|
■オープニング本文 ※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。 ◆ 『君の町にあの娘がやってくる!』 とある小さな町の商店街に総天然色のチラシが呆れる程たくさん張り出されていた。 蔵宇都プロダクション。略して蔵プロという女子プロレス団体の興業チラシだ。 凝ったコスチュームの女性がパワフルなポーズを決めてズラリと並ぶ四方に、大技を決めたハイライトシーンの写真が添えられている。 何処か前に見かけたような。会場名だけを書き換える形式の使いまわしなのは気のせいと思いたい。 「うっそ、マジで。引退したあの娘も来んの!?最後の試合見に行きたかったんだよな〜。でも往復の交通費きついしさ」 「リクエストコーナーって何。まさかリングに上がってスリーパーホールドかけて貰うのとかアリかな!?」 普段は割と大きい都市にしか来ない巡業。ちなみに蔵プロは零細である。 電車に乗って一時間の市まで繰り出さないといけないので、熱心なファン以外には敷居が高いのだが。 何でも商店街の役員が蔵プロの社長と同級生だかで。強引に約束を取り付けたらしい。 地元の娘が去年蔵プロでデビューしたのも大きい。まだ駆け出しだが小さな町を挙げての応援とあいなった。 何せ役場庁舎や駅に垂れ幕までデカデカと張られている。 社長のサービス精神で、他団体に移籍して活躍中の人気レスラーも呼び寄せての興業。 さすがに予算の関係でゲストを交えた試合は日曜の一回だけだが。お目当てのあの娘を見にチケットの売れ行きは好調である。 地元のホテルや飲食店業界もほくほく。 町民体育館に特設リングを作っての試合。客席も仮設だが地元建設業者が張り切って立派な物を作ってくれた。 「販売ブースの机ここでいいですか〜?」 「ビールの箱こっちじゃないよ。あれ〜グッズの箱足りなくない?」 ちなみに販売物は全部、手の空いた者が交代で売る事になっている。限られた人数なので人気レスラーといえども例外ではない。 蔵プロとしては、これもファンとのスキンシップとして営業戦略に加えている。 「あれ……私のオリジナルグッズ……」 「別に意地悪したんじゃないからねっ。忘れてきただけなんだから……取りに行ってくるわ」 「あ、外出るんならついでにアイスクリーム買ってきて〜。蒸すわ、この中」 「私、カップのいちご味のが食べたい」 「人の事何だと、後で試合でめっためたにしてやるんだから!」 「ふふん、負けないも〜ん♪」 さて特別な日曜日のプログラムは。 ちなみにこの日は特別スポンサーも付いて動画生中継も無料配信される。 事前に全国から個人スポンサーも募ったら結構な額が集まったというから有り難いもので。 各地のファンから熱いメッセージが寄せられている。 オープニングセレモニーにタレント転向したレスラーが一曲歌い。 シングルマッチ、タッグマッチの各試合。 間に抽選で選ばれたファンをリングに上げてのサービスが混じる。 「○○ちゃんのフィニッシュホールドを是非!」 「ヒールの××に罵倒されて足蹴にされたい」 「うちの婆ちゃんを担いでリング一周して欲しい」 一応会社側で選んで用意したのはこれくらいだ。危険なリクエストはさすがに受けられない。 手が空いてたらブース販売や客席の売り子もして貰うのでよろしく! |
■参加者一覧
新咲 香澄(ia6036)
17歳・女・陰
龍馬・ロスチャイルド(ib0039)
28歳・男・騎
レイシア・ティラミス(ib0127)
23歳・女・騎
シュネー・E(ib0332)
19歳・女・騎
フィリー・N・ヴァラハ(ib0445)
