昨夜はお楽しみでしたね
マスター名:白河ゆう 
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/11/23 18:39



■オープニング本文

 苦しんでいる。
 俺は今、猛烈に苦しんでいる。
 寝汗がひどい。先ほど無理やり起きて寝巻きを替えたはずだが、悪寒が止まらない。
 寒いのか暑いのか、それも判らない。
 吐き気がする。厠に行っても、吐き気はする癖に何も吐けない。
 もう嫌になって枕元に桶を用意して、いつでもいいようにしてるんだが。

 原因はアレだ。昨夜ちょっと遊び過ぎて――。

●ごく普通に依頼
 畑を転げまわる大岩アヤカシが現れたってんで、俺は他の面子と一緒に村へ駆けつけたんだ。
 いや、固い固い。自慢の刀の錆にするどころか、あやうく鉄くずにされるとこだったぜ。
 ま、俺の活躍‥‥言い過ぎた、みんなの活躍の甲斐あって無事に倒せたんだけどな。
 何せ収穫の終わった後で助かったぜ。
 あんな勢いで作物全滅させられちまったら、もう村人の顔も真っ暗だかんな。
 アヤカシを退治して村人に感謝されて報酬もそれなりに戴いてっと。
 いやー、依頼をこなした後はいい気分だ。
 な、帰ったら皆で飯でも食わね?俺んち広いしさっ。
 せっかく顔見知りになったんだ、こん次もよろしくーってね。

●依頼を終えた後
「よし、うちで闇鍋やろーぜっ」
 真っ暗にした部屋で、ぐつぐつ。いいねぇ鍋はやっぱりいいねぇ。
 そんじゃあ、いっただきまーす。
 ぐっふぉー、何じゃこりゃあああっ。誰じゃあこんなもの入れたの!
「闇酒も楽しいよな。椀に入れたかー?蓋したかー?」
 はいぐるぐる回って。もひとつおまけに回って。止まれっ。
 目の前にある椀を一気だぞ。抜け駆けなしな。ぷはーっ。
 何杯でもいこーぜ。無くなるまでみんなで飲もーぜ。
 ひゃっはー。

 そこから記憶はぶっ飛んでいる。
 昨夜はお楽しみのようでしたねと隣人に嫌味を言われても何の事やら。
 俺、もう厠に行って戻ってくるだけで必死だったし。

「で、てめぇら何しに来たの?」
 とても見覚えのある顔ぶれ。昨夜一緒に遊んだ奴らだ。
 雁首並べて、何だよ‥‥俺の事を馬鹿にしにきたの?
「何かひどい顔して寝込んでるって聞こえたから、お見舞い」
「通りかかったら、魘されてる声が気持ち悪いから様子見てきてくれないかって」
「被害妄想入ってるねー。嫌だな僕は何にもしてないよ?」

「頼む‥‥昨夜どういう状態だったか教えてくれ‥‥」
「覚えてないんですか?」
「本当に覚えてないんだ?」
「にやにやしてないで教えろーっ。うげぇ‥‥気持ち悪ぃ‥‥」
 一斉に距離を取る身のこなし。さすが皆、いっぱしの開拓者だ。
 って、そうじゃねえよ。

「アキラさんがそう仰るのなら仕方ないですよね」
「いいか、覚悟して聞けよ‥‥」
 君達は仕方なくか嬉しげにか、アキラに昨夜のあらましを語り始める。
「嘘だけはつくなよ。てめぇら」
 威勢はいいが声は弱々しい。
 酒好き遊び好きでお調子者の開拓者、アキラに昨夜訪れた出来事とは――。


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
からす(ia6525
13歳・女・弓
千羽夜(ia7831
17歳・女・シ
以心 伝助(ia9077
22歳・男・シ
そよぎ(ia9210
15歳・女・吟
エルディン・バウアー(ib0066
28歳・男・魔
リィズ(ib7341
12歳・女・魔
日依朶 美織(ib8043
13歳・男・シ


