ギョ―魚―!
マスター名:白銀 紅夜
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや難
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/09/11 15:01



■オープニング本文

●魚町の小さな異変
 魚と言えば、海だと言う者は多いだろう。
 勿論川魚や池魚もいるが、私は海釣りが好きだ。
 海の魚も堪能するのは好きであるし、潮の香りも心地よい。
 だが、此れはやり過ぎだろう‥‥とこの境遇に立ち会った者は誰とて思うだろう。
「人?」
 ―――世の中には様々な伝承がある、そう、人魚を食べるなんて言う国もあるようだ。
 ミヅチや竜を水の守り神として崇めるところもある。
 だが、此れは明らかに鬱陶しい‥‥じゃない、明らかにやり過ぎだろう。
「ようこそお出でましたギョ!」
「はぁ―――」
「このギョ村では、魚神様の被り物を被るのがしきたりになっておりますギョ」
 ちょっと、被り物の奥の目が輝いた気がする。
 目の前には2名、妙な威圧感が怖い。
「いえ、直ぐに出ていきますのでお構いなく」
「そんな、遠慮は行かんギョ!」
「ギョギョ!」
 ‥‥あ、何だか増えましたね、じゃない。
 次々と集まる魚人達、勿論被り物であるから中身は違うのだろうと思う。
 だが、本日の占いで占うと私は魚難の相が出ているに違いない。
「とりあえずギョ、被れギョ!」
「一旦、服従のフリギョ!」
「き、来たギョ!」
 小声で色々言われ、無理矢理被り物を被せられて奥に連れ込まれた私。
 ギョ!ギョ!と喧しくも怯えた様子の人々、現れた人物に助けを求めようと声を上げようとして‥‥その危ない光を帯びた得物に気が付く。
 手入れされた得物、そして鼻を付く臭いは紛れも無く血であった。
 目の前にいるのが、魚の被り物をした相手であっても、確かに何かを殺した、或いは傷つけた臭いだったのである。

●ギョ盗討伐!
 逃げて来たという4人の女性、開拓者ギルドから出された依頼は魚人討伐であった。
 ただの魚人ならば、問題は無い。
 だが、逃げて来た人物が言うには村を攻め込んで食料を食い荒らし、女を連れ去ったのだと言う。
 ‥‥否、女性と言うべきか。
「早く倒して貰いたいギョ!」
 魚の被り物をした(見た目が)魚人の4人だったのである。


■参加者一覧
天津疾也(ia0019
20歳・男・志
万木・朱璃(ia0029
23歳・女・巫
葛切 カズラ(ia0725
26歳・女・陰
柳生 右京(ia0970
25歳・男・サ
珠々(ia5322
10歳・女・シ
からす(ia6525
13歳・女・弓
西中島 導仁(ia9595
25歳・男・サ
紅 舞華(ia9612
24歳・女・シ
ルンルン・パムポップン(ib0234
17歳・女・シ
グリムバルド(ib0608
18歳・男・騎