24歳・女・騎
アリシア・ヴェーラー(ib0809)
26歳・女・騎
エイン・セル(ib6121)
28歳・男・砲
鏡珠 鈴芭(ib8135)
12歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●セレモニー 思い思いの期待にざわめく観衆の中央。 昨日まで熱い試合を見せていた若手レスラー達が大きな幕を掲げて、まだ薄闇に包まれたリングに集合する。中にはアイドル系の衣装に身を包んだレイシア・ティラミス(ib0127)が待つ。観衆の気配を感じながら立つリングの感触は、最近立つ事が多い固いステージとは違った懐かしい高揚を与えてくれる。 ポップなイントロの高まりと共に一斉に下ろされる幕。カッと照らされる多数の熱いライト。 「この曲ってさ……ウソッ、歌うの本物のレイシアじゃない!?」 プロレス好きに連れられて仕方ないけど〜という顔で連れの蘊蓄を聞き流していた女の子が驚いてジュースをこぼす。 レイシアのレスラー時代の顔を知る者は少ない。 国内では蔵プロの巡業試合に出場していたのみでメディア露出は専門誌くらい。それも別の名前だ。雰囲気も全く違う。 タレント業が忙しくなってからは、籍はまだ置いてるもののリングに上がる事は無くなっていた。 ソフトなお姉さん系メイクに朗らかな表情を浮かべて歌い。四方を意識した背中でも魅せる振り付けで踊る。 サビまで来た所でぽかんと口を開けてダンスに見入っていたおじさんが、ああと膝を叩く。 「ええと何だっけ。これCMの曲だったよな」 「かのえ屋のティラミスの歌よ。父さんたら、うちの店でもお菓子コーナーで流してるじゃないですか」 新咲 香澄(ia6036)凱旋の喧伝に御輿気分でやってきたプロレスに普段縁のない人達が囁きあう傍らで、別々の地域からこのイベントの為に遠征してきた青年達が呟く。 「おい、やっぱりフローベル……だよなぁ。噂、マジだったんだ」 「そっくりやけど俺まだ信じられへんわ……全然違うやろ」 ●第一試合 今日だけの為に仕立てた純白のリングコスチューム。可愛くラッピングされたブーケを手に鏡珠 鈴芭(ib8135)が入場する。 「私、結婚しました。今日の試合も幸せオーラいっぱいで頑張るから、応援してねぇ〜!!」 「スズハ〜っ!頑張れ〜!」 軽快な曲、客席に振り撒く華やかな笑顔。しかし照明は不安をそそるように絞られ。英語の物悲しい霊歌が会場を包む。 大柄な影が古びた破れ山高帽を目深に、重い足取りでリングへと向かってくる。 エイン・セル(ib6121)、この姿での名は『葬儀を彩り墓場を守る』ゲーデ。 一歩歩む度に擦れる音を立てて漆黒の棺が彼女の足跡を追う。ひどく重そうなのは演出で、実際は台車付きなのでそうでもない。 ピッタリと身を包む衣装はどこか燕尾服を彷彿とさせるデザイン。マイクを持っていった唇が山高帽の下で薄く笑う。 「何て格好をしてるんだい。ここは死霊の宴会場だぜ?料理はまだかと皿を叩いて待ってるってのに。ところで俺は今日くたばる予定のウェディング鈴芭ってのを探してるんだが。おまえか!」 下品な言葉を連発して品定めするゲーデにブーケを抱えて堪え忍ぶように立つ鈴芭。 お似合いの寝床だぜと棺を開けて、首根っこを捕まえた鈴芭をリングの外へ連れさろうとする。ロープを掴みもがく鈴芭がここは皆の夢と幸せが詰まった場所だと反論し。おどけた調子で肩をすくめるゲーデ。 「やれやれ頭の中まで桃色か。忘れたようだから思い出させてやるぜ、おまえの寝床は旦那の腕の中じゃない。このリングの床さ!」 山高帽を投げ、露になる金髪。 ゴングが鳴ると同時に掴み掛かるゲーテ。