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■オープニング本文 ●オンボロ屋敷から 光もささない暗い部屋。 その中で一人の男は唸っていた‥‥彼は、脚本家として生計を立てていたが所謂行き詰まりを迎えていた。 長らくこの仕事を続けて来たものの気がつけば、家庭を顧みずにいた気がする。 子供も巣立っていった、これからは妻と二人で田舎に戻り自給自足を続けていたいと思うようになっていた。 何も言わずについてきた妻であるが、その髪には簪すら差した事が無い。 せめて、最後の脚本と共に記念として素敵な簪でも贈ろう。 「どうしたのですか、あなた様、ボンヤリなさって―――?」 首をかしげる妻の表情を見ながら、男は自分の思いつきに心踊らす。 彼の瞳は少年の瞳、そのものだった。 彼が書き続けた脚本に出てくる、無垢な少年のように。 「お前は‥‥何色が好きだったかな?」 「赤、ですね―――お前様と見た夕焼けの色」 覚えてますか、と問いかけた妻に男は照れ隠しとばかりに知らないと首を振るのだった。 ●冷たい水に負けず 食後の散歩に出かけた男は川沿いを歩いていた。 出来るなら、最後を飾るに相応しい喜劇がいい。 老若男女楽しめるような、誰もが心優しい気分になれるようなもの――― 「勧善懲悪、か」 ならば、主人公が活躍する脚本がいいだろう―――妻も好きだった筈。 色恋は長く書いていないし、何より自分は得意としていない。 初めて書いた、脚本のような‥‥ そして、男は視線を川へと向ける―――洗濯の為と水を汲む老婆を手伝いながら彼は頷いた。 「ありがとうございます、おばあさん」 「あい?助けてもらってありがとうねぇ」 思い付いたあらすじに、男は顔をほころばせる‥‥老婆は不思議そうな表情をその年月の刻まれた顔に笑みを浮かべたが男は気にしなかった。 散歩もそこそこに、書斎へとひきこもる。 「誰でも知っている英雄―――そう、開拓者がいい」 演技はままならないかもしれないが、その響きだけで子供は楽しそうにしていた。 男もまた、開拓者達の冒険譚に心躍らせた少年の一人。 志体を持っている訳でもなく、武術に優れている訳でもない彼は書物という文字で冒険をする事になったのだが。 「身近なもので、子供たちが遊べるといいな―――」 こうして男は脚本を書き上げた。 一般人を起用してはどうかと言う関係者は押しきる―――自分で報酬を払うから、最初の公演は開拓者に。 恐らく、今は遠い幼き頃に見た開拓者への憧れがあったのだろう。 男は本気だった、だが、自分と他者との間には大きな溝がある事を男は忘れていた。 張り紙を張り出した受付員はポカンと口を開けたまま、その張り紙を見つめていた。 やがて、口から零れた言葉―――それは 「ふんどし戦士、現る―――?」 |
■参加者一覧
天津疾也(ia0019)
20歳・男・志
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
喪越(ia1670)
33歳・男・陰
平野 譲治(ia5226)
15歳・男・陰
グライ・ガラフォード(ib0079)
23歳・男・吟
ヘスティア・V・D(ib0161)
21歳・女・騎
岩宿 太郎(ib0852)
30歳・男・志 |
