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■オープニング本文 ●弱肉強食 力が総てである。 それは、総てであり真理である。 強者は力を示さねばならないし、それが強者であると言う事だ。 ――力がなければ、生き残るに値しない。 その生存競争を受け入れられないというのなら、途中で棄権するのもありであろう。 「叛は、権利です。故に、私が止めることはありません」 穏やかに、目の前の女性……北條・李遵(iz0066)はそう言った。 慕容王を巡り、きな臭い噂はいつだって流れている。 陰殻はそう言う国であり、それが陰殻だと言う事だ。 『慕容』の地位を狙い、次々と『叛』を起こすシノビ達……王につくか、叛につくか。 アヤカシと言う脅威を前にしながら、人は人同士で争うものなのだ。 「李遵様。北條でも叛に加わる者が多く、このままでは――」 国そのものが、瓦解してしまうのではないだろうか……? 腹心である藍玄の言葉に、李遵は表情一つ変えず――否、少しばかり爬虫類のような冷たい眼に、炎を宿らせた。 ――歓び、と言う炎だ。 「陰殻が滅びたところで、何だというのです?」 婀娜と嗤うその声に、不穏な色を感じた。 ――アヤカシを疎いながら、真実、この人物は陰殻と言う国を憎んでいるのではないだろうか? 言葉を飲み込み、別の言葉を告げる。 「王にも叛にも、加担せぬと?」 「……私が欲しいのは『慕容』ではありませんから。動くのなら、藍玄、あなたが動きなさい」 決して、自ら動くのを得意としない元師匠へ、李遵は嗤った。 止めとばかりに、口を開く。 「諸氏族からも、私のやり方は気に食わない――と言う意見が出ていますしね」 ●しかし通常運行 「と言う事がありましてね――。禅譲する、と言ったら面倒くさいので、頭冷やせと」 しみじみと目の前で薬草茶を啜りながら、依頼人である李遵は口を開いた。 美味くも不味くもない、敢えて表現するのなら健康に良さそうな味のする薬草茶を啜りながら、開拓者は続きを促す。 何故か、格好は李遵によって目立たない、忍び装束に着替えさせられていた。 茶を啜る。 ……やっぱり、あまり美味しい代物ではなかった。 「で、何をしろと?」 まさか、茶飲み友達になってくれ、と言う事でもあるまい。 「私、外に出ると100人の敵がいるので」 「…………」 「護衛らしいので、適当に殺っちゃって下さい」 適当じゃない――明らかな殺意である。 「あ、もう自前の服に着替えていいですよ。丁度いいので、これを機に頭領を藍玄にでも、禅譲しようかと」 言葉は理解したくないが、護衛と言うからには攻撃はしてこないかもしれない――いや、自分達を下手人と思い込むか? 開拓者達は、それぞれの得物に手をかける。 「――この国には、必要なんですよ。大きな、波が……ゆっくりと、死んでいくようなこの状態から、抜け出すために」 「建前はわかりました――本音は?」 「先ほどの建前が2割、本音を言うと――叛に加わって暇つぶししたいのですが、私が動いて、北條一族の総意だと受け止められては困ります」 歪みない言葉である。 「穏健派とはいえ、陰険眼鏡は侮れませんし……名張爺も、手段を選ばないでしょう。忠義狂いの鈴鹿に任せると、有能な人材が正義の名のもとに葬られます」 この人物が、北條一族の為、と言うのはかなり怪しい――殺っちゃってください、などと言う人物に仁徳だの、和魂などが備わっているとは思えなかった。 開拓者達は、繰り返す――だから、本音は? 「この、叛と言う楽しい『遊戯』なら、もう少し『華』を添えた方が楽しめますからね。陰殻が滅んだとしても、私達のような民草には、関係ないと思いませんか?」 暫くの沈黙、そして――。 「どう思います、この……陰殻と言う国の、在り方を」 |