■リプレイ本文

「あっ‥‥アキラ様、おはようございます。その‥‥全然覚えてらっしゃらないんですか?」
 寝起きの乱れた姿はその、目の毒でございます。ほら皆様もいらっしゃるし、襟元を調えてくださいな。
 慌てたようなそぶりで、アキラの世話を焼き始める日依朶 美織(ib8043)。熱でもあるかのように顔が赤く。
 目元も何処か潤んでいるようだ。
 水鏡 絵梨乃(ia0191)は、はは〜んと察している顔だが、気付いてない者は気付いていない。
「んあ?そんなの別にいいってばよ。俺ぁ、お大尽様とかじゃねえんだから」
 その筆頭はアキラだ。
 その代わり照れているのが千羽夜(ia7831)。
(昨日、だって‥‥その、ね)
「千羽夜殿もまだ酒気が残っているのかな。ほらおにぎりと味噌汁の支度が出来たよ、胃が辛いなら二日酔い用の薬草茶もあるが」
 こちらは常日頃と一切変わらない様子のからす(ia6525)。
「味噌は新しいの買った方がいいよ。あれでは使い物にならぬから、家のを持ってきて使ったよ」
 自炊はするがいい加減なもので台所はひどい有様だった。
「ついでだから掃除もして、ゴミも纏めておいた」
 酒は闇酒の最初に付き合ったくらいで、後の酒盛りは流れでちびちび舐める程度であった。
 ので、記憶はとってもはっきりしている。
 千羽夜がきゃーきゃー言いながらも、しっかり指の隙間から乱れきった惨状を鑑賞していた事も。
「いやいやアキラ殿のドレス姿はお見事なものでしたよ。」
 頂きますと熱々の味噌汁を啜るエルディン・バウアー(ib0066)のさりげない一言にアキラの顔色が変わる。
「さすがシノビ。変装は朝飯前と申しますか。危うく私とした事がその気になるところでした」
 聖職者をその気にさせるとは、なんと罪深い事でしょうか。それほどまでに妖艶な仕上がりでした。
「安心するといい。女装したのはアキラ殿一人ではないから」
 からすの視線がちらりと一瞬だけ向かった先。
 以心 伝助(ia9077)は激しい頭痛のせいでそれには気付かなかった。
「ドレスだと‥‥」
「まぁまぁ、気にしない。迎え酒持ってきたからこれでもやりなよ」
 どすんと未開封の桐箱を置くリィズ(ib7341)。不夜城名物極辛純米酒と墨跡で書かれている。
「通好みの上物だからね、昨日出すのは勿体無かったし〜」
「てめぇ、昨日出した酒の味。思い出した!あれはねーだろ。何入れやがったんだ」
「あははっ、飲んだ後に説明したじゃない。アル=カマルの安酒とジルベリアの安酒を混ぜた国際親交ちゃんぽん」
「アキラのもたいがいだけどね。最初の砂糖酒あれはまぁいけなくもないが、塩酒はひどかったな」
 いくら酒豪の絵梨乃でも、度の強いのは何とかなっても味がどうにもならない代物には参った。
「え〜、あれリィズさんが用意したんだ!」
「千羽夜の一気飲みした後、とても可愛かったよ」
「あ、ん〜とそういえば。楽しくなっちゃって絵梨乃にむぎゅ〜ってしたのよね」
「そうそう。それでいい雰囲気になったんだけど邪魔がね」
 抱き寄せてなでなでしてたら千羽夜があまりにも可愛くてしょうがなかったので。
 そのまま雰囲気に任せて唇を‥‥と思ったら。
「伝助がアキラと畳返し勝負を始めたんだよな」
「あ、あっしそんな事をしてたっすか‥‥」
「そこにそよぎが飛び込んで」
「ちょ、ちょっと待ってください。あたし何したか‥‥覚えてないよね?」
 あたしの清純イメージを壊さないでお願い。
「ね?ねっ?」
 笑顔でドラコアーテムを構えないで。目が、目が怖いよそよぎ(ia9210)。笑顔も黒すぎるよ。
「そよぎちゃんが何をしたかなんて覚えてないからねっ?落ち着いてっ」
 全力で否定する千羽夜。首をぷるぷる横に振って、彼女をがっしり押し留める。