■リプレイ本文 ●カイタクシャいつもホンキ 控室、脚本を読み終えた開拓者達の異常な熱気が包む。 「褌‥‥それは漢の証。漢なら誰しも裸一貫で始まる。だがそれでも褌だけは必ず身につける、そう、褌とは基本にしてすべてなんや!!」 天津疾也(ia0019)は、変なスイッチが入ってしまったらしく黄金の褌を身につけて拳を握り力説する。 「ああ、役者初体験がここまで男臭溢れるものとは‥‥」 岩宿 太郎(ib0852)はそこで言葉を切り、強い眼差しを向ける。 「素晴らしいじゃないか!演技の心得なんて無いが、大根な部分は熱い魂で補う気で行くぜ!」 褌に魅了されし者がまた一人、熱血漢岩宿は熱い魂を滾らせていた。 「ボクは、観客を笑わせるような演技をしていこうと思う‥‥楽しめるように、ビキニパンツで」 水鏡 絵梨乃(ia0191)は本番前の腹ごしらえと次々芋羊羹を消費しながら衣装であるビキニパンツに視線を向ける。 「ああ、依頼人が奥さんに格好いい姿を見せられるように全力を尽そう」 何としても成功させようと漢の横顔には気迫が漂っている―――羅喉丸(ia0347) 「ふんどしを締めたお色気美女と思ったら‥‥女性陣は皆敵役かYO☆くっ、大きいアミーゴはそれでいいのかっ!」 同感、と様々な場所から賛同を受けそうな言葉を発したのは喪越(ia1670)である。 「うにっ、褌は正義なのだっ!」 白褌を身にまとった平野 譲治(ia5226)が妙な擬音と共に呟いた‥‥外見年齢10歳。 違う意味で妙な視線を浴びそうである、強く生きて欲しいものだ。 「皆さん、本日はありがとうございます」 控室に現れたのは『ふんどし戦士』を作った甲斐・左衛門だ。 憧れの開拓者を見て、目がうるってしまっている。 「我は吟遊詩人のグライ。グライ・ガラフォードだ」 そう言って握手を求めたのはグライ・ガラフォード(ib0079)同じ芸術家として通じるものがあったらしい、左衛門へ言葉を続ける。 「貴公がサエモンか。我は声と楽器とで物語を表現していたのだが‥‥これも表現方法の一つ。手法は違えど物語を紡ぐ先達の、願いとあらば断る理由は無い」 「素晴らしいお言葉を、今日の芝居は今までで最高の出来になるでしょう」 感極まったような左衛門に、ガラフォードは大きく頷いた。 「コッチも忘れんなよ?ヘスティア・ヴォルフよろしくだぜ、よろしくな」 そう言って不敵に微笑むナイスバディー、ヘスティア・ヴォルフ(ib0161)は悪役な笑みを見せる。 「はい、私の最後の脚本、頼みました」 左衛門の言葉に、ガラフォードが堂々と告げる。 「見よ、揃いも揃ったこの役者の顔を。貴公等、準備は良いな?」 褌一枚で奏でられた偶像の歌、熱き戦いの火ぶたは切って落とされた。 ●開幕!ふんどし戦士 「ふはははっ、やれ!―――全ては俺達ブーメランパンツ結社の掌中に!」 高笑いをしながらビキニパンツ結社の首領、羅喉丸が部下の女性二人に指示を出す。 その逞しい体躯と迫力に子供達は無論、大人も魅入っている‥‥始まりは好調。 舞台の裾から出てくる美女二人は、怯える町人へと迫る。 「ハッ、畏まりました‥‥ほら、どうだ、ビキニパンツは」 いいだろう?と下乳が見えるほどに短いケープで胸を隠した水鏡が悪戯っぽい笑みを浮かべる。 「(‥‥まぁ、個人的には男より女の子を誘惑したいんだがな)」 そんな事を思いながら、同じくビキニパンツ結社の怪人に扮するヴォルフへと意味深な視線を送った。 赤のハイレグビキニ、そして赤のケープで隠す豊満な胸は全てを隠しきれず危ない色香が漂っている。 「通行人に押し付けるのは下っ端に任せましょう」 蠱惑的な仕草でヴォルフはエキストラの町人へと迫る。 「ほら、開放的になりましょう、下着といえば‥‥ね?」 くいっと持ち上げるハイレグビキニ。 「ビッ、ビキニも‥‥いいな」 町人のお兄さん、思わず鼻血‥‥燃えていく褌。 