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■オープニング本文 泰国の一地方、そこは轟煉という泰拳士の支配下にあった。 彼は自身の門派「八極轟拳」の武力を背景に、その地方の支配者として君臨しているのだ。 力こそ全てという哲学の持ち主である轟煉。 彼が支配する場所は、まさしく力のみが重要な弱肉強食の世界と化した。 高額な賞金首が轟煉にはかけられているものの、彼を討ち滅ぼそうとすれば門派全てが敵となる。 それは泰拳士の一群勢を相手にすることに等しいわけで、今だ轟煉は野放しという訳なのだ。 だが、そうとばかりは言ってられない。 今回の依頼は、支配者として君臨し続けて居る轟煉と「八極轟拳」に真っ向から喧嘩を売るものだ。 順を追って説明しよう。轟煉の支配領域のはずれに小さな街がある。名を「レイアン」という。 轟煉が支配している領域と言っても、別に封鎖されているわけではなく、レイアンは商業の街であった。 轟煉を恐れ行商人の数は減っているものの、美味く取り入って私腹を肥やす商人もいるというわけだ。 つまり、レイアンは支配領域の中でも数少ない商業の街と言うことで賑わっているのである。 そして、もちろん八極轟拳の支配はしっかりとその街にも張り巡らされていた。 かつてその街の領主や代官が住んでいた屋敷には、現在八極轟拳の門弟たちが巣くっていた。 その中でも2人、双蛇と呼ばれる腕利きがこの町の支配者となっているのである。 街の中を全て監視し、八極轟拳の都合の良い商人には便宜を与え、逆らう者は容赦なく始末する。 双蛇と呼ばれる2人の泰拳士は、30名ほどの部下と共に、恐怖でレイアンを支配しているのであった。 そして本題はこうだ。 双蛇を倒し、レイアンを解放すべし。 幸いにして、支配領域の端にあるこの街、泰拳士たちを撃破すれば支配から解放することが可能だろう。 同時に、この支配者の双蛇と呼ばれる2人の泰拳士は、最近八極轟拳の門下に下った者たちだという。 まだ連携が密でない今の時期ならば、双蛇を退治し街を支配から救うことが出来るだろう。 だが、軍勢で攻めることは出来ない。そうなれば八極轟拳と真っ向から事を構えることになってしまう。 そういうわけで、新たに双蛇には賞金がかけられ、この2人を討つ者を求めているのだという。 名を知られれば、八極轟拳に敵視されることもあるかもしれない。 だが、同時に泰国の武林(武術界)において名を上げることにつながるだろう。 危険は大きいが、得るものも大きいはずのこの依頼。 さて、どうする? |
■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034)
21歳・女・泰
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
九法 慧介(ia2194)
20歳・男・シ
秋桜(ia2482)
17歳・女・シ
鬼灯 恵那(ia6686)
15歳・女・泰
劫光(ia9510)
22歳・男・陰
セシリア=L=モルゲン(ib5665)
24歳・女・ジ
九蔵 恵緒(ib6416)
20歳・女・志 |
