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■オープニング本文 ●深き業背負いて 暗い‥この世界は‥暗い‥‥。 生まれたときから、この世界は暗かった。 紅い闇が自分を浸食していく。 世界が、壊れていく。 あの背中は、手は、自分の世界を蹂躙し、壊していく。 「どうして―――?」 問いかけに、答えは返ってくることは無い。 ただ、暗い瞳と、紅い闇が、謝罪と恨みを告げているような気がしていた。 頬をなぶる殺気混じりの風。 「どうして―――?」 もう一度、問うた。 答えの代わりに、殺気混じりの風がもう一度。 皮膚が裂けると同時に、広がる紅い闇。 錆びた鉄の臭い、命の臭いだとそんな事を思う。 振り下ろされる銀は、紅く塗れていた。 「―――っ!」 反射的に、彼はその手を‥‥振るった。 小さな銀と共に。 ●少年は立ち上がる その日、開拓者ギルドに駆け込む人物は少なく、彼は暇をもてあましていた。 「休憩行ってきまーす」 チョットばかり早いが、昼食にしようと同僚達に声を掛けて外へ出たとき、何かとぶつかり、彼はよろめく。 「あ、すみません‥‥大丈夫、ですか?」 「‥‥あ、大丈夫、です」 真っ黒なフードを被った少年が地面に倒れている。 立ち上がろうとするも、その少年はどこかを怪我したのか、立ち上がる気配を見せない。 仕方が無く、財布を収めて手を伸ばした彼を、少年の腕が包み込んだ。 「助けてください、開拓者、でしょう?」 どうやら、ギルドから出てくるところを見ていたらしい。 「このままじゃ、皆消えてしまう!」 「いや、お兄さんは開拓者じゃないんだけどね―――依頼、なら、中で聞こうか」 コクンと頷いた少年はせわしなく回りに視線を送りながらも、やや落ち着いたのか立ち上がる。 「じゃあ―――」 所変わって開拓者ギルド。 また何かに巻き込まれたのかと、からかうように笑った同僚達に彼は手を上げて適当な返事を返す。 「開拓者を、呼んでこいって言ったんだね、その偽志は」 「はい、開拓者と、ちゃんと言いました―――偽志とも名乗りました。僕だけ、逃がしてくれたんです。何故かは、分からないけれど」 ペコリと頭を下げる少年、手に握られた少ない金額に、どうするかと彼は頬を掻いた。はてさて、偽志が5人。 しかも、開拓者を寄越せと珍妙な要求を突きつけている。 そう言うからには何か、罠があるのだろう‥‥この程度の金額で足りるのだろうか。 口の周りをベタベタにし、買ってやったジュースを飲みながら縋る目で見る少年に、彼は一つ、ため息をついた。 |
■参加者一覧
小野 咬竜(ia0038)
24歳・男・サ
高遠・竣嶽(ia0295)
26歳・女・志
紫焔 遊羽(ia1017)
21歳・女・巫
嵩山 薫(ia1747)
33歳・女・泰
錐丸(ia2150)
21歳・男・志
伊集院 玄眞(ia3303)
75歳・男・志
斎 朧(ia3446)
18歳・女・巫
ジンベエ(ia3656)
26歳・男・サ |