■リプレイ本文

●異魚人
 漁師とは、自然相手の仕事。
 彼等にとって自然は神であり、共存する相手。
「だが、せめてモザイク無しは贅沢なのか?」
 紅 舞華(ia9612)の言葉に殺る気満々と言った面持ちで顔を上げたのは柳生 右京(ia0970)だ、涼やかな顔をしているがほとばしる殺気。
「ふざけた連中だ」
「ええ、魚を穢してますギョ!」
 ギョ、ギョ、と声を上げたのは依頼人の女性、魚の鱗で作ったと思われる衣服を身に付けた彼女達は若干生臭い。
「なんや正直見るだけで気力を下げられそうな相手やな‥‥まあ、網タイツはいたオカマやないだけマシやろうか」
「にゅぅはぁふと言うべきギョっ!」
 秘儀、網タイツチラ見せを放つ依頼人の女性‥‥女性?
 網タイツを穿いて踊る手足の生えた魚人、を浮かべていた天津疾也(ia0019)はまさかの事実に顔をひきつらせた。
「心は女性ギョ、心配しなくてよろしいギョ!」
「いやや、此れは悪い夢なんや!」
 残念だが夢ではない、可哀相にと視線を送りつつ葛切 カズラ(ia0725)は被り物を検分する。
「蛸とかないかしら?足つきで」
「足付きは、守備範囲外ギョ!」
 ‥‥全く意味が分からない、信仰か村興しか。
「魚好きが興じてこうなったのか、世界は広ぇなぁ‥‥」
 夢にまで出てきそうな被り物を見ながら、グリムバルド(ib0608)は呟いた。
「迷惑な魚は、鮫に限らず退治されてしかるべきですギョ」
 イワシ頭でボソっと呟いた珠々(ia5322)は汚染と言うよりもプロ意識であるが、妙になじんでいる。
「ええ、さっさっとやつらを倒しましょう。レッツギョー!」
 万木・朱璃(ia0029)も被り物を被りつつ口にする‥‥若干の疲れを感じるのは気のせいでは無い。
「しかし、魚の頭を被る鴉。うむ、こう書くとある意味狡猾だな」
 着眼点が違うからす(ia6525)はふむふむと頷きながら、女性たちへ問いかける。
「何故このような慣習が?」
「確かに、何が発端でこういう風習が流行りだしたんだか」
 葛切も口を開く。
「正に天儀の神秘って感じよね」
 天儀全てがこうではない、ルンルン・パムポップン(ib0234)の笑顔に待ってくれーと、周囲の人間が反応するが割愛。
「村が滅びかけた時、それを救ったのが魚顔の勇者だったギョ、それに敬意を示し私達は魚を身につける事にしたギョ!」
「しかし、それで魚人か‥‥今回は同じ志体持ちの悪魚を―――」
「ギョっ!」
「応援するギョ!」
「一々ギョに反応するな!」
 うっかり『悪行』が『悪魚』になってしまった西中島 導仁(ia9595)は女性とオカマの歓声に首を振った。
「この被り物の由来‥‥魚顔の勇者って、それでいいのか?」
 とりあえず、マグロを被りグリムバルドがボソリと呟く‥‥酷い気もするが、村人達は感謝を表したつもりなのだろう。
「くっ、近づくためとはいえ、被りモンをせねばならんとは‥‥」
 差し出されたサヨリ型の被り物を見、西中島は苦虫を100匹程噛みつぶした顔。
「志体持ちの風上にも置けん者を片付けねば‥‥だが、この屈辱、必ず、必ず晴らしてやる!」
「ああ‥‥」
 此れが似合うと女性に渡された被り物を見、眉根を寄せる柳生。
 マンボウがちょっと可愛かったりする。
「‥‥‥‥」
 無言で握った手の中、被り物が壊れる音がした。
「女性の同行は一人でいいな」
 秋刀魚を被った紅が誰について来て貰おうか、と視線を送る。
「村を襲って悪さをするなんて許せないもの、私達がバッチリ退治しちゃいます!」
「頼もしいギョ、良いお嫁さんになるギョ!」
 パムポップンとキャッキャ、ではなくギョッギョッと会話しながら見取り図を描いて行くのはオカマ網タイツ魚人。
「いやや、嫌やで‥‥流石に!」
 精神的ショックで倒れるやん!と抗議する天津。
 だが、バチンという音がして目があった。
「オトメな私、に決定ギョ」
 一番若いのよと、せくしぃぽーずのオカマ魚人、天津は頭を抱える。
「村人さんを見分けるの、宜しくお願いします。私達がしっかり護っちゃうから、安心しててください」
 ガシッと握手を交わすパムポップンとオカマ魚人。
 ところで‥‥とシリアスな表情でパムポップンは続ける。
「村の挨拶ってやっぱり『いあいあ』とか『ふたぐん』なんですか?」
「普通に、ギョ、で通じるギョ。旧魚とか出てこないから安心するギョ」
 安心していいのか微妙であるが、とりあえず一行は出発するのだった。