■リプレイ本文 ● 「‥‥一体どうなっている?」 レイアンの旧領主邸にて部下を睨み付けているのは双蛇の1人、ジャモンだ。 彼の眼前には部下たちが並んで心底震え上がっていた。 それは眼前の男、彼らの上司であるジャモンが怒っているからだ。 「一昨日、1人。そして昨日の夜は‥‥2人」 合計3本の指を折りながら数え上げるジャモン。 「街の支配者であり、逆らう者など居るはずの無い八極轟拳の門弟が、ここ数日で3人も闇討ちされたと‥‥」 ジャモンが腕を動かすとじゃらりとその腕に絡みついている鎖が音を立てる。 そして、蛇のような目でじろりと部下たちを睨め付ければ、 「‥‥ね、狙われたのは皆、門弟の中でも実力の劣る者たちでして‥‥」 「‥‥それは、敵がこちらの弱い者を狙える程、お前たちが油断していたということか?」 ぎしりと椅子から立ち上がるジャモン、彼は細身ながら背が高い。 そしてぬっと手を伸ばすと、報告した部下の首をがっちりと掴んで持ち上げた。 常に鎖を巻いているジャモンの両腕は、細く見えるが鎖を支えるのに十分な膂力を備えているのだ。 ジャモンは、片腕で部下をつり上げると、じろりと睨み付け、 「‥‥もう、お前等には任せておけん。我々を虚仮にしたネズミ共を今度はこちらが狩る番だ」 そういって、部下を投げ捨てるとにたりと笑いながら部下を率いて、屋敷を出るのだった。 ここレイアンは、この数日いつにも増して緊張を高めていた。 普段から揉め事は多く、さらに流れ者に犯罪者まで流れ込んでくる街であるため、荒事は日常茶飯事だ。 だが、そんなレイアンでも不可侵なものはあった。それは双蛇に率いられた八極轟拳の門弟たちだ。 街を力で支配する彼らに刃向かうのは、死を意味する危険な行為。 しかし、この数日その八極轟拳の門弟たちが襲われているという話なのだ。 街の人々は普段から力で彼らに押さえ込まれている。 だからといって、純粋に現状を喜ぶわけにはいかないのだ。 門弟たちの怒りがいつ自分たちに向かうかわからない現状、街の人々は情勢を伺っているのだった。 ● 物語は、数日さかのぼる。 レイアンの街にはそれなりに人の往来があり、その日も朝から街に外から人がちらほらと。 その中の1人は、泰拳士らしき身なりの女性であった。 笠で日差しをよけつつ、街中を歩く彼女は微妙に足を引きずっているようで。 「‥‥この怪我さえなけりゃナァ‥‥兎も角、やれる分の仕事をせにゃ」 彼女は、普段のもふら面を外して偵察に一足早く街へ入った梢・飛鈴(ia0034)だ。 不幸なことに、彼女は他の依頼で怪我をしてしまったのである。 しかし怪我をしていてもなお依頼への意気込みは衰えてないようで。 「‥‥‥警備は厳重、しかも領主の館となれバ、攻めづらそうダ。やっぱりおびき寄せるのがよさそうだナァ」 笠で顔を隠したまま、手に入れた街の地図を手に飛鈴は街をぶらり。 まずは仲間を待つつもりのよう、彼女は笠を目印として窓に吊すと宿に入るのだった。 そして、数日中にレイアンに入り込んだ開拓者の数、8名。 彼らはまずは共通の目的のために、それぞれ少数で連携しながら動き始めた。 それは、力こそが全てだと宣言する八極轟拳の考えを逆手に取ったようなものだった。 「てめぇ、俺が八極轟拳の門弟だと分かってて‥‥がぁっ!!」 殺人刀、秋水清光が月光の下で閃けば、血しぶきを上げて崩れ落ちる門弟が1人。 その前には、鬼の面で顔を隠した女サムライ、鬼灯 恵那(ia6686)が立っていた。 「あはっ♪ いいなぁ‥‥この感じ。昔を思い出すなぁ‥‥」 そして彼女の横に、すっと現れたのは周囲を警戒するもふら面の飛鈴。 「‥‥調べた通りアルよ。こいつは最近門弟になったばかりの流れ者‥‥まずは1人ダナ」 そして、目撃されていないことを確認すると2人は闇に姿をくらませるのだった。 