するりと潜り抜けた鈴芭がロープの反動を利用して背中を浴びせる。くるくると小鼠のように駆け回る鈴芭に翻弄されるように見えたが、重いミドルキックを腹に叩きつけられ肉薄した小競り合いに持ち込まれる。 距離を取った鈴芭がゲーデに向かって真っ直ぐ駆ける。両脚を抱えそのまま頭上を後方に投げ飛ばされ。コーナーに激突するか。 「おっとそのままコーナーポストを蹴り宙を舞う鈴芭、ゲーデの首を捉えました!」 「これはウラカン・ラナの変形ですね。身軽さを活かした鈴芭の得意技です」 「しかしゲーデに掴まってしまいましたですの」 マット上でロックされた身体に容赦なく膝が叩き込まれる。立ち上がるがまだ振りほどけない。 身体を離したゲーデのストンピングに上げる呻き声が可愛らしくも悩ましい。 フォール態勢に入ろうとした瞬間をヘッドシザースで位置を逆転。ワン、ツー、パワーの差で弾き飛ばされる。 何度も蘇り技を受けるゲーデ。健気な表情でリングを縦横無尽に駆け回り挑む鈴芭。 「ウェディング・ウィザード!」 ロープの最上段を蹴り、立っている長身の相手の頭部へ炸裂させる回し膝蹴り。正確には直撃するのは大腿部。 「出ました必殺技!これにはゲーデも薙ぎ倒され、いや鈴芭を持ち上げました!」 「墓石落としに持ち込もうとしましたが、寸前で潜り抜けましたね」 「ダメージが大きかったようです。ゲーデは捉えられない!鈴芭が再び宙に舞った!」 ムーンサルトを決めてまたもやシザース!ホールドからゲーデは逃れられない。カンカンカンッ! 「愛の力に負けたぜ。これは持って帰んな」 取り出した薔薇の花束を投げつけて、再び山高帽を被り棺へと収まるゲーデ。彼女にも惜しみな拍手が送られた。 ●第二試合 「青コーナー、蒼眼の暴風女王フィリー!」 オリエンタルな曲をバックにチャイナドレスのような色彩鮮やかなコスチューム。 渡り鳥の柄が散るオレンジの鉢巻を靡かせて登場したフィリー・N・ヴァラハ(ib0445)。 「黄金の虎がその眼を開く時、獰猛な牙が獲物を喰らう。アリシアタイガー!」 控室までの雰囲気とは打って変わって気迫のオーラを漂わせてリングを踏むアリシア・ヴェーラー(ib0809)。 瞳を閉ざし、唇を固く引き結んでいる。フィリーと対になる色彩のガウンは名の通り虎をイメージしている。 「赤コーナー、氷の暗殺者シュネー!」 露出の極端に高い、しかし頑丈な。黒と金で構成された手袋にブーツ。際どいハイレグの腰元。 そして手には本物の重量を持つレイピア。 むろん国内法の範囲で刃はない仕様。が、それでも充分に物騒さを感じさせる本物の鋼鉄の輝き。 淡々と歓声にも反応せず無表情で立つシュネー・E(ib0332)。 曲が静かなピアノクラシックから勇壮で重厚な行軍曲に変わる。 冷ややかな表情で紅の瞳に殺気を湛えたレイシア、否、フローベルが真紅の騎士という出で立ちでリングに上がる。 「冷徹な鉄爪乙女フローベル!」 勢揃いした往時の顔ぶれに会場は沸き立っていた。かつて蔵プロの頂点で覇権を争った四人である。 今は後輩達の代となっているが往時を知る者にはこれ以上ない組み合わせ。 シュネーが一番に唇を開いた。 「フィリー、アリシア、これから貴女達を殺すわ。一遍の慈悲もなくこの世から消してあげる。リングの隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」 ふぅんと余裕の笑みを浮かべて豊かな胸をそらせて前に進み出たフィリー。シュネーなんか眼中にないとでもいうように、フローベルに指を突きつける。 「前にやった時はボロボロにやられたからね〜。