「ブーメランパンツこそ帝王の下着、帝王の名の下に制圧前進あるのみ!」 羅喉丸が高らかな声を上げる、そして燃えた褌の後に残されるビキニパンツ‥‥優しいんだか何なんだか分からない。 「『ビキニパンツ』結社に入れば、芋羊羹がいつでも食べ放題だ」 水鏡がそっと町娘に寄り添って耳元で囁く‥‥手には芋羊羹。 「で、でも‥‥天儀の誇りを捨てる訳には」 陥落しかけの町娘、水鏡が追い打ちをかける。 「そんな誇り、一度捨ててしまえばすっきりするぞ?」 無論、負けてはいないヴォルフ。 此方も女性をターゲットに凛々しく迫る。 「ねえ、触れたくならない?―――ビキニパンツは身につける者を美しくするのよ?」 女性の手を取る、まるで王子のような仕草に町娘は役である事も忘れ、うっとりと目を閉じた。 「老若男女、ブーメランパンツを求めているではないか―――これぞ、天下を制する時!」 羅喉丸の言葉と共に、何処からともなく響き渡る声。 「まにゅ、待つのだ!」 トゥッと飛び降りると共になびく白、白褌だ。 「たゆたいて雪、空見あいて雲、ふんどし戦士が長にして白!ここに推参っ!」 そう、ふんどし戦士長、平野である。 白褌一枚と言ういたいけな姿、観客の女性陣から何やら黄色い声が上がった。 「くっ、ふんどし戦士、だと!」 闘志をあらわにする羅喉丸‥‥その前を水鏡とヴォルフが陣取った。 「ふん、一人で何が出来る。このビキニパンツ、そして芋羊羹の前では無力!」 芋羊羹を食べながら水鏡が言い放ち、ヴォルフも余裕の笑みを浮かべた。 「あら‥‥可愛らしい坊やね、ふんどしより此方の方がいいわよ?」 唇を持ち上げ妖艶ポーズのヴォルフに平野が吼えた。 「味方がいるのだ―――かみんぐすーん!」 使い方が違うぞ、と観客達がツッコむ‥‥だが、熱い絆で結ばれたふんどし戦士達には通じたようだ。 「銭あるところならどこへでも、俺参上!」 黄金になびく褌は、銭を求める者の証、ふんどしゴールドこと天津。 「我は白銀のふんどし戦士、フンドシニコフ!」 白銀の褌をなびかせ帝国風なガラフォード。 「春は桜の季節、季節感バッチリな装いのふんどし桜がただいま参上!」 桜色の褌をなびかせた岩宿は参上と共に、ビシィとビキニパンツ結社を指さした。 「お互い似たような格好、共感する部分もあるさ!だが強制はどうかっ!自らの意思で履いてこそだろうが!誤解を招くだけの貴様ら悪の組織は許さんっ!」 熱い演説、後ろに燃え盛る炎が見えたような気がする、が‥‥一息で言った本人はちょっぴり酸欠のようだ。 「アチキを忘れちゃいけないわ、アチキが『ふんどしピンク』よん♪よろしくねん☆」 バチコーンと素晴らしき破壊力と共にウインクを放ったのはふんどしピンクこと、喪越だ。 今回のオイロケ担当であるが、若干観客の中には涙する者もいるようだ――― 『あの、勇気‥‥素晴らしい』 そっちかい、と天津が思わずツッコミ、和やかな雰囲気のまま劇は進んでいく。 ●宿命の対決 「そう、俺達はふんどし戦士!」 ビシッと男達がポーズを決め、なびく5枚の褌。 「ふんどし、戦士だと‥‥」 氷点下の視線を送るのは水鏡とヴォルフ、首領である羅喉丸は本気で闘志をみなぎらせていた。 「戦隊といったら、普通女の子が1人はいるものじゃないのか?」 フンッと鼻で笑って水鏡が一歩前に進み出る、アチキがいるじゃないっ!と言う喪越の悲鳴は黙殺。 「女らしく、正々堂々勝負よ―――パンツなんて邪道よ!古来より大和撫子は、褌を締めてきたんだから」 セリフと同時に厚い胸でタックルを放つ喪越、注意、胸板です。 