海開き!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: イベント
無料
難易度: やや易
参加人数: 91人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/07/22 21:02



■オープニング本文

 夏、暑い日差し、焼ける砂浜、打ち寄せる波‥‥。
 そう、天儀にも海はある。
 そして最近は暑い日も続き、例年海水浴の場所として盛り上がるとある砂浜では海開きが行われていようとした。

 しかし、海には事故がつきものだ。
 溺れる海水浴客、若者同士の喧嘩、人混みに紛れて良からぬことを企む悪党、そしてアヤカシ。
 楽しい海水浴といえども、そんなことで水を差されるわけにはいかないのだ。
 そこで、その海水浴場は一計を案じた。
 そうした事故に対しての対処が可能な人材をしっかりと雇えばいい。

 問い:特定期間雇える人材を必要としている。
    多種多様な要求に応えられる技能を持ち、犯罪の抑止力としての効果も見込みたい。
    さらに海難事故への対処、果てはアヤカシ対策に当たれるような者は?
 答え:開拓者

 こうして、開拓者達に海開きからしばらくの間、海水浴場での様々な仕事の依頼がもたらされたのだった。
 具体的には、事故に備えて、海水浴場での監視業務を行う任務が主になる。
 だが、あくまでも楽しい海水浴場、ついでに店を出していても良いだろう。
 物々しく監視をするのもいいが、場の雰囲気を壊さぬよう、うまく客に溶け込みつつ警戒したほうがおそらく海水浴場からは喜ばれるに違いない。
 そしてもちろん、開拓者自身が客として海水浴を愉しむのも良いだろう。
 あまり高額の報酬は出ない代わりに、自由に海水浴を愉しむ権利が開拓者達にはある。
 志体を持ち、能力に優れた開拓者達が客に混じっていれば、それだけで海水浴場の安全度が高くなるのだ。

 つまりこういうことだ。
 海水浴場に開拓者達を沢山ご招待。
 ついでに、安全も守ってくれたら嬉しいな、そんな依頼だ。

 さて、どうする?


■参加者一覧
/ 天津疾也(ia0019) / 神町・桜(ia0020) / 柄土 仁一郎(ia0058) / 川那辺 由愛(ia0068) / 北條 黯羽(ia0072) / 雪ノ下・悪食丸(ia0074) / 星鈴(ia0087) / 風雅 哲心(ia0135) / 野乃宮・涼霞(ia0176) / 六条 雪巳(ia0179) / 水鏡 絵梨乃(ia0191) / 犬神・彼方(ia0218) / 静雪 蒼(ia0219) / 音有・兵真(ia0221) / 雪ノ下 真沙羅(ia0224) / 南風原 薫(ia0258) / 紫夾院 麗羽(ia0290) / 芦屋 璃凛(ia0303) / 織木 琉矢(ia0335) / 鷲尾天斗(ia0371) / 真亡・雫(ia0432) / 橘 琉璃(ia0472) / 樹邑 鴻(ia0483) / 玖堂 真影(ia0490) / 東海林 縁(ia0533) / ザンニ・A・クラン(ia0541) / 北条氏祗(ia0573) / 那木 照日(ia0623) / 柄土 神威(ia0633) / ダイフク・チャン(ia0634) / 柚乃(ia0638) / 明智珠輝(ia0649) / 明智・瀬莉亜(ia0659) / 四条 司(ia0673) / 天逢院 白兎(ia0692) / 貴水・七瀬(ia0710) / 貴水・一花(ia0713) / 葛切 カズラ(ia0725) / 鷹来 雪(ia0736) / 国広 光拿(ia0738) / かや(ia0770) / ルーシア・ホジスン(ia0796) / 諸葛・紅(ia0824) / 玖堂 羽郁(ia0862) / 虚祁 祀(ia0870) / 酒々井 統真(ia0893) / 鳳・陽媛(ia0920) / 巳斗(ia0966) / 霧葉紫蓮(ia0982) / 天宮 蓮華(ia0992) / 斑鳩(ia1002) / 小路・ラビイーダ(ia1013) / フィー(ia1048) / 星苑(ia1064) / 憐華(ia1089) / グラスト=ガーランド(ia1109) / 伊崎 紫音(ia1138) / 向井・智(ia1140) / 礼野 真夢紀(ia1144) / 輝夜(ia1150) / 柊・忍(ia1197) / 胡蝶(ia1199) / キース・グレイン(ia1248) / 巴 渓(ia1334) / 喪越(ia1670) / 皇 りょう(ia1673) / 空(ia1704) / 嵩山 薫(ia1747) / 千王寺 焔(ia1839) / 剣桜花(ia1851) / 翠雨(ia1854) / 橘 琉架(ia2058) / 御陵 彬(ia2096) / 水津(ia2177) / 九竜・鋼介(ia2192) / 斬鬼丸(ia2210) / 雲野 大地(ia2230) / 天中主 真名(ia2432) / ルオウ(ia2445) / 懺龍(ia2621) / 真央(ia2730) / 瑞木 環(ia2772) / 水林 翠(ia2818) / 犬神 狛(ia2995) / 相賀 夕莉(ia3000) / 連(ia3087) / 神楽 姫(ia3146) / 飛騨濁酒(ia3165) / 琴月・志乃(ia3253) / 凛々子(ia3299) / 空音(ia3513