●異空間カオス村
「‥‥異空間だ」
 ご尤もな事を改めて呟きながら、グリムバルドは呟いた。
 超越聴覚を駆使し、紅が人質の居場所を探る。
「南側が騒がしい気がするが、南側に集められているのか?」
「そこまでは分からないギョ、ただ、南側に村長の家があるギョ」
 シナを作りながら天津にバチンというウインク、どうやら気にいられたらしい。
「調べてきましょう、待っていて下さいね!」
「そうだな‥‥」
 紅とパムポップンが偵察へと向かう。
「南ってちょっと厄介ですギョ」
「人質を盾にして、突き落すなんて事もありそうだし」
 万木と葛切は難しい顔。
「被り物交換なんていう、素敵展開も気になるんだけど‥‥先制攻撃で確かめられそうよね」
 モザイクで確かめられるギョ、と言うオカマ魚人の言葉に、あら、そうと葛切姉さん。
「北からの侵入は止めた方がいいな‥‥」
 紅の言葉にからすも頷く。
「やや上からの方が攻め込むには、いいだろうから警戒もしているだろう」
「東か西ですギョ、お勧めルートはありますかギョ?」
 珠々の言葉に暫し考え、オカマ魚人は口にする。
「東から逃げて来たギョ‥‥戦略云々はわからないギョ、か弱いオトメですからギョ」
「では、西から攻めるギョ、警戒を強めている筈ギョ‥‥と、疲れるのでこの喋り止めていいですか」
 止めても構いませんよ、万木さん。
 一方、紅とパムポップンの偵察班‥‥南は除外として、早駆や抜足を駆使する。
「見つかりそうになっても、ただの魚の振りなんだからっ」
 バッと目が合う、見張りは2名‥‥一瞬の逡巡、先に仕掛けるか否か。
 片方は棍棒を持ち、所在無さそうに身をすくませている、もう片方の得物は立派な剣だろうか、何処となく強さを感じさせる。
「ギョ?」
「村人か、入れて―――」
 口にした魚人『ギョ』の無い口調だ‥‥得物を取り上げられれば不利になるだろう。
 肩を落とし、ガックリとうなだれ手を下ろす、絡みつく符はイソギンチャク、呪縛符だ。
 捕獲とばかりに近づいてきた敵へ、隠し持ったサクラ型手裏剣を投擲する、散華を使った桜型の手裏剣。
「ルンルン忍法、シュリケーン!村人さんは大丈夫ですか?」
 敵の砕魚符が彼女の肩を抉る、身体を捻り受けに回った物の直撃した肩は酷く痛んだ。
「はいですギョ!」
「‥‥間にあった、全員で正解だな」
 位置を把握した後先に戻り、他の開拓者を連れて来た紅が呟き、螺旋を放つ。
 鋭く回転しながら、敵の背中を抉った。
「ナントカは消毒ですギョ。悪い魚は焼き魚ですギョ」
 珠々が散打で撃針を放つ、続いて遠くから矢を射るからすがボソっと。
「これがメザシ」
 極北と五文銭が眼球を貫通、痛みにのたうち回る敵陰陽師。
 ガクガクブルブルの村人、焼き魚とメザシ発言にちょっと涙目。
「全く、お粗末ですギョ‥‥何がとは言いませんがギョ」
 精霊砲をぶっ放しながら万木が口にする、相手も陰陽師、負けじと霊魂砲をぶっ放す。
「こんなふざけた格好までしたんだ‥‥一人たりとも生かして帰すつもりはない」
 柳生の堂々宣言と共に、敵陰陽師のモザイクが落ちる。
「やーん怖いギョ!」
「だから抱きつくなやっ!‥‥とりあえず、生きてたら捕縛でいいんちゃうか?」
「生きてたらな」
 ‥‥殺る気の柳生にオカマ魚人に抱きつかれた天津が、天を仰いだ。
「競りに出して、金稼ぐつもりやのに」
 ―――魚は被り物なので無理です。