「じゃ、邪道だろうそれこそ!セリフは口にしてから攻撃しろ!」 羅喉丸が叫ぶ、が手にした1mサイズのビキニパンツは離さない―――喪越の攻撃を初めとし、宙を金色の物体が飛ぶ。 「銭投げフラッシュやっ、往生しぃ!」 両手の指の間に黄金の銭を挟んだ天津が華麗にポーズを決める、白の褌が舞い、ヴォルフの視界を遮った。 「褌の正義、みせてやるのだ!」 リーダー、平野が両手の褌を素早く投げつけ、宙をかけた。 「褌に栄光を、我らに賛美を!」 行くぞ、と気合を入れて突進したガラフォード、敢え無くカウンターパンチを腹に食らって足を押さえる。 「くっ、手ごわい!」 「押さえる場所が違うぞ!」 敵ながらにして思わず突っ込んでしまうヴォルフ、ツッコミに走った彼女を岩宿の瞳が捉えた。 「今こそふんどし桜の力を―――ぬぉぉおおおおおっ!」 ダッと床を踏んでヴォルフへと特攻、拳に巻きつけた桃色の褌がヴォルフの腹部を抉る。 「くっ‥‥でも、隙だらけよ!」 負けずにヴォルフがふんどしを狙う、危うしふんどし桜! 「俺の社会的生命を守る薄皮一枚‥‥下手なくらい方はできん!そこで活躍する重ね着褌!一枚目が破れた時初めて姿を表す季節感を増した一品、二枚目が無ければ即死だった‥‥俺はまだまだ戦える!」 『さあ、かかってこい!』 5名揃ってビシィとビキニパンツ結社の3名を指さす‥‥(色々な)ショックに顔が歪む3名。 「どうしましょう、首領様、しぶといですわ」 「重ね履きなんて‥‥卑怯だぞ!」 ヴォルフと水鏡が吼える。 「忘れるな‥‥ブーメランパンツにこそ栄光はあるのだ!」 巨大ビキニパンツを振り回し、鼓舞する羅喉丸―――女性二人は頷き次の作戦へと映った。 水鏡が豊満な胸元から取り出した特製芋羊羹をちらつかせる。 「こっちには女の子がいるぞ。男だけのむさ苦しい空間からおさらば出来るぞ」 「今回の格好で悪の女幹部ってだけで反則に近いのに誘惑‥‥だと、いかん、まさかピンク色が仇になるとは‥‥!誘惑に相乗効果が乗っている」 岩宿が褌を押さえてもだえる。 説明しよう、桃色褌を身につけたふんどし桜、ふんどしピンクはプリティでエロティカルな能力を備えているのだ!‥‥多分。 「ええ、ビキニパンツこそ‥‥ああ、立ちくらみが(敵を取り込めば首領様もほめてくださりますでしょうか?)」 クラリと岩宿にしなだれかかるヴォルフ、逞しい方は素敵ねなどと口にして胸を押しつける。 「和を乱すビキニパンツ結社よ、これ以上の狼藉は我等が許さぬ!我が一撃を受けよッ!」 たまりかねて踏み出したのはガラフォード。 熱い怒りが籠った白銀の褌が宙を舞う。 「他愛も無いな‥‥」 ヴォルフに近づいたガラフォードを水鏡の蹴りが襲う、若干本気。 「ぬわーっ!くっ!手強い!」 泰拳士である水鏡の蹴りは本当に痛そうだ―――若干涙目、頑張れふんどしニコフっ!と子供達の声援がまばらに聞こえる。 「くっ、なんてええラインや‥‥こ、これは、まさに黄金の比率や!」 褌を押さえて天津がもだえる、陥落しそうな男の誇り。 「あなたに何てっ、やってあげないんだからね」 若干ツンデレ風味のヴォルフ、天津を睨みつける。 「んなっ!?褌を捨てるとは‥‥それでも男かっ!」 平野が叱咤する、リーダーはくじけない。 「皆、パンツの誘惑に負けちゃ駄目!心を強く持つの‥‥アチキ達のふんどし愛は、この程度で打ち砕かれるものじゃない筈よ!見て、アチキのお尻を!このきゅっと浮き上がったお尻のライン。とってもセクスィーでしょ!」 喪越のサービスカット、観客が涙した事だけ明記しておこう。 