今回は絶対に負けないんだから」 「相変わらず五月蝿い奴だな」 「勝ち逃げだなんて許さないよ〜。それに……腕が鈍ってるんじゃないの?」 「ほう……言うじゃないか。鈍ってるだと?」 挑発に殺気を強めるフローベル。傲慢な表情を浮かべ肩にかかる髪を後ろに払う。 「良いだろう、ならば次は二度と立ち上がれないようにしてやろう」 仕草でシュネーを下がらせ、前に進み出る。当然私が相手よねと向かい合うフィリー。 序盤から激しく荒々しい技で責めるフローベル。ブランクを微塵も感じさせない。 髪を掴んでマットに叩き付けるスラム。連続で一方的に振り回す。ロープに投げつけた所でアリシアがラリアットで入る。 「今日は勝たせて貰いますよ」 男子並みの長身を誇るアリシアがフローベルを逆さに抱え肩からマットに叩き落とす。 だが立ち上がったフローベルの蹴りの激しさにもう一度掴むチャンスを与えられない。 痛め技に徹して掴み合いには応じない。よろめいたアリシアの背中をシュネーが待つコーナーに向かって蹴る。 リングに入ったシュネーに上半身をロックさせ甚振るように髪を振り乱しながら更に蹴り続け、観客の悲鳴が上がる。 走り込んできたフィリーに浴びせる裏拳。回避したフィリーがアリシアとの間に回り込みフローベルをアームホイップ。 勢いを殺さず更に転がって反撃を逃れ、先に立ち上がりサイドから飛びつきDDT! ロックされた態勢からシュネーの首を抱え、背負った姿勢で力を削ぐアリシア。 態勢を逆転しシュネーのブーツを掴んで。逆さに抱えたまま。 脚を振り上げて抱えたまま後ろに倒れこみ、シュネーの脳天をマットに叩き付けた! 「コルバダ式と垂直落下式、何と同時に決めましたね」 時間一杯まで繰り広げられるファイト。両者入り乱れたまま時にはツープラトンも交え。 アリシアが渾身のボムでシュネーを沈めた。フローベルがフィリーの頭を掴み共にマットへ転がる。 「苦しそうですがフローベル、出ました彼女の異名にもなっている得意技アイアンクロー!」 「しかしまだフィリーが粘る!返せるか、返した〜っ!両者もう立ち上がれない、どちらが上になるか」 観客が秒を刻む中、最後に上になったのはフィリーだった。 残り時間がそのままフォールのカウントとなってゴングが鳴る。 「雪辱を果たしました、フィリ〜〜!アリシア〜〜タイガー!」 ●第三試合 龍馬・ロスチャイルド(ib0039)という名はしばし忘れて欲しい。小柄で華奢なタイプながら安定感のあるパワーファイトで現役女王の座を勝ち取った不屈の闘魂。しかしリングを降りるとファンに笑顔で囲まれる『たつまこ』の愛称で親しまれている辰波真。それが彼女だ。 挑戦者は積年のライバル、疾風の狐ことフォックス香澄。新人時代から苦楽を共にして互いの癖を知り尽くしている。地元の期待を背負い今日はリングに立つ。 「香澄さん、凱旋試合とはいえ勝たせてもらいますよ!」 「そう来なくっちゃ。真、本気で行くよっ!」 序盤は打撃の叩き込み合い。同じ小技でもパワー型とスピード型の違いを見せる。だがこれを続けては耐久力のある真が有利だ。徐々に重くなった攻撃に態勢を崩したかに見えた香澄がロープに走り弾みを付けてドロップキック。耐えた真、香澄の腕を掴んで今度は自分からロープに投げる。すかさず駆け寄ってエルボー。 二撃目を脇に逃れた香澄が脚を高々と伸ばしたが、真が脇に挟んで止める。そのまま今度は軸足を反対の腕で絡め身体を回転させて素早く捻り上げ放る。 「ぐっ、いったいなぁ!」 早い展開、フランケンシュタイナーを仕掛ける香澄だが飛び上がった脚を掴まれて、肩からマットに叩き付けられ。 