■リプレイ本文

●海ゆかば、人がたくさん、ぼろ儲け?
 初夏のころ、暑い日差しに、青い空! 海開き、寄せる白波、人の群れ。

「これだけの人出が見込めるとありゃ、やる事は一つ! ボ・ロ・も・う・け☆」
 気合いの入ったもじゃもじゃ頭は喪越(ia1670)、ぐっと拳を握って。
「‥‥いや、詐欺じゃないYo? 素敵な夏の思い出を、素敵な商品と一緒に持って帰ってもらいたいだけさー」
 店には、対になった団扇と風鈴が並び、恋人達に評判のようで。
「折角の海だ、楽しまなきゃぁねぇ‥‥よ、喪越。遊びに来たぜ」
 やってきたのは犬神・彼方(ia0218)、そして彼女と手を繋いだ北條 黯羽(ia0072)。
 2人とも素敵に過激な水着姿で、喪越の店からタダ同然で土産を買いこんだ2人は、腕を組んで店を後に。
 
 出店でぼろ儲けとはいかないようである。

「客がいるなら商売ネ!」
 こちらは瑞木 環(ia2772)の屋台『瑞云飯店』。
「そこのオニーサン、オネーサン。うちで食べていくネ!」
 泰国風の料理の出店に対して、隣も負けじと。
「‥‥香りで勝負じゃ」
 にやりと輝夜(ia1150)、屋台にはびっしりと香ばしい焼き葱。食欲をそそる香りだ。
「おおーすげー人が一杯居るぜー! む、旨そうな匂いだ!」
 だーっと走ってきて並んだのはルオウ(ia2445)、香りに引かれてきたようで。
 泰国料理か、葱かと迷っていれば
「そんなに走るとはぐれますよ」
 鳳・陽媛(ia0920)が合流、ところが。
「あれ、雪巳は?」
 ルオウが見回せば、すこし遅れた藤色の浴衣姿の六条 雪巳(ia0179)、女性だと間違われてナンパされ中。
 そんな窮地を救ったのは国広 光拿(ia0738)と玖堂 真影(ia0490)と玖堂 羽郁(ia0862)。
「どうした?」
 と彼らが声をかけて、ナンパ男たちを追い払って。
 こうして大所帯になったルオウたちは、手に手に葱やら出店の料理を抱え、
「さて、さっそく泳ぎに‥‥褌履きましょう!」
「褌着るとは言ってませんもの‥‥!」
 双子の同時攻撃に、と必至で抵抗する六条なのであった。

