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■オープニング本文 「今回は屋敷内の撃退訓練という趣旨なのだが」 陰殻は寒河の里、そこより旅立ちて来たる十人の新米シノビ達。 それなりの修練を積んで、里の若者達の中でも選りすぐりと言えるが、それでもまだ物足りぬ。 一人一人が精鋭でなければならぬ。一人一人があらゆる局面で対応できなければならぬ。 山中深い隠れ里での訓練だけでは補えぬものもあった。都では都に向いた訓練ができる。 何より開拓者との接触によって刺激を受けて欲しかった。 訓練を終えて里に戻ってからも、何かの糧になろう。里の未来を担う彼らの胸に。 人が多ければそれだけ情報も数多く飛び交う。 賑わう神楽の都には、次代頭領の視野を広げる為と称して送り込まれた寒河 李雲が仮の住まいを拠点に活動していた。 この度の手配は彼が全部行なっている。 「十人纏めて訓練を行う事となったので貴殿達には襲撃役を頼みたいのだ」 ただ同然で借り受けてきた都内の広い屋敷。いや元屋敷というべきか。あまりにも荒廃しきっていて直すより壊したほうが良さげにさえ思える。 別にそういうシチュエーションを選んだわけではなく、訓練をする場所を用意するのに予算が無かったというだけの実情である。 障子も襖も破れ、畳はささくれ、床板は腐り、あちこち蜘蛛の巣だらけ、庭も荒れ放題。どこから虫や鼠が出てきてもおかしくはない。 広いのだけが取り得である。部屋数だけはやけに多い。そして床を踏み抜こうが襖をぶち破ろうが誰からも文句は言われない。 「具体的な襲撃の仕方は貴殿達に任せる。こちらも全員が志体持ちだ、手加減は無しで構わないからな」 (まぁ、新米達では開拓者相手には経験不足で束になっても勝てないと思うが。それも実戦で体感してみるのが良かろう) 襲撃のターゲットとなるのは大福。正解は三種類。栗と苺と柚子蜂蜜。屋敷内随所に隠してある。 何故、大福なのか。 「うむ、面白い菓子折を先日知人から箱ごと貰ったのでな‥‥」 (貰ったはいいが、中身が怪しくて処分に困っていたからついでに) そんな心の声は訓練された自然な表情からは伺えない。穏やかな微笑みを保ったまま説明を続ける李雲。 正解以外に何が入っているか‥‥それは開拓者には秘密だそうだ。 襲撃側はそれを奪って屋敷から離脱して、庭で待っている李雲に正解の大福を渡せば任務完了である。 奪取してきた大福は李雲に渡した人――見つけた人ではない――がその場で食べていいとの事。 不正解でも、そこはぜひ食べてほしいところ。何なら全種類奪取してきて食べても構わない。 |
■参加者一覧
ダイフク・チャン(ia0634)
16歳・女・サ
珠々(ia5322)
10歳・女・シ
和奏(ia8807)
17歳・男・志
エルネスト・ナルセス(ia9153)
29歳・男・弓
茜ヶ原 ほとり(ia9204)
19歳・女・弓
小隠峰 烏夜(ib1031)
22歳・女・シ
ミヤト(ib1326)
29歳・男・騎
五十君 晴臣(ib1730)
21歳・男・陰 |