■リプレイ本文 ●紅い瞳 「偽りの志士‥話には聞いていたけれど、性質の悪い連中のようね」 不意に呟いたのは嵩山 薫(ia1747) 紫焔 遊羽(ia1017)がそれに頷いて言葉を漏らす。 「人がアヤカシと戦う中、悲しいことに人とも争わなあかんのやねぇ」 「単なる野盗とは、どうしても思えんのう。だが、今はそれを考えてる時じゃないだろ?」 小野 咬竜(ia0038)が紫焔の頭を撫でながら開拓者ギルドに入る。 開拓者達を待っていたのは紅い瞳の少年だった。 「こんにちは、貴方が朱里様ですか?」 口を開いたのは高遠・竣嶽(ia0296)だ。 コクリと少年、朱里は頷く。 アヤカシに憑かれている可能性も考慮し、斎 朧(ia3446)はその瞳を覗き込んでみるが、生気はちゃんとある。 何処か、己と似通った雰囲気を感じるが、気のせいだと小さく首を振った。 「私は伊集院 玄眞(ia3303)だ。朱里、だね、短刀とやらを見せてくれるか?」 「はい、短刀、ですね―――」 コクリと朱里は頷いて、ゴソゴソと粗末な服の懐から短刀を見せる。 「どうやら、普通の短刀みてーだな」 錐丸(ia2150)は伊集院に渡された短刀を見ては、頷く。 ごく、普通に売られている短刀だ。 万商店でも売られている。 「小僧、木こりの小屋周辺に何がある」 他の開拓者達が短刀を検分している間、ジンベエ(ia3656)が問いかける。 面と死装束に臆する事も無く、朱里は紅い瞳を少し細めて首を傾げ、思い出したように呟いた。 「木が、いっぱいあります。横に炭焼き小屋があって―――僕も何度か、煙が上がっているのを見たことがあります」 「煙‥‥炭を焼いているとは考えにくいですね」 高遠竣嶽(ia0295)が朱里に視線を映しては呟く。 「そろそろ行くか―――」 錐丸の言葉に、小野も頷く。 「そうじゃのう。案内してくれんか?」 朱里はコクリと頷くと、小さな木の椅子から降りてパタパタと開拓者ギルドを出て行った。 ●作戦開始は日の出と共に まばゆい光が差し込む。 あれから、朱里の家だという粗末な場所にすし詰めになって眠った開拓者達は、日の出と共に起きだして各々、これからの戦いに備える。 「朱里さんは、家族おらへんの?」 紫焔の言葉にキョトンと首をかしげた朱里はコクリと頷く。 「隣の小母さんとお姉ちゃんは連れて行かれて‥‥そこの弟は消えていました」 「消える―――朱里さん、詳しく教えてくれませんか?」 斎の言葉に朱里がコクリと頷いて口を開こうとしたとき、ジンベエが煙管で煙草を吸いながらポツリと呟いた。 「出るぞ―――そろそろ時間だ」 小野、嵩山、紫焔、錐丸は村に残り、偽志達を迎え撃つ。 一方、高遠、ジンベエ、伊集院、斎は朱里と共に南東の木こりの小屋に奇襲をかける。 「村のことは私達に任せて、安心して行ってらっしゃい。朱里君も気をつけてね」 嵩山が微笑んで見送る。 それにヒラリと手を振って、奇襲組は返事を返した。 「竣嶽、気をつけろよ」 額の布を解いて右腕に巻いた、錐丸が信ずる開拓者の一人に声をかける。 誰も、逃しはしない‥‥金色の瞳が鬼のような怜悧な輝きを放ち、無言でそう告げていた。 「ええ、貴方も」 控えめに首肯して、高遠は先に立つ仲間を追った。 ●此れを総じて鬼とする それから、半時程経った時分に彼らは現れた。 「おう、来たか不埒者共。焔の鬼が人を喰いに里へ降りたぞ?さァ、俺の胃の腑に落ちたい者から前に出るが良いわ!!」 小野が高らかに挑発するも、偽志達は窺うように一定の距離を保っている。 明らかな殺気―――村人が開拓者たちの指示通り、扉を閉ざした中、緊迫した雰囲気が流れる。 しかし、その時間は一瞬。 先に動いたのは嵩山だった。 