●ギョの付く戦い
「とりあえず、他の村人はどこか知ってるか?」
 腰の引けてる村人を立たせながら、グリムバルドが問いかける。
「南の村長の家に集められてますギョ、4名、村長の前に見張りがいますギョ」
「‥‥さて、貧弱な形とサイズも落ちた事だし、起きなさい」
 モザイクの事を言っているらしい、葛切がショックで気絶中の盗賊を叩き起こす。
「尋問に答えなさいよ、でなきゃあの位じゃ済まさないから」
 地面に落ちた人参もどきを指さす彼女、そろっと、珠々が距離を置く、タマちゃん?いえいえ、気のせいです。
 ‥‥そして、めくるめく尋問のお時間。
「片方は、村人ね‥‥」
「‥‥南から潰して、さっさと解放してからかかった方がいいかもな」
 紅の言葉に、西中島が苦い表情で呟いた。
「無駄にややこしい奴らだな」
「無駄に手練だし‥‥」
「無駄に網タイツやし」
 続いて葛切と天津、無駄な事が多すぎる気もするが、そんなもんである。

 南、相変わらず棍棒と剣の対照的な二人の魚人が見張っていた。
「棍棒のお魚さんが、村人みたいですっ」
 パムポップンの言葉に頷く開拓者達とオカマ魚人‥‥敵は強いとは言え一気にかかれば問題ない。
「敵が家の前に4名、多分見張り2名、家の中に7名おるな」
 心眼で人の数を確認した天津が口にする、自分で口にして彼は首を傾げた。
「村人が1人多いな」
「一人怪しい奴がいたんですよ、村に来た奴ですがね、入れておきました」
「‥‥変態に言われたくないギョ」
 お前が言うな、と思った開拓者達、彼等の言葉を万木が代弁する。
「刻むとしようか」
「すみませんすみません、下半身を露出したかっただけなんです‥‥」
 柳生、鋭い視線を向ければ魚陰陽師、思わず土下座。
「救いようのない変態だな‥‥」
 今更であるが、言わずにはいられなかった、と後に開拓者達は語る事になるのだが。
「兎に角、俺は口上を述べたい」
 正々堂々と勝負、と口にする西中島。
「じゃあ、私は忍眼で解錠と救助しますので」
「治療要員に回りますギョ」
 珠々が直ぐに村長の家へと向かえるように潜伏する、万木も村人保護の為に追従した。

 鬨の声が上がる、太陽を背にした男、否‥‥漢。
「待てぇぃっ!」
 その漢である西中島は悪党である魚陰陽師を見、口を開いた。
「平和な村を血に染める悪党ども、いつまでも逃げられると思うな!悪の限りを行った報いは、いつか必ず払わされる‥‥人それを『贖罪』と言う」
 ビシッと見事に決まっているが、相手が相手なだけに何とも言い難い。
「正義の味方か?」
「貴様らに名乗る名前はないっ!」
 一気に距離を詰めた西中島、払い抜けで斬りかかる‥‥後背から、異変に気付いた他の魚陰陽師も助太刀に駆けた。
 空を切る砕魚符、腹部を殴られた西中島はそのまま阿見を抜き二連撃。
 ―――伊達に全裸じゃない、相手も避ける。