「灼熱の太陽! 蒼茫たる大海原! 燦然と輝く砂浜! そして“紅蓮の乙女”東海林縁が此処に参・上!」
 東海林 縁(ia0533)が参上したのは焼き物屋、団扇片手に良い匂いと共に。
 あづいあづいと、水着姿の彼女、恥ずかしいのか一枚上に羽織りつつ。
 そんなところにやってきたのは柚乃(ia0638)。
「‥‥一番美味しいもの、食べる」
 とのこと、貝殻を朝から拾っていたらしいのだが、お腹がすいたようで。
 そんな大人しい柚乃の横をびゅんと駆け抜ける2人。
「ななたーん! 見て見てナマコナマコ☆ 粘液でろーん」
「何でよりによってそんなもん持ってんだよぉぉッ!?」
 逃げているのは貴水・七瀬(ia0710)、ナマコをしゅぱしゅぱ投げつつ追うは貴水・一花(ia0713
 やはり海となれば、開放的になるものだ。
 とにもかくにも賑やかだが、一方。
「やー、しかしギャルはええのぉ!」
 と、酒を片手に非常に大人らしい楽しみ方をしているのは琴月・志乃(ia3253)で。
「水着やら何やらには興味無ぇなー。そんなトシ、とっくに過ぎたし」
 その横の日陰でのんびりしているのは空(ia1704)、喧噪を聞きながらこちらはいぶし銀。
 しかしその手にはかき氷、
「‥‥あ、頭にキーンと来たわ」
 本当にいぶし銀かはさておいて、それもまた夏の風物詩である。

 喧噪の音も遠く、釣りを楽しむ開拓者も。
「やっぱり海釣りは沖釣りに限る!」
 と、柊・忍(ia1197)は船の上。
 同じく沖釣りを楽しむ九竜・鋼介(ia2192)。
 しかし、今日はなかなか釣れない、そこで九竜がぽつり。
「ある男が釣果の無い釣り人に『釣れますか?』と尋ねた所、『うるさい、気が散る』と怒鳴られてしまった」
「‥‥ふむふむ」
「すると男はこう言った‥‥『これが本当のつれない(釣れない)返事』‥‥てな」
「‥‥‥‥」
 獲物は釣れない。

●見回りで、大立ち回り、空回り?
「ちょ、たんま! 俺様は痴漢じゃねぇって」
 飛騨濁酒(ia3165)はなにやら、女性客に詰め寄られていて。
 どうやら着替え用の場所を提供していたら、痴漢だと言われて追い出されたとか。
「ああ、大丈夫。彼も管理人ですから」
 と助け船を出したのは四条 司(ia0673)。
 彼は、休憩所の準備をしてきた帰りのようで、ほっと胸をなで下ろす飛騨であった。
「誰か、私のことを知らないか? どこかであったことがあったり‥‥」
 新手のナンパかと思われそうなのはグラスト=ガーランド(ia1109)。
 銀糸の髪に白皙の美貌、そんな神秘的な青年には、女性達も興味を示して。
「いや、記憶が無いのは本当で、なにか手がかりが無いかと思っただけなのだが‥‥」
 真剣なのに、と困惑するガーランドであった。

 開拓者達の中には、率先してゴミ拾いや、警備の仕事を頑張っている者も大勢いた。
「しかし、賑やかだな。何もなければいいが‥‥」
 水着の上に着流しを羽織った粋な出で立ちは風雅 哲心(ia0135)。
 もめ事は無いかと見回りつつ、若者同士の喧嘩の仲裁をしたりと忙しく。
 ふぅと一息ついた風雅の視線の先には、
「‥‥神威は海、初めてだっけ。なら、今日はたっぷり楽しまないとな」
 柄土 仁一郎(ia0058)が居た。彼が手を引いているのは恋人の巫 神威(ia0633)。
 2人で波打ち際へと歩めば、海が初めてらしい巫はおっかなびっくり。
「よし、泳ぎ方を教えよう‥‥って、怖がってばかりじゃ遊べないぞ?」
「‥‥お願いだから意地悪はしないでね?」
 と、ほほえましい恋人っぷりで。
 ちなみに、しがみつく巫のいろんな感触に柄土は微妙に鼻の下を伸ばしていたり。
 さて、そんな2人を横目に風雅は、同じく見回りのザンニ・A・クラン(ia0541)と遭遇。
 いつの間にか風雅の服の裾を掴んでいた迷子の親探しである。
「見よ‥‥我が秘芸、アリの触覚!」
 ザンニはアホ毛をぴこぴこ揺らしてみるという、不思議な芸で迷子をあやしたり。