■リプレイ本文 「甘味と聞いて」 大福に釣られてやってきましたと微笑むのはエルネスト・ナルセス(ia9153)。 違う意味で釣られ、自分の名前が呼ばれたような気がして思わずはいっと元気よく返事してしまったのがご縁。ダイフク・チャン(ia0634)は頭に猫又を乗っけての参加である。 「共食いみゃね〜」 「寒河さん、すいませんが後の始末を色々とよろしくお願いします」 色々と、うん、色々と。珠々(ia5322)の言葉には嫌な予感がそこはかとなく漂う。 「‥‥腕が鳴りますね」 くすっ。 (後の始末って一体‥‥) 新米相手の訓練がてら、ついでに大福も美味しく戴けるってそれだけの依頼のはずよね。 平静に真顔を装っているが、内心はかなり想いが大福に飛んでいる茜ヶ原 ほとり(ia9204)。 エルネストのように最初から大福目当てと言い切ってしまえば楽なのだが。そこは何ていうか自分的に許せない線がある。 (任務よ、任務なのよっ) と、弓をぎゅっと握りめるが。 「早く探さないと固くなって美味しくなくなってしまいますよね〜」 和奏(ia8807)の気の抜けるようなのほほんとした声に膝がかくりとなってしまう。 「手拭に、湯呑に。はい準備は万端です。お屋敷にお茶の葉はありますでしょうか?井戸のお水も心配ですね〜」 水はちゃんと準備してきたわよ‥‥とは言えない今更。ほとりは唇を固く噛み締める。なんか、調子が狂うわ。 「ねぇ、みんなバラバラに行動しちゃうの?」 一人で行くのはすっごく心細いんだけど。なんかお化けが出そうな古い屋敷だし怖いよっ。 ほわんとした、どこぞの巫女の仮面から覗く大粒の瞳をうるうるさせているのは、いい年なはずのミヤト(ib1326)。 「自分が一緒に行きましょう。その代わり、お茶探すのも手伝ってくださると助かります」 和奏の落ち着きに満ちた優しい微笑みにほっとしてミヤトは表情を輝かせる。 「ありがとう‥‥綺麗な人なのにすごく強いんだね。僕も、足手纏いにならないよう頑張るから‥‥よろしくね」 耳を澄ます珠々。その様子を李雲がじっと眺めている。さて新米達はきちんと息を潜めているかな。 「床下の鼠の声くらいですね。もう支度は終わって待ち構えているようです」 ふむ、悪くない。 「では私は人魂にて」 白い隼を手妻のように袖より出して飛ばす五十君 晴臣(ib1730)。屋敷の周囲を巡り様子を窺うが。 「きっちり戸締りしてるようだね、まぁ床下から見てもいいんだけど」 そこまで手間を掛けなくてもいいか別に。肩を竦め。 さて存分に暴れ‥‥。 にんまり笑みを浮かべて景気よく初っ端から斬撃符を放とうとした晴臣より一歩先んじて和奏が玄関の戸をからりと開ける。 「ごめんくださいませ〜」 「お邪魔しま〜す」 和奏とミヤトの場違いな第一声に後ろでずっこける一同。 自分がボケをかました事にも露気付かず、神妙な顔つきで刀の柄に手を掛けて屋内の気配を探る和奏。 相手は志体持ちとはいえ新米揃い。歴戦をこなしてきた和奏の心眼に、近くに潜む者は隠れている位置が簡単に割れてしまう。 (襖の向こうに一人居ます) 視線と指での合図に頷く仲間。 弓を構えたほとりとエルネストの射線に入らぬよう配慮して、晴臣が襖をいきなり蹴り倒す。 飛び退ったシノビから飛んでくる苦無。甘い。 オーラを帯びたミヤトが刀で弾く。瞬速で射られた矢は畳返しで止められる。 飛び込む珠々、至近の攻撃と見せかけて‥‥一歩引き足払い。よろめいた所に畳を顔にぶつけてやる。 「使い方の応用も大事です」 同じ技なら負けませんっ。一対多勢、姿を現した時点で負けだ。あっさりと囲まれて叩き伏せられてしまうシノビ。 ●屋敷探索の巻 「どうします、全員で回るには広すぎますが?」 「手分けでいいかもしれないわね。でも一人だと不安だわ」 エルネストの問いに思案するほとり。 「あたしが護衛するみゃよ〜」 「二人ずつ居れば対処できると思います」 弓術師にはそれぞれダイフクと珠々が付いて。