 言えない、決して言えない。
 舞芸を見せたと思ったら、勢い余って襖を突き破り。そのまま縁側に倒れ込んで熟睡してしまい。
 寝ぼけまなこで戻ってきたかと思えば、色気に勢いとキレが足りないとアキラに駄目出し。
 そして。
 自信満々に『荒ぶる雌豹のポーズ!』と叫んで、場の誰をも凍りつかせた瞬間を覚えてるだなんて。
 そんなそよぎの事は記憶に刻み付けてしまった千羽夜だが、自分のやった事は覚えていない。

 あははうふふとかお花畑全開な笑顔で、部屋中を早駆で走り回り。ならまだ良かった。
 早駆で転げまわるという技は里の誰にも見せられない姿であったろう。
 まるごともふら姿で高速で転げまわる物体を誰も止める事はできなかった。
 その気になれば止められたであろうが、あまりにも彼女が幸せそうで。
 闇鍋の跡や食器の類はからすが先回りして片付けたので、部屋の被害は最小限で済んだが。
 起きるなり、すわアヤカシの仕業か!?と自分が荒らした部屋を調べていたのも可笑しかった。

「そういえば、あっしが目覚めた時。柱にガンガン頭をぶつけて呟いていたようでやすが」
「こほん、記憶が無い者が多いようだし。昨日皆で持ち込んだ具材から挙げていってみてはどうかな」
 からすのフォローが無ければ確実に。ドラコアーテムは伝助の脳天を狙っていた。
 まだ吐息に濃厚な酒気を残し顔を顰めている今なら、背後からの不意打ちでヤれていたであろう。
「アキラは焼き豆腐、鶏の手羽元。それに褌だったな」
「紐ショーツも入ってたけど、あれは誰の?」
 そこは大いに気になっていた絵梨乃。実はエルディンとか言ったら殴るぞ。
「私だ。無論未使用の新品だよ」
 しれっと答えるからす。
「それと、白菜、茸、焼餃子、蛸足、薬草、山菜だね」
 美織が四苦八苦してはふはふと蛸足と格闘していたが。
 あれは中途半端に早めに取ると噛み千切るのが大変。
 何せ丸ごと一本そのまま入れたから。
「ボクは当然芋羊羹と、クッキーだ。汁を吸ったら原型留めてなかっただろうけど」
 何が当然なのか。それは絵梨乃だから仕方がない。
「私はその、イモリの黒焼きを‥‥その、ごめんなさいっ」
 里では惚れ薬の効用があると伝わり、開拓者になる時の荷に密かに忍ばせていたものだったが。
 効果の程は‥‥酒宴乱痴の騒ぎに紛れよく判らない。
(私は覚えてないですけど、アキラ様‥‥)
 じっと掬い上げるように見上げた顔が気になったのか手を伸ばしたアキラ。
「熱あって辛いんか?てめぇ無理すんな。いいぞほれ、俺の汗臭い布団で寝たいってんならそうしても」
「あっ‥‥」
 腕を引かれ湿った布団の上にぱたりと倒れ込んだ美織。
(あ、アキラ様と添い寝‥‥っ!?)
 そんな動揺はあっさりと裏切られ、美織と入れ替わりに畳みの上に胡坐をかくアキラ。
 話してるうちに少しは回復してきたようだ。
「あたしは、醤油煎餅と肉じゃがです。芋羊羹は崩れないうちに戴きました」
「ボクはこんにゃくとじゃがいも。鮪の目玉と、依頼に行く前に支給品で貰った干飯だね」
「私の饅頭は誰に当たりましたかね。煮込んでも皮が溶けないのを選んで持ってきたのですが」