「まったく、これ以上暑い思いをさせるんじゃねぇよ」
 喧嘩してる若者を、傘でしばいて大人しくさせたのは南風原 薫(ia0258)。
「仕事が他に無いから思わず来ちまったがぁ、浜辺がこうも暑いとは、ねぇ‥‥」
 大きな傘を砂浜の一角に刺して日陰を作って休憩中、そんな彼の所に日陰を求めてやってきたのは。
「‥‥日焼け対策みゃ〜☆」
 いつのまにやらダイフク・チャン(ia0634)。
 彼女は潮干狩り仲間として、柚乃と一緒に行動していたり。
 そしてダイフクと柚乃、しばらく日陰で涼んだ後は、発見美味しいもの。
 ルーシア・ホジスン(ia0796)がスイカを前に精神集中していた。
 彼女は、ワンピースタイプの水着姿で、
「帝国推奨水着など誰が着るかぁぁ!」
 なにかいろいろの思いを乗せて、スイカを一撃。
 すると、スイカはなんと見事に綺麗に真っ二つ。
 さて、なぜかルーシアも加えて3人はスイカを片手に。
「‥‥良い日差しに良い雲、良い風、良い波ね。なかなか良く釣れたわ」
 とある海の家にて釣果を炙る、葛切 カズラ(ia0725)を強襲。
 スイカや貝との物々交換で、一同はそれぞれ美味しいものにありついたようである。

 開拓者といえば、アヤカシ退治もその本分だが今回はその出番はないようで。
「平和だな‥‥」
 準備した天幕を、日差し除けの休憩場所として使われつつ、斬鬼丸(ia2210)はそう言って。
 砂浜を見れば、みんなが楽しそう、そうなれば開拓者の仕事は、雑事や迷子の親探しで。
「‥‥釣れんと思ったら、迷子が釣れてしまってのう? ぼうず、両親はどこにいるかわかるか?」
 犬神 狛(ia2995)は、泣きじゃくる迷子と一緒に。
 斬鬼丸の天幕の隣の小路・ラビイーダ(ia1013)がもうけた迷子案内所へと連れてきたようだ。
「おかあさん、おとうさん、ぜったい、さがし来るから、いっしょ、まってよ‥‥ね?」
 と、しばらく迷子の相手を小路がつとめ、そこに駆け込んでくるのは赤い褌姿の明智珠輝(ia0649)。
「親御さん、見つけてきましたよ、ラビたん!」
「たまき、さん。‥‥おつかれ、さま。おひさま、あつい思う‥‥おみず飲む、だいじ」
 暑い中、親を捜してきた珠輝を労い、水をさしだすラビイーダ、それを嬉しそうに明智は受けとるのだった。
 そんな様子を見て、斬鬼丸はぽつりつぶやく。
「‥‥まぁ、偶にはこんな依頼も良いか」

 砂浜の喧噪をよそに、ゆったりと海を泳いでいる水林 翠(ia2818)。
 教練とばかりに、ざぶざぶ波をかき分けていれば、ちょっとおもしろい光景が見えて。
 波打ち際で波と追いかけっこをする憐華(ia1089)、砂に脚を取られてべたんと転び。
「‥‥い、いたいです‥‥」
 そこにやってきたのは涼しげに石楠花模様の浴衣を着崩した伊崎 紫音(ia1138)。
「大丈夫ですか?」
 見回り中に、派手に転んだ燐華を見かけて、声をかけたのだ。
 そしてさらに2人に救いの手をさしのべたのは、雪ノ下・悪食丸(ia0074)。
「お嬢さん達、なにか困りごとですか?」
 きらりと笑顔で、親切に語りかけたのだが。
「ボクは『おのこ』ですっ‥‥!」
 勘違いされてさらに半泣きの燐華であった。
 というか、2人とも女性ではないことに、悪食丸もびっくりで。

 いかにも、といった風体の若者が、女性客に絡んでいると。
「‥‥その辺になさった方がよろしいかと」
 女性客にのばしかけた手に、びしりと貝殻が命中、野乃宮・涼霞(ia0176)はそう静かに告げて。
 邪魔されていきり立つ若者だが、
「ああ、見苦しいことはそこまでにしておけ」
 横合いから声が 野々宮に知らされて駆け付けた音有・兵真(ia0221)だ。
 音有にそうにらまれれば、すごすごと若者は退散するしか無く。