■参加者一覧
シュラハトリア・M(ia0352)
10歳・女・陰
柳生 右京(ia0970)
25歳・男・サ
リューリャ・ドラッケン(ia8037)
22歳・男・騎
ユリア・ソル(ia9996)
21歳・女・泰
溟霆(ib0504)
24歳・男・シ
カルロス・ヴァザーリ(ib3473)
42歳・男・サ
蓮 蒼馬(ib5707)
30歳・男・泰
乾 炉火(ib9579)
44歳・男・シ |
■リプレイ本文 ● 「数は多くその実力も申し分ない……面白くなりそうだ」 漆喰の蔵の中。 柳生 右京(ia0970)は、さして慌てることなくこの状況を受け止めた。 李遵は薬草茶をゆっくりとすすったまま、動く気はなさそうだ。 「んふふぅ、なぁんか面白いコトになってきたよねぇ……♪」 木窓の隙間から周囲を確認し、シュラハトリア・M(ia0352)は本気でこの絶体絶命的な状況を楽しんでいるようだ。 李遵の言葉を信じるなら―― 嘘をつく理由もないのだが―― 今この蔵の周囲には護衛という名のシノビの敵が100人いる。 それにも拘らずこちらの仲間は8人のみ。 元凶の李遵は当然、頭数には入れていない。 8対100。 圧倒的な数の差を、どう、埋めるのか。 「いやまぁ、アンタが唐突なのは今に始まった事じゃないけどさ」 苦笑しながら、竜哉(ia8037)は「気まぐれついでに、協力してくれないか」と申し出る。 そんな言葉に即座に頷く李遵ではなかったが、「気が向いたら」と笑うのも竜哉の予想の範囲内。 「久し振りに会ってみれば、相変わらずというかなんというか」 蓮 蒼馬(ib5707)も李遵と旧知の仲のようだ。 傍からみれば無理無茶無謀なこの李遵の要求を笑って受け流せるのは、一年以上の付き合いのなせる業か。 「つまり100人張り倒して来いってことよね? 楽しそうだから、参加させて貰いましょう♪」 ユリア・ヴァル(ia9996)はここの地形を思い浮かべる。 (「蟻地獄を思い出す地形ね。どちらが獲物で、どちらが狩人か、試してみましょう?」) すり鉢状の地形の底に位置する漆喰の蔵。 落ちてくるシノビ達を屠るのは、開拓者達か、それとも――。 ユリアは独り言のように呟きながら、手元の和紙にペンを走らせ、皆に見せる。 「……藍玄君の胃痛体感依頼なのかな、これ」 溟霆(ib0504)は筆を受け取り和紙に自分の意見を書きながら、やはり苦笑。 敵は、シノビ。 溟霆と同じ超越聴覚を使えてもおかしくはなく、むしろ使って当然とみるべきだろう。 そしてその対策に筆談を開拓者達はし続ける。 表向きは適当な軽口やぼやきを口に乗せながら。 「護衛100人を殲滅しろとは……なかなか面白い女だ」 煙管をふかしながら、カルロス・ヴァザーリ(ib3473)はさして面白くもなさそうに呟く。 下らない。 何もかもが彼にとっては下らなかった。 「どうせ100人斬りするなら床の方が……って、んな事言ってる余裕はねぇか」 李遵の嬢ちゃんが相手してくれっかいと、ボリボリと頭をかきながら乾 炉火(ib9579)も筆を走らす。 「来るならくればいいわ。先行より後攻のほうが有利な事もあると、身をもって知ることになるでしょう」 ユリアが周囲を囲んでいるであろうシノビたちに聞こえるように挑発する。 