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■オープニング本文 ●平和な萌黄の日に 陽光に目を細めた青白い女性は光のない瞳を目の前の人間『だったもの』へと視線を移す。 死屍累々と言うべきその姿、全て少年少女のもの。 「死んでません、李遵様」 「ツッコミ不要です、藍玄」 広い訓練場に見える鋭い鉄の黒に映える赤。 北條・李遵は髪の毛一本揺れることなく訓練場へと足を付ける。 数多の罠の数を李遵も把握はしていないが、鋭い直感が罠の無い場所を選び動く。 『ある物』の生産過程で生まれた廃棄物の再利用、少年少女達を?Q者と言うのなら李遵もまたこの訓練場の被害者だ。 遠い過去に、おぼろげに揺れる黒い影は今の李遵のように表情一つ無かったように思える。 売買はさして珍しい事ではない為、特に思う事もない‥‥だが、変わり映えのしない毎日に若干の嫌気はあった。 平和は幸せだと思える神経は理解できない、尤も理解できるような神経なら既に街頭の骸と化しているだろうが。 「退屈です、この子達も期待外れでした‥‥瓦版買ってきて下さい、諏訪の陣地辺りで」 「殺す気ですか、もっとマトモな行き先は無かったんですか?」 冗談です、と返事を返した李遵の目は暗い輝きを放っていた。 「これが私の信用ですよ‥‥と、これをお願いします」 藍玄に渡された一枚の書簡、側近であり高い能力を持つ藍玄の仕事ではない。 「他に頼めばいいのでは?」 顔を上げたところに千本、苦無で払いのけては早駆で距離をとる。 その後ろから飛来する一枚の手裏剣、頭の中で警鐘が鳴る‥‥性格の悪い上司は無表情で見ているに違いない。 身体を一気に跳ね上げ、上からの奇襲をかけようとして―――。 「‥‥負けました」 数秒後、倒れたまま藍玄は呟いたのだった。 ●本日は平日也 遊んでいる場合じゃないと声を上げたのは二人の部下。 「ついウッカリ」 「‥‥申し訳ないです」 全く反省する様子のない李遵と非常に申し訳なさそうな藍玄。 「いい歳した二人が昼間っから遊んでるなんて、他にも示しがつきません」 「夜に仕事がある時は昼間に遊ばなくていつ遊ぶんですか」 李遵の言いだした屁理屈にため息を吐く部下、王に奏上願っちゃおうかと言う気分である。 「仕事を終えてから言って下さい。北條の頭領がそれでは他の流派にも合わせる顔がないでしょう」 矛先は減らず口を叩く李遵に向かったらしい、先に解放された藍玄が一礼して退室した。 一番悲しい思いをするのは他流派より北條の人間なのだろうが、敢えてそこには触れない。 「私が本日すると決めた書類は片付きました」 普通なら既にプツンと堪忍袋の緒が切れてしまっているが、部下は強かった。 「李遵様の計画でいくと、2日後には処理が追い付かなくなります」 「では、取引しましょう‥‥仕事をする代わりにこれを届けて下さい」 既に取引ではなく脅しである、ようやく机に向かった李遵を見てため息を吐く部下。 気がつけば高かった日も落ちている、やはり策に嵌められたんだろうかなんて思いつつ部下は戻ってきた藍玄を見て一礼し、足早に退出する。 「既に届けました」 「足音はもう少し抑えて下さい。藍玄にしては速かったですね」 うるさくて仕事が出来ないと言いきった仕事をしない上司にため息をつきつつ、藍玄は口を開いた。 「その機嫌の好さそうな顔止めて下さい。