和奏とミヤトは台所を探しに行くという。 「すると拙者は五十君殿と一緒に行く事になりますな」 「しばらく使ってないようですねぇ‥‥」 もし茶葉があってもいつのやら。かびてたら嫌ですねぇ。 「危ないっ!」 棚を前に思案する和奏に竈の中から忍び寄った影。迫る攻撃を紙一重でかわして居合いの一刀で払う。 そこへ助勢するミヤトかと思いきや。 「そんなとこに隠れたらダメだよ。もし知らずに火を付けちゃったら‥‥焼け死んじゃうよっ」 「いやその前に出てくるって!」 思わず返答してしまうシノビ。修行がなっていませんね。もう危ないんだから〜っと言いながらと切り掛かってくるミヤトと二正面の防戦態勢になる。 「抵抗すると切らざるを得ないんですよ。といってもそちらも訓練ですしね」 あまり積極的に切る気がしませんが仕方ありません、行きますよ。細められる瞳、その芯の冷たさにシノビはぞっとする。 適う相手ではないがそれでも飛び込むしかないか。木の葉隠れの撹乱も物ともせず和奏の刀が鮮血を散らす。 「くっ」 「諦めてください。貴方の負けですよ」 傷口を押さえたシノビにやんわりと微笑みを落とす。そこにはもう冷たさは微塵も感じられない。 「お仕事だからごめんねぇ。修行がんばってね、ボクも応援してるから」 傷口はちゃんと消毒してね。ほっといたらダメだよ跡が残るんだから。心配して声を掛けるミヤト。 「おや水屋の中に‥‥」 なんの捻りも無い場所に大福が皿に載せて置いてあった。横には茶筒。 中を検めて匂いを嗅いで確認する和奏。それでも不安なのか掌にこぼして葉の具合を確かめる。 「新しい茶葉ですね。随分親切な用意です」 「ありがとうね〜。じゃボク達は他のとこも探しに行ってくるね」 大福と茶筒を手に頬を綻ばせた和奏が一礼して去る、シノビに手を振ってミヤトがその後に続いた。 どばーん!ばこーん! 派手に襖も障子も分け隔てなく破壊しながら爆進する珠々。 乱暴なようだが、ちゃんと罠がないか敵が潜んでいないかの確認は怠らない。 後ろには距離を置いてほとりが付き従っている。 (ちょ、ちょっと‥‥弓は使いやすいけれど、やりすぎでは!?) 前を行く珠々の動きで罠の在り処を確認し、慎重に避けて歩く。 不意の角度からの襲撃も珠々はかわす。それをほとりが正確に射て動きを封じる。 「大福、発見です」 はっ。私も負けていられない探さなくては。大福という単語で必死さを取り戻したほとり。 珠々に続いて身包みを剥ぐ作業に。 「ありました‥‥!」 人肌のぬくもりの大福。食べ頃の柔らかさが保持されている。 倒れてるのが凛々しい少年というのも幸い。これが胸毛の生えたおっさんの温もりだったりしたら、ちょっと嫌だ。 「部屋の中も捜索しませんとね」 小隠峰 烏夜(ib1031)とはぐれてしまった。畳を裏返したら大量の虫が這い出てきてちょっと混乱した戦いになったのだが。 まあそのうち出てくるでしょうと廊下を一人で歩く晴臣の姿。 忍拳を駆使する者。陰陽符を持った晴臣をくみしやすい相手と判断して瞬時に狙い迫る。 式を放ち鈍らせた隙をついて廊下を駆けて距離を‥‥と、腐った床板を踏み抜いてしまい態勢を崩す。 足場を失った晴臣にここぞと刀を抜いて駆け寄ったシノビ。避けられる余裕はない。 「押してダメなら引いてみなっていいますしね」 受け止めた短剣の刃が金属同士が擦れ合う耳障りな音を立てて滑る。空いた手で掴む胸倉。 「ぬわっ」 床下へと引きずり込まれての揉み合い。