●ケモノ耳、甘味処で、接客を
「甘味はいかがですか?」
 控えめに、声をかけているのは白野威 雪(ia0736)。
 白の水着姿の彼女の頭には兎のみみがぴょこん。そんな彼女が案内する甘味処に行けば。
「お待たせしました‥‥」
 紺の浴衣に、黒い兎耳。織木 琉矢(ia0335)はそんな姿で接客中。
 どうやら女性の水着姿は苦手なようで、目をそらしっぱなしで。
 ここは、何故か接客どころか店員全員がケモノ耳を装備した甘味処であった。
 まとめ役は天宮 蓮華(ia0992)、前掛けは暑くて脱いだようで、水着姿に白いネコミミだ。
 なかなか人気のようで、店員達もてんてこ舞いで、やっと一息つけば。
「はい、差し入れ」
 天宮は休憩中の手伝い皆に、店の商品を振る舞って。
「それじゃ、これ蓮華さんに」
 と、逆に虎猫耳の店員、巳斗(ia0966)は天宮に飲み物の差し入れを。
 さて、しばしの休憩の後、こんどは客集めに打って出る。
 霧葉紫蓮(ia0982)と、天宮、巳斗の3人が看板を持って歩けば、人目を引くようで。
「あっちの通りに、良い甘味処があるのだが‥‥」
 美形目当てのお姉さん達がぞろぞろと集まってしまい。
「‥‥仕方ないな。案内しよう」
 沢山のお客さんを連れての凱旋となって。
「いらっしゃいませー!」
 明智・瀬莉亜(ia0659)は大胆な水着に白兎耳。
 どうやら、彼女に目を奪われた男性客も、ふらふらと甘味処に吸い寄せられつつ。
 しかし、客が増えれば用意するのも大変だ。
「‥‥良い所へ、暇そうだな? ちょっと手伝え。報酬は、奢りだ」
「確かに暇だけど、ただ?‥‥やるわ。無理なら、兄様の料理でも良いわ。美味しいもの♪」
 調理担当の橘 琉璃(ia0472)が声をかけたのは妹の橘 琉架(ia2058)。
 2人おそろいの前掛けと狐の耳をつけてのお手伝いだ。
 こうして、甘味処は大繁盛のようで。

●砂浜で、造形対決、もふらさま?
 砂浜の一角にて、イベントが。
「よっしゃー、いつもとは違いはっちゃけるぞー♪」
 千王寺 焔(ia1839)は気合いを入れつつ、でっかく持った砂の山を固めて。
 なんと、抜き払った刀ですぱすぱと邪魔な部分を切り落として形を作っていく。
 彼と同じAチームの面々も奮起だ。
 買いこんできた食料をぱくつきつつ、造形に目を配るのは嵩山 薫(ia1747)。
「もうちょっと柔らかく表現できるかしら? ‥‥あら、食べる?」
 もちろん、と頷くのは連(ia3087)。
 嵩山が持ってきた出店の食べ物をもらいつつ、砂を盛る。
「細かい部分は任せたZE!」
 どうやら彼は裏方に徹するようで、ひたすら砂を海水と混ぜていて。
 スカート付きの白の可憐な水着姿は御陵 彬(ia2096)、彼女は造形に思いをはせて。
「清涼感が出たでしょうか?」
 風になびくもふらさまのしっぽを造形、なかなかに凛々しいもふらさまである。

 さて、もう一方の班は?
「北条さん、真央さん、凛々子さん、がんばりましょう!」
 気合いを入れているのは雲野 大地(ia2230)だ。
 彼が言うように、こちらの班は4名で。
 ひたすらに砂を盛って固めて、どんどんと巨大な砂山に。
「‥‥心頭滅却」
 どうやら周囲からの視線が気になる様子の凛々子(ia3299)。
 それもそのはず、白いサラシに白褌姿なのである。
 その姿が珍しいと言うよりは、男の海水浴客からどうやら密かな人気らしいがそれはそれ。
 戦装束で気合いを入れて、凛々子はひたすらにもふらさまを作るのだった。
「‥‥もっと、もっと大きく!」
 北条氏祗(ia0573)は、この砂の芸術のとりまとめ役で、さらに参加者だ。
 ひたすら砂を盛って、巨大なもふらさまを作っていれば、細かい造形の耳が崩れてしまった。
 しかし彼らは諦めず、さらに
「おいら、砂のお城を作りたいなっ、人が乗っても大丈夫な位のっ!」
 真央(ia2730)の望みも反映されて、巨大もふらさまは、城の上にうずくまっているという派手な造形に。
 そしてついに完成した二匹のもふらさま。
 技術のAチーム、風になびく様を取り入れた凛々しいもふらさま。
 巨大なBチーム、城にうずくまる巨大で優しそうなもふらさま。
 さぁ、勝利はどっちと、観客に審査を委ねれば、子供達が突貫。
 もふらさまの砂山があれば、そりゃ登る。
 あっというまに子供達の遊び場と化したサンドアートを前に、結局引き分けとなったのだった。
「‥‥にい様‥‥いない‥‥‥‥もふらさま?」
 ふと、兄を捜してぼーっと歩いてきた天中主 真名(ia2432)、もふらさまを発見。
 とりあえず、巨大な城付きもふらさまにまたがってみたりするのであった。