気味が悪いので」 「仮初を解くの、忘れてました‥‥ああ、此処の穴ぶち開けたの私ですよ」 何をやってるんですか!と条件反射で突っ込んだ藍玄に言い返す。 「上の人間なんて、いざという時に役に立てばいいんですよ」 上司の珍しい言葉に藍玄は、瞬く。 下手をすれば楯突いていると言われかねない言葉に流石に眉を顰めた。 「名張様より長生きするといつも仰るのに、鈴鹿様のような忠義者はいませんよ?」 李遵とてそんな事は言われる前に理解している、現に藍玄とも何度命のやり取りをしたのかは把握していない。 「賢者が愚者の衣を被り、愚者が賢者の衣を被る‥‥忠義が強さにならないのが北條です、私は単なる強さが欲しいだけですよ」 圧倒的な強さ、不利でも有利でも誰に対しても変わらない人外染みた強さ。 ある意味人間よりもアヤカシに近いかもしれない、強者と対峙する度に脳が痺れるような高揚を感じる。 「同族嫌悪って言うんですかね、と、楽しい事になりそうです」 |
■参加者一覧
ザンニ・A・クラン(ia0541)
26歳・男・志
嵩山 薫(ia1747)
33歳・女・泰
懺龍(ia2621)
13歳・女・巫
日野 大和(ia5715)
22歳・男・志
燐瀬 葉(ia7653)
17歳・女・巫
リューリャ・ドラッケン(ia8037)
22歳・男・騎
濃愛(ia8505)
24歳・男・シ
不破 颯(ib0495)
25歳・男・弓 |
■リプレイ本文 ●春色に舞う 緑の香りの混じる風、新人の訓練という依頼を受けた7名の開拓者は指定された場所に現れていた。 「は、国を挙げて女子を戦の場に投げ込むのか。なんとも‥‥反吐の出る指導者もいたものよ」 今回の敵は4人2組の少年少女、あからさまに顔を歪めて呟いたのはザンニ・A・クラン(ia0541)だ、その言葉に苦笑しながら頭を掻いたのは竜哉(ia8037) 「最低でも『訓練よりも得るものがなかった』とならない程度にしねえとな」 フェミニスト達が複雑な思いを口にする中、書物で口元を隠した懺龍(ia2621)が口を開き、嬉色を窺わせる。 「罠の実験台に出来そうだし、楽しみ。私の罠とどちらが強力かしら」 「うちも頑張らせてもらうわぁ、サポートは任せといて」 燐瀬 葉(ia7653)が紅葉色の扇子を開いて笑みを浮かべた。 「まあ‥‥なんだ、とりあえずやるか」 日野 大和(ia5715)の呟きに得物である飛龍昇を確かめた嵩山 薫(ia1747)が深く息を吐くと穏やかに呟く。 「我々の役柄は差し詰め、彼らが連携行動を必要とする程度の強敵‥‥といったところね」 ならば、手加減する義理はない‥‥ 「ならば私は、そのご期待にお応えするとしましょう」 訓練とはいえど、戦いに手加減を交えるのは相手に失礼‥‥鋭い気迫の横で、笑みを浮かべる不破 颯(ib0495) 「李遵さんとこの忍びかぁ。まあお手柔らかにねぇ」 ようやく現れた新人シノビと今回の依頼人、北條・李遵とその部下、藍玄に話しかける。 無表情なシノビ達の代わりに口を開いたのは李遵だ。 「説明は不要ですね?」 「まあ、聞いてはいる」 日野の言葉にそれでは構わないと判断した李遵は藍玄へと視線を移した。 「それでは、訓練場へ案内します‥‥皆様なら死ぬことは無いとは思いますが、怪我をされた場合は直ぐにお知らせください」 感情のない口調で丁寧に藍玄が案内したのはただ、広い原っぱ。 