「それあっしかも。実は闇鍋ってほんの少し憧れだったでやすが、鍋で饅頭とか面白かったっすね」
 言われれば少しずつ記憶が戻ってくる。
 伝助が入れたのは、梅干に生姜、山葵に薩摩芋。
 何を入れてもいいとは聞いてたけど、自分の入れた物で誰かが腹を壊してはいけないと。
 身体にいいとか殺菌作用があるとか、そんな基準で選んできた。単品では。
「ぶつ切りの山葵には参りましたね。あれはシノビの鍛錬とかで使ってるのでしょうか」
「いや普通に薬味で使うもんっすけど。闇鍋だから掴みやすい方がいいかと思いやして」
「エルディンの絶叫、たぶん隣まで聞こえてただろうなぁ」
「私は実は蛇と蛙の肉を入れたんだけど。そうだ、気付いてくれた?」
 アキラさん鶏肉好きなのよね?これ、あげる♪はい、あーんしてっ。
 隣に座った千羽夜にそんな事をされれば喜んで口を開けて食べていた。
「気付いてたに決まってんだろ。てめぇにあーんとかされて、それがゲテモンだろうが口を開けねぇ男いないだろが」
 顔にはしっかりと、そんな事全然気付いてなかったぜガーンと書いてある。
「そんな事されてたのか、けしからんね」
「勿体無いから食べちゃったけど、毒茸を入れたの誰?たぶん症状から紅天狗茸っぽい感じだったが」
 美味だったし。食うにも困っていた幼少期の倣いで、途中で気付いても無駄にしたくないと平らげてしまったが。
 その後の状態がアルコールの所為だったのか茸の所為だったのか。
 笑いながらグロッキーになって眠りこけてしまったというから、いやはや。
「前職が前職だったからお酒にはそれなりに強かったはずだけど」
 だいたい闇酒で最初に飲んだ葡萄酒なんてジュースで薄めたみたいな味だった。
 それぐらいで酔い潰れていては、歓楽街で客になんて付き合っていられない。商売にならないじゃないか。
 ま、その後も色々飲んだだろうけれど。
「ごめんね私かも、何だか良く判らないけど蛇を捕まえる時に見かけた茸も一緒に入れたのよね」
「ん、面白かったからいいよ。具財手裏剣を口で受け止めるのも楽しかったし」
「それは忘れて〜っ。だって、アキラさんが私の竹輪食べないって言うから!」
「喰わねぇとは言わなかっただろが!まだこっちが他のもん味わってるのにてめぇが押し込もうとするからだっ」

「その後、からすさんが作ってくれたおつまみ美味しかったですよね。あれでお酒がぐいぐい進んじゃいました」
「適当にあり合わせで作ったから簡単な物だけどね」
「七味がものすごい入ってた葡萄酒は私、泣いちゃった〜」
「ヴォトカに天儀酒に、もう途中から闇酒なんて関係なく普通の酒盛りでやしたね」
 申し訳ないっす。あれはジルベリアのスパイスワインを自己流で作ろうとして‥‥。
 ことごとく持ち込んだ物が失敗であった事を思い出してへこむ伝助。
「美織さんの飲んだチョコレート羨ましかったぁ。あれ一杯だけなんて残念」
「からすさんは途中から茶に切り替えていらっしゃいましたね」
 美織の持ってきたマムシ酒もいつの間にか空になっていた。もう誰が飲んだかなんて判らない。
 瓶底に沈んでいたマムシの身を取り出して、千羽夜がアキラを追いかけていたっけ。
 そうそうその辺りで。