●コンテスト、夏だ水着だ、大騒ぎ!
「えー、冷えた飲み物に、握り飯、いらんかね〜」
 ここは水着コンテストの会場、そこで目を銭マークにして売り子をするのは天津疾也(ia0019)だ。
 その前に、知り合いの神町・桜(ia0020)が。
「ほれ、客を連れてきてやったのじゃ。少しくらいはサービスして欲しいの」
 彼女は川那辺 由愛(ia0068)、雪ノ下 真沙羅(ia0224)と一緒に水着姿で。
 天津は、神町に飲み物を渡しつつ一言。
「しかし、見事なまでの幼児体型やなあ‥‥」
「ふ、胸なぞ飾りなのじゃ!」
 神町は、褌とサラシ姿で、勇ましく無い胸を張って。どうやら彼女にとって無乳はステータスのよう。
 さて、神町の隣の二人はというと、コンテストにでる彼女の応援だとか。
 川那辺は、フリルの多い可愛い水着。対して真沙羅は、どうやら水着が少々小さいようだ。
 原型を止めないほど伸びた水着がなんだかエロい‥‥いや、えらいことになっている。
「‥‥やっぱり皆さん‥‥自分に自信がおありで‥‥それに比べて、私は‥‥」
 しかし、いろいろと悩みがあるような真沙羅、自分の胸を見て溜息をつけば、 
「あっはっはっは‥‥むきぃ〜、それはあてつけ?!」
「って、ゆ、由愛様、何で、その、そんな恨みがましいお顔で‥‥きゃーーっ!?」
 とまぁ、いろいろあるようで。

「もうすぐ、水着コンテスト始まりますよ〜」
 麦わら帽子姿の翠雨(ia1854)は、会場整理をしていた。
 コンテストは水着姿の女性たちが拝めるとあっては大人気のようでいよいよ開催だ。
「‥‥皆、水着の女の子は好きかーッ!」
 胸に『あしすたんと』と書かれた水着を着た水鏡 絵梨乃(ia0191)が言えば。
 会場中から雄叫びが、ちょこちょこ女の子が好きなおねえ様たちの歓声も混じりつつ。
「それでは、水着コンテスト、これより開始させていただきます!」
 今度は、『しかい』の文字の剣桜花(ia1851)、開始の宣言と同時に
「0番! 剣桜花です。皆様よろしくお願いします〜」
 舞台の上に飛び出して、そしてその豊満な胸をむにゅっと強調だ。
 審査員席を見れば、なかなかの高得点。
 おや、血文字で10点を出しているのは相賀 夕莉(ia3000)。
 どうやら、最初から鼻血が全開のようで。
 続いては。
「‥‥星鈴、どれが似合いそうかな‥‥よしやっぱりこれに決めた」
「なっ!? こ、こんなん、水着ちゃうやろっ! ほ、ほとんど肌見えるやん」
 星鈴(ia0087)に、黒のきわどいビキニを差し出す芦屋 璃凛(ia0303)。
 芦屋自身は、翡翠色の水着姿で、どうやら恥ずかしがる星鈴が可愛いのか、
「そんなに恥ずかしがらなくても良いのに自信持って‥‥もう、可愛いんだから」
 となにやら盛り上がったまま、舞台にあがる二人。
 恥ずかしそうな星鈴と、元気印の芦屋というコンビに、相賀がまた鼻血を吹いたり。
 次は静雪 蒼(ia0219)。
「よろしゅうおたのもうしますえぇ〜」
 舞うための扇を手に、一礼、舞台で舞うスレンダーな彼女に、蒼色で背中の開いた水着が似合っていて。
 と、観客席からの心ない言葉が彼女に届いたようで。
「そこ、胸あらへん、言わんといておくれやす‥‥か、変わりに足と背中とお尻は綺麗よってっ!」
 そういって、くるくる回りつつ背中をアピールする静雪なのであった。
「素材で勝負だ。そう易々と遅れは取らんぞ‥‥今日はその無遠慮な視線も、許してやろう」
 にやりと小悪魔な笑みを浮かべる紫夾院 麗羽(ia0290)。
 その姿は大胆、布を捻って胸をかくした褌姿。
「あ、あの、救護班の方〜!」
 水着の過激さと炎天下も相まって、ぱたぱた倒れるアホな男どもが続出してるようで。
 慌てて神楽 姫(ia3146)ら、運営の手伝いをしている面々は救護班の開拓者を呼ぶのだった。

