソっと呟いた弥生の言葉に、女性にしてはハスキーな声で朱麓が肩をたたいた。 「流石に、チビッ子軍団には入れないだろ?」 夏葵にネーヴ、沖田の三人は盗賊団と言うよりも、悪戯少女と言う感じだ。流石にこの中に入るのは厳しい、性別違うし。 それに加えて、朱麓を始めとした後発班、空に嵐山、湯田に弥生。見事に賊っぽ――「だとコラ、解体(バラ)すゾてめェ?!」――依頼人だけでなく、報告官も涙目である。 「誰だって、年齢を重ねればオッサンだ‥‥」 何だか良く分からない湯田の励ましを受けつつ、弥生が頷いた――大丈夫だ、ossanも需要はある、きっと。 「そう言えば、台詞の準備――」 「こんな子供達まで使って恥ずかしくないのか!ですよね」 「ある程度、倒したら台詞を言うといいだろう――後、本当は助言の一つもしたいんだが」 苦笑しつつ、弥生は頬を軽く掻くと視線を彷徨わせ。 「‥‥すまない。俺にもよく解らないんだ」 「いえ、お気持ちだけ頂いておきます」 そんな感じで予定の時刻が迫って来たようだ‥‥盗賊一味(仮)は潜伏し、依頼人は合流の為に歩を進める。 ●決行、行け行け盗賊団 舗装された道を、牛車が通る――その中には華の上、依頼人は牛車の御者と一緒に牛を操っている。 首をふりふり、牛は進む‥‥だが、勿論その平和は破られる。 木の上に潜んでいたネーヴが牛車と家紋を確認して呼子笛を吹き、現れる先発班のチビッ子盗賊団。 いきなり止まった牛車の籠の中から、どうなさいましたの?と、華の上の声が聞こえてくる。 「うじぇじぇ〜♪ここを通りたいなら、んー。う!三百七十八文よこすんだじぇ!!」 牛を止め、声を張り上げるネーヴ、狐の面で顔を隠した夏葵がセリフに悩み、漸く棒読みで言った。 「いのちがたすかりたいなら‥‥。大人しくお金を出すのです」 「此れは!いけません、華の上。決して外へ出ないで下さい」 既に英雄気取りの依頼人が、華の上の乗った籠に向かって声を上げた――御者は三百七十八文?それなら‥‥と口にするが依頼人は厳しい声で言った、誰も突っ込まないのか、半端な金額に。 「此処は私に任せて下さい!」 「えとね、あのね。昨日から、此処を通る時は金が必要になったんだぜ!」 そっと、御簾から顔を覗かせる華の上、決して絶世の美貌と言う訳ではないが凛とした美しさを湛えていた。正直、依頼人には勿体無い気もする。 「‥‥‥‥!」 包丁を片手に沖田が襲いかかる、風は吹き荒び、華の上の悲鳴も風に乗った。 「うきゅ!?抵抗するとは良い度胸だじぇ。指相撲でしょ‥‥」 牛を抑えつけながら、ネーヴが可愛らしい仕草で言った――まあ、と華の上が小さく笑う。 「やめなさい、彼女は私が守ります!」 とは言え、依頼人は必死――沖田の反応に彼は動いた。 素手で包丁の柄を弾き、軽く肩を押して沖田を弾き飛ばそうと奮闘する――勿論、そんな鈍い動きを避けられない筈はないが、敢えて受け身を取り、殺陣を意識して転がる。 そこへワザと矢を外して襲いかかる夏葵、依頼人、走ると弓を持つ手を弾き飛ばす。 「華の上、此処は私にお任せを、貴女は逃げて下さい!」 「そんな事は、許さないんだじぇ!」 バッ、と腕を振りあげるネーヴに、依頼人がちゃっかり華の上の近くへと戻り、さも、周辺を警戒していますと言うように視線を彷徨わせる。 「ガキだけに任せたのが、間違いだったか」 湯田の言葉に、ニヤリと笑みを浮かべたのは朱麓、能面「風霊」で顔を隠し、纏った鬼頭の外套からはただならない覇気‥‥八百長でなければ、間違いなく依頼人は負けるだろう。 「――おいおい、襲撃が餓鬼だけとは限らないだろう?」 これ見よがしに銃を手の中で弄び、依頼人へ、華の上へ、視線を向ける――やっぱり、依頼人には勿体無い美人だ。 「美人連れたぁ羨ましいねぇ‥‥金と女を置いてきゃ逃がしてやるぜ?」 片鎌槍を担ぎなおしながら、嵐山がズン、と足音荒く一歩前に進む。 「‥‥動かない方が身の為だ」 符を構え、華の上や依頼人、そして御者を睨みつけながら弥生が威圧する――そして次に放った符の行き先は御者、呪縛符で絡め取った。 鼻から下を黒い布で覆い、黒の直垂と手甲、そして狩衣姿の術士に扮装中。 「彼女を、傷つける訳にはいきません!」 牛車を守るように、依頼人は声を張り上げ同じく睨みつける。両手を広げ、通せんぼとでも言うのか‥‥だが如何せん、覇気が無いのでカカシみたいな事になっていた。 「おうおう、そんな体で刃向かおうってぇのか?そりゃ無謀ってぇなもんだ!」 ヘタクソな演技に、内心、舌打ちをしつつ空が「ぐへへ、ビビッて声も出ねェか?」と笑っていない目を向ける。 ナイフ片手に襲いかかる空、それを間一髪のところで避けながら後ろを気にする依頼人。 