体力的に晴臣の方が劣勢かと思いきやそこには伏兵が。烏夜が背後から背中を斬る。 「こういうシノビらしい作戦も乙でありますな」 死なぬ程度に痛めつけて動きを封じる。 「念の為に大福‥‥持ってないですね残念」 「では拙者はこのまま床下の探検を」 かさかさと埃だらけになりながら暗闇を抜けて何処かへと去る烏夜。 よいしょっと上へ戻った晴臣は部屋の探索を開始する。シノビは‥‥このまま放置でいいや。 「後で回収して治療はしてくれると思うので、そこにしばらく嵌っていてくださいね」 「素早さだったら負けないみゃよ!」 自慢の二刀を鞘に収めたまま、素手でシノビ達を翻弄するダイフク。 ダイフクに弾き飛ばされたシノビの身体が部屋中央の怪しい箱へ。 攻撃よりそっちが大事と弓を一旦手放しシノビの身体を弾いて転がるエルネスト。 「菓子さえ守れれば」 遭遇したシノビも倒して別室で落ち着いて合流した一同。一人行方不明が出ているが。 「なんか変な紐が垂れ下がってますね、罠でしょうか」 そんな事を言っていたら突然床の畳が上がり、警戒の姿勢を取ると現れたのは烏夜だった。 「せっかくだから仕掛けを調べてきまして、この紐を引くとですね」 ガッゴーン。 「ふニャ〜!?」 「みゃ、、みゃ、綾香様がっ」 天井が開いてお約束のように降ってきた金タライ。ダイフク‥‥が頭の上に乗っけていた猫又に命中。目を回してぽてりと畳の上に転がっている。 「ふむ、位置が予想と違ったであります」 しれっと言ってのける烏夜。とりあえず猫又さんはタライにでも入れて運んであげましょうと和奏が拾いあげる。 「それだと中で運ぶ時に気をつけないと転がって可哀相だよ‥‥ちょうどいい物がないか僕見てくるね」 台所に何やら探しに行って戻ってきたミヤトが抱えていたのは大きな土鍋。 「これなら安定感が」 土鍋にぴったりとはまるように寝かされる気絶した猫又。‥‥可哀相に。 「うっ!?」 あまりの愛らしさに絶句してしまう面々。いやこれはちょうどいいよね、うん。空々しい返事で誰も異論を述べない。 猫又が目を覚ますまで土鍋の中に寝かされる事は確定してしまった。 「綾香様‥‥、似合うかもしれないみゃ」 ダイフクまでそう納得してしまうのだから仕方がない。 ●大福賞味の巻 柔らかく美味しそうな大福。中身の餡は何だろう。 「ではいただきます」 さっそく齧り付き、餅を食い千切る珠々。咀嚼しようとしたその口の動きが止まった。 大福を握った手がふるふると。表情が瞬間的に氷点へと。纏う空気は暗黒へと。目が殺気に満ちる。 食べかけの大福からは橙色が覗いている。ひとかけら、ほんの少量だろう口に入れたのは。 人参はきちんと甘露煮にしてあった。大福の中身としてどうかと思う向きもあろうが人によっては許せる味と言えよう。 だが。 (許すまじ‥‥許すまじ‥‥!) いっそ幼虫とかでも入っていた方が。寒村生まれの厳しい修行育ち、ひもじい時は選択の余地もなかった珠々である。 でも、これだけは‥‥ゆ、る、せ、な、い。 大福を握り締めたまま、キッと涙目で睨み付けたその視線には一瞬李雲もたじろいだ。だが珠々は無言で背を向ける。 奪えるだけ奪え、探せるだけ探せ。もうこれ以上はないというくらい隈なく探索を終えて。 打ちのめされて脱力しているシノビ達は放っておいてよいだろう。 皆の懐から出てきたのは十二個の大福。何個あるかは言わなかったがよく全部見つけてきたものだ。 (二個も食べれるなんて嬉しいわ〜) 箪笥の中から掛け軸の裏、隠し棚まで存在しないか隈なく細やかに執念深く大福の捜索をした甲斐があって。 