新入りの門弟が闇討ちされた次の日、まだ八極轟拳は事態を把握していなかった。 だが、次なる事件は昼日中に起きた。 「キミ強そうだね。勝負してみない?」 能面を付けた女泰拳士に声をかけられた門弟2人は、それなりに腕の立つ泰拳士だ。 だが、不意に声をかけられたのは人気の無い路地裏。 そして、路地裏の蒙一方を塞ぐように現れたのは面頬で顔を隠した剣士だ。 「八極轟拳は猛者ばかりと聞いているよ‥‥喧嘩、高く買ってくれると嬉しいな」 すっと手を刀の柄にかけて居合の構え。 昼間から八極轟拳に喧嘩を売ったのは、水鏡 絵梨乃(ia0191)と九法 慧介(ia2194)だ。 対する門弟2人、逃げ場の無い状況だが彼らは自信の拳力に自信があった。 しかしその2人を水鏡と九法はそれぞれ上回る実力を持っていた。 水鏡は乱酔拳から転反攻、九法は桔梗での牽制から円月で一刀両断。見事2人を斬り倒す2人。 そして、2人も日中にもかかわらず、あっという間に姿を隠すのだった。 ここまで来てやっと双蛇のジャモンが事態を把握、彼自らがネズミを狩ろうと街に出てくるのだった。 ● そして、門弟が倒される事件が起きてから数日。 街は平穏を取り戻したかに見えたのだが、実際の所作戦は継続中であった。 開拓者にとっても、そして双蛇にとっても。 「どうやら誤情報による攪乱もそろそろ効果を無くしてきたようですね」 とある宿にて、ストールで顔を覆った女性が1人、仲間と合流して情報交換を始めた。 素性を隠し普段のメイド服も封印しての隠密行動をしているのは秋桜(ia2482)だ。 しかし彼女もどうやら本調子ではないよう、連日の隠密行動で顔に疲れが見えて。 「‥‥大丈夫か? 無理はするなよ。今晩は打って出るつもりだったが‥‥」 「いえ、少し休めば平気ですから。ありがとうございます」 大丈夫かと尋ねたのは秋桜と連携して街に潜入している劫光(ia9510)だ。 ここ数日、警戒が高まっていたので少々時間をおいていた開拓者達。 しかし、いよいよ今日から再び襲撃を開始しようと彼らは決めていたのである。 複数拠点に身を隠している開拓者達。 そのうち一つでは、いよいよ出番と準備を整えている者たちもいた。 「あ、お帰りなさい。ご飯にする? お風呂にする? それとも‥‥」 と冗談を言ってはからから笑っているのは九蔵 恵緒(ib6416)。 彼女が迎えたのは九法と水鏡だ。2人は、今晩の襲撃に備えて下調べをしてきたよう。 この宿には九法と水鏡、そして九蔵以外にもう1人が潜伏していた。 「ンフフッ、調べたとおり今晩もやってきたわよォ♪ さぁ、おしおきの時間ねぇ」 そういって笑いながら2本の鞭を取り出すのはセシリア=L=モルゲン(ib5665)。 今晩の襲撃は、セシリアと九蔵、そして別働隊として劫光と秋桜が動く予定であった。 危険度は高まっているが、事態の打開のためには動かなければならないのだ。 「下手をうって怪我を負ってしまいましたが‥‥街を開放するために、命を賭ける価値はありましょう」 静かにそう告げる秋桜の言葉に劫光も頷いて。 今晩ばかりは、後詰めの他四名の開拓者もそれぞれ援護に動き、いよいよ決着に向けて動き出すのだった。 開拓者達はすでにジャモンが部下を連れて彼らを狩るために動いていることを知っていた。 それを警戒し、同時に1人でも門弟を減らすために今日も襲撃を行う予定なのだ。 ここで開拓者達は正しい戦術を選択したと言えるだろう。 その理由は八極轟拳の特徴にあった。彼らは力こそ全てという集団だ。 