計画は決まった。 ● 先陣を切ったのは炉火だった。 大きな背負い袋の中から取り出したのは焙烙玉だ。 「まぁ、オッチャンもう歳だからねぇ。いっちょこいつでも受け取ってくんな」 ドン……ッ! 派手な音と共に、開幕の狼煙が上がる。 数人のシノビが手負いとなり、炉火目掛けて手裏剣を放つ。 「おーおー、怒り狂っちゃってまぁ」 ギリギリのところで炉火は手裏剣をかわし、懐から爆竹を敵に向かって投げ込んだ。 派手な音が響き渡るものの、敵は当然避けるだけだ。 だが、どうだろう? 目の前の敵は爆竹の煩さに苛立ちを隠さずに炉火への攻撃の手を緩めはしないが、派手すぎる破砕音は山に潜むシノビ達のその耳を壊す。 「超越聴覚でこいつをきいちゃぁ、たまんねぇだろ」 にやりと笑って、炉火は目の前のシノビ達を相手取る。 (「んふふぅ。やっぱり、のこのこ出てきたりはしないのねぇ……♪」) シュラハトリアは、蔵を背に周囲に意識を張り巡らす。 集団で来るか、単独で来るか。 護衛という名の敵は、よもやまさか李遵の命まで狙おうとはしないだろうが、シュラハトリアに手加減する気は一切なく。 (「でもぉ……」) シュラハトリアは、符を構える。 「蛇神様のぉ、お通りなのよぉ〜♪」 巨大な蛇がシュラハトリアの頭上に出現し、坂を泳ぐように斜面を登ってゆく。 隠れ潜んでいたであろうシノビの悲鳴が響き渡った。 「邪魔をするなら斬る……ただそれだけの話だ」 飛来する手裏剣を、右京はこともなげにかわす。 不可思議な色を放つ天儀刀を煌めかせ、右京は向かい来るシノビに切っ先を向ける。 顔を隠し、無言で向かってくるシノビ。 「只の護衛でありながら、いい練度の兵だ。立ち回りは悪くない」 右京の上目線からの発言に、シノビの気配にブレが出る。 仮にも李遵の護衛として配置されているシノビ。 腕に覚えのない者たちがいるはずがない。 わかっていて刺激しているのか、右京は振り下ろされた忍刀を魔刀「天津甕星」で受け止める。 刃と刃がぶつかり合い、甲高い金属音が周囲に響き渡った。 「まぁ、そう簡単に事は進まないか」 李遵の協力はおまけのような物だったが、竜哉は最低限の情報は得ていた。 蔵の窓から周囲を確認し竜哉は李遵から得たシノビの集団配置図を脳裏に思い浮かべる。 「上等よ」 竜哉の目線で位置を把握し、ユリアの扇がひらめく。 彼女の頭上に出現した巨大な火の玉は、そのままシノビが隠れ潜んでいるであろう密集地に撃ち放たれる。 無論殲滅は出来ない。 だがその威力は確固たるもの。 「逃がさないよ?」 ユリアの先制攻撃に山に散るシノビを察し、竜哉が手裏剣「火竜」を放つ。 赤く、巨大ともいえる手裏剣。 それは、メテオストライクから逃れたシノビを刈り取るように、山の木々を削り倒す。 そして忍ぶシノビを斬りつけて、竜哉のもとへと帰ってゆく。 「流石ね」 竜哉の火竜に更に滴る赤みが増したのを見、ユリアが梵露丸を一気に飲み干した。 「そうね。一度で消せるほど、貴方達が弱いだなんて思わないわ。でも、私も貴方達に屈するほど、弱くはないの」 ふふっと余裕の笑みをこぼし、ユリアは再びメテオストライクを山に撃ち放つ。 山の斜面が大きく爆ぜた。 「やれやれ。焼け野原になりそうだね」 苦笑とともに、竜哉はユリアとともに蔵から打って出る。 「……頭領、蝶のようにふらつかないで下さいね?」 溟霆が釘を刺す。 彼の目の端には、嬉々として山へ入っていこうとする李遵の姿が。 