「水鏡殿が言い出したんですよね、アキラ殿に女装させようって」
「エルディンが似合いそうだと言ったんだよ最初に」
「そうでしたっけ。これだけ綺麗な顔立ちですからね、シノビならお仕事で変装する機会もあるのではないかと」
 エルディンのプライドをくすぐる褒め殺しに、かなり酔いも回っていたアキラは勢いで。
 いや最初は渋って頑なに拒否していた。
 伝助も煽りだして。
「ああ、先に以心殿が千羽夜殿が脱ぎ捨てたままにしてあった旗袍を着たんでしたね」
 ちょうど身長もほぼ一緒だから、丈は悪くなかったんだけど。肩が留められず、はだけてたのがまたいい感じで。
 そんなのただ女の服を着ただけじゃねえかとアキラが見本を見せてやると息巻いたところに。
「はい、これってエルディンがドレスを差し出した間合いは絶妙だったよ」
「開拓者たるもの、何があってもいいように備えよ常に。その身上に従ったまでです」
「その後の伝助の篭絡実践編も見物だったなぁ。ボクの方に間違って来たからハリセンで張り倒したけどね」
 あれ、何でハリセンなんて持ってたんだろ。誰かに手渡されたんだっけ?
 言っとくけど女の子以外の触れ合いはお断りだよ、ボクは。
「あっし、そんな事‥‥そういえば、ああっ」
 頭に閃光が奔るように全ての記憶が蘇った伝助。
 穴があったら入りたい。まざまざと当時の光景が走馬灯のように巡る。
 外套を被って部屋の隅に蹲る。埋伏りまで使って蹲っているが、いや隠れられてないから。
「アキラ殿はそれはお見事なものでしたなぁ」
「美織がすっかり見蕩れていたね」
(はい、私は見蕩れておりました。女性の装いをなさったアキラ様が余りにお美しく‥‥)
 敷布を掴み、熱い溜め息を吐く美織。瞼に昨夜のアキラの眩しい姿が焼きついている。
 私には判りました。ドレスを纏って女性のような姿にしか見えなくても。
 その中に潜まれた逞しさと凛々しさ。あの美しさは見た目だけに騙される人には、その奥底まで感じる事はできないのです。
 迫られる神父さんに最初は嫉妬の炎をはしたなく燃やしてしまいましたけれど。
 でもカソックのボタンを外され、乱れて震えた神父さんもとても素敵で‥‥。
 伝助さんも逞しい肩や、はだけられた胸がそれはそれは魅惑的で。
 覚えてませんが、私はどなたかと契ってしまったのでしょうか。
 目覚めた時、はしたない姿になっておりました。例えどなたでも‥‥。
 記憶が無い部分を都合良く埋めて一人妄想を逞しくしている美織だが、そんな事は起きていない。
 ただ単に寝相が悪かっただけである。
 からすがきちんと布を掛けてやったのだが、それも蹴り飛ばして。
 途中で誰かが抱き締めてのしかかってきた記憶は、夢だ。

「私がアキラ殿を押し倒そうとしたら、一瞬にして畳に変わっていたんですよ」
 時を一瞬止めて脱出したアキラ。その直後に伝助が畳返し勝負だとか言い出したのだ。
 そうこうするうちに皆、眠りこけて。ほぼ素面のからすだけが残された。
 からすが修復する前は、部屋中の畳が裏返されて散り目も当てられない有様だった。
「よく判ったぜ。‥‥酒飲んでの出来事だから、みんな忘れやがれっ!」
 隣にはまぁ、騒いで悪かったと後で手土産でも持って詫びに行こう。
「また依頼ん時はよろしくな。でももう二度と女装なんてやらねえからな!」
「全部忘れるから、どうだかね〜」
 くすくすと絵梨乃が笑う。
(二度と‥‥はい、あたしもあんな初めて会った人とその晩にせくしー対決とか二度とやりません)
(あっしも二度とこんな事は‥‥酒が過ぎたせいとはいえ‥‥)
 それぞれに後悔は、あるようだ。
 何はともあれ、昨夜はとってもお楽しみだったようで。