『ふんどし戦士、頑張って―――!』 子供達の声援、それがふんどし戦士達の心を奮い立たせる。 「いかん!このままでは‥‥!もっと、皆の力を分けてくれッ!」 見せる事を知っているガラフォード、子供たちへと呼びかける―――褌が巻き起こす熱意は最高潮に達しようとしていた。 「何て強力なボンバー‥‥だが、ここで落ちるわけにはいかんのだ‥‥!」 ●そして劇は伝説へ 「もう、その手には乗らないのだ!」 立ち直った事を確認した平野、ビシッと3名を指さし宣言する。 「えぇいっこれでも誘惑されねぇってか?!何が足りない?!」 ヴォルフが艶っぽさを捨てて豹変する、女は怖いね。 「ビキニパンツの良さが分からんとは‥‥くっ、なんだ、この熱さは」 水鏡が子供達の声援に気圧されたように後ずさる。 「熱さがあらへん、俺らにある褌への熱さがなぁっ!」 形勢逆転、天津がパンチを放つ‥‥ついでにボディータッチ、無論沈められた。 「なんて羨ま‥‥じゃない、それはいけないわ!」 喪越、本音がチラリ。 「胸が、なんぼのもんじゃぁっー!」 岩宿が吼えた。 「熱さ?んなもん女にいると思ってるのか―――でも、あぁそんなっ、そんな熱さがあったなんて、水鏡‥‥」 「そうだな、ふんどしを身に付けた女の子を見てみたくなった」 ニヤリと笑う水鏡、ヴォルフの腕へと絡みつく‥‥残る敵は一人。 だが、悠然と羅喉丸は立っていた。 「よかろう、対等の敵が現れた今、首領自らが虚を捨てて立ち向かわねばならぬ‥‥拳法とブーメランパンツを組み合わせたまったく新しい武術、舞乱(ブーメラン)流の錆にしてやろう」 真打登場、器用にパンツを振るう羅喉丸。 「褌への愛は負けぬ!」 「アチキ達は負けられない!」 銀と桃色の褌が舞う。 陣形を組むふんどし戦士達‥‥最後の決戦が始まる。 「ブーメランパンツによる支配のみが安寧をもたらす。なぜそれが分からん」 「下着は自由に履かれねばならんのだ!」 「褌は基本、そして全て‥‥それを理解させたる!」 桜の模様の褌、黄金の褌が舞う。 「宿命の敵、負けられない戦いになるのだ!」 リーダー、平野の白褌が風になびいた。 羅喉丸のパンツ投擲と共に、接近し叩きこむ拳‥‥それをかわすふんどし戦士達。 「くっ‥‥」 ブーメランパンツに傷ついても、歩みは止まらない。 「舞乱流の奥義は隙を生じぬ二段構え」 「でも、一人じゃ―――勝てへんで!」 ボロボロになった天津が吼える、後ろから攻撃するのは平野‥‥リーダー、地味にずるい。 不意の一撃、受けを取ったものの、横から喪越の一閃。 叩きこまれた岩宿の拳、ガラフォードは‥‥ 「守りも、堅い‥‥!」 捨て身特攻だ―――膝を付く羅喉丸。 「引かぬ!媚びぬ!省みぬ!ブーメランパンツに逃走はないのだ」 『ならば、褌の正義を!』 天津の銭投げフラッシュと銭型の模型がまばゆく輝く。 攻撃を受けた羅喉丸、彼は笑みを浮かべていた。 「これが我等の、いや褌を愛する皆の力‥‥だが、形の差異はあろうとも、根本は同じ!仲間ではないか!」 ガラフォードの言葉に他のふんどし戦士達も頷く。 「パンツにかける魂、確かに伝わったぜ‥‥俺達の褌魂も伝わったはず。今ここで俺達は一つになったのだ!さあ、あのビキニ褌型の雲に向かってダッシュだ!!」 ふんどし戦士とビキニパンツ結社、否、両者下着の勇者達は駆けていく―――劇も幕引き、勇者達の英雄譚は、語られるだろう。 「しかしまあ、これでほんまに奥さん感動してくれるとええなあ」 楽屋で内容を思い返す天津、感動したか否か、それは奥さんからの陳謝の手紙と共に伝わる事となる。 |