不服そうにする李遵に、溟霆は軽く溜息。 (「やはり、頭領のお目付け役が本命だよね、これ……」) 本来、一人でいくらでも出来る女のだ、李遵は。 彼女の気まぐれがなんなのか、その本心は到底理解しがたい。 「……駄目ですよ?」 思う傍から、李遵が開拓者ごと大技を繰り出しそうな気配を察し、溟霆は彼女の袖を掴んでとめる。 「あら、残念」 にっこりと笑う李遵。 欠片も残念そうには見えない。 「駄目なものは、駄目です」 含みがありまくる彼女の笑顔に決して惑わされず、溟霆は彼女から離れることなく山を登りだす。 「させないよ」 蒼馬は李遵を狙うシノビの鳩尾に拳を決める。 命までとる気はなかった。 気を失うシノビをそのままに、次の敵へと一瞬で間合いをつめ、その長い足で蹴り飛ばす。 「悪いけど、道を開けてもらうよ。でないと先に進めないんだ」 李遵の気まぐれに振り回される蒼馬は、目の前のシノビたちもまた同じだと気づいている。 (「李遵のやつは、本当に何もしないのか」) 溟霆と共に山を登っていく李遵は、一見従順に見える。 「こんな面倒な事をさせるんだ。帰りには娘の土産用に陰穀西瓜でもつけてくれ」 そうぼやく青馬の要求は最もで、けれど李遵がそれに答えることはなかった。 (「まだまだ数が多いな」) カルロスは迎撃を始めだしたシノビ達から、身を隠す。 だが、ただ隠れたままではいない。 「殲滅は予想外であろう?」 攻勢に打って出たシノビを屠る。 読めていたのだ、シノビの動きが。 (「やはりな。馬鹿正直に正面から来るはずがない」) カルロスは野太刀「鬼霧雨」に力を込める。 「邪魔だな。すべて吹き飛ぶがいいさ。……地断撃!」 彼の力強い腕から振り下ろされる野太刀、そして発する衝撃波は地面をめくり上げて突き進み、邪魔な木々をなぎ倒す。 バキバキと無残な音を立てて、若木も老木も裂けてカルロスに道を開いた。 「ふん……それで隠れたつもりか?」 呟き、カルロスは気を発した。 彼の身体から迸る気は、忍ぶシノビを萎縮させ、その気配の流れがカルロスに彼等の居場所を知らしめた。 ● 「ったく、オッチャンもう年なんだから、あんまり激しくしてくれんなよ……っと!」 相手が女のシノビだと気づき、炉火は軽く腕をひねって投げるに留める。 だが敵もさるもの引っかくモノ。 「……っと、あっぶねぇ!」 炉火の手加減をわからぬわけでもなかろうに、シノビは炉火に苦無を放つ。 咄嗟に炉火は避け、短銃で威嚇射撃を放つ。 「手荒なことはしたくねぇっての」 忍刀に切り替えて組みかかって来るシノビの首に手刀を入れ、戦闘不能に陥らせると木陰にもたれかけさせる。 「甘いことだな」 カルロスがぼやくが、炉火はそ知らぬふり。 「罠とは小ざかしい」 カルロスは地面を蹴り上げる。 古典的な虎バサミが何も咥えることもできずに宙に転がった。 「大分数は減ってきたようだね」 蒼馬が飛来する手裏剣を篭手で叩き落とす。 そして溟霆は李遵の袖をきっちりと離さない。 「駄目ですよ?」 「いつならいいのかしら」 「ずっとです」 笑顔で応じながら、溟霆は冷や汗を流す。 李遵は先ほどから、開拓者を妨害しそうな勢いなのだ。 性格的にわからなくもないが、仲間に向かって攻撃を繰り出されてはたまらない。 言葉だけでなく、袖を掴んでいなければ危険すぎるのだ。 「斬り捨てる……それで終わりだ」 数の暴力とも思えたシノビたちは、もう僅かしか残っていないのだろう。 右京の剣捌きに成すすべもない。 