華の上を守る、華の上を守る――とブツブツ言っている姿に若干退いたが仕方が無い、もう一度、今度は真横から切り裂くように襲いかかる。それを、下がる事で 依頼人は避け、足へ向かって力の歪みを放つ。気力まで使った本気仕様、若干イラってきちゃう空だったが此処は耐える。 たたらをふんだ空の被る布を掴んで、捻る、受け身を取らず派手に倒れる――実は投げようと思ったのだが、眼光が怖くて諦めた依頼人。目力強いよ目力。 「後ろが、ガラ空きだぜ――!」 卑屈そうな盗賊を演じてる湯田が、後ろから殴りかかる、それを片手で抑え、鳩尾に一発――咄嗟に避けそうになったが、ワザと派手に倒れた。 「くっ、やるな‥‥」 苦悶の表情も忘れない、次々と倒れていく仲間達。 「弥生様!」 「はい!」 感極まった華の上、甘ったるい声で依頼人の名前を呼ぶ――思わず返事をしちゃった弥生にえ?とばかりに華の上が視線を送る。 今にも駆けだしそうなこの貴人、朱麓が銃をちらつかせ低く口にした。 「おっと、あんたは大人しくしてな。折角の商品を傷つけるわけにゃいかないからねぇ」 「華の上を放しなさい!」 「あ?女は高く売れるんだよ」 ピリリと緊張が走る、徐々に朱麓との距離を詰めた依頼人はダッと踏み込むと懐に入り込み手首を叩いて銃を弾き落す。 「このような子供達まで使って、恥ずかしくないのですか!」 「はっ、何だろうが使えるものは使う!それの何が悪いんだ」 湯田が声を上げるが、沖田が行動を起こさないように低い声で注意する。 「今ならまだ、やり直せます。その武、必要としているところは数多でしょう」 「(一番恥ずかしいのは、お前だがな)」 ――開拓者の心が一致した瞬間だった。だが、此処はぐっと堪える、空を仰げば青く高く。 ちんまりと正座しているのは夏葵、そしてネーヴに沖田、後発組のおっさ――大人組も何処かしんみりと聞いている、だが演技だ。 一番先に口を開いたのは嵐山、憑き物が落ちたような笑顔で。 「‥‥ふん、そう言われちゃな。ま、お天道様に恥ずかしくないようにやり直すってぇのも‥‥悪かぁねえか」 「‥‥‥‥」 さり気なく、沖田が周辺に痕跡を残していないか、など気を配り――やがて、湯田に手を引かれチビッ子盗賊団も退場。 「ふん、心意気に免じて許してやる‥‥野郎共、引き上げるよ!」 朱麓も声を上げ、そして盗賊団一味は退場して行った――残された依頼人と華の上。 「貴方が無事の様で、なによりです」 「いえ――」 ゆっくりと牛車が目的地へ向かう、作家先生とお忍びで歓談、と言う筋書きの様だが――此れは男女の縁、まるで逢引。 互いに惹かれていたのかどうか‥‥それは知る由もないが。 ●庭園で 庭園‥‥まだ緑色の紫陽花、アヤメや菖蒲といった花々も美しく。 依頼人と華の上も訪れているのだろう、遠目に花見を行いながら歓談をしている姿が窺える――そこに近づく怪しい女性、やや高い声で口にする。 「あの、もし宜しければ何曲か聞いて下さいませんか?私旅をしている吟遊詩人でして…あっ、今回は何も頂かなくても結構ですので」 と、面倒見の良い姐さん気性を発揮した朱麓が、武勇の曲の歌を奏でファナティック・ファンファーレ、そして口笛の勇ましい曲を次々と奏でていく。 激しくも荒々しい、しかし口笛で何処か優しい曲調に男は立ち上がり――華の上に思いを打ち明ける。 『滔々と 流れる川は 絶え間なく 思い溢れて 暴るる水へ』 (私の思いは川の様に枯れる事無く、いつかは溢れて暴れる水のようになってしまいました) 真っ先に河で髭をそり、元の泰服に着替えた湯田は身なりを整え眼鏡をかけ。 「後頭部を心配することなく、瞑想と昼寝ができる静かな環境は魅力的だ。いい季節になったな‥‥おい、嵐山のオッサン、いつまでムサい賊の格好してんだ?‥‥っと失礼、素だったか。あはは!」 「ねェわァ、何か無駄に疲れた上に要らん黒星付けられた気分だぜ」 「ねえねぇ、夏葵ねー夏葵ねー♪僕とお散歩しない?あ、嵐ねーも一緒に」 ゴロリと空が寝転がり、その横を夏葵とネーヴ、そして沖田も一緒にと庭園内を散策する。 弥生は横笛を奏で、嵐山は窺っていた依頼人達の様子が決して、悪いものではないと気付き深く頷き笑みを湛え。 ゆっくりと、時間は流れていく――。 後に依頼人が出版した最新作。 美しい女、そして弱気な青年が、開拓者の助力により、最後には結ばれると言う今回の出来事を描いたものだったらしい――最大の彼の贈り物は、本へ登場するヒロインの役だったのか。 そして、二人は――?本の裏に『ありがとう、今、私達は幸せです』開拓者ギルドに持ち込まれた本には、そのような言葉が書かれていたらしい。 だが、それは後々、知ることである。 |