「この間に救出、と‥‥大丈夫?」
 パムポップンが早駆で村人を引きずるようにして救出、負傷はない。
「だ、大丈夫ですギョ!」
 と言う村人も全裸、モザイク完備である。
「‥‥乙女にそんな物見せちゃ駄目なんだから」
「剥がれたギョ!」
 新たな何かに目覚めないといいが。
「お前、魚頭がズレてるぞ―――」
 いい魚っぷりだが、と言う紅だが‥‥照れたのはどうやら村人で。
「そんなぁ、照れますギョ」
 だからお前じゃない。
 螺旋を描き手裏剣を放つ、敵の砕魚符が紅へ振り回される、その腕を貫いたのはグリムバルド。
 地奔、逆袈裟に振るわれた槍が赤い軌跡を描く、直ぐ様近づいて直閃で鋭い突きを放つ。
 魚陰陽師の砕魚符に、防御の姿勢が崩れる‥‥追撃を覚悟した瞬間、マンボウが宙を飛ぶ。
「コレが私の最終兵器!」
 葛切の砕魚符、魚陰陽師は華麗に散った。
 遠くから矢を射抜くからすは集中的にモザイク周辺を狙っている。
「ヤメテーっ、ワタシの為に戦わないでーっ!」
「だから、俺にくっつくなって!」
 オカマ魚人、からすへ叫ぶ、耳元で叫ばれた天津は大迷惑、色々な意味で。
 村人に攻撃しようと近づいた魚陰陽師、その前にモザイクを秋水で斬り捨てる。
「その何か目に触るようなものどうにかせいやああ!」
「やん、ヘ・ン・タ・イ♪」
「変態はお前等やろが!」
 ざわっと鳥肌が立つ‥‥足手まといのオカマ魚人に抱きつかれつつ、秋水が宙を裂く。
 二体目、手際良くからすが荒縄で縛って転がす。
「これが荒巻鮭」
 注意、確信犯。
 柳生の両断剣と焔陰が敵の骨を裂いた、既にマンボウの被り物は脱ぎ棄てている。
 相手の悲恋姫、頭の中に響く悲鳴‥‥脳を掻きまわされるようなそんな不快感。
 人間の身体にとって、瘴気はすべからく毒なのだろう。
「そのふざけた被り物ごと斬り捨てる」
「強すぎる愛も受け入‥‥」
 とりあえず、三人目、捌き切った。

 少し時は遡って。
「解錠完了ギョ」
 素早く珠々が、室内へ身体を滑り込ませる。
「救出ですギョ!」
 万木も倣い、手当てを始める‥‥一人縄から抜けだした人物。
「酷い目に遭った」
「おや、協力していただけるなら助かりますギョ‥‥お互い大変ですギョ」
 シノビだと名乗る旅人、深く頷き礼を述べた。

「援軍、4人こっちに来てるで!」
 オカマ魚人を押しのけつつ、天津が口にする。
「ホント、無駄に手練なんだから!」
 表情が見れないなんて残念よと、触手型の呪縛符で絡め取った葛切が憤慨する。
 そのままマンボウスイング、気合を込めて守りの型をしたまま、グリムバルドが魚陰陽師を叩きのめした。
 気絶を確認し、援軍の陰陽師へ接近、氷柱が肩を貫くがそのまま槍を突きだす。
 珠々の散打がモザイクに決まった、続いて二度目、最早ハリセンボン。
「戦地に於いて足を怪我する事、此れ即ち死を意味する」
「クッ、こうなれば、モザイク除‥‥」
 モザイク除去の言葉に、プチっと一人の男がキレた。
「くっくっくっ‥‥貴様らがそういう事なら、俺も容赦せん」
 西中島、凄みある表情で被り物を引っ掴む、いやん♪と聞こえた気がするが完全に無視。
 脳味噌シェイク、そしてフルボッコ。
「トドメだ!ゴールデンボールクラッァシュ!‥‥成敗!」
 金的な物を蹴り貫き、ビシッと決める。
「うわぁ、痛そうっちゅうか、足洗わなあかんで」
 やってしまった事実は変わらない、そう、穢れてしまったものは変わらないのだ。
「‥‥俺の中の何かが減った気がする」
「そう言う事もある、それより美味しい魚介が食べたい」
 西中島を慰めつつ、冷茶を飲みからすが呟く。
「やはり、術士が消えれば魚も消えるのか‥‥」
 確かに食べたかった、と紅が呟く―――その言葉に、村人が反応した。
「魚介なら、ごちそうしますギョ!」
「おお、なら魚のツマミに‥‥朱璃嬢」
「そうですね、調理も手伝います」
 生き残った盗賊達を縛り付け、開拓者達は魚介を堪能する。

 後日、盗賊達は開拓者ギルドでこう、発言したと言う。
『魚人なら、下半身露出も許されると思いました。結構強くなったし別にいいと思って』
 強さは弱さと一対なのか、断じてお忘れなきよう。