「シュラハはぁ、まだ遊びたりないのぉ♪」 楽しげに殲滅するシュラハトリアは、情け容赦なく符を放つ。 「また食らいたいのかしらね」 ユリアが扇子をかざすと、シノビ達に大きなざわめきが広がる。 遠距離でも効果絶大のメテオストライクをこんな場所で放たれてはたまったものではない。 「止めさせてもらうよ」 その隙に竜哉が再び火竜を放ち、シノビ達の手から次々と武器を落としてゆく。 「ふふっ、完璧ね♪」 ユリアはご機嫌に扇を仰いだ。 ● シノビを殲滅し、山を登りきった時。 李遵の言葉通り藍玄が現れた。 その表情は開拓者達に倒されたシノビ達を嘆く風もなく、ただ、そこにいるだけのよう。 「うぬの配下は脆いな。力が無ければ喰われる……陰殻とは、そういう国なのだろう?」 カルロスは煙管をふかす。 この山を登る為に倒したシノビ達は、決して無能ではなかったが、カルロス達の前には弱すぎた。 「なぁ、アンタは今の陰殻をどう思ってんだ?」 炉火の言葉に、藍玄は李遵のようにふっと笑う。 「その前に、私の質問に答えていただきましょうか」 李遵が皆を見回す。 彼女の質問。 それは、陰殻と言う国の在り方。 「興味なぁい♪」 あっけらかんと笑うのは、シュラハトリア。 どうせなら、もっと面白いようにしたいとも。 彼女の言う面白いは、混乱と混沌。 血と屍が、彼女の喜びを刺激する。 「他はどうか知らんが、私は嫌いではない。国も生き物だ。力が無ければ生き残れまい」 正直、国のあり方などに興味はないと言い切るのは、右京だ。 「影を失い、表で戦うシノビ……それは最早、シノビと呼べないんじゃないか」 竜哉の言葉は、もはやこの陰穀がシノビの国ではないといっているようだった。 「血統統治が良いとは言わないけれど、裏切りを助長するような今の形は歪よ。何の為の王? 権力の為の王? 王を実力で選ぶのは、外敵に対する備えだったんじゃないかと思うけれど、だったら一対一で挑めばいい話よね」 ユリアの言葉に李遵も頷く。 「そう。私達のような民草には、関係ない」 「僕は―― 今のままで良いと思いますよ。此処は陰殻、シノビの国―― なのですから」 溟霆は今のままでいいという。 「陰穀の在り方、か。俺の氏族と似ているな。力こそ全て。弱き者も、弱き感情も切り捨てる。何もかも」 そうしなければ生き残れないからと、蒼馬。 けれど同時に、弱き者を省みない国はいずれ滅びる、とも。 「シノビの端くれとしちゃ、国がどうなろうが上の言う事に従うだけよ」 炉火は頭をボリボリとかく。 「……で、乾 炉火っつー人間としてはだな。アヤカシが大暴れしてるこんな世の中で、人間同士で覇権争いとか馬鹿馬鹿しい事この上ねぇよ。今は叛なんてやってる場合じゃねぇだろっての。 ……けどよ……餓鬼が餓鬼らしく笑えねぇ、そんな国はやっぱ駄目だと思うわ」 炉火の脳裏には、失ってしまった仲間達への思い出が過ぎっていた。 血の繋がらない、けれど愛してやまない息子の事も。 「そう。それがあなた達の答えなのね」 李遵は頷く。 次の瞬間、 「あっ?!」 「えっ?!」 消えた。 正確には一瞬にして開拓者達と離れ、駆け出したのだ。 「どこへ?!」 叫ぶ声は届いていたのかいないのか。 「聞くだけ聞いて、全く……っ!」 彼女らしいのかそうでないのか。 気まぐれな蝶々は飛び去ってゆく。 「今回の依頼、大なり小なり藍玄君の大変さが分かった気がするよ……」 溟霆の言葉が全てを物語る。 「あんたも大変だな」 残された藍玄の肩を、蒼馬はぽんと叩いた。 (代筆:霜月零) |