「では、今より訓練を始めます‥‥開拓者の皆様は4名、前へ」 どちらが先か、と言うのを簡潔に決めた開拓者達が前に出る。 嵩山、日野、竜哉、不破の4名‥‥対する少年2名と少女2名。 「少年二人が壱と弐。残りが参と肆です、それで十分でしょう」 「名前も名乗らせないのが、決まり、お察し下さい」 ●攻撃にて防御す 先制を取ったのは嵩山、気功波にて遠距離より仕掛ける。 そして爆ぜる爆発物、止まらない嵩山、回避しようとしたシノビ壱の1人へ竜哉が苦無で牽制をかけた。 咄嗟にシノビ壱が木の葉隠れを使用、それが合図のように動きだす4名のシノビ。 後ろから仕掛けてきたシノビ弐を不破の風撃が狙う、それを踏み込む事で直撃を交わしたシノビ弐は軽く横へ跳び、更に踏み込むと不破へ素早く印を結び、雷火手裏剣を放つ。 「漆黒に染まろう‥‥そう、何もかもな」 冷ややかな声が響く、いつもの自分から、非情な漆黒へ。 黒い翼を表した日野が滑り込み、接近と共に蹴りを放つ。 咄嗟に後方へ下がったシノビ弐の表情が痛みに歪む。 陽光に照らされる鋭い針、罠には敵も味方も関係ない。 そこへ両足で二連の蹴りを放った日野、その後ろからシノビ参が肉薄。 横から挟撃に出た嵩山の拳を受け流し、日野へ火遁を繰り出す。 頬を焼く風に日野は赤く翳る目でシノビ参を見、後ろへ蹴りを放つ。 「‥‥っ!」 完全に痛みへ気を取られていたシノビ参は咄嗟のガードを行うが、防ぎきれず後ろへと飛ばされる。 「中距離なら、遠距離で対応しても構いませんよねぇ」 その肩を射ぬく不破、低い体勢から早駆で回り込んだシノビ肆が奇闘術を使用し、独特の足運びでそのまま籠手を付けた拳を叩きこんだ。 回り込まれた事は理解していたものの、速度に劣る不破は咄嗟に身体を固め防御へ徹する。 軽く後ろへと後退した不破へ、シノビ参が距離を詰める。 集中砲火を方針にしたシノビ達は、不破へと集まった。 六節を使用し、不破は狩射で射る。 「弓でも、近接が出来ない訳じゃぁないですよ?」 状況を把握し、尤も当てやすく回避しやすい場所へと動く。 動く得物を射とめる為の技術、静止する的は狙い易いが決して動く的が狙い難いと言う訳ではない。 至近距離、確実に急所を狙った矢は勢いを落とさず、シノビ肆の腕を地面に縫いとめた。 骨と骨の合間を縫った攻撃がダメージよりも、動けないと言う不利な状況を相手に与えた。 「成程、面白い動きよ、確かにね」 シノビ肆の奇闘術を興味深そうに見ていた嵩山、しかし容赦はない。 弾き飛ばされて後手に回ったシノビ参を捉える。 「ただ、面白いだけなのが残念ね!」 早駆で距離を取られれば、一気に瞬脚で跳躍、そのまま嵩山は絶破昇竜脚を叩きこむ。 青の迅雷となった彼女はそのまま重い蹴りを叩きこんだ。 鈍い音と鈍い感触、シノビ参を仕留めたのは確実。 降り立つと同時に鋭い痛みを感じてそのまま、瞬脚で後退する。 着地の衝撃が罠のダメージにプラスされたらしい、咄嗟の受けが無ければ傷はもっと酷かっただろう。 「(‥‥でも、条件は相手も同じよ)」 シノビ壱が瞬脚で後退した嵩山に攻撃を仕掛けようと動く、竜哉が動く、シノビ壱の耳元で風が吹く。 竜哉が苦無を手に戻した音、些細な音に気付いたその一瞬が仇になった。 横から薙ぐように放たれた日野の蹴りがシノビ壱の脇腹へ収まる。 その足を受け止めようとしたシノビ壱の腕へ、風撃を使用した不破の矢が刺さった。 シノビ壱の後ろから、雷火手裏剣が放たれる‥‥そのまま、シノビ壱と弐は背を預け合う。 