 救護班分室、と書かれた天幕には水津(ia2177)と懺龍(ia2621)。
 2人並んで静かに本を読んでいる。
 天幕の下は日差しから遮られて涼しく、けが人と言えば、クラゲに刺されたという人ぐらいで。
 その人も空音(ia3513)の手当で、無事回復したとか。
「‥‥水着を着てみましたけど、胸が余ります‥‥布でも詰めておこうかしら」
 空音が言えば、懺龍も水津もなんとなく視線を落とし。
 そんなところに、担ぎ込まれる人達が沢山。
 どうやら鼻血や、のぼせたりで、貧血な人達のようである。
 水で濡らした手ぬぐいを抱えて、かや(ia0770)も加勢。
 水津や懺龍、空音もにわかに忙しく、そしてそんな大忙しを見て
「一体なんの騒ぎだ? なにかあったのか?」
 巴 渓(ia1334)が事情を聞けば。
「まったく、破廉恥すぎるのは、御法度だぜ」

「‥‥うぅぅ、なんでこんなことに‥‥恥ずかしい‥‥」
 と、舞台の上でふるふる震える天逢院 白兎(ia0692)。
 急遽、請われてコンテストに参加することになってしまったようで。
 海の大きさに感動していたところから一転、水色リボンが可愛い白い水着で舞台の上に。
 じわっと目を潤ませて、恥ずかしがる彼女の姿に、会場で撃沈する観衆がさらに増加したとか。
「巫女の斑鳩。特技は神楽舞。長所はいつでも元気なところ。よろしくお願いします」
 次なる出場者は斑鳩(ia1002)、宣言と同時に、白のパレオをはらりとはずせば、場内に大歓声。
 それを手に、ひらひらと神楽舞、健康的な色気をアピール。
「‥‥ボク‥‥どうして‥‥ここに‥‥立ってるんだろう‥‥?」
 胸元に、『ふぃー』と書かれた子供用の水着で出場しているのはフィー(ia1048)で。
 そんなフィーに、女性の観客が可愛いと大絶賛。
 中には、目の色を変えてる男たちもいるのだが、そういう輩には、
「おい、おっさん。あんまり変なこと考えるんじゃねぇぞ?」
 と、見回り中の酒々井 統真(ia0893)が釘を刺したり。

 まだまだコンテストは続く。
「何をすればよいかわからぬが、そこを歩けばよいのかの?」
 神町は、堂々となんだかよく分からないまま、コンテストに出たようで。
 それでも、大人気。やっぱり人の趣味は様々あるようで。
「他人の水着なんか品評して楽しいのかしらね‥‥」
 やれやれとばかりに胡蝶(ia1199)は嘆息、しかし彼女の紫の水着は気合いの入った一品だ。
 一枚布を器用に巻き付けた素敵な水着で出場すれば、そこに乱入するのは『あしすたんと』
「最後の出演者は、胡蝶さん‥‥だけど、まだ終わらないぞ。ボクも参戦だーッ!」
 なんと、水着を観客の前でぬぎすてれば、その下は黒のビキニ。
 大いに沸く観衆、すると胡蝶の負けず嫌いにも火が付いたようで盛り上がるのであった。

 実は、審査員の大半が途中でのぼせて退場したため、全員引き分けという結果に。
 水着クイーンの称号は次回持ち越しとなったのだった。
 結局、出場者はみんなで開拓者の店を回って豪遊することになったり、稼ぎがふっとんだとか。