え、食欲? いえいえ任務を完璧に遂行する為よ。この期に及んでまだ自分に言い訳をしているほとり。 「‥‥?」 こういう味も風流よね。期待していた品と違ったがそう思う事にした。梅干の塩気が詰められた餡と絶妙な対称を為している。 種も丁寧に除いてあって食べやすい。和奏が淹れてくれた茶を口に含んで後味を楽しむ。 (創作菓子なのかしら?) 次も同じかと、そう思いきや‥‥唐辛子。平気な顔を装うとするが、ちょっと無理。 (か、辛い‥‥!) 涙が滲む。顔が真っ赤になる。お茶を飲み干してもまだ足りない。何でこんなものを大福に入れるのよ! 「何か変なもの入ってたかみゃ?」 柚蜂蜜の餡。美味しい大福ニャね。どこで売ってるかみゃ〜、今度知り合いに作って貰おうかみゃ〜。 鍋猫状態から復活して縁側で不貞寝をしている猫又を横に、ダイフクが幸せそうな顔で大福を頬張っている。 土鍋は和奏が回収してさっき湯を沸かすのに使っていた。もちろん洗ってから。埃は全部猫又の方にくっついていたが。 「‥‥食べられないもの入れるのはずるいです」 小石入りの大福は和奏の手に。茶筒と一緒に置いてあったのは罠だったか。 「でもこれが訓練というものなのですね。食べ物にも気をつけよと」 なるほど皆様はこうやって修行をされていらっしゃるのですか。妙な方向に納得して怒りもせずに茶を啜る。 「こ、これは‥‥!?」 突然大きな声を上げた烏夜に注目が集まる。 「そっちも何か変な物が入っていましたか?」 納豆入りの大福を憮然とした顔で咀嚼していたエルネストが尋ねる。 甘い物目当てに来たのにこれはない。そうは思ったが、せっかく提供された食べ物であるという事で真面目に食している。 「青南蛮の辛味と烏賊の甘さがちょうど合っているであります。なかなか工夫の凝らされた上等な塩辛‥‥ただ大福に合うかは別でありますが」 大真面目な顔で批評を述べる烏夜の言葉にエルネストの頬がひきつる。塩辛まで入れたのか、何を考えているんだ作った人は。 (さすがにそれよりは‥‥納豆で良かったのか) あまり変わらない気もしないでもないが。そこはそれ嗜好の問題。納豆なら耐えられる。 だが、あれだけは食べられないから当たらなくて良かったと手元の大福を見つめる。 きびすを返して屋敷へと食べかけの大福を手に全速力で再突入した珠々。 「さっきの奴、出てきなさいっ!」 あまりに黒い殺気に、さきほどやられて床にへたりこんでいたシノビ達も全速力で壁際に逃走する。 も、もうこれ以上剥かないでっ。 哀れな生贄は仲間に助けて貰える事もなかった。 半裸状態のはだけた襟を掴み上げ、食べかけの大福をぐいぐいと口の中へ押し込む。ほぼ丸々突っ込まれたら息ができないですからっ!? 「む、むがっ」 目を白黒させて必死に抵抗するシノビが何とか咀嚼して人参大福を飲み込むまで、怒りのままに捻じ伏せる珠々。 周囲の目が恐怖に怯えている。何、何でそこまでされなきゃいけないのっ! (まだまだこれぐらいで怯えるようではシノビとして情けないですね‥‥) 殺気は引っ込めた。にっこりと笑顔を浮かべた珠々がシノビを引き摺って襖跡を潜り抜けてゆく。誰も止められない。 奥へ奥へ、庭の光も誰の目も届かないほど奥へ。 なんだかんだと大福を全て平らげてしまった開拓者達。 ほとりが李雲の胸倉を掴む一幕もあったが、彼は早々に新米達の後始末があるからと辞してしまった。 「こんなので訓練になったんですかね〜」 「ま、私達にはいい運動とおやつになりましたけどね」 |