個々の戦闘力は非常に高くそれは脅威だ。だが逆に罠や囮といった行動を嫌う一面があった。 だからこそジャモンは部下を率いて真っ向から開拓者達を狩ろうとしているのだ。 守りに入ることや、搦め手を使って開拓者をおびき出すよりは、探し出して倒すことを選んだのである もし開拓者達が身分を偽って取り入るような作戦を立てたてていれば、また結果は違ったのかも知れない。 だが、今回は真っ向から闇討ちという形で門弟たちを狙う開拓者達。 一番弱いところを突かれたジャモンは歯がみしながら、ひたすら開拓者達を追っているのだった。 だが、秋桜をはじめ開拓者達には懸念があった。 それは今だラウジャの足取りが掴めていないことだ。 「もしかすると‥‥双蛇のどちらかと遭遇する可能性もあるかもしれません」 秋桜はセシリアの人魂による索敵と協力しつつ、今回は要注意だと警戒するのであった。 ● 夕刻、まずはセシリアと九蔵の2人が闇討ちのために行動を開始した。 「ンフフッ今まで散々悪い事してて今更どうこうというのはないわよねェ。ンフフ!」 セシリアは陰陽師、地縛霊を駆使しながら門弟の1人を罠にはめ、鞭の攻撃で血祭りに上げた。 そして、同時にもう1人の門弟を相手取る九蔵。 「やっぱりこんな法律も何も無いような所っていいわねぇ、ふ‥‥ふふ、ゾクゾクしてきたわ」 刀を使いつつも、敵の蹴りを柄頭で受けたり、苦無を駆使したりと変則戦術で戦う九蔵。 経験でいえば、今回の面々の中で最も少ない彼女だが、門弟相手には十分戦っていた。 そしてこの2人を援護するのは、飛鈴と鬼灯だ。 見事2人の門弟を倒したセシリアと九蔵。だが、異変に最初に気付いたのは飛鈴と鬼灯だった。 「‥‥面白い戦い方をするわねぇ‥‥アタシも混ぜてもらうわね!」 ひらりと飛び込んできた影、それは予想通りラウジャの姿だった。 引き連れているのは門弟の女泰拳士たち、皆が蛇拳の遣い手らしくゆらゆらと距離を詰めて。 そして、ラウジャたちが狙ったのは九蔵だ。 「ふ‥‥ふふ、酷いわねぇ、女の子にこんな大勢で襲い掛かるなんて、殴り殺されるのかな? ‥‥フフフ」 九蔵は絶体絶命の危機、だが慌てずに苦無を投げて、牽制しつつ刀で距離を測る。 その隙に割って入ったのは鬼灯だ。 「‥‥あなたも嬲るのが好き? 私にもちょっとやらせてよ」 そんな言葉と共に、不動で防御を固めた鬼灯は隼襲で先手を取って斬りかかる! 今まで練力を温存していた鬼灯、必殺の一撃だが、なんとそれをラウジャは回避した。 攻撃と同時に回避を強化する蛇拳。それを極めるラウジャはやはり強敵だが、鬼灯は笑みを浮かべて。 「‥‥斬れないのはつまらないから、どんどん行くよ‥‥いつまで避けきれるかなぁ?」 「斬られやしないよ。その前に、あんたの心臓、抉らせて貰うよ!」 時間を稼ぐため鬼灯が前線にで、怪我をしつつも飛鈴も敵の泰拳士を抑える。 そして、その隙に九蔵が狼煙銃を上げて合図をして、何とか凌ぎつつ反撃の機をうかがうのだった。 狼煙銃の合図は即座に仲間たちの元に届いた。 残る4名の開拓者は即座に合流するために移動。 あらかじめ、街の地理や移動経路をしっかり調べてあった事が功を奏し彼らは合流に成功した。 もし、情報収集を怠っていれば彼らはジャモンら、八極轟拳の別働隊に先を越されていただろう。 だが、九法、水鏡、秋桜、劫光の四名は無事合流。 そこに遅れてジャモン等がやってくるのだが、門弟の数は揃っていないようだ。 好機とみた開拓者達は作戦通りに反撃を開始するのだった。 