果敢に何度も決まるまで挑む。返されたパワーボムから股下をくぐり抜け、相手が掴んだ両脚をシザースの代わりにして顔面から落とす。 「くっ……」 立ち上がって飛び込んでくる真に今度こそ頭を捉え、もう一度。脳天から落ち、これはダメージが大きい。 すばしこく立ち回る香澄を捕まえた真、正面から首を腕を巻き付け絞る。苦悶する香澄の顔にカメラが大きくクローズアップ。 突き放すと同時の動作で香澄の片脚を抱え上げ、ドラゴンスクリューでマットにひれ伏させ。 持ち上げようとする真を蹴り飛ばした香澄、ロープ際に迫られての揉み合いから位置を入れ替わりコーナーに真を振る。 (これは……あれが来ますね) 判っていながら香澄に向かって走る真。相手の魅せ技を正面から受け止めるプロ根性。 リング上を体操選手のように舞うあの技。側転から背面宙返り、ロンダートキックを受けて倒れる。 「これで決めるよっ!」 ぐいと拳を突き上げ観客にアピール。コーナーポストへ一気に駆け上がる香澄。 「カ〜スッミ!カ〜スッミ!」 盛り上がる手拍子。香澄の名が全方位から連呼される。だが真のファンも負けていない。声を大きく張り上げる。 「たつまこ〜、立つんだ!弾き飛ばせ!お前なら勝てる!」 リングの上を流星のように舞う美しいフォーム。背面から頂点で身体を捻り、両腕を広げた時。 熱い声援に根性だけで立ち上がる真。よろめきそれでも両脚で踏ん張った。そこへ香澄のプレスが到達する。 完全には決まらなかったものの、またもマットに叩き付けられた真。 先に立ち上がったのは香澄。背中に縋るように組み付いた真がドラゴンスープレックスの態勢に入る。 「そんな!?」 持ち上がらない。脚を払いクラッチされたまま背中を叩きつける香澄。解こうとするが、真も気力を振り絞って粘る。 (まだ――いけ、ます!) ブリッジでフォールに持ち込む。暴れる香澄を渾身の力で押さえ続け、起死回生の逆転勝利。ゴングが鳴る。 勝者の方が今にも倒れそうだ。がっしりと握手をして崩れ落ちる真に香澄が肩を貸す。 ●サービスも忘れずに 柔らかな瞳を開き、小柄な老婆を両腕で掲げて微笑むアリシア。大のプロレスファンだというお婆ちゃんはご満悦。 シュネーに冷たい言葉を浴びせられながら、レイピアで小突かれているドMな青年。 「踏むの?こうかしら?記念にシューズの後が残るようにしてあげるわ」 地元の子供達が作った折り紙の狐耳王冠とチャンピオンベルトを付けて記念撮影に応じる真。 「これは香澄さんに早く取り返しに来て貰わないとですね」 「次は絶対勝つんだからね!」 香澄からのサービスはこの日の為に用意したクッキーの袋。サインボールのように投げて受け取った観客に手を振る。 鈴芭はブロマイドを購入した男性に囲まれてる。衣装違いのぬいぐるみを10個も抱えた猛者も。 単価は低いものの実は一番売れたのはゲーデのグッズである。お手頃価格で土産になるのが嬉しい。 ヒールながら独特の味があるキャラクターが受けて、子供達の間ではしばらくゲーデごっこが流行ったとか。 イベントも終えて汗を流した舞台裏。レイシアとフィリーが解体されてゆく舞台を並んで眺めていた。 「やっぱり久々すぎて体が鈍っていたわね」 「勝敗はともかく、やっぱりいいもんでしょ〜。こういうの」 「そうね。鍛え直してまたリングに上がりたいわ」 「でも違う舞台で共演ってのもいいよね〜。あたしもタレント転向してみようかな〜。ドラマとか出てみたいし」 「……貴方じゃせいぜいおバカタレントって扱われるんじゃない?」 後日、別の芸能事務所からお声が掛かったのはアリシアで。相方なのに〜と嘆くフィリーの姿があった。 |