疾風脚で後方に位置した弓使いに向かって一気に間合いをつめる。 「嵩山流泰拳十三代目継承者、嵩山薫。貴方達の往く道を断つ者よ‥‥二重の意味でね」 やや遅れて反応した偽志は受身の態勢を取り、横踏で飛び退く。 連続して旋風脚、綺麗に弧を描いた嵩山の足が翻す外套に弾かれ、受け流される。 機をうかがっていた錐丸。 北西から狙いを定め、もう一人の弓使いに狙いを定め、矢を放つ。 真っ直ぐに放たれた矢は一拍置いて気付いた弓使いの肉を貫き肩に突き刺さる。 「鬼の怖ろしさ、思い知らせる時だ。背中は任せろ」 手ごたえを感じて前線に戻ってきた錐丸は小野に向かってニヤリと笑う。 「こりゃぁ、負けてられんのう!」 それにニヤリと返事を返し、かかってきた刀使いの刀をヒラリと避けると長巻をひらめかせる。 遅れて互いの紅が散ったが、それを気にせず小野は更に踏み込み、振るった勢いそのままに刃を叩きつける。 虚を突かれた偽志は痛みに顔を顰めながら、背後に飛びのき、そのまま逃走を図る。 「逃がさせんよってになっ!」 愛しき人を傷つけられた紫焔は紫水晶のような瞳を怒りに燃やしながら、力の歪みを発動させた。 ぐにゃりと奇妙に偽志の体が歪み、ギシギシと不協和音が響き渡る。 やがて、鮮血が紅い華を咲かせた。 矢をつがえた弓使いが紫焔に向かって矢を射る。 鋭く、空気を切るその矢は確実に心臓を射抜くだろう―――咄嗟に、彼女は身をよじった。 肉に矢が食い込む嫌な音。 「こりゃあ、手加減は出来んのう!」 咄嗟に庇った小野の肩に突き刺さった矢を見て紫焔は顔を真っ青にする。 「咬竜―――無茶は‥‥せんでや?」 神風恩寵を使い、泣きそうなその瞳に、ニヤリと笑って小野は紫焔の頭を撫でた。 「最低の連中ね―――引導、渡してあげるわ」 スッと目を細め、嵩山は更に距離をつめる。 相手が矢をつがえるよりも先に、彼女の足が偽志の顎を砕く。 鈍い音と同時に倒れた相手を嵩山は拳布で縛って転がした。 形勢不利を悟った刀使いと弓使い、逃走の為に森のほうへと駆け出す。 「鬼をも凌ぐ鬼がいる‥‥。あの世までの渡し賃、特別にタダにしてやんよ。喜びな!」 縄に足を取られて転倒した偽志の一人に錐丸が紅い炎のような光を纏った長巻を振るう。 咄嗟に庇った偽志の腕が紅い糸をひいては宙を飛ぶ。 慌てて刀で縄を切った偽志は立ち上がり、逃げようとして‥‥嫌な音が響く。 無慈悲な矢を射ったのはもう一人の偽志。 事切れた仲間の刀を奪い、逃走する。 素早く反応し、肉薄してきた嵩山の足を屈んで交わすと共に、刀を逆袈裟に跳ね上げ、流し斬りで斬りつける。 「臆したか、不埒者!」 小野が咆哮を上げるが、既に偽志は遠く、あっという間に見えなくなっていた。 暫し追った開拓者達だったが、南東へ逃げた事を見ると頭領のところへ戻ったのだろうと、奇襲班と合流の為に木こりの小屋へと向かった。 ●歩まねばならぬ修羅の道 一方、奇襲班。 小さな獣道を朱里と共に歩いていた開拓者たち。 所々朱里が高い藪に消えては、罠を解除して戻ってくる。 ジンベエをはじめ、開拓者達は目を光らせていたが、器用な方なのか、罠の解除も手馴れたものだった。 「朱里はこういった事に慣れてるのか?」 伊集院の言葉を反芻し、朱里は頷いて答える。 「僕の家は、昔から猟師だったんです‥‥あ、あれです」 小屋が見えてくると、声をひそめて朱里は呟く。 緊張しているのか、握った拳が震えていた。 