「悪く思うな、など言わん。せめて怨んで、逝け」 陰陽師の劫光だが、今回は剣を振るって接近戦もこなしていた。 九字護法陣で防御を固め、斬撃符で中距離からの牽制、そして剣士顔負けの接近戦。 だが、そこにやってきたのはジャモン等精鋭の泰拳士たち。 「‥‥どれほどのものか、見せてもらおうか」 そういって劫光はジャモンに狙いを定めて挑みかかったのだった。 「絡め! 戒めの龍!」 放ったのは呪縛符、蛇のような龍を放ちジャモンを拘束しようとする。しかし、ジャモンは鎖を振るい、 「小賢しい! 絡むならばこちらの方が上手、喰らうが良い!」 そういって放つのは両手に巻き付けていた細い鎖、それをまさしく蛇のように操って、 先端の分銅が命中すれば肉は裂け骨は砕ける強烈な一撃。だがそれを阻んだのは九法だった。 「させませんよ!」 居合の一閃で鎖を弾き、桔梗と円月で距離を選ばず丁々発止の剣戟を繰り広げる。 だが、さすが双蛇の1人、縦横無尽に振るわれる鉄蛇がごとき鎖の攻撃は彼らを寄せ付けなかった。 同時に、ラウジャも鬼灯相手に優勢であった。 もし全員が本調子であればもっと開拓者有利だったかも知れない。 今回は強力な泰拳士である飛鈴と隠密行動の要である秋桜が本調子ではなかったのだ。 だが開拓者達は諦めなかった。 「邪魔はさせないアルよ!」 飛鈴は、風を生む旋棍「竜巻」と苦無の攻撃で門弟を牽制しつつ、ラウジャ、ジャモンの両方を妨害。 同時にジャモンの鎖にセシリアの鞭が絡みつく。そうなってしまえばジャモンの戦闘力は半減、 「裂け! 風の龍」 さらには機と見た劫光と九法が攻め寄るれば、生まれたのはラウジャの孤立という隙だ。 怪我で動きの鈍っていた秋桜は、上手く門弟同士の動きを攪乱し煙遁で文字通り煙に巻いていた。 門弟らが協調出来ない時ならば例え個人の技量では開拓者の上を行く双蛇にも隙が生じるのだ。 「ふふふ、もらったわ!」 まず九蔵が隠し持っていた矢を放ち、それがラウジャの頬を浅く掠めた。 蛇拳は変則的な動きで敵の攻撃を回避する技だが、そこには微かな隙も存在する。 それは、攻撃回避後と反撃時だ。九蔵の矢で微かに体勢を崩したラウジャに襲いかかったのは水鏡。 達人の粋にまで高められた蛇拳と酔拳の衝突は、ほぼ互角。 転反攻をお互いに使い、蛇のような爪先が水鏡の肩を抉れば、水鏡の蹴りがラウジャの足を痛打。 そして、そこからなんとお互いに絶破昇竜脚の交差! お互いにはじき飛ばされる2人。威力ではなんとラウジャが若干勝っていた。さすがは双蛇といったところだろう。 だがここで連携に慣れない門弟たちと開拓者の決定的な差が現れた。 水鏡にはじき飛ばされたラウジャに一気に接近していたのは鬼灯。 攻撃後の隙を狙われては蛇拳の達人も回避しようがないところへ、必殺の柳生無明剣。 「まさか、そんなぁぁっ!!」 気付いたときにはもう遅い。一撃は見事に胸元の蛇を切り裂き、血の華が咲いた。 そして、不利を悟った残った双蛇の片割れ、ジャモンはその武名の鎖を捨ててまで逃げ出したのだった。 残ったのは倒され、戦意を失った門弟に双蛇の片方。 幾多の臓腑を抉り「腑咬蛇」と呼ばれたラウジャは、倒されたのだった。 街からは八極轟拳は消えた。開拓者に負け、恥をさらしてしまえばあっけないものだった。 しかし、開拓者はジャモンを逃がしてしまった。 「‥‥開拓者、か‥‥」 逃げ帰ったジャモンをはじめ、明確に八極轟拳と事を構えた開拓者がいることは判明してしまったのだ。 これからますます戦いは激しくなるだろう。 |