「(派手さよりも確実に‥‥中距離攻撃が厄介だな)」 敢えて間合いを詰める事はせず、竜哉は出方を観察する‥‥そして、背を預け合った二人の背を断ち切るように苦無を放った。 とたんに弾かれたように動くシノビ二人、そのまま糸を振り回し分銅のように使用し撹乱を狙う。 接近は接近する事で自分の間合いに持ち込んだ。 刀に力を込め、突き放つ‥‥型に従った動きにシノビが回避行動を取る。 「実は、こっちとかな」 更に踏み込み彼は、拳を突き離しスキルを使った本当の直閃を繰り出した。 気功波が撃ち抜き、シノビ壱が倒れる。 「さぁ、いい声で鳴いてくれよ?」 倒れたシノビ壱へ近寄ったシノビ弐へ、日野が蹴りを放った。 気を失ったフリをしたシノビ壱が奇襲をかけるが、それは刀で振り払われる。 一般人相手なら不意をつけたかもしれないが、同じく志体持ち。 「寝ている姿から攻撃へ移るのは難しい‥‥簡単な事だ」 シノビ壱の心臓辺りを踏みつけた彼は、火遁を放ったシノビ弐の攻撃を涼しげな顔で受け止めた。 彼とてダメージが無いわけではない、だが、感情を消すことには慣れている。 「ほら、棄権するとか」 竜哉の言葉に、不破も続けた。 「そうですねぇ、この人数差になると―――」 捨て身で特攻された場合、殺すしか無くなるだろう。 開拓者とて傷は浅くは無い、それが折り合いをつける道だが。 「続けて頂けますか‥‥訓練を訓練と額面通りに受け止める者は必要ないので」 酷薄な李遵の声が響く。 「殺す気か、一体‥‥」 竜哉の言葉に、日野が動く。 火遁をそのまま踏み込み、虚を突かれたシノビ弐の腹へ蹴りを叩きこむ。 「このまま、眠って貰いましょう」 嵩山が吹き飛んだシノビ弐へ絶破昇竜脚を叩きこんだ。 ●不動たる布陣 「怪我は大丈夫ですか‥‥?」 1名をカバーする為、連戦となった竜哉を先だって藍玄が手当てを行う。 「まあ、あんまり動かなかったからな」 どちらかと言うと撹乱、補助へ回った竜哉の負傷はそれ程酷くは無い。 積極的に駆けまわり、結果として罠を多く踏んだ嵩山の方が消耗は酷かった。 「結構、ダメージ来るわね」 「志体持ちが何名も死んでますから」 涼しい顔で告げた李遵の表情を見ながら、嵩山は改めて『危険』の意味を理解する。 「‥‥趣味が悪いわ」 説教の一つも聞かせてやりたいものの、横で米つきバッタのように頭を下げる藍玄を見て毒気を抜かれ、ため息で返答した。 「第二回、残りの者は前へ‥‥少年が伍、陸、少女が漆、捌です。さあ、始めて下さい」 開始を告げる声、地をかけるシノビ達に注意深く周囲を調べていた懺龍の周囲で派手な音が鳴る。 咄嗟に回避するシノビだが、その音が何かをもたらす訳ではない。 「人間の心理を突いてみました」 懺龍が淡々と告げる。 「さあ、頑張っていこかぁ」 燐瀬が神楽舞「速」で支援を行う―――竜哉の手から放たれた苦無が地面へと突き刺さった。 流石に、何度も同じ手を喰うばかりのシノビ達ではない、離脱後は遠距離から手裏剣を放つ。 「(進もうとするから罠にかかる‥‥つまり進まなければ罠のリスクは減る)」 クランがシノビ達を見ながら、大薙刀を構える―――罠の多い地形、進まなければ罠にかかる事は無い。 だが、この原則は敵が攻撃せざる負えない場合にしか使えない。 「(上手く連携して行かなぁ、な)」 グッと拳を握りしめた後、燐瀬は心の中で呟く。 浮かぶのは、何時の日か憧れの巫女のような、姿。 