「朱里さん、大丈夫ですよ」 変わらぬ優雅ながらも凍りついた微笑みを抱き、斎は加護結界を奇襲班に付与する。 「行きましょう―――禍根は、ここで断たねばなりません」 心眼―――強い意志を持つ高遠の瞳が開かれる。 「一人、ですね」 高遠とジンベエが扉から、伊集院と斎が裏口から。 ‥‥内部から聞こえてきた物音と同時に、二組の開拓者達は中へと踏み込む。 「開拓者か」 中には頭領と思わしき隻眼の男だけがいた。 木の椅子に腰掛け、木の人形を丁寧に彫っている。 あまりに戦いから遠いその姿に、虚を突かれた開拓者達だったが、一足早く立ち直った伊集院が静かに問いかける。 「木こりは?」 「逃がした‥‥村の奴じゃない」 隻眼が伊集院に、斎に向けられ、朱里に移る。 その瞬間、斎は理解した。 凍りついたような紅の瞳。 隻眼の偽志の持つ紅と、朱里の持つ、紅が同じ色を湛えている。 「それは、信じても?」 警戒の色を強めた高遠が意識を隻眼の偽志に固定したまま、視線をゆっくりと巡らせる。 少なくとも、気配は無い。 「村の奴じゃないと言う事は、村の人間は根絶やしにする気か」 伊集院の言葉に、隻眼の偽志は首肯する。 やがて彫り終わった木彫りの人形を木の机に並べ、ジンベエを見た。 「殺る気だろ、殺気がプンプンしてやがる」 「畜生に垂れる言葉はない、潔く逝け」 示現によって、攻撃力を高められた長巻が振り下ろされる。 それを己の剣で薙ぐようにして交わした隻眼の偽志はジンベエの懐の方へ踏み込み、巻き打ち使い、剣を跳ね上げる。 ジンベエは同時に長巻を回し、偽志に叩き付ける。 「重い一撃だ」 「此方が手薄だ」 伊集院の刀が横薙ぎに振るわれ、高遠の刀が刺突を行う。 咄嗟に身体を斜めにして刺突をかわした偽志はそのまましゃがみ、伊集院の足を剣で払おうとするが、青い光に包まれた伊集院は容易く避ける。 「上部が手薄です」 高遠が上から下へと刀を振り下ろす。 それを剣で受け止めると同時に横に避けた偽志の肩をジンベエの長巻が抉った。 「お前は何故、来た」 「力に溺れ、不逞を働く輩に後れを取るわけにはいきませんから」 抉られた肉もそのままに、偽志は高遠の方へ踏み込み、問いかけた。 篭手払いでかわす高遠は淡々と答える。 「朱里さん、あの偽志は知り合いですか?」 確かな確信を持ちながら、朱里を庇うように立っている斎は問いかける。 青の巫女袴の裾を握って、じっと戦う様子を見ていた朱里はゆっくりと首を横に振った。 「知りません、けれど、懐かしい感じは、するかも、しれません」 本人も理解していないのだろう、首を傾げつつ、紡がれた言葉に、斎は小さく息を吐く。 個人事情に介入する気はあまり無いが、懸念は明らかにしなければならない。 「朱里さんとは、どのような関係ですか?」 「―――関係ない」 次々と繰り出されるジンベエの突きをかわし、或いは受けて踏み込み、偽志は雪折を使って打ち付ける。 「カカカ‥‥関係ないな。どうせ逝く」 その言葉に、偽志は片方の紅い瞳を笑みにした。 ●修羅を思って餓鬼が泣く 「おう、やってるのう!」 開いたドアから入ってきたのは小野。 「‥‥敵は、一人?」 裏口からは嵩山。 「みんな、無茶は‥せんでや?」 「揃ったな‥‥さて、手加減ってモンができねェが‥まぁ、構やしねェよな?」 遅れて紫焔、そして錘丸。 錘丸はそれだけ言うと、長巻で特攻する。 