●夕焼けが、祭りの後を、染め上げて
「‥‥夕焼けも綺麗ですね」
 真亡・雫(ia0432)は、夕日が水平線の向こうに沈むのを眺めながら、片付けの手を休めて。
 日が落ちて、まばらになり始めた人の中、散らばるゴミの片付けなどをしつつも、楽しむ余裕はあって。
「全く、出したゴミはちゃんと自分で‥‥」
 ゴミ拾い中の星苑(ia1064)、ふと見れば、子供達が手伝ってくれて。
 彼の働きも効果があったようで。
 そして、ゴミを集めたくず入れを抱え上げるのは、キース・グレイン(ia1248)。
 首には濡れ手ぬぐいを引っかけて、最後の片付け。
 潮騒の音を聞きながら、開拓者達は、もう少し海を楽しむのだった。

「‥‥たまにはこんな仕事も悪くはないよな」
 樹邑 鴻(ia0483)は恋人の向井・智(ia1140)の手を引きつつ、夕焼けの砂浜を歩いて。
 そっと身を寄せる向井を、樹邑は優しく受け止めると、頬に口付けて。
 笑いあう二人の横顔をそっと夕日が照らすのだった。

 甘味処の隅には仲の良さそうな二人が。
「‥‥あ〜ん」
「あ、あわわ‥‥あーん」
 虚祁 祀(ia0870)がそういって差し出せば、那木 照日(ia0623)がぱくっと。
 那木は幸せそうに笑顔を浮かべて、
「普通の物よりも、何倍も‥‥美味しいです」
 二人とも幸せそうである。

●夏の海 恋人達の顔照らし 空を彩る大輪の花。
「‥‥このまま‥‥平穏に過ごせればいいなぁ」
「せやなぁ、いつまでもこんな日が続くとええんやけどな‥‥贅沢かなぁ」
 眼帯を無意識に触りながらつぶやくのは鷲尾天斗(ia0371)、隣には恋人の諸葛・紅(ia0824)。
 普段なら危険と隣り合わせに生きる開拓者も、今日ばかりは羽を伸ばしているようで。
 夕日も沈み、闇が落ちる砂浜、そのとき、遠くからどーんと花火の音が。
 どうやら、開拓者たちの呼びかけで、運営側が花火を用意したようで。
 大輪の花火が海に打ち上げられればその光が二人を照らして。
「‥‥綺麗だな」
 恋人の横顔に見とれる男と、
「‥‥馬鹿、素直に言い過ぎや恥ずかしいやろ‥‥」
 照れる恋人。そんな二人は、花火を見上げてから、二人でそっと夜の闇に消えていったり。

 そしてそんな恋人達を横目に
「‥‥これが、世に聞く逢引という奴か‥‥」
 花火にそっと赤面して顔が照らされるのは皇 りょう(ia1673)、彼女の手には山のような食料が。
 店じまいを前に、余った出店の食べ物を沢山もらったようである。
 玉蜀黍を囓りつつ、それでもやっぱり空を彩る大輪の花火に目を奪われるのだった。

 見れば、そこかしこには花火を見上げて思い出に浸る開拓者達の姿が。
 犬神と北條の用に、抱き締めあっているような熱烈なカップルも居れば、仲良く手を繋いでいるカップルも居て。
 恋人同士だけでなく、みな幸せそうに花火を見上げていた。
 仕事としても、遊びとしても羽をのばした海開き。
 開拓者達にとっては、きっと心と体を休める機会となっただろう。
 やはり期間が短く、なかなか出店で荒稼ぎという分けにも行かなかったようで、ちらほら気落ちした顔も見られるが。
 花火を始め、必要経費もほとんど運営側が補填してくれたようである。
 
 そして海開きの日程は全て終わった夜、宿にて、筆をとる少女は礼野 真夢紀(ia1144)だ。
「姉様、ちぃ姉様、お元気ですか? 先日、開拓者としての初依頼に行ってまいりました‥‥」
 彼女は、海開きの様子を思い出しつつ、
「はじめてみる海は、大きくてキラキラしていて空とは違う青色で、大変綺麗なものでした‥‥」
 ゆっくりと手紙を綴るのであった。