懺龍の行動範囲内で把握出来た罠、彼女は罠に詳しいが短時間で全てを網羅出来る訳ではなかった。 「(引火するようなものはなかった‥‥何の罠かしら?)」 深く被った仮面の奥、周囲に巡らせた罠に囲まれ懺龍は警戒しつつも、興味は尽きない。 勿論、不用意に手を出す事はしないが――― 「(ある程度身体はほぐれてるからいいが‥‥)」 動かず、機を待つ‥‥耐え、支える大地は万物を生む、出方を見る事で活路を見出す。 一人、シノビが踏み込む―――鈍い音と共に弾ける地面。 どちらが仕掛けたのか、それは問題ではない。 「罠‥‥」 シノビ伍の呟き、発動してしまえばある意味その場所は安全地帯。 20m、見えない壁があるように対峙する。 苦無と力の歪みの射程距離、やがて歩を進めたシノビ伍。 足をゆっくり下ろし確かめていた竜哉が直閃を放つ。 向かい合うシノビ伍と竜哉、その上から迫りくる雷火手裏剣。 シノビ陸が遠くから放ったものだ。 二人の足元が弾け、一旦距離を置く―――懺龍が力の歪みで支援しながら書き記していく、罠について。 「女、なぜこの道を選んだ。志体があるからか。アヤカシに何か奪われたか。それとも‥‥あの青白い女狐の国で生まれたからか」 不意のクランの問いかけに、シノビの一人が眉を顰める。 だが、それも一瞬、シノビ漆は手裏剣を放った。 逆に愉しそうな笑みを浮かべたのは李遵、明らかに意地の悪い笑みだ。 口元だけ笑みに歪めた、目の奥が冷えた微笑み。 「へぇ、結構言われてますねー」 「褒められていませんよ、李遵様」 まるで他人事のように呟く李遵の隣、藍玄がため息を吐く‥‥若干開拓者から憐憫の視線を受けた気がした。 そのまま、接近するシノビ漆へ、クランがフェイントを放ち、炎魂縛武を纏わせた大薙刀を振るう。 咄嗟に後ろへ下がったシノビ漆の後ろから、雷火手裏剣が飛来する。 シノビ捌の攻撃、印を結んだまま表情一つ変えない少女は能面のように見えた。 燐瀬が白霊癒でその傷を癒す、淡い白の光が青空に弾ける。 「まだまだ、今からが本番や!」 軽やかに舞い、踊る‥‥白い手の中で扇子までも踊るように見えた。 支援を得られる開拓者とは違い、シノビ4名はその点持久力に欠ける。 相手の行動を待つか、先手を打つか。 敵の周囲には確実に罠がある‥‥敵の攻撃方法、少なくとも弓等の射程の長い物は使用していない。 「(弓や弩を持っているようにも見えない‥‥)」 シノビ伍を前に、後ろに他が続くような形で布陣する。 積極的に攻勢に出ていたクランへ、被弾が集中した。 「(他人を回復出来る巫女がいる‥‥でも、練力を使いきれば形勢は一気に逆転する)」 問題は、それまで自分達が保つか―――その場で静止したままのシノビ達は、動かずに戦う事を選んだ。 罠がある以上、被弾を抑える心理なのかもしれないが、事実上消耗戦になったのは明らかだった。 ●防御の果てに 互いに防御したまま、水で岩に穴を開けるような戦いが続き―――。 「‥‥ぜぇ、ぜぇ」 荒い息が響く、戦いに終止符を打ったのは開拓者でもなく、シノビ達でもなく黙って戦況を見ていた李遵。 「共倒れになるまで戦わせる、とは言え‥‥これ以上やると可能性を潰しそうです」 太陽が沈む、昼が夜に転ずる。 「よって、一勝一分、開拓者側の勝利とします」 ―――完全に、日が落ち、新人達の訓練は終了した。 闇に巣食う影となるか、草葉の陰となるか‥‥それはまだ、わからない。 |