一人の人間を挟んで、ジンベエの長巻と錘丸の長巻が交差した。 「文字通りの切り札、ここで切らせてもらうわ!」 ニヤリと嗤った偽志の口の端からゴプリと、鮮血が流れる。 それでも握ったままの剣をジンベエに向けて逆袈裟に切り裂こうとした腕。 それを嵩山の気功波が飲み込んだ。 その場に崩れ落ちる隻眼の偽志。 紅い瞳は虚ろで、何かを探しているように思える。 「開拓者ってぇのは、一人の人間を寄ってかかって仕留める、か」 「貴方も、力に溺れ、罪の無い人々を虐げた」 高遠の言葉に、己の血溜まりに沈んだ偽志は嗤う。 「ああ、罪が無いか、聞いてみろよ、正義の開拓者‥‥サン」 「どう言う事なん?」 紫焔が疑問に思い、問うたが、偽志の瞳からは既に光が失われていた。 唇だけが、淡く、動く。 「朱里‥‥幸せ、に‥‥どう‥‥‥‥か」 完全に光を失った瞳。 不思議と、その表情は安らかな―――涙が、零れる。 「臆しましたか、朱里さん」 斎が優雅な物腰でその涙を拭ってやる。 「わかりません。でも、何か、大事なものを失ってしまったような、そんな、気がするんです」 「聞いてみろと、言ったな、あの偽志は――不可解なもの、抱えたまま帰るわけにはいかない」 伊集院が呟く。 「せやなぁ、でも、その前に‥‥」 紫焔が凍りついた偽志の瞳を、閉じさせる。 「消えたって―――こう言う事、かよ」 炭焼き小屋を探索していた錘丸が見つけたのは人骨。 「惨いわね」 嵩山がせめてもと骨を拾い上げる。 「首尾は」 「一人、逃げられたな。こっちには来てなかったようじゃのう」 高遠と小野が小さくやり取りしては、互いの状況を報告しあう。 「初めから、帰ってくる気など、なかったのかもしれませんね」 斎が空を見ながら呟く。 ●業も深くは修羅となりて 「開拓者―――が、皆殺しか」 伊集院が年老いて、引退したと言う元村長と話している。 「ああ、村にとっては、アヤカシは脅威。アヤカシに対抗できる村の者を失う訳にはいかんかった」 扇子で口元を押さえている紫焔を見て、すまなかったねと元村長は言葉を紡ぐ。 「この世に似合いの仇花、大輪と言うには直ぐに散ったがな」 ジンベエは煙草を吸いながら、カカカと嗤う。 「言わば、あの子は村に見捨てられたんじゃ―――」 「しかし、彼のしたことは許されることではありません」 高遠の落ち着いた声が凛と響く。 それに眉尻を下げて、元村長は苦笑した。 「朱里さんは―――」 「あの子の縁者じゃよ。あの子の弟にあたる‥‥最も、あの日は医者に預けられていたがの」 斎の言葉に返して、目を閉じた目の前の老人は、随分と年老いたように見えた。 「あの子の妄執が引き起こした事、少ないが受け取って下さらんか」 そう言って元村長は、開拓者達に僅かな金銭を渡す。 「ありがたく受け取らせて貰おうかのう!」 小野が受け取り、他の開拓者達も受け取る。 「ありがとうございました、開拓者さん―――」 元村長の膝に乗って、朱里がペコリと頭を下げた。 「一度背負った業から逃れる事は出来ない。むしろ礎とし、振り回されず大地を踏みしめ生きていく事だ」 伊集院の言葉に、朱里は頷く。 「はい、ちゃんと、生きていきます。僕、ちゃんと皆さんを見てました。そして、わかったんです。皆、消えちゃったんじゃなくて、あの人たちのお腹の中にいるんですね」 そう言って笑った朱里の瞳は、紅く、紅く――― |